JPH07261436A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JPH07261436A
JPH07261436A JP6047239A JP4723994A JPH07261436A JP H07261436 A JPH07261436 A JP H07261436A JP 6047239 A JP6047239 A JP 6047239A JP 4723994 A JP4723994 A JP 4723994A JP H07261436 A JPH07261436 A JP H07261436A
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ray diffraction
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carrier
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昭 木下
Tomoko Suzuki
友子 鈴木
友男 ▲崎▼村
Tomoo Sakimura
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 高速の複写機、プリンタ、ファックス等に広
く用いることができる高感度な電子写真感光体を提供す
る。 【構成】 構造式(1)または(2)のイミダゾールペ
リレン化合物を含み、その感光体中における結晶状態が
Cu−Kα線に対するX線回折スペクトルの6.3±0.2
°、12.4±0.2°、25.3±0.2°、27.1±0.2°にピーク
を有する結晶で、12.4±0.2°のピーク強度が最大であ
ると同時に同ピークの半値幅が0.65゜以上であり、かつ
11.5±0.2°に明瞭なピークを示さない状態で存在させ、
キャリア輸送物質として構造式(3)の化合物を含有さ
せるものである。 式中、Ar1〜Ar4は芳香族炭化水素基または複素環基
を、R2は水素原子もしくは芳香族炭化水素基または複
素環基を表す。nは1もしくは2である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関する
ものであり、特にプリンタ、複写機等に有効な高感度の
感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真システムの感光体としては、セ
レン、硫化カドミウム等の無機光電導性物質を主成分と
する無機感光体と種々の有機光導電性化合物を主成分と
する有機感光体に大別することができる。従来、高速の
複写機用には感度特性に優れる無機感光体が用いられて
きたが、製造原料や製品化合物の毒性による制約が大き
く、また環境保護の観点からも近年は無害な有機感光体
に置き換えることの要請が強くなってきている。このよ
うな流れに基づいて有機感光体の高性能化の要求は強
く、特に高感度化のための技術開発は緊急の課題となっ
ている。
【0003】有機感光体の性能向上のために用いられる
最も一般的な方法は光キャリアの発生機能とキャリア輸
送機能を異なる物質に個別に分担させる機能分離の技術
である。キャリアの発生とキャリアの輸送を別々の物質
に担わせることにより、それぞれに適した物質を広い範
囲のものから選択することが可能となった。特に有機感
光体では化合物の種類が豊富であるためこのような機能
分離による高性能化において有利であり、多くのキャリ
ア発生物質及びキャリア輸送物質が提案されてきてい
る。
【0004】有機感光体のキャリア発生物質としては例
えば、ジブロムアンスアンスロンに代表される多環キノ
ン化合物や、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシ
アニン等のフタロシアニン化合物、ビスアゾ化合物やト
リスアゾ化合物、チアピリリウム化合物とポリカーボネ
ートとの共晶錯体、スクエアリウム化合物などが実用化
されてきた。またキャリア輸送物質としては例えば、ピ
ラゾリン化合物、ポリアリールアルカン化合物、トリフ
エニルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、テトラフエニ
ルベンジジン化合物、スチリル化合物などが実用化され
てきた。
【0005】なかでもキャリア発生物質の性能は直接に
感度特性を決定してしまうが、その基本機能であるとこ
ろの入射光を吸収して電子キャリアを生成させる能力
は、キャリア発生物質の分子構造に依存するばかりでな
くそれらの分子の集合形態によっても著しく影響され
る。例えば上記の無金属フタロシアニンやチタニルフタ
ロシアニンでは多くの結晶多形が知られており、分子構
造が同じでも結晶型が異なるとキャリア発生の量子効率
は全く異なるため、結果としての電子写真感度に大きな
差が見られる。無金属フタロシアニンのX型結晶やτ型
結晶はα型結晶やβ型結晶に比べて1オーダー大きい感
度を示すことやチタニルフタロシアニンのY型結晶がA
型結晶やB型結晶に比べて3〜4倍高い感度を示すこと
はよく知られたことである。同様にアゾ化合物やスクエ
アリウム化合物においても分子凝集構造の違いによって
感度が著しく変化する。
【0006】このようにキャリア発生物質の開発におい
ては化学構造の最適化と同様にその結晶構造或いは分子
凝集構造の最適化が不可欠な要素となっている。
【0007】本発明を構成する構造式(1)または
(2)のイミダゾールペリレン化合物は特公昭61-8423
号(米国特許3,972,717号)においてキャリア発生物質
として用いる技術が公開され、その後本化合物をキャリ
ア発生物質とした多くの電子写真感光体が検討されてき
ている。特開昭59-59686号には主として本化合物を分散
塗布して感光体を作製する技術が示され、特開昭61-275
848号(米国特許4,587,189号)、特開昭63-180956号、
特開昭63-291061号、特開平4-186363号、特開平4-18636
4号には本化合物と特定のキャリア輸送物質とを組み合
わせて用いる技術が示されている。また特開昭64-56444
号、特開平4-204850号にはアシッドペースト処理によっ
て本化合物を微粒化する技術が示されており、特公昭63
-41054号には本化合物を含むペリレン系化合物を昇華精
製して用いる技術が示されている。
【0008】しかしながら、これらの従来技術において
は本化合物の結晶状態に関する検討が行われていないた
めに十分な感度特性を引き出すことが出来ず、近年の高
感度化の要求に応えることができていない。
【0009】構造式(1)または(2)の化合物の結晶
型については、J.Imag.Sci.,vol.33,P151-159(1989)に
いくつかのX線回折スペクトルが開示されている。しか
しながらこれらは粉末結晶に関するものであり、本発明
者らの検討においてはこれらの粉末を用いて感光体塗布
液を調製した場合に、塗布液調製の条件や化学的純度に
依存して感光体塗布物のX線回折スペクトルが変化し、
同時に感光体特性も大きく変化することが明らかとなっ
た。
【0010】このような観点から特開平5-249719号及び
特開平5-281769号においては該化合物の結晶状態を制御
する技術が公開されている。これらの技術は乾式粉砕法
によって結晶状態を調節するものであるが、このような
乾式粉砕は局所的に強いせん断力がかかるため、粉砕の
均一化の点で問題があり電子写真画像に黒点を生じ易い
という欠点がある。また乾式粉砕は結晶粉末に対する機
械的衝撃が大きいために結晶欠陥が導入され易く、その
結果として帯電電位保持能の低下が起こる。このように
本化合物に対しては結晶制御技術がまだ不十分であり、
その性能が引き出されていない。
【0011】また一方でこのようなキャリア発生物質と
組み合わせて用いるキャリア輸送物質は感光体の性能を
決定する重要な要因となる。感度性能はもちろんのこと
電子写真感光体として使用するときに要求される感光層
の物性はキャリア輸送物質によって大きく変化する。特
開平5-249719号及び特開平5-281769号にはベンジジン系
のキャリア輸送物質を用いる技術が開示されているが、
この化合物を含有して作製した感光体は感光層の微視的
な亀裂(クラックと呼ぶ)を生じ易く、クラックに基づ
く画像欠陥が現れ易いという問題を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は高速の
複写機、プリンタ、ファックス等に広く用いることがで
きる高感度で画像安定性に優れた電子写真感光体を提供
することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記構
成によって達成される。
【0014】〔1〕 少なくとも構造式(1)または
(2)のイミダゾールペリレン化合物を含有する感光体
において、該イミダゾールペリレン化合物がCu−Kα
線に対するX線回折スペクトルの6.3±0.2°、12.4±0.
2°、25.3±0.2°、27.1±0.2°にピークを有する結晶
であって、12.4±0.2°のピーク強度が最大であると同
時に同ピークの半値幅が0.65゜以上であり、かつ11.5±
0.2°に明瞭なピークを示さない状態で存在することを
特徴とする電子写真感光体であり、
【0015】
【化5】
【0016】そしてさらに、構造式(3),(4),
(5)もしくは(6)で表される化合物をキャリア輸送
物質として用いることにより、感度特性及び画像安定性
に優れた感光体が得られるものである。なかでも、一般
式(3)のキャリア輸送物質を用いた場合は特に高感度
特性が得られる。
【0017】
【化6】
【0018】式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は置
換、無置換の芳香族炭化水素基または複素環基を表し、
2は水素原子もしくは置換、無置換の芳香族炭化水素
基または複素環基を表す。nは1もしくは2である。芳
香族炭化水素基または複素環基として好ましいのは、ベ
ンゼン、ナフタレン、アントラセン、チオフェン、ピリ
ジン、カルバゾールであり、特に好ましいのは、ベンゼ
ン、ナフタレンである。芳香族炭化水素基または複素環
基上の置換基としては、アルキル、アリール、アルコキ
シ、アリールオキシ、アシル、アシロキシ、ハロゲン、
アミノ、シアノ等が挙げられるが、特に好ましいのは、
炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜6のアルコキシ、
炭素数1〜6のアシル、ハロゲン、アミノである。ま
た、Ar4とR2は互いに結合していてもよい。
【0019】
【化7】
【0020】式中、R3、R4は置換、無置換の芳香族炭
化水素基、複素環基またはアルキル基を表し、R5は水
素原子もしくは置換、無置換の芳香族炭化水素基、複素
環基、アルキル基をを表し、Ar5は置換、無置換の芳
香族炭化水素基または複素環基を表す。mは0もしくは
1である。R3、R4の好ましいものとしては、メチル
基、エチル基、フェニル基、ナフチル基、チエニルメチ
ル基が挙げられる。R5としては、水素原子及びフェニ
ル基が好ましい。Ar5として好ましいのは、ベンゼ
ン、ナフタレン、ピレン、チオフェン、ピリジン、カル
バゾールであり、特に好ましいのは、ベンゼン、ピレ
ン、カルバゾールである。Ar5の置換基としては、炭
素数1〜6のアルキル、ジアルキルアミノ、ジアリール
アミノが好ましい。
【0021】
【化8】
【0022】式中、Yは置換、無置換のベンゼン、ナフ
タレン、ピレン、フルオレン、カルバゾール、及び4,
4′-アルキリデンジフェニル基を示す。Ar6、Ar7
置換、無置換の芳香族炭化水素基または複素環基を表
す。lは1〜3の整数である。
【0023】Y上の置換基としては炭素数1〜6のアル
キル基が好ましい。Ar6、Ar7としてはベンゼンが好
ましく、置換基としては炭素数1〜6のアルキル、アリ
ール、アルコキシ、アリールオキシが好ましい。
【0024】
【化9】
【0025】式中、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は置
換、無置換の芳香族炭化水素基または複素環基を表す
が、ベンゼンが特に好ましく、その置換基としては、ジ
アルキルアミン、ジアリールアミンが好ましい。
【0026】以下に一般式(3)、(4)、(5)、
(6)で表されるキャリア輸送物質の具体例を示す。
【0027】
【化10】
【0028】
【化11】
【0029】
【化12】
【0030】
【化13】
【0031】
【化14】
【0032】
【化15】
【0033】
【化16】
【0034】
【化17】
【0035】
【化18】
【0036】
【化19】
【0037】本発明に用いられるイミダゾールペリレン
化合物の結晶型については、J.Imag.Sci.,vol.33,P151-
159(1989)に、α、γ、ε、ρと呼ばれる4種のX線回
折スペクトルが開示されている。基本的にα型とε型は
類似の結晶構造であるが、ρ型はこれらと全く異なる結
晶であることは明らかである。本発明の結晶状態はこの
ρ型結晶に基づいている。このρ型結晶を有機溶媒中に
分散微粒化する工程で起こる状態の変化が感度特性に顕
著な影響を及ぼす。
【0038】一般に高感度な感光体特性を得るためには
第一にキャリア発生物質の微粒化された均一な塗布膜を
得ることが必要である。すなわち分散微粒化工程でまず
重要となるのはキャリア発生物質を微粒化することであ
る。
【0039】分散微粒化を行うことにより結晶子サイズ
がある大きさ以下になってくるとX線回折スペクトルに
おいて回折ピークのブロードニングとピーク強度の低下
が起こる。イミダゾールペリレン化合物のρ型結晶はC
u−Kα線に対するX線回折スペクトルにおいて6.3±
0.2°、12.4±0.2°、25.3±0.2°、27.1±0.2°のピー
クが特徴であるが、この他に11.5±0.2°に固有のピー
クが存在する。ρ型結晶を分散微粒化していくとピーク
全体のブロードニングをみることができるが、特に本発
明において重要であるのは、12.4±0.2°のピークの半
値幅が0.65゜以上になることであり、このようにブロー
ドニングした12.4±0.2°のピークによって11.5±0.2°
のピークが埋もれてしまい、11.5±0.2°の領域にピー
クが認められなくなる必要がある。ただし、12.4±0.2
°のピークの半値幅が1.5°を越えるとρ型結晶状態と
はいえなくなる。
【0040】また本発明のイミダゾールペリレン化合物
の感光体特性はX線回折スペクトルにおけるピークの相
対強度によって特徴づけられる結晶状態に依存する。該
イミダゾールペリレン化合物は、合成した段階では6.3
°付近のピーク強度が最大である場合が多く、また昇華
したものでは25〜28°のピーク強度が最大となる場合と
12.4°のピーク強度が最大となる場合がある。しかしこ
れらを有機溶媒中で分散微粒化すると各ピークの相対強
度は変化し、したがって感光体特性が変化していくが、
本発明の結晶はX線回折スペクトルの12.4±0.2°のピ
ーク強度が最大となるようにすることにより特に優れた
感度特性を得ることができる。
【0041】すなわち本発明ではρ型結晶の12.4±0.2
°のピークの半値幅が0.65°以上であり、かつ11.5±0.
2°に明瞭なピークを示さない状態まで微粒化したうえ
で、12.4±0.2°のピーク強度が最大である状態が用い
られる。
【0042】このような状態のキャリア発生物質を本発
明で特定されるキャリア輸送物質と組合わせて用いるこ
とにより優れた感度効果と繰り返し安定性が得られるも
のであり、キャリア発生物質のこのような結晶状態を得
るための方法は特に限定されないが、乾式粉砕法に見ら
れるような電子写真画像の欠陥を防止するために最も優
れた方法は、昇華精製したイミダゾールペリレン化合物
を硫酸を用いてアシッドペースト処理(アモルファス化
もしくは低結晶化)し、これを親和性の高い有機溶媒中
でポリマーバインダを介在させながら穏やかに分散する
ことによって結晶成長させながら目的の結晶状態にする
ものである。この方法においては均一な微粒化が達成さ
れ、また機械的衝撃が小さいために結晶欠陥の導入によ
る特性低下が避けられる。
【0043】構造式(1)または(2)のイミダゾール
ペリレン化合物はペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸
二無水物とo-フェニレンジアミンの脱水縮合反応によっ
て合成できる。
【0044】合成されたイミダゾールペリレン化合物は
不純物を除去するために昇華精製にかけられる。昇華操
作は1回から5〜6回程度の範囲で繰り返されるが、望
ましくは2回以上の繰り返しを行う方が良い。昇華精製
を行わないで塗布液を調製した場合は本発明の結晶状態
を得ることが難しい。昇華して得られたイミダゾールペ
リレン化合物はX線回折スペクトルにおいてシャープな
ピークパターンを示し、結晶化度の高い状態であること
が確認される。
【0045】昇華精製して得られた高結晶化度のイミダ
ゾールペリレン化合物は硫酸を用いたアシッドペースト
処理を行うことにより結晶化度の低い状態に変換され
る。すなわち濃硫酸に溶解した後、その溶液を水もしく
はメタノール等の貧溶媒にあけて析出させ、これをろ
過、乾燥して低結晶性の微粒子粉末を得るものである。
【0046】アシッドペースト処理後の低結晶性粉末は
イミダゾールペリレン化合物に対する親和性の高い溶媒
中で適当な分散機を用いて分散処理が行われる。親和性
の高い溶媒としては炭素数4〜8のケトン系溶媒もしく
は炭素数4〜7の環状エーテル系溶媒もしくは炭素数2
〜4のハロゲン化炭化水素溶媒が有用である。なかでも
特に好ましい溶媒として、メチルエチルケトン、メチル
イソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジクロルエタン、ト
リクロルエタンを挙げることができる。またこの分散処
理においては適当なバインダポリマーの存在によって良
い結果を与えることができる。
【0047】特に望ましいバインダポリマーとしてはポ
リビニルビチラールやポリビニルホルマールなどのポリ
ビニルアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリ
ル樹脂及びメタクリル樹脂、アクリル及びメタクリル共
重合樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン共重合樹脂、ポ
リスチレン、スチレン共重合樹脂、フェノキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げる
ことができる。
【0048】このような方法で得られた分散塗布液にお
いて本発明の特定の結晶状態が実現される。この方法に
おいては昇華精製による高純度化が分散時の結晶状態調
整に重要となっており、さらにこれを硫酸によるアシッ
ドペースト処理によってアモルファス化し、分散処理の
過程ではアモルファス状態(もしくは低結晶性の状態)
から特定の溶媒効果によって結晶成長させており、この
ことによって従来とは全く異なった観点から本発明の特
定の結晶状態を安定して得られるようにしたものであ
る。
【0049】得られた分散塗布液を用いて感光体が作ら
れる。感光体中において本発明の結晶状態が実現されて
いるかどうかは感光体から剥離したイミダゾールペリレ
ン化合物のX線回折スペクトルを測定することで確認で
きる。また感光体塗布の過程においては結晶状態の変化
は起きないので分散塗布液から溶媒を除去してX線回折
スペクトルを測定しても確認となる。
【0050】これらのサンプルはCu−Kα線をX線源
とした粉末X線回折測定装置によって測定され、ブラッ
グ角2θの関数として回折線強度分布が得られる。この
とき試料量が十分な場合はピーク強度間の相対強度比は
試料量によって変化しないが、試料量が少なくなると低
角度側のピーク強度が相対的に大きくなる。したがって
測定においてはピーク強度比が試料量によって変化しな
い程度に十分な量の試料を用いなければならない。
【0051】ここでのピーク強度は図2に示したように
ノイズを含んだベースラインレベルからの立ち上がり点
aとbを結ぶ線分と頂点cからおろした垂線との交点d
を起点としたときの頂点cまでの高さ(線分cdの長
さ)で定義されるものとする。またピークの半値幅は点
dを起点としてcd/2の高さの位置におけるピーク幅
として定義される。
【0052】感光体の構成は種々の形態をとることがで
きる。代表的には図1(a)〜(f)のような構成とな
る。図1(a)の場合、導電性支持体1上にキャリア発
生層2を形成し、これにキャリア輸送層3を積層して感
光層4を形成したものであり、同図(b)はキャリア発
生層2とキャリア輸送層3を逆にした感光層4’を形成
したものである。同図(c)は(a)の層構成において
感光層4と導電性支持体1の間に中間層5を設けたもの
であり、同図(d)は(b)の層構成において感光層
4’と導電性支持体1との間に中間層5を設けたもので
ある。同図(e)はキャリア発生物質6とキャリア輸送
物質7を含有する感光層4”を形成したものであり、同
図(f)はこのような感光層4”と導電性支持体1との
間に中間層5を設けたものである。図1(a)〜(f)
の構成において最表層にはさらに保護層を設けることが
できる。
【0053】キャリア発生層の形成には上記のようにし
て結晶状態を調整した分散塗布液を用い、バーコート
法、スピンコート法、アプリケーター塗布、スプレー塗
布、デイップ塗布等によって行うことができる。キャリ
ア発生物質の分散に有用な装置としては超音波分散機、
ボールミル、サンドミル、ホモミキサ、ペイントシエイ
カー等を用いることができる。キャリア発生層形成のた
めにバインダを用いると有用である。
【0054】キャリア輸送層の形成にはキャリア輸送物
質を溶媒に溶かした液を用い、キャリア発生層の場合に
述べたのと同様の塗布方法によって行うことができる。
感光層膜の機械的物性向上のためにポリマーバインダを
用いることが望ましく、キャリア輸送物質といっしょに
溶媒に溶かして用いられる。
【0055】バインダに対するキャリア輸送物質の割合
は10〜500重量%とされ、さらには20〜150重量%が好ま
しい。キャリア発生層の厚さは0.01〜20μmとされる
が、さらには0.05〜5μmが好ましい。キャリア輸送層の
厚みは1〜100μmとされるが、さらには5〜50μmが好ま
しい。
【0056】キャリア輸送層、中間層に用いるバインダ
として有用なポリマーとしては例えば、ポリカーボネー
ト、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、
塩化ビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチ
レン、スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニル
ホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタ
ール、ポリビニルカルバゾール、シリコーン樹脂、シリ
コン共重合樹脂、ポリエステル、フエノキシ樹脂、フエ
ノール樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂等を挙げるこ
とができる。
【0057】導電性支持体としては金属板、金属ドラム
が用いられる他、導電性ポリマーや酸化インジウム等の
導電性化合物もしくはアルミニウム、パラジウム等の金
属の薄層を塗布、蒸着、ラミネート等の手段により紙や
プラスチックフイルム等の基体の上に設けてなるものを
用いることができる。
【0058】上記感光層には感度の向上や残留電位の減
少、或は反復使用時の疲労の低減を目的として、電子受
容性物質を含有させることができる。このような電子受
容性物質としては例えば、無水琥珀酸、無水マレイン
酸、ジブロム無水琥珀酸、無水フタル酸、テトラクロル
無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、3-ニトロ無
水フタル酸、4-ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット
酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシ
アノキノジメタン、o-ジニトロベンゼン、m-ジニトロベ
ンゼン、1,3,5-トリニトロベンゼン、p-ニトロベンゾニ
トリル、ビクリルクロライド、キノンクロルイミド、ク
ロラニル、ブロマニル、ジクロルジシアノ-p-ベンゾン
キノン、アントラキノン、ジニトロアントラキノン、9-
フルオレニリデンマロノジニトリル、ポリニトロ-9-フ
ルオレニリデンマロノジニトリル、ピクリン酸、o-ニト
ロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、3,5-ジニトロ安息香
酸、ペンタフルオロ安息香酸、5-ニトロサリチル酸、3,
5-ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸、その他
の電子親和力の大きい化合物を挙げることができる。電
子受容性物質の添加割合はキャリア発生物質の重量100
に対して0.01〜200が望ましく、さらには0.1〜100が好
ましい。
【0059】
【実施例】次に本発明を実施例にて具体的に説明する。
【0060】尚、本実施例において特にことわらない限
り、「部」とは「重量部」を表す。
【0061】(合成例)ペリレン-3,4,9,10-テトラカル
ボン酸二無水物39.2g、o-フエニレンジアミン32.4g、
α-クロルナフタレン800mlを混合し、260℃で6時間反応
させた。放冷後、析出晶を濾取しメタノールで繰り返し
洗浄した。加熱乾燥して構造式(1)と(2)の混合物
としてのイミダゾールペリレン化合物51.1gを得た。こ
うして得られたものを合成品と呼び、そのX線回折スペ
クトルを図3に示した。
【0062】(昇華例)合成例で得たイミダゾールペリ
レン化合物は5×10-4〜5×10-3torrの圧力下において
500℃の加熱条件下で昇華精製を行った。揮発性の不純
物はシャッターを用いて除去した。得られた精製結晶は
もう一度同様の昇華処理を行ってさらに高純度化した。
このようにして2回の昇華操作を経たものを昇華品と呼
び、そのX線回折スペクトルを図4に示した。
【0063】(アシッドペースト処理例)イミダゾール
ペリレン化合物の昇華品20gを600mlの濃硫酸に溶解し
た液をグラスフィルターで濾過した後、1200mlの純水中
に滴下して析出させた。これを濾取し純水で十分に洗浄
してから乾燥させた。こうして得られたものをAP品
(アシッドペースト処理品)と呼び、そのX線回折スペ
クトルを図5に示した。
【0064】(実施例1)ガラスビーズを充填したサン
ドミル装置に、イミダゾールペリレン化合物のAP品7
g、ポリビニルブチラール樹脂「エスレック BLS」
(積水化学工業社製)1.5g、メチルエチルケトン250ml
を入れ15時間の分散処理を行った。こうして得られた分
散液の一部を濃縮乾固しX線回折スペクトルを測定し
た。結果を図6に示す。12.4±0.2°のピーク強度が最
大であり、半値幅は0.86°であった。また11.5±0.2°
に明瞭なピークはみられなかった。
【0065】得られた分散液はアルミニウムを蒸着した
ポリエステルベース上にワイヤーバーを用いて塗布し、
膜厚0.3μmのキャリア発生層を形成した。次いでキャリ
ア輸送物質B−23;1部とポリカーボネート「Z−20
0](三菱瓦斯化学社製)1.4部を1,2−ジクロルエ
タン10部に溶解した液をブレード塗布機を用いて塗布し
乾燥の後、膜厚25μmのキャリア輸送層を形成した。こ
うして得られた感光体をサンプル1とする。
【0066】(実施例2)メチルエチルケトンの代わり
に1,2-ジクロルエタン250mlを用いた他は実施例1と同
様にして分散処理を行い、得られた分散液のX線回折ス
ペクトルを測定した。それを図7に示す。12.4±0.2°
のピーク強度が最大であり、半値幅は0.94°であった。
また11.5±0.2°に明瞭なピークはみられなかった。さ
らにこの分散液を用い実施例1と同様にして感光体を作
製した。これをサンプル2とする。
【0067】(実施例3)メチルエチルケトンの代わり
にテトラヒドロフラン250mlを用いた他は実施例1と同
様にして分散処理を行い、得られた分散液のX線回折ス
ペクトルを測定した。それを図8に示す。12.4±0.2°
のピーク強度が最大であり、半値幅は0.68°であった。
また11.5±0.2°に明瞭なピークはみられなかった。さ
らにこの分散液を用い実施例1と同様にして感光体を作
製した。これをサンプル3とする。 (比較例1)サンドミル分散装置の代わりに超音波分散
装置を用いて5時間の分散を行った他は実施例1と同様
にして分散液を得た。得られた分散液のX線回折スペク
トルを測定した結果を図9に示す。結晶成長が過度とな
り12.4±0.2°のピークの半値幅は0.60°であった。ま
た、11.5±0.2°にピークが認められた。さらに、この
分散液を用い実施例1と同様にして感光体を作製した。
これを比較サンプル(1)とする。
【0068】(比較例2)イミダゾールペリレン化合物
のAP品の代わりに昇華品を用いて実施例1と同様の分
散処理を行い、得られた分散液のX線回折スペクトルを
測定した。結果を図10に示す。12.4±0.2°のピークの
半値幅は0.68°であり、12.4±0.2°のピークよりも27.
1±0.2°のピーク強度の方が大きい。さらにこの分散液
を用い実施例1と同様にして感光体を作製した。これを
比較サンプル(2)とする。
【0069】(比較例3)イミダゾールペリレン化合物
のAP品の代わりに昇華品を用い、ポリビニルブチラー
ル樹脂の代わりにポリカーボネート樹脂「パンライトL
1250」(帝人化成社製)を用い、メチルエチルケト
ンの代わりにトルエンを用いた他は実施例1と同様にし
て分散処理を行い、得られた分散液のX線回折スペクト
ルを測定した。それを図11に示す。12.4±0.2°のピー
クの半値幅は0.52°であり、12.4±0.2°のピークより
も27.1±0.2°のピーク強度の方が大きい。また11.5±
0.2°にピークが認められた。さらにこの分散液を用い
実施例1と同様にして感光体を作製した。これを比較サ
ンプル(3)とする。
【0070】(評価1)以上のようにして得られたサン
プルは、ペーパアナライザEPA-8100(川口電機社製)を
用いて、以下のような評価を行った。まず、−6KVの条
件で5秒間のコロナ帯電を行い、帯電直後の表面電位Va
及び、5秒間放置後の表面電位Viを求め、続いて表面照
度が2(lux)となるような露光を行い、表面電位を−6
00Vから−100Vまで低下させるのに必要な露光量E600/
100を求めた。またD=100(Va−Vi)/Va(%)の式よ
り暗減衰率Dを求めた。結果は表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】(実施例4〜13)キャリア輸送物質をB−
23からB−21,B−8,B−13,B−43,B−46,C−
5,C−9,D−4,D−15,E−7に代えた他は実施
例1と同様にして感光体を作製した。これをサンプル4
〜サンプル13とする。
【0073】(比較例4〜7)キャリア輸送物質をB−
23から下記構造式Z−1,Z−2,Z−3,Z−4に代
えた他は実施例1と同様にして感光体を作製した。これ
を比較サンプル(4)〜比較サンプル(7)とする。
【0074】(比較例8)イミダゾールペリレン化合物
のAP品の代わりに昇華品をボールミル中で72時間の乾
式粉砕を行って得た乾式粉砕物を用い、キャリア輸送物
質B−23の代わりにZ−1化合物を用いた他は実施例1
と同様にして感光体を作製した。これを比較サンプル
(8)とする。また分散液のX線回折スペクトルを測定
した結果、12.4±0.2°のピーク強度が最大であり、半
値幅は0.67°であった。また11.5±0.2°に明瞭なピー
クはみられなかった。
【0075】
【化20】
【0076】(評価2)得られたサンプルは評価1と同
様にして評価した後、複写機「U-BIX 3035」改造機(コ
ニカ(株)社製)に装着し、1万回の繰り返しテストで画
像評価を行った。結果を表2に示す。
【0077】
【表2】
【0078】以上の実施例及び比較例において、感光体
サンプルから採取して測定したイミダゾールペリレン化
合物のX線回折スペクトルは、対応する分散液を乾固し
たサンプルのX線回折スペクトルと一致することを確認
した。このように、イミダゾールペリレン化合物は、本
発明における特定の結晶状態で感光層中に存在するとき
に、特に優れた感度特性を示すものである。
【0079】
【発明の効果】本発明により高速複写機、プリンタ、フ
ァックス等に広く用いることが出来る高感度な電子写真
感光体を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る感光体の層構成図。
【図2】X線回折ピークにおけるピーク強度、半値幅の
定義を表す図。
【図3】イミダゾールペリレン化合物(合成品)のX線
回折スペクトル。
【図4】イミダゾールペリレン化合物(昇華品)のX線
回折スペクトル。
【図5】イミダゾールペリレン化合物(アシットペース
ト処理品)のX線回折スペクトル。
【図6】イミダゾールペリレン化合物実施例1のX線回
折スペクトル。
【図7】イミダゾールペリレン化合物実施例2のX線回
折スペクトル。
【図8】イミダゾールペリレン化合物実施例3のX線回
折スペクトル。
【図9】イミダゾールペリレン化合物比較例1のX線回
折スペクトル。
【図10】イミダゾールペリレン化合物比較例2のX線
回折スペクトル。
【図11】イミダゾールペリレン化合物比較例3のX線
回折スペクトル。
【符号の説明】
1 帯電性支持体 2 キャリア発生層 3 キャリア輸送層 4,4′,4″ 感光層 5 中間層 6 キャリア発生物質 7 キャリア輸送物質

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも構造式(1)または(2)の
    イミダゾールペリレン化合物を含有する感光体におい
    て、該イミダゾールペリレン化合物がCu−Kα線に対
    するX線回折スペクトルの6.3±0.2°、12.4±0.2°、2
    5.3±0.2°、27.1±0.2°にピークを有する結晶であっ
    て、12.4±0.2°のピーク強度が最大であると同時に同
    ピークの半値幅が0.65゜以上であり、かつ11.5±0.2°
    に明瞭なピークを示さない状態で存在し、キャリア輸送
    物質として構造式(3)の化合物を含有することを特徴
    とする電子写真感光体。 【化1】 式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4は置換、無置換の芳
    香族炭化水素基または複素環基を表し、R2は水素原子
    もしくは置換、無置換の芳香族炭化水素基または複素環
    基を表す。nは1もしくは2である。Ar4とR2は互い
    に結合していてもよい。
  2. 【請求項2】 少なくとも構造式(1)または(2)の
    イミダゾールペリレン化合物を含有する感光体におい
    て、該イミダゾールペリレン化合物がCu−Kα線に対
    するX線回折スペクトルの6.3±0.2°、12.4±0.2°、2
    5.3±0.2°、27.1±0.2°にピークを有する結晶であっ
    て、12.4±0.2°のピーク強度が最大であると同時に同
    ピークの半値幅が0.65゜以上であり、かつ11.5±0.2°
    に明瞭なピークを示さない状態で存在し、キャリア輸送
    物質として構造式(4)の化合物を含有することを特徴
    とする電子写真感光体。 【化2】 式中、R3、R4は置換、無置換の芳香族炭化水素基、複
    素環基またはアルキル基を表し、互いに連結していても
    よい。R5は水素原子もしくは置換、無置換の芳香族炭
    化水素基、複素環基、アルキル基を表し、Ar5は置
    換、無置換の芳香族炭化水素基または複素環基を表す。
    mは0もしくは1である。
  3. 【請求項3】 少なくとも構造式(1)または(2)の
    イミダゾールペリレン化合物を含有する感光体におい
    て、該イミダゾールペリレン化合物がCu−Kα線に対
    するX線回折スペクトルの6.3±0.2°、12.4±0.2°、2
    5.3±0.2°、27.1±0.2°にピークを有する結晶であっ
    て、12.4±0.2°のピーク強度が最大であると同時に同
    ピークの半値幅が0.65゜以上であり、かつ11.5±0.2°
    に明瞭なピークを示さない状態で存在し、キャリア輸送
    物質として構造式(5)の化合物を含有することを特徴
    とする電子写真感光体。 【化3】 式中、Yは置換、無置換のベンゼン、ナフタレン、ピレ
    ン、フルオレン、カルバゾール及び4,4′-アルキリデン
    ジフェニル基を表し、Ar6、Ar7は置換、無置換の芳
    香族炭化水素基または複素環基を表す。lは1〜3の整
    数である。
  4. 【請求項4】 少なくとも構造式(1)または(2)の
    イミダゾールペリレン化合物を含有する感光体におい
    て、該イミダゾールペリレン化合物がCu−Kα線に対
    するX線回折スペクトルの6.3±0.2°、12.4±0.2°、2
    5.3±0.2°、27.1±0.2°にピークを有する結晶であっ
    て、12.4±0.2°のピーク強度が最大であると同時に同
    ピークの半値幅が0.65゜以上であり、かつ11.5±0.2°
    に明瞭なピークを示さない状態で存在し、キャリア輸送
    物質として構造式(6)の化合物を含有することを特徴
    とする電子写真感光体。 【化4】 式中、Ar8、Ar9、Ar10、Ar11は置換、無置換の
    芳香族炭化水素基または複素環基を表す。
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