JPH0693044A - マレイミド系共重合体、その製造方法およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

マレイミド系共重合体、その製造方法およびそれを含む熱可塑性樹脂組成物

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JPH0693044A
JPH0693044A JP24382392A JP24382392A JPH0693044A JP H0693044 A JPH0693044 A JP H0693044A JP 24382392 A JP24382392 A JP 24382392A JP 24382392 A JP24382392 A JP 24382392A JP H0693044 A JPH0693044 A JP H0693044A
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和親 藤岡
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一秀 黒田
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稔 山口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 下式で表される化合物Xの含有量がマレイミ
ド系共重合体の物性に悪影響を与えない範囲内に調節さ
れているマレイミド系共重合体を提供する。 【構成】 このような共重合体は、芳香族ビニル系単量
体単位およびマレイミド系単量体単位を必須構成単位と
し、構造中のマレイミド系単量体単位の比率yが35〜
65wt%であり、化合物Xの含有量が3wt%以下でかつ
0.06yの数値を超えないものである。このような共
重合体は、芳香族ビニル系単量体とマレイミド系単量体
とを別々にした状態で予め混合することなく反応器中に
徐々に供給しながらラジカル共重合させることにより作
られる。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、芳香族ビニル系単量
体とマレイミド系単量体の共重合の際にディールスアル
ダー反応を経由して生成する副生物の含有量が少ないこ
とにより、耐熱性および耐衝撃性が高く、成形性および
熱安定性に優れたマレイミド系共重合体に関する。
【0002】この発明は、芳香族ビニル系単量体とマレ
イミド系単量体の共重合の際に、芳香族ビニル系単量体
とマレイミド系単量体のディールスアルダー反応を経由
して副生する化合物(X)の生成量を抑えたマレイミド
系共重合体の製造方法に関する。この発明は、そのよう
なマレイミド系共重合体を他の熱可塑性樹脂に配合して
耐熱性等の諸性質を改良した熱可塑性樹脂組成物に関す
る。
【0003】
【従来の技術】マレイミド系共重合体は、高い熱変形温
度と熱分解温度を有する熱可塑性樹脂であることが知ら
れており、一般に、他の熱可塑性樹脂を利用した製品の
耐熱性、耐衝撃性および成形性を向上させるために使用
される。マレイミド系共重合体は、通常、マレイミド系
単量体と芳香族ビニル系単量体、ならびに、必要に応じ
て他の単量体を共重合することにより製造される。
【0004】マレイミド系共重合体は、構造中のマレイ
ミド系単量体単位の比率によって物性が左右され、その
比率が低いと耐熱性が低いため樹脂組成物に充分な耐熱
性を付与できないおそれがあり、その比率が高すぎると
成形加工性が悪くなるとともに耐衝撃性が低下するおそ
れがある。マレイミド系単量体単位の比率が比較的少な
い共重合体は、一般に、乳化重合法や懸濁重合法により
合成されている。乳化重合法によれば、マレイミド系単
量体単位の比率が高いマレイミド系共重合体は軟化しに
くいため乳濁液からの回収が非常に困難であるので、マ
レイミド系単量体単位の比率の低い共重合体が製造され
ている。このような乳化重合法によって得られた共重合
体は残存乳化剤等の影響により耐衝撃性が悪く、成形時
に着色が著しいので好ましくない。懸濁重合法では、芳
香族ビニル系単量体とマレイミド系単量体とが交互共重
合しやすく、マレイミド系単量体単位の比率の高い共重
合体を得ようとすると不均質な共重合体が生成しやす
い。溶液重合法やバルク重合法においても熟成反応によ
り未反応マレイミド系単量体を低減した共重合体や特定
の重合方法により分子量区分ごとの組成分布が狭く、未
反応マレイミド系単量体が少ない重合体を得るために種
々の検討がなされている(特開平2−51514号公
報、特開平3−205411号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】マレイミド系共重合体
にマレイミド系単量体が残留していると、この単量体が
成形品の着色や金型汚染の原因になりやすく、しかも、
耐熱性の低下をもたらす。このため、未反応のマレイミ
ド系単量体の残留量を減らすために種々の処置が施され
ている。
【0006】マレイミド系単量体単位の比率が多く、樹
脂改質剤に有用なマレイミド系共重合体を得るために
は、懸濁重合法や溶液重合法が採用されているが、重合
後、未反応単量体を除去しても耐熱性や耐衝撃性等の物
性が低い共重合体が生成する。このような共重合体を用
いた樹脂製品は、機械強度および耐熱性の向上が十分に
なされない。
【0007】発明者らの研究によれば、マレイミド系単
量体と芳香族ビニル系単量体とのラジカル重合を行って
マレイミド系共重合体を作る場合、マレイミド系単量体
と芳香族ビニル系単量体のディールスアルダー反応を経
由して化合物(X)が副生することがわかった。たとえ
ば、N−フェニルマレイミドとスチレンの反応経路は、
以下のようなものであると発明者らは推測している。マ
レイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体とが下記(I
I)式で表されるようにディールスアルダー反応して中
間生成物を作り、この中間生成物が下記(III)式で表さ
れるようにさらに別のマレイミド系単量体と反応して化
合物(X)を作る。
【0008】
【化3】
【0009】
【化4】
【0010】発明者らは、この化合物(X)がマレイミ
ド系共重合体の特性にどのような影響を与えるかを研究
した結果、マレイミド系共重合体が化合物(X)を含ん
でいると、マレイミド系共重合体の耐熱性が低下すると
ともに耐衝撃性が低下することを見いだした。重合に用
いるマレイミド系単量体の量を高くするほど化合物
(X)の生成速度が速くなるため、マレイミド系単量体
単位の比率の高いマレイミド系共重合体は化合物(X)
の含有量も高くなる傾向を示す。
【0011】このため、化合物(X)の含有量の低いマ
レイミド系共重合体を得ることが必要である。化合物
(X)は未反応単量体の除去の際に除去されず残留する
ので、共重合体の化合物(X)含有量を低くするために
は何らかの新規な方法を考え出す必要がある。
【0012】発明者らは、生産性を低下させず、また、
共重合体の組成分布や分子量分布を拡大させないという
観点から、重合時に化合物(X)の副生量ができるだけ
少なくなるようにする重合方法を検討した。この発明
は、化合物(X)の含有量がマレイミド系共重合体の物
性に悪影響を与えない範囲内に調節され、かつ、残留す
る揮発性成分量が低いマレイミド系共重合体を提供する
ことを課題とする。
【0013】この発明は、そのようなマレイミド系共重
合体を重合により直接作ることができる方法を提供する
ことを課題とする。この発明は、そのようなマレイミド
系共重合体を他の熱可塑性樹脂に添加することにより、
耐熱性、成形性および耐衝撃性がすべて改善された熱可
塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記課題を
解決するために、芳香族ビニル系単量体単位(A)およ
びマレイミド系単量体単位(B)を必須構成単位とし、
構造中のマレイミド系単量体単位(B)の比率yが35
〜65wt%であり、揮発性成分の含有量が1000pp
m以下であるマレイミド系共重合体であって、下記一般
式(I)で示される化合物(X)の含有量xが3wt%以
下でかつ0.06yの数値を超えないことを特徴とする
マレイミド系共重合体を提供する。
【0015】
【化5】
【0016】この発明は、上記課題を解決するために、
芳香族ビニル系単量体(a)とマレイミド系単量体
(b)を有機溶媒中でラジカル共重合させることによ
り、芳香族ビニル系単量体単位(A)とマレイミド系単
量体単位(B)を必須構成単位とするマレイミド系共重
合体を製造する方法において、単量体(a)と単量体
(b)とを別々にした状態で予め混合することなく、反
応器中に徐々に供給しながら重合反応を行うことを特徴
とするマレイミド系共重合体の製造方法を提供する。
【0017】この発明の製造方法によれば、重合後、該
共重合体を含む反応液から揮発性成分を除去することに
より、芳香族ビニル系単量体単位(A)およびマレイミ
ド系単量体単位(B)を必須構成単位とし、構造中のマ
レイミド系単量体単位(B)の比率yが35〜65wt%
で、揮発性成分の含有量が1000ppm以下であり、
上記一般式(I)で示される化合物(X)の含有量xが
3wt%以下でかつ0.06yの数値を超えないマレイミ
ド系共重合体を得ることができる。
【0018】この発明の製造方法によれば、単量体
(a)および(b)と共重合可能な他の単量体(c)を
共重合させることができる。この発明は、上記課題を解
決するために、この発明のマレイミド系共重合体と、マ
レイミド系共重合体以外の熱可塑性樹脂を主成分として
含む熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0019】マレイミド系共重合体は、芳香族ビニル系
単量体単位(A)およびマレイミド系単量体単位(B)
を必須構成単位とし、必要に応じて含まれるその他の単
量体単位(C)が規則的または不規則に直鎖状に結合し
てなる構造を有し、この発明では重量平均分子量が好ま
しくは5万〜50万の範囲内に、より好ましくは5万〜
30万の範囲内にあるものである。前記重量平均分子量
は、後述の実施例におけるやり方に従って測定されたも
のである。単量体単位(A)、(B)および(C)はそ
れぞれ単量体(a)、(b)および(c)から導かれ
る。
【0020】マレイミド系共重合体構造中の単量体単位
(B)の比率yは、35〜65wt%である必要があり、
40〜65wt%の範囲が好ましい。単量体単位(B)の
比率が前記範囲内だと共重合体が耐熱性および熱安定性
に優れ、樹脂改質剤に有用であるが、前記範囲を下回る
と共重合体が樹脂組成物に充分な耐熱性を付与すること
ができず、前記範囲を上回ると共重合体の加工性が悪い
上に耐衝撃性が低い。
【0021】マレイミド系共重合体構造中の単量体単位
(A)の比率は35〜65wt%が好ましく、35〜60
wt%がより好ましい。前記範囲内だと加工性、吸湿性お
よび耐衝撃性が良好であるが、前記範囲を下回ると加工
性または耐衝撃性が低く、前記範囲を上回ると耐熱性が
低いとともに熱可塑性樹脂と配合する際の相溶性が低い
ことがある。
【0022】マレイミド系共重合体構造中の単量体単位
(C)の比率は0〜30wt%、好ましくは0〜25wt%
である。前記範囲内であると加工性、耐衝撃性または耐
熱性を損なうことなく、反応性、相溶性または耐溶剤性
などの性質を付与することができるが、前記比率を超え
ると加工性、耐衝撃性または耐熱性等の物性のバランス
が得られにくい。
【0023】この発明のマレイミド系共重合体は、上記
一般式(I)で示される化合物(X)の含有量xが3wt
%以下でかつ0.06yの数値を超えないものである。
好ましくは含有量xが0.06y−1の数値を超えない
共重合体である。このことは、化合物(X)がマレイミ
ド系単量体(B)の含有量の増大とともに生成しやすく
なるが、単量体(B)の含有量yに対して一定の割合以
下にする必要があるということを示している。共重合体
は、化合物(X)含有量がx≦0.06y、かつ、x≦
3の関係式を満足することにより、構造中のマレイミド
系単量体単位(B)が35〜65wt%と高比率で樹脂改
質剤に有用であり、かつ、物性のバランスに優れたもの
となる。その関係式を満足していないと、マレイミド系
単量体(b)のうち共重合体を構成する単量体単位
(B)として耐熱性の向上に寄与する割合が低下するだ
けでなく、マレイミド系単量体(b)から誘導される化
合物(X)の影響によって耐熱性、耐衝撃性が著しく低
下する。
【0024】この発明のマレイミド系共重合体は、揮発
性成分の総量が1000ppm以下でなくてはならな
い。揮発性成分が1000ppmを超えて多く含有され
る場合には共重合体が耐熱性に劣り、また、該共重合体
を用いて成形する際にシルバーストリークが発生し、良
好な成形品が得られない。揮発性成分とは、重合反応に
用いる各単量体および有機溶媒が挙げられる。
【0025】この発明のマレイミド系共重合体の製造方
法は、重合時の化合物(X)の生成量を低く抑えること
ができるので、この発明の製造方法によれば、重合反応
中に使用する有機溶媒以外にさらに別の溶媒を用いて溶
解と沈澱を繰り返すといった化合物(X)除去のための
精製工程が不要であり、耐熱性、耐衝撃性および成形性
に優れたこの発明の共重合体を効率良く得ることができ
る。
【0026】この発明で用いられる単量体(a)は、下
式:
【0027】
【化6】
【0028】で表される化合物であり、たとえば、スチ
レン(以下、「St」と言うことがある);o−メチル
スチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン
(o−,m−,p−メチルスチレンをビニルトルエンと
も言う)、1,3−ジメチルスチレン、2,4−ジメチ
ルスチレン、エチルスチレン、p−第3級ブチルスチレ
ンなどのアルキルスチレン;α−メチルスチレン、α−
エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン;ビ
ニルナフタレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチ
レン、p−クロロスチレン、2,4−ジブロモスチレン
などのハロゲン化スチレン;2−メチル−4−クロロス
チレンなどのハロゲン化アルキルスチレン等が挙げら
れ、これらのうちの1種または2種以上を使用すること
ができる。生産性および物性のバランスの点からは、特
に、スチレンおよびα−メチルスチレンから選ばれる少
なくとも1つを用いるのが望ましい。なお、芳香族ビニ
ル系単量体を用いずに脂肪族ビニル系単量体を用いる
と、単量体の反応性が低く、また得られた共重合体の耐
熱性が低く、かつ吸湿性が大きい。
【0029】この発明で用いられる単量体(b)は、下
式:
【0030】
【化7】
【0031】で表される化合物であり、たとえば、マレ
イミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイ
ミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミ
ド、N−ターシャリブチルマレイミド、N−シクロヘキ
シルマレイミド(以下、「CHMI」と言うことがあ
る)、N−フェニルマレイミド(以下、「PMI」と言
うことがある)、N−クロルフェニルマレイミド、N−
メチルフェニルマレイミド、N−ブロモフェニルマレイ
ミド、N−ナフチルマレイミド、N−ラウリルマレイミ
ド、2−ヒドロキシエチルマレイミド、N−ヒドロキシ
フェニルマレイミド、N−メトキシフェニルマレイミ
ド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−ニトロフ
ェニルマレイミド等を挙げることができ、これらのうち
の1種または2種以上を使用することができる。特に、
フェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミドの
一方または両方を用いるのが、入手しやすいとともに耐
熱性に優れた共重合体が得られるので好ましい。
【0032】この発明では、必要に応じて、単量体
(a)および単量体(b)と共重合可能なその他の単量
体(c)を用いることができる。単量体(c)は、単量
体(a)および単量体(b)以外の、エチレン性不飽和
結合を持つ化合物であり、たとえば、耐衝撃性、耐溶剤
性、相溶性を向上させるという目的で使用される。単量
体(c)としては、たとえば、アクリロニトリル(以
下、「AN」と言うことがある)、メタクリロニトリ
ル、エタクリロニトリル、フェニルアクリロニトリル等
の不飽和ニトリル類;シクロアルキル基およびベンジル
基を含む、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メ
タ)アクリル酸エステル(たとえば、(メタ)アクリル
酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリ
ル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)
アクリル酸ターシャリブチル、(メタ)アクリル酸アミ
ル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル
酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、
(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリ
ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アク
リル酸ベンジル等);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエ
チル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、ポリエ
チレングリコール(メタ)アクリレート;エチレン、プ
ロピレン、イソブチレン、ジイソブチレン等のオレフィ
ン類;ブタジエン、イソプレン等のジエン類;塩化ビニ
ル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハ
ロゲン化ビニル類;メチルビニルエーテル、ブチルビニ
ルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピ
オン酸ビニル等の飽和モノカルボン酸のビニルエステル
類;酢酸アリル、プロピオン酸アリル等の飽和脂肪族モ
ノカルボン酸のアリルエステル類またはメタリルエステ
ル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニル
ベンゼン、ジアリルフタレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテ
トラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレ
ンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジメ
タクリレート、ハロゲン化ビスフェノールAのエチレン
オキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物のジ(メ
タ)アクリレート、イソシアヌレートのトリ(メタ)ア
クリレート、イソシアヌレートのエチレンオキサイドま
たはプロピレンオキサイド付加物のジまたはトリ(メ
タ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート類;ト
リアリルイソシアヌレート等の多価アリレート類;グリ
シジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテ
ル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フ
マル酸あるいはこれらの半エステル化物等が挙げられ、
目的に応じて1種または2種以上が用いられるが、それ
らの種類および使用量はこの発明の目的を逸脱しない範
囲で選択すればよい。
【0033】構造中のマレイミド系単量体単位(B)の
比率が35〜65wt%であるマレイミド系共重合体を得
るためには、マレイミド系単量体(b)の使用量は好ま
しくは20〜60wt%である。単量体(c)の使用量
は、好ましくは0〜30wt%、より好ましくは0〜20
wt%である。単量体(a)、(b)および(c)の合計
量は100wt%である。
【0034】単量体(b)の使用量が上記範囲を上回る
と生成するマレイミド系共重合体の成形加工性が悪くな
るとともに耐衝撃性が低下するおそれがあり、下回ると
マレイミド系共重合体が樹脂組成物に充分な耐熱性を付
与することができなくなるおそれがある。単量体(c)
の使用量が上記範囲を上回ると、生成するマレイミド系
共重合体の加工性や耐衝撃性等における物性のバランス
が得られにくくなるおそれがある。
【0035】この発明の製造方法では、単量体(a)と
単量体(b)とを別々にした状態で予め混合することな
く、反応器中に徐々に供給しながら重合を行う。すなわ
ち、単量体(a)の全量のうちの一部を反応器中に仕込
み、単量体(a)の残量と単量体(b)の全量とを別々
にした状態で予め混合することなくこの反応器中に徐々
に供給しながら重合を行ったり;単量体(b)の全量の
うちの一部を反応器中に仕込み、単量体(a)の全量と
単量体(b)の残量とを別々にした状態で予め混合する
ことなくこの反応器中に徐々に供給しながら重合を行っ
たり;あるいは、溶剤を反応器中に仕込み、単量体
(a)の全量と単量体(b)の全量とを別々にした状態
で予め混合することなくこの反応器中に徐々に供給しな
がら重合を行ったりするのである。単量体を反応器中に
徐々に供給するのは、反応器中における各単量体の濃度
比の変化を少なくし、得られる共重合体の組成分布が少
ないものにすることにより物性バランスがさらに向上し
やすいからである。このようにして単量体の供給を続け
ながら単量体の重合を行い、マレイミド系共重合体を生
成させるのである。ここで、単量体を徐々に供給する方
法は特に制限はなく、たとえば、均一速度で滴下した
り、重合時の反応混合物中の単量体組成をモニタリング
しながら滴下速度をコントロールしたりするなどのやり
方が採用される。
【0036】前記単量体の全量のうちの一部とは、好ま
しくは10〜80wt%、より好ましくは10〜50wt%
である。単量体の全量のうちの一部が前記範囲内だと反
応混合物中の単量体(a)の濃度が高くなりすぎず、化
合物(X)の生成速度を一定範囲に抑えることができる
が、前記範囲を下回ると重合速度が遅くなり、生産性が
低下するとともにマレイミド系共重合体中の化合物
(X)の含有量xが増大するおそれがあり、前記範囲を
上回るとマレイミド系単量体(b)の供給速度を速くす
ることによって共重合体構造中の単量体単位の比率をコ
ントロールすることができるが重合速度が増加し発熱を
抑えるために過大な冷却能力が必要となるとともに化合
物(X)の生成量が増大するおそれがある。
【0037】単量体(c)の供給方法は、単量体(a)
および(b)とは別々にした状態で徐々に供給したり、
単量体(a)または(b)と混合して供給したり、予め
単量体(c)の全量の一部を反応器に仕込んでおき残量
を徐々に供給したりしてもよく、特に限定はない。通常
のごとく、使用する単量体(c)の共重合性を考慮して
初期仕込み分と徐々に供給する分との割り振りを設定す
れば共重合体構造中に均質に存在させることができる。
【0038】単量体は、液体である場合にはそのまま、
反応器中に仕込んだり、反応器中に徐々に供給したりし
てもよいが、有機溶媒に溶解させて供給してもよい。単
量体(b)が常温で固体の場合には必要に応じて溶融さ
せるかまたは有機溶媒に溶解し、好ましくは40〜12
0℃、より好ましくは50〜100℃に保ちながら単量
体(b)の濃度が40〜100wt%となるような状態で
単量体(a)と混合することなく徐々に供給するのが好
ましい。前記温度範囲を下回ると有機溶媒への溶解度が
低いことがあり、上回ると保存安定性が悪くなることが
ある。
【0039】有機溶媒を使用するときには、原材料の全
重量に対して、たとえば、有機溶媒30〜70wt%の範
囲が好ましい。使用される溶媒は、単量体が溶解しうる
ものであればよく、トルエン(以下、「Tol」と言う
ことがある)、ベンゼンなどの芳香族溶媒;メチルエチ
ルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル
類;クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;ジメチル
フォルムアミド;ジメチルアセトアミド;ジメチルスル
フォキシドなどの極性を有する有機溶媒等が使用され
る。溶媒は、経済性および常温での取扱いやすさを考慮
してトルエンまたはメチルエチルケトンが好ましい。6
0〜140℃の沸点を有する溶媒は共重合体中に揮発性
成分として残留しにくいので好ましい。
【0040】溶媒は、反応器中における溶媒と単量体
(a)の合計量1に対して0.6〜0.98の重量比と
なるように使用するのが好ましい。これは、構造中のマ
レイミド系単量体単位(B)の比率が35〜65wt%で
あるマレイミド系共重合体を得るのに好都合だからであ
り、さらに化合物(X)の生成を抑えるのにも適してい
るからである。溶媒/〔溶媒+単量体(a)〕の重量比
が0.6を下回ると反応混合物の溶液粘度が上昇した
り、攪拌不良が生じることにより組成分布が広くなった
りすることがあり、さらに化合物(X)の比率が増大し
物性に好ましくない影響を与えることがあり、0.98
を上回ると単量体(a)の比率が低くなるため反応速度
が低下することがある。
【0041】マレイミド系共重合体の組成は、反応混合
物中の単量体モル比(b)/(a)によって決定され
る。すなわち、この単量体モル比が大きいほどマレイミ
ド系単量体単位(B)の含有量が高いマレイミド系共重
合体が生成する。このため、単量体単位(B)の含有量
の大きい共重合体を製造する場合、残留する単量体
(b)の量も多くなる。このような場合には、有機溶媒
を多く用いることにより、単量体の供給終了時点での単
量体(b)の残留量を低下させておくのがよい。
【0042】この発明では、反応混合物に重合開始剤、
連鎖移動剤などを存在させてもよい。重合開始剤として
は、たとえば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブ
チルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテー
ト、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチル
パーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エ
チルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレー
ト、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパ
ーオキシイソプロピルカーボネートなどの過酸化物;ア
ゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニ
トリル、アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル
などのアゾ化合物など、通常のラジカル重合に用いられ
る化合物が通常の使用量で使用される。重合開始剤は、
その全量を反応器に予め仕込んでおいてもよいし、反応
時に供給するようにしてもよい。
【0043】この発明では、重合反応時は不活性ガスな
どにより反応混合物内の溶存酸素を除去して重合を行
う。これは、酸素が重合禁止剤として作用するからであ
る。重合は、たとえば、温度60〜200℃で1〜20
時間行う。重合転化率は、使用する全単量体に対して、
たとえば50〜95wt%となるようにするのが好まし
い。単量体のすべてを徐々に供給し終わった後、必要に
応じてそのままの温度・雰囲気でまたはそれらの少なく
とも1つを適宜変えて重合反応を継続させてもよい。
【0044】上記のように反応したマレイミド系共重合
体を含む溶液は、上記一般式(I)で示される化合物
(X)のマレイミド系共重合体に対する比率が従来のマ
レイミド系共重合体よりも少ないので、反応を終えた
後、反応混合物をメタノール等の溶媒中に添加して重合
体を析出させ、濾過などにより液と分離した後、真空乾
燥等によって溶媒、未反応単量体等の揮発性成分を除去
し、マレイミド系共重合体を得たり、さらに、効率的に
は、ベント付きの2軸押出機を用いて脱揮を行うこと
で、耐熱性、耐衝撃性に優れたマレイミド系共重合体を
得ることができる。
【0045】上記のようにして製造されたマレイミド系
共重合体は、好ましくは、芳香族ビニル系単量体単位
(A)35〜65wt%、マレイミド系単量体単位(B)
35〜65wt%、および、その他の単量体単位(C)0
〜30wt%から構成されており、揮発性成分が1000
ppm以下であり、上記化合物(X)の含有量xが3wt
%以下でかつ0.06yの数値を超えないものである。
芳香族ビニル系単量体単位(A)、マレイミド系単量体
単位(B)およびその他の単量体単位(C)の配列は、
ランダムであっても、ブロック部分を有していてもかま
わない。
【0046】この発明の製造方法により得られたマレイ
ミド系共重合体は、たとえば、重量平均分子量5万〜5
0万、数平均分子量2万〜30万、温度260℃におけ
る粘度10,000〜10,000,000ポイズ、ガ
ラス転移温度150〜230℃という物性を有する。ま
た、この発明により得られるマレイミド系共重合体は、
高い耐熱性を持つとともに優れた成形性(流動性)も持
っていることから、他の1種類以上の熱可塑性樹脂と混
練し、樹脂組成物として用いることもできる。たとえ
ば、メチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート
−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン
テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、塩化ビニル樹脂、
塩素化塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹
脂、アクリロニトリル−メチルメタクリレート樹脂、ス
チレン−メタクリル酸樹脂、スチレン−メタクリル酸−
アクリロニトリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などの
改質剤として用いると、耐熱性が向上する。特に、AB
S樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹
脂)、MBS樹脂(メチルメタクリレート−ブタジエン
−スチレン樹脂)などに代表されるゴム変性樹脂や、ポ
リアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ
ブチレンテレフタレート樹脂等の結晶性樹脂との混和性
に優れている。2軸押出機などの装置を用い、通常の作
動条件で、これらの樹脂とマレイミド系共重合体の重量
比が10:90〜90:10の割合でブレンドすると、
これらの樹脂の特徴を損なうことなく耐熱性が向上し、
しかも成形加工性に優れた樹脂組成物となるので好まし
い。
【0047】上記の熱可塑性樹脂組成物は、マレイミド
系共重合体とその他の熱可塑性樹脂以外にも、必要に応
じてヒンダードフェノール系酸化防止剤やホスファイト
系安定剤を熱安定性の改良を目的に、ベンゾフェノン系
やヒンダードアミン系紫外線吸収剤を耐候性の改良に、
また、アミド系の滑剤や金属石鹸類を成形加工性改良を
目的として配合使用することができる。さらに炭酸カル
シウム、硫酸カルシウム、タルク、マイカ、ベントナイ
ト、ガラス繊維等の無機充填剤、難燃剤、帯電防止剤、
着色剤などの添加剤を配合することができる。これら
は、1または2以上を含有することができる。これらの
含有量は、必要に応じて適宜設定すればよい。
【0048】上記の熱可塑性樹脂組成物は、たとえば、
射出成形、押出成形、真空成形などの成形法により所定
の成形品を与えることができる。たとえば、コンソール
ボックス、スピーカーボックス、インスツルメントパネ
ル等の自動車内装部品、ホイルカバーやエアスポイラー
等の自動車外装部品、ワードプロセッサやパーソナルコ
ンピュータのハウジング等の電気・電子部品などに使用
される。
【0049】
【作用】芳香族ビニル系単量体単位(A)およびマレイ
ミド系単量体単位(B)を必須構成単位とし、構造中の
マレイミド系単量体単位(B)の比率yが35〜65wt
%であり、揮発性成分の含有量が1000ppm以下で
あるマレイミド系共重合体において、化合物(X)の含
有量xが3wt%以下でかつ0.06yの数値を超えない
ので、化合物(X)による耐熱性または耐衝撃性の低下
が防がれる。
【0050】単量体(a)と単量体(b)とを別々にし
た状態で予め混合することなく、反応器中に徐々に供給
してラジカル共重合させることにより、化合物(X)の
含有量の少ないマレイミド系共重合体を得ることができ
る。構造中のマレイミド系単量体単位(B)の比率yが
35〜65wt%であり、揮発性成分の含有量が1000
ppm以下であり、化合物(X)の含有量xが3wt%以
下でかつ0.06yの数値を超えないマレイミド系共重
合体を他の熱可塑性樹脂の性能改善に用いると、耐熱
性、成形性および耐衝撃性がすべて改善された熱可塑性
樹脂組成物が得られる。
【0051】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。
なお、特に断らない限り「部」は「重量部」、「%」は
「wt%」である。 (実施例1)コンデンサー、攪拌機および2つの滴下ロ
ートを備え、内容積30リットルの重合反応槽にスチレ
ン7.2部をトルエン36.5部に溶解してなる単量体
(a)溶液を仕込み、内部を窒素で置換した。
【0052】他方、スチレンの残量(17.5部)とt
−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.02
部を滴下槽(1)に仕込むとともに、フェニルマレイミ
ド23.3部をトルエン15.5部に溶解してなる単量
体(b)溶液を滴下槽(2)に仕込んだ。滴下槽(2)
はフェニルマレイミドが完全にトルエンに溶解し均一な
溶液にできる温度(ここでは60℃)に保った。
【0053】重合反応槽中の単量体(a)溶液を115
℃に昇温しt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネ
ート0.01部を添加して重合を開始した。この重合の
始まった単量体(a)溶液に対して滴下槽(1)中のス
チレンの全量と滴下槽(2)中のフェニルマレイミド溶
液の全量とを別々の滴下ロートから3.5時間にわたっ
て均一な速度で滴下して重合を行い、さらに滴下終了後
に1.5時間そのまま加熱をすることで熟成を行い、生
成したマレイミド系共重合体を含む反応液を得た。
【0054】その後、反応液をあらかじめ加温して、直
径65mmのベント付き二軸押出機に導入し、樹脂温度2
70〜300℃、真空度20Torrで操作し、ペレット状
でマレイミド系共重合体を得た。 (実施例2〜6および比較例1〜3)重合反応槽、滴下
槽(1)および滴下槽(2)への仕込み、滴下槽(2)
中の温度、ならびに、重合温度を表1に示すように変え
たこと以外は実施例1と同様にして、マレイミド系共重
合体を得た。
【0055】比較例1では、スチレンの全量を予め重合
反応槽に仕込み、この反応槽中のスチレンに対してフェ
ニルマレイミドの全量を滴下により徐々に供給しながら
重合を行った。比較例2では、滴下しようとするスチレ
ンを、滴下しようとするフェニルマレイミドと予め混合
しておき、この混合物を、予め重合反応槽に仕込んでお
いたスチレンに対して滴下により徐々に供給しながら重
合を行った。
【0056】比較例3では、スチレンの全量とフェニル
マレイミドの全量を予め混合しておき、この混合物を、
予め重合反応槽に仕込んでおいた溶媒に対して滴下によ
り徐々に供給しながら重合を行った。
【0057】
【表1】
【0058】実施例および比較例において重合終了時
(熟成を行った場合は熟成終了時)の反応液の組成をガ
スクロマトグラフィーで測定した。その結果を表2に示
した。
【0059】
【表2】
【0060】上記実施例および比較例で最終的に得られ
たマレイミド系共重合体について、共重合体構造中の単
量体単位の種類と比率、共重合体の重量平均分子量、化
合物(X)の含有量、残存揮発性成分量を表3に示し
た。共重合体構造中の単量体単位の種類と比率は、赤外
吸収スペクトル、 1H−NMR、元素分析により決定し
た。
【0061】共重合体の重量平均分子量は、溶離液にテ
トラヒドロフラン(THF)を用い、ゲル浸透クロマト
グラフィー(GPC)により測定した分子量を標準ポリ
スチレンにより検定した値で示した。化合物(X)の含
有量xは、GPC測定により共重合体と化合物(X)と
を分離し各々の面積比から求めた。検量線は、共重合体
に化合物(X)を既知量添加して作成したものを用い
た。
【0062】マレイミド系共重合体が含有している化合
物(X)の分子構造式を示すとともに、化合物(X)含
有量xがマレイミド系共重合体構造中のマレイミド系単
量体単位(B)の比率yと、x≦0.06yかつx≦3
の関係式を満足するか否かも示した。化合物(X)の分
子構造は、THFを溶離液としてGPCカラムを用いて
化合物(X)を分離して濃縮乾燥し、赤外スペクトル、
1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトル、F
D−MASS(電解脱離質量分析)スペクトルにより下
記分子構造式(IV)〜(V)で表されることを確認し
た。
【0063】
【化8】
【0064】
【化9】
【0065】残存揮発性成分量は、得られたマレイミド
系共重合体をクロロホルムに溶解し、溶媒、芳香族ビニ
ル系単量体(a)、マレイミド系単量体(b)、その他
の単量体(c)をガスクロマトグラフィーで定量した。
【0066】
【表3】
【0067】実施例および比較例で得られた各共重合体
の耐熱性、耐衝撃性、成形性を調べ、結果を表4に示し
た。耐熱性は、ガラス転移温度と荷重たわみ温度で示し
た。ガラス転移温度は、窒素気流下、α−アルミナをリ
ファレンスとして昇温速度5℃/分で測定したマレイミ
ド系共重合体のDSC曲線から求められた。荷重たわみ
温度は、シリンダー温度を280℃に設定して射出成形
を行って得たマレイミド系共重合体の試験片(厚み3m
m)をJIS K−7207に基づいて荷重18.5kg
f/cm2 で測定された。これらの数値が大きいほど耐熱
性が優れている。
【0068】耐衝撃性は、耐熱性の測定のために作製し
た試験片と同様にして作製した試験片(厚み3mm)にJ
IS K−7110に基づきアイゾット衝撃試験を施
し、アイゾット衝撃値で示した。この数値が大きいほど
耐衝撃性が優れている。成形性は、成形品の色を肉眼で
観察した。
【0069】
【表4】
【0070】表2〜4にみるように、化合物(X)は未
反応単量体や溶媒のような揮発性成分の除去操作ではほ
とんど除去されず、マレイミド系共重合体に残留する。
原料配合が全く同じ実施例と比較例とを対比すると、単
量体(a)と(b)とを別々にした状態で予め混合する
ことなく、反応器中に徐々に供給して重合した実施例で
は化合物(X)の生成量が少ないが、単量体(a)と
(b)を予め混合したり、あるいは、反応器に予め仕込
んでおいた一方の単量体に対して他方の単量体を徐々に
供給したりした比較例では化合物(X)の生成量が多く
共重合体の性能に悪影響を与えている。実施例の共重合
体の中でも、共重合体構造中の単量体単位(B)の比率
yが35〜65%の範囲内にあり、化合物(X)含有量
xが3wt%以下でかつ0.06yの数値を超えていない
共重合体は、xが3wt%超であるかまたは0.06yの
値を超えているものに比べて耐熱性および耐衝撃性に優
れている。
【0071】(実施例7および8)コンデンサー、攪拌
機および2つの滴下ロートを備えた重合反応槽に表5に
示した組成の初期仕込み単量体および溶媒を仕込み、十
分溶解し、内部を窒素で置換した。重合反応槽内部を表
5に示した温度に昇温し、初期重合開始剤を加え、反応
を開始すると共に表5に示した2つの組成の滴下原料混
合物IおよびIIを別々の滴下ロートから表5に示す時間
にわたって均一に滴下して、重合を行った。滴下終了時
の反応液組成、重合転化率と共重合体構造を表6に示し
た。滴下終了後、表7に示した条件で熟成を行って、マ
レイミド系共重合体を含む反応液を得た。表7中、酸素
の有無欄が「有」の場合には、空気と窒素を体積比1:
4の割合で混合した混合気体を毎分、反応槽の1/5の
体積量で反応液中にバブリングした。熟成終了時の反応
液組成、重合転化率、共重合体の構造、および、熟成前
後のマレイミド系単量体単位(B)(ここではN−フェ
ニルマレイミド単位)含有量変化率(下式による)を表
8に示した。
【0072】
【数1】
【0073】得られた反応液は、44mm径のベント付2
軸押出機を用い、共重合体の温度が270〜300℃、
真空度が20Torrで操作し、ペレット状のマレイミド系
共重合体を得た。上記実施例7,8で得られた各ペレッ
トを表5に示す溶媒に溶解し、ガスクロマトグラフィー
で揮発分を測定したところ、揮発分はペレット中に0.
5重量%以下に低減していた。滴下終了時および熟成終
了時の反応液組成は、反応液の一部をサンプリングし、
ガスクロマトグラフィーにより未反応単量体量と溶媒量
を測定した。共重合体の組成は、単量体の仕込量と未反
応の単量体量から算出した。なお、表5中の化合物の略
号は次のとおりである。
【0074】ST:スチレン AN:アクリロニトリル PMI:N−フェニルマレイミド CHMI:N−シクロヘキシルマレイミド MEK:メチルエチルケトン Tol:トルエン PBO:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ
ート BIC:t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
ト 実施例7,8で得られた共重合体について、重量平均分
子量、化合物(X)の含有量とその分子構造式、ならび
に、0.06yと3.0のうちの小さい方の値を前記の
ようにして求め、それらを表8に示した。
【0075】実施例7,8で得られた共重合体のガラス
転移温度、着色性および透明性を次のようにして調べ
た。ガラス転移温度は、理学電気株式会社製のDSC−
8230を用い、窒素気流下でα−アルミナをリファレ
ンスとして昇温速度5℃/分で測定したDSC曲線から
中点法で求めた。着色性および透明性は、得られたペレ
ットを目視によって評価した。評価基準は次のとおりで
ある。結果を表8に示した。 〔着色性〕◎…微黄色 ○…淡黄色 ×…カッ色 〔透明性〕 ○…透明 ×…濁り
【0076】
【表5】
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】
【表8】
【0080】表5〜8にみるように、実施例7,8では
いずれも熟成によりマレイミド系単量体は、0.1%以
下に低減され、熟成の前後で共重合体の組成の変動も小
さかった。実施例7,8では、いずれもガラス転移温
度、透明性が高く、着色の少ないペレットが得られた。 (実施例9〜18および比較例4〜6)上記実施例1〜
4,6〜8および比較例1〜3で得られたマレイミド系
共重合体A−1〜A−4,A−6〜A−8およびB−1
〜B−3とその他の熱可塑性樹脂としてゴム変性樹脂で
あるABS樹脂(ブタジエン含有量40%、スチレン含
有量42%、アクリロニトリル含有量18%)およびA
S樹脂(アクリロニトリル−スチレン樹脂:アクリロニ
トリル含有量28%、スチレン含有量72%)を用い、
表9,10に示す配合で熱可塑性樹脂組成物を得た。
【0081】熱可塑性樹脂組成物は、2軸押出機を用い
てバレル温度240℃で混練しペレットにした。得られ
た各ペレットを用いて220℃で射出成形を行い、試験
片を得た。得られた試験片で上述の方法で荷重たわみ温
度とアイゾット衝撃値を測定し、色調を肉眼で判定し
た。結果を表9,10に示した。
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】表9,10にみるように、実施例9〜18
では、比較例に比べて、用いたマレイミド系共重合体の
化合物(X)含有量が少なく熱可塑性樹脂組成物の物性
が良い。また、共重合体中の単量体単位(B)の比率y
が35〜65%の範囲内で化合物(X)含有量xが0.
06y以下かつ3%以下のものは、その範囲外にあるも
のと比較して耐熱性と耐衝撃性に優れている。
【0085】(実施例19,20および比較例7)上記
実施例で得られたマレイミド系共重合体とその他の熱可
塑性樹脂として結晶性樹脂であるポリアミド(6−ナイ
ロン)を用い、表11に示す配合で熱可塑性樹脂組成物
を得た。熱可塑性樹脂組成物は、2軸押出機を用いてバ
レル温度280℃で混練しペレットにした。得られた各
ペレットを用いて成形板を作製し、上述の方法で荷重た
わみ温度とアイゾット衝撃値を測定し、色調を肉眼で判
定した。ヒケは成形板表面にできるくぼみを目視で観察
した。結果を表11に示した。
【0086】
【表11】
【0087】表11にみるように、共重合体中の単量体
単位(B)の比率yが35〜65%で化合物(X)が
0.06y以下かつ3%以下である実施例19,20の
共重合体は、その範囲外にある比較例のものと比べて耐
熱性と耐衝撃性に優れたものであった。
【0088】
【発明の効果】この発明のマレイミド系共重合体は、マ
レイミド系単量体と芳香族ビニル系単量体のディールス
アルダー反応を経由して生成した化合物(X)の含有量
がマレイミド系共重合体の物性に悪影響を与えない範囲
内に調節されているため、耐熱性および耐衝撃性に優れ
ている。
【0089】この発明の製造方法によれば、重合の際に
化合物(X)が生成しにくいので、耐熱性および耐衝撃
性に優れているマレイミド系共重合体を重合により直接
作ることができる。この発明の熱可塑性樹脂組成物は、
この発明のマレイミド系共重合体を含むので、耐熱性、
成形性および耐衝撃性がすべて改善されたものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 101/00 LSZ 7242−4J

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル系単量体単位(A)および
    マレイミド系単量体単位(B)を必須構成単位とし、構
    造中のマレイミド系単量体単位(B)の比率yが35〜
    65wt%であり、揮発性成分の含有量が1000ppm
    以下であるマレイミド系共重合体であって、下記一般式
    (I)で示される化合物(X)の含有量xが3wt%以下
    でかつ0.06yの数値を超えないことを特徴とするマ
    レイミド系共重合体。 【化1】
  2. 【請求項2】 芳香族ビニル系単量体(a)とマレイミ
    ド系単量体(b)を有機溶媒中でラジカル共重合させる
    ことにより、芳香族ビニル系単量体単位(A)とマレイ
    ミド系単量体単位(B)を必須構成単位とするマレイミ
    ド系共重合体を製造する方法において、単量体(a)と
    単量体(b)とを別々にした状態で予め混合することな
    く、反応器に徐々に供給しながら重合反応を行うことを
    特徴とするマレイミド系共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 重合により得られた反応液から揮発性成
    分を除去することにより、芳香族ビニル系単量体単位
    (A)およびマレイミド系単量体単位(B)を必須構成
    単位とし、構造中のマレイミド系単量体単位(B)の比
    率yが35〜65wt%であり、下記一般式(I)で示さ
    れる化合物(X)の含有量xが3wt%以下でかつ0.0
    6yの数値を超えず、揮発性成分の含有量が1000p
    pm以下であるマレイミド系共重合体を得る請求項2記
    載の製造方法。 【化2】
  4. 【請求項4】 単量体(b)が常温で固体状の化合物で
    あり、これを40〜120℃の温度で溶融するかまたは
    溶液にして供給する請求項2または3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のマレイミド系共重合体と
    それ以外の少なくとも1種類の熱可塑性樹脂からなる熱
    可塑性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 マレイミド系共重合体以外の熱可塑性樹
    脂がゴム変性樹脂である請求項5記載の熱可塑性樹脂組
    成物。
  7. 【請求項7】 マレイミド系共重合体以外の熱可塑性樹
    脂が結晶性樹脂である請求項5記載の熱可塑性樹脂組成
    物。
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