JPH0887951A - 電子放射物質層を有する陰極を備えた電子管 - Google Patents

電子放射物質層を有する陰極を備えた電子管

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JPH0887951A
JPH0887951A JP22204394A JP22204394A JPH0887951A JP H0887951 A JPH0887951 A JP H0887951A JP 22204394 A JP22204394 A JP 22204394A JP 22204394 A JP22204394 A JP 22204394A JP H0887951 A JPH0887951 A JP H0887951A
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electron
material layer
emitting material
cathode
earth metal
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Hisafumi Komiya
寿文 小宮
Yukio Koizumi
幸生 小泉
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な設備を用い、電子放射物質層15の電
気抵抗を低下させ、電子放射物質層15と基体金属14
との間の中間層の生成を抑制可能な電子放射物質層を有
する陰極を備えた電子管を提供する。 【構成】 ニッケル(Ni)を主成分とする基体金属1
4の表面に電子放射物質層15を有する陰極を備えた電
子管において、電子放射物質層15は、共沈法により、
アルカリ土類金属酸化物、即ち、バリウム(Ba)、カ
ルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)の酸化物
(Ba、Ca、Sr)Oの粒子17の表面に、0.00
1乃至5重量%の希土類金属酸化物、即ち、酸化スカン
ジウム(Sc2 3 )薄膜18を分散被着させたもので
構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子放射物質層を有す
る陰極を備えた電子管に係わり、特に、陰極が長時間に
わたり高電流密度状態であっても、安定した電子放射機
能を維持させることが可能な電子放射物質層を有する陰
極を備えた電子管に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、カラー受像管やデータ表示管等
の表示用電子管においては、情報の多様化や情報の高密
度化に伴い、表示面に表示される画像の高精細化が要望
されている。このような要望を満たすためには、表示用
電子管に用いられる陰極が、高電流密度状態においても
長時間にわたって安定した電子放射特性を維持できるも
のでなければならない。
【0003】ところで、アルカリ土類金属炭酸塩からな
る電子放射物質層を備えた酸化物陰極においては、酸化
物陰極の電流密度は基体金属と電子放射物質層との間に
生成される中間層と電子放射物質層の電気抵抗とによっ
て限定されることが知られている。そこで、アルカリ土
類金属炭酸塩の粒子に酸化スカンジウム(Sc2 3
を被覆させ、アルカリ土類金属炭酸塩の粒子表面に形成
された酸化スカンジウム薄膜によって電子放射物質層の
電気抵抗を減少させるとともに、酸化物陰極の動作中の
生成される中間層を抑圧し、高電流密度を長時間維持で
きるようにした酸化物陰極が幾つか提案されており、そ
の中の1つに、特開平4−38398号に開示の手段が
ある。
【0004】図4は、この特開平4−38398号に開
示の酸化物陰極の構成を示す拡大断面構成図である。
【0005】図4において、21は有底円筒状の基体金
属、22は希土類金属を含んだ電子放射物質層、23は
ヒーターである。
【0006】かかる構成を有する酸化物陰極は、次のよ
うな過程を経て製作される。
【0007】始めに、バリウム(Ba)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)の硝酸塩(Ba、C
a、Sr)NO3 から、アンモン法またはソーダ法を用
い、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロン
チウム(Sr)の3元炭酸塩(Ba、Ca、Sr)CO
3 の粒子を生成する。
【0008】次に、このバリウム(Ba)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)の3元炭酸塩(B
a、Ca、Sr)CO3 の粒子の表面に、スパッタ法ま
たは電子ビーム蒸着法を用い、約0.1μmの厚さの酸
化スカンジウム(Sc2 3 )薄膜33を形成させる。
このとき、酸化スカンジウム(Sc2 3 )が分解しな
いように、適当な酸素分圧の雰囲気に保つ。
【0009】続いて、酸化スカンジウム(Sc2 3
薄膜を形成したバリウム(Ba)、カルシウム(C
a)、ストロンチウム(Sr)の3元炭酸塩(Ba、C
a、Sr)CO3 の粒子をニトロセルロース等のバイン
ダー材料と混合し、懸濁液を形成する。
【0010】さらに、吹き付け法または電着法を用い、
この懸濁液を基体金属21の頂面に約100μmの厚さ
に付着させ、電子放射物質層22を形成させる。
【0011】次に、酸化物陰極を電子管内に組み込んだ
後の真空排気工程において、電子放射物質層22をヒー
ター23により加熱し、バリウム(Ba)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)の3元炭酸塩(B
a、Ca、Sr)CO3 の粒子を、バリウム(Ba)、
カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)の酸化物
(Ba、Ca、Sr)Oの粒子に変換し、所要の酸化物
陰極が完成される。
【0012】かかる構成の酸化物陰極は、電子放射物質
層22と基体金属21との界面部分、及び、バリウム
(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(S
r)の酸化物(Ba、Ca、Sr)Oの粒子の間の部分
にそれぞれ一定の酸化スカンジウム(Sc2 3 )が平
均して存在しているため、電子放射物質層22の電気抵
抗が小さくなるとともに、動作中に電子放射物質層22
と基体金属21との間の中間層の生成が抑制され、高電
流密度状態の動作を長時間にわたって持続させることが
可能になる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前記既知の酸化物陰極
においては、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、
ストロンチウム(Sr)の酸化物(Ba、Ca、Sr)
Oの粒子の表面に、スカンジウム(Sc2 3 )薄膜が
均一に形成されるため、電子放射物質層22の電気抵抗
をバラツキなく低減させ、電子放射物質層22と基体金
属21との間の中間層の生成を充分に抑制することが可
能になる。
【0014】しかしながら、このようなスカンジウム
(Sc2 3 )薄膜の形成には、スパッタ法または電子
ビーム蒸着法を行うための設備と、酸化スカンジウム
(Sc23 )が分解しないように、適当な酸素分圧を
持った雰囲気に保持させるための大規模な設備とを必要
にするという問題がある。
【0015】本発明は、かかる問題点を除去するもの
で、その目的は、簡単な設備を用い、電子放射物質層の
電気抵抗を低下させ、電子放射物質層と基体金属との間
の中間層の生成を抑制可能な電子放射物質層を有する陰
極を備えた電子管を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、基体金属の表面に電子放射物質層を有す
る陰極を備えた電子管において、前記電子放射物質層
は、共沈法により、アルカリ土類金属酸化物の表面に
0.001乃至5重量%の希土類金属酸化物を分散被着
させたものからなっている第1の手段を備える。
【0017】また、前記目的を達成するために、本発明
は、基体金属の表面に電子放射物質層を有する陰極を備
えた電子管において、前記電子放射物質層は、基体金属
側に設けられたアルカリ土類金属酸化物からなる第1層
と、共沈法により、前記アルカリ土類金属酸化物の表面
に0.001乃至5重量%の希土類金属酸化物を分散被
着させた前記第1層の上に設けられた第2層の2層構造
からなっている第2の手段を備える。
【0018】
【作用】前記第1の手段及び第2の手段の電子放射物質
層を形成させる場合に、まず、アルカリ土類金属炭酸塩
の粒子と希土類金属酸化物の微粒子とを共沈させ、アル
カリ土類金属炭酸塩の粒子の表面に、希土類金属酸化物
の微粒子を満遍なく付着させて希土類金属酸化物の被覆
を形成させる。次に、希土類金属酸化物の被覆を形成し
たアルカリ土類金属炭酸塩の粒子をバインダー材料内に
混合させ、懸濁液を生成させる。続いて、この懸濁液を
所定の方法、例えば、スプレー法によって基体金属の頂
面に所定の厚さになるように付着させ、電子放射物質層
を形成させる。最後に、この電子放射物質層を加熱し、
アルカリ土類金属炭酸塩の粒子をアルカリ土類金属酸化
物の粒子に変換させ、電子放射物質層を完成させる。
【0019】このようなプロセスにしたがって形成され
た電子放射物質層は、アルカリ土類金属酸化物の表面に
希土類金属酸化物の微粒子が均一に付着した状態にあ
る、即ち、アルカリ土類金属酸化物の表面に希土類金属
酸化物の被膜が形成された状態にあるので、電子放射物
質層の電気抵抗を低減させ、電子放射物質層と基体金属
との間の中間層の生成を充分に抑制することが可能にな
り、陰極の高電流密度の動作を長時間にわたって持続さ
せることができる。
【0020】また、この電子放射物質層は、共沈法によ
りアルカリ土類金属酸化物の表面に希土類金属酸化物の
被膜を形成させるようにしているので、大規模な設備や
特殊な設備を設ける必要がなく、低コストで前述のよう
な特性を持った陰極を製造することが可能になる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に
説明する。
【0022】図1は、本発明の電子放射物質層を有する
陰極を備えたカラー陰極線管の構成の一例を示す概略断
面構成図である。
【0023】図1において、1はパネル部、2はファン
ネル部、3はネック部、4は螢光面、5はシャドウマス
ク、6は磁気シールド、7は偏向ヨーク、8はピュリテ
イ調整用マグネット、9はセンタービームスタティック
コンバーゼンス調整用マグネット、10はサイドビーム
スタティックコンバーゼンス調整用マグネット、11は
電子銃、12は電子ビームである。
【0024】そして、カラー陰極線管を構成するガラス
管体は、前側に配置されたパネル部1と、電子銃11を
収納しているネック部3と、パネル部1及びネック部3
の中間に配置されたファンネル部2とからなっている。
パネル部1は、その内面に螢光面4が配置形成され、こ
の螢光面4に対向してシャドウマスク5が配置される。
パネル部1とファンネル部2の結合部分の内側に磁気シ
ールド6が配置され、ファンネル部2とネック部3の結
合部分の外側に偏向ヨーク7が設けられる。ネック部3
の外側に、ピュリテイ調整用マグネット8、センタービ
ームスタティックコンバーゼンス調整用マグネット9、
サイドビームスタティックコンバーゼンス調整用マグネ
ット10が並設配置され、電子銃11から放射された3
本の電子ビーム12(図1では1本だけが示されてい
る)は、偏向ヨーク7で所定方向に偏向された後、シャ
ドウマスク5を通して螢光面4における対応する画素に
到達するように構成されている。
【0025】前記構成によるカラー陰極線管における動
作、即ち、画像表示動作は、既知のカラー陰極線管にお
ける画像表示動作と全く同じであるので、このカラー陰
極線管における画像表示動作については、その説明を省
略する。
【0026】続く、図2は、図1に図示のカラー陰極線
管に用いられる電子放射物質層を有する陰極の第1の実
施例を示す拡大断面構成図である。
【0027】図2において、13は高融点金属からなる
筒状の金属スリーブ、14はニッケル(Ni)を主成分
とする帽状の基体金属、15は電子放射物質層、16は
タングステン線からなり、表面に絶縁被膜が設けられて
いるヒーター、17はバリウム(Ba)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)の酸化物(Ba、C
a、Sr)Oからなるアルカリ土類金属酸化物粒子、1
8はアルカリ土類金属酸化物粒子17の表面に形成され
た希土類金属の酸化スカンジウム(Sc2 3 )薄膜で
ある。
【0028】そして、筒状の金属スリーブ13は、一端
部に帽状の基体金属14の開口部が嵌合され、内部にヒ
ーター16が収納される。帽状の基体金属14の頂面に
は所定の厚さの電子放射物質層15が付着形成される。
この電子放射物質層15は、表面に酸化スカンジウム
(Sc2 3 )薄膜18が被覆された多くのアルカリ土
類金属酸化物粒子17によって構成されている。
【0029】前記構成を有する電子放射物質層15の製
造プロセスは、例えば、次のようなものである。
【0030】始めに、硝酸バリウム(BaNO3 )を5
4重量%、硝酸ストロンチウム(SrNO3 )を39重
量%、硝酸カルシウム(CaNO3 )を6.9重量%を
蒸留水に浸して溶解させ、これら3種の硝酸化物の混合
溶液を生成する。
【0031】次に、この混合溶液に炭酸ナトリウム(N
2 NO3 )を添加し、炭酸塩の結晶核を形成させる。
この炭酸塩の結晶核の形成と同時に、前記混合溶液に、
硝酸スカンジウム(ScNO3 )0.1重量%を蒸留水
に溶解した溶液を加え、バリウム(Ba)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)とともにスカンジウ
ム(Sc)を炭酸塩として共沈させ、粒子の表面だけに
スカンジウム(Sc)を含有させたバリウム(Ba)、
カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)の炭酸塩
(Ba、Ca、Sr)CO3 の粒子粉末を形成させる。
【0032】続いて、表面にスカンジウム(Sc)を含
有させたバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、スト
ロンチウム(Sr)の炭酸塩(Ba、Ca、Sr)CO
3 の粒子粉末に、ニトロセルロースラッカと酢酸ブチル
を加えてローリング混合し、懸濁液を調整作成する。
【0033】次いで、この懸濁液を、スプレー法により
ニッケル(Ni)を主成分とする基体金属14の頂面に
約70μmの厚さになるように塗布し、電子放射物質層
15を形成させる。
【0034】その後、この電子放射物質層15は、陰極
が電子管、本実施例の場合はカラー陰極線管のネック部
3に組み込み封止された後の真空排気工程においてヒー
ター(図示なし)によって加熱され、表面にスカンジウ
ム(Sc)を含有させたバリウム(Ba)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)の炭酸塩(Ba、C
a、Sr)CO3 の各粒子は、同じく、表面にスカンジ
ウム(Sc)を含有させたバリウム(Ba)、カルシウ
ム(Ca)、ストロンチウム(Sr)の酸化物(Ba、
Ca、Sr)Oの粒子17に変換される。
【0035】この場合、本実施例による電子放射物質層
15を有する陰極は、基体金属14と電子放射物質層1
5との界面、及び、バリウム(Ba)、カルシウム(C
a)、ストロンチウム(Sr)の酸化物(Ba、Ca、
Sr)Oの各粒子17間に、それぞれ、一定量の酸化ス
カンジウム(Sc2 3 )が均一に存在するようになっ
ている、即ち、バリウム(Ba)、カルシウム(C
a)、ストロンチウム(Sr)の酸化物(Ba、Ca、
Sr)Oの各粒子17に、酸化スカンジウム(Sc2
3 )薄膜18が形成されたものと等価になり、既知の電
子放射物質層と同等またはそれ以上に電子放射物質層1
5の電気抵抗を小さくすることができるばかりか、陰極
の動作中の中間層の生成を抑制することができ、高電流
密度の動作状態を長時間にわたって持続させることが可
能な陰極を持ったカラー陰極線管を得ることができる。
【0036】次に、図3は、図1に図示のカラー陰極線
管に用いられる電子放射物質層を有する陰極の第2の実
施例を示す拡大断面構成図である。
【0037】図3において、15Aは電子放射物質層1
5の第1層、15Bは電子放射物質層15の第2層であ
り、その他、図2に図示された構成要素と同じ構成要素
には同じ符号を付けている。
【0038】ここで、電子放射物質層15の第1層15
Aは、既知の陰極における電子放射物質層を同様に、ア
ルカリ土類金属酸化物粒子によって構成されているもの
で、基体金属14に接するように設けられている。ま
た、電子放射物質層15の第2層15Bは、表面に酸化
スカンジウム(Sc2 3 )薄膜18が被覆された多く
のアルカリ土類金属酸化物粒子17によって構成されて
いるもので、電子放射物質層15の第1層15Aの上側
に設けられている。
【0039】前記構成を有する電子放射物質層15の第
1層15A及び第2層15Bの製造プロセスは、例え
ば、次のようなものである。
【0040】始めに、硝酸バリウム(BaNO3 )を5
4重量%、硝酸ストロンチウム(SrNO3 )を39重
量%、硝酸カルシウム(CaNO3 )を6.9重量%を
蒸留水に浸して溶解させ、これら3種の硝酸化物の混合
溶液を生成する。
【0041】次に、この混合溶液に炭酸ナトリウム(N
2 NO3 )を添加し、炭酸塩の結晶核を形成させて、
バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウ
ム(Sr)の炭酸塩(Ba、Ca、Sr)CO3 の粒子
粉末を形成させる。
【0042】続いて、このバリウム(Ba)、カルシウ
ム(Ca)、ストロンチウム(Sr)の炭酸塩(Ba、
Ca、Sr)CO3 の粒子粉末に、ニトロセルロースラ
ッカと酢酸ブチルを加えてローリング混合し、第1の懸
濁液を調整作成する。
【0043】この第1の懸濁液の調整作成と並行して、
第1の実施例と同様の第2の懸濁液を調整作成するもの
で、この第2の懸濁液は、始めに、硝酸バリウム(Ba
NO3 )を54重量%、硝酸ストロンチウム(SrNO
3 )を39重量%、硝酸カルシウム(CaNO3 )を
6.9重量%を蒸留水に浸して溶解させ、これら3種の
硝酸化物の混合溶液を生成する。
【0044】次に、この混合溶液に炭酸ナトリウム(N
2 NO3 )を添加し、炭酸塩の結晶核を形成させる。
この炭酸塩の結晶核の形成と同時に、前記混合溶液に、
硝酸スカンジウム(ScNO3 )0.1重量%を蒸留水
に溶解した溶液を加え、バリウム(Ba)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)とともにスカンジウ
ム(Sc)を炭酸塩として共沈させ、粒子の表面だけに
スカンジウム(Sc)を含有させたバリウム(Ba)、
カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)の炭酸塩
(Ba、Ca、Sr)CO3 の粒子粉末を形成させる。
【0045】続いて、表面にスカンジウム(Sc)を含
有させたバリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、スト
ロンチウム(Sr)の炭酸塩(Ba、Ca、Sr)CO
3 の粒子粉末に、ニトロセルロースラッカと酢酸ブチル
を加えてローリング混合し、第2の懸濁液を調整作成す
る。
【0046】これら第1及び第2の懸濁液が調整作成さ
れた後、まず、第1の懸濁液をスプレー法によりニッケ
ル(Ni)を主成分とする基体金属14の頂面に約30
μmの厚さになるように塗布し、電子放射物質層15の
第1層15Aを形成させる。
【0047】続いて、第2の懸濁液をスプレー法により
既に形成されている電子放射物質層15の第1層15A
の上側に約40μmの厚さになるように塗布し、電子放
射物質層15の第2層15Bを形成させる。
【0048】その後は、第1の実施例における電子放射
物質層15の処理と同じであって、電子放射物質層15
の第1層15A及び電子放射物質層15の第2層15B
の2層構造からなる電子放射物質層15は、陰極が電子
管、本実施例の場合はカラー陰極線管のネック部3に組
み込み封止された後の真空排気工程においてヒーター
(図示なし)によって加熱され、バリウム(Ba)、カ
ルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)の炭酸塩
(Ba、Ca、Sr)CO3 の各粒子は、バリウム(B
a)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)の
酸化物(Ba、Ca、Sr)Oの粒子に変換され、ま
た、表面にスカンジウム(Sc)を含有させたバリウム
(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(S
r)の炭酸塩(Ba、Ca、Sr)CO3 の各粒子は、
同じく、表面にスカンジウム(Sc)を含有させたバリ
ウム(Ba)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム
(Sr)の酸化物(Ba、Ca、Sr)Oの粒子17に
変換される。
【0049】本実施例による2層構造の電子放射物質層
15を有する陰極も、電子放射物質層15の第2層15
B側においては、バリウム(Ba)、カルシウム(C
a)、ストロンチウム(Sr)の酸化物(Ba、Ca、
Sr)Oの各粒子17間に、それぞれ、一定量の酸化ス
カンジウム(Sc2 3 )が均一に存在するようになっ
ている、即ち、バリウム(Ba)、カルシウム(C
a)、ストロンチウム(Sr)の酸化物(Ba、Ca、
Sr)Oの各粒子17に、酸化スカンジウム(Sc2
3 )薄膜18が形成されたものと等価になり、既知の電
子放射物質層と同等またはそれ以上に電子放射物質層1
5の第2層15Bの電気抵抗を小さくすることができ
る。
【0050】また、本実施例による2層構造の電子放射
物質層15を有する陰極は、第1の実施例の電子放射物
質層15に比べれば、やや劣るものの、陰極の動作中の
中間層の生成を抑制することができるものである。
【0051】したがって、本実施例においても、高電流
密度の動作状態を長時間にわたって持続させることが可
能な陰極を持ったカラー陰極線管を得ることができる。
【0052】これまでの第1の実施例及び第2の実施例
においては、希土類金属酸化物として、酸化スカンジウ
ム(Sc2 3 )を用いている例を挙げて説明してきた
が、本発明に用いられる希土類金属酸化物は、酸化スカ
ンジウム(Sc2 3 )に限られるものではなく、他の
希土類金属酸化物、即ち、酸化イットリウム(Y
2 3 )や酸化セリウム(Ce2 3 )を用いても、ほ
ぼ同様の機能を達成させることが可能である。
【0053】また、第1の実施例及び第2の実施例にお
いて、使用される希土類金属酸化物の量が余り少ない
と、所要の機能を達成させることができず、一方、使用
される希土類金属酸化物の量が多すぎると、本来の電子
放射物質層15の機能の障害になることから、アルカリ
土類金属酸化物の表面に分散被着させる希土類金属酸化
物の量は、0.001乃至5重量%の範囲内にする。
【0054】さらに、第1の実施例及び第2の実施例に
おいては、電子管としてカラー陰極線管管を用いた例を
挙げて説明したが、本発明による電子管は、カラー陰極
線管に限られるものではなく、他の電子管にも同様に適
用することができる。
【0055】この他にも、第1の実施例で挙げた懸濁液
の組成、及び、第2の実施例で挙げた第1及び第2の懸
濁液の組成は、それぞれ好ましい組成の例ではあるけれ
ども、本発明に用いられる各懸濁液の組成は、各実施例
に例示の組成のものに限られず、その組成の性質を変更
させない限り、任意の組成のものを用いることができる
ことは勿論である。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子放射物質層は、アルカリ土類金属酸化物の各粒子の
表面に希土類金属酸化物の微粒子が均一に付着した状態
にある、即ち、アルカリ土類金属酸化物の各粒子の表面
に希土類金属酸化物の被膜が形成された状態にあるの
で、電子放射物質層の電気抵抗を低減させ、電子放射物
質層と基体金属との間の中間層の生成を充分に抑制する
ことが可能になり、陰極の高電流密度の動作を長時間に
わたって持続させることができるという効果がある。
【0057】また、この電子放射物質層は、共沈法によ
りアルカリ土類金属酸化物の各粒子の表面に希土類金属
酸化物の被膜を形成させるようにしたので、大規模な設
備や特殊な設備を設ける必要がなく、低コストで前述の
特性を有する陰極を製造することができるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放射物質層を有する陰極を備えた
カラー陰極線管の構成の一例を示す概略断面構成図であ
る。
【図2】図1に図示のカラー陰極線管に用いられる電子
放射物質層を有する陰極の第1の実施例を示す拡大断面
構成図である。
【図3】図1に図示のカラー陰極線管に用いられる電子
放射物質層を有する陰極の第2の実施例を示す拡大断面
構成図である。
【図4】既知の酸化物陰極の構成の一例を示す拡大断面
構成図である。
【符号の説明】 1 パネル部 2 ファンネル部 3 ネック部 4 螢光面 5 シャドウマスク 6 磁気シールド 7 偏向ヨーク 8 ピュリテイ調整用マグネット 9 センタービームスタティックコンバーゼンス調整用
マグネット 10 サイドビームスタティックコンバーゼンス調整用
マグネット 11 電子銃 12 電子ビーム 13 筒状の金属スリーブ 14 帽状の基体金属 15 電子放射物質層 15A 電子放射物質層15の第1層 15B 電子放射物質層15の第2層 16 ヒーター 17 アルカリ土類金属酸化物粒子 18 酸化スカンジウム(Sc2 3 )薄膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体金属の表面に電子放射物質層を有す
    る陰極を備えた電子管において、前記電子放射物質層
    は、共沈法により、アルカリ土類金属酸化物の表面に
    0.001乃至5重量%の希土類金属酸化物を分散被着
    させたものからなっていることを特徴とする電子放射物
    質層を有する陰極を備えた電子管。
  2. 【請求項2】 基体金属の表面に電子放射物質層を有す
    る陰極を備えた電子管において、前記電子放射物質層
    は、基体金属側に設けられたアルカリ土類金属酸化物か
    らなる第1層と、共沈法により、前記アルカリ土類金属
    酸化物の表面に0.001乃至5重量%の希土類金属酸
    化物を分散被着させた前記第1層の上に設けられた第2
    層の2層構造からなっていることを特徴とする電子放射
    物質層を有する陰極を備えた電子管。
  3. 【請求項3】 前記希土類金属は、スカンジウム(S
    c)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)の中の少
    なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至2の
    いずれかに記載の電子放射物質層を有する陰極を備えた
    電子管。
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