JPH0884592A - グリコールアルデヒドの生化学的製造法 - Google Patents

グリコールアルデヒドの生化学的製造法

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JPH0884592A
JPH0884592A JP2136995A JP2136995A JPH0884592A JP H0884592 A JPH0884592 A JP H0884592A JP 2136995 A JP2136995 A JP 2136995A JP 2136995 A JP2136995 A JP 2136995A JP H0884592 A JPH0884592 A JP H0884592A
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glycolaldehyde
ethylene glycol
glycol
glyoxal
aldehyde
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JP2136995A
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Kimiyasu Isobe
公安 礒部
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Amano Enzyme Inc
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Amano Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は新規なグリコールアルデヒドの生化学
的製造法に関する。 【構成】エチレングルコールにエチレングリコールを酸
化し、グリコールアルデヒドを生成する能力を有する酸
化還元酵素又は該酸化還元酵素を含有する微生物を作用
させることによって、エチレングリコールをグリコール
アルデヒドに変換せしめた後、これを採取するグリコー
ルアルデヒドの生化学的製造法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグリコールアルデヒドの
生化学的製造法に関する。更に詳細には、エチレングリ
コールにエチレングリコールを酸化し、グリコールアル
デヒドを生成する能力を有する酸化還元酵素又は該酸化
還元酵素を含有する微生物を作用させることによって、
エチレングリコールをグリコールアルデヒドに変換せし
め、これを採取することを特徴とするグリコールアルデ
ヒドの生化学的製造法に関する。
【0002】グリコールアルデヒドは、α−アミノ酸、
医薬、農薬、写真用薬、あるいは、特殊ポリマーの原料
として、また、繊維処理剤、着臭剤、脱臭剤として有用
な化合物である。
【0003】
【従来の技術】従来、グリコールアルデヒドは、銅又は
銅・亜鉛系触媒にエチレングリコールと水蒸気を通す方
法(特開昭61-69740号)、銀、銅、銀酸化物、銅酸化物
等と珪素、リン、又は、硼素の化合物とを組み合わせた
触媒を用いる方法(特開昭62-45548号)、さらには、反
応管に充填された銅・亜鉛系複合触媒層に気層でエチレ
ングリコールを導入し、反応管に連結された冷却器で生
成ガスを凝縮させて得る方法(特開平3-279342号)等の
化学合成法により工業的に製造されてきたが、生化学的
方法によっては、これまで製造されていなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、グリコ
ールアルデヒドを化学合成法により製造する場合には、
重金属や高温での反応が必要であり、又多量の酸が副成
されるため、これらを除去精製する必要があり、そのた
め複雑な操作を必要としていた。従って、穏和な条件下
で副産物の生成が少ないグリコールアルデヒドの製造法
が求められていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような状況下、本発
明者等は、繁雑な操作を必要とせず、且つ又、穏和な条
件下で副産物の生成が極めて少ない方法、即ち、生化学
的方法でグリコールアルデヒドを製造することを試み
た。
【0006】これまで、アルコールの酸化に関する生化
学的研究として、ある種の1価または3価のアルコール
に作用する酸化還元酵素の存在は知られていた〔 Y.
Tani, T. Miya and K. Ogata, Agric. Biol. Chem., 36
巻, 76〜83 (1972)、 H. Sahm and F. Wagner, Eur.
J. Biochem., 36巻, 250〜256 (1973)、 N. Kato,Y.
Omori, Y. tani and K. Ogata, Eur. J. Biochem., 64
巻, 341〜350 (1976)、 C. R. Couder and J. Baratt
i, Agric. Biol. Chem., 44巻, 2279〜2289 (1980)、
T. Uwajima, H. Akita, K. Ito, A. Mihara, K. Aisak
a and O. Terada, Agric. Biol. Chem., 43巻, 2633〜2
634 (1979)〕。
【0007】2価アルコールに作用する酸化還元酵素に
ついては、その存在の可能性が示唆されるのみであり
〔A. Boronat, E. Caballero and J. Aguilar, J. Bact
eriol., 153巻, 134〜139 (1983)〕、その反応生成物の
同定は全く行われていなかった。
【0008】本発明者等は、長年にわたり、微生物の産
生する酸化還元酵素の研究に従事し、微生物の産生する
酸化還元酵素とエチレングリコール、グリコールアルデ
ヒド、グリオキザールとの反応を鋭意検討してきた結
果、エチレングリコールを酸化し、グリコールアルデヒ
ドを生成する能力を有する酸化還元酵素又は該酸化還元
酵素を含有する微生物において、エチレングリコールか
らグリコールアルデヒドを蓄積できることを新たに見い
出し、これらの酵素又は微生物を用いて、エチレングリ
コールからグリコールアルデヒドを生成、蓄積できる方
法を開発した。
【0009】本発明は、これらの知見により完成された
ものである。即ち、エチレングリコールにエチレングリ
コールを酸化し、グリコールアルデヒドを生成する能力
を有する酸化還元酵素又は該酸化還元酵素を含有する微
生物を作用させることによってエチレングリコールをグ
リコールアルデヒドに変換せしめ、これを採取すること
を特徴とするグリコールアルデヒドの生化学的製造法で
ある。
【0010】本発明によって、初めてグリコールアルデ
ヒドを温和な条件下で効率よく製造することが可能とな
ったのである。
【0011】本発明のエチレングリコールから酸化還元
酵素反応によってグリコールアルデヒドが生成される化
学反応式を式1及び式2に示す。
【0012】
【式1】
【0013】
【式2】
【0014】上記式1で示される反応は、脱水素酵素又
は該脱水素酵素を含有する微生物が介在する場合であ
り、上記式2は、酸化酵素又は該酸化酵素を含有する微
生物が介在する場合において認められる。
【0015】上記式2の酵素反応において、過酸化水素
が生成するが、この過酸化水素は、オキシダーゼを不安
定にしたり、また生成したグリコールアルデヒドを酸化
すること等により、グリコールアルデヒドの生成量を減
少させる場合がある。しかしながら、この場合において
も、反応時にカタラーゼを添加することによって過酸化
水素を除去し、グリコールアルデヒドの蓄積量を増大さ
せることが可能である。又、エチレングリコールを酸化
し、グリコールアルデヒドを生成する能力を有する酵素
がグリコールアルデヒドを更にグリオキザールに酸化す
る場合もあるが、グリコールアルデヒドを蓄積するため
の適切な条件を選ぶことにより、グリコールアルデヒド
のグリオキザールへの酸化を抑制し、グリコールアルデ
ヒドの蓄積量を増大させることも可能である。
【0016】尚、本発明の初発物質であるエチレングリ
コールは、2価アルコールの代表的なものであり、工業
的には、エチレンに塩酸水を作用させてエチレンクロル
ヒドリンとし、これを炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナト
リウム水溶液と共にオートクレーブで加水分解し又は、
エチレンクロルヒドリンを水酸化アルカリと共に熱して
エチレンオキシドとし、これに希硫酸を作用させて加水
分解して製造され、市販されている。
【0017】本発明者等は、上記反応に使用可能な酵素
及び微生物をスクリーニングするにあたって、先ず、反
応生成物のグリコールアルデヒド及びグリオキザールの
定量法を確立すると共に、更に、上記反応においては、
グリオキシル酸(OHCCOOH)は生成しないことを
確認するためのグリオキシル酸の定量法をも確立した。
【0018】実験例1 グリコールアルデヒドの定量は、〔M. A. Paz, O. O. B
lumenfeld, M. Rojikind, E. Henson, C. Furfin and
P. Gallop, Arch. Biochem. Biophys., 109巻,547〜 55
9 (1965)〕等の方法を改良して以下の条件で行った。0.
5 mM〜2.5 mMのグリコールアルデヒド溶液10μlに対し
0.1 M グリシン塩酸緩衝液(pH4.0)150μl、1% MBTH
〔3−メチル−2−ベンゾチアゾリノン・ヒドラゾン・
ヒドロクロライド(3-methyl-2-benzothiazolinone hyd
razone hydrochloride)〕溶液60μl、0.2%塩化第二鉄
溶液750μlを添加し、グリコールアルデヒドの誘導体−
2を生成し、その吸収スペクトル及び吸光度610 nmとグ
リコールアルデヒド濃度との関係を検討した。その結
果、図1に示すような吸光度曲線と図2に示す吸光度と
グリコールアルデヒド濃度との関係が得られ、本条件で
グリコールアルデヒドが定量できることが示された。
【0019】実験例2 グリオキザールの定量は、〔M. A. Paz, O. O. Blumenf
eld, M. Rojikind, E.Henson, C. Furfin and P. Gallo
p, Arch. Biochem. Biophys., 109巻, 547〜559 (196
5)〕等の方法を改良して以下の条件で行った。0.5 mM〜
2.5 mMのグリオキザール溶液10μlに対し0.1 M グリシ
ン塩酸緩衝液(pH4.0)750μl、1%MBTH溶液300μlを
添加し、グリオキザールの誘導体−1を生成し、その吸
収スペクトル及び吸光度380 nmとグリオキザール濃度と
の関係を検討した。その結果、図1に示すような吸光度
曲線と図2に示す吸光度とグリオキザール濃度との関係
が得られ、本条件でグリオキザールが定量できることが
示された。
【0020】実験例3 グリオキシル酸の定量は、〔M. A. Paz, O. O. Blumenf
eld, M. Rojikind, E.Henson, C. Furfin and P. Gallo
p, Arch. Biochem. Biophys., 109巻, 547〜559 (196
5)〕等の方法を改良し、実験例1及び実験例2と同様の
条件で行った。その結果、図1に示すような吸光度曲線
と図2に示す吸光度とグリオキシル酸濃度との関係が得
られ、本条件でグリオキシル酸が定量できることが示さ
れた。
【0021】実験例4 実験例1〜3においてグリオキザールは、1%MBTH溶液
を添加すると黄色に着色するが、0.2%塩化第2鉄溶液
を添加しても青色に着色する事はなく、一方、グリコー
ルアルデヒドとグリオキシル酸は、1%MBTH溶液の添加
では無色であり、0.2 %塩化第2鉄溶液を添加すること
より青色を呈した。従って、グリオキザールをグリコー
ルアルデヒドやグリオキシル酸と分別測定する事は可能
であったが、しかし、グリコールアルデヒドとグリオキ
シル酸の誘導体の吸収曲線は類似しており、両者の区別
は困難であった。そこで、それら3種化合物の誘導体を
実験例1〜3に準じて調製し、C18カラムを用いる逆相
HPLCクロマトグラフィーで3種化合物の分別を行った。
尚、グリオキシル酸に関しては、0.2%塩化第2鉄溶液
添加前後の誘導体−1及び誘導体−2の溶液をHPLCに供
した。その結果、図3に示すように塩化第2鉄無添加で
グリオキザール(誘導体−1)は34.0分、34.6分付近に
それぞれピークが得られ、グリオキシル酸(誘導体−
1)は12.1分付近にピークが認められた。又塩化第2鉄
イオン添加液の誘導体ではグリコールアルデヒド(誘導
体−2)が16.4分付近、グリオキシル酸(誘導体−2)
が22.8分付近にピークが得られ、3種化合物の分別定量
が可能となった。
【0022】こうして3種化合物の定量法を確立できた
ので、エチレングリコールを酸化し、グリコールアルデ
ヒドを生成、蓄積する能力を有する酸化還元酵素をスク
リーニングした。その結果、酸化酵素としては、アルコ
ールオキシダーゼ及びグリセロールオキシダーゼにエチ
レングリコールを酸化し、グリコールアルデヒドを生
成、蓄積する能力があることが判明した。アルコールオ
キシダーゼとしては、シグマ社製品のピチア属(Pichia
pastoris)由来のアルコールオキシダーゼ、Candida s
p. No. SS104(本菌の菌学的性質は、甲子園大学紀要,
No. 18, (A), 23−29 (1990)に記載されており、工業技
術院生命工学工業技術研究所にFERM-P No. 13702として
寄託されている。)を文献に準じて培養して得られる
カンジダ属由来のアルコールオキシダーゼ、シグマ社製
品のハンセヌラ属由来のアルコールオキシダーゼ等が例
示され、一方、グリセロールオキシダーゼとしては、文
献並びに特公昭60−31471号及び特公昭60−49477号で
述べられているAspergillus japonicus KY−45 ATCC N
o. 1042に由来するアスペルギルス属由来のグリセロー
ルオキシダーゼ、さらには、Penicillium sp. KY868 NR
RL 11339に由来するペニシリウム属由来のグリセロール
オキシダーゼ等が例示される。
【0023】次に、本発明者は、エチレングリコールを
酸化し、グリコールアルデヒドを生成する能力を有する
酸化還元酵素を含有する微生物を広く検索した。その結
果、少なくとも以下に例示する微生物にその能力がある
ことが判明した。即ち、ピチア属菌(例えば、Pichia p
astoris JCM 3650が例示される。)、カンジダ属菌(例
えば、Candida sp. No. SS104 FERM P-13702が例示され
る。)、ハンセヌラ属菌(例えば、Hansenula polymorp
ha ATCC 26012が例示される。)、アスペルギルス属菌
(例えば、Aspergillus japonicus KY−45 ATCC 1042が
例示される。)、ペニシリウム属菌(例えば、Penicill
ium sp. KY868 NRRL 11339が例示される。)、ノイロス
ポラ属菌(例えば、Neurospora crassa IFO 6068が例示
される。)、シュードモナス属菌(例えば、Pseudomona
s sp. GOX-201 FERM P-14328が例示される。)、アセト
バクター属菌(例えば、Acetobacter pasteurianus IFO
3222が例示される。)及びクルイベロマイセス属菌
(例えば、Kluyveromyces marxianus IFO 0273が例示さ
れる。)等の微生物である。
【0024】更に、本発明者等は、酸化還元酵素を用い
て、エチレングリコール濃度とグリコールアルデヒド及
びグリオキザールの生成との関係を検討するために以下
の実験を行った。
【0025】実験例5 1.1 M 〜6.6 M エチレングリコールを含む0.2 M TES緩
衝液(pH7.0)9mlにアスペルギルス属由来のグリセロ
ールオキシダーゼ60 u、カタラーゼ130 kuを添加し(最
終反応液量:10 ml)、20℃で24時間反応した。この反
応液から実験例1及び2に準じてMBTH誘導体を調製し、
グリコールアルデヒド及びグリオキザールの濃度を求め
た結果は表1及び図4に示される。
【0026】
【表1】
【0027】実験例6 実験例5と同様に反応時のエチレングリコール濃度が2
M から10 Mになるよう調製した反応液に、ピチア属由来
アルコールオキシダーゼ1000 u、カタラーゼ130 kuを添
加し、20℃、4時間反応した。その結果は、表2及び図
5に示される。
【0028】
【表2】
【0029】上記実験例5及び6の、表1及び図4或い
は表2及び図5に示すように、基質エチレングリコール
にエチレングリコールを酸化し、グリコールアルデヒド
を生成する能力を有する酸化還元酵素を作用させてグリ
コールアルデヒドを生成せしめることが可能であり、更
にエチレングリコールの濃度を高めることにより、グリ
コールアルデヒドに対するグリオキザールの生成比を低
下させ得ることも明らかとなった。
【0030】実験例7 2.0 M エチレングリコールを含む各種の緩衝液、即ち、
TES〔N-Tris(hydroxymethyl) methyl-2-aminoethane s
ulphonic acid〕緩衝液、トリス塩酸(Tris-HCl)緩衝
液、BES〔N,N-Bis(2-hydroxymethyl)-2-aminoethane su
lfonic acid〕緩衝液、MOPS(3-Morpholinopropane sul
fonic acid)緩衝液、AMPD〔2-Amino-2-methyl-1,3prop
andiol〕緩衝液、ホウ酸(Na2B4O7・HCl)緩衝液、リン
酸緩衝液のそれぞれ0.9 mlに、ピチア属由来のアルコー
ルオキシダーゼ50 u、カタラーゼ13 kuを添加し(最終
反応液量:1 ml)、20℃で4時間反応した。この反応液
から実験例1及び2に準じてMBTH誘導体を調製し、グリ
コールアルデヒド及びグリオキザールの濃度を求めた結
果は表3に示される。
【0031】
【表3】
【0032】表3より明らかなように、何れの緩衝液の
場合にも、エチレングリコールからグリコールアルデヒ
ドを著量生成、蓄積させることができた。
【0033】更に、本発明者は、反応時のpHを変え、グ
リコールアルデヒド生成に及ぼす影響を検討するため実
験例8〜11を行った。
【0034】実験例8 各種pHの0.2 M トリス塩酸(Tris - HCl)緩衝液(pH7.
0 - 9.0)に2.0 M エチレングリコールになるように溶
解し、ピチア属由来のアルコールオキシダーゼ25 u、カ
タラーゼ2.6 kuを添加し(最終反応液量:1 ml)、20℃
で4時間反応した。この反応液から実験例1及び2に準
じてMBTH誘導体を調製し、グリコールアルデヒド及びグ
リオキザールの濃度を求めた結果は表4に示される。
【0035】
【表4】
【0036】実験例9 各種pHの0.2 M 2アミノ−2−メチル−1,3プロパン
ジオール(AMPD)緩衝液(pH7.5 - 9.5)に2.0 M エチ
レングリコールになるように溶解し、ピチア属由来のア
ルコールオキシダーゼ25 u、カタラーゼ2.6 kuを添加し
(最終反応液量:1 ml)、20℃で4時間反応した。この
反応液から実験例1及び2に準じてMBTH誘導体を調製
し、グリコールアルデヒド及びグリオキザールの濃度を
求めた結果は表5に示される。
【0037】
【表5】
【0038】実験例10 各種pHの0.2 M トリス塩酸(Tris - HCl)緩衝液(pH7.
0 - 9.0)に2.0 M エチレングリコールになるように溶
解し、アスペルギルス属由来のグリセロールオキシダー
ゼ32 u、カタラーゼ2.6 kuを添加し(最終反応液量:1
ml)、20℃で4時間反応した。この反応液から実験例1
及び2に準じてMBTH誘導体を調製し、グリコールアルデ
ヒド及びグリオキザールの濃度を求めた結果は表6に示
される。
【0039】
【表6】
【0040】実験例11 各種pHの0.2 M 2アミノ−2−メチル−1,3プロパン
ジオール(AMPD)緩衝液(pH7.5 - 9.5)に2.0 M エチ
レングリコールになるように溶解し、アスペルギルス属
由来のグリセロールオキシダーゼ32 u、カタラーゼ2.6
kuを添加し(最終反応液量:1 ml)、20℃で4時間反応
した。この反応液から実験例1及び2に準じてMBTH誘導
体を調製し、グリコールアルデヒド及びグリオキザール
の濃度を求めた結果は表7に示される。
【0041】
【表7】
【0042】表4〜表7より明らかなように、pH7〜9.
5即ち、中性からアルカリ域において酵素を作用せしめ
ることによって、エチレングリコールからグリコールア
ルデヒドを著量生成、蓄積させることができ、更に、ア
ルカリ域の緩衝液を用いることにより、反応生成物のグ
リコールアルデヒドに対するグリオキザールの生成比率
を低下させ得ることが明らかとなった。
【0043】本発明のグリコールアルデヒドの生化学的
製造法における酵素の作用条件について述べると、まず
反応時間に関しては、酵素が作用する条件であれば特に
制限されないが、好ましくは、30分〜30日間である。反
応温度も特に制限されないが、好ましい反応温度として
は、0〜40℃である。そして反応時のpH条件も、酵素が
作用できるpHであれば特に制限はなく、通常はpH3〜10
であり、好ましくは、pH7〜10である。
【0044】以下実施例によって本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例により何等制限され
るものではない。尚、実施例中の各種酵素の活性測定法
は、アルコールオキシダーゼについては、前記文献の
記載の方法であり、グリセロールオキシダーゼについて
は、前記文献の記載方法を使用した。又カタラーゼに
ついては、特開平2-76579号によって行った。
【0045】
【実施例】
実施例1 アセトバクター・パステウリアヌス(Acetobactor past
eurianus)IFO 3222を5%エチレングリコール、2%コ
ースティープリカー(CSL)、0.2%硫安、0.1%リン酸
2カリウム、0.1%リン酸2ナトリウム、0.02%硫酸マ
グネシウム、0.01%塩化カルシウム、0.1%酵母エキス
(pH5.5)の培地で30℃、5日間培養した結果、培養液
中に生成されているグリコールアルデヒドとグリオキザ
ールの濃度は各々130 mM、2 mMであり、グリオキザール
の生成比はグリコールアルデヒドの1.5%であった。
【0046】実施例2 クルイベロマイセス・マルキアヌス(Kluyveromyces ma
rxianus)IFO 0273を2%1,2−プロパンジオール、0.5
%CSL、0.2%硫安、0.1%リン酸2カリウム、0.1%
リン酸2ナトリウム、0.02%硫酸マグネシウム、0.01%
塩化カルシウム、0.1%酵母エキス(pH7.0)からなる培
地(100 ml)で30℃2日間培養し、得られた菌体を洗浄
後、1M エチレングリコールを含む20 mlの0.2 M TES緩
衝液(pH7.0)に懸濁し、20℃、15時間反応した。その
結果101 mMのグリコールアルデヒドの生成が確認できた
が、グリオキザールの生成は全く認められなかった。
【0047】実施例3 6.6 M エチレングリコールを含む0.2 M TES緩衝液(pH
7.0)9mlにアスペルギルス属由来のグリセロールオキ
シダーゼ60 u、カタラーゼ130 kuを添加し(最終反応液
量:10 ml)、20℃で24時間反応した。この反応液から
実験例1及び2に準じてMBTH誘導体を調製し、グリコー
ルアルデヒド及びグリオキザールの濃度を求めた結果、
グリコールアルデヒドとグリオキザールの生成量は、0.
238 M、0.005 Mであり、グリオキザールの生成量は、グ
リコールアルデヒドの約2.1%であり、このグリコール
アルデヒドは、常法により採取された。
【0048】実施例4 6.6 Mエチレングリコールを含む0.2 M TES緩衝液(pH7.
0)9mlにアスペルギルス属由来のグリセロールオキシ
ダーゼ75 u又は300 uとカタラーゼ130 kuを添加し、
(最終反応液量:10 ml)、20℃で10時間反応した。そ
の結果、表8で示すように何れの場合でもグリオキザー
ルの生成量は、グリコールアルデヒドの5%以下であっ
た。
【0049】
【表8】
【0050】実施例5 実施例4と同一条件下、アスペルギルス属由来のグリセ
ロールオキシダーゼ675 uを用いて、20℃で48時間反応
した。その結果、グリコールアルデヒドとグリオキザー
ルの生成量は、0.645 M、0.030 Mであり、グリオキザー
ルの生成量は、グリコールアルデヒドの約4.6%であ
り、長期間反応でもエチレングリコールの酸化によりグ
リコールアルデヒドが蓄積した。
【0051】実施例6 実施例3と同様に反応時のエチレングリコール濃度が6
M になるよう調製し、ピチア属由来アルコールオキシダ
ーゼ1000 u、カタラーゼ130 kuを添加し、20℃、4時間
反応した。その結果、グリコールアルデヒドとグリオキ
ザールの生成量は、0.350 M、0.0097 Mであり、グリオ
キザールの生成量は、グリコールアルデヒドの約 2.8%
であり、エチレングリコールの酸化により著量のグリコ
ールアルデヒドが蓄積した。
【0052】実施例7 1Mエチレングリコールを含む1M トリス塩酸緩衝液(p
H9.0)9mlにピチア属由来のアルコールオキシダーゼ1,
000 uとカタラーゼ130 kuを添加し、(最終反応液量:1
0 ml)、pHを9付近に保ったまま、5℃で30時間反応し
た。その結果、0.756 Mグリコールアルデヒドと0.028 M
グリオキザールの生成が確認され、アルカリ域で作用さ
せた場合には、エチレングリコールの75%以上が酸化さ
れた場合でもグリオキザールの生成量は、グリコールア
ルデヒドの4%以下であった。
【0053】実施例8 1Mエチレングリコールを含む1M トリス塩酸緩衝液(p
H9.0)9mlにアスペルギルス属由来のグリセロールオキ
シダーゼ320 uとカタラーゼ130 kuを添加し、(最終反
応液量:10 ml)、pHを9付近に保ったまま、5℃で48
時間反応した。その結果、グリコールアルデヒドとグリ
オキザールの生成量は0.832 M、0.013 Mであり、アルカ
リ域で作用させると、エチレングリコールの80%以上が
酸化されてもグリオキザールの生成量は、グリコールア
ルデヒドの約2%以下であった。
【0054】実施例9 ピチア属由来のアルコールオキシダーゼ223 uを常法に
よりCNBr-セファロース(湿重量1g)に固定し、カラム
に充填した。このカラムに130 kuのカタラーゼ(ベーリ
ンガーマンハイム社製品、牛肝臓由来)を含有する5M
エチレングリコール溶液20 ml〔0.2 M TES緩衝液(pH7.
0)〕を循環させ4日間反応した。その結果165 mM のグ
リコールアルデヒドが生成され、グリオキザールの生成
は認められなかった。
【0055】実施例10 ピチア属由来のアルコールオキシダーゼ1060 uを常法に
よりCNBr-セファロース(乾燥重量1.15 g)に固定し、4
mlのカラムに充填した。このカラムに1,300kuのカタラ
ーゼ(ベーリンガーマンハイム社製品、牛肝臓由来)を
含有する2Mエチレングリコール溶液〔0.5 M トリス塩
酸緩衝液(pH9.0)〕50 mlを循環させ5℃で20日間反応
した。その結果570 mM のグリコールアルデヒドが生成
され、グリオキザールの生成濃度は13.8 mMであった。
【0056】
【発明の効果】本発明は、エチレングリコールを酸化
し、グリコールアルデヒドを生成する能力を有する酸化
還元酵素又は該酸化還元酵素を含有する微生物を用いて
グリコールアルデヒドを生化学的に製造するものであ
り、これにより、グリコールアルデヒドを温和な条件下
で、且つ、わずかな副産物の生成で製造できる利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】グリコールアルデヒド、グリオキザール及びグ
リオキシル酸の各誘導体−1(実線で示される。)及び
誘導体−2(破線で示される。)の吸光度曲線を示すも
のである。尚、図中の番号の1は水を、2は15 mMグリ
オキザールを、3はグリオキシル酸を、4はグリコール
アルデヒドをそれぞれ使用した場合を示す。
【図2】グリオキシル酸、グリオキザール各誘導体−1
(波長380 nmで測定され、実線で示される。)及びグリ
コールアルデヒド、グリオキシル酸の各誘導体−2(波
長610 nmで測定され、破線で示される。)のそれぞれの
検量曲線を示すものである。尚、図中白丸はグリオキシ
ル酸、黒丸はグリオキザール、そして白四角はグリコー
ルアルデヒドをそれぞれ示す。
【図3】各種誘導体の逆相液体クロマトグラフ図であ
る。図中のピーク1及び2は、グリオキシル酸及びグリ
オキザールの各誘導体−1(波長380 nmで測定)を示す
ものであり、ピーク3及び4はグリコールアルデヒド及
びグリオキシル酸の各誘導−2(波長を610 nmで測定)
をそれぞれ示すものである。
【図4】実験例5におけるグリコールアルデヒドのグリ
オキザールに対する生成比と基質エチレングリコール濃
度との関係を示すものである。
【図5】実験例6におけるグリコールアルデヒドのグリ
オキザールに対する生成比と基質エチレングリコール濃
度との関係を示すものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 7/26 C12R 1:78) (C12P 7/26 C12R 1:66) (C12P 7/26 C12R 1:80) (C12P 7/26 C12R 1:38) (C12P 7/26 C12R 1:02)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エチレングリコールにエチレングリコール
    を酸化し、グリコールアルデヒドを生成する能力を有す
    る酸化還元酵素又は該酸化還元酵素を含有する微生物を
    作用させることによって、エチレングリコールをグリコ
    ールアルデヒドに変換せしめ、これを採取することを特
    徴とするグリコールアルデヒドの生化学的製造法。
  2. 【請求項2】エチレングリコールを酸化し、グリコール
    アルデヒドを生成する能力を有する酸化還元酵素が脱水
    素酵素であるところの請求項1記載のグリコールアルデ
    ヒドの生化学的製造法。
  3. 【請求項3】エチレングリコールを酸化し、グリコール
    アルデヒドを生成する能力を有する酸化還元酵素が酸化
    酵素であるところの請求項1記載のグリコールアルデヒ
    ドの生化学的製造法。
  4. 【請求項4】微生物がピチア属、カンジダ属、ハンセヌ
    ラ属、アスペルギルス属、ペニシリウム属、ノイロスポ
    ラ属、シュードモナス属、アセトバクター属、クルイベ
    ロマイセス属のうちのいずれかに属する菌株であるとこ
    ろの請求項1記載のグリコールアルデヒドの生化学的製
    造法。
  5. 【請求項5】エチレングリコールを酸化し、グリコール
    アルデヒドを生成する能力を有する酸化酵素がアルコー
    ルオキシダーゼ又はグリセロールオキシダーゼであると
    ころの請求項3記載のグリコールアルデヒドの生化学的
    製造法。
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