【発明の詳細な説明】
製剤化合物
本発明は、新規なベンゾジアゼピン-受容体結合性化合物に関する。本発明は
更に、この化合物の製造、この化合物を含有する医薬および動物薬組成物、およ
びこの化合物が得られる微生物に関する。
ベンゾジアゼピン(Bz)は、ベンゾ-1,4-ジアゼピン基本構造と、構造的に関
連する化合物を記載するのに用いられる普通の用語である(Haefe1y et al,Adva
nces in Drug Res.14 165-322(1985))。この新規な環系の初期の合成類似体
の幾つかを薬学的にスクリーニングしたところ、ベンゾジアゼピンが精神安定活
性および抗痙攣作用を有することが明らかになった。更なる研究の結果、1960年
代にクロロジアゾポキシド(Librium)が治療に用いられるようになった。
広範囲の電気生理学的研究および結合性の研究により、ベンゾジアゼピンの作
用機構が、主要な阻害性神経-伝達物質であるガンマ-アミノ酪酸(GABA)の、ア
ロステリック修飾に関連することが確立された。より詳しくは、この効果は、G
ABA-Bz-Cl-イオノフォア受容体複合体を介したCl-イオンの増加した流
出によるニューロンの過分極を起こす。この受容体複合体は、サブタイプA、ま
たはGABAAと呼ばれている。
現在処方されるベンゾジアゼピン類の大部分は作動物質であり、GABA阻害
効果の増強により作用する。従って、これらの物質は鎮静効果、催眠効果、抗痙
攣効果および不安解消効果を発揮する。部分的な(低効力の)作動物質もまた重
要である。なぜならば、これらを用いると、その臨床的効果をなお保持して、ベ
ンゾジアゼピン治療の望ましくない効果、例えば鎮静効果、耐性および嗜癖を低
減できるからである。古典的なベンゾジアゼピン効果とは逆の生物学的活性、即
ち痙攣効果を有する逆作動物質もまた、記憶増進において仮定される役割を有す
る。拮抗物質は生物学的活性を有しないが、過剰の上記効果、即ち過剰投与を中
和するのに用いられる。
ベンゾジアゼピンに関する構造活性関連性(SAR)はよく特性決定されており
、薬作用発生団が同定されている。従って重点は、内因性受容体リガンドの同定
、あるいは新しい薬剤候補として可能性がある新規構造に移ってきている。様々
なクラスの化学物質(例えばベンズアゼピン類、β-カルボリン類、シクロピロ
ロン類、フェニルキノリン類、トリアゾロピリダジン類およびイミダゾピリジン
類)が、この部位で活性であることが明らかとなった。ゾピクロン(zopiclone
:シクロピロロン誘導体)およびゾルピデム(zolpidem: イミダゾピリジン類)
は、催眠薬として売り出されている。
本発明者らは、真菌 Acremonium strictum(アクレモニウム・ストリクトゥ
ム)(Xenova organism X06/15/458,IMI 354451)を栄養培地で醗酵させると、
ベンゾジアゼピンが、GABA-Bz-Cl-イオノフォア受容体複合体上に存在
するベンゾジアゼピン受容体に結合するのを阻害する新規な化合物が産生される
ことを見出した。これらの化合物はセスキテルペンであり、それらの合成誘導体
と一緒に、新規なクラスを形成する。
従って、本発明は、式I:
り、かつ他方が二重結合であり;
から選択される環を形成し;そして
Yは二重結合であるか、あるいはAが上記定義の環(a)である場合は、Yは二
重結合であるか、またはそれが結合している炭素原子と一緒になって、エポキシ
ド
物薬として許容されるその塩を提供する。
一つの態様において、式Iのセスキテルペンは、下記の構造II:
(式中、−Y−は二重結合であるか、またはそれが結合している炭素原子と一緒
もう一つの態様において、式Iのセスキテルペンは、下記の構造III:
(式中、RはHまたはOHである)を有する。
更にもう一つの態様において、式Iのセスキテルペンは、下記の構造IV:
Yが二重結合である式IIのセスキテルペンを、以下、化合物Aと言う。Yがそ
れと結合している炭素原子と一緒になってエポキシ環を形成する式IIのセスキテ
ルペンを、以下、化合物A’と言う。RがOHである式IIIのセスキテルペンを
、以下、化合物Bと言う。RがHである式IIIのセスキテルペンを、以下、化合
物Cと言う。化合物Aのナトリウム塩(15-ONa)は、化合物Dである。
化合物Fは、化合物Eの15,16オルソキノン誘導体である。 "本発明の化合物"
なる用語は、以下で使用する場合、式Iのセスキテルペン、および医薬および動
物薬として許容されるその塩の全てをまとめて指す。
式Iのセスキテルペンは、X06/15/458と命名され、そして下記の形態学的デー
タに基づいて、真菌 Acremonium strictum の菌株であると同定された微生物か
ら単離された。
2%麦芽エキス寒天(Malt Extract Agar)上で10日間生長させたとき、菌株X0
6/15/458のコロニーは次のようであった。直径15〜20mm(豊富に胞子を形成する
もの37〜40mmと比較)であり、色調がオフ-ホワイトに変わるよりはむしろ純白
であり、ゆるい菌糸体よりはむしろ密でコンパクトな菌糸体からなり;中央部に
綿毛がある(tomentose)代わりに、大部分が柔らかいビロー
ド状でかつ中央部のみ羊毛状(velutinous and floccose)であり、辺縁部が不
規則で、鮮明に境界が限定されず、かつ埋没して気生し;分生子柄は、連鎖状な
いし束状(plectonematous to synnematous)で、かつ表面下にあるよりはむし
ろ表面上であり;大部分がオルソフィアライド状であり、稀にもっと複合してお
り、直線状で、次第に先細の、色素親和性であるよりはむしろヒアリンであり、
基部における長さ40〜54μmまでx幅1.5μm(20〜40μm x 1.5〜2.0μmと比較)
である。軟泥状の(slimey)白色マス中の分生子は、円筒形、3.0〜7.0 x 1.5μ
m。
この微生物は、Acremonium strictum の典型的な株とは次の相違を示す。より
遅い生長速度;純白のコンパクトなコロニー;辺縁部が気生で、不規則で、かつ
拡散;分生胞子柄が気生で、かつ束状(synnematous)になる傾向;平均分生子
柄の長さがより長い。
上記の顕微鏡的特色および形態学的特色から、真菌単離物X06/15/458は、Gams
,W.(1971)CePhalosporim-artige Schimmelpilze; Gustav Fischer publ.に
記載されているように、Acremonium c.f. strictum W.Gamsとして分類される
のが最適である。
菌株X06/15/458は、ブダペスト条約によりInternational BiologicalInstitut
e,Egham,Surrey,U.K.に1992年10月7日付で受託番号IMI354451として寄託さ
れた。
前記の説明は、本発明のセスキテルペンの製造に使用することのできるAcremo nium strictum
の一菌株の例証である。しかしながら、本発明はまた、前記の微
生物の変異体をも包含する。例えば、自然選択により得られるもの、あるいはイ
オン化放射線処理、例えば紫外線照射処理、または化学的変異源物質例えばニト
ロソグアニジンその他での処理を含む突然変異剤処理により産生されるものもま
た、本発明の範囲内に包含される。
本発明は更に、本発明の化合物の製造方法を提供する。この方法は、(i)真
菌株X06/15/458(IMI 354451)、または式Iのセスキテルペンを産生するその変
異株を、炭素源、窒素源および無機塩源中で醗酵させ;(ii)前記セスキテルペ
ンを醗酵培地から単離し;(iii)所望により、Aが環(c)である式Iのセスキ
テル
ペンを酸化して、Aが環(d)である式Iのセスキテルペンとなし、および/ま
たは(iv)所望により、前記セスキテルペンを医薬または動物薬として許容され
るその塩に変換することからなる。
式Iのセスキテルペンは、典型的には、Acremonium strictum X06/15/458の産
生性株またはX06/15/458の産生性変異株を用いて、水性栄養培地中で以下に記載
する条件下で好気性醗酵する間に産生される。水性培地、例えば多くの抗生物質
の製造に用いられるものが好適である。このような水性培地は、微生物が同化し
うる炭素源および窒素源を含有する。所望により、無機塩を一般的には低濃度で
添加してもよい。更に醗酵培地は、微生物の生長および所望化合物の産生に必要
な微量の金属を含有しうる。これら金属は、一般的に、栄養源として使用しうる
炭素および窒素の複合源中に充分な濃度で存在しているが、所望により培地に別
個に添加できることはもちろんである。真菌株X06/15/458または式Iのセスキテ
ルペンを産生するその変異株の生物学的に純粋な培養物は、本発明のもう一つの
態様である。このような培養物は、他の微生物を実質的に含まない。
同化しうる炭素源、窒素源およびミネラル源は、単純栄養または複合栄養によ
り供給できる。炭素源としては、一般的にブドウ糖、麦芽糖、澱粉、グリセロー
ル、糖蜜、デキストリン、乳糖、蔗糖、果糖、カルボン酸、アミノ酸、グリセリ
ド、アルコール、アルカンおよび植物油が挙げられる。炭素源は、一般的に醗酵
培地の0.5〜10重量%を占める。
窒素源としては、一般的に大豆ミール、コーンティープリカー、ディスティラ
ーズソリュブル、酵母エキス、綿実ミール、ペプトン、落花生ミール、麦芽エキ
ス、糖蜜、カゼイン、アミノ酸混合物、アンモニア(気体または溶液)、アンモ
ニウム塩または硝酸塩が挙げられる。尿素および他のアミドも使用できる。窒素
源は、一般的に醗酵培地の0.1〜10重量%を占める。
培地に添加しうる栄養ミネラル塩としては、ナトリウム、カリウム、アンモニ
ウム、鉄、マグネシウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン、バナジウム、
クロム、カルシウム、銅、モリブデン、硼素、燐酸塩、硫酸塩、塩化物および炭
酸塩のイオンを生成しうる一般的に用いられる塩が挙げられる。
消泡剤を存在させて過度の泡立ちを抑制することができ、これは必要により間
隔を置いて添加してよい。
Acremonium strictum X06/15/458を用いる醗酵は、20℃〜35℃、好ましくは24
℃〜30℃の範囲の温度で行なうことができる。最適の結果のためには、これらの
醗酵を24℃〜26℃の範囲の温度で行なうことが最も好都合である。本発明の化合
物を産生するのに好適な栄養培地のpHは、5.0〜8.5、好ましくは6.0〜7.5の範囲
で変動しうる。
小規模醗酵は、好都合には、好適な量の栄養培地を公知の滅菌技術によりフラ
スコに入れ、フラスコに Acremonim strictum の胞子または栄養細胞(vegetati
ve cellular)成長を接種し、フラスコをゆるく綿栓し、そして約25℃の一定室
温で、回転振盪機において95〜300rpmで2〜10日間醗酵を進行させることによっ
て行なわれる。
より大規模の作業のためには、醗酵培地の攪拌器および曝気手段を備えた好適
なタンク中で醗酵を行なうことが好ましい。栄養培地をタンクに満たし、滅菌し
た後、Acremonium strictum の栄養細胞成長を接種する。24℃〜30℃の範囲の温
度で栄養培地を攪拌および/または曝気しながら、1〜8日間醗酵を続ける。曝
気度は幾つかの因子、例えば醗酵槽の大きさおよび攪拌速度に依存する。一般的
に、大規模醗酵は、約95〜500rpmで攪拌し、かつ約0.1〜1.0vvmで曝気する。
式Iのセスキテルペンは、醗酵終了において菌糸体中に主に見出され、回収し
て精製することができる。醗酵ブロスからの本化合物の分離および精製、および
その回収は、溶剤抽出を用いて、次いで種々のクロマトグラフィー技術および溶
剤系を用いた従来のクロマトグラフィー分画を行なうことにより達成することが
できる。セスキテルペンは、実質的に純粋な形態で得ることができる。
式Iのセスキテルペンは、酢酸エチル、メタノールおよびアセトンなどの有機
溶剤に可溶である。この性質は、これら化合物を醗酵菌糸体から回収するために
用いることができる。即ち、醗酵菌糸体を、好適にはほぼ同体積の有機溶剤、例
えばアセトンと混合する。次いで、得られた粗製抽出液を減圧下で濃縮して水性
懸濁液となし、これを有機溶剤で逆抽出して粗製有機抽出液を得る。抽出液全体
を濾過(または遠心分離)し、溶剤を減圧下に濃縮する。次いで有機残留物を最
初はクロマトグラフィーにより、例えば溶離剤としてのメタノールを用いたSeph
adex LH-20カラムクロマトグラフィーにより先ず精製する。
所望生成物および若干の不純物はカラムに保持されるが、不純物の多く(特に
非極性不純物)は保持されない。カラムを非極性有機溶剤、例えばヘキサンまた
はトルエンで洗浄し、次いでジクロロメタンまたはクロロホルムと他の有機溶剤
、例えばメタノールまたは酢酸エチルとの連続的混合物で洗浄して更に不純物を
除去する。溶剤を蒸発させ、残留物をクロマトグラフィーにより、例えばカラム
クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、プレパラティブーレイヤークロ
マトグラフィーまたは高性能液体クロマトグラフィーにより更に処理する。好ま
しい態様において、この更なるクロマトグラフィー程は、繰り返し逆相C18HPLC
(25 X 10 cm、CH3CN:H2O、グラジエント)からなる。
好適な吸着剤としては、シリカゲルおよびオクタデシル結合シリカが挙げられ
る一方で、種々の溶剤および溶剤の組み合わせを溶離剤として使用できる。次い
で溶離液のフラクションを、薄層クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラ
フィーまたは他の従来の技術により試験して、所望化合物の存在を検出し、そし
て単離する。前記の技術の使用は、所望のセスキテルペンを含有する生成組成物
を提供し、その存在は、種々のクロマトグラフィーフラクションを物理-化学的
特性について、および/またはベンゾジアゼピン-受容体複合体結合活性につい
て分析することによって決定される。
Aが環(c)である式Iのセスキテルペン(化合物E)を酸化して、その15,16
-オルトキノン誘導体にすることができ、この誘導体はAが環(d)である式Iの
セスキテルペン(化合物F)である。化合物Fは下記の構造を有する。
酸化は、化合物Eの溶液を空気中に放置することにより行なうことができる。
あるいは、化合物Eの溶液に酸化剤を添加することにより酸化を達成することが
でき、あるいは上記の曝気酸化を促進させることができる。酸化剤の好適な例は
、過沃素酸ナトリウム(NaIO4)である。
式Iのセスキテルペンは、医薬または動物薬として許容される塩に変換するこ
とができる。
好適な塩の例としては、アルカリ金属、例えばナトリウムおよびカリウムとの
塩、およびアンモニウム塩が挙げられる。化合物D、即ち化合物Aのナトリウム
塩は、例えばメタノール中で水酸化ナトリウムを用いて化合物Aを処理すること
により製造できる。
本発明の化合物は、GABA-Bz-Cl-イオノフォア受容体複合体中に含ま
れるベンゾジアゼピン-受容体のリガンドにより変調された障害の処置において
活性を有する。本発明によれば、治療上有効量の本発明化合物の一つを患者に投
与することからなる方法によって、患者が治療される。このようにして、作動活
性を有する本発明の化合物を用いて、GABA-Bz-Cl-イオノフォア受容体
複合体中に含まれるベンゾジアゼピン-受容体にベンゾジアゼピンが結合するこ
とにより冒された状態をコントロールすることができる。従って本化合物は、
例えば鎮静剤、抗痙攣剤、不安寛解剤、筋肉弛緩剤および催眠剤として使用でき
る。こうしてヒトおよび動物の状態を改善することができる。
本発明の化合物は、精製GABA-Bz-Cl-イオノフォア受容体複合体上
に存在する受容体に対して特異的な力価検定リガンドを用いたベンゾジアゼピン
-受容体結合アッセイにおいて活性を有することを示した。アッセイの詳細は下
記の実施例5に記載されている。
本発明の化合物は、種々の投与形態で投与することができ、例えば、経口的に
は錠剤、カプセル、糖衣錠、被覆錠剤、溶液または懸濁液等の形態で、あるいは
非経口的には筋肉内、静脈内または皮下に投与することができる。従って、本発
明の化合物は、注射または注入によって投与できる。
投与量は、患者の年令、体重および状態、および投与経路を含む種々の因子に
依存する。しかしながら典型的には、本発明の化合物を単独でヒト成人に投与す
る場合、各投与経路に採用される投与量は、0.001〜10mg/kg体重、最も普通には
0.01〜5mg/kg体重である。このような投与量は、例えば経口あるいはボルス(b
olus)注入で、数時間にわたる注入および/または反復投与によって、毎日1〜
5回投与することができる。
本発明の化合物は、医薬または動物薬として許容される担体または希釈剤をも
含んで、医薬用または動物薬用組成物として使用するために処方される。これら
の組成物は、典型的には従来法に従って製造され、医薬または動物薬として適す
る形態で投与される。
例えば、固形の経口用形態は、活性化合物と一緒に、希釈剤、例えば乳糖、デ
キストロース、二糖類、セルロース、トウモロコシ澱粉またはバレイショ澱粉;
潤滑、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸のマグネシウム塩ま
たはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール類;結合剤、例えば澱
粉類、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
スまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば澱粉、アルギン酸、アルギン酸
塩またはナトリウム澱粉グリコレート;沸騰剤;色素;甘味料;湿潤剤、例えば
レシチン、ポリソルベート、硫酸ラウリルを含有しうる。このような製剤は、公
知の方法で、例えば混合工程、粒状化工程、製錠工程、糖衣工程または被覆工程
によって製造することができる。
経口投与のための分散液は、シロップ、エマルジョンおよび懸濁液であってよ
い。シロップは、担体として、例えば二糖類を、またはグリセリンおよび/また
はマンニトールおよび/またはソルビトールと共に二糖類を含有することができ
る。特に、食餌療法患者のためのシロップは、担体として、ブドウ糖に代謝され
ない製品、または極めて少量しかブドウ糖に代謝されない製品、例えばソルビト
ールだけを含有しうる。懸濁液およびエマルジョンは、担体として、例えば天然
ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースまたはポリビニルアルコールを含有しうる。
筋肉内注射のための懸濁液またはエマルジョンは、活性化合物と一緒に、製剤
上許容される担体、例えば滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール
類、例えばプロピレングリコール、および所望により適量のリドカイン塩酸塩を
含有することができる。静脈内注射または注入のための溶液は、担体、例えば滅
菌水(注射用には一般的にWater)を含有しうる。しかしながら、これら溶液は
好ましくは滅菌水性生理食塩溶液の形態をとりうる。あるいは本発明の化合物の
を、リポソーム中にカプセル封入することができる。
以下の実施例により本発明を説明する。実施例1−液体培地中でのX06/15/458の培養
菌株X06/15/458の出発材料は、MEA(2%麦芽エキス、1.5%寒天)上で生育
した成熟斜面培養物を、5mlの10%グリセロール水溶液中に懸濁させることによ
り調製した。1mlのこの懸濁液(1.5mlクリオバイアル入り)は出発材料含んで
おり、これを-135℃で保存した。前培養物は、10mlの栄養溶液S(1.5%グリセロ
ール、1.5%大豆ペプトン、1% D-ブドウ糖、0.5%麦芽エキス、0.3% NaCl、0.1%
CaCO3、0.1% Tween 80、0.1% Junlon PW110(供給者:Honeywell and Stain Ltd
.,Times House,Throwley Way,Sutton,Surrey,SMI 4AF)、pH6に調整)中の
出発物質0.5mlを試験管(25mm x 200mm)に無菌的に入れ、240rpmで25℃にて4
日間振盪することにより調製した。
次いで、21のエルレンマイヤーフラスコ中の栄養溶液S 300mlに前培養物を
無菌的に移し、回転振盪機上で240rpmで25℃にて3日インキュベートすることに
より、中間培養物を製造した。
10lの栄養溶液P(2.38%トレハロース、0.69%麦芽エキス、0.1%カルボキシメ
チルセルロース、0.1% Tween 80、0.98% MES、pH6に調整)を入れた14lの攪拌式
醗酵槽に、中間培養物を無菌的に移すことにより、産生用培養物を製造した。容
器を340rpmで攪拌し、0.7vvmで曝気した。pHは調節しなかったが、6.0〜7.0の範
囲のままであった。醗酵の経過中に、醗酵槽を25℃の一定温度に保った。7日後
に醗酵を中止し、生成物を抽出するためにバイオマスを収穫した。
75リットルの醗酵槽を採用した大規模な醗酵を、下記のように行なった。40ml
の前培養物を前記のようにして製造し(四本の25 x 200mm試験管)、3リットル
醗酵槽中の栄養溶液S 2リットルに移した。容器を500rpmで攪拌し、0.25vvmで
曝気した。pHは調節せず、温度を25℃に保持した。4日後にこの中間培養物を、
50lの栄養溶液Pを入れた75リットル醗酵槽に無菌的に移した。この75リットル
の容器を0.5vvmで曝気し、350rpmで攪拌して、全醗酵期間にわたり溶存酸素テン
ションを>70%に保持した。pHは調節しなかったが、6.0〜7.0のままであり、温
度は25℃の一定に保った。7日後に醗酵を中止し、バイオマスを収穫した。実施例2−化合物Aの抽出および精製
14lの醗酵ブロスを遠心分離し、菌糸体(〜344g)をアセトン(3 x 51)で抽
出した。抽出液を蒸発乾固し(8.0g)、純メタノールに再溶解した。精製は、Wa
ters Delta-Pak C18(100Å、15μm)カラム(内径10.0mm)長さ25.0 cm)を用
い、かつ、4分(80%アセトニトリル水溶液、12ml/minの流速)から20分(100%
アセトニトリル、12ml/minの流速)まで線状に傾斜する移動相グラジエントを用
いた逆相プレパラティブHPLCにより行なった。波長監視は280nmであった。
17〜18分で集められたピークを、同じカラムを用い、しかし、15分(40
%アセトニトリル水溶液、12ml/min流速)から20分(100%アセトニトリル、12ml/
minの流速)まで線状に傾斜する移動相グラジエントを用いて更に精製を行なっ
た。
9〜10分で集められたピークは、Yが二重結合を示す式IIのセスキテルペンで
あった。この化合物は下記の物理的特性を有していた。
実施例3−化合物Bの抽出および精製
75lの醗酵物を遠心分離し、菌糸体を酢酸エチル(5 x 10l)で抽出した。この
抽出液を蒸発乾固し、純メタノールに再溶解した。精製は、Waters Delta-Pak C
18(100Å、15μm)カラム(内径10.0mm、長さ25.0cm)を用い、かつ5分で80%
アセトニトリル水溶液(10ml/minの流速)の移動相を用いた逆相プレパラティブ
HPLCにより行なった。波長監視は280nmに設定した。
23〜25分で溶離した化合物は、化合物B、即ちRがOHである式IIIのセスキ
テルペンであった。この化合物は下記の物理的特性を有していた。
実施例4−化合物Cの抽出および精製
75lの醗酵物を遠心分離し、菌糸体を酢酸エチル(5 x 10l)で抽出した。
この抽出液を蒸発乾固し、純メタノールに再溶解した。精製は、Waters Delta-P
ak PrepPak 3000 カートリッジ(C18、100Å、15μm、内径47mm、長さ30.0 cm)
を用い、かつ0.5分での80%アセトニトリル水溶液(50ml/minの流速)から30分で
の100%アセトニトリル(50ml/minの流速)まで線状に傾斜する移動相グラジエン
トを用いた逆相プレパラティブHPLCにより行なった。18〜19分間で溶離した化合
物は、化合物C、即ちRがHである式IIのセスキテルペンであった。このピーク
を、同じカラムを用い、しかし、5分での30%アセトニトリル水溶液(50ml/min
の流速)から10分での15%アセトニトリル水溶液(50ml/minの流速)まで線状に
傾斜する移動相グラジエントを用いて更に精製した。次いでこの溶剤組成を、15
%アセトニトリル水溶液(50ml/minの流速)で15分間保持した後、5分間かけて1
00%アセトニトリル(50ml/minの流速)に線状に傾斜させた。関心のあるピーク
(化合物C)は、このグラジエントにおいて22〜24分で溶離した。この化合物は
下記の物理的特性を有していた。
実施例5−化合物A’の抽出および精製
X06/15/458のバイオマスを濾過により集め、次いでアセトン(25 L)で抽出し
、抽出液を濾過によりバイオマスから分離した。アセトンを回転蒸発により除去
し、残った水性スラリーを凍結乾燥すると、ガム状になった。このガム状物をメ
タノール(250ml)に溶解し、濾過した後、蒸発した(150ml)。15ミクロンの充
填物を有する47 x 100mmの C18(オクタデシルシリカ)Delta-Pakカートリッジ
を用いた逆相HPLCにより、試料をクロマトグラフィー処理した。100ml/minの流
速を、80%水‐20%アセトニトリルから80%水‐20%アセトニトリルまでのグラジエ
ントにて、30分間にわたって使用した。化合物Aを278nmで検出した。同じカラ
ムおよび流速を用い、60%水‐40%アセトニトリルから35%水‐65%アセトニトリル
までのグラジエントにて、活性フラクションを40分間にわたって再びクロマトグ
ラフィー処理した。活性フラクションを回転蒸発器で濃縮してアセトニトリルを
除去し、次いで凍結乾燥すると、固体(化合物A、バッチ1)が得られた。
シリカゲル(MERCK、230〜400メッシュ、粒子0.040〜0.063mm)を16cmまでの
深さに充填したフラッシュカラム(30cm x 1.4cm)を用い、かつ40%ヘキサン‐6
0%酢酸エチル‐1%酢酸で定組成溶離した正常相クロマト
グラフィーにより、更に精製を行なった。揮発性溶剤を減圧下に除去すると無色
油状物が得られ、凍結乾燥器で残留溶剤を除去すると、白色結晶性固体(化合物
A、バッチ3)が得られた。
この生成物をフリーザー中で6週間保存した。保存後のこの固体の逆相HPLCを
、Prep 3000上で、C18-Nova-Pak HR(6ミクロン)を充填した25 x 100mmのカー
トリッジを用いて行なった。20ml/minの流速を、70%水‐30%アセトニトリルから
100%アセトニトリルまでのグラジエントにて、20分間にわたって使用した。化合
物Aのほかに、より極性の第二成分が単離され、化合物Aの7,8-エポキシド、即
ち化合物A’であると同定された。化合物Aをその7,8-エポキシドから分離する
もう一つの方法は、Delta-Prepを、60%水‐40%アセトニトリルから40%水‐60%ア
セトニトリルまでのグラジエントにて、20分間にわたって使用することである。
化合物A’の同定は、UV、MSおよびNMRのデータを化合物Aについて得られた
対応するデータ(実施例2参照)と比較することにより行なった。
化合物A’は下記の物理的特性を有していた。
実施例6−化合物Eの抽出および精製
X06/15/458の75L醗酵ブロスを遠心分離し、菌糸体を酢酸エチル(5 x 10L)で
抽出した。この抽出液を蒸発乾固し、純メタノールに再溶解した。精製は、Wate
rs Delta-Pak PrepPak 3000 カートリッジ(C18、100Å、15μm、内径47mm、長
さ30.0cm)を用い、かつ、40%アセトニトリル水溶液(50ml/minの流速)の定組
成移動相を50分、次いでアセトニトリルフラッシュを10分間用いた逆相プレパラ
ティブHPLCにより行なった。44〜48分間で溶離した化合物は、標的の化合物Eで
あった。波長監視は200nmに設定した。このピークを、Waters Delta-Pakカラム
(C18、100Å、15μm、内径10.0mm、長さ25.0cm)を用い、かつ、55%アセトニト
リル水溶液(15mL/minの流速)の定組成移動相を28分、次いでアセトニトリルフ
ラッシュを10分間用いた逆相セミ-プレパラティブHPLCにより行なった。23〜28
分間で溶離した化合物は、標的の化合物Eであった。波長監視は200nmに設定し
た。
化合物Eは下記の物理的特性を有していた。
実施例7−化合物Fの抽出および精製
実施例6に記載した化合物Eのメタノール溶液を、過剰のNaIO4を加えて促進
して空気酸化させた。
精製は、Waters Delta-Pakカラム(C18、100Å、15μm、内径10.0mm、長さ25.
0cm)を用い、5分での25%アセトニトリル水溶液(12mL/minの流速)から35分の
時での80%アセトニトリル水溶液(12mL/minの流速)に傾斜する段階的溶剤グラ
ジエントを用いた逆相プレパラティブHPLCにより行なった。30〜32分で溶離した
化合物は、標的の化合物Fであった。波長監視は200nmに設定した。
化合物Fは下記の物理的特性を有していた。
実施例8−ベンゾジアゼピン−受容体結合性アッセイにおける
本発明の化合物の試験
受容体抽出物は、Lang et al(FEBS Lett.,104 149-153,1979)の方法によ
り,雄ウシ大脳皮質から単離された粗製シナプス細胞調製物であった。受容体結
合性は、Braestrup and Squires(PNAS 74 3805-3809,1977)の方法の、O'Beir
ne and Williams(Eur.J.Biochem,175 413-421,1988)により記載された変法
を用いて測定した。受容体調製物を、50mM Tris/Cl,pH7.4中で、化合物Aおよ
び最終濃度1nMの[3H]-フルニトラゼパム(flunitrazepam)(作動物質)と共
にインキュベートした。結合した放射性リガンドをガラス繊維フィルター上に収
穫し、液体シンチレーション計数により測定した。非-特異的結合は、液体をDia
zepam(1μM)で置き換えることにより決定した。
コンピュータプログラム’LIGAND’(Munson and Rodbard: Analytic Bioche
m107 220-239,1980)および’EBDA’(McPherson-Computer Prog.in Biomed
.17 107-114,1983)を用いた非-線形回帰分析で評価して、1部位または2部
位モデルに適合するものであった。
実施例3および4に記載の各化合物BおよびCを用いて、また化合物Aのナト
リウム塩である化合物Dを用いて、それぞれ前記の方法を繰り返した。
また、実施例5〜7に記載の化合物A’、EおよびFについてIC50値を測定
した。
得られた結果は以下のとおりであった。
実施例9−製剤組成物
各重量が0.15gであり、本発明の化合物の一つを25mg含有する錠剤は、次のよ
うにして製造することができる。
10,000錠用の組成物
本発明の化合物(250g)
乳糖(800g)
トウモロコシ澱粉(415g)
タルク粉(30g)
ステアリン酸マグネシウム(5g)
本発明の化合物、乳糖および半量のトウモロコシ澱粉を混合する。次いで混合
物を0.5mmメッシュサイズの篩を通して押し出す。トウモロコシ澱粉(10g)を温
水(90ml)中に懸濁させる。得られたペーストを造粒して粉末とする。粒状物を
乾燥し、1.4mmメッシュサイズの篩上で粉砕する。残量のトウモロコシ澱粉、タ
ルクおよびステアリン酸マグネシウムを加え、注意深く混合して錠剤に加工する
。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 493/16 9165−4C
C12P 17/18 D 7432−4B
//(C12P 17/18
C12R 1:645)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,H
U,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV,MG
,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,
RU,SD,SE,SK,UA,US,UZ,VN
(72)発明者 コップ ブレント レイモンド
ニュージーランド オークランド プライ
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オブ オークランド デパートメント
オブ ケミストリー