JPH09279454A - 生分解性短繊維不織布およびその製造方法 - Google Patents

生分解性短繊維不織布およびその製造方法

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JPH09279454A
JPH09279454A JP8092107A JP9210796A JPH09279454A JP H09279454 A JPH09279454 A JP H09279454A JP 8092107 A JP8092107 A JP 8092107A JP 9210796 A JP9210796 A JP 9210796A JP H09279454 A JPH09279454 A JP H09279454A
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melting point
point component
fiber
low
short fiber
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JP8092107A
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Koichi Nagaoka
孝一 長岡
Shigetaka Nishimura
重孝 西村
Keiko Sakota
恵子 迫田
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性能が制御可能であるとともに、紡出
糸条の冷却性および可紡性、延伸性に優れ、かつ熱接着
機能を有する生分解性短繊維不織布を提供する。 【解決手段】 生分解性脂肪族ポリエステルからなる高
融点成分1と低融点成分2とが繊維横断面において、低
融点成分2が芯部を形成し、高融点成分1が前記低融点
成分2の円周方向に独立した突起部を複数形成し、しか
も低融点成分2は高融点成分1によって分断されること
なく連続しており、かつ高融点成分1および低融点成分
2がともに繊維軸方向に連続するとともに繊維表面にお
いて交互に露出するように複合繊維を溶融複合紡糸し、
次いで延伸し、得られた延伸糸条に機械捲縮を付与した
後に所定長に切断して短繊維となし、この短繊維をカー
ディングすることにより短繊維ウエブを形成し、この短
繊維ウエブを所定の形態に保持させて、生分解性短繊維
不織布を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制御可能な生分解
性能を有するとともに、製造の際にも良好な製糸性を保
持する生分解性短繊維不織布およびその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、生分解性不織布としては、例
えば乾式法あるいは溶液浸漬法により得られるビスコー
ス短繊維不織布、湿式法により得られるキュプラレーヨ
ン長繊維不織布やビスコースレーヨン長繊維不織布、キ
チンやコラーゲンのような天然物の化学繊維からなる不
織布、コットンからなるスパンレース不織布等が知られ
ている。しかしながら、これらの生分解性不織布は機械
的強度が低くかつ親水性であるため吸水・湿潤の時の機
械的強度の低下が著しい。さらに、これらの不織布は非
熱可塑性であることから、熱成形性を有さず加工性に劣
るものであった。
【0003】このような問題を解決する生分解性不織布
としては、特開平5−93318号公報または特開平5
−195407号公報に生分解性を有する熱可塑性重合
体を用いた不織布が開示されている。しかし、これらに
おいては、紡出糸条の冷却性および可紡性、延伸性に劣
り、しかも熱圧接工程等において全融タイプとなるので
得られた不織布の機械的特性および柔軟性に劣るもので
あった。
【0004】生分解性不織布の製造工程においてこのよ
うな問題が生じるのは、一般的に生分解性を有する重合
体の融点および結晶化温度が低く、しかも結晶化速度が
遅いことに起因する。すなわち、紡糸口金より吐出され
た紡出糸条の冷却、捲取工程において、糸条間に密着が
発生し、均整度に劣る未延伸糸しか得ることができず、
続く延伸工程で糸切れが発生したり、延伸が可能であっ
ても機械的特性に劣る短繊維しか得ることができないこ
ととなる。そして、延いてはこのような短繊維からなる
不織布は機械的特性および地合いに劣るものとなる。
【0005】また、従来の生分解性短繊維においては、
一般にその繊維横断面は単一型、単一中空型あるいは芯
鞘複合型であり、構成する一成分のみが繊維の全表面を
被覆している。従って、融点および結晶化温度の比較的
高い生分解性重合体を用いて紡出糸条の冷却性および可
紡性、延伸性を重視すると、得られる不織布の分解性能
に劣ることとなり、逆に、融点および結晶化温度の比較
的低い生分解重合体を用いて生分解性能を重視すると、
紡出糸条の冷却性および可紡性、延伸性に劣る結果とな
る。しかも、従来の方法では、生分解性能の制御は、適
用する重合体の種類および繊度、複合比および繊維の配
向度などを変更することにより幾分かは可能ではある
が、微妙な制御は不可能であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解決するもので、生分解性能が制御可能であると
ともに、製造の際の紡出糸条の冷却性および可紡性、延
伸性に優れ、かつ熱接着機能を有する生分解性短繊維不
織布およびその製造方法を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく、鋭意検討の結果本発明に至った。すなわ
ち、本発明は以下の構成を要旨とするものである。 (1)生分解性を有する第1の脂肪族ポリエステルから
なる高融点成分とこの高融点成分よりも融点の低い生分
解性を有する第2の脂肪族ポリエステルからなる低融点
成分とから形成される複合短繊維からなり、この複合短
繊維の繊維横断面において、低融点成分が芯部を形成
し、高融点成分が前記低融点成分の円周方向に独立した
突起部を複数形成し、しかも低融点成分は高融点成分に
よって分断されることなく連続しており、かつ高融点成
分および低融点成分がともに繊維軸方向に連続するとと
もに繊維表面において交互に露出していることを特徴と
する生分解性短繊維不織布。 (2)生分解性を有する第1の脂肪族ポリエステルから
なる高融点成分とこの高融点成分よりも融点の低い生分
解性を有する第2の脂肪族ポリエステルからなる低融点
成分とを用いて、繊維横断面において、低融点成分が芯
部を形成し、高融点成分が前記低融点成分の円周方向に
独立した突起部を複数形成し、しかも低融点成分は高融
点成分によって分断されることなく連続しており、かつ
高融点成分および低融点成分がともに繊維軸方向に連続
するとともに繊維表面において交互に露出するように複
合繊維を溶融複合紡糸し、次いで延伸し、得られた延伸
糸条に機械捲縮を付与した後に所定長に切断して短繊維
となし、この短繊維をカーディングすることにより短繊
維ウエブを形成し、この短繊維ウエブを所定の形態に保
持させることを特徴とする生分解性短繊維不織布の製造
方法。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、本発明の生分解性短繊維不
織布を構成する短繊維について説明する。本発明におい
て適用される短繊維は、生分解性を有する第1の脂肪族
ポリエステルからなる高融点成分とこの高融点成分より
も融点の低い生分解性を有する第2の脂肪族ポリエステ
ルからなる低融点成分とから形成される複合短繊維であ
る。
【0009】高融点成分および低融点成分を構成する第
1および第2の生分解性脂肪族ポリエステルとしては、
例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α
−ヒドロキシ酸)またはこれらを構成する繰り返し単位
要素による共重合体が挙げられる。また、ポリ(ε−カ
プロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のよう
なポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)が、さらに、
ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒド
ロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロエー
ト、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−
ヒドロキシオクタノエートのようなポリ(β−ヒドロキ
シアルカノエート)およびこれらを構成する繰り返し単
位要素とポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−
ヒドロキシブチレートを構成する繰り返し単位要素との
共重合体が挙げられる。また、ジオールとジカルボン酸
の縮重合体からなるものとして、例えば、ポリエチレン
オキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレ
ンアジペート、ポリエチレンアゼテート、ポリブチレン
オキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレ
ンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメ
チレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレートまた
はこれらを構成する繰り返し単位要素による共重合体が
挙げられる。また、以上の脂肪族ポリエステルを複数ブ
レンドして用いることもできる。以上の脂肪族ポリエス
テルのなかでは、製糸性および生分解性能の観点から、
ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート
ならびにポリブチレンアジペートが特に好ましく、さら
に特にはブチレンサクシネートを主繰り返し単位として
これにエチレンサクシネートあるいはブチレンアジペー
トを共重合せしめた共重合ポリエステルが好適である。
本発明においては、以上の脂肪族ポリエステルの中から
選択された2種の重合体のうち、融点が高い方の重合体
を高融点成分とし、融点が低い方の重合体を低融点成分
とする。
【0010】ところで、脂肪族ポリエステルは一般に、
融点が高い程、紡出糸条の冷却性および可紡性、延伸性
には優れるものの、結晶化度が高いため生分解性能には
劣り、逆に、融点が低い程、紡出糸条の冷却性および可
紡性、延伸性には劣るものの、結晶化度が低いため生分
解性能には優れる。例えば、繊維横断面が比較的融点の
高い高融点成分単相の場合には、製糸性および不織布化
には優れるものの、目標とする生分解性能を得ることが
できない。一方、繊維横断面が比較的融点の低い低融点
成分単相の場合には、溶融紡糸に際し紡出糸条の冷却性
に劣り不織布を得ることができない。
【0011】本発明によれば、後述のように、繊維横断
面において、紡出糸条の冷却性および可紡性、延伸性に
は劣るが生分解性能に優れる低融点成分で芯部を形成
し、生分解性能には劣るが冷却性および可紡性、延伸性
に優れる高融点成分で前記低融点成分の円周方向に独立
した突起部を複数形成することにより、紡出糸条の冷却
性および可紡性、延伸性と生分解性能とのいずれにも優
れる不織布を得ることができるのである。
【0012】従って、本発明においては、高融点成分と
低融点成分との融点差を5℃以上とすることが好まし
く、さらに好ましくは10℃以上とするのが良い。高融
点成分と低融点成分との融点差が5℃未満であると、繊
維横断面が単相の場合のような全融タイプに近づくた
め、後述の繊維横断面とすることにより紡出糸条の冷却
性および可紡性、延伸性と生分解性能とのいずれをも満
足させるという本発明の効果を発揮することができな
い。
【0013】このことから、高融点成分として、ポリブ
チレンサクシネートを用い、低融点成分として、ブチレ
ンサクシネートの共重合量比が70〜90モル%となる
ようにブチレンサクシネートにエチレンサクシネートあ
るいはブチレンアジペートを共重合せしめた共重合ポリ
エステルを用いることが好ましい。ブチレンサクシネー
トの共重合量比が70モル%未満であると、生分解性能
には優れるものの、紡出糸条の冷却性および可紡性、延
伸性に劣り、目的とする短繊維が得られないこととな
る。逆に、90モル%を超えると、紡出糸条の冷却性お
よび可紡性、延伸性には優れるものの、生分解性能に劣
り本発明の目的とするものではない。
【0014】なお、本発明において、高融点成分および
低融点成分に適用される前述の脂肪族ポリエステルは、
数平均分子量が約20,000以上、好ましくは40,
000以上、さらに好ましくは60,000以上のもの
が、製糸性および得られる糸条の特性の点で良い。ま
た、重合度を高めるために少量のジイソシアネートやテ
トラカルボン酸二無水物などで鎖延長したものでも良
い。
【0015】また、本発明においては、前述の高融点成
分および低融点成分の両方またはいずれか一方に、必要
に応じて、例えば艶消し剤、顔料、光安定剤、酸化防止
剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加することが
できる。
【0016】特に、本発明において適用される短繊維に
おいては、その構成成分のうちの少なくとも低融点成分
中に結晶核剤が添加されていることが好ましい。結晶核
剤を添加することにより、溶融紡出後に固化しにくい低
結晶性の重合体であっても、紡出糸条間に密着が発生す
るのを防止することができる。
【0017】ここで、結晶核剤としては、粉末状の無機
物で、かつ溶融液に溶解したりするものでなければ特に
制限をうけないが、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタ
ン、窒化ホウ素、シリカゲル、酸化マグネシウムなどが
通常用いられ、これらの中でも特に、タルクまたは酸化
チタンまたはこれらの混合物が好適に用いられる。
【0018】また、結晶核剤は、高融点成分中への結晶
核剤の添加量をQA (重量%)とし、低融点成分中への
結晶核剤の添加量をQB (重量%)としたときに、
(1)式および(2)式を満足するように添加されてい
ることが好ましい。 [(ΔTA +ΔTB)/100]−2 /3 ≦QA +QB ≦[(ΔTA +ΔTB)/100]+4 …(1) QA ≦QB …(2) 但し、ΔTA =高融点成分の融点−高融点成分の結晶化
温度≧35 ΔTB =低融点成分の融点−低融点成分の結晶化温度≧
35 結晶核剤の全添加量QA +QB (重量%)が(1)式で
定義された上限を超えると、紡出糸条の冷却効果は高い
ものの、製糸性が低下するとともに得られた短繊維ひい
ては不織布の機械的性能が劣り好ましくない。逆に、結
晶核剤の全添加量QA +QB (重量%)が(1)式で定
義された下限より低くなると、紡出糸条の冷却性が低下
して紡出糸条間に密着が発生し、目標とする不織布を得
ることが困難となる。また、高融点成分中への結晶核剤
の添加量QA (重量%)が、低融点成分中への結晶核剤
の添加量QB (重量%)よりも多くなると、高融点成分
の冷却性はさらに向上するが、低融点成分の冷却性が低
くなり、これによって紡出糸条間に密着が発生しやすく
なるため好ましくない。
【0019】ところで、(1)式において、ΔTは各成
分の融点と結晶化温度との差であるが、製糸工程におい
ては、このΔTが小さいほうが紡出糸条の冷却性は向上
する。本発明の重合体において、ΔTは通常35以上と
大きくなるが、結晶核剤を添加することにより効果的に
紡出糸条の冷却を促進することができるのである。
【0020】また、本発明において、高融点成分および
低融点成分の粘度は特に限定しないが、高融点成分の粘
度が低融点成分の粘度より高い方が好ましい。これは、
一般に熱可塑性樹脂の複合紡糸においては低粘度成分が
高粘度成分を被覆しようとする力が働くことに起因す
る。すなわち、本発明においては、高融点成分を高粘度
にすることにより円周方向において高融点成分にて形成
される突起部を独立させやすく、延いては異形度を上
げ、冷却性を向上させるのにも好適となる。
【0021】従って、本発明で適用する重合体のメルト
フローレート値(以降、MFR値と記す)は、高融点成
分が5〜50g/10分であり、低融点成分が10〜7
0g/10分であることが好ましい。但し、本発明にお
けるMFR値は、ASTM−D−1238(E)記載の
方法に準じて測定したものである。高融点成分のMFR
値が5g/10分未満および/または低融点成分のMF
R値が10g/10分未満であると、あまりにも高粘度
であるため、紡出糸条の細化がスムーズに行われず操業
性を損なう結果となり、しかも得られる繊維は太繊度で
均斉度に劣るものとなる。逆に、高融点成分のMFR値
が50g/10分および/または低融点成分のMFR値
が70g/10分を超えると、あまりにも低粘度である
ため、複合断面が不安定となるばかりか、紡糸工程にお
いて糸切れが発生し操業性を損なうとともに、得られる
不織布の機械的特性が劣る結果となる。これらの理由に
より、高融点成分のMFR値は10〜45g/10分、
低融点成分のMFR値は15〜65g/10分であるこ
とがさらに好ましい。
【0022】本発明において適用される短繊維は、多葉
型複合断面を有するものでなければならない。ここで、
多葉型複合断面とは、例えば図1に示すように、繊維横
断面において、低融点成分2が芯部を形成し、高融点成
分1が前記低融点成分2の円周方向に独立した突起部を
複数形成し、しかも低融点成分2は高融点成分1によっ
て分断されることなく連続しており、かつ高融点成分1
および低融点成分2がともに繊維軸方向に連続するとと
もに繊維表面において交互に露出している断面をいう。
多葉型複合断面においては、高融点成分1が芯部を形成
する低融点成分2の円周方向に個々に独立した突起部を
複数形成していること、すなわち低融点成分2が高融点
成分1によって分断されることなく連続していること
は、優れた生分解性能を維持させるのに必要である。た
とえば、高融点成分1が円周方向に独立せずに結合した
状態(いわゆる異形芯鞘型複合断面)では、高融点成分
1が分解した後に芯部の低融点成分2が分解し始めるの
であるから、不織布としての生分解性能には劣る結果と
なるのである。また、高融点成分1および低融点成分2
のいずれもが繊維軸方向に連続することは、繊維横断面
の安定性、製糸性および繊維の機械的特性を向上させる
ために必要である。さらに、高融点成分1および低融点
成分2が繊維表面において交互に露出していることは、
紡出糸条の冷却性および可紡性、延伸性、さらに生分解
性能の促進、制御のために必要である。
【0023】本発明においては、このような多葉型複合
断面を有する短繊維を適用することにより、たとえば低
融点成分2が紡出糸条の冷却性および可紡性、延伸性に
劣る重合体であっても、突起部に配設する高融点成分1
により糸条間の凝集が防止され紡出糸条の冷却性および
可紡性、延伸性を向上させることができる。また、高融
点成分1が生分解性能に劣る重合体であっても、芯部に
配設された低融点成分2の生分解性能が優れるため、経
時的に高融点成分1が小片として取り残された状態とな
る。そして、この小片の繊度は極めて細いことから、不
織布としての生分解性能には優れる結果となるのであ
る。
【0024】本発明に適用される複合短繊維の繊維横断
面において、個々に独立した高融点成分のセグメントの
配設形態は、前記の繊維横断面形状を満足するものであ
れば制限はないが、高融点成分の各セグメントが繊維横
断面の外周上に各々等間隔に位置していることが好まし
い。高融点成分の各セグメントが繊維横断面の外周上に
各々片寄りをもって位置する場合においては、紡糸工程
において紡出糸条がニーリングを発生するとともに、後
述する部分的熱圧接にて短繊維ウエブの形態を保持する
場合には繊維同士が絡合しにくく、高融点成分と低融点
成分との接着点が均一に付与できず、不織布の強力にム
ラが生じやすくなる。さらに、高融点成分の各セグメン
トは、全て同じ割合で低融点成分のなかに埋没するよう
に配設されていることが好ましい。高融点成分の各セグ
メントが各々異なる割合で低融点成分のなかに埋没する
ような場合においては、後述する部分的熱圧接にて短繊
維ウエブの形態を保持する際に繊維同士が絡合しにく
く、高融点成分と低融点成分との接着点が均一に付与で
きないため、不織布の強力にムラが生じやすくなる。ま
た、高融点成分の各セグメントがどのような割合で低融
点成分のなかに埋没するように配設されているかについ
ては、たとえば、図2に示すように、高融点成分1の各
セグメントの中心3が低融点成分2の円周より外側にあ
るような配設形態、すなわち高融点成分1の円周占有率
が大きい場合から、図3に示すように、高融点成分1の
各セグメントの中心3が低融点成分2の円周より内側に
あるような配設形態、すなわち低融点成分2の円周占有
率が大きい場合まで、任意の形態を適用できるが、少な
くとも、高融点成分1の各セグメントが製糸・製反工程
において剥離しない程度に低融点成分2と重なり合って
いること、ならびに低融点成分2が内部に埋没した高融
点成分1によって分断されていないことが必要である。
繊維横断面形状の安定性、熱圧接により不織布化する場
合の繊維同士の絡合しやすさを考慮すると、たとえば、
図1に示すように、高融点成分1の各セグメントの中心
3が低融点成分2の円周上にあるような配設形態が良
い。
【0025】本発明に適用される複合短繊維は、高融点
成分/低融点成分の複合比が1/3〜3/1(重量比)
であることが好ましい。複合比がこの範囲を外れると紡
出糸条の冷却性および可紡性、延伸性と生分解性能とを
併せて満足することができず、さらに、繊維横断面形状
の不安定さを誘発するため好ましくない。例えば、高融
点成分/低融点成分の複合比が1/3を超えると、生分
解性能には優れるものの、紡出糸条の冷却性および可紡
性、延伸性には劣る結果となる。逆に、高融点成分/低
融点成分の複合比が3/1を超えると、紡出糸条の冷却
性および可紡性、延伸性には優れるものの、生分解性能
には劣る結果となる。さらに例えば、高融点成分が生分
解性能に劣る重合体であれば、低融点成分の複合比を上
げることにより生分解速度を促進させることができる。
この理由により、さらに好ましくは1/2.5〜2.5
/1(重量比)が良い。
【0026】本発明に適用される複合短繊維は、繊維横
断面において高融点成分の突起部数の合計が4以上であ
ることが好ましい。高融点成分の突起部数の合計が4未
満であると、紡出糸条の冷却性および可紡性、延伸性に
劣ることとなる。すなわち、本発明においては、高融点
成分の円周方向に占める割合が大きいほど、紡出糸条の
冷却性および可紡性、延伸性には優れる結果となる。従
って、突起部数の合計が4未満であると、低融点成分の
円周占有率が大きくなるため冷却性および可紡性、延伸
性に劣ることとなるのである。これを回避するために、
高融点成分の複合比を上げると、個々に独立した高融点
成分の各セグメント繊度、すなわち繊維横断面において
高融点成分が占める最小構成単位部分の繊度が大きくな
るのであるから、必然的に不織布の生分解性能には劣る
こととなる。一方、高融点成分の突起部数の合計があま
りにも多すぎると、高融点成分の各セグメントを個々に
独立させることが困難となる。従って、これらの理由に
より、高融点成分の突起部数の合計は、さらに好ましく
は5〜10であるのが良い。
【0027】本発明に適用される複合短繊維において
は、高融点成分の個々に独立した各セグメント繊度が
0.05〜2デニールであることが好ましい。高融点成
分の各セグメント繊度が0.05デニール未満である
と、生産量の低下および繊維横断面形状の不安定化等の
理由により好ましくない。逆に、高融点成分の各セグメ
ント繊度が2デニールを超えると、紡出糸条の冷却性お
よび可紡性、延伸性に劣るとともに生分解性能にも劣る
結果となる。これらの理由により、高融点成分の各セグ
メント繊度は、さらに好ましくは0.1〜1デニールで
あるのが良い。
【0028】また、高融点成分の各セグメント繊度と同
様に、高融点成分と低融点成分とから構成される複合短
繊維の単糸繊度が1.5〜10デニールであることが好
ましい。1.5デニール未満であると、紡糸口金の複雑
化、製糸工程における糸切れの増大、生産量の低下およ
び繊維横断面形状の不安定さなどを招くため好ましくな
い。逆に、10デニールを超えると紡出糸条の冷却性に
劣るとともに生分解性能にも劣る結果となる。この理由
により、さらに好ましくは2〜8デニールが良い。
【0029】以上のように、本発明は、生分解性能を異
にする高融点成分および低融点成分で構成された多葉型
複合短繊維よりなる不織布であって、高融点成分の突起
部数、高融点成分の各セグメント繊度、各成分の単糸繊
度などを組み合わせることにより、要求する紡出糸条の
冷却性および可紡性、延伸性が得られ、さらに生分解性
能を制御することができるのである。
【0030】次に、本発明の生分解性短繊維不織布の製
造方法について説明する。まず、通常の複合紡糸装置お
よび延伸装置を用いて、本発明の生分解性を有する多葉
型複合繊維を製造する。すなわち、前述の生分解性を有
する高融点成分と低融点成分とを溶融して個別計量し、
これを前述の多葉型複合断面となる紡糸口金を介して紡
出し、紡出糸条を通常の冷却装置を用いて冷却する。次
いで、引き取りロールにて未延伸糸として捲き取り、こ
の未延伸糸を周速の異なる延伸ロール間で所定の延伸倍
率で延伸を行う。ここで、延伸工程における延伸ロール
個数および延伸温度は適宜選択すれば良い。たとえば、
太繊度を延伸する場合には延伸ロール個数を多くし、さ
らに熱延伸することも必要である。次いで、得られた延
伸糸にスタッファーボックスにて捲縮を付与した後、所
定長に切断して短繊維を得ることができる。なお、上述
したのは、二工程法であるが、一工程法、即ち未延伸糸
を一旦捲き取ることなく連続して延伸するいわゆるスピ
ンドロー法で短繊維を得ることもできる。
【0031】また、本発明においては、前述のように、
用いる重合体の中に結晶核剤を添加することが好まし
い。これにより、溶融紡糸の際に紡出糸条の冷却性を向
上させることができるのである。結晶核剤の添加は重合
工程あるいは溶融工程で行うが、その際、得られる糸の
機械的性能および均斉度を向上させるため、できる限り
均一分散させておくことが好ましい。
【0032】次いで、得られた短繊維をカード機により
カーデイングして所定目付の短繊維ウエブを作成する。
このウエブは、構成繊維の配列度合いによって、カード
機の進行方向に配列したパラレルウエブ、パラレルウエ
ブがクロスレイドされたウエブ、ランダムに配列したラ
ンダムウエブあるいは両者の中程度に配列したセミラン
ダムウエブのいずれであっても良い。特に、衣料用途に
用いられるものには不織布としての強力において、縦/
横強力比が概ね1/1となるカードウエブを使用するこ
とが好ましい。
【0033】そして、作成された短繊維ウエブに低融点
成分の融点以下の温度による部分的な熱圧接処理または
三次元的交絡処理を施すことによって、短繊維ウエブに
所定の形態を保持させ、本発明の生分解性短繊維不織布
を得ることができるのである。
【0034】部分的な熱圧接処理により短繊維ウエブの
形態を保持させる場合、加熱されたエンボスロールと表
面が平滑な金属ロールとを用いて長繊維間に点状融着区
域を形成する方法、あるいは超音波融着装置を用いパタ
ーンロール上で超音波による高周波を印加してパターン
部の短繊維間に点状融着区域を形成する方法が採用され
る。ここで、部分的な熱圧接とは、構成繊維間におい
て、高融点成分と低融点成分とが熱圧接されることでウ
エブの形態を保持し、少なくとも高融点成分同士は融着
されず構成繊維同士の完全融着を防止し得るような熱圧
接をいい、このような部分的熱圧接とすることにより、
所定の不織布形態を保持しつつ生分解性能および柔軟性
を発揮させることができる。
【0035】加熱されたエンボスロールを用いる場合、
ロールの表面温度すなわち加工温度は低融点成分の融点
以下の温度としなければならない。低融点成分の融点を
超えると、熱圧接装置に重合体が固着し操業性を著しく
損なうばかりか、不織布の風合いが硬くなり柔軟な不織
布が得られない。さらに好ましくは、加工温度は、低融
点成分の融点を(Tm)℃としたとき、(Tm−25)
℃〜(Tm)℃の範囲にあることが良い。
【0036】超音波融着装置を用いる場合、周波数が約
20kHzの通常ホーンと呼称される超音波発振器と、
円周上に点状または帯状に凸状突起部を具備するパター
ンロールとからなる装置が採用される。前記超音波発振
器の下部に前記パターンロールが配設され、短繊維ウエ
ブを超音波発振器とパターンロールとの間に通すことに
より部分的に熱融着することができる。このパターンロ
ールに配設される凸状突起部1列あるいは複数列であっ
てもよく、また、その配設が複数列の場合には、並列あ
るいは千鳥型のいずれの配列でも良い。
【0037】なお、部分的な熱圧接処理は、連続工程あ
るいは別工程のいずれで行っても良い。また、熱圧接処
理については、前述の加熱されたエンボスロールあるい
は超音波融着装置のいずれを選択しても良いが、不織布
の使用用途に応じ、特に柔軟性が要求される医療・衛生
材料や拭き取り布などの一般生活関連材としては、超音
波融着装置を用いると、優れた性能を有する不織布を得
ることができる。
【0038】一方、本発明において短繊維ウエブを三次
元的交絡処理により不織布化する場合、加圧柱水流ある
いはニードルを用いた公知の方法を適用することができ
る。なお、三次元的交絡処理による場合加熱することが
ないため、より柔軟性に優れた不織布が得られることと
なる。
【0039】
【実施例】次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明
するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定さ
れるものではない。
【0040】実施例において、各物性値の測定を次の方
法により実施した。
【0041】・メルトフローレート値(g/10分);
ASTM−D−1238(E)に記載の方法に準じて温
度190℃で測定した。(以降、MFR値と記す)
【0042】・融点(℃);パーキンエルマ社製示差走
査型熱量計DSC−2型を用い、試料重量を5mg、昇
温速度を20℃/分として測定して得た融解吸熱曲線の
極値を与える温度を融点(℃)とした。
【0043】・結晶化温度(℃);パーキンエルマ社製
示差走査型熱量計DSC−2型を用い、試料重量を5m
g、降温速度を20℃/分として測定して得た固化発熱
曲線の極値を与える温度を結晶化温度(℃)とした。
【0044】・目付け(g/m2 );標準状態の試料か
ら試料長が10cm、試料幅が10cmの試料片10点
を作成し平衡水分にした後、各試料片の重量(g)を秤
量し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、
目付け(g/m2 )とした。
【0045】・冷却性;紡出糸条を目視して下記の4段
階にて評価した。 ◎;密着糸が認められない。 ○;密着糸がわずかではあるが認められる。 △;密着糸があり、繊維が一部集束している。 ×;大部分が密着している。
【0046】・可紡性; ○;糸切れが発生せず、紡糸操業性が良好である。 ×;糸切れが多発し、紡糸操業性が不良である。
【0047】・延伸性; ○;延伸毛羽が発生せず、延伸操業性が良好である。 ×;延伸毛羽が多発し、延伸が不可能である。
【0048】・強力(kg/2.5cm幅);JIS−
L−1096Aに記載の方法に準じて測定した。すなわ
ち、試料長が10cm、試料幅が2.5cmの試料片1
0点を作成し、試料片毎に不織布の縦方向について、定
速伸張型引張り試験機(東洋ボールドウイン社製テンシ
ロンUTM−4−1−100)を用いて、引張り速度1
0cm/分で伸張し、得られた切断時荷重値の平均値を
強力(kg/2.5cm幅)とした。
【0049】・生分解性能;不織布を土中に埋設し、6
ヶ月後に取り出し、不織布がその形態を保持していない
場合、あるいは、その形態を保持していても強力が埋設
前の強力初期値に対して50%以下に低下している場
合、生分解性能が良好(;○)であるとし、強力が埋設
前の強力初期値に対して50%を超える場合、生分解性
能が不良(;×)であると評価した。
【0050】実施例1 高融点成分成分として、MFR値が20g/10分で融
点114℃、結晶化温度75℃のポリブチレンサクシネ
ートを、低融点成分成分として、MFR値が30g/1
0分で融点99℃、結晶化温度49℃のブチレンサクシ
ネート/エチレンサクシネート=85/15モル%の共
重合体を用いて、多葉型複合短繊維よりなる短繊維不織
布を製造した。すなわち、前記高融点成分と低融点成分
とを個別のエクストルーダ型溶融押出し機を用いて、温
度180℃で溶融し、繊維横断面が図1(高融点成分突
起部数合計6)の多葉型複合断面となる紡糸口金を用
い、単孔吐出量が1.30g/分、複合比が高融点成分
/低融点成分=1/1(重量比)の条件下にて溶融紡出
した。この紡出糸条を冷却装置にて冷却した後で油剤を
付与し、速度が800m/分の引き取りロールを介して
未延伸糸を得た。得られた未延伸糸糸条を複数本引き揃
え、公知の延伸機にて延伸倍率3.8にて延伸し、次い
で、スタッファーボックスにて15個/インチの捲縮を
付与した後、51mmに切断し、単糸繊度4.0デニー
ル(高融点成分セグメント繊度=0.33d、低融点成
分セグメント繊度=2.0d)の短繊維を得た。
【0051】次いで、この短繊維をパラレルカード機に
供給してカードウエブを作成した。得られた短繊維ウエ
ブをエンボスロールからなる熱圧接装置にて熱圧接して
目付けが30g/m2 の生分解性短繊維不織布を得た。
熱圧接条件としては、面積が0.6mm2 の彫刻模様で
圧接点密度が20点/cm2 、圧接面積率が15%で配
設されたエンボスロールと表面が平滑な金属ロールとを
用い、加工温度を95℃とした。操業性および不織布物
性、生分解性能を表1に示す。
【0052】実施例2 低融点成分成分として、MFR値が30g/10分で融
点92℃、結晶化温度20℃のブチレンサクシネート/
エチレンサクシネート=70/30モル%の共重合体を
用い、紡糸温度を160℃とし、熱圧接時の加工温度を
85℃としたこと以外は実施例1と同様にして、多葉型
複合短繊維よりなる短繊維不織布を製造した。操業性お
よび不織布物性、生分解性能を表1に示す。
【0053】実施例3 低融点成分成分として、MFR値が30g/10分で融
点108℃、結晶化温度54℃のブチレンサクシネート
/エチレンサクシネート=90/10モル%の共重合体
を用い、熱圧接時の加工温度を100℃としたこと以外
は実施例1と同様にして、多葉型複合短繊維よりなる短
繊維不織布を製造した。操業性および不織布物性、生分
解性能を表1に示す。
【0054】実施例4 低融点成分成分として、MFR値が30g/10分で融
点94℃、結晶化温度48℃のブチレンサクシネート/
ブチレンアジペート=80/20モル%の共重合体を用
い、これに伴い、紡糸温度を170℃とし、単孔吐出量
を1.16g/分とし、延伸倍率3.4倍にて延伸し、
熱圧接時の加工温度を87℃としたこと以外は実施例1
と同様にして、多葉型複合短繊維よりなる短繊維不織布
を製造した。操業性および不織布物性、生分解性能を表
1に示す。
【0055】実施例5 高融点成分および低融点成分に結晶核剤を添加したこと
および延伸倍率を3.7倍としたこと以外は実施例1と
同様にして、多葉型複合短繊維よりなる短繊維不織布を
製造した。すなわち、結晶核剤として、平均粒径が1.
0μmのタルク/酸化チタン=1/1(重量比)を20
重量%含有させたマスターバッチを高融点成分重合体お
よび低融点成分重合体ベースであらかじめ作成し、この
マスターバッチとそれに対応する重合体とをそれぞれブ
レンドして、高融点成分に添加する結晶核剤が0.2重
量%、低融点成分に添加する結晶核剤が1.0重量%と
なるようにして原料とした。操業性および不織布物性、
生分解性能を表1に示す。
【0056】実施例6 高融点成分と低融点成分との複合比を高融点成分/低融
点成分=1/2(重量比)とし、これに伴い、単孔吐出
量を0.42g/分とし、延伸倍率3.3倍にて延伸
し、38mmに切断したこと以外は実施例1と同様にし
て、多葉型複合短繊維よりなる短繊維不織布を製造し
た。操業性および不織布物性、生分解性能を表1に示
す。
【0057】実施例7 高融点成分と低融点成分との複合比を高融点成分/低融
点成分=3/1(重量比)とし、これに伴い、単孔吐出
量を3.75g/分とし、延伸倍率4.4倍にて延伸
し、101mmに切断したこと以外は実施例1と同様に
して、多葉型複合短繊維よりなる短繊維不織布を製造し
た。操業性および不織布物性、生分解性能を表1に示
す。
【0058】実施例8 短繊維の繊維横断面における高融点成分の突起部数の合
計数が4である多葉型複合断面となる紡糸口金を用い、
これに伴い、単孔吐出量を1.28g/分とし、延伸倍
率3.8倍にて延伸したこと以外は実施例1と同様にし
て短繊維不織布を得た。操業性および不織布物性、生分
解性能を表1に示す。
【0059】実施例9 短繊維の繊維横断面における高融点成分の突起部数の合
計数が10である多葉型複合断面となる紡糸口金を用
い、これに伴い、単孔吐出量を1.23g/分とし、延
伸倍率3.6倍にて延伸したこと以外は実施例1と同様
にして短繊維不織布を得た。操業性および不織布物性、
生分解性能を表1に示す。
【0060】実施例10 延伸工程を一段延伸としたこと以外は実施例1と同様に
して、多葉型複合短繊維よりなる短繊維不織布を製造し
た。すなわち、実施例1と同一の高融点成分および低融
点成分を用い、同様の条件にて溶融紡出した。この紡出
糸条を冷却装置にて冷却した後で油剤を付与し、速度が
800m/分のロールと速度が3200m/分の延伸ロ
ール間で、延伸倍率4.0にて延伸を行い延伸糸を得
た。この延伸糸糸条を複数本引き揃え、スタッファーボ
ックスにて15個/インチの捲縮を付与した後、51m
mに切断し、単糸繊度4.0デニール(高融点成分セグ
メント繊度=0.33d、低融点成分セグメント繊度=
2.0d)の短繊維を得た。そして、この短繊維を実施
例1と同様にして短繊維不織布とした。操業性および不
織布物性、生分解性能を表2に示す。
【0061】実施例11 実施例1と同様にして得た短繊維カードウエブを、超音
波融着装置にて部分的に熱圧接して目付けが30g/m
2 の生分解性短繊維不織布を得た。超音波融着条件とし
ては、面積が0.6mm2 の彫刻模様で圧接点密度が2
0点/cm2 、圧接面積率15%で配設されたロ−ルを
用い、周波数を19.7kHzとした。操業性および不
織布物性、生分解性能を表2に示す。
【0062】実施例12 実施例1と同様にして得た短繊維カードウエブに三次元
的交絡処理を施して目付けが30g/m2 の生分解性短
繊維不織布を得た。すなわち、得られた短繊維ウエブを
移動速度20m/分で移動する70メッシュの金網上に
載置して加圧液体流処理を施した。加圧液体流処理は、
孔径0.12mmの噴射孔が孔間隔0.6mmで一列に
配された加圧液体流処理装置を用い、短繊維ウエブの上
方50mmの位置から2段階に分けて柱状水流を作用さ
せた。第一段階の処理では、圧力を30kg/cm2
とし、第二段階の処理では圧力を70kg/cm2 Gと
した。なお、第二段階の処理は、まずウエブの表側から
4回施した後にウエブを反転し、裏側から4回施した。
次いで、得られた不織布からマングルロールを用いて過
剰水分を除去した後、熱風乾燥機を用いて温度90℃の
条件で乾燥を行い、繊維が緻密に三次元交絡した生分解
性短繊維不織布を得た。操業性および不織布物性、生分
解性能を表2に示す。
【0063】比較例1 実施例1と同様の高融点成分を用いた単相型短繊維より
なる短繊維不織布を製造した。すなわち、実施例1と同
一の高融点成分をエクストルーダ型溶融押出し機を用い
て、温度180℃で溶融し、通常の単相型断面となる紡
糸口金を用い、単孔吐出量が1.26g/分の条件下に
て溶融紡出した。この紡出糸条を冷却装置にて冷却した
後で油剤を付与し、速度が800m/分の引き取りロー
ルを介して未延伸糸を得た。得られた未延伸糸糸条を複
数本引き揃え、公知の延伸機にて延伸倍率3.7倍にて
延伸し、次いで、スタッファーボックスにて15個/イ
ンチの捲縮を付与した後、51mmに切断し、単糸繊度
4.0デニールの短繊維を得た。この短繊維を実施例1
と同様にしてカードウエブとなし、熱圧接装置にてエン
ボスロール温度107℃で熱圧接して目付けが30g/
2 の生分解性短繊維不織布を得た。操業性および不織
布物性、生分解性能を表2に示す。
【0064】比較例2 実施例2と同様の低融点成分を用いた単相型短繊維より
なる短繊維不織布を試みた。すなわち、実施例2と同様
の低融点成分をエクストルーダ型押出し機を用いて、温
度170℃で溶融し、通常の単相型断面となる紡糸口金
を用い、単孔吐出量が1.33g/分の条件下にて溶融
紡出した。この紡出糸条を冷却装置にて冷却した後で油
剤を付与し、速度が800m/分の引き取りロールを介
して未延伸糸を得たが、得られた未延伸糸は糸条間で密
着していたため、単相型紡出糸条を得ることができなか
った。操業性を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】実施例1〜実施例9は、本発明の多葉型複
合短繊維からなる短繊維不織布であるので、紡出糸条の
冷却性および可紡性、延伸性に優れ、かつ得られた不織
布は機械的性能にも優れるものであった。また、この不
織布を6ケ月間土中に埋設し、その後に掘り起こして観
察したところ不織布としての形態を保持しておらず、良
好な生分解性を有することが認められた。
【0067】
【表2】
【0068】実施例10は、一工程にて紡出糸条の延伸
を行ったが、延伸性にも問題なく良好であり、かつ、得
られた不織布の機械的性能および生分解性能にも優れる
ものであった。
【0069】実施例11は、短繊維ウエブの不織布化を
超音波融着処理にて行っているので、得られた不織布は
実施例1よりも柔軟性に優れたものであった。実施例1
2は、短繊維ウエブの不織布化を加圧液体流による三次
元的交絡処理にて行っているので、得られた不織布は実
施例1よりも柔軟性に優れたものであった。
【0070】比較例1および比較例2は、本発明の範囲
外である単相型断面からなる。このため、比較例1は、
引張強力が低く、生分解性能に劣るものであった。ま
た、比較例2は、紡糸で密着するため、短繊維を得るこ
とができなかった。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、生分解性能が制御可能
であるとともに不織布の地合いおよび機械的特性、紡出
糸条の冷却性および可紡性、延伸性に優れ、かつ熱接着
機能を有する生分解性短繊維不織布およびその製造方法
を提供することができる。
【0072】本発明の不織布は、おむつや生理用品など
の医療・衛生材料素材、使い捨ておしぼりやワイピング
クロスなどの拭き取り布、使い捨て包装材、家庭・業務
用の生ごみ捕集用袋その他廃棄物処理材などの生活関連
用素材、あるいは、農業・園芸・土木用に代表される産
業用資材の各素材として好適である。しかもこの不織布
は、生分解性を有するので、その使用後に完全に分解消
失するため、自然環境保護の観点からも有益であり、あ
るいは、例えば堆肥化して肥料とするなど再利用を図る
こともできるため資源の再利用の観点からも有益であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多葉型複合短繊維の繊維横断面のモデ
ル図である。
【図2】本発明の多葉型複合短繊維の他の繊維横断面の
モデル図である。
【図3】本発明の多葉型複合短繊維の他の繊維横断面の
モデル図である。
【符号の説明】
1 高融点成分 2 低融点成分 3 中心

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生分解性を有する第1の脂肪族ポリエス
    テルからなる高融点成分とこの高融点成分よりも融点の
    低い生分解性を有する第2の脂肪族ポリエステルからな
    る低融点成分とから形成される複合短繊維からなり、こ
    の複合短繊維の繊維横断面において、低融点成分が芯部
    を形成し、高融点成分が前記低融点成分の円周方向に独
    立した突起部を複数形成し、しかも低融点成分は高融点
    成分によって分断されることなく連続しており、かつ高
    融点成分および低融点成分がともに繊維軸方向に連続す
    るとともに繊維表面において交互に露出していることを
    特徴とする生分解性短繊維不織布。
  2. 【請求項2】 高融点成分が、ポリブチレンサクシネー
    トであり、低融点成分が、ブチレンサクシネートの共重
    合量比が70〜90モル%となるようにブチレンサクシ
    ネートにエチレンサクシネートあるいはブチレンアジペ
    ートを共重合せしめた共重合ポリエステルであることを
    特徴とする請求項1に記載の生分解性短繊維不織布。
  3. 【請求項3】 低融点成分および高融点成分のうち、少
    なくとも低融点成分に中に結晶核剤が添加されているこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の生分解性短繊維
    不織布。
  4. 【請求項4】 高融点成分/低融点成分の複合比が1/
    3〜3/1(重量比)であることを特徴とする請求項1
    から3までのいずれか1項に記載の生分解性短繊維不織
    布。
  5. 【請求項5】 高融点成分の突起部数の合計が4以上で
    あり、かつ高融点成分の個々に独立した各セグメント繊
    度が0.05〜2デニールであり、かつ高融点成分およ
    び低融点成分から構成された単糸繊度が1.5〜10デ
    ニールであることを特徴とする請求項1から4までのい
    ずれか1項に記載の生分解性短繊維不織布。
  6. 【請求項6】 生分解性を有する第1の脂肪族ポリエス
    テルからなる高融点成分とこの高融点成分よりも融点の
    低い生分解性を有する第2の脂肪族ポリエステルからな
    る低融点成分とを用いて、繊維横断面において、低融点
    成分が芯部を形成し、高融点成分が前記低融点成分の円
    周方向に独立した突起部を複数形成し、しかも低融点成
    分は高融点成分によって分断されることなく連続してお
    り、かつ高融点成分および低融点成分がともに繊維軸方
    向に連続するとともに繊維表面において交互に露出する
    ように複合繊維を溶融複合紡糸し、次いで延伸し、得ら
    れた延伸糸条に機械捲縮を付与した後に所定長に切断し
    て短繊維となし、この短繊維をカーディングすることに
    より短繊維ウエブを形成し、この短繊維ウエブを所定の
    形態に保持させることを特徴とする生分解性短繊維不織
    布の製造方法。
  7. 【請求項7】 短繊維ウエブに、低融点成分の融点以下
    の温度で部分的な熱圧接処理を施して、所定の形態を保
    持させることを特徴とする請求項6記載の生分解性短繊
    維不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 短繊維ウエブに、超音波融着処理を施し
    て、所定の形態を保持させることを特徴とする請求項6
    記載の生分解性短繊維不織布の製造方法。
  9. 【請求項9】 短繊維ウエブに、三次元的交絡処理を施
    して、所定の形態を保持させることを特徴とする請求項
    6記載の生分解性短繊維不織布の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10293458B2 (en) 2013-09-25 2019-05-21 3M Innovative Properties Company Composite ceramic abrasive polishing solution

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