JP2803178B2 - 抗腫瘍性物質 be―16493 - Google Patents

抗腫瘍性物質 be―16493

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は医薬の分野で有用であり、さらに詳細には腫
瘍細胞の増殖を阻害し、制癌効果を発揮する新規化合
物、その製法及びその用途並びに新規微生物ストレプト
ミセス・エスピー(Streptomyces sp.)に関するもので
ある。
従来の技術 癌化学療法の分野においては、ブレオマイシン(Bleo
mycin)及びアドリアマイシン(Adriamycin)等の多く
の微生物代謝産物を臨床的に応用することが試みられ、
また実際に臨床において使用されている。しかしなが
ら、様々な種類の腫瘍に対してその効果は必ずしも充分
ではなく、また臨床上これらの薬剤に対する腫瘍細胞の
耐性現象が明らかにされるにつれ、その臨床的応用性は
複雑化している。〔第47回日本癌学会総会記事、12頁〜
15頁(1988年)参照〕。
発明が解決しようとする課題 このような状況においては、常に新規制癌物質の開発
が臨床上求められている。即ち、既存の制癌物質に対す
る耐性を克服する目的であり、また既存の制癌物質が充
分に効果を発揮できない種類の癌に対して有効である物
質が求められている。
課題を解決するための手段 本発明者らは、上記の課題を解決すべく、抗腫瘍性物
質について微生物代謝産物を広くスクリーニングした結
果、後記一般式で表される化合物が優れた抗腫瘍作用を
示すことを見い出して本発明を完成した。
即ち、本発明は式 で表される新規な抗腫瘍性物質BE−16493又はその薬学
的に許容しうる塩、その製造法及びその用途に関するも
のである。並びに、本発明はBE−16493を産生する能力
を有する新規なストレプトミセス属に属する微生物に関
するものである。
以下に、本発明に係わる化合物について理化学的な性
状を示す。
BE−16493の理化学的性状 性状:橙色アモルファス状固体若しくは結晶 分子式:C38H40O15 元素分析値:理論値 炭素61.95%、水素5.47% 実測値 炭素61.81%、水素5.50% 融点:180−188℃(分解点) マススペクトル:FABマススペクトルを第1図に示す(m/
z 738,M+2H) UVスペクトル:メタノール中(30μg/ml)で測定したUV
スペクトルを第2図に示す。
IRスペクトル:KBr錠剤法によるIRスペクトルを第3図に
示す。1 H−NMRスペクトル:d6−アセトン中で測定した1H−NMR
スペクトル(300MHz)を第4図に示す。13 C−NMRスペクトル:d6−アセトン中で測定した13C−NM
Rスペクトル(75MHz)を第5図に示す。
溶解性:ベンゼン、n−ヘキセンに溶けにくく、アルカ
リ性の水に溶け、メタノール、アセトン等の有機溶媒に
溶け易い。
酸性、中性、塩基性物質の区別:酸性物質 Rf値:0.36(メルク社製、キーゼルゲル60f254使用,展
開溶媒;クロロホルム/メタノール/酢酸(5:1:0.0
6)) 呈色反応:過マンガン酸カリウム反応 陽性 硫酸反応 陽性 BE−16493の生物学的活性 抗腫瘍性物質BE−16493のマウス実験腫瘍細胞に対す
る増殖阻止作用を決定するため、in vitroで試験を行っ
た。P388腫瘍細胞に対するin vitroの抗腫瘍作用試験
は、試験化合物をまずジメチルスルホキシドに溶解した
のち、20%にジメチルスルホキシドを含む細胞培養用培
地(20%DMSO−RPMI−1640培地)で逐次希釈し、3×10
4個の腫瘍細胞を含む細胞培養用培地(仔牛血清10%含
有RPMI−1640培地)200μに対し2μを加えた。37
℃で72時間、5%CO2下で培養したのち、コールターカ
ウンターにて生存する細胞数をカウントし、対照群と比
較した。その結果、BE−16493はP388腫瘍細胞に対し、
強い増殖阻止作用を示し、BE−16493の該腫瘍細胞の増
殖を50%阻止する濃度(IC50)はP388/S細胞に対して0.
9μg/mlであり、P388/V細胞に対しては0.75μg/mlであ
った。
ここにおいてP388/Sは通常のマウス白血病細胞の一種
であり、P388/V細胞は制癌物質ビンクリスチンに対して
耐性を獲得したP388白血病細胞である。
上述したように、上記式(I)で表される本発明の化
合物は、マウス実験癌細胞に対し、顕著な増殖阻止作用
を示す。従って、本発明は温血哺乳動物の腫瘍の治療剤
として有用である。
本発明はまた、本発明化合物を抗腫瘍剤として使用す
る場合、有効量の本発明化合物単独または有効量の本発
明の化合物及び不活性且つ薬学的に許容しうる担体から
成る医薬組成物として使用される。
この医薬組成物は、本発明の化合物と不活性な薬学的
担体とを組み合わせて製造され、各種の処方で経口的、
非経口的若しくは局所的に投与される。適切な組成物の
例としては、錠剤、カプセル、丸剤、粉末、顆粒等の経
口投与用の固形組成物、溶液、サスペンジョン、エマル
ジョンのような経口投与用の液体組成物を包含する。ま
た、使用直前に滅菌水、生理的食塩水若しくは他の注射
用滅菌溶剤に溶解しうる滅菌組成物の形で製造すること
もできる。
本発明化合物の薬学的に許容しうる塩の典型例として
は、本発明の化合物に例えば水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム若しくは炭酸水素ナトリウムのようなアルカリ
の当量またはトリエチルアミン若しくは2−アミノエタ
ノールのような有機アミン類を加えることによって形成
されるアルカリ付加塩である。
本発明化合物の実際に好ましい投与量は、使用される
化合物の種類、配合された組成物の種類、適用頻度及び
治療すべき特定部位、宿主及び腫瘍によって変化するこ
とに注意すべきである。一日当りの成人一人当りの投与
量は、経口投与の場合、10ないし500mgであり、非経口
投与、好ましくは静脈内注射の場合、1日当り10ないし
100mgである。なお、投与回数は投与方法及び症状によ
り異なるが、1回ないし数回である。
次にBE−16493の製造法について説明する。
本発明の抗腫瘍性物質BE−16493の製造に使用する微
生物又はその変異株は、抗腫瘍性物質BE−16493を産生
するものならばいずれでも良いが、例えば以下の菌学的
性状を有する微生物を挙げることができる。
1.形 態 BA16493株は、顕微鏡下で余り伸長しない気菌糸の先
端より20個以上の胞子のほぼ直ぐな連鎖を着生し、輪生
枝状のものおよび菌糸の分断は認められない。
胞子の大きさは0.5×1.0μm位の円筒状で、菌核およ
び胞子のう等の特殊な器官は観察されない。胞子の表面
は平滑である。
2.各種寒天平板培地における培養性状 各種寒天平板培地において28℃、21日間培養した結果
を第1表に示す。
3.生育温度(イースト・麦芽寒天培地、21日間培養) 12℃:生育は不良で気菌糸形成せず 20℃:生育は良好で気菌糸形成せず 28℃:生育は良好で気菌糸形成せず 37℃:生育は良好で気菌糸形成せず 45℃:生育せず 4.生理学的諸特性 (1)ゼラチンの液化 陰性 (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) (2)スターチの加水分解 陽性 (スターチ・無機塩寒天培地) (3)脱脂粉乳の凝固 陰性 (スキムミルク培地) (4)脱脂粉乳のぺプトン化 陰性 (スキムミルク培地) (5)メラニン様色素の生成 陰性 (6)食塩耐性 食塩含有量2%以下で生育 (イースト・麦芽寒天培地) 5.炭素源の利用能 プリドハム・ゴドリーブ寒天を基礎培地とし、下記各
種糖を添加して、28℃、21日間培養した。その結果を第
2表に示す。
6.細胞壁組成 LL−ジアミノピメリン酸及びグリシンが検出された。
以上の菌学的諸性質により、BA16493株はストレプト
ミセス属に属する放射菌であることが判明した。
したがって、本発明者らは、BA16493株をストレプト
ミセス・エスピー・BA16493(Streptomyces sp.BA1649
3)と称することにした。
なお、本菌株は通商産業省工業技術院微生物工業技術
研究所に寄託されてり、その微工研受託番号は微工研菌
寄第10750号(FERM P−10750)である。
本発明で使用する抗腫瘍性物質BE−16493を産生する
微生物の変異株は、例えばX線若しくは紫外線等の照射
処理、例えばナイトロジェン・マスタード、アザセリ
ン、亜硝酸、2−アミノプリン若しくはN−メチル−
N′−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)等の変
異誘起剤による処理、ファージ接触、形質転換、形質導
入又は接合等の通常用いられる菌種変換処理方法により
抗腫瘍性物質BE−16493産生菌を変異させた微生物であ
る。
本発明のBE−16493を製造するにあたり、BE−16493の
生産菌株BA16493栄養源含有培地に接種して好気的に発
育させることにより、BE−16493を含む培養物が得られ
る。栄養源としては、放射菌の栄養源として公知のもの
が使用できる。例えば、炭素源としては、市販されてい
るブドウ糖、グリセリン、麦芽糖、デンプン、庶糖、糖
蜜又はデキストリンなどが単独又は混合物として用いら
れる。窒素源としては、市販されている大豆粉、コーン
スティープリカー、肉エキス、酵母エキス、綿実粉、ぺ
プトン、小麦胚芽、魚粉、無機アンモニウム塩又は硝酸
ナトリウムなどが単独又は混合物として用いられる。無
機塩としては、市販されている炭酸カルシウム、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム又は各種リ
ン酸塩などを使用することができる。その他必要に応じ
て、鉄、マンガン又は亜鉛などの重金属塩を微量添加す
ることもできる。また、発泡の著しい時には、消泡剤と
して、例えば大豆油又は亜麻仁油等の植物油、オクタデ
カノール等の高級アルコール類、各種シリコン化合物等
を適宜添加しても良い。これらのもの以外でも、該生産
菌が利用し、BE−16493の生産に役立つものであれば、
いずれも使用することができる。
培養方法としては、一般の微生物代謝産物の生産方法
と同様に行えばよく、固体培養でも液体培養でもよい。
液体培養の場合は、静置培養、撹拌培養、振盪培養また
は通気培養などのいずれを実施してもよいが、特に振盪
培養または深部通気撹拌培養が好ましい。培養温度は20
℃〜37℃が適当であるが、25℃〜30℃が好ましい。好ま
しい培地のpHは4〜8の範囲で、培養時間は24時間〜19
2時間、好ましくは48時間〜120時間である。
培養物から目的とする本発明のBE−16493を採取する
には、微生物の培養物から採取するのに通常使用される
分離手段が適宜利用される。本発明のBE−16493は培養
濾液中及び菌体中に存在するので、培養濾液又は菌体よ
り通常の分離手段、例えば溶媒抽出法、イオン交換樹脂
法または吸着若しくは分配クロマトグラフィー法及びゲ
ル濾過法等を単独又は組合せて行うことにより精製でき
る。また高速液体クロマトグラフィーや薄層クロマトグ
ラフィーなども抽出精製に利用可能である。
好ましい分離−精製の例としては次の方法が挙げられ
る。まず培養濾液を遠心分離し、菌体と培養上清とに分
ける。菌体をメタノールまたはアセトン等の有機溶媒で
抽出し、抽出液を減圧下に濃縮する。濃縮した溶液のpH
を酸性にし、酢酸エチルなどの有機溶媒で抽出して減圧
下に濃縮すれば、BE−16493を含む粗物質が得られる。
得られた粗物質について、シリカゲルのカラムクロマト
グラフィーなどを用いて精製を行えば、本発明のBE−16
493を橙色の結晶状粉末として得ることができる。
次に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明する。しか
しながら、本発明は実施例に限定されるものではなく、
実施例の修飾手段はもちろん、本発明によって明らかに
されたBE−16493の性状に基づいて、公知の手段を用い
てBE−16493を生産、濃縮、抽出、精製する方法すべて
を包括する。
実施例 斜面寒天培地に培養した放射菌BA16493をグリセリン
2%、麦芽糖蜜1%、肉エキス0.2%、綿実粉0.5%、酵
母エキス0.1%、小麦麦芽0.5%、硫酸マグネシウム0.2
%、塩化ナトリウム0.2%、炭酸カルシウム0.2%、リン
酸一カリウム0.1%、硫酸アンモニウム0.1%、硫酸第一
鉄0.001%、硫酸亜鉛0.001%からなる培地(pH6.7)110
mlを含む500ml容の三角フラスコ2本に接種し、28℃で7
2時間、回転振盪機(毎分180回転)上で培養した。この
培養液を1mlずつ、上記の培地を110ml含む500ml容の三
角フラスコ9本に接触し、28℃で120時間、回転振盪機
(毎分180回転)上で培養した。培養液(約1)を濾
過法によって濾過し、得られた菌体を500mlの脱イオン
水で洗浄した後、菌体にメタノール1を加え室温で1
時間撹拌した。濾過法によってメタノール抽出液を得、
このメタノール抽出液を約300mlにまで濃縮した。得ら
れた濃縮液を酢酸エチル1を用いて抽出し、酢酸エチ
ル抽出液を得た。
一方、濾過法によって得られた培養濾液900mlのpHを2
N塩酸で約2.5とし、酢酸エチル3を用いて抽出し、先
に抽出した菌体からの酢酸エチル抽出液と合わせ、無水
硫酸ナトリウムを添加し一晩放置後、減圧下に濃縮し、
残渣を少量のn−ヘキサンで洗って、BE−16493 2.6gを
含む粗物質を得た。得られた粗物質をシリカゲルのカラ
ムクロマトグラフィー(3×30cm)にかけ、クロロホル
ム−メタノール(10:1)の混合溶液で展開した後、クロ
ロホルム−メタノール−酢酸(10:1:0.1)の混合溶媒で
溶出を行ない、BE−16493を含む画分を減圧下に濃縮し
て950mgの残渣を得た。シリカゲルのカラムクロマトグ
ラフィー(3×30cm)を再度行い、クロロホルム−メタ
ノール−酢酸(20:1:0.1)の混合溶媒を用いて溶出し、
BE−16493を含む画分を減圧下に濃縮することにより、B
E−16493 860mgを橙色結晶状粉末として得た。
発明の効果 本発明に記載するBE−16493は、既存の制癌剤に耐性
を有する腫瘍細胞に対しても該制癌剤に耐性を獲得して
いない細胞と同程度の増殖阻止効果を有することから、
医薬の分野で癌の治療剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、BE−16493のFAB−マススペクトルの図であ
る。第2図は、メタノール中におけるBE−16493の紫外
部及び可視部の吸収スペクトルの図である。第3図は、
BE−16493のKBr錠剤法による赤外吸収スペクトルの図で
ある。第4図は、BE−16493のd6−アセトン中における3
00MHz 1H−NMRスペクトルの図である。第5図は、BE−1
6493のd6−アセトン中における75MHz 13C−NMRスペクト
ルの図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:465) (C12P 17/16 C12R 1:465) (72)発明者 岡西 昌則 東京都目黒区下目黒2丁目9番3号 萬 有製薬株式会社探索研究所内 審査官 斉藤 真由美 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 17/00 - 17/18 C07D 407/12 A61K 31/35 C12N 1/20 CA(STN) REGISTRY(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 で表される抗腫瘍性物質BE−16493又はその薬学的に許
    容しうる塩。
  2. 【請求項2】式 で表される抗腫瘍性物質BE−16493又はその薬学的に許
    容しうる塩を有効成分とする抗腫瘍剤。
  3. 【請求項3】式 で表される抗腫瘍性物質BE−16493又はその薬学的に許
    容しうる塩の製造に際し、抗腫瘍性物質BE−16493を産
    生する微生物又はその変異株を培養して抗腫瘍性物質BE
    −16493を蓄積させ、採取することを特徴とする製法。
  4. 【請求項4】ストレプトミセス・エスピーBA16493(Str
    eptomyces sp.BA16493)株又はその変異株を培養するこ
    とを特徴とする第3請求項記載の製法。
  5. 【請求項5】式 で表される抗腫瘍性物質BE−16493を産生する能力を有
    するストレプトミセス・エスピーBA16493株又はその変
    異株。
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