JPH0630603B2 - ヒアルロン酸の製造法 - Google Patents

ヒアルロン酸の製造法

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JPH0630603B2
JPH0630603B2 JP10110886A JP10110886A JPH0630603B2 JP H0630603 B2 JPH0630603 B2 JP H0630603B2 JP 10110886 A JP10110886 A JP 10110886A JP 10110886 A JP10110886 A JP 10110886A JP H0630603 B2 JPH0630603 B2 JP H0630603B2
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清志 森川
昭夫 浜井
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の技術分野] 本発明は、ヒアルロン酸(以下「HA」という)の製造
法に関し、更に詳しくは、HA産生菌を糖質含有培地で
培養し、培養物からHAを採取するHAの製造法に関す
る。
[従来の技術及びその問題点] HAは、ウシの硝子体、ヒトの臍帯、関節液、皮膚、ニ
ワトリのトサカ等、動物の結合組織中に広く存在する直
鎖状の高分子物質で酸性ムコ多糖と称せられる物質群の
一種である。
HAの水溶液は強い保水性、粘弾性を示し、生体内では
細胞間隙に水を保持したり、細胞内でジェリー様のマト
リックスを形成し、細胞を保持したり、細胞間物質の移
動を制御したり、更には外からの機械的侵襲や細菌感染
に対する防禦に役立っている。
HAの利用としては、眼科領域(網膜剥離)に関して
は、例えばモダン・プロブレムズ・イン・オプタルモロ
ジー(Modern Problems in Ophthalmology),第12
巻,370〜377頁(1974年)に、整形外科領域
(関節炎)に関しては、例えばアクタ・ベテリナリア・
スカンジナビア(Acta Veterinaria Scandinavia),第
17巻,379〜394頁(1976年)に、皮膚科領
域(皮膚炎)に関しては、例えばオスペダリ・イタリア
・チルギア(Ospedali D′italia chirurgia),第19
巻,173〜188頁(1968年)にその使用が報告
され、優れた治療効果が認められており、HAの医薬品
としての用途の期待は大きい。
このようなHAの原料としては、安価かつ大量に供給で
きるものが好ましく、主にニワトリのトサカ等の動物由
来のものが利用されているが、動物由来のものは生産・
供給が一定せず、生産管理の容易な微生物由来のものが
強く望まれている。
微生物由来のHAは古くからよく知られるところであ
り、例えばジェー・エス・ブリマコンビー(J.S.Brimac
ombe)及びジェー・エム・ウェッバー(J.M.Webber)共
著による1964年出版(Elsevier社,アムステルダ
ム)のムコポリサッカライド(Mucopolysaccharide)4
3頁には、エアロバクター・エアロゲネス(Aerobacter
aerogenes)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Stre
ptococcus pyogenes)等の連鎖球菌、シュードモナス・
エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)で代表される
菌類のHA産生能について記載されている。
連鎖球菌由来のHAは、古くはジャーナル・オブ・ゼネ
ラル・マイクロバイオロジー(Journal of General Mic
robiology),第14巻,134〜142頁(1956
年)にA群、C群合わせて数株についてHA産生量とH
A分解酵素(ヒアルロニダーゼ)産生能を調べた結果が
報告されており、HA産生量は培地100m当り10
〜20mgでHA産生と同時にヒアルロニダーゼを産生す
る株では一度産生したHAが消失することが指摘されて
いる。
HA産生増強のための培養法に関する報告はほとんどな
されておらず、わずかにグルコース添加量について検討
した結果が報告されているにすぎない。即ち、アプライ
ド・マイクロバイオロジー(Applied Microbiology),
第15巻,1409〜1413頁(1967年)にはA
群の連鎖球菌を用いてヴィール・インヒュージョン培地
によりグルコース1%までの影響を、醗酵工学雑誌,第
53巻,648〜657頁(1975年)にはアウレオ
バシデューム・プルランス(Aureobasidium pullulan
s)を用いて酵母エキスと各種塩類からなる培地により
グルコース10%までの影響をそれぞれ検討しており、
いずれもグルコース添加量に応じて産生量が増大すると
報告している。
本発明者らは、HA産生量を増大せしめる添加成分につ
いて鋭意研究を重ねた結果、グルコサミン、ピルビン
酸、アセトインを培地に含有させることによりHA産生
量が増大することを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
[発明の構成] 本発明は、HA産生菌を糖質含有培地で培養し、培養物
からHAを採取するHAの製造法において、該培地中に
グルコサミン又はその塩、ピルビン酸又はその塩及びア
セトインからなる群から選ばれる少なくとも1種を添加
することを特徴とするHAの製造法に関するものであ
る。
本発明に用いる微生物としては、HA産生能を有する菌
類であれば如何なるものでもよい。かかるHA産生菌と
しては、例えば、ストレプトコッカス属に属するストレ
プトコッカス・ズーエピデミカス(Streptococcus zooe
pidemicus;このうち、NO.60001株及びNO.600
19株は、それぞれ微工研菌寄第8673号及び同第8
674号として通商産業省工業技術院微生物工業技術研
究所(以下「微工研」という)に寄託されている。)、
ストレプトコッカス・エキ(Streptococcus eqi;II
D679号として東京大学医科学研究所に寄託されてい
る。)、ストレプトコッカス・エキシミリス(Streptoc
ocuus eqisimilis;IID 681として東京大学医科
学研究所に寄託されている。)、ストレプトコッカス・
ディスガラクティエ(Streptococcus dysgalactiae;I
ID 678号として東京大学医科学研究所に寄託され
ている。)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Strept
ococcus pyogenes;IID 715号として東京大学医
科学研究所に寄託されている。);シュードモナス属に
属するシュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas ae
ruginosa;IAM 1095号として東京大学応用微生
物研究所に寄託されている。);パスツレラ属に属する
パスツレラ・ムルトシーダ(Pasteurella multocida;
NIAH 1179号として農林水産省家畜衛生試験所
に寄託されている。)等が挙げられる。
前述の微生物のうち、特に安全性の面から取扱い易い、
ランスフィールド(Lancefield)の血清学的分類でC群
に属する連鎖球菌(ストレプトコッカス(Streptococcu
s)属細菌)のヒアルロニダーゼ非産生株、例えばスト
レプトコッカス・ズーエピデミカス60001株、同6
0019株、ストレプトコッカス・エキIID679株
を用いることが好ましい。
本発明において、培地としては炭素源として糖質を含有
する培地を用いる。該培地には、通常の窒素源及び無機
塩類を適宜添加する。
糖質としては、グルコースが最も好ましいが、デンプン
加水分解物、廃糖蜜、水飴、ショ糖、乳糖、果糖等を用
いてもよい。窒素源としては、酵母エキス、ペプトン、
肉エキス、心臓エキス等の一般的原料を用いることがで
きる。無機塩類としては、ナトリウム、カリウム、カル
シウム等のリン酸塩、炭酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩等
を必要に応じて添加する。
前述のように、HA製造の基本培地としては一般的な細
菌の増殖用培地を用いることができるが、培養物からの
HAの単離・精製を考慮した場合、可能な限り培地中の
蛋白量が少なく、組成が単純でかつHA産生量の高い培
地が好ましい。好ましい基本培地としては、例えば、酵
母エキス0.50%、ペプトン0.75%、亜硫酸ナト
リウム0.02%、グルコース1〜3%、pH7.5から
なる培地が挙げられる。
本発明においては、増強剤としてグルコサミン又はその
塩、ピルビン酸又はその塩及びアセトインからなる群か
ら選ばれる少なくとも1種を添加する。グルコサミンの
塩としては、例えば塩酸塩、酢酸塩、ギ酸塩等が挙げら
れ、ピルビン酸の塩としては、例えばナトリウム、カリ
ウム、リチウム等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属
の塩が挙げられる。
前記増強剤の添加割合は、例えばグルコース1〜3%添
加培地を用いた場合、グルコサミン又はその塩では、通
常0.25〜3.0%、好ましくは0.5〜2.0%で
あり、ピルビン酸又はその塩では、通常0.25〜3.
0%、好ましくは0.5〜2.0%であり、アセトイン
では、通常0.125〜1.0%、好ましくは0.12
5〜0.5%である。
菌の培養では、通常、予めウマ等の血液加寒天培地にお
いて30〜37℃で1晩種培養した菌を適当な液体培地
に2〜3白金耳接種し、時々pHを中性にアルカリ水溶液
で補正しながら8〜16時間種培養を行う。この培養液
をHA産生培地に対して1〜3%接種し、30〜37℃
で培地を中性に保ちながら20〜40時間振盪培養する
(生産培養)。HAの産生には通気撹拌による好気的培
養とpH制御が必要である。
培地の中和は、通常、濃アルカリ水溶液、例えば水酸化
ナトリウム水溶液を適時滴下したり、粉末の炭酸カルシ
ウムを3〜5%添加することにより行う。
増強剤は、前記培養時において、生産培養開始時又は開
始後3〜4時間後の菌の増殖が始まった頃に、全量を又
は数回に分けて添加することが好ましいが、種培養時に
添加することにより生産培養時に存在せしめることとし
てもよい。
培養液からHAを分離・採取するにあたっては、通常の
多糖類の分離・採取法を利用することができる。例え
ば、培養液中の菌体等の不溶物を過又は遠心分離によ
り分別後、この溶液から、例えばエタノール等の溶媒沈
殿剤又は塩化セチルピリジニウム等の沈殿剤を単独で又
は併用することにより精製HAを分取することができ
る。
以上のようにして得られたものについてウロン酸含量を
測定し、またはセルロースアセテート膜を用いる電気泳
動法によってHAであることを確認した。
[発明の実施例] 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、こ
れらの実施例は本発明の範囲を何ら制限するものではな
い。
実施例1 酵母エキス(極東製薬(株)製;以下同様)0.50
%、ペプトン(極東製薬(株)製;以下同様)0.75
%、亜硫酸ナトリウム0.02%、粉末炭酸カルシウム
5%(pH7.5)にグルコースの添加割合を1〜3%に
変化させた培地についてHA産生に及ぼすグルコサミン
塩酸塩、ピルビン酸ナトリウム、アセトインの各々の添
加割合の影響を検討した。
予め8時間種培養したストレプトコッカス・ズーエピデ
ミカス60019株(微工研菌寄第8674号)を2%
接種し、37℃で17時間振盪培養後、培養液を遠心分
離して得た上清液にエタノールを添加してHAを沈殿さ
せた後、沈殿物のHA量を分析した。結果を表1に示
す。
実施例2 ストレプトコッカス・ズーエピデミカス60019株
(微工研菌寄第8674号)をウマ血液寒天培地(極東
製薬(株)製;以下同様)に接種し、37℃で1晩培養
した。酵母エキス0.50%、ペプトン0.75%、亜
硫酸ナトリウム0.02%、フェノールレッド0.00
2%(pH7.5)からなる培地の2倍濃縮液50mを
500m容振盪フラスコに仕込み、121℃で15分
間加圧滅菌後、別に同様にして滅菌した50%グルコー
ス水溶液及び滅菌水をグルコース終濃度1%、液量10
0mになるように無菌的に加えた後、前記培養菌を2
白金耳接種し、37℃で8時間振盪培養した。途中、指
示薬(フェノールレッド)の色調を観察しながら3N水
酸化ナトリウム水溶液で絶えず培地のpHを中性に保っ
た。この前培養液(種)を、前記と同様にしてグルコー
スが2.5%になるように調製した生産培地550m
を含む2容振盪フラスコ4本に2%(V/V)ずつ無
菌的に接種し、6N水酸化ナトリウム水溶液で絶えず培
地のpHを中性に維持しながら37℃で17時間振盪培養
した。途中、3本のフラスコについて、アセトイン並び
に予め水酸化ナトリウム水溶液でpH7.5に調整して
0.45μメンブランフィルターで無菌過した、グル
コサミン塩酸塩の濃縮液及びピルビン酸ナトリウムの濃
縮液をそれぞれ培地当りの終濃度が0.5%、1.0
%、0.5%になるように培養開始4時間目及びその後
2〜3時間間隔で2回の計3回に分けて添加した。
培養終了後、各々の培養液に塩化ナトリウム1モル及び
塩化ベンザルコニウム1000ppmを添加して殺菌した
後、培養液を過した。液に1.2倍量の98%エタ
ノールを加え、生じた沈殿物を分取し、エタノールで洗
浄後、乾燥した。乾燥物の収量は、培養液1当り、ア
セトイン、グルコサミン塩酸塩、ピルビン酸ナトリウム
の添加例及び増強剤無添加例(対照)でそれぞれ1.6
g、2.0g、2.1g、1.1gであり、カルバゾー
ル硫酸法でウロン酸含量を定量し、HA含量として算出
したところ、それぞれ99.2%、101.0%、10
0.2%、100.8%であった。また、これらの乾燥
物をセルロースアセテート膜電気泳動(0.15Mピリ
ジン−ギ酸,pH3.0,0.5mA/cmの条件で30分間
泳動;アルシアンブルーで染色)に付したところ、標準
HAと同位置に単一バンドを示し、これらの物質がHA
であることを確認した。
実施例3 ストレプトコッカス・ズーエピデミカス60001株
(微工研菌寄第8673号)、同60019株(微工研
菌寄第8674号)及びストレプトコッカス・エキ(I
ID679号)をそれぞれウマ血液寒天培地に接種し、
37℃で1晩培養した。これらの菌について実施例2と
同様に種培養を行い、この種を酵母エキス0.50%、
ペプトン0.75%、亜硫酸ナリウム0.02%、グル
コース2.5%、粉末炭酸カルシウム5%(pH7.5)
からなる生産培地100mを含む500m容振盪フ
ラスコに2%(V/V)ずつ無菌的に接種し、37℃で
20時間振盪培養した。増強剤は実施例2と同様に調製
し、アセトイン、グルコサミン塩酸塩、ピルビン酸ナト
リウムを各々0.5%、培養開始時に添加した。培養終
了後、培養液を遠心分離して得た上清液に1.2倍量の
98%エタノールを加え、生じた沈殿物を分取した。沈
殿物のHA含量をカルバゾール硫酸法にて定量し、培養
液当りのHA産生量を算出したところ、表2のとおりで
あった。
[発明の効果] 本発明によれば、微生物由来のHAを高収率で製造する
ことができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒアルロン酸産生菌を糖質含有培地で培養
    し、培養物からヒアルロン酸を採取するヒアルロン酸の
    製造法において、該培地中にグルコサミン又はその塩、
    ピルビン酸又はその塩及びアセトインからなる群から選
    ばれる少なくとも1種を添加することを特徴とするヒア
    ルロン酸の製造法。
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