JPH0853673A - (4−シクロヘキシルブチル)ベンゼン誘導体 - Google Patents

(4−シクロヘキシルブチル)ベンゼン誘導体

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JPH0853673A
JPH0853673A JP6188294A JP18829494A JPH0853673A JP H0853673 A JPH0853673 A JP H0853673A JP 6188294 A JP6188294 A JP 6188294A JP 18829494 A JP18829494 A JP 18829494A JP H0853673 A JPH0853673 A JP H0853673A
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liquid crystal
general formula
mixture
formula
trans
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JP6188294A
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Inventor
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Haruyoshi Takatsu
晴義 高津
Shinji Ogawa
真治 小川
Masashi Osawa
政志 大澤
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式(I) 【化1】 (R1:C1〜7のアルコキシル基により置換されてい
てもよいC1〜12のアルキル基、X1〜X4:H又は
D、但し少なくとも1個はD、Y1及びY2:それぞれ独
立的に、H又はF、Z:F、Cl、CN、R2、OR2
CF3、OCF3、OCF2H、OCN又はOCH2
3、R2:C1〜12のアルキル又はC2〜12のアル
ケニル)で表わされる化合物の2種以上からなる混合
物。 【効果】 この混合物は、工業的にも容易に製造するこ
とができる。更にこの混合物は、組成物のネマチック相
上限温度を低下させずに、融点を効果的に低下させる。
しかも低温でも結晶を析出させ難いという優れた特徴を
有する。従って、低温での使用が期待される液晶表示素
子、特にアクティブマトリクス駆動用液晶表示素子の構
成材料として極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気光学的液晶表示材料
の特性を改善することができる、重水素原子を有する液
晶化合物からなる混合物に関し、更に詳しくは、低温領
域で長期間結晶を析出させない優れた効果を有する(4
−シクロヘキシルブチル)ベンゼン誘導体の混合物に関
する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、時計、電卓をはじめと
して、各種測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子
手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いら
れるようになっている。液晶表示方式としては、その代
表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩
れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲス
ト・ホスト)型あるいはFLC(強誘電性液晶)等があ
り、また駆動方式としても従来のスタティック駆動から
マルチプレックス駆動が一般的になり、最近ではこのよ
うな単純マトリックス駆動から、TFT(Thin Film Tr
ansistor)やMIM(Metal-Insulator-Metal)等を用
いたアクティブマトリックス駆動が実用化されている。
【0003】これらの表示方式や駆動方式に応じて、液
晶組成物に種々の特性が要求されているが、(1)液晶
相の温度範囲が低温から高温まで広く、広い温度範囲で
駆動できること、(2)しきい値電圧が低く、低電圧で
駆動可能なこと、(3)低粘性であり、高速応答可能な
ことは、表示方式や駆動方式によらず、どの液晶組成物
にも共通して要求されている重要な特性である。
【0004】現在までのところ、こうした要求特性を単
独で満たす液晶化合物は知られておらず、種々の液晶化
合物を混合することによって所望の特性を有する液晶組
成物を得ているのが現状である。
【0005】このうち、幅広い温度範囲で液晶相を示す
液晶組成物を得るために、液晶相の温度領域の異なる種
々の液晶化合物を混合する方法が用いられている。この
ような手法を用いる場合、例えば、液晶組成物のネマチ
ック相−等方性液体相転移温度(以下、TN-I点とい
う。)を上昇させる場合には、TN-I点の高い液晶化合
物の混合割合を高くすればよい。しかしながら、このよ
うな化合物はネマチック相の下限温度(以下、TC-N
という。)も高いので、必然的に得られる液晶組成物の
C-N点も上昇してしまい、低温で結晶が析出してしま
うものが多く、実用的な液晶組成物として用いることが
できなくなる場合が多い。
【0006】このようなことから、ネマチック相の温度
範囲が低温領域から高温領域まで広い実用的な液晶組成
物を調製する場合には、一般的に融点の低い液晶化合物
と室温付近でネマチック相を示す液晶化合物とTN-I
の高い化合物を、経験的に10〜20種類混合すること
により、液晶相の温度範囲を調整している。
【0007】しかしながら、温度範囲を拡大すると同時
に、実際には使用目的に応じて、電気光学的特性や粘性
も最適化しなければならないため、液晶組成物の構成成
分となる液晶化合物としては、他の化合物との相溶性も
含めて数々の要求特性をある程度満たすものでなければ
使用できない。従って、数多い液晶化合物の中でも、実
用的な液晶組成物を調製する上で使用できる化合物の選
択範囲はかなり限定される。
【0008】例えば、現在、液晶表示装置の主流となり
つつあるTFTやMIM等のアクティブマトリクス駆動
方式用の液晶組成物にも、前述の(1)から(3)の特
性が要求されるが、これらに加えて第4番目の特性とし
て、(4)高い電圧保持率を有することが更に要求され
る。これは、液晶組成物の電圧保持率が低いと、駆動さ
せたはずの画素の輝度が変化するフリッカ現象が起きて
しまうからである。
【0009】一般的に、液晶組成物の電圧保持率を高く
するためには、デバイス中での熱や光等に対して化学的
に安定で、しかも比抵抗値が高くなければならない。こ
のような要求特性を満たす液晶化合物が種々検討された
結果、従来、TN、STNに用いられていた化合物の中
でも、エステル基、シアノ基、ピリミジン環あるいはジ
オキサン環等を有する液晶化合物は、電圧保持率を低下
させるので、アクティブマトリクス用には適さないこと
が明らかになった。
【0010】また、アクティブマトリクス駆動方式にお
いても、表示方式は従来のTN表示方式と同じであるた
め、液晶組成物の誘電率異方性(Δε)は全体として正
であることが必須である。しかしながら、従来使用され
ていたΔεが正の液晶化合物(以下、p形液晶化合物と
する。)の中でも比較的大きなΔεを有するものも、同
様に電圧保持率を低下させるので、下記のような化合物
はアクティブマトリクス駆動用には適さないことが明ら
かになった。
【0011】
【化2】
【0012】(式中、Rはアルキル基を表わす。) そのため、現在では液晶組成物のΔεを正の適当な値に
するために、官能基としてフルオロ基やクロロ基を有す
る化合物、例えば、下記のようなp形液晶化合物がアク
ティブマトリクス用の材料として用いられている。
【0013】
【化3】
【0014】
【化4】
【0015】(式中、Rはアルキル基を表わし、R’は
アルキル基、アルケニル基又はアルコキシアルキル基を
表わす。) しかしながら、これらの化合物を用いてアクティブマト
リクス駆動に必要な電気光学的特性を達成することはで
きても、アクティブマトリクスに用いられる液晶化合物
は、比較的TN-I点が高いものが多いので、TC-N点が十
分に低い液晶組成物を調製することは非常に難しい。
【0016】この問題を解決するために、前記フルオロ
系化合物のうち、同一骨格を有し、且つ末端アルキル基
の炭素原子数が2〜7までの範囲で互いに異なる同族体
を数種添加することによって液晶組成物のTC-N点を低
下させる方法が用いられている。しかしながら、この方
法ではTC-N点はさほど低下せず、しかも末端アルキル
基の炭素原子数が大きくなるほど粘性が上昇する傾向が
あるので、結果的には前述の(3)の応答特性を悪化さ
せてしまう。
【0017】このように、前述の(1)から(4)の特
性をすべて満足するアクティブ用液晶組成物は現在のと
ころ得られておらず、アクティブマトリクス用の液晶組
成物としては、(2)〜(4)の特性を満たすことを優
先させており、(1)の温度範囲については、TC-N
が充分に低くないものでも使用せざるを得ない状況であ
り、当然、低温では結晶が析出しやすいものが多い。
【0018】また、STN液晶表示装置に用いられる液
晶組成物には、前述の(1)から(3)の特性に加え
て、更に4番目の特性として(5)液晶組成物の弾性定
数比(K33/K11)が大きく、高コントラストを達成す
ることが要求されている。更に、STN表示方式は、特
にラップトップコンピューター等の汎用機器に多く適用
されているため、(2)のしきい値電圧が低いことも重
要な要求特性である。
【0019】液晶組成物のしきい値電圧を低下させるた
めには、下記の式に従って、液晶組成物の誘電率異方性
Δεを大きくするか、弾性定数Kを小さくする必要があ
る。
【0020】
【数1】
【0021】(式中、kは比例定数を、Vthはしきい値
電圧を、Δεは誘電率異方性をそれぞれ表わす。) ここで、Δεの非常に大きな液晶化合物としては例え
ば、下式のような化合物があるが、Δεの大きすぎる化
合物を多量に使用すると、電流値の増大等の問題を引き
起こす場合が多く、実際に液晶表示装置として使用する
場合、信頼性の面で問題がある。
【0022】
【化5】
【0023】(式中、Rはアルキル基を表わす。) また、弾性定数の小さい液晶組成物は、p形液晶化合物
からなる母体液晶と、TN-I点が高く、且つ弾性定数の
比較的小さく、Δεが負の液晶化合物(以下、n形液晶
化合物とする。)の3環系液晶化合物若しくは3環系p
形液晶化合物を混合する方法によって調製される。
【0024】弾性定数比K33/K11の値が大きいp形液
晶化合物として、例えば、下式の化合物が用いられる。
【0025】
【化6】
【0026】(式中、R’はアルキル基、アルケニル基
又はアルコキシアルキル基を表わし、Xは水素原子又は
フッ素原子を表わす。) 従って、STNにおけるしきい値電圧特性とコントラス
ト特性を満たすために、このようなp形液晶化合物と前
述の3環系のp形あるいはn形液晶化合物を混合する
と、低温領域で結晶が析出しやすい傾向があるという問
題がある。そこで、アクティブマトリクスの場合と同様
に、同一骨格を有し、且つR’の炭素原子数が互いに異
なる同族体を何種類も添加したり、R’がアルケニル基
である場合、二重結合の位置が互いに異なる同族体を何
種類も添加して、得られる液晶組成物のTC-N点を低下
させている。
【0027】しかしながら、このような方法では、炭素
原子数の違いあるいは二重結合の位置の違いによって、
化合物の弾性定数比K33/K11の値も大きく異なるの
で、結局、得られる液晶組成物の弾性定数比K33/K11
が小さくなり、コントラストが低下してしまう場合が多
い。また、同族体を添加する方法ではTC-N点の低下に
も限界があることに加えて、粘性が増大し、応答速度が
遅くなるという問題もあり、これらの問題点を考慮した
上で液晶組成物の組成設計をすることは非常に難しい。
【0028】現状では、しきい値電圧が1.2V程度の
しきい値電圧の低いSTN用液晶組成物も調製されては
いるが、上述のように弾性定数比K33/K11の値が充分
大きくないので、低電圧駆動で、高いコントラストのS
TN液晶表示装置は現在のところ作製されていない。
【0029】ここまで説明してきたように、前述の
(1)の液晶相の温度範囲の広い液晶組成物としては、
液晶組成物のTN-I点が高いことはもちろん、TC-N点が
低いことも要求されるが、実際には、TC-N点よりも高
い温度であっても、長期間低温領域で保存すると結晶が
析出してしまう材料も少なくないので、信頼性の高い液
晶表示装置には、低温領域でも長期間液晶組成物中に結
晶が析出せず、表示画面全体に環境温度変化による表示
欠陥のないことが要求される。
【0030】液晶組成物のTC-N点は、個々の液晶単体
物質で構成される混合系組成物が過冷却現象を示す場合
が多いので、TC-N点は液晶組成物を液体窒素等で固化
あるいはガラス状態に充分低温(例えば−70℃)に冷
却して結晶化をはかり、しかるのちに温度を徐々に上昇
させながら固体からネマチック相への転移温度を測定
し、これをもってTC-N点としている。
【0031】しかしながら、成分数が10〜20種類の
実用的な液晶組成物の場合、共融混合物ではないため、
前述の測定に基づくネマチック相の下限温度より高い温
度で保存したとしても、結晶が析出してしまう場合が多
々あり、結局駆動可能な温度範囲は狭められてしまう。
【0032】例えば、TC-N点が−70℃であるにもか
かわらず、室温で結晶が析出するというものも珍しくな
い。また、前述のように車載用あるいは航空機用などに
は−40℃から110℃までの幅広い温度範囲で安定に
ネマチック相を示すことが要求されているが、−55℃
の低温で保存しても結晶が析出しない液晶組成物は現在
のところ得られていない。そのため、実際に車載用とし
て汎用されている液晶組成物でさえ、例えば、−25℃
で保存すると1週間程度で結晶が析出してしまうものも
ある。
【0033】このような例からも、液晶組成物のTC-N
点が非常に低くても、それより高い温度で結晶が析出し
ないとは限らないので、前述の(1)の特性を満たすも
のとしては、TC-N点が低いことではなく、低温領域で
も結晶が析出しないことが高い信頼性を得るために必要
とされる。
【0034】以上述べたように、液晶組成物はその表示
方式や駆動方式に適応するように種々の液晶化合物を混
合することによって調製されるが、現在使用されている
液晶化合物だけでは特性の改善には限界がある。特に、
汎用の液晶組成物は電気光学的特性を満足することに主
眼が置かれて組成設計されている場合が多い。しかしな
がら、そのような汎用の液晶組成物の中でも、特にTF
TやMIM等のアクティブマトリクス駆動方式用の液晶
組成物や、STN液晶表示装置用の液晶組成物において
は、(1)の液晶相の温度範囲が広いものであって、且
つ低温領域で結晶が析出しないことで、実用上高い信頼
性を得ている材料はほとんど存在しない。
【0035】前述の(2)〜(5)の特性をほぼ満足す
る汎用の液晶組成物は、その使用目的により温度は異な
るが、比較的低い温度で保存しても約1カ月間結晶が析
出しなければ、信頼性の高い実用液晶として認識されて
いる。
【0036】しかしながら、このような液晶組成物を用
いた場合、それを構成材料とする液晶表示装置は使用す
る環境温度が当然制限されている。このようなことから
も明らかなように、より低温でも結晶が析出しない、信
頼性の高い液晶組成物であって、各種の表示方式や駆動
方式に要求される電気光学的特性を充分に満足する液晶
組成物が望まれているにもかかわらず、このような液晶
組成物は現在のところ得られていないのである。
【0037】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、液晶材料に添加することにより低温領域に
おける結晶析出の問題点を顕著に改善できるという効果
を示し、しかもしきい値電圧等の電気光学的特性等を悪
化させることのない液晶材料を提供することにある。
【0038】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討したが、現在汎用されている
液晶化合物だけでは、前述のように特性の改善には限界
があった。従って、本発明者らは、汎用の液晶組成物に
は全く用いられていない液晶材料を開発する必要がある
と考えた。
【0039】そこで、本発明者らは種々の文献に着目し
たが、その中で重水素原子(D)を有する液晶化合物に
ついては、以下に示すように既に数例の報告がある。 1) H.Gasparoux等,Ann.ReV.Phys.Chem.,27, 175(1976) 2) G.W.Gray等, Mol.Cryst.Liq.Cryst.,41, 75(1977) 3) A.J.Leadbetter等, J.Phys.[Paris]coll C3, 40,
125(1979) 4) A.Kolbe等, Z.Naturforsch.,23a, 1237(1968) 5) J.D.Rowell等, J.Chem.Phys.,43, 3442(1965) 6) W.D.Philips等, J.Chem.Phys.,41, 2551(1964) 7) A.F.Martins等, Mol.Cryst.Liq.Cryst.,14, 85(197
1) 8) E.T.Samulski等, Phys.Rev.Lett.,29, 340(1972) 9) H.Zimmermann等,Liquid Crystals.,4, 591(1989)
【0040】しかしながら、これらの報告において、4
−アルコキシ安息香酸のカルボキシル基における水素原
子(H)を重水素原子(D)で置換した例(文献(1))
以外はすべて、末端基中の水素原子(H)を重水素原子
(D)で置換するか、あるいはベンゼン環に結合する水
素原子(H)を重水素原子(D)で置換した例であっ
た。しかもこれらの文献には、その化合物を液晶組成物
に添加した例すらも記載されていない。
【0041】そこで、本発明者らは、これまでに報告さ
れていない、飽和炭化水素環に結合する水素原子(H)
を重水素原子(D)で置換することを試みたが、これに
よって得られる液晶材料は、前述の文献からは全く予想
もできないような、優れた特性を有していることが明ら
かになった。
【0042】即ち、本発明は上記課題を解決するため
に、一般式(I)
【0043】
【化7】
【0044】(式中、R1は炭素原子数1〜12のアル
キル基、又は炭素原子数1〜7のアルコキシル基により
置換された炭素原子数1〜12のアルキル基を表わし、
1、X2、X3及びX4はそれぞれ独立的に水素原子
(H)又は重水素原子(D)を表わし、Y1及びY2はそ
れぞれ独立的に水素原子又はフッ素原子を表わし、Zは
フッ素原子、塩素原子、シアノ基、−R2、−OR2、−
CF3、−OCF3、−OCF2H、−OCN又は−OC
2CF3を表わし、R2は炭素原子数1〜12のアルキ
ル基又は炭素原子数3〜12のアルケニル基を表わし、
シクロヘキサン環はトランス配置である。)で表わされ
る2種以上の化合物が、(1)互いにX1〜X4における
重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異なり、且
つ(2)互いにR1、Y1、Y2及びZが同一であること
を特徴とする、前記一般式(I)で表わされる化合物の
2種以上からなる混合物(以下、一般式(I)の混合物
とする)を提供する。
【0045】本発明に係わる一般式(I)の混合物のう
ち、Zがフッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素原子数
1〜7の直鎖状アルキル基又はアルコキシル基、炭素原
子数3〜7の直鎖状アルケニルオキシ基、炭素原子数2
〜7の直鎖状アルケニル基、−OCF3、−OCN又は
−OCH2CF3であるものが好ましく、また、R1は炭
素原子数1〜7の直鎖状アルキル基が好ましい。
【0046】更に詳しくは、Y1及びY2のうち少なくと
も一方がフッ素原子を表わす場合には、Zはフッ素原子
であることが好ましく、Y1及びY2が共に水素原子を表
わす場合には、Zはフッ素原子、OCF3、OCH3又は
シアノ基であることが好ましい。
【0047】上述のように、一般式(I)の混合物の特
徴は、一般式(I)において、X1、X2、X3及びX4
それぞれ独立的に、水素原子(H)又は重水素原子
(D)を表わし、且つそのうちの少なくとも1個は重水
素原子(D)である化合物の2種以上からなり、しかも
その2種以上の化合物において、(1)互いにX1〜X4
における重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異
なり、且つ(2)互いにR1、Y1、Y2及びZが同一で
あることを特徴とする点にある。即ち、一般式(I)に
おいて、R1、Y1、Y2及びZを固定した場合に、一般
式(I)の化合物には立体異性体を含めると約10種以
上もの化合物が存在し得ることになる。
【0048】ところが、後述するようにその製造工程に
おいて、これらの10種の化合物を選択的に1種ずつ製
造することは、製造工程が煩雑になり産業上有利ではな
い。このため重水素原子(D)の数及び/又は置換位置
の違いによる10種の同族体のうちの数種の化合物から
なる混合物の状態で使用することは液晶材料として何等
差し支えがない。
【0049】逆に混合物として用いることにより、低温
領域における結晶析出が起こり難くなることや、他の液
晶化合物との相溶性が向上するといった優れた特性が得
られ、むしろ一般式(I)で表わされる1種の化合物単
独で用いる場合よりも好ましい。
【0050】また、このような本発明の混合物の中で
も、一般式(I)で表わされる2種以上の化合物からな
る混合物における重水素原子(D)の数の割合が、一般
式(I)におけるX1〜X3に対して30〜95%の範囲
にある混合物が好ましく、40〜90%の範囲がより好
ましく、60〜90%の範囲が特に好ましい。
【0051】本発明に係わる一般式(I)の混合物は、
例えば以下の製造方法によって得ることができる。一般
式(III)
【0052】
【化8】
【0053】(式中、R1、X1、X2、X3及びX4は一
般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされ
る2種以上の化合物が、(1)互いにX1〜X4における
重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異なり、且
つ(2)互いにR1が同一であることを特徴とする、前
記一般式(III)で表わされる重水素置換された4−
アルキルシクロヘキサノン誘導体の2種以上からなる混
合物(以下、一般式(III)の混合物とする)を中間
体として、重水素置換されていない通常の(4−シクロ
ヘキシルブチル)ベンゼン誘導体の場合と全く同様にし
て製造することができる。
【0054】ここで一般式(III)の混合物は、一般
式(III’)
【0055】
【化9】
【0056】(式中、R1は一般式(I)におけると同
じ意味を表わす。)で表わされる4−アルキルシクロヘ
キサノン誘導体を塩基存在下に、D2Oで重水素置換す
ることにより得ることができる。反応溶媒はジクロロメ
タン等の非プロトン性溶媒が好ましく、塩基としてはア
ルカリ金属アルコラートが好ましい。また反応は室温〜
溶媒の還流温度が望ましく、反応を促進するために、臭
化テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩を
共存させることも好ましい。
【0057】この一般式(III)の混合物を、式(I
Va)
【0058】
【化10】CH3OCH=PPh3 (IVa) のヴィッティヒ反応剤と反応させ、次いで酸処理を行
い、更に塩基でトランス体に異性化させることにより、
一般式(V)
【0059】
【化11】
【0060】(式中、R1、X1、X2、X3及びX4は一
般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされ
る2種以上の化合物が、(1)互いにX1〜X4における
重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異なり、且
つ(2)互いにR1が同一であることを特徴とする、前
記一般式(V)で表わされる重水素置換された4−アル
キルシクロヘキサンカルバルデヒド誘導体の2種以上か
らなる混合物(以下、一般式(V)の混合物とする)を
得ることができる。
【0061】一般式(V)の混合物と式(IVa)の化
合物との反応を更に3回繰り返すことにより、一般式
(VI)
【0062】
【化12】
【0063】(式中、R1、X1、X2、X3及びX4は一
般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされ
る2種以上の化合物が、(1)互いにX1〜X4における
重水素原子(D)の数及び/又は置換位置が異なり、且
つ(2)互いにR1が同一であることを特徴とする、前
記一般式(VI)で表わされる重水素置換された4−ア
ルキルシクロヘキサンブタナール誘導体の2種以上から
なる混合物(以下、一般式(VI)の混合物とする)を
得ることができる。
【0064】あるいは、式(IVa)の化合物との反応
を3回繰り返すかわりに、式(IVb)
【0065】
【化13】
【0066】のヴィッティヒ反応剤を反応させ、二重結
合を水素添加した後に加水分解してもよい。この一般式
(VI)の混合物も、一般式(I)の混合物の製造中間
体として重要である。
【0067】この一般式(VI)の混合物から、例えば
以下のようにして一般式(I)の混合物を製造すること
ができる。 (イ)一般式(I)において、Z=F、Cl、アルキル
基、アルコキシル基又はOCF3の混合物の場合 一般式(VIIa)
【0068】
【化14】
【0069】(式中、Y1及びY2は一般式(I)におけ
ると同じ意味を表わし、Z1はフッ素原子、塩素原子、
2、OR2又はOCF3を表わす。)で表わされるグリ
ニヤール反応剤を一般式(VI)の混合物と反応させ、
次いで酸触媒存在下に脱水することにより、一般式(V
IIIa)
【0070】
【化15】
【0071】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)におけると同じ意味を表わし、Z1
は一般式(VIIa)におけると同じ意味を表わす。)
で表わされる2種以上の化合物が、(1)互いにX1
4における重水素原子(D)の数及び/又は置換位置
が異なり、且つ(2)互いにR1、Y1、Y2及びZ1が同
一であることを特徴とする、前記一般式(VIIIa)
で表わされる(4−シクロヘキシル−2−ブテニル)ベ
ンゼン誘導体の2種以上からなる混合物(以下、一般式
(VIIIa)の混合物とする)を得る。
【0072】この一般式(VIIIa)の混合物を水素
添加することにより、一般式(I)におけるZが、前述
のZ1で定義した置換基である一般式(Ia)
【0073】
【化16】
【0074】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わし、Z1は一般式(VIIa)におけると同じ意味を
表わす。)の混合物を得ることができる。 (ロ) 一般式(I)において、Z=OR2又はOCH2
CF3の混合物の場合 一般式(VIIa)の化合物において、Z1がOCH3
あるグリニヤール反応剤を用いて、上記と同様にして一
般式(Ia)においてZ1がOCH3である混合物を得
る。これを臭化水素酸、塩化アルミニウム、トリメチル
ヨードシラン、三臭化ほう素等を用いて脱メチル化し、
一般式(I)においてZがOHに相当する一般式(Io
h)
【0075】
【化17】
【0076】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わす。)の混合物を得る。これを塩基でフェノラートと
した後、一般式(IXa)
【0077】
【化18】W−R2 (IXa) あるいは一般式(IXb)
【0078】
【化19】W−CH2CF3 (IXb) (式中、Wは塩素原子、臭素原子、沃素原子あるいはp
−トルエンスルホニル基等の脱離基を表わし、R2は一
般式(I)におけると同じ意味を表わす。)で表わされ
る化合物と反応させることにより、一般式(I)におい
てZがOR2又はOCH2CF3である一般式(Ib)
【0079】
【化20】
【0080】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わし、Z2はOR2又はOCH2CF3を表わす。)の混合
物を得ることができる。 (ハ) 一般式(I)において、Z=CNの混合物の場
合 一般式(VIIa)の化合物において、Z1がHに相当
する一般式(VIIh)
【0081】
【化21】
【0082】(式中、Y1及びY2は一般式(I)におけ
ると同じ意味を表わす。)で表わされるグリニヤール反
応剤を用い、同様にして一般式(I)においてZ1がH
に相当する一般式(Ih)
【0083】
【化22】
【0084】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わす。)の混合物を得る。この一般式(Ih)の混合物
を臭素化して、一般式(Ibr)
【0085】
【化23】
【0086】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わす。)の混合物とした後、シアン化銅(I)と反応させ
ることにより、一般式(I)においてZがCNである一
般式(Icn)
【0087】
【化24】
【0088】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わす。)の混合物を得ることができる。あるいは、一般
式(Icn)の混合物は一般式(Ibr)の混合物をグ
リニヤール反応剤あるいはリチウム反応剤とした後に二
酸化炭素と反応させ、得られた安息香酸誘導体を一般式
(Icocl)
【0089】
【化25】
【0090】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わす。)の酸クロリドの混合物とした後に、アミド化
し、次いで脱水することにより得ることもできる。
【0091】ここで一般式(Icocl)の混合物は、
前述の一般式(Ih)の混合物に蓚酸クロリドを反応さ
せても得ることができる。 (ニ) 一般式(I)において、Z=OCNの混合物の
場合 一般式(Ioh)の混合物を塩基存在下に臭化シアン
(BrCN)と反応させることにより、一般式(I)に
おいてZがOCNである一般式(Iocn)
【0092】
【化26】
【0093】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わす。)の混合物を得ることができる。 (ホ) 一般式(I)において、Z=OCF2Hの混合
物の場合 一般式(Ioh)の混合物を蟻酸エステルとした後に、
三弗化ジエチルアミノ硫黄(DAST)等のフッ素化剤
と反応させることにより、一般式(I)においてZがO
CF2Hである一般式(Iof)
【0094】
【化27】
【0095】(式中、R1、X1、X2、X3、X4、Y1
びY2は一般式(I)の混合物におけると同じ意味を表
わす。)の混合物を得ることができる。斯くして得られ
る一般式(I)の混合物の例をその相転移温度とともに
第1表に掲げる。
【0096】
【表1】
【0097】(表中、Cは結晶相を、Nはネマチック相
を、SBはスメクチックB相を、Nはネマチック相を、
Iは等方性液体相をそれぞれ表わす。また、( )内は
その相がモノトロピックな相であることを表わす。また
D化率はその混合物におけるX 1〜X4の総数に対する重
水素原子(D)の数の割合を示したものである。) 得られた一般式(I)の混合物は、対応する重水素置換
されていない化合物と比較すると単独でも融点が低い
が、現在使用されている通常の液晶組成物との相溶性に
優れており、これを添加した液晶組成物は低温で結晶が
析出しにくいという特徴を有している。
【0098】その例として、温度範囲が広く、低粘性で
ある汎用のアクティブマトリクス用ホスト液晶(H)
【0099】
【化28】
【0100】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)は116.
5℃以下でネマチック相を示し、その融点は11℃であ
る。このホスト液晶(H)80重量%及び第1表中の
(No.1)の混合物20重量%からなる液晶組成物
(M−1)を調製したところ、71℃以下でネマチック
相を示した。この(M−1)を0℃で保存したが、10
日経過しても結晶の析出は観察されなかった。次にこれ
を−25℃で放置したところ結晶化し、その後融点を測
定したところ10℃であった。
【0101】これに対して、ホスト液晶(H)80重量
%及び、(No.1)の混合物に対応するが、重水素置
換されていない式(R−1)
【0102】
【化29】
【0103】の化合物20重量%からなる液晶組成物
(MR−1)を調製した。この(MR−1)の転移温度
を測定したところ、ネマチック相の上限温度(TN-I
は7I.5℃とほとんど変化がなかったが、0℃で保存
したところ1週間で結晶の微量析出による白濁が観察さ
れた。次に同様にして−25℃で放置させて結晶化さ
せ、その後融点を測定したところ、14℃と(M−1)
より高かった。
【0104】次に汎用のネマチック用ホスト液晶(P)
【0105】
【化30】
【0106】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わし、「%」は「重量%」を表わす。)90重量%
及び(No.1)の混合物10重量%からなる液晶組成
物(P−1)を調製した。ここでホスト液晶(P)のT
N-Iは50.5℃で、融点は−10℃である。混合液晶
(P−1)のTN-Iは39℃であり、室温では結晶の析
出や相分離は観察されなかった。この(P−1)を−5
0℃で放置したところ、10日経過してもやはり結晶の
析出や相分離は観察されなかった。
【0107】これに対して、ホスト液晶(P)90重量
%及び式(R−1)の化合物10重量%からなる液晶組
成物(PM−1)のTN-Iは51℃と(P−1)とほと
んど変化がなかったが、−50℃で放置したところ1週
間で結晶の析出による白濁が観察された。
【0108】以上のことから、本発明に係わる一般式
(I)の重水素置換された化合物からなる混合物は融点
が低く、しかも低温領域でも混合液晶中に結晶を析出さ
せ難くくするという優れた特徴を有し、低温領域での使
用が期待されている液晶表示装置の構成材料として極め
て有用であることが明らかである。
【0109】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し、本発明を更に
説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0110】化合物の構造は、重水素化されていない既
知の化合物と、キャピラリーガスクロマトグラフ及び薄
層クロマトグラフを比較しほぼ同一の保持時間(あるい
はRf値)を示すこと、及び核磁気共鳴スペクトル(N
MR)、質量スペクトル(MS)、赤外吸収スペクトル
(IR)等により確認した。また重水素化率は日本電子
(株)製NMR(JNM−GSX400(400MHz
1H))により測定したが、その測定は一般式(II
I)の混合物について行い、一般式(I)の混合物のD
化率は、中間体として用いた一般式(III)の混合物
のD化率と等しいとみなした。
【0111】なお、化合物名及び構造式の前に記したd
4−は対応する各一般式におけるX1〜X4の位置のう
ち、最大4個までが重水素置換された混合物であること
を表わすものとする。
【0112】また、組成物中における「%」は「重量
%」を表わす。
【0113】(参考例1) トランス−4−プロピルシ
クロヘキサノンの重水素化
【0114】
【化31】
【0115】トランス−4−プロピルシクロヘキサノン
100gをジクロロメタン100mlに溶解し、D2
(99.9%)50g及び臭化テトラブチルアンモニウ
ム1.0gを加え、更にナトリウムメトキシド19.2
gを加え、8時間加熱還流させた。放冷後、水層を分離
しジクロロメタン50mlで抽出して有機層に加えた。
有機層は水50mlで2回洗滌し、無水硫酸ナトリウム
で脱水した。溶媒を溜去して、油状のd4−トランス−
4−プロピルシクロヘキサノン101.5gを得た。D
化率は約60%であった。
【0116】(参考例2) トランス−4−ペンチルシ
クロヘキサノンの重水素化 トランス−4−ペンチルシクロヘキサノンを用いた以外
は参考例1と同様にして、d4−トランス−4−ペンチ
ルシクロヘキサノンを得た。D化率は約66%であっ
た。
【0117】(実施例1) d4−3,4,5−トリフ
ルオロ−1−[4−(トランス−4−プロピルシクロヘ
キシル)ブチル]ベンゼン(No.1の混合物)の合成
【0118】
【化32】
【0119】(1−a)塩化メトキシメチルトリフェニ
ルホスホニウム309gをテトラヒドロフラン(TH
F)1.2lに溶解し、5℃以下に氷冷した。これにt
−ブトキシカリウム109gを内温が10℃を越えない
ように注意して、約30分で加え5〜10℃で1時間攪
拌しヴィッティヒ反応剤を調製した。これに(参考例
1)で得られたd4−トランス−4−プロピルシクロヘ
キサノン100gのTHF200ml溶液をゆっくり滴
下し、終了後も更に1時間5〜10℃で攪拌した。水
0.8lを加え、水層はヘキサン500mlで抽出し有
機層に加えた。減圧下に溶媒を溜去し、約100mlの
溶媒が残存する状態で濃縮を止め、ヘキサン1.5lを
加え、析出した結晶(トリフェニルホスフィンオキシ
ド)を濾別した。濾液をメタノール/水(2/1)混合
溶媒900mlで2回洗滌し、更に飽和食塩水で1回洗
滌した。溶媒を溜去してエノールエーテル体120gを
得た。
【0120】これをTHF500ml及び10%塩酸6
0mlに溶解し、室温で4時間攪拌した。ヘキサン10
0ml及び水300mlを加え、水層はヘキサン300
mlで抽出し有機層に加え、飽和食塩水で洗滌し、無水
硫酸マグネシウムで脱水乾燥した。濾別後、溶媒を溜去
してシクロヘキサンカルバルデヒドの粗結晶114gを
得た。(シス/トランス=20/80)この全量をメタ
ノール550ml及びエタノール110mlの混合溶媒
に溶解し、20%水酸化ナトリウム水溶液11mlを加
え、室温で1.5時間攪拌した。水500mlを加え、
少量の10%塩酸で中和し、ヘキサン300mlで3回
抽出した。ヘキサン層を飽和食塩水で洗滌後、溶媒を溜
去してシクロヘキサンカルバルデヒド誘導体113g
(シス/トランス=10/90)を得た。
【0121】(1−b)臭化3−(1,3−ジオキソラ
ン−2−イル)エチルトリフェニルホスホニウム435
gをトルエン1.5l及びTHF0.4lに溶解し、氷
冷下、t−ブトキシカリウム118gを内温10℃以下
で加え、5〜10℃で1時間攪拌した。これに(1−
a)で得られたシクロヘキサンカルバルデヒド誘導体1
11gのトルエン220ml溶液を内温10℃以下で滴
下し、滴下終了後も更に1時間同温度で攪拌した。水
1.5lを加え、以下(1−a)前半と同様に後処理し
て、2−[3−(d4−トランス−4−プロピルシクロ
ヘキシル)−2−プロペン−1−イル]−1,3−ジオ
キソラン131gを得た。
【0122】(1−c)上記(1−b)で得られた2−
[3−(d4−トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)−2−プロペン−1−イル]−1,3−ジオキソラ
ン131gを酢酸エチル650mlに溶解し、白金−カ
ーボン6.4gを加え、オートクレーブ中で水素圧3気
圧で4時間攪拌した。触媒をセライト濾過し、溶媒を溜
去して、2−[3−(d4−トランス−4−プロピルシ
クロヘキシル)プロピル]−1,3−ジオキソラン12
7gを得た。
【0123】(1−d)上記(1−c)で得られた2−
[3−(d4−トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)プロピル]−1,3−ジオキソラン102gをトル
エン400mlに溶解し、蟻酸300mlを加え、室温
で12時間攪拌した。トルエン層を分離後、蟻酸層にト
ルエン300ml及び水300mlを加え、トルエン層
を併せた。トルエン層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水
溶液、水の各々200mlで順次洗滌し、少量の硫酸ナ
トリウムで脱水乾燥した。溶媒を溜去して、d4−トラ
ンス−4−プロピルシクロヘキサンブタナール95gを
得た。
【0124】(1−e)THF30ml中のマグネシウ
ム15.7gに1−ブロモ−3,4,5−トリフルオロ
ベンゼン126.5gのTHF400ml溶液を内温6
0℃以下で2時間で滴下し、更に1時間攪拌した。10
℃以下に冷却し、上記(1−d)で得られたd4−トラ
ンス−4−プロピルシクロヘキサンブタナールの94g
のTHF130ml溶液を内温20℃以下で約1時間で
滴下した。終了後、更に1時間室温で攪拌し、弱酸性に
なるまで希塩酸を加えた。有機層を分離後、水層は50
0mlの酢酸エチルで2回抽出し、有機層をあわせ、
水、次いで飽和食塩水で洗滌し、少量の無水硫酸マグネ
シウムで脱水乾燥した。濾過後、溶媒を溜去して、アル
コール体122gを得た。
【0125】(1−f)上記(1−e)で得られたアル
コール体の全量をキシレン120mlに溶解し、p−ト
ルエンスルホン酸4.4gを加え、共沸する水を系外に
除去しながら、2時間加熱還流した。室温まで冷却し、
炭酸水素ナトリウム水溶液で洗滌し、水層は300ml
のトルエンで抽出し、トルエン層を併せた。水で洗滌し
た後、少量の無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を溜去
して、d4−3,4,5−トリフルオロ−1−[4−
(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)−1−ブテ
ン−1−イル]ベンゼンの粗生成物112gを得た。こ
れをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)
を用いて精製して、精製物80gを得た。
【0126】(1−g)上記(1−f)で得られたd4
−3,4,5−トリフルオロ−1−[4−(トランス−
4−プロピルシクロヘキシル)−1−ブテン−1−イ
ル]ベンゼン80gを酢酸エチル400mlに溶解し、
5%パラジウム炭素8.6gを加え、オートクレーブ中
で水素圧4気圧で室温で2時間攪拌した。触媒をセライ
ト濾過し、溶媒を溜去して、d4−3,4,5−トリフ
ルオロ−1−[4−(トランス−4−プロピルシクロヘ
キシル)ブチル]ベンゼンの粗生成物82gを得た。こ
れを減圧下に蒸留(180〜184℃/1mmHg)
し、次いでエタノールから再結晶して、d4−3,4,
5−トリフルオロ−1−[4−(トランス−4−プロピ
ルシクロヘキシル)ブチル]ベンゼンの結晶(融点15
℃)70gを得た。
【0127】(実施例2) d4−3,4−ジフルオロ
−1−[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシ
ル)ブチル]ベンゼン(No.2の混合物)の合成
【0128】
【化33】
【0129】実施例1において、d4−トランス−4−
プロピルシクロヘキサノンに換えてd4−トランス−4
−ペンチルシクロヘキサノンを用い、1−ブロモ−3,
4,5−トリフルオロベンゼンに換えて、1−ブロモ−
3,4−ジフルオロベンゼンを用いた以外は実施例1と
同様にして、d4−3,4−ジフルオロ−1−[4−
(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ブチル]ベ
ンゼンの無色油状物を得た。
【0130】(実施例3) d4−4−フルオロ−1−
[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ブチ
ル]ベンゼン(No.3の混合物)の合成 実施例1において、d4−トランス−4−プロピルシク
ロヘキサノンに換えてd4−トランス−4−ペンチルシ
クロヘキサノンを用い、1−ブロモ−3,4,5−トリ
フルオロベンゼンに換えて、1−ブロモ−4−フルオロ
ベンゼンを用いた以外は実施例1と同様にして、d4
4−フルオロ−1−[4−(トランス−4−ペンチルシ
クロヘキシル)ブチル]ベンゼンの無色油状物を得た。
相転移温度は第1表にまとめて示した。
【0131】(実施例4) d4−4−トリフルオロメ
トキシ−1−[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘ
キシル)ブチル]ベンゼン(No.4の混合物)の合成 実施例1において、d4−トランス−4−プロピルシク
ロヘキサノンに換えてd4−トランス−4−ペンチルシ
クロヘキサノンを用い、1−ブロモ−3,4,5−トリ
フルオロベンゼンに換えて、1−ブロモ−4−トリフル
オロメトキシベンゼンを用いた以外は実施例1と同様に
して、d4−4−トリフルオロメトキシ−1−[4−
(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ブチル]ベ
ンゼンの結晶を得た。相転移温度は第1表にまとめて示
した。
【0132】(実施例5) d4−4−メトキシ−1−
[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ブチ
ル]ベンゼン(No.5の混合物)の合成 実施例1において、d4−トランス−4−プロピルシク
ロヘキサノンに換えてd4−トランス−4−ペンチルシ
クロヘキサノンを用い、1−ブロモ−3,4,5−トリ
フルオロベンゼンに換えて、4−ブロモアニソールを用
いた以外は実施例1と同様にして、d4−4−メトキシ
−1−[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシ
ル)ブチル]ベンゼンの結晶を得た。相転移温度は第1
表にまとめて示した。
【0133】(実施例6) d4−4−シアノ−1−
[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ブチ
ル]ベンゼン(No.6の混合物)の合成
【0134】
【化34】
【0135】(6−a)実施例1において、d4−トラ
ンス−4−プロピルシクロヘキサノンに換えてd4−ト
ランス−4−ペンチルシクロヘキサノンを用い、1−ブ
ロモ−3,4,5−トリフルオロベンゼンに換えて、ブ
ロモベンゼンを用いた以外は実施例1と同様にして、d
4−[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)
ブチル]ベンゼンを得た。
【0136】(6−b)上記(6−a)で得られたd4
−[4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ブ
チル]ベンゼン8.5gをジクロロメタン40mlに溶
解し、無水塩化アルミニウム6.0gを加え氷冷した。
ジクロロメタン20mlに溶解したシュウ酸ジクロリド
4.8gを内温が10℃を超えないよう注意して滴下し
た。1時間氷冷下に攪拌後、稀塩酸及び氷中にあけ、ジ
クロロメタンで抽出した。このジクロロメタン溶液を2
9%アンモニア水100mlに氷冷下10℃以下で滴下
した。1時間5〜10℃で攪拌した後、析出した結晶を
濾取し、減圧下に乾燥して、d4−4−[4−(トラン
ス−4−ペンチルシクロヘキシル)ブチル]ベンズアミ
ド結晶8.0gを得た。
【0137】(6−c)上記(6−b)で得られたベン
ズアミド誘導体の全量をトルエン30mlに溶解し、塩
化チオニル15mlを加え、還流下1時間加熱攪拌し
た。放冷後、水を加え攪拌し、有機層を分離した。水層
はトルエンで抽出し、有機層を併せて、水で洗滌し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を溜去して得られた
粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トル
エン)を用いて精製し、更にメタノールから再結晶し
て、d4−4−シアノ−1−[4−(トランス−4−ペ
ンチルシクロヘキシル)ブチル]ベンゼン5.6gを得
た。相転移温度は第1表にまとめて示した。
【0138】(実施例7) 液晶組成物の調製(1) 温度範囲が広く、低粘性のアクティブマトリックス用ホ
スト液晶(H)
【0139】
【化35】
【0140】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)を調製した。ホスト液晶(H)は116.
5℃以下でネマチック相を示し、その融点は11℃であ
った。このホスト液晶(H)80%及び実施例1で得ら
れた(No.1)の混合物20%からなる液晶組成物
(M−1)を調製したところ、71℃以下でネマチック
相を示した。この(M−1)を0℃で保存したが、10
日経過しても結晶の析出は観察されなかった。次にこれ
を−25℃で放置したところ結晶化し、その融点を測定
したところ10℃であった。
【0141】(比較例1)ホスト液晶(H)80%及
び、(No.1)の混合物に対応するが重水素置換され
ていない式(R−1)
【0142】
【化36】
【0143】の化合物20%からなる液晶組成物(MR
−1)を調製した。この(MR−1)の転移温度を測定
したところ、ネマチック相の上限温度(TN-I)は7
I.5℃とほとんど変化がなかったが、0℃で保存した
ところ1週間で結晶の微量析出による白濁が観察され
た。次に同様に−25℃に放置して結晶化させその融点
を測定したところ、14℃と(M−1)より高かった。
【0144】(実施例8) 液晶組成物の調製 次に汎用のネマチック用ホスト液晶(P)
【0145】
【化37】
【0146】(式中、シクロヘキサン環はトランス配置
を表わす。)を調製した。このホスト液晶(P)のT
N-Iは50.5℃で、その融点は−10℃である。この
ホスト液晶(P)90%及び(No.1)の混合物10
%からなる液晶組成物(P−1)を調製した。混合液晶
(P−1)のTN-Iは39℃であった。この(P−1)
を−50℃で保存したが10日経過しても結晶の析出は
観察されなかった。
【0147】(比較例2)ホスト液晶(P)90%及び
式(R−1)の化合物10%からなる液晶組成物(PM
−1)を調製した。(PM−1)のTN-Iは51℃と
(P−1)とほとんど変化がなかったが、同様に−50
℃で保存したところ1週間以内に結晶の析出による白濁
が観察された。
【0148】このことから、本発明の一般式(I)の混
合物は、対応する重水素置換されていない化合物と比較
して、同様の電気光学特性に加えて、低温で結晶が析出
し難いという特徴を有しており、実用的な液晶として極
めて有用である。
【0149】
【発明の効果】本発明の一般式(I)で表わされる重水
素置換された化合物からなる混合物は、実施例にも示し
たように市販の入手容易な化合物から工業的にも容易に
製造することができ、他の液晶化合物との相溶性にも優
れている。従って、現在汎用されている液晶材料に添加
した場合、TN-I点を大きく低下させることなく、融点
を低下させ、しかも電気光学的特性を低減させることも
なく、低温領域においても結晶を析出させないという優
れた効果が得られる。従って、低温領域で使用される液
晶表示装置、特にTN、STN、アクティブマトリクス
表示装置の構成材料として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 43/215 43/225 C 7419−4H 255/50 261/02 C09K 19/30 9279−4H // C07M 5:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、R1は炭素原子数1〜12のアルキル基、又は
    炭素原子数1〜7のアルコキシル基により置換された炭
    素原子数1〜12のアルキル基を表わし、X1、X2、X
    3及びX4はそれぞれ独立的に水素原子(H)又は重水素
    原子(D)を表わすが、少なくとも1個は重水素原子
    (D)を表わし、Y1及びY2はそれぞれ独立的に水素原
    子又はフッ素原子を表わし、Zはフッ素原子、塩素原
    子、シアノ基、−R2、−OR2、−CF3、−OCF3
    −OCF2H、−OCN又は−OCH2CF3を表わし、
    2は炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数
    3〜12のアルケニル基を表わし、シクロヘキサン環は
    トランス配置である。)で表わされる2種以上の化合物
    が、(1)互いにX1〜X4における重水素原子(D)の
    数及び/又は置換位置が異なり、且つ(2)互いに
    1、Y1、Y2及びZが同一であることを特徴とする、
    前記一般式(I)で表わされる化合物の2種以上からな
    る混合物。
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、R1は炭素原子
    数1〜7の直鎖状アルキル基を表わし、Zはフッ素原
    子、OCF3、OCH3又はシアノ基を表わすことを特徴
    とする請求項1記載の混合物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)において、Y1及びY2のう
    ち少なくとも一方がフッ素原子を表わし、Zがフッ素原
    子を表わすことを特徴とする請求項2記載の混合物。
  4. 【請求項4】 一般式(I)において、Y1及びY2が共
    に水素原子を表わすことを特徴とする請求項2記載の混
    合物。
  5. 【請求項5】 一般式(I)で表わされる2種以上の化
    合物におけるX1、X2、X3及びX4の総数に対して、重
    水素原子(D)の数の割合が30〜95%の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の混合
    物。
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