JPH0376809B2 - - Google Patents
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- JPH0376809B2 JPH0376809B2 JP61052634A JP5263486A JPH0376809B2 JP H0376809 B2 JPH0376809 B2 JP H0376809B2 JP 61052634 A JP61052634 A JP 61052634A JP 5263486 A JP5263486 A JP 5263486A JP H0376809 B2 JPH0376809 B2 JP H0376809B2
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Description
「産業上の利用分野」
本発明は改良されたポリパラフエニレンテレフ
タルアミド(以下PPTAと略す)系フイルムに関
するものであり、更に詳しくは透明で且つ優れた
機械的特性を示し、特に1軸方向の機械的特性に
優れ且つ、該方向に直角な方向に於いても十分実
用に耐える機械的物性を持つたPPTA系フイルム
に関するものである。 「従来の技術」 PPTAに代表される直線配位性の芳香族ポリア
ミドは特に優れた結晶性や高い融点、また剛直な
分子構造により、耐熱性および高い機械的強度を
有しており近年時に注目されている高分子素材で
ある。 しかしPPTAの欠点として、有用な高分子量の
ポリマーは有機溶剤に難溶であり、濃硫酸等の無
機の強酸が溶剤として用いられねばならないとい
うことが挙げられ、これを回避するために例えば
特公昭56−45421号公報では、直線配位性芳香族
ポリアミドの芳香核にハロゲン基を導入した単位
と、PPTA以外の芳香核に置換基をもたない芳香
族ポリアミドを共重合することにより有機溶剤に
可溶と為し、それからフイルムを得んとする提案
もある。しかし、これはモノマーが高価なためコ
ストが高くなる上に、折角の直線配位性芳香族ポ
リアミドの耐熱性や結晶性を損なう欠点がある。
一方、剛直性高分子を溶媒に溶解させた際、ある
重合度以上、ある濃度以上、ある温度条件下で結
晶を構成することは古くから理論的にも実験的に
も明らかにされていた〔P、J、フローリー:
Proc.Roy.Soc.、A234、73、(1956)〕。 近年、1軸方向の機械的物性を必要とするフイ
ルム、例えば磁気テープ用ベースフイルム等への
要求性能は益々高くなつてきているが、前述のよ
うな結晶状態にある光学異方性を示す高分子溶液
の結晶の配向を乱すことなくスリツトより押出
し、フイルムを得ることができれば、高強度、高
モジユラスを有するフイルムになることは容易に
期待される。実際、特公昭59−14567号公報は、
光学異方性を有する芳香族ポリアミド溶液スリツ
トから短かい空気層を介して凝固浴中に押出す方
法を開示し、高物性を得ているが、これでは、フ
イルムの長尺方向(以下MD方向と略す)の機械
的強度のみ強く、それと直交するフイルムの幅方
向(以下TD方向と略す)方向の機械的強度が極
端に弱く、容易に裂け、さらにフイブリル化しや
すいものしか得られないのみならず、ポリマーが
液晶として集合したドメイン構造を有するため、
その集合したドメイン構造が残り、得られたフイ
ルムは一般に不透明となる。 そこで上記欠点が生じないようなフイルムの製
造方法が種々検討された。例えば特公昭57−
35088号公報は、光学異方性を有する直線配位性
の芳香族ポリアミド溶液を、リングダイより押し
出しインフレーシヨン法を用いて、ドープの状態
で2軸方向に同時流延させた後、湿式凝固させる
ことにより等方性の良いフイルムが得られるとし
ている。しかし、得られたフイルムは、機械的物
性が低いという欠点があつた。 また、特公昭57−17886号公報は、光学異方性
を有する直線配位性の芳香族ポリアミド溶液を凝
固直前に、該ドープが光学等方性となる温度まで
加熱したのち凝固することによつて、透明で機械
的物性が等方的であるフイルムを得ている。この
方法は新しい概念のすぐれた方法ではあるが、今
一歩機械的性質、特に磁気テープ用ベースフイル
ム等が必要とするモジユラスが、不足している。 一軸方向の機械的物性を出すために通常行なわ
れるのはその方向への熱延伸であるが、一般に直
線配位性の芳香族ポリアミドは、熱可塑性にとぼ
しい上、特に直線配位性のポリアミドでは結晶化
しやすく、ガラス転移温度も不明瞭であつて、フ
イルムを成形したのちに、さらに熱延伸すること
はほぼ不可能で、熱延伸によつてフイルムの物性
を向上させることはきわめて困難であり、前述の
方法(特公昭57−17886号公報の方法)で得られ
たフイルムも熱延伸することは困難である。 「解決しようとする問題点」 以上のように、直線配位性芳香族ポリアミドを
光学異方性ドープより、フイルムを成形した場
合、MD方向のみ機械的強度が強く、TD方向の
機械的強度は極端に弱く、簡単に裂けるもの、あ
るいは液晶の集合したドメイン構造が残つた不透
明のフイルムしか得られない。これを避けようと
して光学等方性ドープを用いようとすれば、有用
な高分子量のPPTA系ポリマーでは極めて高粘度
で、約5重量%以下のポリマー濃度でないと製膜
不能となり、この濃度の光学等方性ドープから製
膜したフイルムは、凝固に際してボイドを生成し
やすく、また機械的物性も全く不十分である。 既に工業的に繊維が生産されているPPTA又は
PPTA系ポリマーを用いて、透明性に優れ、且つ
一軸方向のフイルムの機械的物性、特に高いモジ
ユラスを持つフイルムは、実現されていない。 本発明の目的は、このような好ましい特性を持
つPPTA系フイルムを提供せんとするところにあ
る。 「問題点を解決するための手段」 本発明者らは、特公昭57−17886号公報の技術
で得られるフイルムの高モジユラス化について検
討を続けるうちに、湿式製膜されたフイルムを、
その製造工程の特別な工程では予想以上の延伸が
可能であり、該延伸したのち乾燥することによつ
て、フイブリル化もせず、延伸方向と直角方向に
も裂けにくく且つ、延伸方向に機械的性質、特に
高いモジユラスをもつフイルムが得られることを
見出し、その方法により高結晶配向度を達成で
き、しかも、偏光顕微鏡観察して従来の液晶ドー
プに特異的に見られる密な縞が観測されない構造
を有しており、一つの方向に高強度、高モジユラ
スでありながら、それと直交する方向にも十分な
実用物性を持ちフイブリル化もせず、1方向に裂
けるような事もないという予想外の事実を見出し
本発明に到達した。 すなわち本発明は、対数粘度ηinhが3.5以上の
実質的にPPTAより成るフイルムであつて、ボイ
ド数が5個/mm2以下であり、光線透過率が55%以
上であり、フイルム表面に直角に入射したX線に
よる(200)面の回折強度が最大となる方向の結
晶配向角が30°以上70°未満であり、フイルム表面
に平行に入射したX線による(010)面の結晶配
向角が60°以下であり、破断伸度が9%以上であ
り、偏光顕微鏡観察によつて、密集した縞模様が
観測されないことを特徴とするPPTA系フイルム
に関するものである。 本発明のフイルムは、実質的に で表わされるPPTA系から成つている。ここで、
「実質的に」なる意味は、本発明の構成要件およ
び作用効果を阻害しない範囲の少量で、PPTA以
外のポリマー〔例えば、ポリ−(m−フエニレン
テレフタルアミド)、ポリ−(p−フエニレンイソ
フタルアミド)、ポリ−(m−フエニレンイソフタ
ルアミド)、ポリ−(メチレンテレフタルアミド)、
脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリエス
テル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素等〕
がブレンドされたり、PPTAに他のくり返し単位
(例えば、核置換されたp−フエニレン単位、核
置換されたまたは未置換のビフエニレン単位、o
−フエニレン単位、m−フエニレン単位、(ポリ)
メチレン単位、ピリジレン単位やエステル、ウレ
タン、尿素、エーテル、チオエーテルなどの結合
単位等)が共重合されたりしていてもよいことを
意味する。 本発明のポリマーの重合度は、あまりに低いと
本発明の目的とする機械的性質の良好なフイルム
が得られなくなるため、3.5以上の対数粘度ηinh
(硫酸100mlにポリマー0.2gを溶解して30℃で測
定した値)を与える重合度のものが選ばれる。 本発明のフイルムは以下に述べる6つの要件を
満たして初めて目的を達せられるものである。 まず第1に、以下に述べるボイド数が5個/mm2
以下でなくてはならない。このボイド数は次のよ
うに数える。適当な大きさのフイルム片を、透過
光を用いた通常の光学顕微鏡により、100倍から
400倍の範囲の倍率で少くとも異なつた5視野に
ついて観察し、その長径が30μ以上の大きさのボ
イド数を数え、フイルム表面1mm2当たりに換算す
る。5個/mm2以上のボイド数を有するフイルム,)
機械的物性に劣り、甚しき場合にはフイルムが雲
つて見え透明性が低下する。通常の光学等方性ド
ープより製膜したフイルムには、通常50個/mm2以
上のボイド数が観察される。 第2に、光線透過率が55%以上でなければなら
ない。光線透過率は次のように測定される。通常
の光電光度計、或いは分光光度計の液体セルをセ
ツトする場所にフイルムを張りつけ、600nmの
波長の可視光線を選択し、その透過率を測定す
る。本発明によるフイルムのひとつの重要な特徴
はこの透明性にあり、先記した如く、光学異方性
ドープを僅かなエアギヤツプを介して直接凝固浴
中に押出して得られるフイルムは失透しており、
通常は光線透過率は10%以下である。(但し、特
に厚みが薄いフイルムはこの限りでない。)この
光線透過率は勿論フイルムの厚みが増すに従つて
低下するが、本発明によるフイルムは通常用いら
れる200μ程度の厚みまでは十分55%を上回る透
明性を有する。 第3に、これから述べる、X線回折による結晶
配向角で定義されるところの面配向性を持たなけ
ればならない。即ちフイルム表面に直角に入射し
たX線による(200)面の回折強度が最大となる
方向の結晶配向角が30°以上、70°未満でありフイ
ルム表面に並行に入射したX線による(010)面
の結晶配向角が60°以下でなければならない。 X線の入射は第2図の示す如く、フイルム表面
に直角に入射する場合(以下TV方向と称する)
と表面に並行に入射する場合(以下SV方向と称
する)とに分けられる。 PPTAの結晶構造については広く論じられてお
り、例えば高柳ら〔J、Appl.Polym.Scl.、第23
巻、915ページ(1979)〕の研究がある。本発明の
フイルムはTV方向からのX線による(200)面
の反射である2θ≒23°に大きな回折ピークを持つ
が、この2θ≒23°における大きな回折強度が最大
となる方向の結晶配向角が30°以上、70°未満であ
る必要がある。更にSV方向からの入射による
(010)面の反射である2θ≒18°の大きな回折ピー
クが、赤道線上に現われるが、この2θ≒18°にお
ける結晶配向角が60°以下である必要がある。こ
れら両方の結晶配向角が満たされて初めて本発明
のフイルムが面配向の構造を持ち、更に1軸方向
に優れた機械的物性を持ち、一方この範囲から外
れた結晶配向角を持つフイルムは、1軸方向に裂
けたフイブリル化したり、または、1軸方向の機
械的物性が低く、目的とする高い機械的物性を有
するフイルムは得られない。 結晶配向角の測定方法としては公知の方法が採
用でき、例えば次のように行なう。所定の2θの角
度に計数管を置き、フイルムを180°回転すること
により回折強度曲線を得る。TVにおいては、最
高強度を中心とし、前後90°の間を回転させるべ
きである。この曲線の最高強度の最低強度点間に
引いたベースラインに対する半分の強度を示す点
に対応する、回折写真における円弧長を度で表わ
した値、即ち最高強度のベースラインに対する50
%の点に対する角度を測定し、それを試料の結晶
配向角とする。フイルムは必要により何枚か重ね
て回折強度を測れば良い。 第4に、さらに、偏光顕微鏡観察した時、密集
した縞模様が観測されないことが肝要である。 ここで、PPTAフイルムの構造について触れて
おくべきであろう。前述のような光学異方性ドー
プを単にスリツトより押出し、フイルム成形した
場合、このフイルムを直交ニコル下偏光顕微鏡観
察(約100〜1000倍)すると、第1図に示す様な
密集した縞模様が見られる。この縞模様はPPTA
の繊維で、公知の方法(例えば特公昭55−14170
号公報の方法)で製造した、すでに上市されてい
るケプラー を同じ偏光顕微鏡観察しても見られ
る。これは、ドブら〔J.Polym.Sci.Polym.Phys.、
第15巻、第2201ページ(1977)〕の提唱する、い
わゆるプリーツシート構造と関連したものであろ
うと推定される。 この縞模様は、前述のように、プリーツシート
状の凝集構造と関連していると考えられる。縞模
様は、通常の光学顕微鏡によつても認めることが
できるが、偏光顕微鏡を用いて、直交ニコルまた
は直交ニコルに近い状態で観察すると、より鮮明
に、種々の色をもつた縞として、第1図のように
観測される。偏光顕微鏡における倍率は、通常の
100〜1000倍で十分である。なお観察時にオリー
ブ油やヨウ化メチレンなどの浸液を用いるなどの
通常の工夫が施されてよい。縞と縞の間隔は偏光
顕微鏡観察のみでは定量化するのが難しい。した
がつて、「密集した縞模様」とは、通常の偏光顕
微鏡で用いられる倍率で確認できる程の間隔であ
ることを意味する。前述したように、光学異方性
ドープを単にスリツトより押出し、すぐさま凝固
させたフイルムは、通常、第1図のように、0.1
〜0.4umの間隔またはそれ以下の間隔をもつた縞
模様を有しており、その縞模様と直角方向に裂
け、簡単にフイブリル化した。 本発明のフイルムは、1軸方向に高配向である
にもかかわらず、上記の高配向のPPTAフイルム
に見られた縞模様を有しないので、高強度、高モ
ジユラスであり、1方向に裂けず、フイブリル化
しにくいという優れた特徴をもつている。 このことは、本発明のフイルムの第5の要件で
あるところの破断伸度が9%以上であり、かつ一
方向において51Kg/mm2以上の強度を有するという
要件によつて、一層強固に保証される。また、第
6の要件として本発明のフイルムの密度は1.383
g/cm3である。 次にこのようなPPTA系フイルムを得るための
方法について述べる。 本発明のPPTA系フイルムの成型に用いるドー
プを調製するのに適した溶媒としては、98重量%
以上の濃度の硫酸、クロル硫酸、フルオル硫酸ま
たはそれらの混合物である。硫酸は100%以上の
もの、即ち発煙硫酸、トリハロゲン化酢酸など
を、本発明の効果を損わない範囲で混合して用い
てよい。また、ドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20℃〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異
方性を示す濃度以上のものが好ましく用いられ、
具体的には約10重量%以上、好ましくは約12重量
%以上で用いられる。ドープのポリマー濃度の上
限は特に限定されるものではないが、通常は25重
量%以下、特に高いηinhのPPTAに対しては20重
量%以下が好ましく用いられる。また、ドープに
は普通の添加剤、例えば、増量剤、除光沢剤、紫
外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、顔料、溶
解助剤などを混入してもよい。 ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、
特公昭50−8474号公報記載の方法で調べることが
できるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポ
リマー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量
等に依存するので、これらの関係を予め調べるこ
とによつて、光学異方性ドープを作り、光学等方
性ドープとなる条件に変えることで、光学異方性
から光学等方性に変えることができる。 本発明の機械的性質にすぐれた透明フイルムを
得る方法は、ドープを支持面上にフイルム状にし
た後、凝固に先立つてドープを光学異方性から光
学等方性に変えることが特徴であるが、光学異方
性から光学等方性にする方法は、具体的には、支
持面上にフイルム状にした光学異方性ドープを、
凝固に先立つて、吸湿させてドープを形成する溶
剤の濃度を下げて、溶剤の溶解能力及びポリマー
濃度の変化により、ドープを光学等方性域に転移
させる、あるいは、吸湿によるドープの光学異方
性領域の変化に加えて加熱することでドープを昇
温し、ドープの相を光学等方性に転移させること
を同時又は逐次的に併用することで達成できる。 ドープを吸湿させる方法としては、絶対湿度1
g(水)/Kg(乾燥空気)以上、好ましくは3g
(水)/Kg(乾燥空気)以上、さらに好ましくは
10g(水)/Kg(乾燥空気)以上、特に好ましく
は20g(水)/Kg(乾燥空気)以上で且つ相対湿
度99%以下の雰囲気中を通過させることで達成す
ることができる。また吸湿と同時又は吸湿させた
後加熱を併用する方法においては、例えば、硫酸
を溶媒に使つた時光学異方性が実質的に消失し、
ドープが光学等方性に転化する温度は、ポリマー
濃度、ポリマーの重合度、硫酸濃度、ドープの厚
み、更には吸湿の程度により変動するが、通常約
45℃以上が好ましく用いられる。 このようにPPTA系の光学異方性ドープを光学
等方性に転化させ、特に吸湿と加熱を併用して、
光学等方性に転化させる方法は得られるフイルム
の透明性が一段とすぐれているため好んで用いら
れ、本発明のPPTA系フイルムを容易に得るため
の手段である。 凝固液として使用できるのは、例えば、水、約
7.0重量%以下の希硫酸、約20重量%以下のカセ
イソーダ水溶液及びアンモニア水、約50重量%以
下の塩化ナトリウム水溶液及び塩化カルシウム水
溶液などである。凝固浴の温度は特に制限される
ものではなく、通常約0℃〜80℃の範囲で行なわ
れる。 凝固されたフイルムはそのままでは酸が含まれ
ているため、加熱による機械的物性の低下の少な
いフイルムにするには酸分の洗浄、除去をできる
だけ行なう必要があり、具体的には約5000ppm以
下、好ましくは500ppm以下まで行なわれるべき
である。 洗浄液としては水が通常用いられるが、必要に
応じて温水で行なつたり、アルカリ水溶液で中和
洗浄した後、水などで洗浄するのもよい。また、
洗浄方法は、洗浄液中でフイルムを走行させても
よいし、洗浄液を噴霧するのもよい。 本発明の機械的性質にすぐれたフイルムを得る
ためには、前述した製膜方法に加え、次に述べる
延伸によつて達成される。 すなわち、凝固したフイルムを、水洗によつて
溶剤を除去した後、乾燥する前に、実質的に溶剤
は含まず且つ水分を含む膨潤状態で1軸に延伸す
る、いわゆる湿式延伸する方法である。 凝固水洗したフイルムの水分は、一般に、ドー
プ中のポリマー濃度、凝固浴の温度に依存するが
本発明を効果的に実施する上で上記フイルムの水
分は、ポリマー100重量部に対し50重量部以上が
好ましく用いられ、上記水分を含む状態で1.05倍
以上の、通常用いられる方法、例えば、ロール周
速差により、あるいはテンターを用いて延伸が行
なわれる。ここで最高延伸倍率は、約2.5倍で、
それ以上延伸すると切断したり、延伸した方向の
結晶配向角が小さくなり過ぎ、延伸した方向と直
角の方向の機械的強度が弱く、裂けやすくなるば
かりでなく、フイブリル化も起こすようになるの
で、2.5倍以下が好ましく用いられる。また、延
伸倍率1.05倍以下では、本発明の結晶配向角から
外れるため、本発明のPPTA系フイルムの特徴と
する高強度、高モジユラスが達成できない。 延伸されたフイルムは乾燥をうけるが、いかな
る方法でも良く、常温で風乾、加熱された非活性
気体、例えば空気、窒素、アルゴンなどでの雰囲
気下の乾燥、加熱ロール上での乾燥、テンターで
の加熱雰囲気下の乾燥などいずれでも良い。ま
た、乾燥のとき、通常は延伸の効果を失なわない
ために、又は、フイルムに皺が寄るのを防ぐた
め、フイルムの平面性を出すため、緊張下又は定
長下に、フイルムの収縮を制限して行なわれる。
乾燥温度は、常温以上また、機械的強度を効果的
にするためには、高温の方が好ましく、100℃以
上、さらに好ましくは200℃以上が用いられる。
乾燥の最高温度は、特に限定されるものではない
が、乾燥エネルギーやポリマーの分解性を考慮す
れば、500℃以下が用いられる。 本発明のフイルムを製造する上で、上記の工程
はいずれも回分式に行なわれても連続的であつて
もよく、また全工程を通して連続してフイルムを
走行させつつ製造することも好ましい実施態様の
1つである。また任意の工程で油剤、識別用の染
料などをフイルムに付与することも行なわれてさ
しつかえない。 以下に実施例を示すが、これらの実施例は本発
明を説明するものであつて、本発明を限定するも
のではない。なお、実施例中特に規定しない場合
は重量部または重量%を示す。対数粘度ηinhは、
98%硫酸100mlにポリマー0.2gを溶解し、30℃で
常法で測定した。ドープの粘度は、B型粘度計を
用い1rpmの回転速度で測定したものである。フ
イルムの厚さは、直径2mmの測定面を持つたダイ
ヤルゲージで測定した。強伸度及びモジユラス
は、定速伸長型強伸度測定機によりフイルム試料
を100mm×10mmの長方形に切りとり、最初のつか
み長さ30mm、引張り速度30mm/分で5枚の荷重一
伸長曲線を描き、これより算出したものである。
密度測定は、四塩化炭素−トルエンを使用した密
度勾配管法で行なつた。 参考例 低温溶液重合法により次の如くポリパラフエニ
レンテレフタルアミド(以下PPTA)を得た。特
公昭53−43986号公報に示された重合装置中でN
−メチルピロリドン1000部に無水塩化リチウム70
部を溶解し、次いでパラフエニレンジアミン48.6
部を溶解した。8℃に冷却した後、テレフタル酸
ジクロライド91.4部を粉末状で一度に加えた。数
分後に重合反応物はチーズ状に固化したので、特
公昭53−43986号公報記載の方法にしたがつて重
合装置より重合反応物を排出し、直ちに2軸の密
閉型ニーダーに移し、同ニーダー中で重合反応物
を微粉砕した。次に微粉砕物をヘンシエルミキサ
ー中に移し、ほぼ等量の水を加えさらに粉砕した
後、濾過し数回温水中で洗浄して、110℃の熱風
中で乾燥した。ηinh6.5の淡黄色のPPTAポリマ
ー95部を得た。なお、異なつたηinhのポリマー
は、N−メチルピロリドンとモノマー(パラフエ
ニレンジアミンおよびテレフタル酸ジクロライ
ド)の比、または/およびモノマー間の比等を変
えることによつて容易に得ることができる。 実施例 1 ηinhが5.5のPPTAポリマーを99.7%の硫酸に
ポリマー濃度13.0%で溶解し、60℃で光学異方性
のあるドープを得た。このドープの粘度を常温で
測定したところ、14500ポイズだつた。製膜しや
すくするために、このドープをタンクに入れ約70
℃に保つた。その時も上記と同じく光学異方性を
有し、粘度が4200ポイズだつた。タンクからギア
ポンプを経てダイに至る1.5mの曲管を約70℃に
保ち、0.2mm×300mmのスリツトをもつたダイか
ら、鏡面に磨いた110℃に保つたハステロイ製の
ベルトにキヤストし、20℃で相対湿度68%の雰囲
気中に40秒間保つた後、凝固し連続的に製膜し
た。製膜途中凝固直前のベルト上よりドープをサ
ンプリングしたところ、かなりの高粘度で光学等
方性であつた。 凝固したフイルムをとり出して常温の水で1晩
洗浄し、水分を測定したところ、ポリマー100重
量部に対し、350重量部の水を含んでいた。水を
含んだままのフイルムを、定速伸長型強伸度測定
機の100mm幅のチヤツクにはさみ100mmの長さか
ら、MD方向に1.5倍延伸しそのまま200℃の熱風
を当て定長乾燥を行なつた。このフイルムの性質
を第1表に示す。 比較例 1 実施例1において、水洗した水を含んだフイル
ムを延伸せず、200℃に設定された熱風乾燥機で
実施例1と同様に定長乾燥した。このフイルムの
性質を第1表に示す。 比較例 2 実施例1において、ダイの5cm直下に、25℃の
水のはいつた凝固浴を置いて、ドープをダイより
押出し、一旦空気層を通して、凝固浴に導き入
れ、ドープの吐出速度の3倍で連続的に巻取つ
た。 凝固したフイルムをとり出して常温の水で1晩
洗浄し、水分を測定したところ、ポリマー100重
量部に対し、280重量部の水を含んでいた。水を
含んだままのフイルムを、実施例1と同じ方法で
MD方向に延伸を試みたが、TD方向に簡単に裂
けるため、延伸ができなかつた。そこで、水洗し
たフイルムを延伸せず、100℃の熱風で定長乾燥
した。それでもTD方向に裂けたが、何故か行な
ううち1枚が得られたので、このフイルムの性質
を第1表に示す。 比較例 3 実施例1で調整したドープを、−40℃露点乾燥
された窒素雰囲気下のボツクス中にて、110℃に
保たれた200mm角のガラス板上に、0.1mmの段のつ
いたアプリケーターで、製膜した。 40秒後ガラス板上のドープは、光学異方性を保
つたままであつたが、そのドープをガラス板と共
に乾燥ボツクスより取り出し、すぐに20℃の水に
入れ凝固させた。できたフイルムは、不透明で実
施例1と同じ方法で洗浄し、MD方向に延伸した
が、切れるものがほとんどで、1.2倍程伸びたも
のもあつたが、それを乾燥する時に破れてしまつ
た。そこで、水洗したフイルムを延伸せず、100
℃の熱風で定長乾燥した。このフイルムの性質を
第1表に示す。 実施例 2 ηinhが6.2のPPTAを99.6%の硫酸に、60℃で
ポリマー濃度が14.0%になるように溶解した。こ
のドープは80℃で光学異方性を示し、粘度は3300
ポイズであつた。このドープを25℃のガラス板上
に、0.1mmの段差のついたアプリケーターにより
塗布した。その後、絶対湿度7.5g(水)/Kg
(乾燥空気)に保たれた18℃の空気中で1分間放
置した後のドープを採取して分析したところ、硫
酸濃度が94.4%まで低下するぐらいまでに吸湿し
ていることが分つた。しかし、この時点ではドー
プはまだ不透明であり、この後、乾燥窒素オーブ
ン中で120℃に90秒間加熱したところ、光学等方
性化してドープは透明となつた。これを15℃の水
で凝固させた後、5%のカセイソーダ水溶液で中
和処理を行ない、その後更に水洗して酸分の濃度
を400ppmとした。 この水洗したフイルムの水分を測定したとこ
ろ、ポリマー100重量部に対し、330重量部の水を
含んでいた。水を含んだままのフイルムを、実施
例1と同じ方法でMD方向に1.4倍延伸しそのま
ま250℃の熱風を当て定長乾燥を行なつた。この
フイルムの性質を第1表に示す。 比較例 4 実施例2において、水洗した水を含んだフイル
ムを延伸せず、250℃の熱風を当て、実施例2と
同様に定長乾燥した。このフイルムの性質を第1
表に示す。
タルアミド(以下PPTAと略す)系フイルムに関
するものであり、更に詳しくは透明で且つ優れた
機械的特性を示し、特に1軸方向の機械的特性に
優れ且つ、該方向に直角な方向に於いても十分実
用に耐える機械的物性を持つたPPTA系フイルム
に関するものである。 「従来の技術」 PPTAに代表される直線配位性の芳香族ポリア
ミドは特に優れた結晶性や高い融点、また剛直な
分子構造により、耐熱性および高い機械的強度を
有しており近年時に注目されている高分子素材で
ある。 しかしPPTAの欠点として、有用な高分子量の
ポリマーは有機溶剤に難溶であり、濃硫酸等の無
機の強酸が溶剤として用いられねばならないとい
うことが挙げられ、これを回避するために例えば
特公昭56−45421号公報では、直線配位性芳香族
ポリアミドの芳香核にハロゲン基を導入した単位
と、PPTA以外の芳香核に置換基をもたない芳香
族ポリアミドを共重合することにより有機溶剤に
可溶と為し、それからフイルムを得んとする提案
もある。しかし、これはモノマーが高価なためコ
ストが高くなる上に、折角の直線配位性芳香族ポ
リアミドの耐熱性や結晶性を損なう欠点がある。
一方、剛直性高分子を溶媒に溶解させた際、ある
重合度以上、ある濃度以上、ある温度条件下で結
晶を構成することは古くから理論的にも実験的に
も明らかにされていた〔P、J、フローリー:
Proc.Roy.Soc.、A234、73、(1956)〕。 近年、1軸方向の機械的物性を必要とするフイ
ルム、例えば磁気テープ用ベースフイルム等への
要求性能は益々高くなつてきているが、前述のよ
うな結晶状態にある光学異方性を示す高分子溶液
の結晶の配向を乱すことなくスリツトより押出
し、フイルムを得ることができれば、高強度、高
モジユラスを有するフイルムになることは容易に
期待される。実際、特公昭59−14567号公報は、
光学異方性を有する芳香族ポリアミド溶液スリツ
トから短かい空気層を介して凝固浴中に押出す方
法を開示し、高物性を得ているが、これでは、フ
イルムの長尺方向(以下MD方向と略す)の機械
的強度のみ強く、それと直交するフイルムの幅方
向(以下TD方向と略す)方向の機械的強度が極
端に弱く、容易に裂け、さらにフイブリル化しや
すいものしか得られないのみならず、ポリマーが
液晶として集合したドメイン構造を有するため、
その集合したドメイン構造が残り、得られたフイ
ルムは一般に不透明となる。 そこで上記欠点が生じないようなフイルムの製
造方法が種々検討された。例えば特公昭57−
35088号公報は、光学異方性を有する直線配位性
の芳香族ポリアミド溶液を、リングダイより押し
出しインフレーシヨン法を用いて、ドープの状態
で2軸方向に同時流延させた後、湿式凝固させる
ことにより等方性の良いフイルムが得られるとし
ている。しかし、得られたフイルムは、機械的物
性が低いという欠点があつた。 また、特公昭57−17886号公報は、光学異方性
を有する直線配位性の芳香族ポリアミド溶液を凝
固直前に、該ドープが光学等方性となる温度まで
加熱したのち凝固することによつて、透明で機械
的物性が等方的であるフイルムを得ている。この
方法は新しい概念のすぐれた方法ではあるが、今
一歩機械的性質、特に磁気テープ用ベースフイル
ム等が必要とするモジユラスが、不足している。 一軸方向の機械的物性を出すために通常行なわ
れるのはその方向への熱延伸であるが、一般に直
線配位性の芳香族ポリアミドは、熱可塑性にとぼ
しい上、特に直線配位性のポリアミドでは結晶化
しやすく、ガラス転移温度も不明瞭であつて、フ
イルムを成形したのちに、さらに熱延伸すること
はほぼ不可能で、熱延伸によつてフイルムの物性
を向上させることはきわめて困難であり、前述の
方法(特公昭57−17886号公報の方法)で得られ
たフイルムも熱延伸することは困難である。 「解決しようとする問題点」 以上のように、直線配位性芳香族ポリアミドを
光学異方性ドープより、フイルムを成形した場
合、MD方向のみ機械的強度が強く、TD方向の
機械的強度は極端に弱く、簡単に裂けるもの、あ
るいは液晶の集合したドメイン構造が残つた不透
明のフイルムしか得られない。これを避けようと
して光学等方性ドープを用いようとすれば、有用
な高分子量のPPTA系ポリマーでは極めて高粘度
で、約5重量%以下のポリマー濃度でないと製膜
不能となり、この濃度の光学等方性ドープから製
膜したフイルムは、凝固に際してボイドを生成し
やすく、また機械的物性も全く不十分である。 既に工業的に繊維が生産されているPPTA又は
PPTA系ポリマーを用いて、透明性に優れ、且つ
一軸方向のフイルムの機械的物性、特に高いモジ
ユラスを持つフイルムは、実現されていない。 本発明の目的は、このような好ましい特性を持
つPPTA系フイルムを提供せんとするところにあ
る。 「問題点を解決するための手段」 本発明者らは、特公昭57−17886号公報の技術
で得られるフイルムの高モジユラス化について検
討を続けるうちに、湿式製膜されたフイルムを、
その製造工程の特別な工程では予想以上の延伸が
可能であり、該延伸したのち乾燥することによつ
て、フイブリル化もせず、延伸方向と直角方向に
も裂けにくく且つ、延伸方向に機械的性質、特に
高いモジユラスをもつフイルムが得られることを
見出し、その方法により高結晶配向度を達成で
き、しかも、偏光顕微鏡観察して従来の液晶ドー
プに特異的に見られる密な縞が観測されない構造
を有しており、一つの方向に高強度、高モジユラ
スでありながら、それと直交する方向にも十分な
実用物性を持ちフイブリル化もせず、1方向に裂
けるような事もないという予想外の事実を見出し
本発明に到達した。 すなわち本発明は、対数粘度ηinhが3.5以上の
実質的にPPTAより成るフイルムであつて、ボイ
ド数が5個/mm2以下であり、光線透過率が55%以
上であり、フイルム表面に直角に入射したX線に
よる(200)面の回折強度が最大となる方向の結
晶配向角が30°以上70°未満であり、フイルム表面
に平行に入射したX線による(010)面の結晶配
向角が60°以下であり、破断伸度が9%以上であ
り、偏光顕微鏡観察によつて、密集した縞模様が
観測されないことを特徴とするPPTA系フイルム
に関するものである。 本発明のフイルムは、実質的に で表わされるPPTA系から成つている。ここで、
「実質的に」なる意味は、本発明の構成要件およ
び作用効果を阻害しない範囲の少量で、PPTA以
外のポリマー〔例えば、ポリ−(m−フエニレン
テレフタルアミド)、ポリ−(p−フエニレンイソ
フタルアミド)、ポリ−(m−フエニレンイソフタ
ルアミド)、ポリ−(メチレンテレフタルアミド)、
脂肪族ポリアミド、脂肪族ポリアミド、ポリエス
テル、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ尿素等〕
がブレンドされたり、PPTAに他のくり返し単位
(例えば、核置換されたp−フエニレン単位、核
置換されたまたは未置換のビフエニレン単位、o
−フエニレン単位、m−フエニレン単位、(ポリ)
メチレン単位、ピリジレン単位やエステル、ウレ
タン、尿素、エーテル、チオエーテルなどの結合
単位等)が共重合されたりしていてもよいことを
意味する。 本発明のポリマーの重合度は、あまりに低いと
本発明の目的とする機械的性質の良好なフイルム
が得られなくなるため、3.5以上の対数粘度ηinh
(硫酸100mlにポリマー0.2gを溶解して30℃で測
定した値)を与える重合度のものが選ばれる。 本発明のフイルムは以下に述べる6つの要件を
満たして初めて目的を達せられるものである。 まず第1に、以下に述べるボイド数が5個/mm2
以下でなくてはならない。このボイド数は次のよ
うに数える。適当な大きさのフイルム片を、透過
光を用いた通常の光学顕微鏡により、100倍から
400倍の範囲の倍率で少くとも異なつた5視野に
ついて観察し、その長径が30μ以上の大きさのボ
イド数を数え、フイルム表面1mm2当たりに換算す
る。5個/mm2以上のボイド数を有するフイルム,)
機械的物性に劣り、甚しき場合にはフイルムが雲
つて見え透明性が低下する。通常の光学等方性ド
ープより製膜したフイルムには、通常50個/mm2以
上のボイド数が観察される。 第2に、光線透過率が55%以上でなければなら
ない。光線透過率は次のように測定される。通常
の光電光度計、或いは分光光度計の液体セルをセ
ツトする場所にフイルムを張りつけ、600nmの
波長の可視光線を選択し、その透過率を測定す
る。本発明によるフイルムのひとつの重要な特徴
はこの透明性にあり、先記した如く、光学異方性
ドープを僅かなエアギヤツプを介して直接凝固浴
中に押出して得られるフイルムは失透しており、
通常は光線透過率は10%以下である。(但し、特
に厚みが薄いフイルムはこの限りでない。)この
光線透過率は勿論フイルムの厚みが増すに従つて
低下するが、本発明によるフイルムは通常用いら
れる200μ程度の厚みまでは十分55%を上回る透
明性を有する。 第3に、これから述べる、X線回折による結晶
配向角で定義されるところの面配向性を持たなけ
ればならない。即ちフイルム表面に直角に入射し
たX線による(200)面の回折強度が最大となる
方向の結晶配向角が30°以上、70°未満でありフイ
ルム表面に並行に入射したX線による(010)面
の結晶配向角が60°以下でなければならない。 X線の入射は第2図の示す如く、フイルム表面
に直角に入射する場合(以下TV方向と称する)
と表面に並行に入射する場合(以下SV方向と称
する)とに分けられる。 PPTAの結晶構造については広く論じられてお
り、例えば高柳ら〔J、Appl.Polym.Scl.、第23
巻、915ページ(1979)〕の研究がある。本発明の
フイルムはTV方向からのX線による(200)面
の反射である2θ≒23°に大きな回折ピークを持つ
が、この2θ≒23°における大きな回折強度が最大
となる方向の結晶配向角が30°以上、70°未満であ
る必要がある。更にSV方向からの入射による
(010)面の反射である2θ≒18°の大きな回折ピー
クが、赤道線上に現われるが、この2θ≒18°にお
ける結晶配向角が60°以下である必要がある。こ
れら両方の結晶配向角が満たされて初めて本発明
のフイルムが面配向の構造を持ち、更に1軸方向
に優れた機械的物性を持ち、一方この範囲から外
れた結晶配向角を持つフイルムは、1軸方向に裂
けたフイブリル化したり、または、1軸方向の機
械的物性が低く、目的とする高い機械的物性を有
するフイルムは得られない。 結晶配向角の測定方法としては公知の方法が採
用でき、例えば次のように行なう。所定の2θの角
度に計数管を置き、フイルムを180°回転すること
により回折強度曲線を得る。TVにおいては、最
高強度を中心とし、前後90°の間を回転させるべ
きである。この曲線の最高強度の最低強度点間に
引いたベースラインに対する半分の強度を示す点
に対応する、回折写真における円弧長を度で表わ
した値、即ち最高強度のベースラインに対する50
%の点に対する角度を測定し、それを試料の結晶
配向角とする。フイルムは必要により何枚か重ね
て回折強度を測れば良い。 第4に、さらに、偏光顕微鏡観察した時、密集
した縞模様が観測されないことが肝要である。 ここで、PPTAフイルムの構造について触れて
おくべきであろう。前述のような光学異方性ドー
プを単にスリツトより押出し、フイルム成形した
場合、このフイルムを直交ニコル下偏光顕微鏡観
察(約100〜1000倍)すると、第1図に示す様な
密集した縞模様が見られる。この縞模様はPPTA
の繊維で、公知の方法(例えば特公昭55−14170
号公報の方法)で製造した、すでに上市されてい
るケプラー を同じ偏光顕微鏡観察しても見られ
る。これは、ドブら〔J.Polym.Sci.Polym.Phys.、
第15巻、第2201ページ(1977)〕の提唱する、い
わゆるプリーツシート構造と関連したものであろ
うと推定される。 この縞模様は、前述のように、プリーツシート
状の凝集構造と関連していると考えられる。縞模
様は、通常の光学顕微鏡によつても認めることが
できるが、偏光顕微鏡を用いて、直交ニコルまた
は直交ニコルに近い状態で観察すると、より鮮明
に、種々の色をもつた縞として、第1図のように
観測される。偏光顕微鏡における倍率は、通常の
100〜1000倍で十分である。なお観察時にオリー
ブ油やヨウ化メチレンなどの浸液を用いるなどの
通常の工夫が施されてよい。縞と縞の間隔は偏光
顕微鏡観察のみでは定量化するのが難しい。した
がつて、「密集した縞模様」とは、通常の偏光顕
微鏡で用いられる倍率で確認できる程の間隔であ
ることを意味する。前述したように、光学異方性
ドープを単にスリツトより押出し、すぐさま凝固
させたフイルムは、通常、第1図のように、0.1
〜0.4umの間隔またはそれ以下の間隔をもつた縞
模様を有しており、その縞模様と直角方向に裂
け、簡単にフイブリル化した。 本発明のフイルムは、1軸方向に高配向である
にもかかわらず、上記の高配向のPPTAフイルム
に見られた縞模様を有しないので、高強度、高モ
ジユラスであり、1方向に裂けず、フイブリル化
しにくいという優れた特徴をもつている。 このことは、本発明のフイルムの第5の要件で
あるところの破断伸度が9%以上であり、かつ一
方向において51Kg/mm2以上の強度を有するという
要件によつて、一層強固に保証される。また、第
6の要件として本発明のフイルムの密度は1.383
g/cm3である。 次にこのようなPPTA系フイルムを得るための
方法について述べる。 本発明のPPTA系フイルムの成型に用いるドー
プを調製するのに適した溶媒としては、98重量%
以上の濃度の硫酸、クロル硫酸、フルオル硫酸ま
たはそれらの混合物である。硫酸は100%以上の
もの、即ち発煙硫酸、トリハロゲン化酢酸など
を、本発明の効果を損わない範囲で混合して用い
てよい。また、ドープ中のポリマー濃度は、常温
(約20℃〜30℃)またはそれ以上の温度で光学異
方性を示す濃度以上のものが好ましく用いられ、
具体的には約10重量%以上、好ましくは約12重量
%以上で用いられる。ドープのポリマー濃度の上
限は特に限定されるものではないが、通常は25重
量%以下、特に高いηinhのPPTAに対しては20重
量%以下が好ましく用いられる。また、ドープに
は普通の添加剤、例えば、増量剤、除光沢剤、紫
外線安定化剤、熱安定化剤、抗酸化剤、顔料、溶
解助剤などを混入してもよい。 ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、
特公昭50−8474号公報記載の方法で調べることが
できるが、その臨界点は、溶媒の種類、温度、ポ
リマー濃度、ポリマーの重合度、非溶媒の含有量
等に依存するので、これらの関係を予め調べるこ
とによつて、光学異方性ドープを作り、光学等方
性ドープとなる条件に変えることで、光学異方性
から光学等方性に変えることができる。 本発明の機械的性質にすぐれた透明フイルムを
得る方法は、ドープを支持面上にフイルム状にし
た後、凝固に先立つてドープを光学異方性から光
学等方性に変えることが特徴であるが、光学異方
性から光学等方性にする方法は、具体的には、支
持面上にフイルム状にした光学異方性ドープを、
凝固に先立つて、吸湿させてドープを形成する溶
剤の濃度を下げて、溶剤の溶解能力及びポリマー
濃度の変化により、ドープを光学等方性域に転移
させる、あるいは、吸湿によるドープの光学異方
性領域の変化に加えて加熱することでドープを昇
温し、ドープの相を光学等方性に転移させること
を同時又は逐次的に併用することで達成できる。 ドープを吸湿させる方法としては、絶対湿度1
g(水)/Kg(乾燥空気)以上、好ましくは3g
(水)/Kg(乾燥空気)以上、さらに好ましくは
10g(水)/Kg(乾燥空気)以上、特に好ましく
は20g(水)/Kg(乾燥空気)以上で且つ相対湿
度99%以下の雰囲気中を通過させることで達成す
ることができる。また吸湿と同時又は吸湿させた
後加熱を併用する方法においては、例えば、硫酸
を溶媒に使つた時光学異方性が実質的に消失し、
ドープが光学等方性に転化する温度は、ポリマー
濃度、ポリマーの重合度、硫酸濃度、ドープの厚
み、更には吸湿の程度により変動するが、通常約
45℃以上が好ましく用いられる。 このようにPPTA系の光学異方性ドープを光学
等方性に転化させ、特に吸湿と加熱を併用して、
光学等方性に転化させる方法は得られるフイルム
の透明性が一段とすぐれているため好んで用いら
れ、本発明のPPTA系フイルムを容易に得るため
の手段である。 凝固液として使用できるのは、例えば、水、約
7.0重量%以下の希硫酸、約20重量%以下のカセ
イソーダ水溶液及びアンモニア水、約50重量%以
下の塩化ナトリウム水溶液及び塩化カルシウム水
溶液などである。凝固浴の温度は特に制限される
ものではなく、通常約0℃〜80℃の範囲で行なわ
れる。 凝固されたフイルムはそのままでは酸が含まれ
ているため、加熱による機械的物性の低下の少な
いフイルムにするには酸分の洗浄、除去をできる
だけ行なう必要があり、具体的には約5000ppm以
下、好ましくは500ppm以下まで行なわれるべき
である。 洗浄液としては水が通常用いられるが、必要に
応じて温水で行なつたり、アルカリ水溶液で中和
洗浄した後、水などで洗浄するのもよい。また、
洗浄方法は、洗浄液中でフイルムを走行させても
よいし、洗浄液を噴霧するのもよい。 本発明の機械的性質にすぐれたフイルムを得る
ためには、前述した製膜方法に加え、次に述べる
延伸によつて達成される。 すなわち、凝固したフイルムを、水洗によつて
溶剤を除去した後、乾燥する前に、実質的に溶剤
は含まず且つ水分を含む膨潤状態で1軸に延伸す
る、いわゆる湿式延伸する方法である。 凝固水洗したフイルムの水分は、一般に、ドー
プ中のポリマー濃度、凝固浴の温度に依存するが
本発明を効果的に実施する上で上記フイルムの水
分は、ポリマー100重量部に対し50重量部以上が
好ましく用いられ、上記水分を含む状態で1.05倍
以上の、通常用いられる方法、例えば、ロール周
速差により、あるいはテンターを用いて延伸が行
なわれる。ここで最高延伸倍率は、約2.5倍で、
それ以上延伸すると切断したり、延伸した方向の
結晶配向角が小さくなり過ぎ、延伸した方向と直
角の方向の機械的強度が弱く、裂けやすくなるば
かりでなく、フイブリル化も起こすようになるの
で、2.5倍以下が好ましく用いられる。また、延
伸倍率1.05倍以下では、本発明の結晶配向角から
外れるため、本発明のPPTA系フイルムの特徴と
する高強度、高モジユラスが達成できない。 延伸されたフイルムは乾燥をうけるが、いかな
る方法でも良く、常温で風乾、加熱された非活性
気体、例えば空気、窒素、アルゴンなどでの雰囲
気下の乾燥、加熱ロール上での乾燥、テンターで
の加熱雰囲気下の乾燥などいずれでも良い。ま
た、乾燥のとき、通常は延伸の効果を失なわない
ために、又は、フイルムに皺が寄るのを防ぐた
め、フイルムの平面性を出すため、緊張下又は定
長下に、フイルムの収縮を制限して行なわれる。
乾燥温度は、常温以上また、機械的強度を効果的
にするためには、高温の方が好ましく、100℃以
上、さらに好ましくは200℃以上が用いられる。
乾燥の最高温度は、特に限定されるものではない
が、乾燥エネルギーやポリマーの分解性を考慮す
れば、500℃以下が用いられる。 本発明のフイルムを製造する上で、上記の工程
はいずれも回分式に行なわれても連続的であつて
もよく、また全工程を通して連続してフイルムを
走行させつつ製造することも好ましい実施態様の
1つである。また任意の工程で油剤、識別用の染
料などをフイルムに付与することも行なわれてさ
しつかえない。 以下に実施例を示すが、これらの実施例は本発
明を説明するものであつて、本発明を限定するも
のではない。なお、実施例中特に規定しない場合
は重量部または重量%を示す。対数粘度ηinhは、
98%硫酸100mlにポリマー0.2gを溶解し、30℃で
常法で測定した。ドープの粘度は、B型粘度計を
用い1rpmの回転速度で測定したものである。フ
イルムの厚さは、直径2mmの測定面を持つたダイ
ヤルゲージで測定した。強伸度及びモジユラス
は、定速伸長型強伸度測定機によりフイルム試料
を100mm×10mmの長方形に切りとり、最初のつか
み長さ30mm、引張り速度30mm/分で5枚の荷重一
伸長曲線を描き、これより算出したものである。
密度測定は、四塩化炭素−トルエンを使用した密
度勾配管法で行なつた。 参考例 低温溶液重合法により次の如くポリパラフエニ
レンテレフタルアミド(以下PPTA)を得た。特
公昭53−43986号公報に示された重合装置中でN
−メチルピロリドン1000部に無水塩化リチウム70
部を溶解し、次いでパラフエニレンジアミン48.6
部を溶解した。8℃に冷却した後、テレフタル酸
ジクロライド91.4部を粉末状で一度に加えた。数
分後に重合反応物はチーズ状に固化したので、特
公昭53−43986号公報記載の方法にしたがつて重
合装置より重合反応物を排出し、直ちに2軸の密
閉型ニーダーに移し、同ニーダー中で重合反応物
を微粉砕した。次に微粉砕物をヘンシエルミキサ
ー中に移し、ほぼ等量の水を加えさらに粉砕した
後、濾過し数回温水中で洗浄して、110℃の熱風
中で乾燥した。ηinh6.5の淡黄色のPPTAポリマ
ー95部を得た。なお、異なつたηinhのポリマー
は、N−メチルピロリドンとモノマー(パラフエ
ニレンジアミンおよびテレフタル酸ジクロライ
ド)の比、または/およびモノマー間の比等を変
えることによつて容易に得ることができる。 実施例 1 ηinhが5.5のPPTAポリマーを99.7%の硫酸に
ポリマー濃度13.0%で溶解し、60℃で光学異方性
のあるドープを得た。このドープの粘度を常温で
測定したところ、14500ポイズだつた。製膜しや
すくするために、このドープをタンクに入れ約70
℃に保つた。その時も上記と同じく光学異方性を
有し、粘度が4200ポイズだつた。タンクからギア
ポンプを経てダイに至る1.5mの曲管を約70℃に
保ち、0.2mm×300mmのスリツトをもつたダイか
ら、鏡面に磨いた110℃に保つたハステロイ製の
ベルトにキヤストし、20℃で相対湿度68%の雰囲
気中に40秒間保つた後、凝固し連続的に製膜し
た。製膜途中凝固直前のベルト上よりドープをサ
ンプリングしたところ、かなりの高粘度で光学等
方性であつた。 凝固したフイルムをとり出して常温の水で1晩
洗浄し、水分を測定したところ、ポリマー100重
量部に対し、350重量部の水を含んでいた。水を
含んだままのフイルムを、定速伸長型強伸度測定
機の100mm幅のチヤツクにはさみ100mmの長さか
ら、MD方向に1.5倍延伸しそのまま200℃の熱風
を当て定長乾燥を行なつた。このフイルムの性質
を第1表に示す。 比較例 1 実施例1において、水洗した水を含んだフイル
ムを延伸せず、200℃に設定された熱風乾燥機で
実施例1と同様に定長乾燥した。このフイルムの
性質を第1表に示す。 比較例 2 実施例1において、ダイの5cm直下に、25℃の
水のはいつた凝固浴を置いて、ドープをダイより
押出し、一旦空気層を通して、凝固浴に導き入
れ、ドープの吐出速度の3倍で連続的に巻取つ
た。 凝固したフイルムをとり出して常温の水で1晩
洗浄し、水分を測定したところ、ポリマー100重
量部に対し、280重量部の水を含んでいた。水を
含んだままのフイルムを、実施例1と同じ方法で
MD方向に延伸を試みたが、TD方向に簡単に裂
けるため、延伸ができなかつた。そこで、水洗し
たフイルムを延伸せず、100℃の熱風で定長乾燥
した。それでもTD方向に裂けたが、何故か行な
ううち1枚が得られたので、このフイルムの性質
を第1表に示す。 比較例 3 実施例1で調整したドープを、−40℃露点乾燥
された窒素雰囲気下のボツクス中にて、110℃に
保たれた200mm角のガラス板上に、0.1mmの段のつ
いたアプリケーターで、製膜した。 40秒後ガラス板上のドープは、光学異方性を保
つたままであつたが、そのドープをガラス板と共
に乾燥ボツクスより取り出し、すぐに20℃の水に
入れ凝固させた。できたフイルムは、不透明で実
施例1と同じ方法で洗浄し、MD方向に延伸した
が、切れるものがほとんどで、1.2倍程伸びたも
のもあつたが、それを乾燥する時に破れてしまつ
た。そこで、水洗したフイルムを延伸せず、100
℃の熱風で定長乾燥した。このフイルムの性質を
第1表に示す。 実施例 2 ηinhが6.2のPPTAを99.6%の硫酸に、60℃で
ポリマー濃度が14.0%になるように溶解した。こ
のドープは80℃で光学異方性を示し、粘度は3300
ポイズであつた。このドープを25℃のガラス板上
に、0.1mmの段差のついたアプリケーターにより
塗布した。その後、絶対湿度7.5g(水)/Kg
(乾燥空気)に保たれた18℃の空気中で1分間放
置した後のドープを採取して分析したところ、硫
酸濃度が94.4%まで低下するぐらいまでに吸湿し
ていることが分つた。しかし、この時点ではドー
プはまだ不透明であり、この後、乾燥窒素オーブ
ン中で120℃に90秒間加熱したところ、光学等方
性化してドープは透明となつた。これを15℃の水
で凝固させた後、5%のカセイソーダ水溶液で中
和処理を行ない、その後更に水洗して酸分の濃度
を400ppmとした。 この水洗したフイルムの水分を測定したとこ
ろ、ポリマー100重量部に対し、330重量部の水を
含んでいた。水を含んだままのフイルムを、実施
例1と同じ方法でMD方向に1.4倍延伸しそのま
ま250℃の熱風を当て定長乾燥を行なつた。この
フイルムの性質を第1表に示す。 比較例 4 実施例2において、水洗した水を含んだフイル
ムを延伸せず、250℃の熱風を当て、実施例2と
同様に定長乾燥した。このフイルムの性質を第1
表に示す。
【表】
【表】
実施例 3
ηinhが6.5dl/gのPPTAポリマーを99.7%の
硫酸にポリマー濃度12.0%で溶解し、60℃で光学
異方性のあるドープを得た。このドープの粘度を
常温で測定したところ、16300ポイズだつた。製
膜しやすくするために、このドープを約80℃に保
つたまま、真空下に脱気した。この場合も上記と
同じく光学異方性を有し、粘度は6400ポイズであ
つた。タンクからフイルターを通し、ギヤポンプ
をへてダイに到る1.5mの曲管を約75℃に保ち、
0.2mm×300mmのスリツトを有するダイから、鏡面
に磨いたハステロイ製のベルト(2m/分で移
動)にキヤストし、相対湿度約90%の約85℃の空
気を吹きつけて、流延ドープを光学等方化し(約
12秒の滞留)、ベルトとともに、0℃の10重量%
硫酸水溶液の中に導いて凝固させた。次いで凝固
フイルムをベルトからひきはがし、約30℃の温水
中を走行させて洗浄した。洗浄の終了したフイル
ムをテンター乾燥機に入れ、定長で最初150℃の
熱風で次いで220℃の熱風で乾燥した。(フイルム
A) 一方、洗浄の終了したフイルム(約320%の水
分を含有)をテンターを用いて室温で幅方向に約
1.5倍延伸したのち、フイルムAと同様に乾燥し
て得たフイルムをフイルムBとする。 更に、洗浄の終了したフイルムを室温で長尺方
向に約1.6倍延伸したのち、フイルムAと同様に
乾燥して得たフイルムをフイルムCとする。 これらのフイルムの性質を第2表に示す。な
お、フイルムAは本発明外の比較例、フイルム
B、Cが本発明の実施例である。
硫酸にポリマー濃度12.0%で溶解し、60℃で光学
異方性のあるドープを得た。このドープの粘度を
常温で測定したところ、16300ポイズだつた。製
膜しやすくするために、このドープを約80℃に保
つたまま、真空下に脱気した。この場合も上記と
同じく光学異方性を有し、粘度は6400ポイズであ
つた。タンクからフイルターを通し、ギヤポンプ
をへてダイに到る1.5mの曲管を約75℃に保ち、
0.2mm×300mmのスリツトを有するダイから、鏡面
に磨いたハステロイ製のベルト(2m/分で移
動)にキヤストし、相対湿度約90%の約85℃の空
気を吹きつけて、流延ドープを光学等方化し(約
12秒の滞留)、ベルトとともに、0℃の10重量%
硫酸水溶液の中に導いて凝固させた。次いで凝固
フイルムをベルトからひきはがし、約30℃の温水
中を走行させて洗浄した。洗浄の終了したフイル
ムをテンター乾燥機に入れ、定長で最初150℃の
熱風で次いで220℃の熱風で乾燥した。(フイルム
A) 一方、洗浄の終了したフイルム(約320%の水
分を含有)をテンターを用いて室温で幅方向に約
1.5倍延伸したのち、フイルムAと同様に乾燥し
て得たフイルムをフイルムBとする。 更に、洗浄の終了したフイルムを室温で長尺方
向に約1.6倍延伸したのち、フイルムAと同様に
乾燥して得たフイルムをフイルムCとする。 これらのフイルムの性質を第2表に示す。な
お、フイルムAは本発明外の比較例、フイルム
B、Cが本発明の実施例である。
【表】
【表】
実施例 4
ηinhが5.7dl/gのPPTAポリマーを99.3%の
硫酸にポリマー濃度12.3%で溶解し、60℃で光学
異方性のあるドープを得た。このドープを約80℃
に保つたまま、真空下に脱気した。この場合も光
学異方性を有し、粘度は5800ポイズであつた。タ
ンクからフイルターを通し、ギアポンプをへてダ
イに到る1.5mの曲管を約75℃に保ち、0.2mm×
300mmのスリツトを有するダイから、鏡面に磨い
たタンタル製のベルト(ダイ下端とベルト面との
きよりは約1cm)にキヤストし、高温高湿の空気
を吹きつけて、流延ドープを光学等方化し、ベル
トとともに、10℃の水中に導いて凝固させた。 ドープの光学等方化のために使用した空気の温
度は70℃で98%の相対湿度をもつており、流延ド
ープをこの空気に曝した時間は4秒であつた。 次いで凝固フイルムをベルトからひきはがし、
約30℃の温水、室温の3%カセイソーダ水溶液、
室温の水での順に洗浄した。洗浄の終了したフイ
ルム(約300%の水を含有)を室温で長尺方向に
約1.5倍延伸し、ひきつづいてテンター乾燥機に
入れ、定長で最初150℃の熱風で次いで220℃の熱
風で乾燥した。得られたフイルムの性質を第3表
に示す。
硫酸にポリマー濃度12.3%で溶解し、60℃で光学
異方性のあるドープを得た。このドープを約80℃
に保つたまま、真空下に脱気した。この場合も光
学異方性を有し、粘度は5800ポイズであつた。タ
ンクからフイルターを通し、ギアポンプをへてダ
イに到る1.5mの曲管を約75℃に保ち、0.2mm×
300mmのスリツトを有するダイから、鏡面に磨い
たタンタル製のベルト(ダイ下端とベルト面との
きよりは約1cm)にキヤストし、高温高湿の空気
を吹きつけて、流延ドープを光学等方化し、ベル
トとともに、10℃の水中に導いて凝固させた。 ドープの光学等方化のために使用した空気の温
度は70℃で98%の相対湿度をもつており、流延ド
ープをこの空気に曝した時間は4秒であつた。 次いで凝固フイルムをベルトからひきはがし、
約30℃の温水、室温の3%カセイソーダ水溶液、
室温の水での順に洗浄した。洗浄の終了したフイ
ルム(約300%の水を含有)を室温で長尺方向に
約1.5倍延伸し、ひきつづいてテンター乾燥機に
入れ、定長で最初150℃の熱風で次いで220℃の熱
風で乾燥した。得られたフイルムの性質を第3表
に示す。
【表】
「発明の効果」
実施例に示した様に、本発明のフイルムは、市
販のフイルムには見られない高い強度と高いヤン
グ率で表わされる良好な機械的性質を持ち、特に
延伸方向と直交する方向の機械的性質を保ちつ
つ、延伸方向の機械的性質特にモジユラスは飛躍
的に良好なものであつた。また本発明のフイルム
は、引張強度、引張弾性率等の機械的物性に著し
く優れているばかりでなく非常にち密な構造をも
つているため、濾過膜、包装材などとして有用で
あり、さらに耐化学薬品性に優れ、硫酸などの強
酸を除けば他の化学物質に対しては全く安定であ
る。また、本発明のフイルムは耐圧性の要求され
る分野や、特に電気的性質に優れているためコン
デンサー用絶縁フイルムとして、また、耐熱性耐
油性電気特性が要求される電気絶縁材および電線
被覆材や、特に強い機械強度の点より、高速回転
する電気機器の絶縁材及び特に高いモジユラスを
利用して磁気テープとして用いられると上記の良
好な性質が十二分に発揮される。
販のフイルムには見られない高い強度と高いヤン
グ率で表わされる良好な機械的性質を持ち、特に
延伸方向と直交する方向の機械的性質を保ちつ
つ、延伸方向の機械的性質特にモジユラスは飛躍
的に良好なものであつた。また本発明のフイルム
は、引張強度、引張弾性率等の機械的物性に著し
く優れているばかりでなく非常にち密な構造をも
つているため、濾過膜、包装材などとして有用で
あり、さらに耐化学薬品性に優れ、硫酸などの強
酸を除けば他の化学物質に対しては全く安定であ
る。また、本発明のフイルムは耐圧性の要求され
る分野や、特に電気的性質に優れているためコン
デンサー用絶縁フイルムとして、また、耐熱性耐
油性電気特性が要求される電気絶縁材および電線
被覆材や、特に強い機械強度の点より、高速回転
する電気機器の絶縁材及び特に高いモジユラスを
利用して磁気テープとして用いられると上記の良
好な性質が十二分に発揮される。
第1図は従来技術で製造した高配向のPPTAフ
イルムを偏光顕微鏡で観察したときに観測される
縞模様の模式図、第2図はPPTAフイルムの結晶
配向角を求める際の、X線の入射方向を示す。
イルムを偏光顕微鏡で観察したときに観測される
縞模様の模式図、第2図はPPTAフイルムの結晶
配向角を求める際の、X線の入射方向を示す。
Claims (1)
- 1 対数粘度ηinhが3.5以上の実質的にポリパラ
フエニレンテレフタルアミド系ポリマーより成る
フイルムであつて、明細書に詳述するボイド数が
5個/mm2以下であり、明細書に詳述する光線透過
率が55%以上であり、フイルム表面に直角に入射
したX線による(200)面の回折強度が最大とな
る方向の結晶配向角が30°以上、70°未満であり、
フイルム表面に並行に入射したX線による(010)
面の結晶配向角が60°以下であり、破断伸度が9
%以上であり、かつ一方向において、51Kg/mm2以
上の強度を有し、密度が1.383g/cm3であり、偏
光線顕微鏡観察によつて、密集した縞模様が観測
されないことを特徴とする新規なポリパラフエニ
レンテレフタルアミド系フイルム。
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP60-95551 | 1985-05-07 | ||
| JP9555185 | 1985-05-07 | ||
| JP60-220225 | 1985-10-04 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62174129A JPS62174129A (ja) | 1987-07-30 |
| JPH0376809B2 true JPH0376809B2 (ja) | 1991-12-06 |
Family
ID=14140711
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5263486A Granted JPS62174129A (ja) | 1985-05-07 | 1986-03-12 | ポリパラフエニレンテレフタルアミド系フイルム |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS62174129A (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US5283027A (en) * | 1989-07-05 | 1994-02-01 | Kabushiki Kaisha Kenwood | Method of molding an acoustic diaphragm part of para aromatic polyamide |
| JPH0383499A (ja) * | 1989-08-28 | 1991-04-09 | Kenwood Corp | ボイスコイルボビン |
| JPH0371795A (ja) * | 1989-08-11 | 1991-03-27 | Mitsubishi Electric Corp | テレビジョン受像機 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5342266A (en) * | 1976-09-29 | 1978-04-17 | Unitika Ltd | Method of improving physical property of aromatic polyamid thin film |
-
1986
- 1986-03-12 JP JP5263486A patent/JPS62174129A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62174129A (ja) | 1987-07-30 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |