【発明の詳細な説明】
水系プラズマ放電を使用するダイヤモンド膜の化学気相蒸着の方法及び装置技術分野
本発明はダイヤモンド膜の化学気相成長の方法及び装置に関する。背景技術
CVD 技術を用いるダイヤモンド膜形成方法は十分に確立されている。多くの研
究者がダイヤモンドの成長のためにあり余る程の技術および原料ガス(ソースガ
ス)を使用してきた〔T.R.Anthony: Mat.Res.Soc.Symp.Proc.162,61(199
0)参照、あるいはP.K.Bachmann et al.: Diamond and Related Materials 1,1
(1991)をも参照〕。このような技術としてはマイクロ波プラズマCVD、熱フィ
ラメントCVD、直流(DC)プラズマCVD、アークジェット放電CVD、高周波(rf)プラ
ズマCVDおよびオキシアセチレントーチCVD技術等がある。これらの研究のほとん
ど大部分は高温プラズマ領域またはそれと同等の熱フィラメント、オキシアセチ
レントーチ等の高温領域における分子状水素の解離/活性化に依存している。試
料温度がソース温度より大幅に低いため、ダイヤモンド成長面には原子状水素の
超平衡(super-equilibrium)が存在する。したがってダイヤモンドの成長は、十
分な量の原子状水素が一旦生じれば進行する。
原子状水素の一つの役割は蒸着中のダイヤモンド層からグラファイトを全て溶
かし出すことである。ダイヤモンド生成に関する最も古く且つ単純な理論のいく
つかは、次の仮説を採用しいてる。すなわち、ダイヤモンドのCVD成長とは、グ
ラファイトおよびダイヤモンドの両方が蒸着するがグラファイトが選択的に溶解
されることによりダイヤモンド相が安定化する共蒸着プロセスであるというもの
である。したがって、効果的なグラファイト用エッチャントを提供して蒸着中の
ダイヤモンド層からグラファイトを溶かし出すことが、いかなるダイヤモンドCV
Dプロセスにとっても決定的に重要なこととなる。
原子状水素のもう一つの役割は、ダイヤモンド表面を安定化することによりダ
イヤモンドの形成を促進することである。ダイヤモンド蒸着の熱力学のさらなる
研究はW.A.Yarbroughによってなされており、その準平衡の計算によって、原子
状水素が高分率(0.1%より大) の場合にはダイヤモンドの凝縮がグラファイトに
優先することが示された〔W.A.Yarbrough: Mat.Ros.Soc.Symp.Proc.192,7
5(1990)参照〕。したがってダイヤモンド蒸着技術においては原子状水素の分率
を高めてグラファイトよりもダイヤモンドの生成を確実に助長することが必要で
ある。さらに、単位時間ごとに炭素原子の追加を行なう該蒸着方法においては、
単位時間当りの原子状水素の流れについてもその臨界的絶対量を与えることが各
瞬間の成長面を安定化するために必要である。
数多くの炭化水素、ハロカーボン、フルオロカーボンおよび有機系のソースが
ダイヤモンド膜形成のために使われている。代表的な例として、グラファイト結
合に比してダイヤモンド結合を促進することができるのは、気相中の炭化水素の
割合が小さい場合に限られる。分子状水素の濃度はダイヤモンド成長装置内の高
濃度の原子状Hを保証する。したがって、ある特定の方法で蒸着された黒鉛はい
ずれも、黒鉛相をダイヤモンド中に取り込むのが可能になる前に溶解することが
できる。これに応じて、最良の膜が形成されるのは炭化水素の割合が 0.5〜2.0
%の場合である。これより高い濃度で形成した膜は、ダイヤモンド結合があると
してもごく僅かであることがラマ分析により確かめられる〔C.Hata and Y.Sat
o: New Diamond,32-34(1990)参照〕。
多くの理由により、研究者達は分子状水素をベースとする方法から別のダイヤ
モンド製造方法に変更し、改変し、又は修正することを追究してきた。研究者達
は原子状水素の他の供給源を求め、他の黒鉛エッチャントを求めた
(T.R.Anthony,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.162,61(1990)を参照)。95〜9
9%のH2と1〜5%のCH4から成る従来の原料ガスにF、Cl、O、およびOHを添加
することで各種のバリエーションが得られている。
ダイヤモンドの成長を求めて試みられた様々なダイヤモンド成長技術の中で、
オキシアセチレン炎のみが、分子状水素を添加することなしに高品質ダイヤモン
ドフィルムを成長させるのに意味のある成功を納めた。オキシアセチレン炎から
のダイヤモンドの成長を達成した例として、O2 /C2H2の1:1.05混合ガスを燃焼
炎へ供するプレミックスとして用いたものがある〔L.M.Hansen et al.: Mater
.Letters 7,289(1988)参照〕。オキシアセチレン炎において、酸素(O2)とアセ
チレン(C2H2)は化学炎の中で自発的に反応する。マイクロ波プラズマによるダイ
ヤモンド成長の場合と同様に、この化学炎は極めて高い温度3000℃にある。この
ような温度においては、反応物(O2およびC2H2)ならびに燃焼生成物(CO,CO2,H2
O)は部分解離状態にあり、原子状Hがダイヤモンド成長面へ容易に提供される。
ダイヤモンドを生じるオキシアセチレン炎は“リッチ”に燃焼する。炎内の基体
の位置は、H2とCOが存在する1次炎の内部に常にあった。H2OとCO2を含む2次炎
の中でのダイヤモンド成長は観測されなかった。ヒロセ(Y.Hirose)(Applicatio
ns of Diamond Films and Related Materials,Materials Science Monograph 73
,471(1991))は、「燃焼炎は2つの区域を含んでおり、1つは『外炎』と呼ばれ
る酸化性の区域(酸化炎)であり、他の1つは『内炎』と呼ばれる還元性の区域
(還元炎)である。」ことを指摘している。さらにヒロセは、「ダイヤモンド合
成に成功するキーポイントは還元性プラズマ内に作られるラジカルを作り出すこ
とである」と述べている。
OおよびOHの化学作用はプラズマを用いた技術及び加熱フィラメントを用いる
技術で研究されている。例えば、少量の酸素および水蒸気がマイクロ波プラズマ
反応器に添加された。その結果、少量(0.5〜2%)の酸素と少量の水蒸気(0
〜6%)を用いるとラマンスペクトルが改善されダイヤモンド蒸着可能温度が下
がることがわかった〔Y.Saito et al.: J.Mat.Sci.23,842(1988)またはY
.Saito,J.Mat.Sci.25,1246(1990)参照〕。しかし、これ以上の割合で用い
た場合はダイヤモンド品質の低下が見られた。同様に、アオヤマ(Aoyama)ら(Di
amond and Related Materials 2,337(1993))は、プラズマジェット装置につい
て、「プラズマジェットに含まれる少量の酸素は蒸着ダイヤモンドの純化を促す
。しかし、多量の酸素原子又は分子はダイヤモンドと反応し、ダイヤモンドの蒸
着は抑制される。」と報告している。
加熱フィラメントで実験する研究者らも同じ基本的結論に到達した。カワト(K
awato)とコンド(Kondo)(Jap.J.Appl.Phys 26,1429(1987))は、少量の酸素
が添加(4%未満)されると非ダイヤモンド相の蒸着は抑制され、ダイヤモンド
の品質が向上することを示した。しかし、マツモト(Matsumoto)(Proceedingof E
lectrochemical Society 89-12,50(1989))は、「高酸素含有量の雰囲気で加熱
フィラメント」を使うなと警告している。さらにマツモトは、「酸素濃度が33%
より高いと加熱フィラメントが焼き切れる」と述べている。
実際、O2、OH又はOとしての酸素の割合が高いことは多くのCDVダイヤモン
ド成長装置にとって有害である。加熱フィラメント又は加熱した金属製固定物(
例えばアーク放電管)は特に金属腐食を受けやすい。W、Mo、Tn、Rhのよ
うな材料は真空装置内で昇華する揮発性の金属酸化物を形成する。この昇華は、
ダイヤモンド膜の金属汚染の原因となるだけでなく、装置の寿命を限定する。実
際、エイチ・チェンらは、1%を超える酸素濃度のときタングステンフィラメン
トの寿命が短くなると報告している(H.Chen et al.APplications of Diamond
Firms and Related Materials,Materials Science Monograph 73,137(1991)
)。しかし、コマキとヒロセ(Jap.Pat.Kokai Sho 62[1987]-180060)は、加熱
したタングステンフィラメントにわたって高濃度の水を使用して、ダイヤモンド
用の炭素及び/又はダイヤモンドの成長を報告した。
一般に、酸素は広範囲のスペクトルの物質と非常に反応性の高いガスである。
材料の温度がその材料の酸化温度を超えると、その材料は安定な酸化物に転化す
るか又は昇華する。2つの例を示す。第一に、元素状のタングステンは、真空中
又は不活性な雰囲気中において、極めて丈夫な高温度材料である。タングステン
は2900℃で溶融する。しかし、酸化性雰囲気(例えばかなりのO2又はH2Oを含
有する環境)では、タングステンは800℃で昇華し、1500℃で溶融する揮発性の
酸化物を形成する。第二に、炭素は3000℃よりも高い温度で溶融する極めて高温
度の材料である。炭素は800℃で急速に酸化される。ダイヤモンド、黒鉛、コー
ル、及び他の形態の炭素はすべて700〜900℃の温度でH2O及びO2と反応してC
Oを生成する。
従って、高い酸素含量の原料(feedstock)からダイヤモンドを成長するのに伴
う明確な問題は、ダイヤモンド成長表面に存在する反応性酸素(O2、O、H2O
又はOH)である。
発明の開示
そこで、本発明の目的は、反応性酸素によって引き起こされる従来技術の問題
を克服する、CVDダイヤモンド蒸着のための新しくかつ改良された方法と装置
を提供することである。
本発明の別の目的は、簡単なアルコール類及び炭化水素類から水系方法におけ
るダイヤモンド成長に必要な炭素供給源を供給する新しくて改良された方法と装
置を提供することであり、アルコール類は水と混和性があるという明確な利点を
もたらす。反応物を別々に計量することによって、同じ原料割合が利用できる。
本発明のさらに別の目的は、ダイヤモンド成長の汚染又は反応性酸素によるエ
ッチングによる寿命の滅少を引き起こすことなく、水のような、安価で環境に優
しい材料を使用してダイヤモンド膜を製造することである。
本発明のさらに別の目的は、ダイヤモンド膜を製造する、簡単で工業的に安全
な方法及び装置を提供することである。
これらの及びその他の目的は、水の中に存在する酸素(ダイヤモンドエッチャ
ント化学種)がCO(ダイヤモンド成長化学種)に酸素移転することにより中和
される、原料転換を含む水系ダイヤモンド成長の新規で改良された方法及び装置
を提供することによって達成される。原料の転換によって、所定(予定)の化学
種H2、CO、C2H2(若干の残留H2Oを伴う)が製造される。ダイヤモンド成
長の条件下では、転換領域又は原子化領域によってO2化学種はまったく発生し
ない。装置内に供給された炭素はO2が製造される前に利用可能なO又はOHと
コンプレックスを作る。これらのガスが、水素原子化領域にとり、事実上のガス
状供給物(原料)となり、この領域では、原子状Hが十分に発生してダイヤモン
ドの成長を保証する。この方法及び装置では、母材の原料ガスは素通り(迂回)
が許されない。従って、実質的に、Oが存在しない少量の残留水分のみが水素原
子化領域で製造され、その結果、高品質のダイヤモンド成長が起る。
本発明は、高濃度の水を原料ガスとして利用し、ダイヤモンド成長表面を反応
性酸素にさらすことを回避する、ダイヤモンド成長の方法を提供する。本発明は
、水に富む原料ガスからダイヤモンドを成長する方法を規定し、該方法では、酸
素が反応性化学種からCOに移転され、その結果成長表面における反応性酸素の
濃度が低減される。水が分解する際の主要な副生物はO2である。本発明では、
COの生成が遮断する。この遮断は十分な炭素原子が気相に供給されて酸素の発
生を防ぐときにのみ起る。酸化剤としての水はガス流中でH2とCOにより置換
される。もともと水の分子中に存在する酸素は、COに移転される。O2、OH
、又はOとは異なり、COは、非酸化性であり成長化学種である。即ち、本発明
は、反応性酸素に非常に富む原料混合物で出発するけれど、ダイヤモンド成長表
面に実質的にO2をまったく含まない、反応性酸素濃度が低い転換された原料を
供給する。
ダイヤモンドの成長が本発明によると、二段階の方法で行われる。第一に適切
な割合の水と、アルコールを含有する原料ガスが転換領域を通過し、その際にC
Oへの酸素の移転が起る。第二に、転換された原料が水素原子化領域に導入され
、ここで原子状水素が十分に発生され、ダイヤモンドを生成する。
即ち、本発明によって、認識されたように、この水系プロセスは、原料中の水
系化学種のH2及びCOへの転換に大きく依存している。従って、本発明の転換
方法は、現場で(in situ)分子状のH2及びCO、C2H2のような炭化水素化学
種を製造する。本発明らによって、次のことが発見された。ダイヤモンドの成長
には、原料の供給がO2の生成を遮断することと、C2H2を生成することの両方
のために炭素で富んでいることが必要であること。残留した水(転換されなかっ
たもの)はガス流中に残る。本発明において気相の反応性酸素(O2、H2O、O
H、O)の濃度が分子状水素をベースとする原料にO2又はH2を添加して用いた
前述の著者らにより、実施された酸素濃度と同等である。
従って、本発明は、多結晶でホモエピタキシャルなダイヤモンド膜のCVD成
長の新規で改良された方法であって、水とアルコールの蒸気を低圧電気放電に入
れ、ダイヤモンド成長を生じさせる方法を提供させる。この方法は、分子状の水
素の希釈に依存しない。分子状の水素をプラズマ放電に添加することは高品質の
ダイヤモンド成長を得る上で必要でない。
本発明の一つの側面は、水系溶液をH2、CO、C2H2、CH4(予定の原料ガ
スの組合せ)に転換することである。この転換により、(現場で)ダイヤモンド
成長反応器に圧縮供給源から通常導入されるガスが作られる。一実施態様におい
ては、この転換領域はダイヤモンド蒸着が起るチャンバーから離れている。ある
いは、この転換はそのチャンバー内で起る。いずれの場合でも本発明は必要な条
件を確立し、水分子から遊離した酸素原子とOHが利用可能な炭素とコンプレッ
クスを形成し、ダイヤモンドの蒸着の前にCO分子を生成する。
即ち、本発明の好ましい実施態様の別の側面は、すべてのガスが横断しなけれ
ばならない転換領域が存在することである。この転換領域を素通り又は迂回する
と、ダイヤモンド表面で移転されない酸素(O、OH又はO2)が存在し、ダイ
ヤモンドの化学的エッチングに利用されるか、又は熱い金属表面に存在し、金属
製固定物をエッチングするのに利用される。加熱フィラメントとアーク放電の装
置は、高温領域でのガスの迂回のために、不十分な転換を受けやすい。これらの
装置で本発明を実施するには、ガス流が加熱フィラメント又はアークジェット装
置を通る前に転換を行う必要がある。図面の簡単な説明
本発明のより完全な理解及び付随する利点は、次の詳細な説明を添付した図面
とともに考察することにより一層容易に理解されるであろう。添付の図面におい
て、
図1は本発明の方法の概略的説明図である。
図2は本発明によりダイヤモンド膜を製造する非接地のrfコイル装置の概略的
説明図である。
図3は本発明によりダイヤモンド膜を製造する共振トランスミッションライン
容量結合装置の概略的説明図である。
図4は本発明によりダイヤモンド膜を製造する共振トランスミッション抵抗結
合装置の概略的説明図である。
図5は本発明によりダイヤモンド膜を製造する共振トランスミッション誘導結
合装置の概略的説明図である。
図6は本発明によりダイヤモンド膜を製造するrf共振キャビティ結合装置の概
略的説明図である。
図7は温度の関数として、H2Oの解離を示す熱力学的計算を表すグラフである
。H2のモル分率として0.1を得るには2800Kを超える温度が必要であることに留意
されたい。
図8はH2O-C2H6O再生を温度の関数として示す熱力学的計算を表すグラフであ
る。H2のモル分率として0.1を得るには、約650Kの温度が必要であることに留意
されたい(C2H6Oを含有する水性溶液から)。この温度は純粋なH2Oから必要な温度
の約1/6である。
図9は、水/メタノール、水/エタノール及び水/イソプロパノールを用いて
成長させた3種の膜からのラマンスペクトルを示すグラフである。
図10は、図9に関して説明した3種の異なる水/アルコール組成物により得ら
れた結晶質ダイヤモンド膜のSEM写真を示す。
図11は天然ダイヤモンド結晶上でのダイヤモンド成長のラマンデータを示す。
また、ホモエピタキシャル蒸着の前後におけるダイヤモンド単結晶のSEM写真も
示す。
図12及び13は、本発明の、ダイヤモンド成長に酢酸を添加した場合の別の実施
態様により蒸着したダイヤモンド膜のSEMマイクログラフ及びラマンスペクトル
をそれぞれ示す。
図14は、(1)本発明の低圧rfプラズマ系と(2)単純な加熱フィラメントの転換効
率を測定するようにした装置の概略的説明図である。
図15は、33%メタノール水溶液から供給された水とメタノールの気相abundanc
eを示す四極子(Quadrupole)マススペクトルである。
図16は、図14に示した装置内で、同じ水メタノール溶液が流れる時の1700℃の
タングステンフィラメントによる部分的転換を示す四極子マススペクトルである
。
図17は、水/メタノール混合物が図14に示した装置を通過して流れる時に、黒
鉛基体支持台の上の及び該支持台に伴うrfプラズマで行ったO2除去及びほとんど
完全な転換を示す四極子マススペクトルを示す。
図19は、コマキの方法に従ってダイヤモンドの成長を試みるために本発明者ら
が使用した加熱フィラメント装置を示す概略図である。
図20は、図19に示した装置により蒸着させた試料のラマンスペクトルである。
該試料はダイヤモンドを示す1332cm-1のラマン線の存在を示す何らの証拠も示さ
なかった。発明を実施するための最良の形態
以下、図面(同様の要素番号はこれら数図を通して同じ又は対応する部分を示
す)、特に図1、を参照しながら、本発明の方法の一般的概念を説明する。図1
は、母材である水系原料(water-based feedstocks)がまず転換領域(1)に入る
ことを示している。転換領域から出るものはH2、CO、C2H2、その他の炭化水素、
若干の残留H2Oを含むが、実質的にO2を全く含まない気体の所定の(predetermine
d)混合物である。この転換ガス流は次いで水素微細化(atomization)領域(2)に供
給される。人工ダイヤモンド(目的生成物)が無意味に消耗するのに回避するた
めに、原料ガスは水素転換領域(1)を素通りする(迂回する)ことはあってはな
らない。人工ダイヤモンドの不所望な消耗を避けるために、O2が生成しないよう
に炭素の供給は十分でなければならない。(H2Oの解離は、炭素が存在して H2 と
COが生成するようにならないと、H2とO2を生成してしまう。)タンカラ(Tankala)
らの研究(J.Mat.Res.5,2483(1990))では、ダイヤモンドを600℃程度の低温で酸
素にさらすと重量損失が起ることがわかっている。この重量損失は800℃を超え
る温度で指数関数的である。
図2は低圧rfプラズマ装置としての条件を備えた本発明の装置の好ましい実施
態様を示し、真空クロス(交差部)(3)を有し、該クロスはその上にrf誘導コイ
ル(5)が巻かれているプラズマ管(4)に連結されている。このCVD装置は典型的な
金属製真空クロスチャンバ(3)で、真空計、真空ポンプ、ガス導入口、試料導入
口及びプラズマ石英管が組付けられたものを備えている。試料はrfコイル領域の
すぐ下に位置する支持台(6)の上に配置される。支持台は黒鉛製固定物であるこ
とが多いが、それである必要はない。石英プラズマ管(4)は内径50mmの石英管で
、一体的な水冷ジャケット(7)を備えている。rf誘導コイルには、13.56MHzのrf
発振器によって電力が供給される。13.56MHzで共振する真空コンデンサーつきの
3回平行巻きのコイルには、rf整合回路(9)が備わっている。この整合回路は、
大地から絶縁されており、主にrf発振器(8)と誘導的に結合されている。並列容
量の高いこととrfコイルの低インピーダンスが、結合ネットワークとrfコイル間
の大きな電圧差から比較的高い循環電流を生み出す。この高い循環電流が、非常
に強い交流磁場をつくり出し、それが低インピーダンスプラズマに対する効率的
な誘導結合をもたらし、その結果(必要に応じて)高いまたは低い密度のプラズ
マガスであって水とアルコール蒸気混合物を解離できるものをつくり出す。該装
置では試料が真空系へ導かれ、垂直操作アーム(10)によってrf誘導コイル(5)の
直下に置かれる。試料をrf誘導コイルの直下に配置することにより、rf電力をプ
ラズマガスに対してより差別的に印加することが可能になる。該装置のターボモ
レキュラーポンプ(11)によって、プロセスガス導入の前に、系内は完全に排気さ
れる。典型的には、真空容器は、プロセスガス導入前に、10-7Torrになるまで排
気される。試料が所定の位置に入れられたならば、プロセスガス混合物が、おお
よそ20sccmの速度でリークバルブ(12)からチャンバ内へ入れられる。タンク(13)
に貯蔵されているガス混合物は図2に示すようにプラズマ管の基部からかあるい
は補足ガス供給路(14)を介してチャンバ内へリークされる。ターボモレキュラー
ポンプ(11)の前に置かれているプロセス圧力調節バルブ(15)で、ポンプの作用を
抑制し、ダイヤモンド蒸着中、チャンバ内の圧力を1.0Torrに維持する。ダイヤ
モンド蒸着を開始するために、13.56MHzのrf信号が、rf誘導コイル(5)に送られ
る。整合回路(9)の構成は、調節可能なパワー密度(power density)によって閉じ
込められたrfプラズマがコイルの内側、プラズマ管(4)の中に維持されるように
なっている。
この閉じ込めは、整合回路により行われており、その結果rfコイルは、変成器
結合(trasformer coupling)で地面から電気的に絶縁されている。rf誘導コイル
は金属製真空クロス(3)に直接結合されていない。そのため、誘導コイルにわた
って発生される完全なacポテンシャルは誘導コイルと金属製真空クロス(3)(大地
基準)との間には出現しない。さらに、コイルからプラズマへのキャパシタンス
及びコイルから大地へのキャパシタンスはコイルの中心に対して平衡となってい
る。したがって、rfプラズマコイルの中心が、事実上の大地(ground)として出現
する。即ち、いつでもこの点とアース大地との間には電圧は存在しない。この点
から大地に接続される電線では大地へ電流が流れない。rfコイルの一端が大地に
連結される通常の構成では、大地基準でも、コイル領域から金属製真空容器(3)
に向って延びるrf放電が生じる。該従来の構成では、より高い電力と入力すると
、より大きい体積のガスを励起することになる。その結果、パワー密度のゲイン
は一次直線を下回る(sub-linear)。しかし、図2に示す本発明の閉じ込められた
装置の場合は、電力をいくら増加させても同じ励起体積が維持されるので、パワ
ー密度は印加される電力とともに一次的に増加する(linear increase)。
本発明では、水の放電は、低密度プラズマ(17)内に埋没した形で高密度プラズ
マ(16)を含んでいる。高密度プラズマ(16)は高温微細化領域と同等であり、ガス
を効率的に解離する。低密度プラズマ(17)は、ダイヤモンド成長の点では効率が
良くないが、本発明では極めて重要な機能をはたす。該低密度プラズマは反応管
の横断面のほとんど100%を占めるので、水系溶液が高密度プラズマに入って行
く前に水系溶液をH2、CO、C2H2、CH4等に転換する。図2は高密度プラズマ(16)
を囲む低密度プラズマ(17)の相対的位置を示している。高密度プラズマの回りに
低密度プラズマが空間的に存在することは、純粋に診断の目的のためにArのrfプ
ラズマを調べたアモリム(Amorim)らによって報告されている(J.Vac.Sci.Tech
nol B9,362(1991))。アモリムらは、一旦誘導結合が達成されると、中にAr高密
度プラズマが埋ったAr低密度プラズマが存在することを示した。Ar高密度プラズ
マは約1012/cm3の電子密度を有し、他方Ar低密度プラズマは約1010/cm3の電子密
度を有する。
従って、本発明のrfプラズマ装置は,水系原料を広い体積にわたる低密度プラ
ズマ(17)によって転換する手段(転換領域(1))と、高密度プラズマ(16)から原子
状水素を発生する手段(水素持参化領域(2))との両方を提供するものである。素
通りないしは迂回のルートはまったくないので、原料ガスはすべて転換又は水系
微細化領域を通過する。
非接地の誘導結合のほかに、本発明に適用できる他の機構は高いQ値(回路内
に貯えられたエネルギー/消失したエネルギーの比)を有する高周波回路である
。ここで、“Q”は前述した移転パワー密度を理解するのに必要である。反応す
る化学種に容量的に、抵抗的に又は誘導的に結合された、高“Q”共振トランス
ミッションラインセグメントは、図2により本発明で説明される高“IQ”同調回
路
についていくつかの選択を与える。
図3に、プラズマガスに容量結合した共振トランスミッションラインセグメン
トを示す。短絡トランスミッションラインセグメント(18)は、負荷がプラズマイ
ンピーダンスと短絡トランスミッションライン上のI-V関係と釣り合う、ある点
Pで電気的に連結されている。プラズマは前述の反応ガスで再び充たされること
になる排気された容器(19)内にある。基体(20)は誘電壁(22)と接触している。平
板電極(21)は誘電璧(22)と物理的に接触している。誘電壁(22)は電気的破壊、及
びその結果起こるトランスミッションラインセグメントの電気的短絡を防止する
。rf発振器(23)は、図3に示すように、ある点Cで接続され、トランスミッショ
ンラインセグメント(18)への最適なパワー移転を確保している。ガス注入口(24)
は、原料が低密度プラズマ(25)と高密度プラズマ(26)を通過するように、ガスを
排気された容器に導入する。
図4には、共振トランスミッションラインセグメントが、プラズマへの抵抗結
合と共に示されている。短絡トランスミッションラインセグメント(18)は、負荷
がプラズマインピーダンスとこのライン上I-V関係と釣り合うところのある点P
で電気的に結合されている。プラズマは、前述の反応ガスで充填し直されること
となる排気された容器(27)の中に含まれている。基体(20)は、板状電極(28)の上
に置かれる。板状電極は、プラズマガスと物理的に接触して置かれ、該ガスを介
して電流を生じさせるようになっている。rf発振器(23)は、図3によれば、トラ
ンスミッションラインセグメント(18)への最適なパワー移転を確保するある点C
で結合されている。該抵杭結合により、反応容器内の電極(28)間にrfアーク放電
が生じる。このアーク放電は反応物を原子化する。こうして、本発明のこの実施
態様によれば、rfアーク放電は水系原子化領域(1)として働く。
本発明によると、離れた転換領域(30)で原料ガスの転換が起った後、原料ガス
はrfアーク放電(29)に導入される。図1における転換領域(1)として機能する転
換セル(30)が図4に示されている。ガス転換セル(30)に適する一装置は加熱炉で
ある。この利用に適した別の装置はdcグロー放電管である。さらに、この利用に
適した別の装置はrf容量放電管(rf capacitive discharge)である。
図5において、共振トランスミッションラインセグメントは、プラズマガスに
誘導的に結合されていることが示されている。この構成は、rf誘導コイル(5)と
整合回路(a)が短絡トランスミッションラインセグメント(18)で置換えられてい
る以外は、図2の構成とほぼ同じである。この構成では短絡トランスミッション
ラインセグメントを流れる高循環電流を用いて、誘導結合に必要な強力な磁場を
発生する。短絡トランスミッションラインセグメント(18)は、ガス供給路とポン
プへの出口をもったプラズマ管(4)の回りを通っている。排気容器の壁は、短絡
トランスミッションセグメント(18)内の高い循環電流に伴う極めて強い交流磁場
に、低インピーダンスプラズマに誘導結合するパワーを与えるようなものである
。rf発振器(23)は、図5に従い、トランスミッションラインセグメント(18)への
最適なパワー移転を確保するある点で結合されている。
プラズマガスへの効率的なパワー移転を得る別の方法は、周波数とチャンバ内
の物理的な寸法が適切に釣合っている共振キャビティを用いることである。rf周
波数のため、この方法では、大容量のチャンバが必要である。ダイヤモンド蒸着
の分野が進展するにつれて、規模の経済性のために、大面積のダイヤモンド蒸着
が必要とされる。4mを超える寸法のこのようなrf共振キャビティは、現在小面
積のダイヤモンド蒸着に用いられているマイクロ波共振キャビティとは、かなり
大きさが異なる。従って、大面積のダイヤモンド蒸着のためには、大きな寸法が
、大面積に一様な蒸着を生成するのに必要である。このような共振キャビティの
主な寸法は、W、P、L、C1、C2及びDの寸法に依存している。WはLと比例
して一般に小さい値である。Pはプラズマガスに最良のパワー移転を確保するよ
うに変えられる結合調節部である。C1とC2もプラズマガスに最良のパワー移転
を保証するように変えられる結合調節部である。Lは運転周波数の長さ特性
kは通常1に等しい比例定数、nは1,2,3等の整数、λは選択された周波数
の自由空間波長(free space wavelength)であり、νは速度係数であって、ト
ランスミッションラインの寸法と構造体の材料に依存する。C1、C2及びDはプ
ラズマガスへの最良のパワー移転が起こるように変えられる。図6はこの方法の
説明例を示す。他の共振キャビティ構造も可能である。基体(20)は凹角ステージ
(re-entrant stage)(32)上
の排気容器(31)の内側に置かれる。rf発振器(23)は寸法C1とC2とにより決定さ
れる点で共振キャビティに結合される。rf電力を適用すると、水素原子化領域
(2)として働く高密度プラズマ(33)が励起される。投入原料はガス入口(34)を通
って排気容器に入る。
図6の実施態様では、原料ガスがrf共振キャビティに導入される前に、離れた
転換領域(35)内で原料ガスの転換が起こる。図6に転換領域(1)を示す。ガス転
換に適する一装置は加熱炉である。この目的に適した別の装置はdcグロー放電管
である。さらに、この目的に適した別の装置はrf容量放電管である。この適用に
転換が必要かは、キャビティ励起の正確なモードに依存する。モードによっては
、素通りを防止することによって転換領域を設けることが不要になるプラズマの
幾何学的配置が生じる。
図1に関連して、水/アルコール蒸気プロセス(本発明の好ましい一態様)は
、水からCOへのOの転移を実現する適当な手段が存在するならば、水素を原子
化することができる十分なパワー密度が存在する他の電気的放電において実施す
ることができる。水系方法をこうした他の装置に適用する際には、本発明により
達成されるような適切な転換が保証されなければならない。誘導プラズマには、
この方法にとって不可欠である転換セルを提供する広範囲にわたる低密度プラズ
マが存在する、という明確な利点がある。ガス状供給物として水系溶液を受入れ
る非誘電装置は該転換を実現するように設計されなければならない。最も簡単な
機構はダイヤモンド装置の外部に転換領域を設けることである。dcグロー放電、
rf容量プラズマ及び加熱炉のような穏和な温度装置がこの目的に適する。
熱力学的データから、COの生成により得られる化学的ポテンシャルによって
穏和な温度(1000K)で転換が起こることが可能となる。即ち、転換セルは水素
原子化領域程“熱い”必要はない。気相中の炭素は化学転換を受ける(carbon i
n the gas phase has on chemical conversion)という明確な効果を確認するに
は、レーデ(Lede)らの熱力学的計算を調べ(Int.J.Hydrogen Energy 7,939
(1982))(図7)、そしてその結果をガルシャ(Garcia)とラボーデ(Laborde
)の結果と比較されたい(Intl.J.Hydrogen Energy 16,307(1991))(図8
)。これらは平衡状態での計算である。これらの結果は、反応物がまったく入
ってこず、生成物がまったく容器から出て行かない滞留した環境において生成物
の分布はどうであるかを示すものである。これらの結果は、重要な反応物が入っ
て来、また出て行くダイヤモンド成長反応器内での経験から明確に区別できるけ
れども、化学的な傾向についてのガイドラインを示すものである。レーデらは、
ソーラー・コンセントレイター炉(solar-concentrator oven)中で水から分子
状水素を生成する効率を評価するために、H2O蒸気中で利用できるH2のモル分
率を温度の関数として計算している。モル分率0.1のH2を生成するのに2800Kを
超える温度が必要であることに留意されたい。ガルシャとラボーデは、アルコー
ルの蒸気改質(reformation)から代替燃料の合成を改良する目的で、H2Oとエ
タノール(C2H6O)の混合物からの分子状H2の発生を計算している。エタノ
ールを添加した場合、モル分率0.1のH2はかなり穏和な温度(650K)で達成
される。COが生成されると、逆反応(2H2+O2=2H2O)が起こるのが防
止される。COの生成により、極めて頑丈なC=O結合が生成するので化学系の
エネルギーも低下される。
本発明の好ましい実施態様では、水はアルコールと混合されるが、その場合ア
ルコールはダイヤモンド蒸着に必要な炭素を供給する。アルコール類は水中で混
和性であり、それ故にマニホールドで操作する必要がない便利な炭素源である。
メタノール、エタノール及びプロパノールは水中で混和可能であり、このような
アルコール類は本発明の方法で成長に必要な炭素化学種を提供する。黒鉛をエッ
チングする、純水の放電は、黒鉛に隣接する基体上にダイヤモンドを蒸着しない
。炭化水素源(即ち、該アルコール)から与えられる追加の炭素がないと、Oと
しての酸素またはHがダイヤモンドの種(seeds)をエッチングし、ダイヤモン
ドの成長を許さない。見たところ、気相へのアルコール添加割合を増すことで酸
素エッチングを補償することができるように思われる。しかし、炭化水素源の添
加割合を増すと、原子状水素の供給が減少する。気相中の遊離炭素はC2H2のよ
うな安定炭化水素を形成して原子状Hを清掃してしまう。この遊離炭素の水素化
により気相から原子状水素がかすみ取られるのである。十分な原子状水素がない
と、ダイヤモンドの成長は共存する非ダイヤモンド相によって品位が低下する(
前述のヤーブロー(Yarbrough)の文献参照)。従って、原子状Hを清掃する
過剰の炭素でガス流を汚すことなく、酸素の転移を完了にするのに十分な炭素を
転換プロセスに供給することが重要である。
アルコール類は、単に、OHで末端が停止した完全飽和炭化水素鎖である。表
Iに、水/アルコール溶液がダイヤモンドを蒸着するパラメータの範囲を挙げる
。表Iに、本発明者らによりダイヤモンド成長が実証された好ましい範囲も挙げ
る。アルコール類ではなく、炭化水素を対応するように水で適当に希釈したもの
は普通のアルコール類と同等のC/O比を与える。したがって、水とは別に計量
した炭化水素を反応チャンバ内に入れることも本発明に利用可能である。炭化水
素は広範囲の様々なH/(C+H)比を有し、酸素を有しない。以下に、いくつ
かのありふれた炭化水素をH/(C+H)比とともに示す。
CH4 0.80
C2H4 0.66
C2H6 0.75
C3H6 0.66
C3H8 0.72
アルコール水の結果からC/O比0.55が高品質のダイヤモンド成長をもた
らすことがわかる。CH4−H2Oでは、投入原料気相に65%のH2Oが必要で
、その結果水素濃度は73%になる。C2H2−水ではC/O比0.55で、投入
原料ガス相に78%の水が必要になり、対応して62%の水素濃度となる。表II
Iに本発明に利用できる炭化水素のリストを示す。表IIIに、好ましいC/O比0
.55においてこれらの炭化水素の各々のH原子濃度を示す。
本発明の別の好ましい実施態様は酢酸のような酸を水混合物に添加して原子状
水素の好都合な供給源とすることである。酢酸(CH3COOH)はCOOH部
分を含み、そのCOO−H結合強度はHO−Hの結合強度の−1/10である。
従って、CCOHのラジカルはプラズマ放電において容易に原子状水素を成長表
面に供給する。さらに、酢酸のハロゲン化(CH2ClCOOH又はCHCl2COOH)は、親の
酢酸基内においてさえCOO−H結合を弱める。従って、クロロ酢酸又はジクロ
ロ酢酸を成長プロセスに添加すると、COOH結合を弱めることによって原子状
水素の供給をさらに増強する。
これらの原理を一層よく理解するように、私達は次の実施例を示す。分子状水
素ダイマーの結合解離エネルギー、H−H(104 Kcal/mol)と水のそれ、HO−
H(119 Kcal/mol)とは同等であり、OHとHのどちらもダイヤモンドプロセス
において同じ役割を果たすことができる。しかし、水の放電(プラズマ)に由来
するOH自身は長寿命種であって、他の化学種に対して長寿命環境を提供する。
すなわち、本発明者らの実験観察によれば、水系プロセスからの高品質ダイヤモ
ンドの成長に必要な原子状水素およびOHの数の臨界値は、分子状水素系プロセ
スに比べて、かなり低いプラズマパワーおよび反応器内圧で達成することができ
る(比較例3参照)。H原子とCOO−H単位との間の結合エネルギーは12kcal
/molである。結合エネルギーは解離については指数関数の形となることを想起さ
れたい。指数における9倍という変化は解離速度の莫大な増加(約8000倍)を表
わす。
プロセスのさらなる改善はクロロ酢酸の使用により、またはさらにジクロロ酢
酸の使用により達成される。そのような場合、電気陰性度のより高い種(Cl)
で酢酸分子のメチル基中の水素を置換したことにより、OH基中の水素の結合は
なお一層弱まる。
別の実施態様としては、過酸化水素又はヒドラジンを前記水溶液に添加するこ
とでも、前記成長面へのHおよびOHの好都合な供給源を与える。これら化合物
は酸と同様、典型的には水をベースとする形で製造業者から供給される。このベ
ースとしての水(水ベース)は該化合物を室温・室圧での自然反応に対して安定
化する。製造業者から供給される該水ベースは本発明による水系ダイヤモンド成
長と適合性をもつことは明らかである。該水ベースはこれら反応物N2H2および
H2O2)を室温・室圧で安定化するが、これら反応種のプラズマ領域への導入は
HおよびOH基が効率的に生じるようになされなければならない。
上で説明したように、酢酸のような酸を水系混合物に添加しても好都合な原子
状水素源を提供できる。水/アルコール溶液に添加された有機酸類はダイヤモン
ド成長を高める。酢酸CH3COOHが水/メタノール溶液に添加された。メタ
ノールと酢酸は近接した化学的構成を有していると仮定して、酢酸の水溶液から
のダイヤモンド成長が評価された。蒸着はまったく観察されなかった。20〜8
0%の酢酸水溶液が試験された。しかし、水に酢酸を添加したことによって誘導
結合を得るに必要なパワーレベルが低下した。酢酸は低いイオン化ポテンシャル
を持つのである。気相にそれを添加すると、磁力、起電力によってイオン化を支
えるに必要な磁場強度が低減される。
水系方法を酢酸を使って用い、ダイヤモンド成長に求められるパワー要件を低
減した(実施例5参照)。したがって本発明によれば、ダイヤモンド結晶から不
純物原子(特にOとH)を排除することに関係した物理的条件に応じて極めて低
い温度で成長を行うことが可能である。135℃程度の低温でのダイヤモンド成長
が東京大学のコミヤマ(Komiyama)教授により報告されている(Diamond Deposi
tions:Science and Technology,15,(1991年8月))ので、このような低温
範囲で不純物原子を取除くことが可能であることは明らかである。ダイヤモンド
結晶が成長している時にそれからOとHを低温で除外する機構が2つある。1つ
の機構は、O及びH停止化学種(O and H terminating species)を成長表面か
ら純粋に熱的に脱着することである。他の機構は、O及びH停止化学種を成長表
面から化学的に抽出することである。前者の機構は600℃を超える温度で起るの
で、低温では有効でない。化学的抽出機構は、ダイヤモンドについては実証され
ていないが、Si(100)表面からのHの抽出について研究された。これらの機
構は20kcal/mol未満の活性化エネルギーであるので、低温でも有効である。
低温では、水系方法は成長表面から水を取除かなければならない。水は低温で
物理吸着し、ダイヤモンド表面をおおい隠して炭素ラジカルが加わるのを妨害す
ることでダイヤモンド膜の成長を阻害する。ステンレス鋼、アルミニウムのよう
な金属から物理吸着した水を熱的に脱着することが研究された。水はこれらの表
面から55℃を超える温度で脱着する(S.J.Pang他、J.Vac.Sci.Technol.A5,
2516)。85℃で最高の脱着が観測された。したがって、55℃より高い温度で
ダイヤモンドの成長を行うと、成長表面への水の物理吸着による成長阻害はない
。よって、本発明によるダイヤモンド成長は55℃〜1100℃、好ましくは、250
℃〜1000℃の温度範囲、0.005〜760Torr、好ましくは0.3〜5Torrの圧力におい
て実施される。
実施例
以下に実施例を示して本発明を説明するが、決して本発明を限定するものとし
て解釈されるべきではない。実施例1
図1に示した閉じ込められたrfプラズマ系をこの実施例に使用した。ダイヤモ
ンド粉末で研磨したシリコンウエハおよび黒鉛繊維をこの系に導入した。試料を
rf誘導コイル(5)のちょうど下にあるプラズマ管の(4)の中へ挿入した。rf誘導コ
イル(5)内の高交流磁場により黒鉛中に誘導された電流で加熱される黒鉛サスセ
プター(6)の上に、試料を置いた。ターボモレギュラーポンプ(11)の前方に位置
する系圧力制御バルブ(15)で吸入排出を制限してチャンバ内の圧力がダイヤモン
ド蒸着の間 1.0Torrに維持されるようにした。ダイヤモンド蒸着を開始するため
に13.56MHzのrf信号をrf誘導コイル(5)に供給した。
本発明を実施するのに使用されるガスは、水/アルコール溶液を保持容器中で
混合して調製した。内部を真空に排気した容器(貯蔵タンク(13))を保持容器中
へ沈めた後に開放して水アルコール混合物をタンクの中へ導き、次いで閉じてこ
の混合物を成長反応器へ移るようにした。20%メタノールおよび80%水を含む体
積混合物を貯蔵タンク(17)の中へ吸い上げた。本発明を実証するのに使用された
水80%の溶液では、気相中の投入水蒸気濃度が47%になった。L/O比は0.53であ
った。連結ラインを成長反応器に一旦取り付けると、リークバルブ(12)を開けて
連結ラインを真空容器(3)に排気した。その時リークバルブ(12)を閉め、貯蔵タ
ンクを開け、そしてガス混合物をリークバルブ(12)を平衡させた。リークバルブ
(12)を開けて、水/アルコール混合物を真空チャンバ内へ入れた。リーク速度を
約20sccmに調節した。プラズマ系の圧力を1.00Torrに調整した。一般に行われる
ように、貯蔵タンク(13)の取り付け後の手順として、チャンバ内の圧力もダイヤ
モンド成長に指揮した圧力に設定する前に30分間リークバルブ(12)を通してポン
プで吸引した。この処理によって貯蔵タンク(13)を満たす間にトラップされた空
気を除去した。
rf電力を、1000から1500Wの間でrfコイルに供給した。この電力量は、あざや
かな冷光を発する誘導プラズマを維持するのに充分であった。水蒸気アルコール
プラズマからの発光から、OHの放射(emission)だけでなく、656nmの原子状水素
の放射(emission)したこともわかる。原子状酸素が放射された証拠は見られなか
った。これは、O2ではなくCOへの転換が起こっていることの直接的な証拠を提供
するものである。利用可能な炭素源がない条件下で純水を放電すると、H2および
O2の副生物が生成する。試料の温度はこの実験の間中、およそ600℃であった。
蒸着工程を2時間続け、その時点で試料を冷却し、取出し観察した。
図9にこの試料から得られたラマンスペクトル(メタノール/水と表示)を示
す。1332cm-1の線によって証明されるように、ダイヤモンドの蒸着が明白である
。図10は水/メタノール、水/エタノール、および水/イソプロパノールを用い
て成長させた三つの膜を一緒に示した図である。この図は本実施例で用いた水/
メタノール混合物から蒸着させた結晶のSEM写真(図10a)を示す。実施例2
実施例1に従う同様の手順を用いて、エタノール20%および水80%を含有する
液体混合物から流出する蒸気で、ダイヤモンドを蒸着させた。発明を実証するの
に用いた水80%溶液により、気相中の投入水蒸気濃度は66%になった。C/O比は0
.68であった。リーク速度は、約20sccmに設定した。圧力は1.0Torrに維持した。
コイルに印加したrf電力は、1000から1500Wの間であった。試料温度は、この実
験の間、およそ600℃であった。2時間後、試料を観察するため、系から取り出
した。
図9にこの試料から得られたラマンスペクトル(水/エタノールと表示)を示
す。1332cm-1の線により証明されるように、ダイヤモンドの蒸着が明白である。
図10は、水/メタノール、水/エタノールおよび水/イソプロパノールで成長さ
せた三つの膜を一緒に示した図である。この図は、今回の成長で使用した水/エ
タノールから蒸着させた結晶のSEM写真(図10b)を示している。実施例3
実施例1に従う同様の手順を用いて、イソプロパノール20%および水80%を含
有する液体混合物から流出する蒸気で、ダイヤモンドを蒸着させた。発明を実証
するのに用いた水80%溶液により、気相中の投入水蒸気濃度は、83%になった。
C/O比は0.51であった。リーク速度は、40〜20sccmに設定した。圧力は1.0Torr
に維持した。コイルに印加したrf電力は、1000から1500Wの間であった。試料温
度は、この実験の間、およそ600℃であった。2時間後、試料を観察するため、
系から取り出した。
図9に、この試料から得られたラマンスペクトル(水/イソプロパノールと表
示)を示す。1332cm-1の線によた証明されるように、ダイヤモンドの蒸着が明白
である。図10は、水/メタノール、水/エタノールおよび水/イソプロパノール
で成長させた三つの膜を一緒に示した図である。この図は、今回の成長で使用し
た水/エタノールから成長させた結晶のSEM写真(図10c)を示している。実施例4
多結晶ダイヤモンド膜の製造のほかに、ホモエピタキシャル層を、水/メタノ
ールおよび水/エタノールを用いて蒸着させた。エタノールを用いたホモエピタ
キシャル成長は、実施例1〜2と同様の手順に従った。エタノール試料では、最
も形の整った地形を有した。蒸着層のラマン分析によれば、出発基体に匹敵する
きわめて狭い半値幅(FWHM)を示された。非晶質炭素または黒鉛は検出されなかっ
た。天然ダンヤモンド結晶上の成長により、比較的滑らかなホモエピタキシャル
ダイヤモンド膜が製造された。図15は、天然ダイヤモンド結晶上の成長から得ら
れたラマンデータを示す。蒸着した膜の表面近傍を微小焦点(Micro-focus)、ラ
マンを使って調べた。その半値幅は、基体の2.75cm-1に対して2.6cm-1であった
。したがって、水/エタノールでの蒸着物の品質は元の基体より高かった。また
、図11は、ダイヤモンドエピタキシャル表面のSEM写真を示す。該表面は若干ま
だらな組織、すなわち、SEMによる観察でわかるように、該物質中の低角度の粒
界のために ラスト明瞭な変化を示している。しかし、該表面には多結晶成
長に伴う特徴なまったく見られない。実施例5
実施例1に従う同様の手順を用いて、メタノール20%、酢酸40%および水40%
を含有する液体混合物から流出する蒸気で、ダイヤモンドを蒸着させた。リー速
度は、約20sccmに設定した。圧力は0.5Torrに維持した。コイルに印加したrf電
力は、300から400Wの間であった。試料温度は、この実験の間、およそ300℃であ
った。16時間後、試料を観察するため、系から取り出した。図12に、酢酸、水
およびメタノールを使って350℃で蒸着させたダイヤモンド結晶のSEM顕微鏡写真
を示す。該結晶は、等方性ではない、晶性癖を有する極めて異なる形態を示して
いる。図13に、図12に示した試料のラマンスペクトルを示す。このスペクトルに
は、アモルファス成分は認められず、シャープな1332cm-1のラマン線が示されて
いる。
酢酸、水およびメタノールの混合物により、非常に低い電力量でダイヤモンド
成長が可能である。実際、水:メタノールでは1000W必要であった(実施例1)
のに対し、酢酸:水:メタノール(2:2:1)では、およそ300Wの電力量でダ
イヤモンド成長が達成された。投入rf電力量の低減により、ダイヤモンド成長を
非常に低い温度で行うことが可能になる。比較例1
ダイヤモンド蒸着における水蒸気の重要性を実証するため、本発明の装置で純
メタノールを用いて試料を蒸着させた。成長の条件および手順は、水を除外した
以外は実施例1と同様であった。ほんのいくつかの核形成サイトが認められた。
結晶は十分な切子面をしておらず、多量の非ダイヤモンド結合をもっているよう
であった。比較例2
成長プロセスにおけるアルコールの重要性を実証するために貯蔵タンク中の液
体メタノール量を体積で20%未満として成長を試みたが、いかなる成長も得られ
なかった。成長の条件および手順は実施例1と同様であった。比較例3
本発明によるダイヤモンドの成長をrfプラズマ放電系で実証した。その際に、
本明細書に開示した水系プラズマ方法をH2の方法のダイヤモンド成長と比較した
。このプラズマrf放電系でダイヤモンド成長に必要な電力量および圧力について
両方法を比較してダイヤモンド成長における各方法の効率を求めるのに使用する
。
水/アルコールを用いるこの反応器でのダイヤモンド蒸着の条件と、より一般
的なCH4/H2を用いるこの反応器でのダイヤモンド蒸着の条件とを比較すると、表
IVより、本発明の方法の、水−アルコールダイヤモンド蒸着の条件が、より低
圧、より低い温度、およびより低い電力量であることがわかる。
電力量および圧力の低減という条件にもかかわらず、水の放電によた黒鉛用エ
ッチャント化学種が生成する傾向が確認された。黒鉛の分解を、水系方法と分子
状のH2系方法を対比して測定した。本発明の水/アルコール混合物ではダイヤモ
ンドが0.5mm/hrで蒸着し、黒鉛を25〜50mm/hrでエッチングした。試料(蒸着の
間、黒鉛のサスセプターの上に置かれた)で黒鉛をマスクして黒鉛の分解速度を
測定できるようにするとともに、該試料がダイヤモンド蒸着速度の尺度を与える
ようにした。H/CH4放電でも、黒鉛はエッチングされたが、およそ0.5mm/Hrにす
ぎなかった。この100倍近いの差が、水系方法と水素系方法の有意な差異を反映
している。
上述したこの気化方法が酸素のCOへの転換経路を提供したのである。比較例4
図2に示した本発明の装置に類似した装置において、四極子マススペクトロメ
ーターを用いて、本発明のガス転換傾向と、単純な加熱フィラメント(35)のガス
転換傾向とを比較した(図14参照)。これらの実験では、水/メタノール蒸気を
20sccmの速度、0.5Torrで導入した。ほとんど等量の水とエタノールからなるこ
れらの蒸気は補充ガス供給路(14)を通して入れ、マス四極子(36)でサンプリング
される前に、誘導プラズマまたは加熱フィラメントを通した。加熱フィラメント
または本発明のrfプラズマ装置の間で転換効率を比較する時は、一時にただ一つ
の電力源だけを有効に同時に2以上を有効にしないようにした。加熱フィラメン
トをオンにした時にはプラズマをオフにした。プラズマをオンにした時は、フィ
ラメントをオフにした。
図14に示す装置において、加熱フィラメントは、本発明によるrf誘導プラズマ
と比較して、ほとんどガス転換を示さなかった。図15は、フィラメントが冷たい
状態で、かつプラズマをオフにした状態で、供給された水−メタノール反応物(r
eactant)を四極子でサンプリングしたもののマススペクトルである。図16は、水
−エタノール原料が加熱フィラメント(1700℃)を通過した時に四極子でとられ
たマススペクトルである。そして、図17は水−エタノール原料がrfプラズマを通
過した時に、四極子でとられたマススペクトルである。これら図から、本発明に
よりガスが転換される効率がわかる。これらは加熱フィラメントはガス転換に不
十分であることを示している。rfプラズマではアルコールが完全に転換され、水
の濃度は初期値の10%に減少し、その結果水蒸気は、全圧のほんの5%を占めた
にすぎなかった。加熱フィラメントでは、ほんの少量のアルコールがCoに転換し
、水は初期値の60%に減少したにすぎず、したがって水蒸気は、全圧の30%を占
めた。即ち、投入原料を転換する点において本発明のrfプラズマを実施した方が
、はるかに効率的であった。より重要なことは、この転換は、水の酸素をCOの酸
素に転移させることによって、ダイヤモンド成長表面に利用できる反応性酸素濃
度を減少させたことである。加熱フィラメントの転換領域の小空間と、低圧カプ
ラズマの転換領域の大空間とを対比すれば、本発明の態様が好ましいことがわか
る。低圧力rfプラズマは、反応容器の広い体積を占める。高密度プラズマの外側
には、低密度プラズマが存在する。低密度プラズマは、反応化学種がダイヤモン
ドが作られる高密度プラズマ領域へ入る前に転換を完了するか、あるいはほとん
ど完了するのに十分に高温で効果的である。本発明の装置では、この低密度rfプ
ラズマ領域が、反応管の横断面全体にわたって占める。反応器に入る原料ガスは
、基体へ到達する前に低密度および高密度のプラズマを横切る。
図17においては、酸素のCOへの転移を完了するのに十分な炭素が反応器に供給
されなかったことに留意頂きたい。O2の存在が証明するように、これらの条件下
では過剰のO2が存在した。こうした条件下では、ダイヤモンドの成長は可能では
なかった。本発明者らは試料をダイヤモンド蒸着プロセスに対して炭素を与えな
いモリブデン担体上の原子化領域に導入することにより、こうした条件下でのダ
イヤモンド成長を試みた。実際、本発明の装置では、O2の生成が明確では
ない条件下においてのみダイヤモンド成長が進行する。図18はこのような状態の
1つである。図18では、O2の生成を排除する追加の炭素が黒鉛基体支持体(本実
験ではモリブデン担体の代わりに用いた。)のガス化により供給された。
この研究において、利点の相対的な数値化を行った。利用できる炭素が存在し
ないと、水を転換すると(レーデ(Lede)の熱力学的計算により証明されているよ
うに)H2とO2を生成する。一度充分な量の炭素を反応に供給すると、O2はガス状
副生成物としてはもはや認められない。むしろ、COが主要な生成物で、O2の生成
を排除するのに必要な量を越えて過剰の炭素を供給すると、C2H2の生成を伴う。
転換されたガス原料がCOの約1/5のC2H2を含有する条件下で、高品質のダイヤ
モンド成長が起こる。下流でのガス流中にC2H2があることは、熱力学系が炭素原
子を有する分子(CO、CO4)に関して飽和していることを示す。比較例5
本発明者らが気相中の水蒸気を高濃度にして、実験を行ったところ、タングス
テンフィラメントが高温において水蒸気により急速に消耗することが本発明者ら
による研究からわかった。こうした実験は比較例4の実施中に行なった。一つの
実験では、純粋なタングステン(w)フィラメントが約50%の水と50%メタノール
(気相)の中で、その温度が1200℃に達する前に切れてしまった。別の実験では
、炭素で処理されたタングステン(w)フィラメントが同様の雰囲気中で、1700℃
の温度で、約1mil/minの速度で浸食された。したがって、直径15milのフィラメ
ントは、1700℃で15分間より長くはもたなかった。加熱フィラメント系に導入す
る前に原料ガスの転換を行わない場合には、フィラメントが浸食するという問題
はなかった。比較例6
これまでの研究において、コマキ(Komaki)は、H2OをH2とCOに十分に転換する
ことを確実にする手段を一切用いずに、水系溶液を使用した(コマキ、日本国特
開昭62〔1987〕−180060号参照)。それにおいてフィラメントは反応器の小さな
部分を占めただけであった。投入した水−エタノール原料は、部分的に加熱れた
フィラメントと相互作用する一方、他の原料は加熱フィラメント領域を完全
にバイパスした。転換が起らず、したがって、H2O分子からCOへの酸素の転移も
起らないので、この研究は、蒸着プロセスが酸素で被 するのをまぬがれなかっ
た。
簡単なタングステン(w)フィラメントを用いた本発明者らによる研究(コマキ
が行ったような)ではダイヤモンド成長は起らなかった。本発明者らはコマキの
特許出願の“実施例2”を次の条件で繰り返した。
1. 80Torr
2. タングステン(w) フィラメント 2100℃
3. 40sccm エタノール
4. 18sccm 水
5. 基体:1μmのペーストを有するダイヤモンドで研磨したシリコン(Si)
6. 基体温度:650℃
本発明者らの研究を図19に示すチャンバ内で行った。寸法10cm×10cm×10cmの
チャンバに、支持体(6)の上に置かれた基体から約2mmのところに配置されたタ
ングステンフィラメント(37)を備えたものを使用した。ガスをチャンバの中へガ
ス入口(38)を通して、流量調節計で水とアルコールを独立に制御しながら計り入
れた。該ガスは、排気口(39)を通して排出した。上に挙げた条件を達成した後、
1時間一定に保った。本発明者らは比較例6ではダイヤモンド物質を得られなか
った。無視できないほどタングステンで汚染された炭素質の蒸着が認められた。
XPS表面分析を行ったところ膜表面上には主成分の炭素、シリコンおよび酸素と
ともに5%のタングステンの存在が示された。炭素1S光電子からの光電子損失構
造は、該物質はダイヤモンドの証拠とはならない、有意なSP2特性を有すること
を示した。SEM写真には、非常に細かい粒子状物質が示され、高い結晶値の物質
ではないことが示された。ラマン分析から、該物質は1360cm-1に不規則で大きい
黒鉛ピークをもつ微粒子状黒鉛であることはわかった。図20はこの試料のラマン
スペクトルを示す。
上述の開示に照らして本明細書に説明した本発明の多様な改変および変形が可
能であることは明らかである。したがって、本発明は、添付した請求の範囲内に
おいて、本明細書で具体的に言及した以外の形でも実施できることは理解される
べきである。
【手続補正書】特許法第184条の7第1項
【提出日】1995年4月24日
【補正内容】
請求の範囲
1.基体の表面上にダイヤモンド膜を蒸着させる水系方法であって、
投入口、該投入口に連結された転換領域、前記転換領域に連結された解離領域
、前記基体が中に配置される蒸着領域、および出口を含む蒸着装置を提供し;
気体体積百分率で少なくとも20%の水および炭素前駆体含有化合物で構成さ
れる原料気相混合物を、前記投入口の中へ、前記混合物の前記転換領域を通る正
味の流れが存在し、かつ解離領域を通り、蒸着領域内の前記基体を通過し、出口
を通る正味の流れが存在するような流量で導入し;
前記混合物が転換領域を通って流れるにつれ、前記混合物を反応させて、炭素
原子を含有する分子に関して飽和され、そしてH2、CO、CH4(若干の残留水
を含む)を含み、実質的にO2を含まない反応体化学種を生成させ、そして前記
反応体化学種は前記解離領域へ流れ;
前記反応工程で生成された該反応体化学種を、該解離領域で解離させて、OH
化学種、H化学種および炭素化学種を生成させ;そして
該解離反応体化学種を、前記蒸着領域内の前記基体へ供給して、前記基体の表
面上にダイヤモンド膜を生成させることを含む方法。
2.基体の表面土にダイヤモンド膜を蒸着させる水系方法であって、
投入口、該投入口に連結された転換領域、前記転換領域に連結された解離領域
、炭素源を含み前記基体が中に配置された蒸着領域、および出口を含む蒸着装置
を提供し;
気体体積百分率で少なくとも20%の水および炭素前駆体含有化合物により構
成される原料気相混合物を、前記投入口の中へ、前記混合物の前記転換領域を通
正味の流れが存在し、かつ解離領域を通り、蒸着領域内の前記基体を通過し、そ
して出口を通る正味の流れが存在するような流量で導入し;
前記混合物が転換領域を通って流れるにつれ、前記混合物を反応させて、H2
、CO、CH4、(若干の残留水を含む)を含み、実質的にO2を含まない反応体
化学種を生成させ、そして前記反応体化学種は前記解離領域へ流れ;
前記反応工程で生成された該反応体化学種を、該解離領域で解離させて、OH
化学種、H化学種および炭素化学種を生成させ;そして
該解離反応体化学種を、前記蒸着領域内の前記基体へ供給して前記炭素源と反
応させて、O2が実質的に生成されずにC2H2が生成され、そして該解離反応体
化学種は炭素原子を含有する分子に関して飽和され、前記基体の表面上に前記ダ
イヤモンド膜を生成させるようにすることを含む方法。
3.請求項1または2の方法であって、
前記反応工程は、前記原料気相混合物を、前記転換領域を迂回させずに、前記
原料気相混合物により前記転換領域を通過させることを含む方法。
4.請求項1または2の方法であって、
前記反応工程は、プラズマを発生させ、該水系原料気相混合物を反応させて、
前記反応体化学種にすることを含み;そして
前記解離工程は、前記反応工程で発生されたプラズマより、より高密度のプラ
ズマを発生させることを含む方法。
5.請求項1または2の水系方法であって、
前記解離工程は、rf源、マイクロ波源、dcプラズマ源、dcアークジェッ
ト源および加熱フィラメントからなる群から選ばれる源からのエネルギーを当て
ることにより、該反応体化学種にエネルギーを与えることを含む方法。
6.請求項1または2の方法であって、
前記解離工程は、反応体の化学種に、閉じ込められたrfプラズマ放電内でエ
ネルキーを与えることを含む方法。
7.請求項1または2の方法であって、
前記炭素前駆体含有化合物の量を選択して、気相中のC/O比を0.40〜0
.80とすることを含む方法。
8.請求項1または2の方法であって、
前記導入工程は、気体体積百分率で40〜80%の水を有する前記原料気相混
合物を導入すること含む方法。
9.前記請求項のいずれか1項の方法であって、
前記炭素前駆体含有化合物としてアルコールを選択することを含む方法。
10.請求項9の方法であって、
前記アルコールは、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールからなる
群から選ばれる方法。
11.請求項1〜8のいずれか1項の水系方法であって、前記炭素前駆体含有化合
物として炭化水素を選択することを含む方法。
12.前記請求項のいずれか1項の水系方法であって、
前記気相混合物中の水に、有機酸および無機酸からなる群から選ばれる酸を補
足し、それによって原子状水素の生成を高めることを含む方法。
13.請求項12の方法であって、
前記気相混合物中の水に、塩素化有機酸を補足することを含む方法。
14.請求項1〜11のいずれか1項の水系方法であって、
前記気相混合物中の水に、過酸化水素を補足することを含む方法。
15.請求項1〜11のいずれか1項の水系方法であって、
前記気相混合物中の水に、ヒドラジンを補足し、それによって原子状水素の生
成を高めることを含む方法。
16.請求項6の方法であって、
前記反応工程は、体積百分率で40〜80%の水を有する前記原料気相混合物
を生成すること含む方法。
17.請求項16の方法であって、
前記炭素前駆体含有化合物としてアルコールを選択することを含む方法。
18.請求項17の方法であって、前記アルコールは、メタノール、エタノールおよ
びイソプロパノールからなる群から選ばれる方法。
19.請求項16の水系方法であって、
前記炭素前駆体含有化合物として炭化水素を選択することを含む方法。
20.請求項16、17、18または19の水系方法であって、
前記気相混合物中の水に、有機酸および無機酸からなる群から選ばれる酸を補
足し、それによって原子状水素の生成を高めることを含む方法。
21.請求項20の水系方法であって、
前記気相混合物中の水に、塩素化有機酸を補足することを含む方法。
22.請求項16、17、18または19の水系方法であって、
前記気相混合物中の水に、過酸化水素を補足することを含む方法。
23.請求項16、17、18または19の水系方法であって、
前記気相混合物中の水に、ヒドラジンを補足して、原子状水素の生成を高める
ことを含む方法。
24.前記請求項のいずれか1項の水系方法であって、
前記蒸着領域を、55℃〜1100℃の間、そして0.005〜760Tor
rの間の圧力に維持することを含む方法。
25.前記請求項のいずれか1項の水系方法であって、前記蒸着領域を、250℃
〜1000℃の間、そして0.3〜5Torrの間の圧力に維持する方法。
26.前記請求項のいずれか1項の水系方法であって、前記反応工程において、C
Oの〜1/5量のC2H2が生成される方法。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM,
AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C
N,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE
,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,
LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,MW,N
L,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ,VN
(72)発明者 ハドスン,ジョージ・シー
アメリカ合衆国,ノース・カロライナ州
27520,クレイトン,ヘムロック・プレイ
ス 1909
(72)発明者 ヘンドリー,ロバート・シー
アメリカ合衆国,ノース・カロライナ州,
ヒルズボロー,シェイドトゥリー・ロード
2633
(72)発明者 マークナス,ロバート・ジェイ
アメリカ合衆国,ノース・カロライナ州
27514,チャペル・ヒル,ハイドアウェ
イ・ドライブ 5721
(72)発明者 マンティーニ,マイケル・ジェイ
アメリカ合衆国,ノース・カロライナ州
27609,ラーレー,アップルウッド・レー
ン 5910
【要約の続き】
子状水素が生み出される。