JPH0969219A - 磁気記録媒体及びその製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造装置

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JPH0969219A
JPH0969219A JP22176795A JP22176795A JPH0969219A JP H0969219 A JPH0969219 A JP H0969219A JP 22176795 A JP22176795 A JP 22176795A JP 22176795 A JP22176795 A JP 22176795A JP H0969219 A JPH0969219 A JP H0969219A
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JP
Japan
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oxygen
recording medium
magnetic recording
thin film
magnetic
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JP22176795A
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English (en)
Inventor
Hidetoshi Honda
秀利 本多
Jota Ito
条太 伊藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最適な酸素導入量を持った磁性膜の設計を得
て、電磁変換特性の向上とスチル耐久性の向上を図ろう
とするものである。 【解決手段】 非磁性支持体上にCoを主成分とする強
磁性金属薄膜が形成されてなる磁気記録媒体において、
強磁性金属薄膜の表面に表面酸化層が形成されるととも
に、この表面酸化層のうち表面から40nmまでの範囲
にCoに対する酸素の比率が高い酸素ピークを少なくと
も2箇所有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
磁性層として強磁性金属薄膜が成膜された、いわゆる強
磁性金属薄膜型の磁気記録媒体およびその製造装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】例えば、ビデオテープレコーダー(VT
R)等の分野においては、高画質化を図るために、高密
度磁気記録化が一層強く要求されており、これに対応す
る磁気記録媒体として、Co−Ni系合金、Co−Cr
系合金、Co−O系等の金属磁性材料を、メッキや真空
薄膜形成技術(真空蒸着法やスパッタリング法、イオン
プレーティング法等)によってポリエステルフィルムや
ポリアミド、ポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に
磁性層として直接被着した、いわゆる強磁性金属薄膜塗
布型の磁気記録媒体が提案され注目を集めている。
【0003】この強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、
保磁力や角形比及び短波長領域における電磁変換特性に
優れるばかりでなく、磁性層の薄膜化が可能であるため
に記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいことや、
磁性層中に非磁性材料である結合剤等を混入する必要が
ないために磁性材料の充填密度を高くできる等、数々の
利点を有している。
【0004】このような強磁性金属薄膜型の磁気記録媒
体は、磁性層として形成される強磁性金属薄膜の表面の
平滑性が極めて高いため、磁気ヘッドやガイドローラ等
の摺動部材に対する実質的な接触面積が大きく、したが
って、摩擦係数が大きくなり凝着現象(いわゆる貼り付
き)や、磁気記録媒体表面の損傷が起き易く、走行耐久
性に欠ける問題がある。
【0005】そこで、最適な電磁変換特性を得ることが
でき、スチル耐久性も良好であるという特性を両立する
膜構造を実現するために、強磁性金属薄膜に含有される
酸素導入量を規制することにより、最適な酸素導入量を
持った磁性膜の設計が種々行なわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来に
おいては、単層膜、多層膜ともに、同一材料では双方の
最適な酸素導入量を持った磁性膜の設計は実現できてい
ない。
【0007】近年、高画質化の要求が高まってきてお
り、電磁変換特性を向上させなければならないため、ス
ペーシング特性を向上させなければならない。そのため
には、電磁変換特性を重視すると表面酸化層を薄くすれ
ば良いわけであるが、表面酸化層が薄くなってしまうと
スチル耐久性に問題を生じてしまう。
【0008】一方、スチル耐久性を重視した場合、表面
酸化層が厚くなってしまうことによりスペーシングロス
が大きくなり電磁変換特性を劣化させる問題を生じてし
まう。
【0009】このように、従来においては、スペーシン
グ特性を向上させるとともに、表面酸化層を良好に制御
して、高電磁変換特性とスチル耐久性の両者をバランス
良く確保することは、非常に難しいとされている。
【0010】そこで、本発明は、最適な酸素導入量を持
った磁性膜の設計を得て、電磁変換特性の向上とスチル
耐久性の向上を図ることが可能な磁気記録媒体及びその
製造装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成するために鋭意研究の結果、強磁性金属薄膜の
表面酸化層によるスペーシング特性を向上させ電磁変換
特性を向上させながらも、表面酸化層のCoに対する酸
素の比率(Co酸化度)と、磁性層の厚みを制御するこ
とにより、最適な高電磁変換特性とスチル耐久性の両方
を確保することが可能となることを見い出し、本発明を
完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明にかかる磁気記録媒体
は、非磁性支持体上にCoを主成分とする強磁性金属薄
膜が形成されてなる磁気記録媒体において、強磁性金属
薄膜の表面に表面酸化層が形成されるとともに、この表
面酸化層のうち表面から40nmまでの範囲にCoに対
する酸素の比率が高い酸素ピークを少なくとも2箇所有
することを特徴とする。
【0013】ここで、前記酸素ピークにおいて、Coに
対する酸素の比率が50%以上であって、且つ、Coに
対する酸素の比率が50%以上である領域の厚さが40
μm以下であることを特徴とする。
【0014】他方、本発明にかかる磁気記録媒体の製造
装置は、冷却キャンの周面を走行する非磁性支持体上に
対してCoを主成分とする強磁性金属薄膜が形成されて
なる磁気記録媒体の製造装置において、冷却キャンの周
面に対向する位置に非磁性支持体の薄膜形成範囲を覆う
マスクが少なくとも2つ別々に設けられるとともに、こ
れらの各マスクの近傍に各々酸素ガス導入管が配設され
てなることを特徴とする。
【0015】ここで、少なくとも1つのマスクが、開口
窓を備えこの開口窓に対して開閉動作することにより強
磁性金属薄膜の厚さを調整する膜厚調整部材を備えてな
ることを特徴とする。
【0016】本発明が適用される磁気記録媒体は、非磁
性支持体上にCoを主成分とする磁性層として強磁性金
属薄膜が酸素ガス混入雰囲気下で形成される磁気記録媒
体である。
【0017】強磁性金属薄膜は、CoあるいはCo−C
r系合金、Co−Cr−Ni系合金、Co−Ni系合金
等のCo系合金を蒸着源として、酸素ガス混入雰囲気
下、真空蒸着を行うことで成膜されるものである。
【0018】これらの単膜層であってもよいし多層膜で
あってよい。さらには、非磁性支持体と強磁性金属薄膜
間、或いは多層膜の場合には、付着力向上、並びに抗磁
力の制御等のため、下地層、中間層を設けてもよい。
【0019】強磁性金属薄膜の形成の手段としては、真
空下で強磁性金属材料を加熱蒸発させ非磁性支持体上に
蒸着させる真空蒸着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電
中で行うイオンプレーティング法、アルゴンを主成分と
する雰囲気中でグロー放電を越こし生じたアルゴンイオ
ンでターゲット表面の原子をたたき出すスパッタ法等、
いわゆるPVD技術によればよい。
【0020】また、非磁性支持体としては、通常この種
の磁気記録媒体の非磁性支持体として用いられるもので
あれば何れも使用可能であり、例示すれば、ポリエステ
ル類,ポリアミド類,ポリオレフィン類,ビニル系樹
脂,ポリイミド類,ポリアミド類,ポリカーボネート等
が挙げられる。
【0021】さらに、本発明においては、必要に応じ
て、バックコート層を形成したり、非磁性支持体上に下
塗り膜を形成したり、潤滑剤、防錆剤などの層を形成す
ることは何等差し支えない。この場合、バックコート層
に含まれる非磁性顔料、樹脂結合剤あるいは潤滑剤、防
錆剤層に含まれる材料としては従来公知のものがいずれ
も使用することができる。
【0022】本発明の磁気記録媒体は、この強磁性金属
薄膜が50%を超える表面酸化層の厚みが40nm以下
であり、しかも、酸化度50%以上の部分の酸素ピーク
が少なくとも2箇所存在する。
【0023】ここで、酸素ピークが2箇所存在すること
により、磁性層の表面強度を強くし、良好なスチル耐久
性を確保することができる。また、表面酸化層の厚みが
40nm以下であることから、電磁変換特性の向上を図
ることができる。
【0024】ところで、このような少なくとも2箇所の
酸素ピークを持つ構造は、従来の強磁性金属薄膜を酸素
ガス混入雰囲気下で形成する製造装置によっても、理論
的に製造は不可能ではない。冷却キャンに対向して配置
される薄膜形成範囲を覆うマスクと、蒸着時に酸素ガス
を導入する酸素ガス導入管と一つづつしか設けられてい
ないが、2回以上薄膜形成工程を繰り返せば良いと考え
られるからである。
【0025】しかしながら、上記従来装置を使用して、
例えば、Co−Ni系合金等のCo系合金を蒸着源とし
て、酸素ガス混入雰囲気下で真空蒸着を行うと、強磁性
金属薄膜の厚さを規制しようとしても、強磁性金属薄膜
の全体の厚みと表面酸化層との間に比例関係が生じてし
まい、電磁変換特性の劣化を招く問題がある。すなわ
ち、全厚を厚くする時は表面の最表部に重点的に酸素ガ
スを導入しようとすると、膜深部の酸素が無くなってし
まったり、表面酸化層が厚くなりすぎて、この結果、電
磁変換特性の劣化を招いていた。
【0026】また、従来装置では薄膜形成範囲を覆うマ
スクも、電子ビーム銃も一つしか設けられておらず、し
かも、表面酸化層の厚さを調整するような構成は採用さ
れていなかった。
【0027】このように、従来装置では、強磁性金属薄
膜に含有される酸素導入量が最適に規制された強磁性金
属薄膜塗布型の磁気記録媒体を製造しようとしても、そ
の製造は困難である。
【0028】本発明にかかる磁気記録媒体は、強磁性金
属薄膜の表面に表面酸化層が形成されるるとともに、こ
の表面酸化層のうち表面から40nmまでの範囲にCo
に対する酸素の比率が高い酸素ピークを少なくとも2箇
所有することを特徴とする。このため、表面酸化層の上
層部の薄膜の形成工程は、Co酸化度と膜厚が強磁性金
属薄膜表面の強度に影響を与え、また、膜表面の厚さが
該磁気記録媒体の電磁変換特性に影響を与える。
【0029】他方、Co酸化度と表面酸化層の厚みが上
記範囲をはずれると、スチル耐久性と電磁変換特性の両
方のバランスを良好に保つことができない。
【0030】以上の観点から、本発明にかかる磁気記録
媒体の製造装置は、冷却キャンの周面に対向する位置に
非磁性支持体の薄膜形成範囲を覆うマスクが少なくとも
2つ別々に設けられるとともに、これらの各マスクの近
傍に各々酸素ガス導入管が配設されてなる。
【0031】したがって、各マスク部分で、強磁性金属
薄膜が成膜されることにより、酸素ピークを少なくとも
2箇所持つ磁気記録媒体を効率よく、正確に製造するこ
とができる。すなわち、本発明にかかる磁気記録媒体の
製造装置により、本発明にかかる磁気記録媒体を一回の
薄膜形成工程で該作業を完了することが可能となる。
【0032】また、本発明にかかる磁気記録媒体の製造
装置において、膜厚調整部材を備えてなる場合には、非
磁性支持体に対する蒸着等の厚さを調整することができ
る。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実験
結果に基づいて説明する。
【0034】磁気記録媒体の構造 本発明を適用した磁気記録媒体は、ポリエチレンテフレ
タレート(PET)からなる非磁性支持体であるベース
フィルム1上に、膜厚0.5μm以下とされる薄膜の磁
性層2を有している。すなわち、本磁気テープは、下塗
り層が形成されたベースフィルム1上に、Co−Ni斜
方蒸着薄膜を真空蒸着法によって成膜し、蒸着テープ原
反が作製されてなるものである。
【0035】まず、図1に示すように、ベースフィルム
1上に塗布皮膜である下塗り層が形成されている。
【0036】下塗り層は、球状粒子5,6を有する。こ
の球状粒子5,6は、ベースフィルム1の表面に磁気記
録媒体として必要とされるスチル耐久性を満たすために
形成されるものである。
【0037】この球状球状粒子5,6は、2種類の球状
粒子5,6が用いられている。このように、本実施の形
態の磁気記録媒体は、ベースフィルム1上に粒径の異な
る2種類の球状粒子5,6によって表面突起3,4が形
成されている金属磁性薄膜型の磁気テープである。
【0038】磁性層2は、Co含有率が90%、Ni含
有率9.99%その他の元素の含有率0.01%の合金
を使用し、薄膜の磁性層2は、トータル0.2μmに設
定されている。
【0039】表面酸化層は、図1に示すように、比較的
大きな第1の表面突起3と、比較的小さな第2の表面突
起4が形成されている。これらの表面突起3,4は、磁
性層2が非常に薄いために、上記2種類の球状粒子5,
6の形状に反映されて形成されものである。
【0040】まず、第1の表面突起3は、粒径95nm
±15nm、或いは、65nm±15nmなる第1の球
状粒子5によって形成されるものであり、ベースフィル
ム11内に内添された第1の球状粒子5の球状粒子形状
がベースフィルム1の表面に反映されたかたちで形成さ
れてなるものである。この時、第1の球状粒子5の密度
は、95nm±15nmの場合、1.0×104 〜4.
8×104 個/mm2、65nm±15nmの場合、
1.5×104 〜6.0×104 個/mm2 とされる。
【0041】このような第1の球状粒子5は、その密度
が上記範囲内となるようにベースフィルム1内で適当に
分散されて、その一部がある程度凝集したかたちで存在
している。こ第1の球状粒子5として、本発明の実施の
形態ではSiO2 球状粒子を使用した。
【0042】一方、第2の表面突起4は、球状粒子の粒
径が25nm±5nmとなる第2の球状粒子6によって
形成されるものであり、ベースフィルム1上に分散さ
れ、バインダー樹脂等により定着されているものであ
る。この時、第2の球状粒子6の密度は、第1の球状粒
子5が95nm±15nmのものと組み合わせて使用す
る場合、500×104 〜4000×104 個/mm
2 、第1の球状粒子5が65nm±15nmのものと組
み合わせて使用する場合、600×104 〜4500×
104 個/mm2 とされる。ここでは、第2の球状粒子
6としてSiO2 球状粒子を使用した。
【0043】磁性層表面は、磁性層2が非常に薄いため
に、磁気記録媒体の表面性は、蒸着前のベースフィルム
1の表面形状に反映されることとなるが、本発明にかか
る磁気記録媒体においては、Coに対する酸素の比率
(Co酸化度)が50%以上として、この酸化度50%
以上の部分が40nm以下であり、しかも、酸素ピーク
を少なくとも2箇所持つことを特徴とするものである。
【0044】このような磁気記録媒体は、強磁性金属薄
膜の表面酸化層が、Coに対する酸素の比率(Co酸化
度)が50%以上として、この酸化度50%以上の部分
が40nm以下であり、しかも、この酸化度50%以上
の部分が40nm以下の磁気記録媒体である。
【0045】磁気記録媒体の製造装置 次に、本発明にかかる磁気記録媒体を製造する装置につ
いて、図面を参照しながら説明する。
【0046】この装置は、図2に示すように、排気管に
よって内部が高真空状態となされた真空室内に、巻き出
しロールと、巻き取りロールと、冷却キャン10よりな
る走行系や、蒸発源である金属磁性材料が収納された収
納容器13、電子ビーム銃20等が配置されてなる。
【0047】本装置は、冷却キャン10に対向して配置
される強磁性金属薄膜を成膜する際にベースフィルム1
を覆うマスク11,15と、蒸着時に酸素ガスを導入す
る酸素ガス導入管11,15とが2箇所に別々に構成さ
れている点に特徴がある。
【0048】まず、上記巻き出しロール、冷却キャン1
0、巻き取りロールには、長尺状のベースフィルム1が
架け渡され、巻き出しロールにより冷却キャン10側に
送り出されて最終的に巻き取りロール5に巻き取られる
ようになされている。
【0049】また、冷却キャン10の内部には、図示し
ない冷却装置が設けられ、ベースフィルム1の温度上昇
による変形等を防止するようになされている。
【0050】収納容器13は、冷却キャン10の下方に
配設されている。そして、この収納容器13内に収納さ
れる蒸着源は、電子ビーム銃20によって加熱蒸発させ
られ、冷却キャン10の周面を走行するベースフィルム
1上に蒸着膜として被着形成されるようになされてい
る。
【0051】また、冷却キャン10の周面に対向するよ
うにマスク11,15が配設されている。このマスク1
1,15は、金属磁性材料の加熱蒸発による金属蒸気流
を遮蔽するもので、金属蒸気流がベースフィルム1に対
して所定角度範囲を覆うものである。これら第1のマス
ク11と第2のマスク15の2ケ所に別々に設けられて
おり、ベースフィルム1の走行方向に対して(図中矢印
方向)、先に第1のマスク11が位置して、次に第2の
マスク15が位置するように配置されている。
【0052】第1のマスク11は、図3に示すように、
中央に開口窓17を有するマスク部分11aと、この窓
17に対して開閉可能に開閉動作する膜厚調整部材14
と、この膜厚調整部材14の開閉の駆動源である駆動手
段15とから構成されている。そして、蒸着中等におい
て、膜厚調整部材14が開口窓17に対して開閉を行わ
れることにより、強磁性金属薄膜の厚さが調整されるよ
うになされている。
【0053】すなわち、この第1のマスク11は、蒸着
中の膜厚センサーとビームパワーにより制御され、一定
膜厚を蒸着する電子ビームパワーが大きくなった場合、
膜厚調整部材14を開くように制御する機構が備えられ
ているが、この機構を備えることにより、長時間の蒸着
により、第1のマスク11に付着した金属による蒸着効
率の低下を抑えることが可能となる。
【0054】なお、後述する第2のマスク15にも、第
1のマスク11と同様に、表面酸化層の厚さを厳密な制
御する場合には、膜厚調整部材14を備えることが可能
である。
【0055】また、第1のマスク11の近傍には、酸素
ガス導入管12が備えられている。この酸素ガス導入管
12は、公知のものが使用されている。しかし、従来装
置では、この酸素ガス導入管は、1つの装置には1つし
か設けられていなかったのに対して、本実施の形態で
は、第2のマスク15の近傍には、酸素ガス導入管16
が備えられている。すなわち、マスク11,15が少な
くとも2つ別々に設けられるとともに、これらの各マス
ク11,15の近傍に各々酸素ガス導入管12,16が
配設されてなる。
【0056】つぎに、上記構成の装置を使用して、実際
に、磁気記録媒体を製造した。
【0057】ここでは、蒸着装置の電子ビーム銃20の
加速電圧は、3kVであり、エミッション電流は最大
1.5Aである。また、収納容器13の幅は、150m
mであり、収納容器13と第1のマスク11の下端との
距離は300mmに設定されている。
【0058】さらに、ベースフィルム1の送り速度30
m/分、第1のマスク11の下端位置は初期設定で、冷
却キャン10のなす角度は45度に設定されている。
【0059】本発明にかかる製造装置は、上記構成から
なるものであるから、本発明にかかる磁気記録媒体を実
際に製造する場合には、まず、真空室内を真空状態とし
た後、巻き出しロールから巻き取りロールに亘ってベー
スフィルム1を走行させる(図中、矢印方向)。そし
て、電子ビーム銃20からの電子ビームを照射させるこ
とにより、蒸着源が加熱されて蒸発させられる。
【0060】ベースフィルム1が第1のマスク11の位
置に来ると、ベースフィルム1に対する蒸着範囲が規制
されるとともに、第1の酸素ガス導入管12により酸素
ガスが導入される。したがって、膜深部にも酸素ガスが
充分導入することができる。
【0061】ここで、第1のマスク11は、開口窓17
に対して、膜厚調整部材14が駆動機構19が開閉動作
する。したがって、強磁性金属薄膜の厚さが調整され、
従来装置のように、表面酸化層が厚くなり過ぎるような
ことがない。
【0062】そして、この第1のマスク11をベースフ
ィルム1が通過すると、また、表面酸化層酸化層が蒸着
形成される。第2のマスク15の位置にベースフィルム
1が搬送されると、蒸着範囲が規制されるとともに、第
2の酸素ガス導入管12により酸素ガスが導入されて上
層部が形成される。
【0063】このようにして、特性の異なる上層部と下
層部の二層の表面酸化層である蒸着磁性層2が形成され
る。
【0064】なお、蒸着膜が形成されたベースフィルム
1は、巻き取りロールに巻き取られる。
【0065】本発明にかかる磁気記録媒体の製造装置を
使用して、磁気記録媒体を製造する場合には、冷却キャ
ンの周面に対向して配置される1つのマスクと、このマ
スクの近傍に配設される1つの酸素ガス導入管とが設け
られてなる従来装置のように、2回の蒸着を行う等の不
便がない。
【0066】また、蒸着装置内に蒸着設備を2つ持つ装
置、いわゆる2冷却キャン・2ビームの磁気記録媒体の
製造装置の使用のにように、装置が大型化するようなこ
とがなく、一度の成膜工程で磁気記録媒体が作製され
る。
【0067】また、本装置によれば、強磁性金属薄膜の
構造が酸化度が50%を超える表面酸化層の厚みが40
nm以下であり、しかも、酸化度50%以上の部分の酸
素ピークが少なくとも2箇所存在するという、磁性層の
表面強度を強く、良好な走行性を確保することができる
とともに、電磁変換特性の向上を図ることができる磁気
記録媒体を製作できる。
【0068】実験 上記装置を使用して、以下のような実験を行った。
【0069】まず、強磁性金属薄膜の厚さを一定にセッ
トしたときの非磁性支持体走行長さと電子ビーム発生装
置への投入電流との関係を調べた。その結果を図4に示
す。なお、図4中色分け部分は、使用不能領域を示す。
【0070】図4から明らかように、従来の装置を使用
した場合、5000m付近から投入電流が装置の限界を
超えて規定の膜厚を確保できなくなることがわかる。
【0071】これに対して、本発明の装置においては、
1000mを超えても投入電流の量は増えず、1300
0mに達しても問題なく使用することができることがわ
かる。このように、本装置によれば、装置の容量が小さ
いシステムにおいて効率的に蒸着が可能となるシステム
が構築できる。
【0072】次に、本発明を適用した磁気記録媒体の製
造装置により製造された磁気記録媒体について、以下の
ような実験を行った。
【0073】(1)まず、表面酸化層の上層部の厚みと
電磁変換特性との関係を調べた。その結果を、図5に示
す。
【0074】表面酸化層の上層部は、Co酸化度が50
%以上の部分が大半を占めるため、電磁変換特性に対し
て、ほとんど寄与しない。
【0075】したがって、20nm以上の厚みに達する
と、上層部が存在しないテープの特性に比べ0.5μm
の記録波長を使用する場合、約3dB劣化してしまう。
事実上、3dB程度までの劣化を許容するとして、最大
厚みが20nm程度となる。
【0076】(2)次に、上層部の厚みとスチル(Stil
l)耐久性との関係を調べた。その結果を、図6に示
す。なお、図6中色分け部分は、使用不能領域を示す。
【0077】表面酸化層の上層部は、CoO成分が多い
ため、固くなっておりスチル耐久性に良好な効果があ
る。
【0078】したがって、相対速度10m、磁気ヘッド
の当たり幅60μm、当たり長さ220μm、テンショ
ン5gで押し当てた場合のスチル耐久性を比較すると、
上層部なしのテ−プで0.2時間の耐久時間であったの
に対して、3nmで1時間、10nmで10時間、20
nmで50時間にも達し、3nm以上の厚みがあれば実
用上問題ないレベルとなることがわかった。したがっ
て、最小厚みは、3nm必要である。
【0079】(3)次いで、表面酸化層の下層部の酸素
導入量と電磁変換特性の関係を調べた。その結果を、図
7に示す。なお、膜厚は200nmに設定している。
【0080】この装置を使用する場合、酸素導入量は6
50cc/分で出力が最大になるが、C/Nについては
850cc/分の時が最適であることがわかる。酸素導
入量については装置依存が大きいため出力(dB)、C
/N(dB)との関係においては個々の装置に依存す
る。
【0081】実用的には400cc/分の酸素導入量の
ものの出力が最大値と比較して−1.0dB、C/Nの
最大値と比較して−2.0dBと実使用の場合400c
c/分の酸素導入量が実用的範囲となる。
【0082】また、酸素導入量が多い方については、1
000cc/分のものが出力で最大値と比較して−2.
5dB、C/N最大値比べて−1.0dB低下してお
り、実用的範囲は、略々この400cc/分から100
0cc/分の酸素導入量の領域となる。
【0083】(4)次いで、表面酸化層の上層部の酸素
導入量と電磁変換特性の関係を調べた。
【0084】この上層部の膜厚を10nmに設定した
時、酸素ガス導入量とスチル耐久性の間に関係があり、
500cc/分の条件で10時間という結果を得た。し
かし、同じ厚みでも250cc/分で成膜した場合は1
時間しか持たず、1500cc/分の場合は30時間と
なった。
【0085】したがって、上層部は、実用的には250
cc/分以上の酸素導入量があれば良いことがわかる。
【0086】(5)そこで次に、表面酸化層の酸素導入
量について考察した。
【0087】まず、上層部は、200cc/分で作成し
た試料と250cc/分で作成した試料をオージェ(Au
ger Electron Spectroscopy)による深さ方向の分析を
行った。
【0088】すると、200cc/分で作成した試料
は、Coに対する酸素の比率(O/Co)が酸素ピーク
の点で50%を下回ったが250cc/分の導入量のも
のは上回っており、スチル耐久性が実用的な範囲に入る
酸化度は、50%を超えた辺りからである。
【0089】また、同時に下層部の磁性膜についても実
用的な電磁変換特性を得ようとした場合、Coに対する
酸素の比率(O/Co)は、最低でも50%を超えてお
り、また、下層部の磁性層の部分の酸化度が50%を超
える部分は10nm以上となる。
【0090】また、下層部のCo酸化度が最大になった
場合は約30nmとなり、上層部と下層部のCo酸化度
が50%を超える領域は合計で40nm以下になるよう
に設定しないと電磁変換特性が最適にならないことがわ
かった。
【0091】以上のような図8にオージェ(Auger Elec
tron Spectroscopy)による磁性層表面の組成分析結果
の一例を示す。この図8は、Coに対する酸素の比率
(CO/Co)を求めている。この磁性層を作った合金
は、CoとNiの比率が80wt%対20wt%のもの
を使用している。
【0092】この図8から明らかなように、表面酸化層
のうち表面から40nmまでの範囲にCoに対する酸素
の比率が高い酸素ピーク、すなわち、Coに対する酸素
の比率が50%以上である磁気記録媒体は、電磁変換特
性とスチル耐久性のバランスが最適にとれた磁気記録媒
体とすることが可能となる。
【0093】なお、実際の製造においては、ベースフィ
ルム1の界面付近で酸素ピークを持つ場合もある。しか
し、このようなベースフィルム1の界面付近で酸素ピー
クを持つ場合は、通常、磁性層表面から見て40nm以
上離れた場所にある。したがって、酸素ピークが存在し
ようが、存在しなかろうが、本発明の範囲とは直接関係
がない。
【0094】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
にかかる磁気記録媒体は、非磁性支持体上にCoを主成
分とする強磁性金属薄膜が形成されてなる磁気記録媒体
において、強磁性金属薄膜に表面酸化層が形成されると
ともに、この表面酸化層のうち表面から40nmまでの
範囲にCoに対する酸素の比率が高い酸素ピークを少な
くとも2箇所有することにより、電磁変換特性が高く、
スチル耐久性も高い磁気記録媒体とすることができる。
【0095】特に、酸素ピークにおいて、Coに対する
酸素の比率が50%以上であって、且つ、Coに対する
酸素の比率が50%以上である領域の厚さが40μm以
下である場合は、電磁変換特性とスチル耐久性の両方の
バランスが最適に調整されたものとなる。
【0096】他方、本発明にかかる磁気記録媒体の製造
装置は、薄膜形成範囲を覆うマスクが少なくとも2つ別
々に設けられるとともに、これらの各マスクの近傍に各
々酸素ガス導入管が配設されてなることから、蒸着等が
効率良く行え、一回の薄膜形成工程で強磁性金属薄膜を
成膜することができる。
【0097】また、本発明にかかる磁気記録媒体の製造
装置において、膜厚調整部材を備えてなる場合には、非
磁性支持体に対する蒸着等の厚さを調整することがで
き、電磁変換特性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体の一例の構成を
示す断面図である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の製造装置の概略構成を
示す模式図である。
【図3】上記装置の第1のマスクを模式的に示す拡大図
である。
【図4】非磁性支持体の走行長と投入電流の関係を示す
図である。
【図5】表面酸化層の上層部の厚みと電磁変換特性の関
係を示す図である。
【図6】表面酸化層の上層部の厚みとスチル耐久性の関
係を示す図である。
【図7】表面酸化層の下層部の酸素導入量と電磁変換特
性の関係を示す図である。
【図8】表面酸化層の組成分析の結果の一例を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 非磁性支持体(ベースフィルム) 2 磁性層(強磁性金属薄膜) 10 冷却キャン 11 第1のマスク 12 第1の酸素ガス導入管 14 膜厚調整部材 15 第2のマスク 16 第2の酸素ガス導入管 17 開口窓

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上にCoを主成分とする強
    磁性金属薄膜が形成されてなる磁気記録媒体において、 強磁性金属薄膜の表面に表面酸化層が形成されるととも
    に、この表面酸化層のうち表面から40nmまでの範囲
    にCoに対する酸素の比率が高い酸素ピークを少なくと
    も2箇所有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記酸素ピークにおいて、Coに対する
    酸素の比率が50%以上であって、且つ、Coに対する
    酸素の比率が50%以上である領域の厚さが40μm以
    下であることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 冷却キャンの周面を走行する非磁性支持
    体上に対してCoを主成分とする強磁性金属薄膜が形成
    されてなる磁気記録媒体の製造装置において、 冷却キャンの周面に対向する位置に非磁性支持体の薄膜
    形成範囲を覆うマスクが少なくとも2つ別々に設けられ
    るとともに、 これらの各マスクの近傍に各々酸素ガス導入管が配設さ
    れてなることを特徴とする磁気記録媒体の製造装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも1つのマスクが、開口窓を備
    えこの開口窓に対して開閉動作することにより強磁性金
    属薄膜の厚さを調整する膜厚調整部材を備えてなること
    を特徴とする請求項3記載の磁気記録媒体の製造装置。
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