JPH0733395B2 - 抗生物質tan−928およびその製造法 - Google Patents

抗生物質tan−928およびその製造法

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JPH0733395B2
JPH0733395B2 JP15409987A JP15409987A JPH0733395B2 JP H0733395 B2 JPH0733395 B2 JP H0733395B2 JP 15409987 A JP15409987 A JP 15409987A JP 15409987 A JP15409987 A JP 15409987A JP H0733395 B2 JPH0733395 B2 JP H0733395B2
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antibiotic tan
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昂 岩佐
正之 室井
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、真菌感染症の治療剤として有用な新規抗生物
質TAN−928およびその塩、それらの製造法ならびにTAN
−928生産菌に関する。
従来の技術 本発明の新規抗生物質TAN−928はその物理化学的および
生物学的データなどから新規抗生物質であり、このよう
な抗真菌性抗生物質は未だ報告されていない。
発明が解決しようとする問題点 真菌によって惹起される感染症に対しては抗真菌剤投与
による化学療法が主として行われているが、従来の抗真
菌剤は副作用が強いものが多く、またそれらを長期ある
いは大量に投与することにより菌交代現象あるいは耐性
菌の出現(耐性化現象)などは現在の真菌感染症化学療
法分野で大きな問題となっている。これらの問題を解決
するために当分野では常に副作用が弱く、臨床上有効な
新規抗真菌剤が求められている。
問題点を解決するための手段 本発明者らは多数の土壌試料から微生物を分離し、それ
らの代謝産物から抗真菌剤を得るための探索研究を行っ
てきた。その結果、ある種の糸状菌が培養物中に抗真菌
活性を有する抗生物質を産生することを見い出し、この
抗生物質を培養物中から純粋に単離し、その理化学的お
よび生物学的性質から、当該抗生物質が新規物質である
ことを確かめ、これを抗生物質TAN−928と称することに
した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を重
ねた結果、本発明を完成した。
すなわち本発明は、(1)抗生物質TAN−928またはその
塩、および(2)トリコデルマ属に属し、抗生物質TAN
−928を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、
培養物中に抗生物質TAN−928を生成蓄積せしめ、これを
採取することを特徴とする抗生物質TAN−928またはその
塩の製造法に関する。
抗生物質TAN−928の生産菌としては、抗生物質TAN−928
を生産するかぎりどのような菌株を用いても良いが、た
とえば本発明者らが分離し、トリコデルマ・オーレオビ
リデ(Trichoderma aureoviride)M−161(以下M−16
1菌と略称することもある)と名付けた菌株またはそれ
と類縁の菌株などは最も有効に用いられる一例である。
該M−161菌は次に示すような培養所見を示す。本所見
は各種培養地上28℃で2週間観察したもので、表中
( )内はカラー・ハーモニー・マニュアル第4版(コ
ンティナー・コーポレーション・オブ・アメリカ 1958
年)による色名の記載である。
M−161菌の生育pH範囲はpH2.7〜pH10.0,最適pHはpH5.0
〜pH6.0である。また、生育温度範囲は11.5℃〜39.0
℃,最適生育温度は30℃〜33℃である。M−161菌は輪
生状のフィアライド(Phialide)を形成し、卵形で表面
平滑,大きさ3.5〜6μm×2.5〜6μm(平均3.8×3.2
μm)のフィアロスポア(Phialospore)を着生する。
上記M−161菌の形態的特徴,培養所見,生理的性質に
基き既存の菌種との比較を試みた結果、本菌をトリコデ
ルマ・オーレオビリデ(Trichoderma aureoviride)と
同定し、トリコデルマ・オーレオビリデM−161と名付
けた。トリコデルマ・オーレオビリデM−161は昭和62
年5月26日から財団法人発酵研究所(IFO)に受託番号I
FO 32063として寄託され、また昭和62年6月6日から
通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(FRI)に
受託番号FERM P−9402として寄託され、該寄託がブダ
ペスト条約に基づく寄託に切換えられて受託番号FERM
BP−1881として同研究所に保管されている。
微生物の一般的性状として菌学的性質は変異しやすく、
トリコデルマ・オーレオビリデM−161もその例外では
なく種々の変異株が容易に得られる。しかしこれらの変
異株にあっても抗生物質TAN−928を生産する性質を失わ
ないかぎり本発明の方法に使用することができる。もち
ろんそれらの変異が自然の原因に由来するものであって
も各種変異誘起剤(例えば紫外線,エックス線,放射
線,ニトロソグアニジン等)を用いて人工的に行なわれ
たものであってもさしつかえない。
本発明方法の培養に際しては、一般に微生物が同化しう
る炭素源、消化しうる窒素源および無機塩などを含有さ
せた培地が使用される。また培地には必要に応じて微量
栄養素,発育促進物質,前駆物質などの微量有効物質を
添加してもよい。一般に微生物が同化しうる炭素源とし
てはぶどう糖,しょ糖,糖みつ,でんぷん,デキストリ
ン,グリセリンなどがあり、消化しうる窒素源としては
肉エキス,大豆粉,コーンスティープリカー,ペプト
ン,カゼイン,綿実粕など、および硝酸塩類,アンモニ
ウム化合物などの無機窒素化合物などがあり、それらは
いずれも有効に利用される。培養は表面培養法によって
もよいが、深部通気撹拌培養法によるのが通常である。
深部通気撹拌培養法による場合、倍地の性質は中性付近
にするのがよく、培養時の温度は20〜36℃付近、好まし
くは24〜30℃に保つのがよい。しかしこれらの培養組成
物,倍地の液性,培養温度,撹拌数などの培養条件は使
用する菌株の種類や外部の条件などに応じて好ましい結
果が得られるように適宜調節,選択されることはいうま
でもない。
本発明の抗生物質TAN−928を培養物から採取するには、
後述する実施例に示すように当該物質の理化学的性質を
考慮して、微生物代謝産物を採取するのに通常用いられ
る分離,精製の手段が適宜利用される。例えば、溶剤に
よる抽出法,夾雑物との溶解度の差を利用する方法,或
いはクロマトグラフィーなどが単独或いは組合わせて用
いられる。クロマトグラフィーで用いられる担体として
は、慣用の無機及び有機の担体,例えばシリカゲル,ア
ルミナ,活性炭,セルロース,ハイポーラス樹脂,デキ
ストランゲル等が利用される。
培養物中に生産された抗生物質TAN−928を採取するため
には、あらかじめ遠心分離或いはろ過等で分離して得ら
れた培養上清と培養菌体からメタノール,アセトン等の
溶媒で抽出して得られる菌体抽出液を合わせて、合成吸
着剤例えば、ダイヤイオンHP−20(三菱化成社製)のカ
ラムに吸着させた後、該カラムを段階的に含水メタノー
ルで展開し、活性画分を集めて濃縮後、濃縮液を弱酸性
としてn−ブタノール,i−ブタノール,酢酸エチル等の
有機溶媒で抽出する。得られた抽出液を濃縮した後、ジ
エチルエーテル等の有機溶媒を加えて素粉末を得、次い
でこれをシリカゲルのカラムクロマトグラフィーに付
す。カラムを酢酸エチル−イソプロピルアルコール−水
の混合溶媒系で展開し、後述する薄層クロマトグラフィ
ーで単一スポットを示す画分を集めて濃縮し、残渣をエ
タノール−酢酸エチル等の混合溶媒で処理することによ
り、TAN−928を白色粉末として得ることができる。
後記する実施例2で得られるTAN−928(遊離体)の物理
化学的性状は次の通りである。
1)形状:白色粉末 2)元素分析値(%): 実測値 計算値※ C 59.79 59.54 H 8.00 8.08 N 2.01 2.04 S 4.52 4.68 (※:水分1モルを含むとして計算) 3)分子量測定値:ジナトリウム塩のSI−MS法による m/z 712(M+H)+ 4)比旋光度:▲[α]24 D▼−48.0゜(c=0.52,メタ
ノール中) 5)紫外線吸収スペクトル:末端吸収(メタノール中) 6)赤外線吸収スペクトル(KBr錠法での主要ピーク,cm
-1):3430,2970,2880,1750,1700,1630,1500,1460,1375,
1340,1260,1110,1055,980,950,885,840,765,625,585。
7)13C核磁気共鳴(NMR)スペクトル(100MHz,重DMSO
中、δppm):次のシグナルが認められる。
174.9,165.8,144.5,134.6,131.8,128.2,80.1,73.0,63.
0,62.5,60.5,55.5,55.2,54.5,42.1,40.2,39.4,35.1,34.
7,33.1,32.4,31.9,29.7,28.9,28.0,26.8,20.5,20.3,19.
7,19.5,19.4,18.8,17.3,15.8。
8)溶解性: 易溶;メタノール,ジメチルスルホキシド 難溶;水,酢酸エチル,n−ヘキサン 9)呈色反応: 陽性;リンモリブデン酸,過マンガン酸カリウム,ヨー
ド,グレイグ・リーバツク,エールリッヒ試薬 凝陽性;ニンヒドリン試薬 陰性;坂口,バートン,ドラーゲンドルフ試薬 10)酸性,中性,塩基性の区別:両性 11)薄層クロマトグラフィー(TLC)(担体,シリカゲ
ルガラスプレート60F254,0.25mm,西独メルク社製): 12)高速液体クロマトグラフィー(HPLC) 担体:INERTSIL CDS5(4.6×150mm) 溶媒系:75%メタノール−0.01Mリン酸緩衝液(pH6.3) 流速:1ml/分 保持時間(tR):7.4分 13)1H NMRスペクトル(90MHz,重メタノール中):第
2図に示す。
後述する実施例2で得られたTAN−928を6N−HClで110
℃,10時間加熱加水分解すると、β−ハイドロキシ−L
−ロイシン及びH2SO4の生成が認められ、一方、TAN−92
8を0.1Mリン酸バッファー:50%メタノール(1:1(V/
V))(pH8.0)中で80℃,7時間加熱加水分解すると、C
28H42O5の分子式を有するステロールが得られた。本物
質の物理化学的性質は次の通りである。
1)元素分析値:C,67.99;H,9.06 計算値(C28H42O5・2H2Oとして):C,67.99;H,9.37 2)13C NMRスペクトル(75MHz,重メタノール中,δpp
m):16.89,18.19,20.13,20.47,21.49,21.90,29.48,30.2
5,31.84,33.88,34.31,34.74,36.33,40.22,41.23,41.94,
44.30,57.47,57.53,62.51,65.25,65.43,69.15,130.20,1
33.85,135.98,146.95,178.03 以上に示した理化学的性状から、TAN−928はステロール
骨格を有する新規抗生物質と判断された。その構造式
は、下式により示される。
又、TAN−928は酸性の官能基を有するので、自体公知の
方法によりナトリウム塩,カリウム塩,カルシウム塩等
の金属塩,或いはアンモニウム塩等のアミン塩などの薬
理学的に許容される塩を形成させることができる。
次にTAN−928の抗菌作用について述べる。ろ紙円板(東
洋製作所製,直径8mm)をTAN−928遊離体の1000μg/ml
メタノール液に浸漬し、一定時間風乾してメタノールを
消失させた後、これを各種真菌および細菌の含菌寒天平
板にはりつけ、所定濃度で所定時間培養後、ろ紙円板の
まわりに生じた生育抑制円の直径を第1表に示す。表中
“0"は阻止円の認められなかったことを示す。用いた培
地は次のとおりである。
A:サブロー・デキストロース・寒天培地 B:トリプチカーゼ・ソイ・アガー(ベクトンディッキン
ソン社、米国) 第1表から明らかな様に、抗生物質TAN−928はある種の
真菌類に対して抗菌力を示す。さらにTAN−928を投与量
200mg/kgでマウスに腹腔内投与しても急性毒性は全く認
められなかった。
これらのデータから明らかなようにTAN−928は真菌に対
して抗菌性を示し、哺乳動物に対して毒性の弱い抗生物
質であると云える。したがってTAN−928はヒトおよび家
畜、家きんなどの真菌感染症の治療に用いることが出来
る。
この治療用に、TAN−928は公知の製剤化技術に従って種
々の剤形の医薬組成物に処方して用いることができる。
たとえばTAN−928を通常01〜10W/V%,好ましくは0.5〜
5W/V%の濃度で蒸留水などに溶解した液剤、またはワセ
リン,ラノリンを基剤とし、1gあたりTAN−928を通常0.
2〜100mg、好ましくは2〜50mg含有する軟膏剤として、
ヒトおよび動物の皮膚あるいは粘膜などの殺菌、消毒に
用いることができる。
抗生物質TAN−928はまた新しい医薬品の合成中間体とし
ても有望な化合物と考えられる。
以上述べた化学的および生物学的諸性質から明らかなご
とく、TAN−928は新規抗生物質である。
実施例 次に実施例をもってさらに詳細に本発明を説明するが、
これによって本発明が限定されるものではない。パーセ
ントは、特にことわりのないかぎり重量/容量%を示
す。
実施例1 3容量の坂口コルベンにグルコース2.0%,可溶性デ
ンプン3.0%,コーン・スチープ・リカー1.0%,脱脂大
豆粉1.0%,ペプトン0.5%,塩化ナトリウム0.3%,炭
酸カルシウム0.5%(pH7調整)からなる培地500mlを注
入後滅菌し、これにトリコデルマ・オーレオビリデM−
161(IFO 32063,FERM BP−1881)株の斜面培養から1
白金耳を接種したのち120往復/分の往復振盪機上28℃
で48時間培養した。50容量のステンレスタンクに上記
培地組成にアクトコール(消泡剤,武田薬品工業社製)
0.05%加えた培地30を調製,滅菌し、先に培養した坂
口コルベンの全培養液500mlをこれに接種して通気量30
/分,撹拌数280rpmで28℃,48時間深部培養を行い種
培養液を得た。
200容量のステンレスタンクにグルコース1.0%,デキ
ストリン4.0%,生大豆粉0.5%,ペプトン0.5%,酵母
エキス0.2%,硫酸マンガン0.05%,リン酸一カリウム
0.1%,炭酸カルシウム0.5%からなる培地(pH7.0)120
を調製後、滅菌したものに前記種培養液6を接種
し、通気量120/分,撹拌数200rpmで24℃,5日間培養
を行った。
実施例2 実施例1の方法により200容量ステンレスタンク2基
の培養によって得られた培養液(150)にハイフロス
ーパーセル(ジョンズ・マンビル社製,米国)を加えて
ろ過し、得られたろ液を分離後、菌体を含む固形物にメ
タノール(129)を加え、30分間撹拌する。撹拌終了
後、ろ過して得られたメタノール抽出液(127)を、
先にろ別し得られた培養ろ液(129)と合わせて、ダ
イヤイオンHP−20(20,三菱化成工業,日本)のカラ
ムに通す。カラムを30%(V/V)メタノール水(80)
で洗浄後、80%(V/V)メタノール水(138)で展開し
た。活性成分を含む溶出液を21にまで濃縮後、pHを4.
6としてi−ブタノール(10)で2回抽出し、i−ブ
タノール層を合わせて濃縮し、エーテルで処理すること
により粗粉末(58.5g)を得た。
得られた粗粉末をシリカゲル(100g)と混和した後、シ
リカゲル(500g,メルク社製,西独)のカラムクロマト
グラフィーに付した。カラムを酢酸エチル−イソプロピ
ルアルコール−水(10:1:0.5,4.0)及び酢酸エチル−
イソプロピルアルコール−水(5:1:0.5,4.0)で展開
し、前述の薄層クロマトグラフィーで単一スポットを示
す活性画分(4.0)を集めて濃縮した後、残渣をエタ
ノール−酢酸エチルの混合溶媒で2回処理することによ
り、TAN−928(遊離体)の精製白色粉末(462mg)を得
た。
発明の効果 本発明の新規抗生物質TAN−928およびその塩は、真菌に
抗菌作用を示し、たとえばヒトおよび他の動物に経口
的,非経口的または外用的に投与することによってこれ
らの真菌感染症の治療に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例2で得られた抗生物質TAN−928の赤外部
吸収スペクトル(KBr法)、第2図は1H核磁気共鳴スペ
クトル(90MHz、重メタノール中)をそれぞれ示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 で示される抗生物質TAN−928、またはその塩。
  2. 【請求項2】トリコデルマ属に属し、抗生物質TAN−928
    を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培養物
    中に抗生物質TAN−928を生成蓄積せしめ、これを採取す
    ることを特徴とする抗生物質TAN−928またはその塩の製
    造法。
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