JPH0236B2 - - Google Patents
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- JPH0236B2 JPH0236B2 JP60002724A JP272485A JPH0236B2 JP H0236 B2 JPH0236 B2 JP H0236B2 JP 60002724 A JP60002724 A JP 60002724A JP 272485 A JP272485 A JP 272485A JP H0236 B2 JPH0236 B2 JP H0236B2
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N13/00—Treatment of microorganisms or enzymes with electrical or wave energy, e.g. magnetism, sonic waves
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- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12P—FERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
- C12P13/00—Preparation of nitrogen-containing organic compounds
- C12P13/02—Amides, e.g. chloramphenicol or polyamides; Imides or polyimides; Urethanes, i.e. compounds comprising N-C=O structural element or polyurethanes
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- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
Description
発明の背景
技術分野
本発明は、微生物のニトリラーゼの作用により
ニトリル化合物を水和して対応するアミド化合物
に転化させる方法に関する。さらに具体的には、
本発明は、使用ニトリラーゼに光を照射すること
によつて、光照射がなければ生じないこの水和反
応を進行させる方法に関する。 近年、微生物またはそれから得られた酵素を用
いて種々の化学反応を実施する技術が開発されつ
つある。一般に、微生物ないし酵素による反応
は、常温常圧下に実施できるのでエネルギー消費
が少なく、しかも目的生成物への選択性が極度に
高いので高純度の製品が得られ易いという特徴が
ある。しかしその反面、この反応は、反応活性お
よび微生物ないし酵素の触媒としての寿命の点で
改善すべき余地がある。特に、目的とする反応の
速度すなわち反応活性が常法通り反応条件特に温
度および(または)PHの至適化を行なつたとして
も低位の場合は、空時収率が低いので反応器の容
量を増大しなければならないばかりでなく、反応
速度が遅いため反応時間が長くなるところから、
これがさらに反応活性の低下につながつて、菌体
生産性が悪化する。 従つて、微生物あるいは酵素の反応活性を高位
に発現させることは、基本的に重要なことであ
り、工業生産における経済性を左右するものであ
る。 先行技術 ニトリル化合物を水和して対応アミド化合物に
転化させる酵素活性、すなわちニトリラーゼ活
性、を有する微生物の該ニトリラーゼの作用下に
ニトリル化合物を水和して対応アミド化合物を製
造する方法は、特公昭56−17918号、同56−38118
号および特開昭51−86186号各公報に記載されて
いる。この反応では微生物が重要な役割を担うと
ころ、これら各公報には何種類かの微生物が開示
されている。 問題点 これらの微生物のニトリラーゼを利用してニト
リル化合物の水和を工業的規模で実施すべく容量
の大きな金属製反応装置を使用したところ、ニト
リラーゼ活性の発現が不充分であつた。このよう
な現象が微生物自体に起因するのかあるいは反応
装置の材質、構造その他の理由によるのかは不明
であつたが、この点が解決されなければこの微生
物学的なアミド化合物の製造法を工業的に実施す
ることはできない。 一つの解決策 上記の点に解決を与えるものとして、本発明者
らは既に一つの発明をなした(特願昭58−125588
号)。その発明は、水和反応を少なくとも一部が
光不透過性材料からなる容器の中で実施する場合
に、使用微生物菌体にある量以上の光エネルギー
を受けさせるということを骨子とするものであ
る。この発明は、微生物菌体は全く光の照射を受
けないとニトリラーゼ活性を発現しないこと、光
照射を受けてニトリラーゼ活性が発現しても、こ
の活性は減衰すること、および光照射によつてニ
トリラーゼ活性の増大(ゼロからの増大を含む)
が認められること、等の事実の発見に基くもので
ある。 この発明の時点での本発明者らの認識は、その
ような光照射による効果は基質(ニトリル)およ
び(または)生成物(アミド)の使用微生物細胞
膜透過速度の向上によるということであり、事
実、細胞膜の透過とは無関係な酵素標品のニトリ
ラーゼ活性を利用する場合にはこのような光照射
によるニトリラーゼ活性の増大は認められなかつ
たのである。 しかし、その後の研究によつて、酵素標品のニ
トリラーゼ活性も光照射によつてはじめて発現す
るのであるが、いつたん発現したニトリラーゼ活
性は経時的にほとんど低下しないということが判
明した。すなわち、前記の構素標品の場合に光照
射によるニトリラーゼ活性の増大が認められなか
つたのは、その実験に使用した酵素標品がその調
製時に光の照射を受けてニトリラーゼ活性が発現
したものであつたので、その活性が低下せずに維
持されているところに光を照射してもニトリラー
ゼ活性の更なる増大の余地はなかつたからなので
あつた。 発明の概要 要 旨 本発明は上記の発見に基くものである。 従つて、本発明による微生物によるアミドの製
造法は、ニトリル化合物を微生物のニトリラーゼ
の作用によつて水と反応させて対応するアミド化
合物に転化させる方法において、この反応を下記
の条件下に実施すること、を特徴とするものであ
る。 (イ) 微生物のニトリラーゼが微生物の菌体の破砕
物または微生物から得られたその菌体の内容物
の形であること。 (ロ) 使用する微生物のニトリラーゼに、水和反応
の終了以前に少なくとも約10μE/g菌体に相
当する光エネルギーを受けさせること。 (ハ) 水和反応を、少なくとも一部が光不透過性材
料からなる容器の中で実施すること。 効 果 本発明によれば、先ず、前記の本発明者らの先
行発明に生得的な効果が得られる。すなわち、本
発明では微生物のニトリラーゼの作用によつてニ
トリルの水和反応を実施するに当り、このニトリ
ラーゼに光を照射することによつて、光不透過性
材料で製作した反応容器中では光が実質的に存在
しないので実質的に進行しないこの水和反応を進
行させることができ、また一部を光不透過性材料
で製作した反応容器中では光が存在するのである
程度は進行するこの水和反応を光照射によつて著
しく促進することができる。 そして、本発明は、この固有の効果として、一
旦光照射を受けた菌体破砕物または菌体内容物は
発現したニトリラーゼ活性を維持するところよ
り、水和反応を完全な暗黒状態で実施することが
できる。工業的に使用される反応装置は金属製で
あるから、そのような装置に光照射手段を設ける
必要がないということは、この水和反応の工業的
実施に当つて有利なことである。 酵素の利用を含めて微生物学的な方法で有用物
質を生産することは既に多くの事例が知られてい
るのであるが、光のような電磁波を照射して微生
物ないしその酵素の活性を発現させあるいはこれ
を高める例は殆んど知られておらず、むしろ一般
には照射は有害であることが多いとされているこ
とをも考慮すれば、上記の特定の場合について認
められた光照射の効果は全く思いがけなかつたこ
とといわなければならない。 発明の具体的説明 微生物のニトリラーゼ ニトリラーゼ活性を有する微生物または当該ニ
トリラーゼの作用によつてニトリル化合物を対応
アミド化合物に転化させることが公知であること
は前記した通りであるが、本発明者の見出したと
ころによれば前記特公昭56−17918号、同56−
38118号および特開昭51−86186号公報に記載され
ている属の微生物は一般に光による活性向上があ
り、またその菌体破砕物または菌体外に取出され
た菌体内容物は本発明の対象となる。 このような微生物の具体例を挙げれば、下記の
群から選んだ属に属するものがある。 (イ) コリネバクテリウム属 (ロ) ノカルジア属 (ハ) バチルス属 (ニ) バクテリジウム属 (ホ) ミクロコツカス属 (ヘ) ブレビバクテリウム属 これらの属に属する具体的な菌株の例を挙げれ
ば、コリネバクテリウム属のものとしてはN−
771株(昭和53年5月30日付微工研菌寄第4445号)
およびN−774株(昭和53年5月30日付微工研菌
寄第4446号)、ノカルジア属のものとしてはN−
775株(昭和53年5月30日付微工研菌寄第4447号)
があつて特公昭56−17918号および同56−38118号
公報に記載されており、バチルス属以外のものと
しては特開昭51−86186号公報に記載されたもの
があつて、CBSおよび微工研に寄託されている
と記載されている。これらの菌株の菌学的性質は
これら諸公報に記載されていて公知である。 さて、本発明で利用するニトリラーゼ活性は、
上記のような微生物の菌体の破砕物またはこの微
生物から得られたその菌体の内容物のそれであ
る。ここで、「菌体の破砕物」とは、フレンチプ
レスその他の機械的装置によつて菌体を破砕した
もの、菌体を液体媒体中で滲透圧によつて破裂さ
せて細胞壁ないし細胞膜を破砕させたもの、その
他であつて、ニトリラーゼまたはニトリラーゼ活
性を有する菌体内容物が菌体外に存在していて、
しかも細胞壁ないし細胞膜の残渣が未だ除去され
ていないもの、を意味する。また、「その微生物
から得られた菌体の内容物」というときは、この
「内容物」は全内容物の少なくとも一部を意味す
るのであつて、具体的には上記の菌体破砕物から
細胞壁ないし細胞膜を除去したもの(除去に際し
て菌体内容物の一部が一緒に除去されることがあ
りうる)およびそのような内容物から酵素回収の
常法に従つて硫安分画等によつて得た酵素標品
(ニトリラーゼ含量または力価が種々ありうるこ
とはいうまでもない)、その他がある。 以下の説明では、簡略化のため、これらを総称
して「菌体破砕物等」ということとする。 ニトリル化合物およびアミド化合物 ニトリル化合物は一般に式R−(CN)oで表わさ
れ、nの値によつてモノニトリル(n=1)およ
びポリニトリル(n≧2)があるうえ、Rは水素
あるいは種々の炭素数の、直鎖状、分岐鎖状また
は環状の飽和または不飽和の炭化水素残基、およ
びアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン基、カル
ボキシル基、その他の置換基を有する炭化水素残
基であつて、広範囲の化合物が包含される。 後記実施例に示されているように、多くのニト
リル化合物について実験した結果ではすべて例外
なく光照射でニトリラーゼ活性向上が認められて
おり、本発明はニトリル化合物に対して一般に成
立つ。 水和反応生成物は出発ニトリル化合物のシアノ
基が水和したアミド化合物である。 生成物の有用性の観点からは、少なくとも現在
の判断基準からすれば、アクリロニトリルからア
クリルアミドおよびシアノピリジンからニコチン
酸アミドの生産が重要であろう。 水和反応 微生物のニトリラーゼの作用下にニトリル化合
物の水和を行なう方法は公知であつて、本発明で
もその趣旨が損なわれない限り任意の態様でこの
反応を実施することができる(光照射によつて、
水和反応そのものには変化が認められない)。 この方法は、一般に菌体破砕物等と原料ニトリ
ル化合物とを水性媒体中で所定時間接触させるこ
とからなる。 菌体破砕物等は、培養液の破砕処理物の形で、
培養液から分離した菌体の破砕処理物の形で、こ
れらのような菌体破砕処理物を乾燥させた形で、
あるいは回収酵素標品またはこれを適当な液体ま
たは固体担体に担持ないし固定化した形であるこ
とができる。好ましい形態は、菌体内容物等を水
性重合体ゲル(たとえば架橋ポリアミドゲルある
いは架橋ポリビニルアルコール)中に固定化した
もの、である。 水性媒体中の基質(ニトリル)濃度および菌体
破砕物等の濃度も上記のように適当に選択するこ
とができるが、一般的には基質濃度約0.01〜約5
%程度、菌体破砕物等の濃度約0.01〜約2%程度
(以上いずれも重量%)である。ここで、菌体破
砕物等の濃度は、破砕に供した菌体の乾燥重量に
基いて表示している。従つて、菌体破砕物等とし
て酵素標品を使用するときは適当な換算が必要で
ある。反応温度、反応PHその他の反応条件も使用
菌体破砕物等の種類に応じて適当に定めればよい
が、反応温度は氷点〜20℃程度、PHは7前後であ
る。PH値を所定値に保つため適当なバツフアーを
使用することができることはいうまでもない。 光照射 (1) 光 光照射は、水和反応終了以前の菌体破砕物に
対して行なう。ここで、水和反応終了以前とは
水和反応の終了(必ずしも転化率100%を意味
しない)以前の任意の時点を意味する。光照射
は菌体破砕物等に対して行なうのであるから、
水和反応終了以前とは菌体破砕物等をニトリル
化合物と接触させる前の時点をも意味する。す
なわち、光照射は、菌体破砕物等をニトリル化
合物に接触させる前および(または)接触させ
た後に行なうことができる。 本発明によれば、光照射は菌体破砕物等をニ
トリル化合物と接触させる前のみに行なうこと
ができる。しかし、希望するならば菌体破砕物
等をニトリル化合物と接触させた後にも光照射
を行なうことができる。 本発明で照射する「光」は、その効果が認め
られる限り任意の波長のものでありうる。しか
し、電磁波の一部領域として光を捉えたときに
容易に想像できるように、より低エネルギーの
原子過程から生じるより高波長域では効果が少
なく、一方低波長に過ぎればそのエネルギーが
過大であるところより酵素の分子(配列)が破
壊されて酵素活性を失なうであろう。事実、本
発明者らが広い波長域を検討した結果では、
800nmを越える長波長の光は菌体破砕物等に
異常を与えないが酵素活性向上効果は顕著では
なく、一方200nm未満の短波長では短時間に
活性向上効果を発現することができるが回復し
えない活性低下をもたらす。従つて、本発明で
好ましい光は波長が約100〜約1000nmのもの
であり、具体的には波長200〜300nmの範囲の
殺菌用ライト類、300〜400nmのブラツクライ
ト類、400〜800nmの範囲の一般照射用ライト
類からの光が例示される。 光の照射は、それによつて活性向上効果が実
現される限り任意の強度ないし量で行なえばよ
い。具体的には、菌体破砕物等が少なくとも約
10μE/g菌体の光エネルギーを受けるように
照射を行なうべきである。好ましいエネルギー
量は照射光の波長によつて異なるもののようで
あつて、具体的には、波長300〜450nmの光を
使用するときは菌体破砕物等が少なくとも約
10μE/g菌体、好ましくは約20μE/g菌体、
のエネルギーを受けるように照射を行なう。
300〜450nmの波長をあまり含まない光を使用
するときには、菌体破砕物等が少なくとも約
50μE/g菌体、好ましくは100μE/g菌体、の
光エネルギーを受けるように照射を行うべきで
ある。なお、固定化菌体破砕物等を使用する場
合にこれと同一濃度の非固定化菌体破砕物使用
の場合にくらべて反応速度が約1/2〜1/3に低下
することがあるが、その場合は上記値より約2
〜3倍の光エネルギー量が必要である。ここ
で、「μE」は1モル分子数に等しい数の光量子
のもつエネルギー(E(アインシユタイン))×
10-6で表わした光エネルギー量であり、「g菌
体」は破砕に供した菌体の乾燥重量(g)を表
わすものであり、従つて酵素標品使用の場合は
換算が必要である。本発明で「に相当する光エ
ネルギー」と規定する所以である。秒は照射時
間を秒で表わしたものである。 この光エネルギー量は、通常の工業的生産規
模での反応容器その他の反応装置の環境の光
(すなわち、室内の照明および(または)一部
室内への散乱(太陽光)によつて与えられるも
のより大きい。すなわち、本発明者らの実験に
よれば、通常工業的生産現場での照度は100ル
ツクス程度であるが、この明るさでは、仮に菌
体濃度が1000ppmと低く、且つ上部が全部光開
放された反応容器を使用したとしても、反応容
器が約250リツトル以上ともなると数時間にわ
たつて光が当つたとしても得られる光エネルギ
ー量は上記10μE/g菌体の値に満たなくなる。 このように、かなり光を受け入れ易い条件に
あつても工業的生産現場においては所要光エネ
ルギー量は満たし難いが、本発明で少なくとも
約10μE/g菌体の光エネルギーを受けさせる
というときは光の照射態様(詳細後記)によつ
て室内光の寄与があるときにはそれをも含める
ものとする。 また、本発明で必要とする反応速度を得るた
めには、たとえば本発明の最低の光エネルギー
量すなわち10μE/g菌体の照射を行なえばよ
い。 (2) 照 射 ニトリル化合物と接触する前の菌体破砕物等
あるいはニトリル化合物と接触している菌体破
砕物等が、それを照射対象とする光源から所定
量の光エネルギーを受けることができる限り、
任意の態様で照射を行なうことができる。 ここで、「菌体破砕物等を照射対象とする光
源」とは、菌体破砕物等を照射すべく反応装置
内または外に設けられた光源を意味し、反応装
置を取りまく環境が散乱太陽光および(また
は)室内照明光として反応装置内に入射させる
ことあるべき光を包含するという趣旨である。
なお、反応装置の存る室内を不必要ないし不自
然に明るくしてその光により反応装置内への有
意の光エネルギーの入射が認められるときは、
そのような光源は本発明でいう光源と解すべき
ものとする。 光の照射は、具体的には、たとえば、菌体破
砕物等の存在する容器の上部空間(すなわち、
菌体破砕物等あるいはそれが懸濁する水性媒体
液面上の空間)に光源を設置して照射を行なう
方法、容器の上部、側部または底部に窓を設け
てそこから外部光源から照射を行なう方法、お
よび一般に光化学反応器として多用されるよう
に液中浸漬ランプにより照射する方法、その他
の方法、によつて行なうことができる。また、
必要ならば、あるいは可能ならば、菌体破砕物
等の存在する容器(特に反応容器)から反応液
を抜出して、それについて別の容器で上記のよ
うな照射を行なうこともできる(この場合の
「別の容器」は、透明ガラス管の一本または複
数本からなるものであつてもよい)。 なお、光照射による本発明の効果は、ふつう
の案内光の入射によつては光エネルギー量が不
足するような工業的生産規模での菌体破砕物等
の貯槽または反応容器を使用する場合に特に顕
著である。このような貯槽または反応容器は光
不透過性材料、特に金属、によつてその実質的
部分が製作されていることがふつうであり、こ
のような光不透過性の貯槽または反応容器では
例えば視き窓あるいは蓋部から得られる一般照
明による光エネルギーでは極めて不充分で積極
的な光の照射が不可欠である。なお、ここで
「反応容器」とは、水和反応の少なくとも大部
分が実施される反応装置部分をいう。ニトリラ
ーゼ活性が菌体の使用によりもたらされる場合
と異なつて、菌体破砕物等をニトリラーゼ源と
して使用する場合には光照射は一回だけでよい
ことはこのニトリラーゼ源の大きな特徴であ
る。従つて、このような本発明の特徴を生かし
た実施態様は、菌体の破砕前、破砕中、および
菌体破砕物の処理(酵素標品製造を含む)にお
いて十分量の光の照射が行なわれるようにし
て、水和反応自身は光の照射に対する配慮なし
で実施すること(たとえば、光の侵入する開口
部の全くない反応装置あるいは光の進入量の少
ない開口部をもつ反応装置の使用。そのような
開口部を持つ反応装置を使用した場合でも、そ
こからの光の量に対する配慮は不要である)で
ある。 実験例 実施例 1 (1) 菌の培養 グルコース1%、ペプトン0.5%、酵母エキ
ス0.3%、麦芽エキス0.3%および硫酸第一鉄・
7水塩0.05%を含む培地(PH7.2)を500ml三角
フラスコに仕込み、滅菌後、1白金耳のN−
774株(コリネバクテリウム属)を殖菌し、30
℃にて2日間培養した。 (2) 暗放置菌体および明放置菌体の調製 培養菌体を常法に従い、遠心により集菌後、
0.05Nリン酸バツフアー(PH7.7)で洗浄し、洗
浄菌体を得た。 洗浄菌体を同一バツフアーに分散させて、
17.3g菌体(乾燥菌体換算)/リツトルの濃度
の菌体懸濁液を得た。 暗放置菌体:菌体懸濁液を0℃にて3〜4日
間暗所に放置して、暗放置菌体を調製した。 明放置菌体:暗放置菌体に0℃にて陽光ラン
プ(東芝電材(株)製、DR400/T)(波長約300
〜800nm)を用いて5.7μE/g菌体/秒の光エ
ネルギーの照射下に1時間放置して、明放置菌
体を調製した。 (3) 菌体破砕物および菌体内容物の調製 菌体破砕物:暗放置菌体(または明放置菌
体)懸濁液100mlを暗所にて1300Kg/cm2の圧力
をかけて3回フレンチプレス((株)大岳製作所
製)で処理して細胞を破砕し、菌体破砕物を含
んだ溶液(以降、菌体破砕液とよぶ)約90mlを
得た。 菌体内容物:菌体破砕液約50mlを高速遠心機
にて、15000rpmで30分遠心し、菌体残渣を除
去した抽出液約45mlを得た。本抽出液を常法に
従い、除核酸、硫安分画に付して、硫安飽和50
〜60%画分の透析済粗酵素液約15mlを得た。 なお、これらの操作は全て、4℃、0.02μE/
m2/秒以下の明るさの低温室(ことわらない限
り、全ての操作は本条件と同一にして行なつ
た。)にて手早く行なつた。 (4) 反応速度の測定法 菌体懸濁液(または菌体破砕液、または抽出
液または粗酵素液)0.2mlと0.05Mリン酸バツ
フアー(PH7.7)4.8mlとを混合し、これにさら
に5重量%のアクリロニトリルを含む0.05Mリ
ン酸バツフアー(PH7.7)5mlを加え、0℃に
て所定時間反応させた後、生成したアクリルア
ミドをガスクロマトグラフイーにより定量し、
反応速度を測定した。なお、反応は全て黒テー
プを巻き、光を遮断した試験管を用いて行つ
た。 これら各成分のAA生成速度を反応10分当り
のAA生成量(%)で比較すると、第1表の結
果を得た。
ニトリル化合物を水和して対応するアミド化合物
に転化させる方法に関する。さらに具体的には、
本発明は、使用ニトリラーゼに光を照射すること
によつて、光照射がなければ生じないこの水和反
応を進行させる方法に関する。 近年、微生物またはそれから得られた酵素を用
いて種々の化学反応を実施する技術が開発されつ
つある。一般に、微生物ないし酵素による反応
は、常温常圧下に実施できるのでエネルギー消費
が少なく、しかも目的生成物への選択性が極度に
高いので高純度の製品が得られ易いという特徴が
ある。しかしその反面、この反応は、反応活性お
よび微生物ないし酵素の触媒としての寿命の点で
改善すべき余地がある。特に、目的とする反応の
速度すなわち反応活性が常法通り反応条件特に温
度および(または)PHの至適化を行なつたとして
も低位の場合は、空時収率が低いので反応器の容
量を増大しなければならないばかりでなく、反応
速度が遅いため反応時間が長くなるところから、
これがさらに反応活性の低下につながつて、菌体
生産性が悪化する。 従つて、微生物あるいは酵素の反応活性を高位
に発現させることは、基本的に重要なことであ
り、工業生産における経済性を左右するものであ
る。 先行技術 ニトリル化合物を水和して対応アミド化合物に
転化させる酵素活性、すなわちニトリラーゼ活
性、を有する微生物の該ニトリラーゼの作用下に
ニトリル化合物を水和して対応アミド化合物を製
造する方法は、特公昭56−17918号、同56−38118
号および特開昭51−86186号各公報に記載されて
いる。この反応では微生物が重要な役割を担うと
ころ、これら各公報には何種類かの微生物が開示
されている。 問題点 これらの微生物のニトリラーゼを利用してニト
リル化合物の水和を工業的規模で実施すべく容量
の大きな金属製反応装置を使用したところ、ニト
リラーゼ活性の発現が不充分であつた。このよう
な現象が微生物自体に起因するのかあるいは反応
装置の材質、構造その他の理由によるのかは不明
であつたが、この点が解決されなければこの微生
物学的なアミド化合物の製造法を工業的に実施す
ることはできない。 一つの解決策 上記の点に解決を与えるものとして、本発明者
らは既に一つの発明をなした(特願昭58−125588
号)。その発明は、水和反応を少なくとも一部が
光不透過性材料からなる容器の中で実施する場合
に、使用微生物菌体にある量以上の光エネルギー
を受けさせるということを骨子とするものであ
る。この発明は、微生物菌体は全く光の照射を受
けないとニトリラーゼ活性を発現しないこと、光
照射を受けてニトリラーゼ活性が発現しても、こ
の活性は減衰すること、および光照射によつてニ
トリラーゼ活性の増大(ゼロからの増大を含む)
が認められること、等の事実の発見に基くもので
ある。 この発明の時点での本発明者らの認識は、その
ような光照射による効果は基質(ニトリル)およ
び(または)生成物(アミド)の使用微生物細胞
膜透過速度の向上によるということであり、事
実、細胞膜の透過とは無関係な酵素標品のニトリ
ラーゼ活性を利用する場合にはこのような光照射
によるニトリラーゼ活性の増大は認められなかつ
たのである。 しかし、その後の研究によつて、酵素標品のニ
トリラーゼ活性も光照射によつてはじめて発現す
るのであるが、いつたん発現したニトリラーゼ活
性は経時的にほとんど低下しないということが判
明した。すなわち、前記の構素標品の場合に光照
射によるニトリラーゼ活性の増大が認められなか
つたのは、その実験に使用した酵素標品がその調
製時に光の照射を受けてニトリラーゼ活性が発現
したものであつたので、その活性が低下せずに維
持されているところに光を照射してもニトリラー
ゼ活性の更なる増大の余地はなかつたからなので
あつた。 発明の概要 要 旨 本発明は上記の発見に基くものである。 従つて、本発明による微生物によるアミドの製
造法は、ニトリル化合物を微生物のニトリラーゼ
の作用によつて水と反応させて対応するアミド化
合物に転化させる方法において、この反応を下記
の条件下に実施すること、を特徴とするものであ
る。 (イ) 微生物のニトリラーゼが微生物の菌体の破砕
物または微生物から得られたその菌体の内容物
の形であること。 (ロ) 使用する微生物のニトリラーゼに、水和反応
の終了以前に少なくとも約10μE/g菌体に相
当する光エネルギーを受けさせること。 (ハ) 水和反応を、少なくとも一部が光不透過性材
料からなる容器の中で実施すること。 効 果 本発明によれば、先ず、前記の本発明者らの先
行発明に生得的な効果が得られる。すなわち、本
発明では微生物のニトリラーゼの作用によつてニ
トリルの水和反応を実施するに当り、このニトリ
ラーゼに光を照射することによつて、光不透過性
材料で製作した反応容器中では光が実質的に存在
しないので実質的に進行しないこの水和反応を進
行させることができ、また一部を光不透過性材料
で製作した反応容器中では光が存在するのである
程度は進行するこの水和反応を光照射によつて著
しく促進することができる。 そして、本発明は、この固有の効果として、一
旦光照射を受けた菌体破砕物または菌体内容物は
発現したニトリラーゼ活性を維持するところよ
り、水和反応を完全な暗黒状態で実施することが
できる。工業的に使用される反応装置は金属製で
あるから、そのような装置に光照射手段を設ける
必要がないということは、この水和反応の工業的
実施に当つて有利なことである。 酵素の利用を含めて微生物学的な方法で有用物
質を生産することは既に多くの事例が知られてい
るのであるが、光のような電磁波を照射して微生
物ないしその酵素の活性を発現させあるいはこれ
を高める例は殆んど知られておらず、むしろ一般
には照射は有害であることが多いとされているこ
とをも考慮すれば、上記の特定の場合について認
められた光照射の効果は全く思いがけなかつたこ
とといわなければならない。 発明の具体的説明 微生物のニトリラーゼ ニトリラーゼ活性を有する微生物または当該ニ
トリラーゼの作用によつてニトリル化合物を対応
アミド化合物に転化させることが公知であること
は前記した通りであるが、本発明者の見出したと
ころによれば前記特公昭56−17918号、同56−
38118号および特開昭51−86186号公報に記載され
ている属の微生物は一般に光による活性向上があ
り、またその菌体破砕物または菌体外に取出され
た菌体内容物は本発明の対象となる。 このような微生物の具体例を挙げれば、下記の
群から選んだ属に属するものがある。 (イ) コリネバクテリウム属 (ロ) ノカルジア属 (ハ) バチルス属 (ニ) バクテリジウム属 (ホ) ミクロコツカス属 (ヘ) ブレビバクテリウム属 これらの属に属する具体的な菌株の例を挙げれ
ば、コリネバクテリウム属のものとしてはN−
771株(昭和53年5月30日付微工研菌寄第4445号)
およびN−774株(昭和53年5月30日付微工研菌
寄第4446号)、ノカルジア属のものとしてはN−
775株(昭和53年5月30日付微工研菌寄第4447号)
があつて特公昭56−17918号および同56−38118号
公報に記載されており、バチルス属以外のものと
しては特開昭51−86186号公報に記載されたもの
があつて、CBSおよび微工研に寄託されている
と記載されている。これらの菌株の菌学的性質は
これら諸公報に記載されていて公知である。 さて、本発明で利用するニトリラーゼ活性は、
上記のような微生物の菌体の破砕物またはこの微
生物から得られたその菌体の内容物のそれであ
る。ここで、「菌体の破砕物」とは、フレンチプ
レスその他の機械的装置によつて菌体を破砕した
もの、菌体を液体媒体中で滲透圧によつて破裂さ
せて細胞壁ないし細胞膜を破砕させたもの、その
他であつて、ニトリラーゼまたはニトリラーゼ活
性を有する菌体内容物が菌体外に存在していて、
しかも細胞壁ないし細胞膜の残渣が未だ除去され
ていないもの、を意味する。また、「その微生物
から得られた菌体の内容物」というときは、この
「内容物」は全内容物の少なくとも一部を意味す
るのであつて、具体的には上記の菌体破砕物から
細胞壁ないし細胞膜を除去したもの(除去に際し
て菌体内容物の一部が一緒に除去されることがあ
りうる)およびそのような内容物から酵素回収の
常法に従つて硫安分画等によつて得た酵素標品
(ニトリラーゼ含量または力価が種々ありうるこ
とはいうまでもない)、その他がある。 以下の説明では、簡略化のため、これらを総称
して「菌体破砕物等」ということとする。 ニトリル化合物およびアミド化合物 ニトリル化合物は一般に式R−(CN)oで表わさ
れ、nの値によつてモノニトリル(n=1)およ
びポリニトリル(n≧2)があるうえ、Rは水素
あるいは種々の炭素数の、直鎖状、分岐鎖状また
は環状の飽和または不飽和の炭化水素残基、およ
びアミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン基、カル
ボキシル基、その他の置換基を有する炭化水素残
基であつて、広範囲の化合物が包含される。 後記実施例に示されているように、多くのニト
リル化合物について実験した結果ではすべて例外
なく光照射でニトリラーゼ活性向上が認められて
おり、本発明はニトリル化合物に対して一般に成
立つ。 水和反応生成物は出発ニトリル化合物のシアノ
基が水和したアミド化合物である。 生成物の有用性の観点からは、少なくとも現在
の判断基準からすれば、アクリロニトリルからア
クリルアミドおよびシアノピリジンからニコチン
酸アミドの生産が重要であろう。 水和反応 微生物のニトリラーゼの作用下にニトリル化合
物の水和を行なう方法は公知であつて、本発明で
もその趣旨が損なわれない限り任意の態様でこの
反応を実施することができる(光照射によつて、
水和反応そのものには変化が認められない)。 この方法は、一般に菌体破砕物等と原料ニトリ
ル化合物とを水性媒体中で所定時間接触させるこ
とからなる。 菌体破砕物等は、培養液の破砕処理物の形で、
培養液から分離した菌体の破砕処理物の形で、こ
れらのような菌体破砕処理物を乾燥させた形で、
あるいは回収酵素標品またはこれを適当な液体ま
たは固体担体に担持ないし固定化した形であるこ
とができる。好ましい形態は、菌体内容物等を水
性重合体ゲル(たとえば架橋ポリアミドゲルある
いは架橋ポリビニルアルコール)中に固定化した
もの、である。 水性媒体中の基質(ニトリル)濃度および菌体
破砕物等の濃度も上記のように適当に選択するこ
とができるが、一般的には基質濃度約0.01〜約5
%程度、菌体破砕物等の濃度約0.01〜約2%程度
(以上いずれも重量%)である。ここで、菌体破
砕物等の濃度は、破砕に供した菌体の乾燥重量に
基いて表示している。従つて、菌体破砕物等とし
て酵素標品を使用するときは適当な換算が必要で
ある。反応温度、反応PHその他の反応条件も使用
菌体破砕物等の種類に応じて適当に定めればよい
が、反応温度は氷点〜20℃程度、PHは7前後であ
る。PH値を所定値に保つため適当なバツフアーを
使用することができることはいうまでもない。 光照射 (1) 光 光照射は、水和反応終了以前の菌体破砕物に
対して行なう。ここで、水和反応終了以前とは
水和反応の終了(必ずしも転化率100%を意味
しない)以前の任意の時点を意味する。光照射
は菌体破砕物等に対して行なうのであるから、
水和反応終了以前とは菌体破砕物等をニトリル
化合物と接触させる前の時点をも意味する。す
なわち、光照射は、菌体破砕物等をニトリル化
合物に接触させる前および(または)接触させ
た後に行なうことができる。 本発明によれば、光照射は菌体破砕物等をニ
トリル化合物と接触させる前のみに行なうこと
ができる。しかし、希望するならば菌体破砕物
等をニトリル化合物と接触させた後にも光照射
を行なうことができる。 本発明で照射する「光」は、その効果が認め
られる限り任意の波長のものでありうる。しか
し、電磁波の一部領域として光を捉えたときに
容易に想像できるように、より低エネルギーの
原子過程から生じるより高波長域では効果が少
なく、一方低波長に過ぎればそのエネルギーが
過大であるところより酵素の分子(配列)が破
壊されて酵素活性を失なうであろう。事実、本
発明者らが広い波長域を検討した結果では、
800nmを越える長波長の光は菌体破砕物等に
異常を与えないが酵素活性向上効果は顕著では
なく、一方200nm未満の短波長では短時間に
活性向上効果を発現することができるが回復し
えない活性低下をもたらす。従つて、本発明で
好ましい光は波長が約100〜約1000nmのもの
であり、具体的には波長200〜300nmの範囲の
殺菌用ライト類、300〜400nmのブラツクライ
ト類、400〜800nmの範囲の一般照射用ライト
類からの光が例示される。 光の照射は、それによつて活性向上効果が実
現される限り任意の強度ないし量で行なえばよ
い。具体的には、菌体破砕物等が少なくとも約
10μE/g菌体の光エネルギーを受けるように
照射を行なうべきである。好ましいエネルギー
量は照射光の波長によつて異なるもののようで
あつて、具体的には、波長300〜450nmの光を
使用するときは菌体破砕物等が少なくとも約
10μE/g菌体、好ましくは約20μE/g菌体、
のエネルギーを受けるように照射を行なう。
300〜450nmの波長をあまり含まない光を使用
するときには、菌体破砕物等が少なくとも約
50μE/g菌体、好ましくは100μE/g菌体、の
光エネルギーを受けるように照射を行うべきで
ある。なお、固定化菌体破砕物等を使用する場
合にこれと同一濃度の非固定化菌体破砕物使用
の場合にくらべて反応速度が約1/2〜1/3に低下
することがあるが、その場合は上記値より約2
〜3倍の光エネルギー量が必要である。ここ
で、「μE」は1モル分子数に等しい数の光量子
のもつエネルギー(E(アインシユタイン))×
10-6で表わした光エネルギー量であり、「g菌
体」は破砕に供した菌体の乾燥重量(g)を表
わすものであり、従つて酵素標品使用の場合は
換算が必要である。本発明で「に相当する光エ
ネルギー」と規定する所以である。秒は照射時
間を秒で表わしたものである。 この光エネルギー量は、通常の工業的生産規
模での反応容器その他の反応装置の環境の光
(すなわち、室内の照明および(または)一部
室内への散乱(太陽光)によつて与えられるも
のより大きい。すなわち、本発明者らの実験に
よれば、通常工業的生産現場での照度は100ル
ツクス程度であるが、この明るさでは、仮に菌
体濃度が1000ppmと低く、且つ上部が全部光開
放された反応容器を使用したとしても、反応容
器が約250リツトル以上ともなると数時間にわ
たつて光が当つたとしても得られる光エネルギ
ー量は上記10μE/g菌体の値に満たなくなる。 このように、かなり光を受け入れ易い条件に
あつても工業的生産現場においては所要光エネ
ルギー量は満たし難いが、本発明で少なくとも
約10μE/g菌体の光エネルギーを受けさせる
というときは光の照射態様(詳細後記)によつ
て室内光の寄与があるときにはそれをも含める
ものとする。 また、本発明で必要とする反応速度を得るた
めには、たとえば本発明の最低の光エネルギー
量すなわち10μE/g菌体の照射を行なえばよ
い。 (2) 照 射 ニトリル化合物と接触する前の菌体破砕物等
あるいはニトリル化合物と接触している菌体破
砕物等が、それを照射対象とする光源から所定
量の光エネルギーを受けることができる限り、
任意の態様で照射を行なうことができる。 ここで、「菌体破砕物等を照射対象とする光
源」とは、菌体破砕物等を照射すべく反応装置
内または外に設けられた光源を意味し、反応装
置を取りまく環境が散乱太陽光および(また
は)室内照明光として反応装置内に入射させる
ことあるべき光を包含するという趣旨である。
なお、反応装置の存る室内を不必要ないし不自
然に明るくしてその光により反応装置内への有
意の光エネルギーの入射が認められるときは、
そのような光源は本発明でいう光源と解すべき
ものとする。 光の照射は、具体的には、たとえば、菌体破
砕物等の存在する容器の上部空間(すなわち、
菌体破砕物等あるいはそれが懸濁する水性媒体
液面上の空間)に光源を設置して照射を行なう
方法、容器の上部、側部または底部に窓を設け
てそこから外部光源から照射を行なう方法、お
よび一般に光化学反応器として多用されるよう
に液中浸漬ランプにより照射する方法、その他
の方法、によつて行なうことができる。また、
必要ならば、あるいは可能ならば、菌体破砕物
等の存在する容器(特に反応容器)から反応液
を抜出して、それについて別の容器で上記のよ
うな照射を行なうこともできる(この場合の
「別の容器」は、透明ガラス管の一本または複
数本からなるものであつてもよい)。 なお、光照射による本発明の効果は、ふつう
の案内光の入射によつては光エネルギー量が不
足するような工業的生産規模での菌体破砕物等
の貯槽または反応容器を使用する場合に特に顕
著である。このような貯槽または反応容器は光
不透過性材料、特に金属、によつてその実質的
部分が製作されていることがふつうであり、こ
のような光不透過性の貯槽または反応容器では
例えば視き窓あるいは蓋部から得られる一般照
明による光エネルギーでは極めて不充分で積極
的な光の照射が不可欠である。なお、ここで
「反応容器」とは、水和反応の少なくとも大部
分が実施される反応装置部分をいう。ニトリラ
ーゼ活性が菌体の使用によりもたらされる場合
と異なつて、菌体破砕物等をニトリラーゼ源と
して使用する場合には光照射は一回だけでよい
ことはこのニトリラーゼ源の大きな特徴であ
る。従つて、このような本発明の特徴を生かし
た実施態様は、菌体の破砕前、破砕中、および
菌体破砕物の処理(酵素標品製造を含む)にお
いて十分量の光の照射が行なわれるようにし
て、水和反応自身は光の照射に対する配慮なし
で実施すること(たとえば、光の侵入する開口
部の全くない反応装置あるいは光の進入量の少
ない開口部をもつ反応装置の使用。そのような
開口部を持つ反応装置を使用した場合でも、そ
こからの光の量に対する配慮は不要である)で
ある。 実験例 実施例 1 (1) 菌の培養 グルコース1%、ペプトン0.5%、酵母エキ
ス0.3%、麦芽エキス0.3%および硫酸第一鉄・
7水塩0.05%を含む培地(PH7.2)を500ml三角
フラスコに仕込み、滅菌後、1白金耳のN−
774株(コリネバクテリウム属)を殖菌し、30
℃にて2日間培養した。 (2) 暗放置菌体および明放置菌体の調製 培養菌体を常法に従い、遠心により集菌後、
0.05Nリン酸バツフアー(PH7.7)で洗浄し、洗
浄菌体を得た。 洗浄菌体を同一バツフアーに分散させて、
17.3g菌体(乾燥菌体換算)/リツトルの濃度
の菌体懸濁液を得た。 暗放置菌体:菌体懸濁液を0℃にて3〜4日
間暗所に放置して、暗放置菌体を調製した。 明放置菌体:暗放置菌体に0℃にて陽光ラン
プ(東芝電材(株)製、DR400/T)(波長約300
〜800nm)を用いて5.7μE/g菌体/秒の光エ
ネルギーの照射下に1時間放置して、明放置菌
体を調製した。 (3) 菌体破砕物および菌体内容物の調製 菌体破砕物:暗放置菌体(または明放置菌
体)懸濁液100mlを暗所にて1300Kg/cm2の圧力
をかけて3回フレンチプレス((株)大岳製作所
製)で処理して細胞を破砕し、菌体破砕物を含
んだ溶液(以降、菌体破砕液とよぶ)約90mlを
得た。 菌体内容物:菌体破砕液約50mlを高速遠心機
にて、15000rpmで30分遠心し、菌体残渣を除
去した抽出液約45mlを得た。本抽出液を常法に
従い、除核酸、硫安分画に付して、硫安飽和50
〜60%画分の透析済粗酵素液約15mlを得た。 なお、これらの操作は全て、4℃、0.02μE/
m2/秒以下の明るさの低温室(ことわらない限
り、全ての操作は本条件と同一にして行なつ
た。)にて手早く行なつた。 (4) 反応速度の測定法 菌体懸濁液(または菌体破砕液、または抽出
液または粗酵素液)0.2mlと0.05Mリン酸バツ
フアー(PH7.7)4.8mlとを混合し、これにさら
に5重量%のアクリロニトリルを含む0.05Mリ
ン酸バツフアー(PH7.7)5mlを加え、0℃に
て所定時間反応させた後、生成したアクリルア
ミドをガスクロマトグラフイーにより定量し、
反応速度を測定した。なお、反応は全て黒テー
プを巻き、光を遮断した試験管を用いて行つ
た。 これら各成分のAA生成速度を反応10分当り
のAA生成量(%)で比較すると、第1表の結
果を得た。
【表】
* 参考例
実施例 2 実施例1と同様にして得た、暗放置菌体、暗放
置菌体破砕液、暗放置菌体抽出液および粗酵素液
のそれぞれに、実施例1と同様にして陽光ランプ
の光を10分間照射し、光照射前後の、反応10分当
りのAA生成量を比較した。 結果は第2表に示す通りであつた。
実施例 2 実施例1と同様にして得た、暗放置菌体、暗放
置菌体破砕液、暗放置菌体抽出液および粗酵素液
のそれぞれに、実施例1と同様にして陽光ランプ
の光を10分間照射し、光照射前後の、反応10分当
りのAA生成量を比較した。 結果は第2表に示す通りであつた。
【表】
* 参考例
実施例 3 実施例2で調製した、光照射菌体及び抽出液お
よび粗酵素液のそれぞれを、0℃、暗所に保存
し、その活性残存率を測定した。 なお、光照射直後の菌体又は抽出液、又は粗酵
素液の反応10分当りのAA生成量をそれぞれ100
%とし、各放置時間での活性残存率を相対値で示
した。 結果は第3表に示す通りであつた。
実施例 3 実施例2で調製した、光照射菌体及び抽出液お
よび粗酵素液のそれぞれを、0℃、暗所に保存
し、その活性残存率を測定した。 なお、光照射直後の菌体又は抽出液、又は粗酵
素液の反応10分当りのAA生成量をそれぞれ100
%とし、各放置時間での活性残存率を相対値で示
した。 結果は第3表に示す通りであつた。
【表】
* 参考例
実施例 4 実施例1と同様にして調製した暗放置菌体抽出
液5mlを鋼製の50ml容器に採取し、ブラツクライ
ト(東芝FL−4BL−G型)を用いて、容器上部
からの受光量を受光面積の異なるフイルターを用
いることにより調製し、3分間にわたつて300〜
400nmの光を照射して全照射光エネルギー量の
異なつた抽出液を調製し、それらの反応速度を実
施例1と同様にして測定した。 全照射エネルギー量の反応速度への影響を、光
エネルギーを与えない場合の反応速度を1とし
て、その比率で表示すると、第4表の結果を得
た。
実施例 4 実施例1と同様にして調製した暗放置菌体抽出
液5mlを鋼製の50ml容器に採取し、ブラツクライ
ト(東芝FL−4BL−G型)を用いて、容器上部
からの受光量を受光面積の異なるフイルターを用
いることにより調製し、3分間にわたつて300〜
400nmの光を照射して全照射光エネルギー量の
異なつた抽出液を調製し、それらの反応速度を実
施例1と同様にして測定した。 全照射エネルギー量の反応速度への影響を、光
エネルギーを与えない場合の反応速度を1とし
て、その比率で表示すると、第4表の結果を得
た。
【表】
実施例 5
実施例1と同様にして調製した暗放置菌体抽出
液5mlを鋼製の50ml容器に採取し、実施例1と同
じ陽光ランプと、色ガラスフイルター(東芝色ガ
ラスフイルターY45)を用いて、約430nm以下の
波長を除去した光を容器上部からの受光面を一定
とし、照射時間を変えて照射した。 全照射光エネルギー量の異なつた抽出液のそれ
ぞれについて、実施例1と同様にして反応速度を
測定し、全照射光エネルギー量の反応速度への影
響を、光エネルギーを与えない場合の反応速度を
1として比率で表示すると、第5表の結果を得
た。
液5mlを鋼製の50ml容器に採取し、実施例1と同
じ陽光ランプと、色ガラスフイルター(東芝色ガ
ラスフイルターY45)を用いて、約430nm以下の
波長を除去した光を容器上部からの受光面を一定
とし、照射時間を変えて照射した。 全照射光エネルギー量の異なつた抽出液のそれ
ぞれについて、実施例1と同様にして反応速度を
測定し、全照射光エネルギー量の反応速度への影
響を、光エネルギーを与えない場合の反応速度を
1として比率で表示すると、第5表の結果を得
た。
【表】
実施例 6
実施例1と同様にして調製した各種の属の菌
株、すなわちバシラス属(CBS−494)、バクテ
リジウム属(CBS−496)、ミクロコツカス属
(CBS−497)、ブレビバクテリウム属(CBS−
717)およびノカルジア属(N−775)の暗放置菌
体抽出液に対して、実施例2と同様に光を照射
し、光照射前および後のそれぞれについて実施例
1と同様にして反応速度を測定した。 光照射前の反応速度を1とし、光照射後の反応
速度を相対値で表わすと、第6表の結果であつ
た。
株、すなわちバシラス属(CBS−494)、バクテ
リジウム属(CBS−496)、ミクロコツカス属
(CBS−497)、ブレビバクテリウム属(CBS−
717)およびノカルジア属(N−775)の暗放置菌
体抽出液に対して、実施例2と同様に光を照射
し、光照射前および後のそれぞれについて実施例
1と同様にして反応速度を測定した。 光照射前の反応速度を1とし、光照射後の反応
速度を相対値で表わすと、第6表の結果であつ
た。
【表】
実施例 7
実施例1と同様にして調製したN−774菌株の
暗放置抽出液の光照射前および実施例2と同様に
して光を照射した光照射後のそれぞれについて第
7表の組成の反応液をつくり、0℃にて所定時間
暗所にて反応を行い、それぞれの基質に対する光
照射前後の反応速度を比較した。これら反応速度
は、対応ニトリルの減少量又は対応アミドの生成
量をガスクロマトグラフイー又は高速液体クロマ
トグラフイーにより測定した。 光照射前の反応速度に対する照射後の反応速度
を倍率で示すと、第7表の結果を得た。表中、相
対反応速度は、下式で表わされたものである。 相対反応速度=光照射抽出液/暗抽出液
暗放置抽出液の光照射前および実施例2と同様に
して光を照射した光照射後のそれぞれについて第
7表の組成の反応液をつくり、0℃にて所定時間
暗所にて反応を行い、それぞれの基質に対する光
照射前後の反応速度を比較した。これら反応速度
は、対応ニトリルの減少量又は対応アミドの生成
量をガスクロマトグラフイー又は高速液体クロマ
トグラフイーにより測定した。 光照射前の反応速度に対する照射後の反応速度
を倍率で示すと、第7表の結果を得た。表中、相
対反応速度は、下式で表わされたものである。 相対反応速度=光照射抽出液/暗抽出液
【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 ニトリル化合物を微生物のニトリラーゼの作
用によつて水と反応させて対応するアミド化合物
に転化させる方法において、この反応を下記の条
件下に実施することを特徴とする、微生物による
アミドの工業的製造法。 (イ) 微生物のニトリラーゼが微生物の菌体の破砕
物または微生物から得られたその菌体の内容物
の形であること。 (ロ) 使用する微生物のニトリラーゼに、水和反応
終了以前に少なくとも約10μE/g菌体に相当
する光エネルギーを受けさせること。 (ハ) 水和反応を、少なくとも一部が光不透過性材
料からなる容器の中で実施すること。 2 光が、約100〜約1000nmの波長のものであ
る、特許請求の範囲第1項に記載の方法。 3 光エネルギーが、少なくとも約20μE/g菌
体である、特許請求の範囲第1〜2項のいずれか
に記載の方法。 4 光の照射を、微生物のニトリラーゼをニトリ
ル化合物に接触させる前および(または)接触さ
せた後に実施する、特許請求の範囲第1〜3項の
いずれか1項に記載の方法。 5 微生物が、コリネバクテリウム属、ノカルジ
ア属、バチルス属、バクテリジウム属、ミクロコ
ツカス属およびブレビバクテリウム属からなる群
から選ばれた属に属するものである、特許請求の
範囲第1〜4項のいずれか1項に記載の方法。 6 ニトリル化合物が、アセトニトリル、プロピ
オニトリル、n−ブチロニトリル、i−ブチロニ
トリル、n−バレロニトリル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、ベンゾニトリル、シア
ノピリジン、マロノニトリル、サクシノニトリ
ル、フマロニトリル、クロロアセトニトリル、β
−ヒドロキシプロピオニトリル、アミノアセトニ
トリルおよびβ−アミノプロピオニトリルからな
る群から選ばれたものである、特許請求の範囲第
1〜5項のいずれか1項に記載の方法。
Priority Applications (7)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP60002724A JPS61162194A (ja) | 1985-01-11 | 1985-01-11 | 微生物によるアミド類の製造法 |
| FI860019A FI860019A0 (fi) | 1985-01-11 | 1986-01-02 | Foerfarande foer att alstra amider genom anvaendning av mikroorganismer. |
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