JPH1027985A - 電波吸収材の製造法 - Google Patents

電波吸収材の製造法

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JPH1027985A
JPH1027985A JP17911596A JP17911596A JPH1027985A JP H1027985 A JPH1027985 A JP H1027985A JP 17911596 A JP17911596 A JP 17911596A JP 17911596 A JP17911596 A JP 17911596A JP H1027985 A JPH1027985 A JP H1027985A
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carbon fiber
radio wave
support
fiber bundle
wave absorber
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JP17911596A
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Ikuo Yuki
育雄 幸
Kazuhiro Yamauchi
一宏 山内
Hiroyuki Nishi
洋征 西
Hitoshi Hatajima
仁 畑島
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外壁用表装材などの支持体の裏面に、多数本
の炭素長繊維から成る炭素繊維束を一定間隔で平行に接
着してなる電波吸収材の簡単な製法を提供する。 【解決手段】 1個又は複数個の支持体で環状の表面を
形成し、この表面に炭素繊維束を螺旋状に巻付けて固定
したのち、支持体の隣接する端部間で炭素繊維束を切断
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電波吸収材の製造法
に関するものであり、特に多数本の炭素長繊維を平行に
揃えてなる炭素繊維束を用いて、炭素繊維束が支持体上
に多数本相互に平行に接着されている電波吸収材を製造
する方法に関するものである。なお、本明細書において
炭素繊維束とは、炭素繊維の製造工程から得られる多数
本の炭素繊維を平行に揃えて集束剤で集束させたもの及
びこの炭素繊維束を更に複数本集めて合体させたものの
双方を意味する。本発明方法により製造された電波吸収
材は、例えば高層建築物の外壁用パネルの表面材として
用いられる。
【0002】
【従来の技術】高層建築物の増加に伴い、テレビジョン
の電波障害が頻発するようになっている。これはテレビ
ジョンの電波が高層建築物で反射されることに起因して
おり、対策として高層建築物の壁面にフェライトタイル
などの電波吸収性のものを貼付することが行なわれてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高層建
築物の壁面にフェライトタイルを貼付ける方法は、いく
つかの問題点をかかえており、満足すべき方法とは言い
難い。問題点の一つは、フェライトタイルは比重が大き
いので、その重量を支持するために建築物の骨格を強化
しなければならないことである。また、壁面の意匠的構
成が制約されるという問題もある。
【0004】高層建築物の壁面に電波吸収性を付与する
他の方法として、体積固有電気抵抗率の大きい炭素長繊
維を多数本集めて結合剤で結合してなる炭素繊維束を用
いる方法が提案されている(特願平8−62617号参
照)。すなわち、高層建築物の壁面を構成するコンクリ
ートパネルの型枠の底面に、先ずタイルその他の表装材
を裏面を上にして敷設し、その上に上記の炭素繊維束を
間隔を置いて平行に載置し、さらにその上方に鉄筋を炭
素繊維束と平行に且つ相互に間隔を置いて配置したの
ち、鉄筋が完全に埋没するように生コンクリートを打設
して養生することにより、電波吸収性の優れたコンクリ
ートパネルが製作できる。このパネルにおいて、間隔を
置いて平行に配置された炭素繊維束から成る層は電波吸
収層として機能し、この層から一定の距離を隔てて且つ
炭素繊維束に平行に配置された鉄筋から成る層は電波反
射層として機能し、両層の間のコンクリートは誘電体層
として機能する。このコンクリートパネルのような炭素
繊維束からなる電波吸収層を備えた電波吸収体において
は、炭素繊維束を構成する炭素長繊維の体積固有電気抵
抗率や炭素繊維束の太さ等により、炭素繊維束相互間の
間隔に最適値があることが知られており、この最適値に
近い間隔で炭素繊維束を配置することが、電波吸収能に
優れたコンクリートパネルを製作するうえで重要であ
る。しかしコンクリートパネルの製作に際し、炭素繊維
束を一本づつ所定の間隔で表装材上に配置するのは煩雑
であり、コンクリートパネル製作の生産性を上げる点か
らも好ましくない。
【0005】炭素繊維は通常、数千〜数万本の炭素繊維
を集束した炭素繊維束をボビンに巻いた状態で供給され
るので、これをそのまま用いて、タイル等の表装材の裏
面上に炭素繊維束を平行に配置することができれば、好
都合である。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、1個又
は複数個の支持体で環状の表面を形成し、この表面に多
数本の炭素繊維からなる炭素繊維束を螺旋状に巻付けて
固定したのち、支持体の端部で炭素繊維束を切断するこ
とにより、支持体上に炭素繊維束がほぼ一定間隔で平行
に固定されている電波吸収材を製造することができる。
【0007】本発明の好ましい実施の態様の一つでは、
回転軸の周りに1個又は複数個の支持体を柱状体の表面
を形成するように取付け、これを回転させながら、この
表面に多数本の炭素繊維から成り且つボビンに巻取られ
ている炭素繊維束を巻戻しながら接着剤付与装置を経て
巻付けて接着し、次いで支持体の端部で炭素繊維束を切
断することにより、支持体上に炭素繊維束がほぼ一定間
隔で平行に固定されている電波吸収材を製造することが
できる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
と、炭素繊維は通常、直径数μm〜数十μmの単繊維を
数千本〜数万本集束した状態で製造されているが、本発
明ではこのような炭素繊維束ないしはこのような炭素繊
維束をさらに複数本集合させたものを、支持体に固定し
て電波吸収材とする。炭素繊維束の太さは、これを構成
する炭素繊維の全断面積として、通常は0.2〜80m
2 、好ましくは0.8〜20mm2 である。
【0009】炭素繊維束を固定する支持体としては、通
常は、タイル、陶板、天然石板、人造石板など、従来か
ら建築物の外壁用パネルの表装材として用いられている
平板状のものを用いる。支持体は大型の陶板や人造石板
から成る場合のように1個の大型の表装材から成ってい
てもよく、またタイルから成る場合のように複数個の小
型の表装材の組合せから成っていてもよい。支持体の大
きさは、その上に固定される炭素繊維束の長さが、40
0mm以上、特に500mm以上となるものであるのが
好ましい。支持体上の炭素繊維束の長さが短いと、得ら
れる電波吸収材の電波吸収能が低下する。
【0010】なお、本発明においては、支持体として、
織布、不織布、網、簾などのような可撓性のシート状物
を用いることもできる。このような可撓性の支持体に炭
素繊維束を多数本平行に固定してなる電波吸収材は、そ
のままで壁間等に懸吊して電波吸収に用いることもでき
るが、通常はこれを外壁用パネルの表装材の裏面に取付
けて、電波吸収性の外壁用パネルを製作するのに用いら
れる(特願平8−79814参照)。
【0011】本発明では、先ず支持体を、環状の表面を
形成するように配置する。例えば外壁用パネルの表装材
であれば、最も簡単には2枚の表装材をその裏面を互に
外側に向けて配置すればよい。しかし好ましくは3枚以
上の表装材を、各表装材が多角柱、通常は3〜6角柱の
一面を形成するように、その裏面を外側に向けて配置す
る。また、可撓性の支持体の場合には、多角柱ないしは
円柱状の外面を有する支持装置に支持体を巻付けて、支
持体が多角柱ないしは円柱の表面を形成するようにすれ
ばよい。
【0012】本発明の特に好ましい態様では、回転軸の
周りに環状の表面を形成するように支持体を配置し、支
持体がこの回転軸を中心に回転し得るようにする。本発
明では、次いでこのようにして形成された環状の表面
に、多数の炭素繊維から成る炭素繊維束を螺旋状に巻付
けて固定する。この際、支持体を回転軸を中心に回転さ
せると、巻付けを容易に行ない得る。炭素繊維束は一本
で巻付けてもよく、また複数本まとめて集合体として巻
付けてもよい。巻付け間隔は、巻付けられる炭素繊維束
の太さ(=炭素繊維の全断面積)や炭素繊維の体積固有
電気抵抗率、さらには吸収しようとする電波の波長など
により異なるが、通常は5〜50mmである。巻付けら
れた炭素繊維束を支持体に固定するには、例えば接着剤
を付与して炭素繊維束を支持体に接着すればよい。また
巻付け方向と交差するように接着テープを適用して、炭
素繊維束を支持体に固定することもできる。好ましく
は、巻付ける炭素繊維束に接着剤を付与しつつ巻付ける
ことにより、巻付けと同時に支持体に接着する。すなわ
ち本発明の好ましい一態様では、ボビンに巻取られてい
る炭素繊維束を巻戻しながら、接着剤付与装置を経て、
回転軸を中心に回転している支持体に螺旋状に巻付け
る。炭素繊維束に付与する接着剤としては、アスファル
トのような熱溶融性のものや、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂のような熱硬化性のもの、更にはポリビニルアル
コールのような水溶性のものなど、任意のものを用いる
ことができる。
【0013】炭素繊維束を構成する炭素長繊維として
は、体積固有電気抵抗率の大きいものを用いることが必
要であり、通常は体積固有電気抵抗率が10-4Ω・cm
〜10 4 Ω・cmのものを用いる。体積固有電気抵抗率
がこれよりも小さい炭素長繊維で構成した炭素繊維束を
用いたのでは、一般に良好な電波吸収性を示さない。ま
た、体積固有電気抵抗率が上記範囲よりも大きい炭素長
繊維は、極めて不安定で脆弱である。炭素長繊維の好ま
しい体積固有電気抵抗率は10-2Ω・cm〜10 2 Ω・
cm、特に10-1Ω・cm〜102 Ω・cmである。
【0014】このような体積固有電気抵抗率を有する炭
素長繊維は、光学異方性80%以上、炭素含有率93%
以上、灰分300ppm以下のピッチを紡糸し、不融化
したのちに700〜1000℃で焼成することにより製
造できる。原料ピッチとしては、例えば、石炭系のコー
ルタール、コールタールピッチ、石炭液化物、石油系の
重質油、ピッチ、石油樹脂やその熱重縮合反応生成物、
ナフタレンやアントラセンの触媒反応による重合反応生
成物等の炭素質原料が挙げられる。また、これらの炭素
質原料に、例えば加熱処理した後、溶剤で可溶分を抽出
したり、水素供与性溶剤、水素ガスの存在下に水添処理
するなどの予備処理を行なって用いてもよい。
【0015】なお、原料ピッチ中には、不溶性物質とし
て、灰分(Ash成分)が含まれているが、これは、原
料ピッチを加熱処理して炭素繊維の前駆体となる光学的
に異方性の液晶ピッチにする際に、不均一性の原因とな
り、乱れた組織の前駆体を与える。また紡糸後、不融
化、焼成して得られた繊維中に物理的な欠陥を生じ、強
度、弾性率に悪影響を及ぼす。
【0016】従って紡糸に供する段階で、灰分量が通常
30ppm以下好ましくは20ppm以下に精製されて
いるピッチを用いると、引張強度の大きい炭素繊維を得
ることができ、炭素繊維束を補強材を兼ねて用いる場合
に有用である。灰分を除去するタイミングは紡糸前であ
れば何時でもよく、例えば原料ピッチの段階、または紡
糸ピッチの段階で除去すればよい。灰分の除去は周知の
方法を用いればよい。例えば、沈降法、遠心分離法、濾
過法、吸着法、酸、アルカリ、溶媒による洗浄法などが
あるが、それぞれを単独で行ってもよく、ピッチの形態
によりそれぞれに適した除去法を組み合わせて、また繰
り返し行ってもよい。また、除去の効率を上げるために
多孔性無機物(濾過助剤等)等を加えるのも有効であ
る。工業的には、沈降法、遠心分離法、濾過法を用いる
ことが、連続的、また大量に処理できることから好まし
い。
【0017】上記のように精製したピッチは、常法にし
たがって光学的に異方性を呈する液晶ピッチに転換され
る。紡糸に供するピッチの光学的異方性割合は80%以
上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以
上であることが必要である。光学的異方性割合が80%
を下回ると、炭素繊維の強度が著しく低下し、引張強度
を高めるべく焼成温度を上げると必然的に電気抵抗が低
下してしまい、所望の高電気抵抗の炭素長繊維を得るこ
とはできない。
【0018】なお、ピッチの光学的異方性割合は、常温
下、偏光顕微鏡下でピッチ試料中の光学的異方性を示す
部分を面積割合として求めた値である。具体的には、例
えばピッチ試料は数mm角に粉砕した物を常法にしたが
って、約2cm直径の樹脂の表面のほぼ全面に試料片を
埋め込み、表面を研磨した後、表面全体をくまなく偏光
顕微鏡(倍率100倍)下で観察し、試料の全表面積に
占める光学的異方性部分の面積割合を測定することによ
って求める。
【0019】光学的異方性の液晶ピッチを製造する方法
も周知の方法によることができる。例えば、精製された
ピッチを、350〜500℃、好ましくは380〜45
0℃で、2分〜50時間、好ましくは5分〜5時間の
間、窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガス雰囲気下、
あるいは吹き込み下、または減圧下に加熱処理する方法
がある。他の例を挙げると、ナフタレン等の縮合多環炭
化水素類をHF/BF3等の触媒の存在下で重合させる
方法、または原料ピッチを特定の溶解度パラメーターを
有する溶媒を用いて溶剤分割を行い、所望のピッチを得
る方法がある。
【0020】紡糸ピッチの炭素含有率は93%以上であ
り、特に95%以上であることが好ましい。炭素含有率
が93%に満たないと前述の灰分同様、異元素である窒
素、硫黄、酸素等が強度低下の要因となり、炭素繊維の
引張強度を低下させる。溶融紡糸は常法により行なうこ
とができる。得られたピッチ繊維は単繊維としての破断
強度が低いため、ガイド、ローラー等での毛羽の発生を
防止するために、1000本〜20000本のピッチ繊
維を集束剤で集束してピッチ繊維トウとする。集束剤と
しては、ピッチ繊維の一部を溶解したり、不融化処理の
際に繊維同士を接着、または融着させることの少ないも
のが必要であり、例えばシリコーン油の水エマルジョン
が好ましい。また、融着の回避をより効果的に行うため
に、集束剤中にカーボンブラック、SiC等の無機微粒
子を添加しても構わない。
【0021】ピッチ繊維トウは、酸化性ガス雰囲気中
で、160〜400℃に加熱して不融化する。得られた
不融化繊維トウは、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲
気下で焼成処理して炭素長繊維からなる炭素繊維トウと
する。本発明で用いる高抵抗の炭素長繊維を得るために
は、焼成は700〜1000℃、好ましくは730〜9
00℃、さらに好ましくは、750〜850℃で行われ
る。焼成温度が、700℃より低いと、強度や電波の吸
収特性が十分でなく、また、焼成温度が1000℃を超
えると、電気抵抗が低い炭素繊維しか得られない。
【0022】この様にして得られた炭素長繊維は、高電
気抵抗であり、更には高強度という性質も合わせて付与
することができる。その体積固有電気抵抗率を10-4Ω
・cm以上とすることは極めて容易であり、10-2Ω・
cm以上とすることも困難ではない。また引張強度90
kg/mm2 以上、引張弾性率3ton/mm2 以上の
機械的強度を付与することも容易であり、所望ならば1
00kg/mm2 以上、更には110kg/mm2 以上
の引張強度や、4ton/mm2 以上、更には5ton
/mm2 以上の引張弾性率を付与することもできる。な
お、ここでいう引張強度、引張弾性率は、JIS R7
601により単繊維試料を用いて測定した値であり、体
積固有電気抵抗率は、JIS R7601によりヤーン
試料により測定した値である。
【0023】本発明による電波吸収材の製法の1例を図
1に基づいて説明すると、同図において、炭素繊維束1
は、ボビン2から巻戻され、ローラー3を経て、液状の
接着剤が収容されている接着剤槽4に導入される。同槽
において、炭素繊維束1には、ローラー5〜7を経て前
進する間に接着剤が付着する。炭素繊維束1は、ローラ
ー8〜10を経て、過剰に付着している接着剤を絞り取
ったのち、高層建築物の壁面を構成するコンクリートパ
ネルの表装材11〜14の裏面に、螺旋状に巻付けて接
着される。表装材11〜14は、中心に回転軸15を有
する四角柱状体16の四面に、それぞれ1個づつ裏面を
外側に向けて取付けられており、その大きさは例えば6
00×900〜1200×2400mmである。なお、
同図では1本の炭素繊維束を巻付けているが、所望なら
ば複数本の炭素繊維束を一本に合体させて巻付けてもよ
い。また表装材の裏面に炭素繊維束を接着したものを用
いて製作されたコンクリートパネルにおいては、パネル
の使用上の便宜から、炭素繊維束はパネルの辺、従って
表装材の辺に平行に接着されているのが好ましい。従っ
て、本発明において表装材に炭素繊維束を巻付ける際
も、表装材の辺にできるだけ平行になるように巻付ける
のが好ましい。
【0024】巻付けが終了したならば、表装材の端部、
すなわち相互の接合部で炭素繊維を切断し、四角柱状体
16から各表装材を取外す。なお、図1では、一方の側
面にも炭素繊維束から接着された表装材が得られる。若
し表装材の側面に炭素繊維束を接着させないのが好まし
い場合には、四角柱状体16に表装材を図−2の如く取
付け、各表装材の端部で炭素繊維を切断すればよい。
【0025】本発明方法により表装材の裏面に所定の間
隔で炭素繊維束を接着したものは、そのままでも電波吸
収体として用いることができる。すなわち炭素繊維束が
到来する電波の電界方向と平行となるように、このもの
を電波の到来方向に向けて設置することにより、電波を
効率よく吸収することができる。しかし好ましくは、表
装材の裏面に、更に炭素繊維束に平行な複数の鉄筋から
なる反射層を有するコンクリート部を設けることによ
り、電波を更に効率よく吸収することができる。この場
合、反射層を構成する鉄筋は常用のものを用いることが
でき、鉄筋相互間の間隔は通常25〜200mm、好ま
しくは30〜150mmである。また鉄筋からなる反射
層と炭素繊維束からなる電波吸収層との間の最適距離
(d)は、両者の中間に介在するコンクリートの比誘電
率(ε)と吸収しようとする電波の波長(λ)とから、
次式で算出される。
【0026】
【数1】d=λ/(4√ε)
【0027】従ってコンクリート中に炭素繊維のチョッ
プドストランドなどを分散させて比誘電率を大きくする
と、コンクリートの厚さを薄くすることができる。ま
た、コンクリートは含水率により比誘電率が異なるの
で、本発明に係る電波吸収体を高層建築物の外壁等に用
いる場合には、雨水の浸透等によりコンクリートの含水
率が大きく変化しないように、生コンクリートを打設す
る際に撥水剤を混合するのが好ましい。何故ならば、撥
水剤を含むコンクリートは吸収率が大幅に低下するの
で、雨水の浸透等による含水率の変化、従って比誘電率
の変化が小さいからである。
【0028】本発明で用いる炭素繊維束の製造法の1例
を示すと、コールタール1重量部に、沸点範囲が240
〜290℃の予め水添された芳香族油を1重量部加え混
合した後に、濾過助剤として、市販の珪藻土濾過助剤
“セライト505”(商品名、セライト社製)を0.0
1重量部加え、目開き10μmのキャンドルフィルター
を通して、濾過を行なう。得られた濾液を、温度450
℃、水素圧力150kg/cm2 に維持されたオートク
レーブに、平均滞留時間が60分となるように、連続的
に供給する。得られた反応物を目開き0.5μの焼結フ
ィルターを通してさらに濾過を行った後、濾液を減圧
下、蒸留して水添ピッチを得る。得られた水添ピッチを
窒素ガスバブリング下、430℃で140分加熱処理す
ると、例えば光学的異方性割合100%、メトラー軟化
点302℃で、炭素含有率96重量%、灰分量20pp
m程度の紡糸ピッチが得られる。
【0029】次いで、この紡糸用ピッチを、シリコン系
油剤で集束させながら口金温度330℃で紡糸し、繊維
径13μm、フィラメント数11000本の連続長ピッ
チ繊維トウを得る。このピッチ繊維トウを空気中で不融
化処理後、窒素ガス中800℃、滞留時間2分の条件で
焼成すると炭素長繊維からなる炭素繊維トウが得られ
る。この炭素長繊維は、例えば、炭素含有率89%、繊
維径12.4μ、引張強度100kg/mm2 、引張弾
性率5.0ton/mm2 であり、3.5Ω・cmとい
う高い体積固有電気抵抗率を示す。この炭素繊維トウを
そのままエポキシ樹脂で固めると、幅約1.3mmの紐
状の炭素繊維束が得られる。
【0030】この炭素繊維束を用いて図1の装置により
本発明に係る電波吸収体を製作する1例を示すと、表装
材として約600×900×13mmの陶板を4枚用意
し、陶板を裏返しにして、その長辺が互に接するよう
に、四角柱状体16に図2のように取付ける。接着剤槽
4にはポリビニルアルコール系の水溶性液状接着剤を入
れておく。ボビンに巻取られている炭素繊維束を巻戻し
ながら、接着剤槽を経て、陶板の裏面に約14mm間隔
となるように、陶板の長辺の上端から下端まで螺旋状に
巻付ける。巻付けが完了したならば陶板の長辺の端部で
炭素繊維束を切断すると、炭素繊維束が約14mm間隔
で短辺にほぼ平行に接着されている陶板が得られる。
【0031】この陶板を裏面を上に向けて型枠に入れ、
更に陶板の上方約40mmの位置に、太さ約5mmの鉄
筋を25mm間隔で縦横に配置した鉄筋組立体を、一方
の鉄筋が陶板の短辺と平行になるように設置する。次い
で型枠に生コンクリートを流し込んでよくつき固め、室
温で約3週間養生、乾燥すると、約600×900×1
00mmの電波吸収体が得られる。大型導波管法による
この電波吸収体の電波吸収特性は、例えば図4のように
なり、600MHzにおいて約22dBの吸収特性を示
す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置の1例の概念図である。
【図2】図1の装置において、四角柱状体に表装材を取
付ける他の例を示す図である。
【図3】本発明方法で得られた電波吸収材を用いて製作
された電波吸収体の1例を示す図である。
【図4】本発明方法で得られた電波吸収材を用いて製作
された電波吸収体の電波吸収特性の1例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 炭素繊維束 2 ボビンに巻いた炭素繊維束 3 ローラー 4 接着剤槽 5 ローラー 6 ローラー 7 ローラー 8 ローラー 9 ローラー 10 ローラー 11 表装材 12 表装材 13 表装材 14 表装材 15 回転軸 16 四角柱状体 17 鉄筋 18 コンクリート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 畑島 仁 東京都千代田区丸の内二丁目5番2号 三 菱化学株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1個又は複数個の支持体で環状の表面を
    形成し、この表面に多数本の炭素繊維から成る炭素繊維
    束を螺旋状に巻付けて固定したのち、支持体の端部で炭
    素繊維束を切断することにより、支持体上に炭素繊維束
    がほぼ一定間隔で平行に固定されている電波吸収材の製
    造法。
  2. 【請求項2】 回転軸の周りに1個又は複数個の支持体
    で環状の表面を形成し、これを回転させながら、この表
    面に多数本の炭素繊維から成る炭素繊維束を螺旋状に巻
    付けて固定したのち支持体の端部で炭素繊維束を切断す
    ることにより、支持体上に炭素繊維束がほぼ一定間隔で
    平行に固定されている電波吸収材の製造法。
  3. 【請求項3】 1個又は複数個の支持体で形成される環
    状の表面が、三角柱以上の多角柱ないしは円柱の表面で
    あることを特徴とする請求項1又は2記載の電波吸収材
    の製造法。
  4. 【請求項4】 ボビンに巻取られている炭素繊維束を、
    巻戻しながら接着剤付与装置を経て支持体の表面に巻付
    けることにより、炭素繊維束を支持体の表面に接着によ
    り固定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    かに記載の電波吸収材の製造法。
  5. 【請求項5】 支持体が建築用外壁材の表装材であるこ
    とを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電
    波吸収材の製造法。
  6. 【請求項6】 支持体が可撓性のシート状物であること
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電波
    吸収材の製造法。
  7. 【請求項7】 支持体上に固定されている炭素繊維束の
    太さが、これを構成する炭素繊維の断面積として0.2
    〜80mm2 であることを特徴とする請求項1ないし6
    のいずれかに記載の電波吸収材の製造法。
  8. 【請求項8】 支持体上に固定されている炭素繊維束間
    の間隔が5〜50mmであることを特徴とする請求項1
    ないし7のいずれかに記載の電波吸収材の製造法。
  9. 【請求項9】 炭素繊維束が、体積固有電気抵抗率が、
    10-4〜104 Ω・cmの炭素繊維から成ることを特徴
    とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電波吸収材
    の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105219346B (zh) * 2015-11-09 2017-07-28 南京林业大学 生物基碳纳米纤维负载钴铁氧体吸波材料及其制备方法

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