JPH09266996A - ミシンの軸受構造 - Google Patents

ミシンの軸受構造

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JPH09266996A
JPH09266996A JP8000296A JP8000296A JPH09266996A JP H09266996 A JPH09266996 A JP H09266996A JP 8000296 A JP8000296 A JP 8000296A JP 8000296 A JP8000296 A JP 8000296A JP H09266996 A JPH09266996 A JP H09266996A
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JP
Japan
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sewing machine
bearing structure
sliding surface
hook
pot
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JP8000296A
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English (en)
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Masafumi Suzaki
雅文 須崎
Kazuo Takaku
和男 高久
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Juki Corp
Original Assignee
Juki Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外釜の高速回転のミシンに適用するのに好適
で、潤滑油を供給しなくとも、前記ミシンの釜や針棒装
置等の摺動面が発熱したり焼付いたり、あるいは摩耗し
てがたを生じたりすることを完全に防止することのでき
る耐久性の高いミシンの軸受構造を提供すること。 【解決手段】 軸受部材14と被軸受部材17のうち少
なくとも一方の摺動面12bにボロンを含んだ無電解ニ
ッケルメッキが施されていること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミシンにおいて下
軸の端部に外釜を支持するとともに、この外釜の内側に
ボビンを収納した内釜を外釜の回転中にも静止しうるよ
うに相対回転可能に支持してなるミシンの釜や、上下方
向に往復運動する針棒とこの針棒を支持する軸受部材か
らなる針棒装置等に用いられる軸受構造に係り、特に、
回転数の高い工業用ミシンに使用されるのに好適なミシ
ンの軸受構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より使用されている工業用ミシンに
おいては、針が最高1分間当り5500回程度往復動す
るので、この針の動作に関連した動作を行う各箇所は最
高1分間当り11000回程度回転することになる。そ
こで、このように高速回転する各箇所の軸受には、ポン
プにより潤滑油を強制供給しないと、部品が過熱して焼
付いたり、摩耗したりするおそれがある。
【0003】例えば、ミシンにおける釜は、一般に、針
を挿通している上糸に下糸を引掛けるためのものである
ため、下糸を巻回してなるボビンを収納している内釜は
針の往復動にもかかわらず静止しているのに対し、上糸
を引掛るフックを備えている外釜は針の往復動に関連し
て高速回転することになる。
【0004】そこで、外釜と相対的に摺動する内釜の摺
動面としては、摺動抵抗を減少する必要があるが、この
ため従来から潤滑油を外釜を支持している下軸に形成さ
れている潤滑油通路から外釜に形成されている他の潤滑
油通路を介して内釜のレ―ス面に供給するようになって
いた。
【0005】まず、このようなミシンにおける釜の従来
のものを図5により説明する。
【0006】図5において、図示しないモ―タのような
駆動手段により高速回転されうる下軸1が配設されてお
り、この下軸1は、軸方向に間隔を隔てて配設された1
対のメタル2(一方のみ図示)に組込まれたスラスト受
け3に軸方向の動きを規制され支持されている。この下
軸1の中心部には、軸方向に延在する第1潤滑油通路4
が形成されており、この第1潤滑油通路4内には、図示
を省略した下軸1の基端側から潤滑油が供給されうるよ
うになっている。
【0007】前記下軸1の先端部には外釜5が固定され
ている。この外釜5は、前記下軸1の先端部の外周に嵌
合される円盤状の基部6と、この基部6の先端側に連設
されたほぼ円筒系の外釜本体10とを有しており、前記
基部6は、前記下軸1の先端部が比較的密に挿入されう
る中心孔7を有している。また、前記基部6には、その
外周面6aから前記中心孔7に連通する半径方向のねじ
孔8が形成されており、このねじ孔8にねじ9を螺合し
てそのねじ9の先端を下軸1の外周面1aに圧接するこ
とにより外釜5は下軸1と一体的に回転しうることにな
る。
【0008】前記外釜本体10は、前記基部6の先端に
同心的に突設され基部6より大径の基板11と、この基
板11の先端側に連設されたほぼ円筒形の外周壁12と
を有しており、この外周壁12の外周面12aには、比
較的薄肉のフック部材13が図示しないねじにより被着
されている。さらに、前記外釜5の外周壁12の内周面
12bには円環状のガイド溝14が形成されている。
【0009】前記外釜5の内部空所15内には、この外
釜5に対し相対回転可能な内釜16が配設されている。
この内釜16は、全体的にほぼ円筒形に形成されてお
り、この内釜16の外周面16aには、前記外釜5のガ
イド溝14内に嵌合し、かつ相対的に円周方向に摺動し
うるほぼ円環状のガイド突起17が糸の抜ける部位を除
いて周設されている。このガイド突起17の外周面はレ
ース面と称されている。また、前記内釜16の基端部に
は、その直径方向に架け渡された支持板18が一体に取
付けられており、この支持板18の長手方向の中央部に
は内釜16の軸方向に延在する支持ピン19が同軸的に
突設されている。この支持ピン19には、下糸を巻回し
た図示しないボビンが装着されるようになっている。
【0010】前記外釜5の外釜本体10の基板11に
は、前記中心孔7に連通し中心孔7より大径の円形凹部
20が形成されており、この円形凹部20には、前記外
釜5内を延在する第2潤滑油通路21が連通されてい
る。この第2潤滑油通路21は、ほぼ放射方向に延在す
るように前記基板11に形成され、前記円形凹部20に
連通されている放射方向通路22と、この放射方向通路
22の外端に連通されかつ基板11から外周壁12にか
けてほぼ軸方向に延在するように形成されている軸方向
通路23とにより構成されている。
【0011】前記軸方向通路23の先端は、前記ガイド
溝14の近傍にまで到達しており、この部位の前記外周
壁12内には、前記ガイド溝14および軸方向通路23
にそれぞれ連通する円形の濾過室24が形成されてい
る。なお、この濾過室24は、前記外周壁12の外周面
12aに開放されており、図示しない蓋体により開閉可
能に被覆されるようになっている。そして、前記濾過室
24内には、フェルト等からなる繊維を不織布のように
固めてなる濾過部材25が収納されている。
【0012】一方、前記下軸1の先端部には、油量を制
限するための油量制限部材たる濾過部材26を保持する
保持スリ―ブ27が装着されるようになっている。この
保持スリ―ブ27は、前記下軸1の第1潤滑油通路4を
なす内周面に形成された図示しないねじ部に螺合される
ねじ部を外周面に形成されたスリ―ブ本体28と、この
スリ―ブ本体28に連設され前記第1潤滑油通路4より
大径のフランジ29とにより構成されており、このフラ
ンジ29には、前記スリ―ブ本体28の内側と前記円形
凹部20とを連通する連通孔30が形成されている。前
記スリ―ブ本体28の内端には、前記連通孔30と連通
し、連通孔30側が小径の円錐台形に形成された凹部3
1が形成されている。そして、前記スリ―ブ本体28内
に装着される前記濾過部材26は、前述したフェルト等
からなる繊維を不織布のように固めてスリ―ブ本体28
の内径とほぼ等しい円柱状に構成されている。
【0013】なお、このスリーブ本体28の材質はポリ
エステル、焼結材など緩衡効果をもつものであればよ
い。
【0014】つぎに、前述した構成からなる従来のもの
の作用について説明する。
【0015】下軸1が外釜5とともに高速回転し、図示
しない針により縫製が行われている間、下軸1の第1潤
滑油通路4内には、図示しないポンプにより潤滑油が高
圧で供給されるようになっている。
【0016】高圧の潤滑油がそのまま外釜5のガイド溝
14から噴射されると縫製中の布などを潤滑油で汚して
しまうことになるが、第1潤滑油通路4内には濾過部材
26が配設されており、この濾過部材26を潤滑油が通
過する際の濾過部材26の抵抗により、濾過部材26を
通過する潤滑油はその油圧ならびに油量を減少されるこ
とになる。そして、高速回転している外釜本体10の放
射方向通路22を通過する際に遠心力によりある程度の
潤滑油の加速が行われ、外釜5のガイド溝14からは適
量の潤滑油が内釜16のガイド突起17に供給されるこ
とになる。
【0017】ところで、潤滑油には、縫製品の布くずや
各種摩耗粉等の異物が混入することがあるが、これらの
異物は濾過部材26において濾過されることになるた
め、濾過部材26を長期にわたって使用しつづけると、
濾過部材26が目詰りを起こし、潤滑油が内釜16のガ
イド突起17に供給されなくなってしまうことになる。
すると、外釜5および内釜16が発熱したり焼付いたり
したり、あるいは摩耗してがたを生じたりするおそれが
ある。
【0018】したがって、このような事故が発生した
ら、外釜5、内釜16および濾過部材26を交換しなけ
ればならないが、濾過部材26を交換するためには、保
持スリ―ブ27を取外さなければならず面倒であるた
め、使用者は、濾過部材26を交換せずに単に外釜5お
よび内釜16のみを交換してしまうことが多い。する
と、運転を再開しても、濾過部材26は相変わらず目詰
まり状態にあるため、短期間のうちに外釜5および内釜
16の事故が再発してしまうおそれがある。
【0019】このため従来から潤滑油を供給することな
くミシンの高速回転を可能とするいわゆる無給油回転釜
の開発が行われていた。
【0020】このような無給油回転釜の従来のものの1
例としては、釜の材質として前記液晶ポリマーや高密度
ポリエチレンなどにフッ素樹脂などの充填剤を添加した
ものがある。
【0021】しかしながら、このような従来の材質から
なる釜においては、1分間当り8000回転程度の回転
数で外釜が回転する場合には、外釜および内釜が発熱し
たり焼付いたりしたり、あるいは摩耗してがたを生じた
りしないが、針が最高1分間当り5500回程度往復動
する高速の工業用ミシンにおける外釜のように最高1分
間当り11000回程度回転する釜の場合、外釜、内釜
が発熱したり焼付いたり、あるいは摩耗してがたを生じ
たりするおそれがあった。
【0022】これは、1分間当り11000回程度回転
する釜の場合、外釜および内釜の摺動する部位における
温度は200℃以上に達するが、液晶ポリマーのような
高分子材料は高温酸素雰囲気中において酸化劣化を起す
ことに起因していると推定される。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】また、無給油回転釜の
従来のものの他の例としては、外釜5および内釜16の
摺動部に摩耗防止のための電解クロムメッキや無電解ニ
ッケル−リンメッキを施したものがある。
【0024】しかしながら、電解クロムメッキは、その
膜の硬度は900Hv程度であり相当の耐摩耗性を有す
るものの、成膜された膜の厚さが不均一となり、寸法精
度が得られないという不具合があった。
【0025】また、無電解ニッケル−リンメッキを施し
た場合、その膜の硬度は400Hv程度であり、耐摩耗
性を向上させるためには400℃近い熱で処理を行なう
必要がある。その熱処理を行なった場合には、無電解ニ
ッケル−リンメッキの膜の硬度は900〜1000Hv
まで向上するが、外釜5および内釜16の下地が浸炭焼
入れした金属であった場合には、その下地自体の硬度の
低下や変形が起こり、また、外釜5および内釜16の下
地が樹脂であった場合には樹脂成分の分解や変形が起こ
るために、前記無電解ニッケル−リンメッキの硬度が向
上しても、最終的には、外釜5および内釜16の摩耗の
低減には繋がらないという問題があった。
【0026】また、ニッケル−リンにセラミックスや金
属酸化物を複合させてメッキの硬度を向上させることに
より、摩耗を低減することもできるが、複合材であるセ
ラミックスや金属酸化物によって相手材の摩耗を増長さ
せるという問題点があった。
【0027】そして、金属素材により形成され上下方向
に往復運動する針棒を金属製の軸受部材を用いて摺動可
能に保持する針棒装置の軸受構造においても、ミシンの
高速運転にともなって摺動面が発熱し、この発熱に起因
して焼付損傷(針棒が軸受と焼き付いてしまい針棒が動
作しなくなる)や摩耗、発熱を生じる場合があるという
問題点があったため、このような焼付損傷や摩耗を防止
すべく、針棒装置においても、その軸受構造の摺動面に
給油手段を設けて潤滑油を強制的に供給する構成が用い
られていた。
【0028】しかし、従来の工業ミシンの針棒装置の摺
動面に対して潤滑油を強制的に供給する給油手段を設け
ることは、ミシン構造の複雑化や部品点数の増加等を招
きコストを増加させるばかりでなく、摺動面に供給する
潤滑油の量(給油量)を適正に制御するのが困難であ
り、摺動面に対する給油量が多い場合には、潤滑油によ
って縫製物を汚染する場合があるという問題点があっ
た。また逆に、油芯やオイルミストを用いた微量給油あ
るいはグリース給油によって摺動面に対する給油量を少
なくした場合には、焼付損傷あるいは摩耗、発熱を確実
に防止することができない場合があった。
【0029】本発明は、このような点に鑑み、外釜が最
高1分間当り11000回程度回転する高速回転のミシ
ンに適用するのに好適で、潤滑油を供給しなくとも、前
記ミシンの釜や針棒装置等の摺動面が発熱したり焼付い
たり、あるいは摩耗してがたを生じたりすることを完全
に防止することのできる耐久性の高いミシンの軸受構造
を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明の請求項1に係るミシンの軸受構造は、軸受部材
と被軸受部材のうち少なくとも一方の摺動面にボロンを
含んだ無電解ニッケルメッキが施されていることを特徴
とするものである。
【0031】請求項1に記載の本発明に係るミシンの軸
受構造によれば、素材の硬度を低下させたりそれらの部
材自体の形状に変形を生じさせることなく硬度の高い膜
を得ることができるボロンを含む無電解ニッケルメッキ
を施された摺動面は、部材の摩耗を低減させることがで
きる。
【0032】また、本発明の請求項2に係るミシンの軸
受構造は、前記軸受部材と被軸受部材のうち、いずれか
一方の部材の少なくとも摺動面はボロンを含んだ無電解
ニッケルメッキが施されており、他方の部材の少なくと
も摺動面は耐熱性樹脂により形成されていることを特徴
とするものである。
【0033】請求項2の本発明に係るミシンの軸受構造
によれば、耐熱性樹脂により形成された摺動面は、高温
酸素雰囲気中における劣化速度が遅く、硬度の高い膜を
得ることができるボロンを含む無電解ニッケルメッキを
施された摺動面は、前記メッキ処理が施された部材の摩
耗を低減させることができる。
【0034】また、本発明の請求項3に係るミシンの軸
受構造は、回転または揺動駆動される下軸の端部に外周
壁の内周面に円環状のガイド溝が形成された略円筒形の
外釜を支持し、この外釜の内側に外周面に前記外釜のガ
イド溝に嵌合し、かつ相対的に円周方向に摺動しうるほ
ぼ円環状のガイド突起が設けられている略円筒形の内釜
を外釜に対し相対回転可能に支持したミシンの軸受構造
において、前記外釜のガイド溝には、ボロンを含んだ無
電解ニッケルメッキが施されており、前記内釜のガイド
突起は耐熱性樹脂により形成されていることを特徴とす
るものである。
【0035】請求項3の本発明に係るミシンの軸受構造
によれば、ミシンの釜において、耐熱性樹脂により形成
された内釜のガイド突起は、高温酸素雰囲気中における
劣化速度が遅く、硬度の高い膜を得ることができるボロ
ンを含む無電解ニッケルメッキを施されたガイド溝は、
前記メッキ処理が施された部材の摩耗を低減させること
ができ、このガイド突起とガイド溝が摺動しても、それ
らが摩擦により発熱したり焼付いたりすることを防止す
ることができる。
【0036】そして、請求項4に記載のミシンの軸受構
造は、ミシンの針棒装置において、被摺動面を有し上下
運動可能に配設された針棒と、この針棒を上下方向に往
復摺動可能に支持する摺動面を有する上下1対の針棒軸
受からなるミシンの軸受構造において、前記針棒の被摺
動面には、ボロンを含んだ無電解ニッケルメッキが施さ
れており、前記針棒軸受の摺動面は耐熱性樹脂により形
成されていることを特徴とする。
【0037】請求項4に記載のミシンの軸受構造によれ
ば、ミシンの針棒装置において、前項のミシンの軸受構
造と同様に、耐熱性樹脂により形成された針棒軸受の摺
動面は、高温酸素雰囲気中における劣化速度が遅く、硬
度の高い膜を得ることができるボロンを含む無電解ニッ
ケルメッキを施された針棒は、前記メッキ処理が施され
た被摺動面の摩耗を低減させることができ、この針棒軸
受の摺動面と針棒の被摺動面とが摺動しても、それらが
摩擦により発熱したり焼付いたりすることを防止するこ
とができる。
【0038】請求項5に記載のミシンの軸受構造は、請
求項1から請求項4のいずれかに記載のミシンの軸受構
造において、前記ボロンを含んだ無電解ニッケルメッキ
は、ニッケル−ボロン、ニッケル−タングステン−ボロ
ンまたはニッケル−リン−ボロンのいずれかであること
を特徴とする。
【0039】請求項5に記載のミシンの軸受構造によれ
ば、特に、摩擦係数が小さいので、耐摩耗性をさらに向
上させることができる。
【0040】また、請求項6のミシンの軸受構造は、請
求項2から請求項5のいずれかに記載のミシンの軸受構
造において、前記耐熱性樹脂はポリイミドであることを
特徴とする。
【0041】請求項6に記載のミシンの軸受構造によれ
ば、特に、高温での強度低下が少なく、軸受構造の摺動
面と被摺動面とが摺動しても、摩擦により発熱したり焼
付いたりすることを防止することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態により説明する。
【0043】図1は、本発明のミシンの軸受構造を有す
る外釜5のほぼ円筒型に形成された外釜本体10を示す
ものである。
【0044】前記外釜5は、図示しないモータのような
駆動手段により高速回転されうる下軸1の先端部に固定
されており、前記下軸1の先端部の外周に嵌合される円
盤状の基部6と、この基部6の先端側に連設されたほぼ
円筒形の外釜本体10とを有している。
【0045】前記外釜本体10は、前記基部6の先端に
同心的に突設され基部6より大径の基板11と、この基
板11の先端側に連設されたほぼ円筒形の外周壁12と
を有しており、この外釜5の外周壁12の内周面12b
には円環状のガイド溝14が形成されている。
【0046】図2は、前記外釜5のガイド溝14を示す
拡大断面図である。
【0047】本実施形態においては、前記外釜5は、鉄
あるいはステンレスなどの金属(図2中、斜線で示す)
により形成されており、その表面には全体に無電解ニッ
ケル−ボロンメッキ(図2中、網目で示す)が施されて
いる。なお、この無電解ニッケル−ボロンメッキは、内
釜16の前記ガイド突起17と摺動することとなる外釜
5のガイド溝14にのみ施すようにしてもよい。また、
前記無電解ニッケル−ボロンメッキはボロンを含む無電
解ニッケルメッキ、例えば、無電解ニッケル−リン−ボ
ロンメッキ、無電解ニッケル−タングステン−ボロンメ
ッキ等とすることもできる。ここで、ニッケルメッキに
ボロンを含むことを条件としているのは、ボロンの摺動
特性に着目したためである。尚、本実施形態においては
ボロンの含有量は0より多く1%未満とする。そして、
これらのボロンを含むメッキは、例えば、1分間当り1
1000回程度回転する釜の外釜5および内釜16の摺
動する部位における温度が200℃以上に達した場合に
も、その高温酸素雰囲気中において酸化劣化することが
ないという優れた特性を示すこととなる。
【0048】そして、前記外釜5の内部空所15内に
は、この外釜5に対し相対回転可能な内釜16が配設さ
れる。この内釜16は、図3に示すように、全体的にほ
ぼ円筒形に形成されており、この内釜16の外周面16
aには、前記外釜5のガイド溝14内に嵌合し、かつ相
対的に円周方向に摺動しうるほぼ円環状のガイド突起1
7が糸の抜ける部位を除いて周設されている。
【0049】図4は、前記内釜16のガイド突起17を
示す拡大断面図である。
【0050】本実施形態において、前記外釜5のガイド
溝14と摺動することになる内釜16のガイド突起17
は、耐熱性樹脂(図4中、網目で示す)としてのポリイ
ミドにより形成されているものとする。なお、前記ガイ
ド突起17は、耐熱性樹脂を基材とし、これに炭素繊維
等の強化材を添加した材料を用いて形成してもよい。
【0051】この材料としては、 1.耐熱性樹脂としてポリイミドを基材とし、これに強
化材として炭素繊維を20−30重量%添加したもの 2.耐熱性樹脂としてポリイミドを基材とし、これに強
化材として炭素繊維を20−30重量%添加するととも
に、さらに潤滑特性を改良するために黒鉛およびポリテ
トラフルオロエチレンの少なくとも一方を5−10重量
%添加したもの 3.耐熱性樹脂としてポリエーテル・エーテルケトンを
基材とし、これに強化材として炭素繊維を20−30重
量%添加したもの 4.耐熱性樹脂としてポリエーテル・エーテルケトンを
基材とし、これに強化材として炭素繊維を20−30重
量%添加するとともに、さらに潤滑特性を改良するため
に黒鉛およびポリテトラフルオロエチレンの少なくとも
一方を5−10重量%添加したもの の4種を例示することができる。
【0052】これらの耐熱性樹脂は炭素繊維を含有する
ため摺動抵抗が小さいという特性を示すこととなる。
【0053】また、前記内釜16の基端部には、その直
径方向に架け渡された支持板18が一体に取付けられて
おり、この支持板18の長手方向の中央部には内釜16
の軸方向に延在する支持ピン19が同軸的に突設されて
いる。この支持ピン19には、下糸を巻回した図示しな
いボビンが装着されるようになっている。
【0054】なお、前記ガイド突起17を除いた内釜1
6の他の部位は、本実施形態においては鉄あるいはステ
ンレスなどの金属(図4中、斜線で示す)により形成さ
れているものとするが、内釜16全体を、耐熱性樹脂で
形成するようにしてもよいことはいうまでもない。ま
た、その他のミシンの釜部分の構造については、従来例
で説明した構成とほぼ等しいものとし、説明を省略す
る。
【0055】以上の構成において、本発明の軸受構造を
有したミシンが作動し、図示しないモータのような駆動
手段により外釜5が回転すると、図1および図2に示し
た外釜5のガイド溝14と、図3および図4に示したガ
イド突起17とが摺動する。
【0056】この時、本実施形態においては、前記外釜
5は、ガイド溝14も含めてその表面に無電解ニッケル
−ボロンメッキが施されている。このボロンを含む無電
解ニッケルメッキは、約60℃という低温で処理ができ
るため、外釜5の下地を構成する素材の硬度を低下させ
たり、外釜5に変形を生じさせることなく、硬度の高い
膜を得ることができる。そして、その膜の硬度は750
〜900Hvと相当の耐摩耗性を備えるため、外釜5の
摩耗を低減させることができる。また、ニッケル−ボロ
ンメッキや、ニッケル−リン−ボロンメッキは、摩擦係
数が小さいので耐摩耗性をさらに向上させることができ
る。
【0057】このように、外釜5自体の硬度や形状に影
響を与える高温での熱処理を行なわなくとも、従来のニ
ッケル−リンメッキを施し、高温熱処理を行なったもの
と比べ良好な耐摩耗性を得ることができる。また、ニッ
ケル−リンにセラミックスや金属酸化物を複合させない
ので、相手材の摩耗を増長させることもない。
【0058】さらに、ニッケル−ボロンメッキは、ニッ
ケル−リンメッキと比べ、低温での熱処理(300℃前
後)により硬度がHu1000以上となり、摩擦係数も
下がり耐摩耗性も一段と向上する。母材にSKD(合金
工具鋼材)、SKH(高速度工具鋼材)等の高温度焼戻
し(400℃以上)材料を用いることにより、変形がな
く母材硬度の変形もないため、一段と有効である。
【0059】さらに、本実施形態においては、その外釜
5に施されたニッケル−ボロンメッキと摺動する相手材
としてポリイミド等の耐熱性樹脂を用いたが、前記ポリ
イミド等の耐熱性樹脂は高温酸素雰囲気中における劣化
速度が遅いし、また、強化材として炭素繊維を添加した
場合には、高温中における剛性を確保できる。
【0060】よって、外釜5が最高1分間当り1100
0回程度回転する高速回転のミシンに、これらの材質に
より形成された前記ガイド突起17を有する内釜16を
適用し、さらに、ボロンを含むニッケルメッキが施され
たガイド溝14を有する外釜5を適用すれば、前記潤滑
油を供給しなくとも、摺動を円滑にするとともに、外釜
5および内釜16の摺動部が発熱したり焼付いたりする
ことを完全に防止することが可能となり、縫製速度も向
上させることができる。
【0061】なお、本発明は、前述した実施形態に限定
されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能で
ある。
【0062】例えば、前述した実施形態においては外釜
に対してボロンを含む無電解ニッケルメッキを施すよう
にしたが、内釜の表面全体または内釜の摺動面となるガ
イド突起部分のみに対してボロンを含む無電解のニッケ
ルメッキを施すようにしてもよいし、外釜および内釜の
両方に対してボロンを含む無電解のニッケルメッキを施
すようにしてもよい。
【0063】さらに、前述した実施形態においては全回
転釜について説明したが、本発明は半回転釜にも適用可
能である。この半回転釜の場合、下軸は揺動することに
なる。また、本発明のミシンの軸受構造は、前述したミ
シンの釜部分にのみ使用が限られるわけではなく、例え
ば、ミシンの金属素材により形成され上下方向に往復運
動する針棒や押え棒を金属製の軸受部材を用いて摺動可
能に保持する軸受構造に用いることも可能である。
【0064】
【発明の効果】以上述べたように本発明に係るミシンの
軸受構造によれば、前記ボロンを含む無電解ニッケルメ
ッキ処理が施された部材の摩耗を確実に低減させて、ミ
シンの駆動時にがたが生じることを防止することがで
き、また、そのボロンを含む無電解ニッケルメッキが施
された部材と摺動する相手材として耐熱性樹脂を用いれ
ば、潤滑油を供給しなくとも摺動面が発熱したり焼付い
たりすることを確実に防止することができ、釜の回転数
の高い工業用ミシンの耐久性を向上させることができる
等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るミシンの軸受構造を有する外釜の
一実施形態を示す正面図
【図2】図1の外釜のガイド溝を示す拡大断面図
【図3】本発明に係るミシンの軸受構造を有する内釜の
一実施形態を示す正面図
【図4】図3の内釜のガイド突起を示す拡大断面図
【図5】従来のミシンの釜部分の構成を示す縦断面図
【符号の説明】
5 外釜 10 外釜本体 12 外周壁 12b 内周面 14 ガイド溝 16 内釜 16a 外周面 17 ガイド突起

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受部材と被軸受部材とからなるミシン
    の軸受構造において、前記軸受部材と被軸受部材のうち
    少なくとも一方の摺動面に、ボロンを含んだ無電解ニッ
    ケルメッキが施されていることを特徴とするミシンの軸
    受構造。
  2. 【請求項2】 軸受部材と被軸受部材とからなるミシン
    の軸受構造において、前記軸受部材と被軸受部材のう
    ち、いずれか一方の部材の摺動面にはボロンを含んだ無
    電解ニッケルメッキが施されており、他方の部材の摺動
    面は耐熱性樹脂により形成されていることを特徴とする
    ミシンの軸受構造。
  3. 【請求項3】 回転または揺動駆動される下軸の端部
    に、外周壁の内周面に円環状のガイド溝が形成された略
    円筒形の外釜を支持し、この外釜の内側に、外周面に前
    記外釜のガイド溝に嵌合しかつ相対的に円周方向に摺動
    しうるほぼ円環状のガイド突起が設けられている略円筒
    形の内釜を外釜に対し相対回転可能に支持したミシンの
    軸受構造において、前記外釜のガイド溝には、ボロンを
    含んだ無電解ニッケルメッキが施されており、前記内釜
    のガイド突起は耐熱性樹脂により形成されていることを
    特徴とするミシンの軸受構造。
  4. 【請求項4】 ミシンの針棒装置に上下運動可能に配設
    され、被摺動面を有する針棒と、この針棒を上下方向に
    往復摺動可能に支持する摺動面を有する上下1対の針棒
    軸受からなるミシンの軸受構造において、前記針棒の被
    摺動面には、ボロンを含んだ無電解ニッケルメッキが施
    されており、前記針棒軸受の摺動面は耐熱性樹脂により
    形成されていることを特徴とするミシンの軸受構造。
  5. 【請求項5】 前記ボロンを含んだ無電解ニッケルメッ
    キは、ニッケル−ボロン、ニッケル−タングステン−ボ
    ロンおよびニッケル−リン−ボロンのいずれかであるこ
    とを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に
    記載のミシンの軸受構造。
  6. 【請求項6】 前記耐熱性樹脂はポリイミドであること
    を特徴とする請求項2から請求項5のいずれか1項に記
    載のミシンの軸受構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10146485A (ja) * 1996-11-18 1998-06-02 Hirose Mfg Co Ltd ミシンのかま
JP2007120622A (ja) * 2005-10-28 2007-05-17 Sho Bond Coupling Kk 管継手に於けるグリップリングの表面形成方法

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JPH10146485A (ja) * 1996-11-18 1998-06-02 Hirose Mfg Co Ltd ミシンのかま
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