JPH0592958A - (+)−n−ホルミル−1−(4−メトキシフエニルメチレン)−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリンの製造方法 - Google Patents

(+)−n−ホルミル−1−(4−メトキシフエニルメチレン)−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリンの製造方法

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JPH0592958A
JPH0592958A JP3286090A JP28609091A JPH0592958A JP H0592958 A JPH0592958 A JP H0592958A JP 3286090 A JP3286090 A JP 3286090A JP 28609091 A JP28609091 A JP 28609091A JP H0592958 A JPH0592958 A JP H0592958A
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 以下の反応式に従って、式(2)で表わされ
る化合物を、一般式(3)で表わされるルテニウム−ホ
スフィン錯体の存在下、不斉水素化する式(1)で表わ
される(+)−N−ホルミル−1−(4−メトキシフェ
ニルメチレン)−1,2,3,4,5,6,7,8−オ
クタヒドロイソキノリンの製造方法。 【化1】 【効果】 本発明の製造方法によれば、高選択率かつ高
収率で(+)−N−ホルミル−1−(4−メトキシフェ
ニルメチレン)−1,2,3,4,5,6,7,8−オ
クタヒドロイソキノリンを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種有機合成反応、特
に不斉水素化反応などの触媒として用いられるルテニウ
ム−ホスフィン錯体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、多くの遷移金属錯体が有機合成反
応の触媒として使用されている。特に貴金属錯体は高価
ではあるが、安定で取扱いが容易であるため、これを触
媒として使用する多くの合成研究がなされており、特
に、不斉合成すなわち不斉異性化反応、不斉水素化反応
などに用いられる不斉触媒について多くの報告がなされ
ている。特にロジウム金属と光学活性な第三級ホスフィ
ンによる金属錯体は不斉水素化反応の触媒として良く知
られており、たとえば、2,2′−ビス(ジフエニルホ
スフィノ)−1,1′−ビナフチル(以下、BINAP
という)を配位子としたロジウム−ホスフィン触媒が報
告されている(特開昭55−61937号公報)。
【0003】また、ロジウム錯体に比べて、ルテニウム
錯体に関する報告は少ないが、BINAP及び2,2′
−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1′−ビナ
フチル(以下、T−BINAPという)を配位子とした
Ru2Cl4(BINAP)2(NEt3)(以下、Etは
エチル基を表わす)、Ru2Cl4(T−BINAP)2
(NEt3)のルテニウム錯体が発表されている(Ikari
yaら;J. Chem.Soc., Chem. Commun.,(1985)p.
922)。また、Ru(O2CH32(BINAP)の
ルテニウム錯体を用いたアリルアルコールの不斉水素化
反応(Noyoriら;J.Am.Chem. Soc.,109(1987)
p.1596)及びイソキノリン型アルカロイドの不斉
水素化反応(Noyoriら;J.Am.Chem. Soc.,108(19
86)p.7117)が発表されている。また、[Ru
(BINAP)]X2(ここにおけるXは、ClO4,B
6またはPF6を表わす)は、H.TakayaらによりJ. Or
g. Chem.,52(1987)p.3174−3176に
発表されている。しかしながら、これらのルテニウム錯
体は、触媒活性及びその持続性について充分であるとは
言えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ロジウム金属はすぐれ
た錯体触媒用の金属であるが、生産地及び生産量が限ら
れており、その価格も高価なものであり、これを触媒と
して用いる場合にはその製品価格中に占めるロジウムの
価格の割合が大きくなり、商品の製造原価に影響を与え
る。これに対しルテニウム金属はロジウム金属に比して
安価であり、工業的に有利な触媒として期待されるが、
反応の精密化及び応用の点で問題が残されている。従っ
て、安価で、活性度が高く、かつ持続性があり、しかも
不斉反応における高い不斉収率、すなわち生成物の光学
純度の高いものを得ることのできる触媒が要求されてい
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者はこのような工
業界の要請にこたえるべく研究を重ねた結果、錯体中の
配位子に光学活性をもたないものを用いれば一般合成触
媒として用いることができ、またこの配位子に光学活性
を有するものを用いれば不斉合成触媒として用いること
ができ、しかも触媒活性度が高い新規なルテニウム錯体
を見出し、ここに本発明を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、一般式(3) [Ru(R−BINAP)MClklm (3) 〔式中、R−BINAPは式(4)
【0007】
【化4】
【0008】で表わされる三級ホスフィンを意味し、R
は水素原子またはメチル基を意味し、MはZn,Al,
TiまたはSnを意味し、XはN(C253またはC
3CO 2を意味し、XがN(C253の場合、lが
2、mが1であり、かつMがZnのときはkが4、Al
のときはkが5、TiまたはSnのときはkが6であ
り、XがCH3CO2の場合、lが1、mが2であり、か
つMがZnのときはkが2、Alのときはkが3、Ti
またはSnのときはkが4である〕で表わされるルテニ
ウム−ホスフィン錯体を提供するものである。
【0009】本発明の新規なルテニウム−ホスフィン錯
体(3)は、Ru2Cl4(R−BINAP)2NEt3
るいはRu(CH3CO22(R−BINAP)を原料
として製造することができる。
【0010】原料のRu2Cl4(R−BINAP)2
Et3は、Ikariya ら;J. Chem.Soc., Chem. Commun.,
(1985)p.922、及び特開昭61−63690
号で開示されている方法により得ることができる。すな
わち、ルテニウムクロライドとシクロオクタ−1,5−
ジエン(以下、CODと略す)をエタノール溶液中で反
応させることにより得られる[RuCl2(COD)]n
1モルと、R−BINAP 1.2モルをトリエチル
アミン4モルの存在下、トルエン、エタノール等の溶媒
中で加熱反応させることにより得られる。
【0011】得られたRu2Cl4(R−BINAP)2
NEt3と、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタ
ン、四塩化スズのうちより選ばれたルイス酸の1種と
を、塩化メチレンのごとき溶媒中で、10〜25℃の温
度で2〜20時間反応せしめた後、溶媒を留去し、乾固
すれば本発明のルテニウム−ホスフィン錯体が得られ
る。
【0012】もう一つの原料のRu(CH3CO2
2(R−BINAP)は、さきに本発明者らが出願した
特願昭61−108888号の方法により得られる。す
なわち、上記方法により得られるRu2Cl4(R−BI
NAP)2NEt3を原料とし、これと酢酸ソーダをメタ
ノール、エタノール、t−ブタノール等のアルコール溶
媒中で、約20〜110℃の温度で3〜15時間反応さ
せた後、溶媒を留去して、エーテル、エタノール等の溶
媒で目的の錯体を抽出した後、乾固すれば粗製の錯体が
得られる。更に酢酸エチル等で再結晶して精製品を得る
ことができる。
【0013】得られたRu(CH3CO22(R−BI
NAP)と、上記のルイス酸の1種を、塩化メチレンの
ごとき溶媒中で、10〜25℃の温度で2〜20時間反
応せしめた後、溶媒を留去し、乾固すれば本発明のルテ
ニウム−ホスフィン錯体が得られる。
【0014】以上の製造法において、光学活性なR−B
INAPを使用することにより、これに対応する光学活
性な性質を有するルテニウム−ホスフィン錯体を得るこ
とが出来る。
【0015】かくして得られる本発明のルテニウム−ホ
スフィン錯体は不斉水素化反応等の触媒として優れた性
能を有するものである。
【0016】例えば、(Z)−N−アシル−1−(4−
メトキシフェニルメチレン)−3,4,5,6,7,8
−ヘキサヒドロイソキノリンなどのエナミドの不斉水素
化において、日本化学会春季年会昭和61年4月2日Z
111L43に発表されているRu(CH3CO2
2(BINAP)錯体では、不斉収率は高い(98%e
e)が、触媒活性は基質/触媒=100である。これに
対して、本発明のルテニウム−ホスフィン錯体は非常に
高い触媒活性を示し、基質に対し1/300〜1/20
00モル濃度の錯体で反応が速やかに進行し、生成する
水素化物は、ほぼ100%の選択性で目的物を与えると
いう優れた点を有する。また生成する光学活性アミドの
光学純度は、90〜95%となり工業的触媒として非常
に優れた成績を示す。
【0017】
【実施例】次に実施例及び使用例によって、本発明を詳
しく説明する。
【0018】実施例1 [Ru((−)−T−BINAP)SnCl62NEt
3(ビス〔ルテニウム(2,2′−ビス(ジ−p−トリ
ルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル)ヘキサクロロ
チン〕トリエチルアミン)の合成:Ru2Cl4((−)
−T−BINAP)2NEt30.52g(0.3ミリモ
ル)を80mlのシュレンク管に入れ、充分窒素置換を行
ってから、塩化メチレン20mlと、SnCl4 0.1
6g(0.6ミリモル)を加え、室温にて15時間かき
混ぜた。反応終了後、減圧下で塩化メチレンを留去し
て、乾固したところ、濃褐色の[Ru((−)−T−B
INAP)SnCl62NEt3 0.68gを得た。
収率100%。 元素分析値:C10295Cl12NP4Sn2Ru2 P C H Cl 実測値(%) 5.91 53.48 4.36 17.56 理論値(%) 5.33 52.72 4.12 18.31 機器分析値は次の通りである。すなわち、31P核磁気共
鳴スペクトル(以下、 31PNMRと略す)は、ブルッカ
ー社製AM400型装置(161MHz )を用いて測定
し、化学シフトは85%リン酸を外部標準として測定し
た。31 PNMR(CDCl3)δppm:14.14(d,
J=41.7Hz) 62.57(d,J=41.7Hz)
【0019】実施例2 [Ru((−)−BINAP)AlCl3](CH3CO
22(〔ルテニウム(2,2′−ビス(ジフェニルホス
フィノ)−1,1′−ビナフチル)トリクロロアルミニ
ウム〕ジアセテート)の合成:Ru(CH3CO2
2((−)−BINAP)0.63g(0.75ミリモ
ル)を80mlのシュレンク管に入れ、充分窒素置換を行
ってから、塩化メチレン10mlを加え溶解させた。Al
Cl3 0.1g(0.75ミリモル)を80mlのシュ
レンク管に入れ、充分窒素置換を行ってから、塩化メチ
レン20mlを加え、さらに上記で調製した、Ru(CH
3CO22((−)−BINAP)の塩化メチレン溶液
を加え、15時間かき混ぜた。反応終了後、減圧下で塩
化メチレンを留去して、乾固したところ、濃褐色[Ru
((−)−BINAP)AlCl3](CH3CO22
0.73gを得た。収率100%。 元素分析値:C483842Cl3AlRu P C H Cl 実測値(%) 6.17 60.07 4.38 11.16 理論値(%) 6.35 59.12 3.93 10.6031 PNMR(CDCl3)δppm:14.16(d,
J=41.5Hz) 62.56(d,J=41.5Hz)
【0020】実施例3〜16 原料のR−BINAP及びルイス酸の種類を変えたほか
は、実施例3〜9は上記実施例1の方法に従い、実施例
10〜16は実施例2の方法に従い、それぞれの錯体を
合成した。得られた錯体の分析値を表1、表2及び表3
に示す
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】使用例1 (Z)−N−ホルミル−1−(4−メトキシフェニルメ
チレン)−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソ
キノリンの不斉水素化:
【0025】
【化5】
【0026】あらかじめ乾燥し、アルゴン置換した枝付
ナスフラスコに、触媒として[Ru((−)−T−BI
NAP)SnCl62NEt3 18.8mg(0.00
81ミリモル)を計りとり、脱気した無水メタノール4
0mlを加えた溶液を、室温で水素下2時間撹拌した。一
方、(Z)−N−ホルミル−1−(4−メトキシフェニ
ルメチレン)−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ
イソキノリン516mg(1.82ミリモル)を脱気した
無水メタノール20mlに加えた溶液を別途調製した。触
媒溶液から4.30ml(基質(モル)/触媒(モル)=
1000/1)を取り、基質溶液に混ぜオートクレーブ
に移し、水素気圧35kg/cm2、75℃で47時間撹拌
した。撹拌終了後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーで精製して、(+)−N−ホルミル−1
−(4−メトキシフェニルメチレン)−1,2,3,
4,5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリン520
mgを得た。収率100%。このものの旋光度は〔α〕D
25+22.6(c=1.17、メタノール)であった。
光学純度は、脱ホルミル化後、生成物を2,3,4,6
−テトラ−O−アセチル−β−O−グリコピラノシルイ
ソシアネートと反応させ、逆相HPLC分析を行って不
斉収率を決定した結果、98%eeであった。各スペク
トルデータを次に示す。1 HNMR(400MHZ, CDCl3) δppm:1.68(m, 4H), 1.90(m,4
H), 2.20(m, 2H),2.64(dd, J=10.4, 13.9Hz, 0.6H), 2.
90(m, 2.4H),3.31(dd, J=6.6, 12.9Hz,0.4H), 3.58(d,
J=9.9Hz, 0.6H),3.77(s, 3H), 4.37(dd, J=6.7, 12.9H
z,0.6H), 4.68(broad s, 0.4H),6.80(m,2H), 6.99(m,
0.6H), 7.05(m, 0.4H),7.39(s, 0.6H),7.92(s, 0.4H)13 CNMR(100MHz, CDCl3)δppm:22.7, 22.8, 22.9, 27.7,
29.7, 30.0,30.8, 33.4, 36.3, 37.6, 40.4, 53.2, 5
5.2, 60.4, 60.8, 113.6,114.1, 127.77, 127.84, 128.
9, 129.8, 130.0, 130.2, 130.4, 158.2,158.4, 160.8,
161.1 UV(CH3OH)nm : 220, 277, 284 MS : m/e 285
【0027】使用例2〜16 使用例1と同様な反応操作により、実施例2〜16で得
られたルテニウム−ホスフィン錯体を用いて(Z)−N
−ホルミル−1−(4−メトキシフェニルメチレン)−
3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリンの
不斉水素化反応を行い、(+)−N−ホルミル−1−
(4−メトキシフェニルメチレン)−1,2,3,4,
5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリンの製造を行
った結果を表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】本発明は、新規なルテニウム−ホスフィ
ン錯体を提供するものであり、この錯体は、各種有機合
成反応、特に不斉水素化反応などの触媒としてすぐれた
性能を示し、オレフィンの選択的水素化ならびに触媒活
性についても工業的にすぐれた成績を示し、且つ従来の
ロジウム系触媒などに比し、安価に作られ、製品の価格
引下げに貢献することのできる工業的価値の高いもので
ある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成3年11月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鎮咳薬デキストロメト
ルファンの合成中間体として有用な(+)−N−ホルミ
ル−1−(4−メトキシフェニルメチレン)−1,2,
3,4,5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリンの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、多くの遷移金属錯体が有機合成反
応の触媒として使用されている。特に貴金属錯体は高価
ではあるが、安定で取扱いが容易であるため、これを触
媒として使用する多くの合成研究がなされており、特
に、不斉合成すなわち不斉異性化反応、不斉水素化反応
などに用いられる不斉触媒について多くの報告がなされ
ている。特にロジウム金属と光学活性な第三級ホスフィ
ンによる金属錯体は不斉水素化反応の触媒として良く知
られており、たとえば、2,2′−ビス(ジフェニルホ
スフィノ)−1,1′−ビナフチル(以下、BINAP
という)を配位子としたロジウム−ホスフィン触媒が報
告されている(特開昭55−61937号公報)。
【0003】また、ロジウム錯体に比べて、ルテニウム
錯体に関する報告は少ないが、BINAP及び2,2′
−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1′−ビナ
フチル(以下、T−BINAPという)を配位子とした
Ru2Cl4(BINAP)2(NEt3)(以下、Etは
エチル基を表わす)、Ru2Cl4(T−BINAP)2
(NEt3)のルテニウム錯体が発表されている(Ikari
yaら;J. Chem.Soc., Chem. Commun.,(1985)p.
922)。また、Ru(O2CH32(BINAP)の
ルテニウム錯体を用いたアリルアルコールの不斉水素化
反応(Noyoriら;J.Am.Chem. Soc.,109(1987)
p.1596)及びイソキノリン型アルカロイドの不斉
水素化反応(Noyoriら;J.Am.Chem. Soc.,108(19
86)p.7117)が発表されている。また、[Ru
(BINAP)]X2(ここにおけるXは、ClO4,B
6またはPF6を表わす)は、H.TakayaらによりJ. Or
g. Chem.,52(1987)p.3174−3176に
発表されている。しかしながら、これらのルテニウム錯
体は、触媒活性及びその持続性について充分であるとは
言えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ロジウム金属はすぐれ
た錯体触媒用の金属であるが、生産地及び生産量が限ら
れており、その価格も高価なものであり、これを触媒と
して用いる場合にはその製品価格中に占めるロジウムの
価格の割合が大きくなり、商品の製造原価に影響を与え
る。これに対しルテニウム金属はロジウム金属に比して
安価であり、工業的に有利な触媒として期待されるが、
反応の精密化及び応用の点で問題が残されている。従っ
て、安価で、活性度が高く、かつ持続性があり、しかも
不斉反応における高い不斉収率、すなわち生成物の光学
純度の高いものを得ることのできる触媒が要求されてい
た。一方、(+)−N−ホルミル−1−(4−メトキシ
フェニルメチレン)−1,2,3,4,5,6,7,8
−オクタヒドロイソキノリンは、鎮咳薬として用いられ
るデキストロメトルファンの合成中間体として有用であ
り、これは一般に(Z)−N−ホルミル−1−(4−メ
トキシフェニルメチレン)−3,4,5,6,7,8−
ヘキサヒドロイソキノリンを不斉水素化して合成されて
いる。しかし、従来の不斉水素化反応の不斉収率、得ら
れた生成物の光学純度は未だ充分満足できるものではな
かった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者はこのような工
業界の要請にこたえるべく研究を重ねた結果、触媒活性
度が高い新規なルテニウム錯体を用いて不斉水素化を行
えば、高選択率かつ高純度で(+)−N−ホルミル−1
−(4−メトキシフェニルメチレン)−1,2,3,
4,5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリンを製造
することができることを見出し、ここに本発明を完成し
た。本発明の製造方法は次の反応式で示される。
【0006】
【化4】
【0007】
【化5】
【0008】で表わされる三級ホスフィンを意味し、R
は水素原子またはメチル基を意味し、MはZn,Al,
TiまたはSnを意味し、XはN(C253またはC
3CO 2を意味し、XがN(C253の場合、lが
2、mが1であり、かつMがZnのときはkが4、Al
のときはkが5、TiまたはSnのときはkが6であ
り、XがCH3CO2の場合、lが1、mが2であり、か
つMがZnのときはkが2、Alのときはkが3、Ti
またはSnのときはkが4である〕すなわち、本発明は
式(2)で表わされる(Z)−N−ホルミル−1−(4
−メトキシフェニルメチレン)−3,4,5,6,7,
8−ヘキサヒドロイソキノリンを、一般式(3)で表わ
されるルテニウム−ホスフィン錯体の存在下、不斉水素
化することを特徴とする式(1)で表わされる(+)−
N−ホルミル−1−(4−メトキシフェニルメチレン)
−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロイソ
キノリンの製造方法を提供するものである。
【0009】本発明において用いられるルテニウム−ホ
スフィン錯体(3)は、Ru2Cl4((−)−R−BI
NAP)2NEt3あるいはRu(CH3CO2
2((−)−R−BINAP)を原料として製造するこ
とができる。
【0010】原料のRu2Cl4((−)−R−BINA
P)2NEt3は、Ikariya ら;J. Chem.Soc., Chem. Co
mmun.,(1985)p.922、及び特開昭61−63
690号で開示されている方法により得ることができ
る。すなわち、ルテニウムクロライドとシクロオクタ−
1,5−ジエン(以下、CODと略す)をエタノール溶
液中で反応させることにより得られる[RuCl2(C
OD)]n 1モルと、(−)−R−BINAP 1.
2モルをトリエチルアミン4モルの存在下、トルエン、
エタノール等の溶媒中で加熱反応させることにより得ら
れる。
【0011】得られたRu2Cl4((−)−R−BIN
AP)2NEt3と、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩
化チタン、四塩化スズのうちより選ばれたルイス酸の1
種とを、塩化メチレンのごとき溶媒中で、10〜25℃
の温度で2〜20時間反応せしめた後、溶媒を留去し、
乾固すればルテニウム−ホスフィン錯体(3)が得られ
る。
【0012】もう一つの原料のRu(CH3CO2
2((−)−R−BINAP)は、さきに本発明者らが
出願した特願昭61−108888号の方法により得ら
れる。すなわち、上記方法により得られるRu2Cl
4((−)−R−BINAP)2NEt3を原料とし、こ
れと酢酸ソーダをメタノール、エタノール、t−ブタノ
ール等のアルコール溶媒中で、約20〜110℃の温度
で3〜15時間反応させた後、溶媒を留去して、エーテ
ル、エタノール等の溶媒で目的の錯体を抽出した後、乾
固すれば粗製の錯体が得られる。更に酢酸エチル等で再
結晶して精製品を得ることができる。
【0013】得られたRu(CH3CO22((−)−
R−BINAP)と、上記のルイス酸の1種を、塩化メ
チレンのごとき溶媒中で、10〜25℃の温度で2〜2
0時間反応せしめた後、溶媒を留去し、乾固すればルテ
ニウム−ホスフィン錯体(3)が得られる。
【0014】かくして得られるルテニウム−ホスフィン
錯体(3)は不斉水素化反応等の触媒として優れた性能
を有するものである。
【0015】ルテニウム−ホスフィン錯体(3)を触媒
として用いる化合物(2)の不斉水素化反応は、後記実
施例に示すように通常の不斉水素化反応と同様にして実
施することができる。すなわち、例えば無水メタノール
等の溶媒中、化合物(2)に対し1/300〜1/20
00モル程度のルテニウム−ホスフィン錯体(3)を加
え水素化すればよい。
【0016】(Z)−N−アシル−1−(4−メトキシ
フェニルメチレン)−3,4,5,6,7,8−ヘキサ
ヒドロイソキノリンなどのエナミドの不斉水素化におい
て、日本化学会春季年会昭和61年4月2日Z111L
43に発表されているRu(CH3CO22(BINA
P)錯体では、不斉収率は高い(98%ee)が、触媒
活性は基質/触媒=100である。これに対して、本発
明に用いられるルテニウム−ホスフィン錯体(3)は非
常に高い触媒活性を示し、基質に対し1/300〜1/
2000モル濃度の錯体で反応が速やかに進行し、生成
する水素化物は、ほぼ100%の選択性で目的物を与え
るという優れた点を有する。また生成する光学活性アミ
ドの光学純度は、90〜95%となり工業的触媒として
非常に優れた成績を示す。尚、本発明において用いられ
るルテニウム−ホスフィン錯体(3)の配位子である
(−)−R−BINAPのかわりに、その光学異性体で
ある(+)−R−BINAPを配位子とする一般式
(5) [Ru((+)−R−BINAP)MClklm (5) 〔式中、R−BINAP,M,X,k,l及びmは前記
と同じ意味を示す〕で表わされるルテニウム−ホスフィ
ン錯体を用いて、本発明と同様の方法で(Z)−N−ホ
ルミル−1−(4−メトキシフェニルメチレン)−3,
4,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリンを不斉
水素化すれば、(−)−N−ホルミル−1−(4−メト
キシフェニルメチレン)−1,2,3,4,5,6,
7,8−オクタヒドロイソキノリンを得ることができる
が、この化合物を合成中間体として得ることができるレ
ボメトルファンは、鎮痛、呼吸抑制及び鎮咳作用を有す
る麻薬である。
【0017】
【実施例】次に参考例及び実施例によって、本発明を詳
しく説明する。
【0018】参考例1 [Ru((−)−T−BINAP)SnCl62NEt
3(ビス〔ルテニウム(2,2′−ビス(ジ−p−トリ
ルホスフィノ)−1,1′−ビナフチル)ヘキサクロロ
チン〕トリエチルアミン)の合成:Ru2Cl4((−)
−T−BINAP)2NEt30.52g(0.3ミリモ
ル)を80mlのシュレンク管に入れ、充分窒素置換を行
ってから、塩化メチレン20mlと、SnCl4 0.1
6g(0.6ミリモル)を加え、室温にて15時間かき
混ぜた。反応終了後、減圧下で塩化メチレンを留去し
て、乾固したところ、濃褐色の[Ru((−)−T−B
INAP)SnCl62NEt3 0.68gを得た。
収率100%。 元素分析値:C10295Cl12NP4Sn2Ru2 P C H Cl 実測値(%) 5.91 53.48 4.36 17.56 理論値(%) 5.33 52.72 4.12 18.31 機器分析値は次の通りである。すなわち、31P核磁気共
鳴スペクトル(以下、 31PNMRと略す)は、ブルッカ
ー社製AM400型装置(161MHz )を用いて測定
し、化学シフトは85%リン酸を外部標準として測定し
た。31 PNMR(CDCl3)δppm:14.14(d,
J=41.7Hz) 62.57(d,J=41.7Hz)
【0019】参考例2 [Ru((−)−BINAP)AlCl3](CH3CO
22(〔ルテニウム(2,2′−ビス(ジフェニルホス
フィノ)−1,1′−ビナフチル)トリクロロアルミニ
ウム〕ジアセテート)の合成:Ru(CH3CO2
2((−)−BINAP)0.63g(0.75ミリモ
ル)を80mlのシュレンク管に入れ、充分窒素置換を行
ってから、塩化メチレン10mlを加え溶解させた。Al
Cl3 0.1g(0.75ミリモル)を80mlのシュ
レンク管に入れ、充分窒素置換を行ってから、塩化メチ
レン20mlを加え、さらに上記で調製した、Ru(CH
3CO22((−)−BINAP)の塩化メチレン溶液
を加え、15時間かき混ぜた。反応終了後、減圧下で塩
化メチレンを留去して、乾固したところ、濃褐色[Ru
((−)−BINAP)AlCl3](CH3CO22
0.73gを得た。収率100%。 元素分析値:C483842Cl3AlRu P C H Cl 実測値(%) 6.17 60.07 4.38 11.16 理論値(%) 6.35 59.12 3.93 10.6031 PNMR(CDCl3)δppm:14.16(d,
J=41.5Hz) 62.56(d,J=41.5Hz)
【0020】参考例3〜16 原料のR−BINAP及びルイス酸の種類を変えたほか
は、参考例3〜9は上記参考例1の方法に従い、参考例
10〜16は参考例2の方法に従い、それぞれの錯体を
合成した。得られた錯体の分析値を表1、表2及び表3
に示す
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】実施例1 (Z)−N−ホルミル−1−(4−メトキシフェニルメ
チレン)−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソ
キノリンの不斉水素化:
【0025】
【化6】
【0026】あらかじめ乾燥し、アルゴン置換した枝付
ナスフラスコに、触媒として[Ru((−)−T−BI
NAP)SnCl62NEt3 18.8mg(0.00
81ミリモル)を計りとり、脱気した無水メタノール4
0mlを加えた溶液を、室温で水素下2時間撹拌した。一
方、(Z)−N−ホルミル−1−(4−メトキシフェニ
ルメチレン)−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ
イソキノリン516mg(1.82ミリモル)を脱気した
無水メタノール20mlに加えた溶液を別途調製した。触
媒溶液から4.30ml(基質(モル)/触媒(モル)=
1000/1)を取り、基質溶液に混ぜオートクレーブ
に移し、水素気圧35kg/cm2、75℃で47時間撹拌
した。撹拌終了後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーで精製して、(+)−N−ホルミル−1
−(4−メトキシフェニルメチレン)−1,2,3,
4,5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリン520
mgを得た。収率100%。このものの旋光度は〔α〕D
25 +22.6(c=1.17、メタノール)であっ
た。光学純度は、脱ホルミル化後、生成物を2,3,
4,6−テトラ−O−アセチル−β−O−グリコピラノ
シルイソシアネートと反応させ、逆相HPLC分析を行
って不斉収率を決定した結果、98%eeであった。各
スペクトルデータを次に示す。1 HNMR(400MHZ, CDCl3) δppm:1.68(m, 4H), 1.90(m,4
H), 2.20(m, 2H),2.64(dd, J=10.4, 13.9Hz, 0.6H), 2.
90(m, 2.4H),3.31(dd, J=6.6, 12.9Hz,0.4H), 3.58(d,
J=9.9Hz, 0.6H),3.77(s, 3H), 4.37(dd, J=6.7, 12.9H
z,0.6H), 4.68(broad s, 0.4H),6.80(m,2H), 6.99(m,
0.6H), 7.05(m, 0.4H),7.39(s, 0.6H),7.92(s, 0.4H)13 CNMR(100MHz, CDCl3)δppm:22.7, 22.8, 22.9, 27.7,
29.7, 30.0,30.8, 33.4, 36.3, 37.6, 40.4, 53.2, 5
5.2, 60.4, 60.8, 113.6,114.1, 127.77, 127.84, 128.
9, 129.8, 130.0, 130.2, 130.4, 158.2,158.4, 160.8,
161.1 UV(CH3OH)nm : 220, 277, 284 MS : m/e 285
【0027】実施例2〜16 実施例1と同様な反応操作により、参考例2〜16で得
られたルテニウム−ホスフィン錯体を用いて(Z)−N
−ホルミル−1−(4−メトキシフェニルメチレン)−
3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリンの
不斉水素化反応を行い、(+)−N−ホルミル−1−
(4−メトキシフェニルメチレン)−1,2,3,4,
5,6,7,8−オクタヒドロイソキノリンの製造を行
った結果を表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】
【発明の効果】本発明の製造方法に用いられる新規なル
テニウム−ホスフィン錯体は、各種有機合成反応、特に
不斉水素化反応などの触媒としてすぐれた性能を示し、
オレフィンの選択的水素化ならびに触媒活性についても
工業的にすぐれた成績を示し、且つ従来のロジウム系触
媒などに比し、安価に作られ、製品の価格引下げに貢献
することのできる工業的価値の高いものである。従っ
て、このルテニウム−ホスフィン錯体を用いれば、高選
択率かつ高収率で(+)−N−ホルミル−1−(4−メ
トキシフェニルメチレン)−1,2,3,4,5,6,
7,8−オクタヒドロイソキノリンを製造することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07F 15/00 A 9049−4H

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の式(2) 【化1】 で表わされる(Z)−N−ホルミル−1−(4−メトキ
    シフェニルメチレン)−3,4,5,6,7,8−ヘキ
    サヒドロイソキノリンを、次の一般式(3) [Ru((−)−R−BINAP)MClklm (3) 〔式中、R−BINAPは式(4) 【化2】 で表わされる三級ホスフィンを意味し、Rは水素原子ま
    たはメチル基を意味し、MはZn,Al,TiまたはS
    nを意味し、XはN(C253またはCH3CO 2を意
    味し、XがN(C253の場合、lが2、mが1であ
    り、かつMがZnのときはkが4、Alのときはkが
    5、TiまたはSnのときはkが6であり、XがCH3
    CO2の場合、lが1、mが2であり、かつMがZnの
    ときはkが2、Alのときはkが3、TiまたはSnの
    ときはkが4である〕で表わされるルテニウム−ホスフ
    ィン錯体の存在下、不斉水素化することを特徴とする次
    の式(1) 【化3】 で表わされる(+)−N−ホルミル−1−(4−メトキ
    シフェニルメチレン)−1,2,3,4,5,6,7,
    8−オクタヒドロイソキノリンの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1997003052A1 (de) * 1995-07-11 1997-01-30 Lonza Ag Verfahren zur herstellung von optisch aktivem 1-(p-methoxybenzyl)-1,2,3,4,5,6,7,8-octahydroisochinolin

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997003052A1 (de) * 1995-07-11 1997-01-30 Lonza Ag Verfahren zur herstellung von optisch aktivem 1-(p-methoxybenzyl)-1,2,3,4,5,6,7,8-octahydroisochinolin
US5892044A (en) * 1995-07-11 1999-04-06 Lonza Ltd. Process for preparing optically active 1-(p-methoxybenzyl)-1,2,3,4,5,3,7,8-octahydroisoquinoline

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