JPH09279A - フェノール誘導体の製造方法 - Google Patents

フェノール誘導体の製造方法

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JPH09279A
JPH09279A JP15333195A JP15333195A JPH09279A JP H09279 A JPH09279 A JP H09279A JP 15333195 A JP15333195 A JP 15333195A JP 15333195 A JP15333195 A JP 15333195A JP H09279 A JPH09279 A JP H09279A
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phenol derivative
reaction
solvent
producing
phenol
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JP15333195A
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English (en)
Inventor
Takashi Senba
尚 仙波
Masaharu Mukoyama
正治 向山
Toshimi Komatsuzaki
聡美 小松崎
Koichi Sakano
公一 阪野
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 副生物を実質的に含まないフェノール誘導体
を高い収率で得られ、フェノール誘導体のみを反応液よ
り取り出し、残った反応液は廃水とせずに、リサイクル
する経済的に有利なフェノール誘導体の製造方法を提供
する。 【構成】 微生物反応を利用したフェノール誘導体の製
造方法において、微生物反応によって生成したフェノー
ル誘導体を含有する反応水溶液から溶媒抽出法によって
フェノール誘導体を回収し、水相をリサイクルすること
を特徴とする、フェノール誘導体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フェノール誘導体の製
造方法に関するものである。さらに詳しく述べると、本
発明は、微生物反応によるフェノール誘導体の製造にお
いて、目的とするフェノール誘導体を反応液より取り出
し、残った反応液は廃水として出さずに、リサイクルす
ることを特徴とするフェノール誘導体の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】フェノール誘導体は、フェノールをはじ
めとしてo−、m−及びp−クレゾール、3,5−キシ
レノール、カルバクロール、チモール、α−及びβ−ナ
フトール等の一価フェノール、カテコール、レゾルシン
及びハイドロキノン等の二価フェノール、ピロガロール
及びフロログルシン等の三価フェノール、およびシアノ
フェノール、ヒドロキシフェニルアセトニトリル及びア
セトアミノフェノールなど、多くの化合物の総称であ
る。これらのうち、特に、ハイドロキノンは、写真現像
薬、染料や有機合成の中間体、医薬、酸化や重合防止剤
及び分析用試薬として、さらにはそれらの原料として広
く用いられている工業的に重要な化合物である。
【0003】従来ハイドロキノンの製造方法としては、
クメンをアルキル化してp−ジイソプロピルベンゼンを
得、次いでこれを酸化することによって、ハイドロキノ
ンを得る化学合成法がある。しかしながら、この製造方
法では、アルキル化反応で、多置換体や異性体が生成す
るため、転換率を低く押さえる必要あること、および酸
化反応での転換率が低く、未反応物が多いという問題が
ある。また、この製造方法では、アセトンが副生し、ハ
イドロキノンとアセトンの需要のバランスがとりにくい
などの様々な問題がある。
【0004】このような問題および生化学的な酸化は選
択性が大きく副生物が少ないという長所を考慮して、ハ
イドロキノンを微生物を用いて製造する方法が、特開昭
54−157,895号公報、特開昭57−65,18
7号公報及び特開昭58−47,496号公報などにお
いて提案された。しかしながら、これらの方法は、メタ
ン資化細菌に属するメチロシヌス・トリコスポリウムま
たはメチロコッカス・カプスラツス種のみが用いられて
いる、反応基質が限られている、およびカテコールが副
生する等の欠点を有するものであった。これらの欠点を
考慮して、さらに、特開昭60−210,991号公
報、特開昭60−210,992号公報及び特公昭62
−47,517号公報などにおいて、ベンゼンおよび/
またはフェノールを原料として簡単な工程で、副生物が
実質的にないハイドロキノンの収率の高いプロセスが提
案された。上記方法は、フェノール、カテコールやレゾ
ルシノール等の副生物を実質的に存在させずにハイドロ
キノンを高い収率で得られる方法である。しかしなが
ら、ハイドロキノンを除去した後に残る多量の反応液は
廃水として捨てられており、実際に工業的なレベルでハ
イドロキノンを製造する際にはこのような廃水の処理が
問題となるのは必須であり、経済的にも不利である等の
欠点を有するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、副生物を実質的に含まない純粋なフェノール誘導体
が高い収率で得られ、かつ生成したフェノール誘導体の
みを反応液より取り出し、残った反応液は廃水とせず
に、リサイクルする経済的に有利なフェノール誘導体の
製造方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、微生物によ
る酸化反応を利用した芳香族化合物からフェノール誘導
体の製造方法において、該反応によって生成したフェノ
ール誘導体を含有する反応液から溶媒抽出法によってフ
ェノール誘導体を回収し、フェノール誘導体を回収した
後の水相をリサイクルすることを特徴とする、フェノー
ル誘導体の製造方法によって達成される。
【0007】本発明は、上記溶媒抽出法が、25℃の操
作温度の際のフェノール誘導体の抽出溶剤中への分配係
数が5以上の値を与える溶剤を用いて行われるフェノー
ル誘導体の製造方法を示すものである。本発明はまた、
上記フェノール誘導体がハイドロキノンであるフェノー
ル誘導体の製造方法を示すものである。本発明はさら
に、微生物反応によって生成したフェノール誘導体を含
有する反応液からの溶媒抽出を三級フォスフィンオキサ
イド化合物を必須成分として含む溶剤を用いて行うフェ
ノール誘導体の製造方法を示すものである。
【0008】本発明はさらに、上記微生物がマイコバク
テリウム(Mycobacterium) 属に属する微生物である上記
いずれかに記載のフェノール誘導体の製造方法である。
【0009】
【作用】本発明のフェノール誘導体の製造方法は、微生
物を利用した酸化反応によって生成したフェノール誘導
体を含有する反応液から溶媒抽出法によってフェノール
誘導体を回収し、さらにフェノール誘導体を回収した後
の水相をリサイクルすることを特徴とするものである。
【0010】以下、図面を参照しながら、本発明を詳細
に説明する。
【0011】図1は、本発明のフェノール誘導体の製造
方法の一実施態様の概略を示すフロー図である。図1に
示されるフェノール誘導体の製造方法を以下に説明す
る。肉汁寒天培地に生育させたマイコバクテリウム エ
スピー NS12523株(Mycobacterium sp. NS1252
3) を一白金耳、表1に示される培地組成を有する培地
(以下、A培地と称する)に適当な炭素源を添加した培
地(以下、増殖培地と称する)5mlに接種、培養する
ことによって、種培養液を調製する。次いで、この種培
養液を100mlの上記増殖培地を入れた500ml容
の坂口フラスコに接種し、増殖が定常期に入るまで培養
し、一定量の菌体を含む培養液を調製する。このように
して調製された培養液から遠心分離(1,000〜1
0,000×g、5〜20分)によって菌体を回収し、
菌体を新鮮なA培地100ml及び誘導基質としての脂
肪族系炭化水素等の炭素源を入れた500ml容の坂口
フラスコに接種、培養することによって、フェノール誘
導体の生成活性の高い活性菌体を調製する。培養液を遠
心分離(1,000〜10,000×g、5〜20分)
することによって培養液から活性菌体のみを回収し、必
要であれば、水、緩衝液または生理食塩水等で菌体を洗
浄する。このようにして回収された活性菌体を50mM
リン酸緩衝液(0.02% MgSO4 ・7H2 Oを
含む50mM KH2 PO4 水溶液;pH:7.0)中
に菌体濃度が0.1〜50g湿重量/100ml、好ま
しくは0.5〜20g湿重量/100mlになるように
懸濁する。この菌体懸濁液100mlを500ml容の
フラスコに入れ、基質およびエネルギー源を添加し、2
0〜40℃で往復振盪(50〜300rpm)すること
によってフェノール誘導体の生成反応を行う。所定時間
経過した後、遠心分離(1,000〜10,000×
g、5〜20分)によって菌体を除去した反応液と抽剤
とを混合し、十分攪拌することによってフェノール誘導
体の抽出操作を行った後、静置する。混合液が完全に2
層に分離した後の抽出相を回収し、蒸留によって目的と
するフェノール誘導体を分離する。また、抽出後の抽残
相(水相)は、必要により溶存している抽剤を蒸留によ
って除去した後、基質及びエネルギー源を添加して、上
記と同様にして基質液として用い、菌体を作用させ、フ
ェノール誘導体の生成反応に再使用する。このようにし
て、水相をリサイクルしながら、同様の操作を繰り返
す。
【0012】
【表1】
【0013】本発明において、フェノール誘導体とは、
フェノール、o−、m−及びp−クレゾール、3,5−
キシレノール、カルバクロール、チモール、α−及びβ
−ナフトール等の一価フェノール、カテコール、レゾル
シン及びハイドロキノン等の二価フェノール、ピロガロ
ール及びフロログルシン等の三価フェノール、およびシ
アノフェノール、ヒドロキシフェニルアセトニトリル及
びアセトアミノフェノール等、芳香族性の環に結合する
少なくとも一つの水素原子が水酸基で置換された化合物
を指す。
【0014】本発明において、微生物によるフェノール
誘導体の生成反応に使用される基質としては、芳香族化
合物であれば特に制限されないが、目的とするフェノー
ル誘導体の種類によって異なり、ベンゼン、フェノー
ル、ベンゾニトリル、フェニルアセトニトリル、アセト
アニリド、フェニルアラニン、安息香酸、o−クレゾー
ル、m−クレゾールおよびサリチル酸等が挙げられる。
これらのうち、ベンゼン、フェノール、ベンゾニトリ
ル、フェニルアセトニトリル、アセトアニリド、フェニ
ルアラニン、安息香酸、o−クレゾール、m−クレゾー
ル及びサリチル酸を基質として用いて、それぞれフェノ
ール、ハイドロキノン、シアノフェノール、ヒドロキシ
フェニルアセトニトリル、アセトアミノフェノール、チ
ロシン、p−ヒドロキシ安息香酸、メチルハイドロキノ
ン、メチルハイドロキノン及びゲンチジン酸をフェノー
ル誘導体として生成することが好ましく、特に、フェノ
ールを基質として用いてハイドロキノンをフェノール誘
導体として生成することが好ましい。また、上記基質の
添加濃度は、100〜50,000ppm、好ましくは
500〜30,000ppmである。
【0015】本発明におけるフェノール誘導体の生成反
応をより効率的に行うために、反応液にエネルギー源と
なる物質を添加することが好ましい。該エネルギー源と
は、酸化反応において必要な補酵素であるNADHやN
ADPHを供給するのに利用される物質を示す。
【0016】本発明において、微生物によるフェノール
誘導体の生成反応に使用されるエネルギー源としては、
菌株がその物質を分解して得られるエネルギーで補酵素
であるNADやNADPを還元してそれぞれNADHや
NADPHを生成できるものであれば特に制限されない
が、具体的には、グルコース及びシュークロースなどの
糖類、エタノール、プロパノール及びブタノールなどの
アルコール類、酢酸などの有機酸、およびアセトンやメ
チルエチルケトンなどのケトン類等の炭素源が挙げられ
る。これらのうち、グルコース、エタノール及び酢酸が
微生物によって効率よく分解され、エネルギー源として
使用できるという点で好ましく使用される。なお、変換
反応に用いる基質がフェノール誘導体へ変換されると同
時にその一部分が微生物によって分解、資化されるもの
であれば、菌体はそれによってエネルギーを獲得できう
ると考えられるので、該エネルギー源としての炭素源の
供給は特に必要とされない。また、上記エネルギー源の
添加濃度は、反応基質のモル濃度に対し、0.1〜10
倍、好ましくは0.2〜5倍である。
【0017】本発明におけるモノオキシゲナーゼによる
酸化反応は、分子酸素が酸素供給源として必要である。
従って、菌体懸濁液、基質及びエネルギー源からなる反
応液中に過不足なく酸素を供給する必要がある。反応液
への酸素の供給方法としては、例えば、攪拌、振盪及び
通気攪拌槽における空気または酸素の通気及び攪拌操作
などが挙げられる。通気攪拌または振盪によって酸素を
供給する場合の条件は特に制限されず、用いる装置の大
きさ、形状及び菌体懸濁液の量によって適宜決定され
る。
【0018】また、本発明による微生物によるフェノー
ル誘導体の生成反応は、基質及び生成するフェノール誘
導体の性質に適したpHの範囲内で行われる。本発明に
おいて、上記pHの範囲は、5〜9、好ましくは6〜8
である。これから、本発明において使用できる活性菌体
を懸濁するための緩衝液は上記pHの範囲内に入るもの
であれば使用できるが、代表例としては、リン酸緩衝
液、ジメチルグルタル酸緩衝液及びトリス塩酸緩衝液等
が挙げられる。また、上記した緩衝液以外にも生理食塩
水等の塩類溶液を使用してもよい。さらに、酸化反応系
において、反応の間のpH変化が少ない場合には、あえ
て緩衝液を用いる必要はなく、生理食塩水などの無機塩
水あるいは水を用いることができる。
【0019】本発明において、上記したようにして生成
され、遠心分離により菌体が除去されたフェノール誘導
体を含む反応液からのフェノール誘導体の回収は、反応
液を抽剤と1:0.01〜1:10、好ましくは1:
0.1〜1:1の混合比で混合した後、充分攪拌し、目
的とするフェノール誘導体を溶媒相に移行させ、さらに
溶媒相を蒸留することによって行われる。
【0020】上記回収過程において使用される抽剤は、
フェノール誘導体を含有する反応液から溶媒抽出によっ
てフェノール誘導体を選択的に抽出できる溶媒であれば
特に制限されないが、25℃の操作温度の際のフェノー
ル誘導体の抽出溶剤中への分配係数が5以上、好ましく
は7以上の値を与える溶剤である。本明細書において、
特記しない限り、「分配係数」とは、反応液と抽出溶剤
とを混合し、抽出操作を行った後の、溶媒相中のフェノ
ール誘導体の濃度と水相中のフェノール誘導体の濃度と
の比をいう。本発明において、使用できる抽剤として
は、例えば、トリ−n−ヘキシルフォスフィンオキサイ
ド、トリ−n−ヘプチルフォスフィンオキサイド、トリ
−n−オクチルフォスフィンオキサイド(TOPO)、
トリイソオクチルフォスフィンオキサイド、トリ−n−
デシルフォスフィンオキサイド、トリ−n−ドデシルフ
ォスフィンオキサイド、トリ−n−ヘキサデシルフォス
フィンオキサイド、トリ−n−オクタデシルフォスフィ
ンオキサイド、トリエイコシルフォスフィンオキサイ
ド、トリス(2,4,4−トリメチルペンチル)フォス
フィンオキサイド、ジ−n−ヘキシルメチルフォスフィ
ンオキサイド、ジシクロヘキシルオクチルフォスフィン
オキサイド、ジ−n−オクチルメチルフォスフィンオキ
サイド、ジ−n−オクチルイソブチルフォスフィンオキ
サイド、ジデシルメチルフォスフィンオキサイド、ジ−
n−ヘキシルイソブチルフォスフィンオキサイド、ジシ
クロオクチルエチルフォスフィンオキサイド、ジ−n−
ヘキシルドデシルフォスフィンオキサイド及びこれらの
類似物等の三級フォスフィンオキサイド化合物、メチル
イソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン
(MAK)、メチル−n−ヘキシルケトン及びエチル−
n−ブチルケトン等のケトン系溶剤、上記三級フォスフ
ィンオキサイド化合物をジイソブチルケトン、n−デカ
ン、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オクタン及
びノナン等の適当な溶媒に溶解した溶液が挙げられる。
これらの抽剤は、単独あるいは2種以上の混合物の形態
で使用できる。これらの抽剤のうち、三級フォスフィン
オキサイド化合物を必須成分として含む溶剤であること
が好ましい。さらに、トリ−n−オクチルフォスフィン
オキサイドからなる抽剤を用いた際の水相は、抽剤が実
質上溶存しないため、蒸留や抽出等の処理を経ずにその
ままリサイクルできるので、三級フォスフィンオキサイ
ド化合物がトリ−n−オクチルフォスフィンオキサイド
(TOPO)であることが特に好ましい。さらに、TO
POを適当な溶媒に溶解したものを抽剤として用いる際
には、適当な溶媒は、リサイクルの簡便さを考慮する
と、水の難溶または不溶な溶媒であることが好ましい。
上記点を考慮すると、上記した抽剤のうち、TOPO単
独、TOPO/シクロヘキサン系抽剤、TOPO/ジイ
ソプロピルエーテル系抽剤及びTOPO/ヘキサン系抽
剤が、特に好ましく使用される。
【0021】ただし、本発明において、TOPOを単独
で抽剤としてフェノール誘導体の抽出・回収操作に用い
る際には、TOPOは常温で固体であるため、操作温度
を、TOPOが融解して液体となる温度以上、好ましく
は50〜100℃に設定して、抽出操作を行う。また、
例えば、三級フォスフィンオキサイド化合物を適当な溶
媒に溶解した溶液を抽剤としてハイドロキノンの抽出・
回収操作に用いる際の、抽剤における三級フォスフィン
オキサイド化合物の濃度は、操作温度、使用する三級フ
ォスフィンオキサイド化合物の種類及び溶解する溶媒の
種類等によっても異なるが、十分な分配係数が得られ、
抽剤がその操作温度で固化しない範囲の濃度及び操作温
度を設定する。例えば、TOPOをシクロヘキサンに溶
解した溶液を抽剤として用い、操作温度が30℃の場合
には、TOPOの濃度は、通常、8重量%以上でかつ抽
剤が固化しない範囲内、好ましくは8〜50重量%であ
る。さらに、ケトン系溶剤を抽剤として用いた場合等、
水相中に溶剤が溶解する恐れがある時には、そのまま水
相部分をリサイクルするとフェノール誘導体の生成反応
が溶解している溶剤により阻害されることもある。この
ため、これらの溶剤を抽剤として用いた場合には、水相
を活性炭処理または蒸留や抽出などの処理を行って溶存
している抽出溶剤を除去することが好ましい。
【0022】上記実施態様においては、菌体の分離を遠
心分離によって行ったが、菌体の分離は、この方法に制
限されず、瀘過及び沈降分離等、一般的な菌体の分離方
法によって行われる。
【0023】また、上記実施態様においては、マイコバ
クテリウム エスピー NS12523株(Mycobacteri
um sp. NS12523) を微生物として利用したフェノール誘
導体の生成反応に使用したが、本発明において使用でき
る微生物は上記微生物に限られるものではなく、フェノ
ール誘導体を生成できる、即ちモノオキシゲナーゼ活性
を有する微生物であれば特に制限されないが、具体的に
は、メチロシヌス属(Methylosinus)、メチロコッカス属
(Methylococcus) 、ロドコッカス属(Rhodococcus) 、マ
イコバクテリウム属(Mycobacterium) 、ノカルディア属
(Nocardia)及びシュードモナス属(Pseudomonas) 等に属
する微生物が挙げられる。これらのうち、マイコバクテ
リウム属(Mycobacterium) 、ノカルディア属(Nocardia)
及びロドコッカス属(Rhodococcus) に属する微生物が好
ましく使用でき、より好ましくはマイコバクテリウム
エスピー NS12523株(Mycobacterium sp. NS125
23) が使用される。なお、マイコバクテリウム エスピ
ー NS12523株(Mycobacterium sp. NS12523)
は、本発明者らによって発見された芳香族化合物を酸化
しフェノール誘導体等へ変換する能力を有するマイコバ
クテリウム属(Mycobacterium) に属する新規な微生物で
ある。
【0024】上記実施態様において使用されたマイコバ
クテリウム エスピー NS12523株(Mycobacteri
um sp. NS12523) の菌学的性質を以下に示す。
【0025】(a)形態的性質 細胞の形および大きさ: 不規則な形態を有する桿
菌で、大きさが約1μm×3〜6μmである 細胞の多形性の有無: 培養時期によって、細胞の
長さが変化する 運動性の有無: なし 胞子の有無: なし 抗酸性: 陰性〜陽性(培養時期によって変化す
る) (b)培養的性質 肉汁寒天平板培養(30℃): 周縁部が波状で乾
燥した白色のコロニーを形成する。コロニーの大きさ
は、30℃で3日間培養した際、直径約3〜10mmで
ある。 肉汁液体培養: 表面にも生育する。直径0.3〜
1mm程度の細胞集塊を形成する。 肉汁ゼラチン穿刺培養: ゼラチンの液化なし リトマス・ミルク: アルカリ性 (c)生理的性質 グラム染色性: 陽性 硝酸塩の還元: + 脱窒反応: − MRテスト: − VPテスト: − インドールの生成: − 硫化水素の生成(TSI培地): − デンプンの加水分解: + クエン酸の利用:シモンズ(Simmons) の培地: − クリステンセン(Christensen) の培地: + 無機窒素源の利用: + 色素の生成:キングA(King A)培地: − キングB(King B)培地: − SCD寒天培地: − 肉汁寒天培地: − ウレアーゼ:クリステンセン(Christensen) の培地: + オキシダーゼ: − カタラーゼ: + 生育の範囲(SCD培地): 生育可能pHが4.5〜8.9 生育可能温度が14.0〜47.5℃ 酸素に対する態度: 好気性 O−Fテスト(Hugh Leifson法): F型(反応は弱い) (d)下記の糖類からの酸及びガスの生成の有無
【0026】
【表2】
【0027】(e)その他の特徴的な生理的性質 サリチル酸の分解性: + 安息香酸の分解性: + ペニシリンGの耐性: + ミコール酸に関して、薄層クロマトグラフィーにより既
知の微生物であるマイコバクテリウム ヴァッカエ I
FO14118株(Mycobacterium vaccae IFO14118) と
比較したところ、マイコバクテリウム ヴァッカエ I
FO14118株とミコール酸スポットのRf値と近似
する位置にミコール酸スポットが複数個認められた。
【0028】本菌株について、バージーズ マニュアル
オブ システマティック バクテリオロジー、第二巻
(Bergey´s Manual of Systematic Bacteriology 2nd)
(1986年)を参考にして検索を行った結果、本菌株
はマイコバクテリウム属(Mycobacterium) 微生物のマイ
コバクテリウム スメグマティス(Mycobacterium smegm
atis) に類似する特徴を有していることがわかった。し
かし、タイプカルチャーである、マイコバクテリウム
スメグマティス IFO3082、3153、3154
及び13167株と本菌株を比較したところ、いずれの
タイプカルチャーもメチルエチルケトンを炭素源とする
完全合成培地でほとんど生育しなかった点で、本菌株と
は異なっていた。さらに、いずれのタイプカルチャーも
モノオキシゲナーゼ活性を有しないあるいは活性が非常
に低かった。これらの結果より、本菌株は従来知られる
菌種とは異なる性質を有することから、本菌株をマイコ
バクテリウム エスピー NS12523株(Mycobacte
rium sp. NS12523) (以下、単に「NS12523株」
と称する)と命名した。
【0029】このNS12523株は、平成7年5月3
0日付で工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託さ
れ、その受託番号はFERM P−14958号であ
る。
【0030】本発明において、微生物の培養に使用する
培地は、固体または液体培地のいずれでもよく、また、
使用する菌株が資化しうる炭素源、適量の窒素源、無機
塩及びその他の栄養素を含有する培地であれば、合成培
地または天然培地のいずれでもよい。
【0031】本発明の菌株の培養において使用できる炭
素源としては、本菌株が良好に生育し、フェノール誘導
体を生成できうるものであれば特に制限されず、グルコ
ース、プロパン、ブタン、ペンタン、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケ
トン、イソプロパノール、2−ブタノール、2−ペンタ
ノールプロパン、エタノール、プロパノール、1−ブタ
ノール、酢酸及びシュークロース等が挙げられる。これ
らのうち、菌株の生育を考慮すると、グルコース、シュ
ークロース、酢酸、アセトン、メチルエチルケトン、エ
タノール、プロパノール、1−ブタノール及び2−ブタ
ノール等が炭素源として好ましく使用され、また、モノ
オキシゲナーゼ活性を高めることを考慮すると、プロパ
ン、ブタン、アセトン、メチルエチルケトン及び2−ブ
タノールなどが好ましく使用される。この際、上記炭素
源の添加量は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1
〜3重量%である。これらの炭素源は、単独あるいは2
種以上の混合物の形態で使用できる。
【0032】本発明の菌株の培養において使用できる窒
素源としては、肉エキス、ペプトン、バクトペプトン、
ポリペプトン、酵母エキス、大豆加水分解物、大豆粉
末、ミルクカゼイン、カザミノ酸、各種アミノ酸及びコ
ーンスティープリカー等の有機窒素化合物、およびアン
モニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び塩化
アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸カリウム及び
硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、尿素等の無機窒素化合物
等が挙げられる。これらの窒素源も、単独あるいは2種
以上の混合物の形態で使用できる。
【0033】本発明において使用できる無機塩として
は、一般的な細菌の培養に用いられるものが使用できる
が、例えば、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナ
トリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛などのリン酸塩、
塩酸塩、硫酸塩及び酢酸塩等から選ばれた1種または2
種以上を使用することができる。これらのうち、フェノ
ール誘導体を効率よく生成するためには鉄塩を無機塩と
して比較的高濃度で添加することが好ましく、鉄塩の添
加濃度としては、鉄に換算して、1リットルの培養液
中、0.3〜60mg、好ましくは1〜30mgであ
る。
【0034】ここで、本発明においてNS12523株
を使用する際に好ましく使用できるA培地以外の培地の
一組成例を以下の表3に示し、以下、この培地をB培地
と称する。これらのA培地およびB培地は、これらの培
地に上記したような所定の炭素源を添加して調製した培
地でNS12523株を培養すると、NS12523株
は直径1mm以下の小さい集塊を形成しながら増殖し、
培養液を静置すると速やかに沈降し、容易に菌体のみを
回収できるため、本発明における微生物の培養に好まし
く使用できる。
【0035】
【表3】
【0036】本発明においてフェノール誘導体を生成す
る完全合成培地としてはA培地に誘導基質としての上記
したような炭素源を加えた培地が好ましく使用され、増
殖をさらに促進するための有機態窒素源培地としてはB
培地の組成に上記したような炭素源を加えた培地が好ま
しく使用される。
【0037】本発明において、微生物の培養は、上記実
施態様において詳細に記載した培養に限られるものでは
なく、使用する微生物が適切に培養できる公知の培養方
法によって行われる。一般的には、本発明による微生物
の培養は、好気的条件下で行われ、その際の培養条件
は、使用する微生物の種類、培地の組成や培養法によっ
て適宜選択され、使用する菌株が増殖しモノオキシゲナ
ーゼ活性が発現できる条件であれば特に制限されない。
通常は、培養温度が、20〜45℃、好ましくは30〜
40℃であり、また、培養に適当な培地のpHは、4.
5〜9、好ましくは6〜8である。
【0038】また、本発明によると、誘導基質としての
炭素源が培地中で消失するとモノオキシゲナーゼ活性が
低下するため、高いモノオキシゲナーゼ活性を有する菌
体を得るためには、誘導基質としての炭素源が培地中に
残存している段階で微生物の培養を終了させることが重
要である。ただし、単に目的量の菌体を得る場合には、
モノオキシゲナーゼ活性の低下に関係なく、定常期に達
するまで菌体の増殖を継続してもよい。このため、上記
実施態様において示したように、一定量の菌体を得るた
めの培養段階及びこのような培養段階で得られた菌体に
誘導基質を添加して短時間培養を行うことによってモノ
オキシゲナーゼ活性の高い菌体を得ることを目的とした
培養段階に分けて、微生物の培養を行うことが好ましい
が、前述したような2段階からなる培養を行わずに、誘
導基質濃度を一定に制御することができる培養装置を用
いて菌体の増殖とモノオキシゲナーゼ活性の発現の両方
を一段階で行い、活性菌体を得てもよい。
【0039】培養時間は、使用する微生物の種類、培養
温度及びpHや菌体の初期濃度等の培養条件および培養
方法によって異なるが、例えば、一定量の菌体を得るた
めの培養段階では、NS12523株を一白金耳、1重
量%のメチルエチルケトンを炭素源として加えたA培地
5mlに接種し30℃で3日間培養して種培養液を調製
し、この種培養液を上記と同様の培地100mlを入れ
た500ml容の坂口フラスコに接種し、30℃で振盪
培養(140rpm)を行った場合、2〜5日である。
また、活性菌体を得るための培養段階では、上述の培養
段階で得たモノオキシゲナーゼ活性が十分高くない菌体
を誘導基質としてメチルエチルケトンを1重量%添加し
た新鮮なA培地100mlを入れた500ml容の坂口
フラスコに接種して30℃で振盪培養(140rpm)
を行った場合、6〜72時間である。このような方法に
よって、目的とする酸化反応に供試できるモノオキシゲ
ナーゼ活性を有する菌体を調製することができる。
【0040】このようにして得られた活性菌体を用い
て、所望の物質変換反応を行うことができる。
【0041】以上示した菌体調製方法によって得られた
活性菌体を用いて上述した反応条件によってフェノール
誘導体が製造でき、さらにこのような反応によって生成
したフェノール誘導体は、上記した溶媒抽出法によって
反応系外に取り出すことができ、残った水相は廃棄する
ことなく、次の反応プロセスに繰り返し使用することが
可能になる。また、本発明の方法によると、この水相
は、少なくとも10回は繰り返し使用することが可能で
あるため、フェノール誘導体を工業的に大量生産した場
合には経済的に有利である。
【0042】
【実施例】以下、実施例を参照しながら本発明をさらに
具体的に説明する。
【0043】実施例1 肉汁寒天培地(ディフコ(Difco) 社製)に生育させたマ
イコバクテリウム エスピー NS12523株(Mycob
acterium sp. NS12523) を一白金耳、炭素源として1重
量%メチルエチルケトンを添加したA培地5mlを入れ
た試験管に接種し、30℃で3日間培養することによっ
て、種培養液を調製した。次いで、この種培養液を10
0mlの上記と同様の培地を入れた500ml容の坂口
フラスコに接種し、さらに30℃で3日間培養し、培養
液を調製した。このようにして得た培養液から遠心分離
(6,000×g、5分)によって菌体を回収し、菌体
を新鮮な同培地100mlを入れた500ml容の坂口
フラスコに接種して30℃でさらに24時間培養して、
フェノール誘導体の生成効率の高い活性菌体を調製し
た。このようにして得られた培養液を遠心分離(6,0
00×g、5分)することによって培養液から活性菌体
のみを回収し、菌体を0.02% MgSO4・7H2
Oを含む50mM リン酸緩衝液(pH:7)中に菌体
濃度が5g湿重量/100mlになるように懸濁した。
この菌体懸濁液100mlを500ml容のフラスコに
入れ、基質としてフェノール、エネルギー源としてグル
コースをそれぞれ1,000ppmになるように添加
し、30℃で4時間往復振盪(140rpm)すること
によって反応を行った。所定時間経過した後、遠心分離
(6,000×gで5分)によって菌体を除去した反応
液と抽剤としてのメチルイソブチルケトンとを同体積混
合し、十分攪拌しハイドロキノンの抽出操作を行った
後、静置した。混合液が完全に2相に分離してから、溶
媒相および水相の一部をサンプリングし、HPLC分析
によって溶媒相および水相中に存在するハイドロキノン
の濃度を測定した。
【0044】抽出後の水相は、溶存しているメチルイソ
ブチルケトンを蒸留によって除去した後、基質及びエネ
ルギー源を添加して、上記と同様にして基質液として用
い、菌体を作用させ、上記と同様の操作を繰り返した。
【0045】このようにして、水相をリサイクルしなが
ら、合計10回、同様の反応操作を繰り返した。各反応
操作によって生成したハイドロキノン濃度および各反応
操作段階における抽剤中のハイドロキノンの分配係数を
表4に示す。なお、分配係数は、以下の式より求めた
が、この際、抽剤が水相に溶解したり水が抽剤に溶解す
ることによる体積変化はなかったものとして、また、抽
出温度によって分配係数は変化するため25℃の一定の
操作温度で抽出を行うことによって、求めた。
【0046】
【数1】
【0047】
【表4】
【0048】この結果、各反応操作によってハイドロキ
ノンが高い収率で生成し、また、分配係数が8以上であ
ることから、メチルイソブチルケトンを抽剤として用い
た場合、ハイドロキノンは効率よく溶媒相中に分配され
ることが示された。
【0049】実施例2 実施例1と同様にして、実施例1と同様の操作によって
調製された活性菌体を用いて、表5に示されるようにし
て処理を行った水相に1,000ppmのフェノールを
反応基質として添加して水酸化反応を行うことによっ
て、反応速度に与える抽出処理の影響を調べた。結果を
表5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】表5より、抽出溶剤としてTOPOを用い
ると、抽出後の水相をそのままリサイクルしても反応は
まったく阻害されないことが分かった。また、メチルイ
ソブチルケトンを抽剤として用いる場合には、抽出後の
水相を実験条件5に示したような適切な処理を行うこと
によって反応に全く影響を与えなくなることがわかっ
た。
【0052】実施例3 50mM リン酸緩衝液中にハイドロキノン及びMgS
4 ・7H2 Oをそれぞれ1%(w/v)及び0.02
%(w/v)の濃度で溶解することによって水溶液を調
製し、これをモデル反応液とした。なお、水溶液中のハ
イドロキノンはpHが高くなるほど不安定になり溶液が
褐変するため、モデル反応液のpHは6.9に調整し
た。
【0053】このモデル反応液と表6に示される抽剤と
を等量混合し、充分攪拌した後、静置した。混合液が完
全に2相に分離してから、水相の一部をサンプリング
し、HPLC分析によって水相中に残存するハイドロキ
ノンの濃度を測定し、これにより分配係数を求めた。な
お、分配係数は、以下の式より求めたが、この際、抽剤
が水相に溶解したり水が抽剤に溶解することによる体積
変化はなかったものとして、また、抽出温度によって分
配係数は変化するため25℃の一定の操作温度で抽出を
行うことによって、求めた。
【0054】
【数2】
【0055】
【表6】
【0056】表6より、メチルイソブチルケトン、メチ
ルアミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン及びエチ
ル−n−ブチルケトンを抽剤として用いた際に分配係数
は5以上となることから、これらの溶剤が本発明におい
て好ましく使用され、これらのうち、特にメチルイソブ
チルケトン及びメチルアミルケトンが好ましく使用され
ることが示された。
【0057】実施例4 トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)は、常
温で固体であるため、表7に示されるように、TOPO
を溶解する有機溶媒として、ジイソブチルケトン、n−
デカン、ジイソプロピルエーテル、メチルイソブチルケ
トン及びシクロヘキサンを用い、これらの溶媒にTOP
Oを325g/リットル(約1M溶液)の濃度になるよ
うに溶解し、このように得られた溶液を抽剤として使用
して、以下の実験を行った。なお、すべての操作は25
℃の恒温室内で行った。
【0058】実施例3と同様にして調製したモデル反応
液(ハイドロキノン濃度:1重量%)2mlと上記抽剤
2mlをそれぞれ充分混合し、静置した後に、水相の一
部をサンプリングし、実施例3と同様にしてHPLC分
析によって水相中に残存するハイドロキノンの濃度を測
定し、これにより分配係数を求めた。この際も、溶媒相
と水相との体積変化は無視して分配係数を算出した。結
果を表7に示す。
【0059】
【表7】
【0060】表7から、いずれの抽剤を用いても非常に
高い分配係数が得られることが示された。また、これら
の抽剤のうち、特にTOPO/シクロヘキサン系抽剤で
は、MIBK単独で用いた際に得られる値(7.7)の
20倍以上である分配係数が160という非常に高い値
が得られることから、TOPO/シクロヘキサン系抽剤
が特に好ましく使用されることが分かった。さらに、こ
れらの結果から、TOPOは、ハイドロキノンの抽出お
よび回収に非常に効果的であることが分かった。
【0061】実施例5 TOPOをシクロヘキサンに325g/リットルの濃度
で溶解したものを抽剤として用い、モデル反応液量を2
mlと一定にし、抽剤量を表8に示されるように変化さ
せた以外は実施例4と同様にしてハイドロキノンの分配
係数を測定し、S/Fの値と分配係数との関係を求め
た。結果を表8に示す。なお、表8において、「S/F
(v/v)」は、抽剤量(ml)/モデル反応液量(m
l)の比を示す。
【0062】
【表8】
【0063】表8から示されるように、ハイドロキノン
の分配係数は、S/Fが0.05まではS/F比の減少
に伴い、減少する。また、モデル反応液量の1/20の
液量の抽剤でも9.56という高い分配係数が得られる
ことが分かった。
【0064】実施例6 S/F比を1とし、抽剤中のTOPO濃度を表9に示す
ように変化させた以外は実施例5と同様にして、ハイド
ロキノンの分配係数を測定した。抽剤中のTOPO濃度
と分配係数との関係を表9に示す。
【0065】
【表9】
【0066】表9に示されるように、抽剤中のTOPO
濃度の減少にともなって分配係数も減少し、抽剤中のT
OPO濃度が6.5重量%以下になると分配係数が5未
満になり、好ましくない。
【0067】実施例7 TOPOは常温で固体であるが、60℃に加熱すること
によって液状化させたTOPOのみを抽剤として用い、
モデル反応液量(ハイドロキノン濃度:1重量%)を3
mlとし、抽剤量を表10に示されるように変化させた
以外は実施例5と同様にして、ハイドロキノンの分配係
数を測定した。なお、上記操作は、TOPOが固化しな
いように60℃の恒温水槽中で行った。結果を表10に
示す。
【0068】
【表10】
【0069】表10から、60℃に加熱することによっ
て液状化したTOPOを抽剤として用いてハイドロキノ
ンを抽出することによって、常温下でTOPO/シクロ
ヘキサン系抽剤を用いた際よりも高い分配係数が得ら
れ、さらに、TOPO量が0.03mlという少量でも
37という高い抽剤中のハイドロキノンの分配係数が得
られることが分かった。
【0070】実施例8 恒温水槽を用いて操作温度を100℃にし、抽剤量を表
11に示されるように変化させた以外は実施例7と同様
にして、ハイドロキノンの分配係数を測定し、TOPO
によるハイドロキノンの抽出における温度の影響を調べ
た。結果を表11に示す。
【0071】
【表11】
【0072】表9から、100℃の温度で抽出操作を行
う際のハイドロキノンの分配係数は60℃で同様に行っ
た際の値に比べると低いものの、充分高い値を示した。
【0073】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のフェノール
誘導体の製造方法は、微生物を利用した反応によって生
成したフェノール誘導体を含有する反応液から溶媒抽出
法によってフェノール誘導体を回収し、フェノール誘導
体を回収した後の水相をリサイクルすることを特徴とす
るものである。したがって、本発明の方法を用いること
によって、副生物を実質的に含まないフェノール誘導体
を高い収率で得られ、かつフェノール誘導体のみを反応
液より取り出し、残った反応液は廃水とせずに、リサイ
クルできる経済的に有利なフェノール誘導体の製造方法
が得られる。
【0074】さらに、本発明のフェノール誘導体の製造
方法において、抽出溶剤としてトリ−n−オクチルフォ
スフィンオキサイドを用いると、抽出後の水相を何等処
理することなくそのままリサイクルできるという長所が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のフェノール誘導体の製造方法の一実
施態様の概略を示すフロー図である。
フロントページの続き (72)発明者 阪野 公一 茨城県つくば市観音台1丁目25番地12 株 式会社日本触媒内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物による酸化反応を利用した芳香族
    化合物からフェノール誘導体の製造方法において、該反
    応によって生成したフェノール誘導体を含有する反応液
    から溶媒抽出法によってフェノール誘導体を回収し、フ
    ェノール誘導体を回収した後の水相をリサイクルするこ
    とを特徴とする、フェノール誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】 該溶媒抽出法が、25℃の操作温度の際
    のフェノール誘導体の抽出溶剤中への分配係数が5以上
    の値を与える溶剤を用いて行われる、請求項1に記載の
    フェノール誘導体の製造方法。
  3. 【請求項3】 該フェノール誘導体がハイドロキノンで
    ある、請求項1または2に記載のフェノール誘導体の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 微生物反応によって生成したフェノール
    誘導体を含有する反応液からの溶媒抽出を三級フォスフ
    ィンオキサイド化合物を必須成分として含む溶剤を用い
    て行う、請求項1から3のいずれかに記載のフェノール
    誘導体の製造方法。
  5. 【請求項5】 該微生物がマイコバクテリウム(Mycobac
    terium) 属に属する微生物である、請求項1から4のい
    ずれかに記載のフェノール誘導体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012033112A1 (ja) * 2010-09-08 2012-03-15 グリーンフェノール・高機能フェノール樹脂製造技術研究組合 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるフェノールの製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012033112A1 (ja) * 2010-09-08 2012-03-15 グリーンフェノール・高機能フェノール樹脂製造技術研究組合 コリネ型細菌形質転換体及びそれを用いるフェノールの製造方法
US9328361B2 (en) 2010-09-08 2016-05-03 Green Phenol Development Co., Ltd. Coryneform bacterium transformant and process for producing phenol using the same

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