JP2014135976A - 塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材とその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】糖尿病性腎症を始めとする種々のネフローゼ症候群において増悪因子と考えられている塩基性線維芽細胞増殖因子を、体液など塩基性線維芽細胞増殖因子を含む液体から選択的に吸着し取り除くことが可能な塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材および吸着除去システムを提供する。
【解決手段】水不溶性かつ親水性を有する多孔質担体に酸性官能基を有するリガンドを固定化してなる塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材3、および液体の入口1および出口2を有し、かつ充填物の流出防止機構4,5を備えたカラム6に充填することを特徴とする塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラム7を使用する吸着除去システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材、および塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材を用いた吸着除去システム、および液体より塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着除去する方法に関する。
本発明による塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材を用いて塩基性線維芽細胞増殖因子が含まれる体液などの液体を処理することで、液体を清浄化することが可能である。また、本発明は、塩基性線維芽細胞増殖因子の体内での増加が関連すると考えられる様々な疾患の治療もしくは予防法として期待できる塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去システムに関する。
塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growthfactor:b−FGF,FGF−2)は、線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーに属する人体に広く分布する強力な血管新生因子であり、線維芽細胞、表皮細胞、血管内皮細胞のほか、多種の細胞における細胞増殖作用を示すことが知られている。また、塩基性線維芽細胞増殖因子は、ヘパリンに対する強い親和性および塩基性等電点(塩基性pI)を有しており、その分子量は約13,000〜19,000であることが知られている。
ある種のネフローゼ症候群では、患者血中の塩基性線維芽細胞増殖因子濃度が上昇しており、塩基性線維芽細胞増殖因子シグナルが増悪因子であることが知られている(非特許文献1〜5)。
塩基性線維芽細胞増殖因子シグナルが増悪因子であるネフローゼ症候群の中でも、特に、透析療法に導入される慢性腎不全患者の原疾患である糖尿病性腎症は、増加傾向にある(非特許文献6)。
その治療法としては、早期腎症から血糖コントロール(HbA1c6.5%未満)、血圧コントロール(ACE阻害剤やアンジオテンシン受容体拮抗薬を中心に130/80mmHg未満)、脂質管理(スタチン系薬)、低用量アスピリン投与、生活指導などにより積極的に介入し、さらに病期の進行した糖尿病性腎症患者では摂取たんぱく質制限などの食事療法を併用することが推奨されている(非特許文献7)。
また、塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着する方法として、塩基性線維芽細胞増殖因子含有溶液を強カチオン交換マトリックスと接触させる方法が知られている。(特許文献1)。
しかしながら、この吸着方法は、粗細胞培養物に由来するライゼートまたは下垂体のような組織に由来する塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着する方法であり、体液などの液体から塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着し除去する方法は知られていない。病因物質を体内から取り除く根本的な治療法として、体液などの液体中から塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着し除去する方法の開発が求められている。
特開平11−315097号公報
Pediatr Nephrol、1999、13、586−593 J Am Soc Nephrol、2001、12、2787−2796 J Clin Invest、1995、96、2809−2819 Kidny Int、1995、48、1435−1450 Am J Physiol Renal Physiol、2009、296、1452−1463 日本透析医学会統計調査委員会、わが国の慢性透析療法の現況、2011年12月31日現在 社団法人日本腎臓学会、CKD診療ガイドライン2009
上記従来技術の課題に対し本発明が解決しようとする課題は、糖尿病性腎症を始めとする種々のネフローゼ症候群において増悪因子と考えられている塩基性線維芽細胞増殖因子を、体液など塩基性線維芽細胞増殖因子を含む液体から選択的に取り除くことが可能な塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材と、前記吸着材から構成される塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去システムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を発明するに至った。すなわち本発明は、水不溶性かつ親水性を有する多孔質担体に酸性官能基を有するリガンドを固定化してなる塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材に関する。
また本発明における前記酸性官能基を有するリガンドは、硫酸エステル基、カルボキシル基、スルホ基の群から選択される少なくとも一種の官能基を有する、少なくとも一種のリガンドであることが好ましく、前記酸性官能基を有するリガンドが、デキストラン硫酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸の群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
また本発明は、前記塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材と塩基性線維芽細胞増殖因子を含む液体とを接触させることを特徴とする塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去方法に関する。
また前記液体は、血液または血漿であることを特徴とする塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去方法であることが好ましい。
また本発明は、前記塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材を、液体の入口および出口を有し、かつ充填物の流出防止機構を備えたカラムに充填してなる塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラムに関する。
また本発明は、前記塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラムを含む、塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去システムに関する。
また本発明は、ネフローゼ症候群を呈する疾患治療用である前記塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材に関する。
また本発明における前記ネフローゼ症候群を呈する疾患は、糖尿病性腎症、溶血性尿毒症症候群、腹膜線維症、巣状糸球体硬化症、膜性腎症であることが好ましい。
また本発明は、前記ネフローゼ症候群を呈する疾患治療用である塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去方法を提供する。
また本発明は、前記ネフローゼ症候群を呈する疾患治療用である塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラムに関する。
また本発明は、前記ネフローゼ症候群を呈する疾患治療用の吸着除去システムに関する。
本発明によれば、糖尿病性腎症を始めとする種々のネフローゼ症候群の増悪因子と考えられる塩基性線維芽細胞増殖因子を、体液など塩基性線維芽細胞増殖因子を含む液体から除去することが可能となる。
本発明を用いることにより、塩基性線維芽細胞増殖因子の体内での増加が関連すると考えられる様々な疾患の治療もしくは予防が期待できる。
また本発明によれば、塩基性線維芽細胞増殖因子が含まれる可能性のある体液などの液体を本発明で処理することで、液体を清浄化することが可能である。
本発明における塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラムの一実施態様を示す図である。
以下に、本発明の実施の一形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明は、水不溶性かつ親水性を有する多孔質担体に酸性官能基を有するリガンドを固定化してなる塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材、および前記吸着材を塩基性線維芽細胞増殖因子を含む液体と接触させることを特徴とする吸着除去方法、液体の入口および出口を有し、かつ充填物の流出防止機構を備えたカラムに充填することを特徴とする塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラム、および前記吸着除去カラムを含む塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去システムに関する。
本発明の吸着材において、酸性官能基とは、pHが中性付近で負に帯電するような官能基をいう。このような官能基の代表例としては、カルボキシル基、硫酸エステル基、スルホ基、シラノール基、リン酸エステル基、フェノール性水酸基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明の吸着材が有する酸性官能基は、1種類であってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明に吸着材に用いることのできる、多孔質担体に固定化する酸性官能基を有するリガンドの例としては、ポリアクリル酸、ポリビニル硫酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルリン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンリン酸、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、ポリメタクリル酸、ポリリン酸、スチレン−マレイン酸共重合体などの合成ポリアニオン化合物や、ヘパリン、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ホスホマンナンなどの酸性官能基を有する多糖類等を挙げられるが、これらの代表例に限定されるわけではない。なかでも酸性官能基を有する高分子化合物は、塩基性線維芽細胞増殖因子に対する親和性が大きく、また多孔質担体単位量当たりに多くの酸性官能基を導入しやすいので好ましい。さらに分子量が1000以上の酸性官能基を有する高分子化合物は塩基性線維芽細胞増殖因子に対する親和性、多くの酸性官能基を導入できる点でより好ましい。酸性官能基を有するリガンドは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよいが、好ましくは酸性官能基を有するリガンドが、デキストラン硫酸、ポリアクリル酸およびポリスチレンスルホン酸から選択される少なくとも1つの化合物に由来し、2つ以上の化合物に由来してもよい。
また、塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着させる場合、本発明における酸性官能基を有するリガンドは、水不溶性担体の単位体積(1ml)当たり、100nmolから10mmol含まれていることが望ましい。好ましくは、1μmolから200μmol、最も好ましくは、5μmolから100μmolである。100nmolより少ないと酸性官能基を有するリガンドの効果が小さく、10mmolより多すぎると前記塩基性線維芽細胞増殖因子以外の非特異吸着が起こる。
本発明に用いることができる担体は、常温常圧で固体であり、水に対する溶解度が極めて小さい水不溶性の材料からなる。担体の形状の例としては、例えば粒状、板状、繊維状、および中空糸状、不織布上などが挙げられるが、これらのみに限定されない。水不溶性の担体としては、例えば、ガラスビーズ、シリカゲル、アルミナなどの無機担体や、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子担体や、結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機−有機、有機−無機などの複合担体などが挙げられる。なかでも親水性担体は非特異的吸着が比較的少なく塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着選択性が良好であるため好ましい。ここでいう親水性担体とは担体を構成する化合物を平板状にしたときの水との接触角が60度以下の担体を指す。このような担体としては、セルロース、キトサン、セファロース、デキストランなどの多糖類、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラスなどからなる担体が代表例としてあげられる。これらのなかでも多孔性セルロースゲルは、
(a)機械的強度が比較的高く、強靭であるため撹拌などの操作により破壊されたり微粉を生じたりすることが少なく、カラムに充填した場合、体液を高流速で流しても圧密化したり、目詰まりしたりせず、さらに細孔構造が高圧蒸気滅菌などによって変化を受けにくい、
(b)ゲルがセルロースで構成されているため親水性であり、リガンドの結合に利用し得る水酸基が多数存在し、非特異吸着が少ない、
(c)空孔容積を大きくしても比較的強度が高いため軟質ゲルに劣らない吸着容量が得られる、
(d)安全性が合成高分子ゲルなどに比べて高い
などの優れた点を有しており、本発明に好適に用いることができる担体である。
なお、本発明においては前記の担体のみに限定されない。なお、前記担体はそれぞれ単独で用いてもよいし、任意の2種類以上を混合して用いてもよい。
また、酸性官能基を有するリガンドを水不溶性担体に固定化する方法には、酸性官能基自体を直接水不溶性担体に導入する場合、または分子内に酸性官能基以外の部分を有する酸性官能基を有する化合物を担体固体物質に導入する場合が挙げられる。酸性官能基自体を直接水不溶性担体に導入する場合の代表例としては、水不溶性担体にクロルスルホン酸、濃硫酸などの試薬を反応させることによって直接硫酸エステル基やスルホン酸基を導入する方法が挙げられるがこれらに限定されない。
また、分子内に酸性官能基以外の部分を有する酸性官能基を有する化合物を導入する場合、物理的吸着法、イオン結合法、共有結合法、酸やアルカリ等で化学的処理を行う方法、熱処理、加水分解、放射線やプラズマ処理によりグラフト鎖を導入する方法等、公知の種々の方法を特別な制限なしに用いることができるが、吸着材の保存性および安定性の維持のためには酸性官能基を有する化合物が脱離しないことが重要であるので、強固な固定が可能な共有結合法が望ましい。
共有結合により酸性官能基を有する化合物を固定化する場合、酸性官能基を有する化合物が酸性官能基以外に固定化に利用できる官能基を有する多官能性であることが好ましいが、一部の酸性官能基を用いて固定化してもよい。
固定化に利用できる官能基の代表例としては、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、酸無水物基、スクシニルイミド基、水酸基、チオール基、アルデヒド基、ハロゲン基、エポキシ基、シラノール基などがあげられるがこれらに限定されない。
例えば、硫酸エステル基を有する化合物を水不溶性担体に共有結合で固定化する場合、硫酸エステル基を有する化合物の代表例としてはアルコール、糖類、グリコールなどの水酸基を有する化合物の硫酸エステル化物があげられるが、これらの中でも多価アルコールの部分硫酸エステル化物、とりわけ多糖類の硫酸エステル化物が硫酸エステル基、固定化に必要な官能基の双方を含んでいるうえに、容易に水不溶性担体に固定化できることから特に好ましい。
前記の酸性官能基有するリガンドを水不溶性担体に固定化する方法の他にも、酸性官能基または酸性官能基に変換しうる官能基を有する化合物を、モノマーまたは架橋剤として用い、重合または共重合によって酸性官能基を有する水不溶性担体を形成させる方法もある。酸性官能基を有するモノマーの代表例としては、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸などがあげられるが、これらに限定されない。また、酸性官能基に変換しうるモノマーとしては、酸性官能基に変換できれば特に限定されないが、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等を、アルカリけん化などの反応により容易に酸性官能基に変換しうる点で好ましく用いることができる。
そして、これらに代表される酸性官能基を有するモノマーを重合、または2種類以上を用いた共重合により酸性官能基を有する水不溶性担体を得ることができる。さらには、これらに代表される酸性官能基を有するモノマーと、たとえばスチレン、クロロスチレンなどに代表されるモノビニルモノマーとを共重合することでも酸性官能基を有する水不溶性担体を得ることができる。さらには、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンなどに代表されるポリビニルモノマーを架橋剤として共重合することによっても得ることができる。
本発明における吸着材は、その外表面だけでも塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着することができるが、より多くの塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着するために適当な大きさの細孔を多数有する多孔構造を有する担体を用いることが好ましい。多孔構造を有していれば特に限定されないが、高分子網目状のような三次元構造を有する担体、担体中に空いた孔のうち少なくとも一部が貫通しているようなものモノリス担体なども挙げることができる。
また、前述のような多孔構造を有する水不溶性担体は、吸着対象である塩基性線維芽細胞増殖因子を効率よく吸着するために、塩基性線維芽細胞増殖因子がある程度高い確率で細孔内に侵入でき、他のタンパク質の侵入はできる限り起こらないことが好ましい。細孔内に侵入可能な物質の分子量の目安として排除限界分子量が一般に用いられている。排除限界分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィーにおいて細孔内に侵入できない(排除される)分子の内、最も小さい分子量を有するものの分子量をいう(波多野博行、花井俊彦著、実験高速液体クロマトグラフ、化学同人)。排除限界分子量は一般に球状タンパク質、デキストラン、ポリエチレングリコールなどについてよく調べられているが、本発明に用いる担体の場合、球状タンパク質を用いて得られた値を用いるのが適当である。
塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着では、排除限界分子量が塩基性線維芽細胞増殖因子の分子量より小さな担体を用いた場合には、塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去量は低くなる傾向がある。そこで、塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着に用いる担体は、排除限界分子量が2万以上の担体が好ましく、さらに好ましくは3万以上の担体である。
塩基性線維芽細胞増殖因子を含む液体として血漿または血清を用いる限り、排除限界分子量に上限は特にないが、血液を用いる場合は、排除限界分子量が500万以下であることが好ましく、2〜500万であることが特に好ましく、3〜500万であることが更に好ましい。排除限界分子量が500万をこえると血小板の付着の割合が増加する傾向がみられ、本発明の吸着材を直接血液灌流(DHP)型の血液浄化システムで用いた場合、必ずしも充分な性能を発揮できない傾向がある。なお、排除限界分子量の好ましい範囲は水不溶性担体が粒状、板状、繊維状であっても基本的には同じである。
本発明において処理が可能な液体として、血液、血漿、血清、腹水、リンパ液、関節内液、骨髄液、および、これらから得られた画分成分、ならびに、そのほか生体由来の液性成分など塩基性線維芽細胞増殖因子を含む体液などの液体が挙げることができるが、塩基性線維芽細胞増殖因子を含む液体であれば、特に限定されず、水もしくは緩衝液などでもよい。
本発明における塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着除去する方法について、好ましい形態としては、塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材を体液などの液体と接触させることにより、液体から塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着除去する方法を挙げることがきる。より具体的には、体液を取り出してバッグなどに貯留し、これに吸着材を混合して塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着除去したのち、前記吸着材を濾別して塩基性線維芽細胞増殖因子の除去された体液を得ることができる、バッチ式の方法や、体液の入口および出口を有し、出入口に体液は通過できるが吸着材は通過できないフィルターを装着した容器に吸着材を充填したカラムを用い、これに常圧または加圧下で体液を流し、連続的に塩基性線維芽細胞増殖因子の除去された体液を得ることができる、連続式の方法などを挙げることができ、また、バッチ式と連続式等を組み合わせて用いることもできる。いずれの方法も好ましく用いることができるが、前記の吸着材を充填したカラムを用いた連続式の方法は操作も簡単であり、また体外循環回路に組み込むことにより患者の体液から効率よくオンラインで、塩基性線維芽細胞増殖因子を除去することが可能であり、本発明の吸着材はこの方法に好適に用いることができる。
吸着材をカラムに充填して使用する場合は、体液を通液できることが好ましい。すなわち体液に含まれる細胞が充分に通過しうる間隙を作れるものであることが好ましい。たとえば吸着材が粒状あって、塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着させる場合、平均粒径が5μm〜1000μmであることが望ましい。好ましくは、平均粒径が25〜1000μ m 、最も好ましくは、平均粒径が50〜300μmである。平均粒径が5μm以下であれば、体液を高流速で長時間、安定して通液できなくなる。1000μm以上であれば、吸着効率が低下する。粒子である場合、粒径分布が狭い方がより好ましい。
また、吸着材が繊維状でかつ中空である場合、内径は5μm以上が好ましく、塩基性線維芽細胞増殖因子を高い収率で吸着させることができる点で、好ましくは、20〜1000μm、最も好ましくは、30〜300μmである。
また、中が密な繊維状である場合、径が1μm以上であることが好ましく、塩基性線維芽細胞増殖因子を高い収率で吸着させることができる点で、好ましくは、2〜500μm、最も好ましくは、5〜200μmである。
水不溶性担体の表面は滑らかな方がよく、表面が粗であると非特異吸着が増加し選択性が低下するため好ましくない。
吸着材をカラムに充填して使用する場合の容器の形状、材質にとくに限定はないが、好ましい具体例としては、たとえば容量150〜400ml程度、直径4〜10cm程度の筒状容器があげられる。
また本発明の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去システムは、少なくとも一つの塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラムの他に、より効果的に塩基性線維芽細胞増殖因子を吸着除去させるための器具が組み込まれていても良い。例えば、液体を流動させるためのポンプなどを配置してもよいし、2種の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材からなる1本以上の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラムが並列もしくは直列に組み込まれていても良い。
本発明の吸着材は、糖尿病性腎症、溶血性尿毒症症候群、腹膜線維症、巣状糸球体硬化症、膜性腎症などの塩基性線維芽細胞増殖因子が憎悪因子と考えられるネフローゼ症候群を呈する疾患などの治療に好適に用いることができる。また、これらの疾患のみに限定されず、その他塩基性線維芽細胞増殖因子の体内での増加が関連すると考えられる疾患に対しても好適に用いることができる。
(実施例1)
(吸着材の作製例)
多孔質セルロースビーズ(球状タンパク質の排除限界分子量500万、粒径45〜105μm)100ml、水100ml、2N水酸化ナトリウム50mlおよびエピクロルヒドリン17mlを反応容器中で混合し40℃で2時間反応させた。反応後ビーズを水で十分洗浄してエポキシ化セルロースビーズを得た。得られたエポキシ化セルロースビーズに58%デキストラン硫酸ナトリウム(硫黄含量18%)水溶液107mlを加え、pH9に調整して45℃で22時間振盪した。その後、ゲルを濾別して水洗した後、モノエタノールアミン1.2mlを加え、45℃で2時間振盪し、未反応のエポキシ基を封止した。その後、水で十分洗浄してデキストラン硫酸固定セルロースビーズ(吸着材A)を得た。
(塩基性線維芽細胞増殖因子溶液の調製例)
塩基性線維芽細胞増殖因子(リコンビナント Human FGF basic(146aa)、アールアンドディー システムズ社製)を、リン酸緩衝食塩液(PBS)0.1%BSAにて所定の濃度に調製した。
(吸着材の評価)
デキストラン硫酸ナトリウム固定化セルロースビーズを生理食塩水で平衡化した。このビーズ0.5mlを試験管に採り、余分な生理食塩水を除いた。ここに、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因を約3000pg/ml含んだヒト血清3ml加え、37℃で2時間振とうし、上清を2.5ml抜き取った(上清A)。
別途、吸着材の替わりに生理食塩水0.5mlに、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子を約3000pg/ml含んだヒト血清3ml加え、37℃で2時間振とうし、対照液とした。
(分析方法)
アールアンドディー システムズ社製ヒト塩基性FGF測定用ELISAキットを用いて、上記の評価で抜き取った上清中の塩基性線維芽細胞増殖因子濃度を測定し、得られた塩基性線維芽細胞増殖因子の濃度から吸着率を算出した。
以下に、吸着率の計算式を示す。
吸着率(%)={(Cc1−Ca1)÷Cc1}×100
Cc1:対照液中の塩基性線維芽細胞増殖因子の濃度
Ca1:上清A中の塩基性線維芽細胞増殖因子の濃度
分析結果を表1に示す。
(実施例2)
(吸着材の作製例)
ポリアクリルアミドビーズを担体とし、ポリアクリル酸をリガンドとするDALI吸着材(フレゼニウス社)を用いた(吸着材B)。
(塩基性線維芽細胞増殖因溶液の調製)
実施例1に記載の方法と同様に調製した。
(吸着材の評価)
DALI吸着材をDALIシステム取扱説明書記載のプライミング方法に準じて平衡化した。この吸着材0.5mlを試験管に採り、余分なプライミング液を除いた。ここに、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子を約3000pg/ml含んだヒト血清3ml加え、37℃で2時間振とうし、上清を2.5ml抜き取った(上清B)。
別途、吸着材の替わりにプライミング液0.5mlに、ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子を約3000pg/ml含んだヒト血清3ml加え、37℃で2時間振とうし、対照液とした。
(分析方法)
実施例1に記載の方法と同様に分析した。分析結果を表1に示す。
Figure 2014135976
1.液体の流入口
2.液体の流出口
3.塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材
4.液体および液体に含まれる成分は通過できるが塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材は通過できないフィルター
5.液体および液体に含まれる成分は通過できるが塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材は通過できないフィルター
6.カラム
7.塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラム

Claims (12)

  1. 水不溶性かつ親水性を有する多孔質担体に酸性官能基を有するリガンドを固定化してなる塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材。
  2. 前記酸性官能基を有するリガンドが、硫酸エステル基、カルボキシル基、スルホ基の群から選択される少なくとも一種の官能基を有する、少なくとも1種のリガンドであることを特徴とする請求項1に記載の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材。
  3. 前記酸性官能基を有するリガンドが、デキストラン硫酸、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸の群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材。
  4. 請求項1〜3いずれかに記載の吸着材と塩基性線維芽細胞増殖因子を含む液体を接触させることを特徴とする塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去方法。
  5. 前記液体が、血液または血漿であることを特徴とする請求項4に記載の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去方法。
  6. 請求項1〜3いずれかに記載の吸着材を、液体の入口および出口を有し、かつ充填物の流出防止機構を備えたカラムに充填することを特徴とする塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラム。
  7. 請求項6に記載の吸着除去カラムを含む、塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去システム
  8. ネフローゼ症候群を呈する疾患治療用である請求項1〜3のいずれかに記載の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材。
  9. 前記ネフローゼ症候群を呈する疾患が、糖尿病性腎症、溶血性尿毒症症候群、腹膜線維症、巣状分節性糸球体硬化症、膜性腎症である請求項8に記載の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着材。
  10. ネフローゼ症候群を呈する疾患治療用の請求項5に記載の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去方法。
  11. ネフローゼ症候群を呈する疾患治療用の請求項6に記載の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去カラム。
  12. ネフローゼ症候群を呈する疾患治療用の請求項7に記載の塩基性線維芽細胞増殖因子の吸着除去システム。
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