JPH0371877B2 - - Google Patents
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- JPH0371877B2 JPH0371877B2 JP58180798A JP18079883A JPH0371877B2 JP H0371877 B2 JPH0371877 B2 JP H0371877B2 JP 58180798 A JP58180798 A JP 58180798A JP 18079883 A JP18079883 A JP 18079883A JP H0371877 B2 JPH0371877 B2 JP H0371877B2
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Description
本発明は、プロトプラスト融合による高プロテ
アーゼ生産能を有し且つ高グルタミナーゼ生産能
を有する麹菌の製造法に関する。 醤油は、アミノ酸の旨味を主体とする調味料で
あるので、醤油の醸造に於いては窒素利用率の向
上とグルタミン酸生成量の向上に多大の考慮が払
われており、このようなことから醤油醸造業界に
とつて強大にプロテアーゼとグルタミナーゼを生
産する麹菌を得ることは極めて重要である。 一般に醤油用麹菌のプロテアーゼ生産能は208
単位/g麹であり、またグルタミナーゼ生産能は
3.19単位/g麹であることが知られている(醤研
Vol.7,No.4,1981,p166〜172「醤油用麹菌の分
類種による醸造特性の差異」における、p169の
「表4(醤油麹の酵素力の差)参照)。 従来、このような優良な麹菌を得る方法の1手
段として人工変異により酵素生産能を高くする方
法が知られているが、取得される変異株はプロテ
アーゼ或いはグルタミナーゼのうち一方について
親株に比べ高くとも他方は逆に低い場合が多く、
両方とも親株に比べ高い菌株を取得することは困
難であつた。 そこで、本発明者らは、高プロテアーゼ生産能
を有し且つ高グルタミナーゼ生産能を有する麹菌
を得る目的で種々検討を重ねた結果、アスペルギ
ルス属に属する、高プロテアーゼ生産株と高グル
タミナーゼ生産株とをプロトプラスト融合させ、
該融合細胞を高張再生培地に培養したところ、そ
こから高プロテアーゼ生産能を有し且つ高グルタ
ミナーゼ生産能を有する麹菌が取得できることを
知り、この知見に基いて本発明を完成した。 すなわち本発明は、アスペルギルス属に属す
る、210単位/g麹言以上の高プロテアーゼ生産
株と3.2単位/g麹以上の高グルタミナーゼ生産
株のそれぞれの培養細胞からプロトプラストを
得、これらをプロトプラスト融合させ、該融合細
胞を高張再生倍地に培養し、培養物から300単
位/g麹以上の高プロテアーゼ生産能を有し且つ
1.0単位/g麹以上の高グルタミナーゼ生産能を
有する麹菌を採取することを特徴とする麹菌の製
造法である。 以下、本発明で詳細に説明する。 先ず、本発明で使用される、アスペルギルス属
に属する210単位/g麹以上の高プロテアーゼ生
産株としては、アスペルギルス属に属し、プロテ
アーゼ生産能が上記値を有する菌株であればいず
れでもよく、醤油、味噌、清酒等の製造に用いら
れる醸造用麹菌の中からプロテアーゼ生産能の高
い菌株を検索することにより容易に入手すること
ができる。その具体例としてはアスペルギルス・
ソーヤATCC42249、同42250、同42251等が挙げ
られるが、更にこれらの変種又は変異株も使用す
ることができる。 また、アスペルギルス属に属する3.2単位/g
麹以上の高グルタミナーゼ生産株としては、アス
ペルギルス属に属し、グルタミナーゼ生産能が上
記値を有する菌株であればいずれでもよく、例え
ば醸造用麹菌の中からグルタミナーゼ生産能の高
い菌株を検索することにより容易に入手すること
ができる。その具体例としては、アスペルギル
ス・ソーヤ262(FERM−P2128)、同2165(FERM
P−7280)等が挙げられるが、更にこれらの変種
又は変異株も使用することができる。 次に上記生産株の培養細胞を得る方法としては
該生産株の分生胞子を栄養培地に培養することに
より得られる。ここに用いられる栄養培地として
は、麹菌が必要とする栄養源を含有するものであ
ればいずれでもよく、合成培地、半合成培地また
は天然培地が用いられる。合成培地としては炭素
源としてグルコース、サツカロース等、窒素源と
して硫安、硝安等が用いられる。その具体例とし
て例えばツアペツク(Czapek)培地に酵母エキ
ス0.5%及びカザミノ酸0.2%を加え、PH6.0に調
製したものを水で10倍に希釈した倍地(以下、ツ
アペツク変形培地と略記する)が挙げられる。ま
た天然培地の組成としては、炭素源として割砕小
麦、〓等、窒素源としてスキムミルク、脱脂大豆
粉等が挙げられる。また上記培地にリン酸、カリ
ウム、マグネシウム、カルシウム等の適当な無機
塩類を適宜使用することができ、さらに必要に応
じて菌の生育に必要なアミノ酸、ビタミン類等を
培地に添加使用することができる。 培養方法としては、上記の適当な培地、例えば
ツアペツク変形培地を常法により加熱殺菌処理し
たものに、純粋培養した麹菌の分生胞子を接種
し、25〜35℃で殆んど発芽胞子(胞子とそこから
伸びる菌子の長さを合わせたもの)の長さがもと
の胞子(培養開始時)外径の5〜15倍に生育する
のに充分な5〜15時間、静置、振盪、通気培養
等、好気的に培養する。また固定培養を行う場合
は、〓、小麦などの炭素源、大豆などの窒素源、
その他の有機質あるいは無機質を原料とし、これ
らを蒸煮など殺菌処理を行つた固体培地に種菌を
接種混合し、25〜38℃で、発芽胞子の長さがもと
の胞子外径の5〜15倍に生育するのに充分な時
間、無菌的に培養するのが好ましい。 本発明において、発芽胞子の長さがもとの胞子
外径の5〜15倍に生育した培養細胞を用いること
は重要である。即ち5倍未満であるときは麹菌の
プロトプラストの殆んど形成することができず、
また反対に15倍を越えると、麹菌のプロトプラス
トの形成率が低くなるので好ましくない。 次に、こうして得られた培養細胞からプロトプ
ラストを得るには、上記各々の発芽胞子につい
て、106〜108個/ml(高張液)の濃度の発芽胞子
懸濁液を調製し、各調製懸濁液を等量混合し、遠
心分離して集菌したのち、これに予じめ無菌処理
した細胞壁溶解酵素を添加し処理するか、又は
各々の発芽胞子懸濁液を遠心分離して集菌したの
ち、これを最初、細胞壁溶解酵素を添加して処理
を行い、次いで各処理液を等量混合することによ
り得られる。 ここに用いられる細胞壁溶解酵素としては、麹
菌の細胞壁を溶解する活性を有するものであれば
いずれもよく、セルラーゼ、β−1,3−グルカ
ナーゼ及びキナチーゼ等を単独、または混合して
用い、或いは一般に細胞壁溶解酵素として用いら
れている混合酵素等を用いることができる。本発
明者らが実験したところ、これらの酵素のうちβ
−1,3−グルカナーゼとキチナーゼを併用する
と、麹菌のプロトプラストの形成率を著しく高め
ることが判明したので、上記2つの酵素を併用す
ることが好ましい。 上記キチナーゼとしては、キチナーゼ活性を有
する酵素剤が用いられ、例えば米国ICN社製キチ
ナーゼ、No.100466、米国シグマ社製キチナーゼNo.
C−6137、生化学工業社販売キチナーゼ・フアン
ガル(fungal)No.100290等が挙げられる。 またβ−1,3−グルカナーズとしてはキリン
ビール社製、ザイモリアーゼ(Zymolyase)
5000、同60000及び本発明者らが微生物パチラ
ス・サーキユランスIAM1165及びストレプトマ
イセス0143(FERM P−7276)のそれぞれの培
養液から調製した2つの粗酵素等が挙げられる
が、特に後者の2つの粗酵素が好ましい。 上記バチラス・サーキユランスIAM1165から
調製した粗酵素及びストレプトマイセス0143株か
ら調製した粗酵素は以下のようにして得られたも
のである。 〔〕 パチラス・サーキユランスIAM1165からの
粗酵素調製法 肉エキス1%、ポリペプトン1%、麹菌湿潤
菌体2%及び水からなる倍地(PH7.2)1を
5容三角フラスコに入れ、高圧減菌としたも
のに、麹菌湿潤菌体を入れない以外は上記と全
く同じ培地で前培養(30℃で48時間)したパチ
ラス・サーキユランスIAM1165の種菌液10ml
を接種し、30℃で48時間、振盪培養(170r.p.
m.)した。こうして得た培養液から粗酵素を
得るには、これを遠心分離して上清液を分離取
得し、これに硫安を加えて常法により塩析し、
生成した沈澱区分を採取した。これを水25mlに
溶解し、セロフアンチユーブに入れ、1夜5℃
で蒸留水を用いて透析処理し、得られた透析内
液を凍結乾燥し、粗酵素(以下、「バチラス・
サーキユランス起源の粗酵素」と称す)を得
た。 〔〕 ストレプトマイセス0143からの粗酵素調製
法 培地組成 1 KH2PO4 0.2% 酵母エキス 0.05% Kc1 0.05% グルコース 0.25% MgSO4・7H2O 0.1% ネオペプトン 0.1% NaC1 0.05% NaNO3 0.1% 麹菌湿潤菌体 2.1% 蒸留水 1.0 PH 5.0 上記組成の倍地1(PH5.0)に、これと同一組
成の倍地にて前培養したストレプトマイセス
0143(FERM−P−7276)の種菌液10mlを接種
し、30℃で培養液のPHが7.0に上昇する迄(7
日間)、振盪培養(170r.p.m.)した。以下、上
記パチラス・サーキユランスの培養液から粗酵
素を得る方法と全く同様にして、培養液から粗
酵素(以下、「ストレプトマイセス起源の粗酵
素」と称す)を得た。 尚、上記で得られる2つの粗酵素は、β−1,
3−グルカンを基質として、常法によりβ−1,
3−グルカナーゼ活性の有無を調べた結果、強力
に基質を分解することが確認され、β−1,3−
グルカナーゼとして使用できることが判明した。 また、洗滌し、ホモゲナイズされた麹菌湿潤菌
体を含む寒天平板培地に上記の両粗酵素は作用
し、透明なハローを形成することから、該粗酵素
はいずれも麹菌菌体の細胞壁を溶解することも確
認された。 次に、麹菌の発芽胞子と細胞壁溶解酵素との処
理条件について説明する。すなわち、細胞壁溶解
酵素の使用濃度は、麹菌発芽胞子の細胞壁を溶解
し、完全なプロトプラストを得るのに充分な濃度
とすることが好ましく、例えばバチラス・サーキ
ユランス起源の粗酵素の場合、10〜50mg/ml、好
ましくは25〜35mg/mlである。またキチナーゼを
併用する場合、その使用濃度は1〜10mg/ml、好
ましくは3〜5mg/mlである。酵素処理の時間は
麹菌の細胞壁を溶解し、プロトプラストを得るの
に充分な時間とすることが必要で、通常30分〜6
時間が好ましい。またPHは6.0〜7.0、特に6.5が好
ましい。 次いで、酵素処理が終了したら、菌体を保護す
る洗滌液、例えば0.7〜1.5Mソルビトール或いは
0.5〜1.0M塩化カリウム溶液等で、菌体を洗滌
し、麹菌の細胞壁が溶解除去されたプロトプラス
トを得る。 次に、ここで得られたプロトプラストの融合処
理及び融合プロトプラストの再生は、例えば、
Ann′e等の方法〔J.Gen.Microbiol.,92,413
(1976)〕に準じて行うことができる。 即ち、0.7〜1.5M.ソルビトール、5〜100mM.
CaC2及び30〜80mMグリシンを含む15〜33%ポ
リエチレングリコール6000(PH7.5)中に、上記で
得られた高プロテアーゼ生産株と高グルタミナー
ゼ生産株のそれぞれの洗滌プロトプラストを添加
混合し、20〜30℃で15〜45分処理することにより
プロトプラスト融合細胞を得ることができる。 次に、こうして得られたプロトプラスト融合細
胞の再生は、プロトプラストを保護しつつ細胞壁
を再生することが可能な高張再生培地、例えば
0.7〜1.5Mのソルビトールを含む米麹汁(又は麦
芽汁)に寒天2%を含有させた高張再生寒天培地
(PH6.5)及び、0.7〜1.5Mのソルビツトをツアペ
ツク液体培地に寒天2%を含有させた高張最少再
生寒天培地(PH6.5)に上記で得られたプロトプ
ラスト融合細胞を移し、25℃〜35℃で2〜10日間
培養する方法により行われる。こうして、プロト
プラストの融合細胞は、その周囲に細胞壁が再生
し、培地上で生育して再生コロニーを形成する。 次に、こうして得られた再生コロニーから、プ
ロトプラスト融合細胞の選別は、予じめその親株
である高プロテアーゼ生産株と、親株である高グ
ルタミナーゼ生産株の洗滌プロトプラストについ
て、それぞれ融合細胞の場合と同様に再生させ、
得られた再生コロニーの形態学的性質(色相、色
彩、明度、光沢、形状、大きさ等)及び生理学的
性質等の特徴を把握しておくことによつて、それ
らとは異なる特徴を備えた再生コロニーとして、
選別採取することができる。 尚、上記高プロテアーゼ生産株と高グルタミナ
ーゼ生産株のそれぞれの親株の分生胞子に、人工
変異処理(X線、紫外線等の照射、ニトロソグア
ニジン、エチルメチルサルフイート等の化学変異
処理)を施して、それぞれ親株の分生胞子に特徴
ある色や各種の栄養要求性、例えばアラニン、メ
チオニン等のアミノ酸要求性、ビオチン、ニコチ
ン酸、パラアミノ安息香酸等の要求性を付与した
変異株を得、この変異株を親株として上記と同様
に酵素処理、プロトプラスト融合処理を行い、次
いで再生し、再生コロニーとすると、親株である
変異株は特徴ある色を有し、この色を有しないプ
ロトプラスト融合細胞を明確に区別し、採取する
ことができる。また栄養要求変異株のプロトプラ
ストは再生の際、特定の栄養源が存在しないと生
育出来ないので、特定の栄養源が存在しなくても
生育できるプロトプラスト融合細胞を容易に区別
し採取することができる。このように両親株に色
及び栄養要求性等のマーカーを付しておくと、目
的とする融合細胞の分離操作が極めて容易とな
る。 上記で得られる高プロテアーゼ生産株の変異株
としては、例えば分生胞子が白色で、パラアミノ
安息香酸要求性の付与されたアスペルギルス・ソ
ーヤW2−91(FERM P−7277)が挙げられ、ま
た高グルタミナーゼ生産株の変異株としては、例
えば分生胞子が黄色で、ニコチン酸要求生の付与
されたアスペルギルス・ソーヤM12−2−61
(FERM P−7281)等が挙げられる。 次に、こうして高張再生培地で再生したプロト
プラスト融合株は親株に戻り易いヘテロカリオン
である場合が多く、不安定である。そこで、これ
らヘテロカリオン株の分生胞子に、小田等の方法
〔Agric.Biol.Chem.,27,758(1963)〕に従つて、
紫外線照射(距離39cm、1〜5分)を施し、検定
することによつて、安定な2倍体、即ち目的とす
る麹菌菌体を得ることができる。 例えば、アスペルギルス・ソーヤD−78は、こ
うして得た高プロテアーゼ生産能を有し且つ高グ
ルタミナーゼ生産能を有する安定な2倍体株であ
り、工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌
寄第7279号として寄託されている。 本発明の利点は次の通りである。従来一般に採
用されていた紫外線照射等の変異処理による変異
株の分離は、極めて偶然性が高く、スクリーニン
グに膨大な労力を要するなど効率が極めて悪く、
また、たまたま酵素生産性にすぐれた変異株が得
られても、直ちに復帰突然変異を起したりして実
用に供し得ないものが多かつた。そして、変異処
理による変異株の取得法で最も大きな欠点は、取
得される変異株はプロテアーゼ或いはグルタミナ
ーゼのうち一方については親株に比べ高くとも、
他方は逆に低い場合が多く、両方とも親株に比べ
高い菌株を取得することは困難であつたことであ
る。 これに対し、本発明によれば、高プロテアーゼ
生産能を有し且つ高グルタミナーゼ生産能を有す
る麹菌を効率よく採取り、製造することができ
る。 また、本発明で得られた麹菌を醤油麹原料に接
種培養して麹をつくり、この麹を用いて仕込みを
行い醤油を醸造すると、醤油原料は良く分解され
て窒素利用率が約3〜10%向上するばかりか、グ
ルタン酸が著しく増加するので、非常に旨味の強
い醤油が得られるという、産業上画期的な効果を
奏する。(実験例1、第1表の結果参照) また、従来、プロトプラス融合による醤油麹菌
や醸造用麹菌の育種法がいくつか知られている
が、麹菌のプロトプラストの形成率が低くプロト
プラスト融合技術を用いる研究の大きな障害とな
つていたが、培養細胞として、発芽胞子の長さが
もとの胞子外径の5〜15倍の発芽胞子を用いるこ
とにより、麹菌のプロトプラストの形成率を著し
く高めることが可能となり、本発明方法によれば
目的とする麹菌菌体を効率良く得ることができ
る。(実験例2の第2表の結果参照) 以下、本発明の効果を実験例を挙げて説明す
る。 実験例 1 下記実施例2で得られた高プロテアーゼ生産能
を有し且つ高グルミナーゼ生産能を有する麹菌ア
スペルギルス・ソーヤD−78(FERM P−7279)
を、脱脂大豆300gと炒熬割砕小麦300gからなる
醤油原料に接種し、麹蓋にて通常の醤油麹製造法
に従つて製麹し、得られた麹を25%食塩水1200ml
に仕込み、常法の諸味発酵管理を行い、30℃で3
ケ月発酵熟成させた。また対称方法として、両親
株を用いて同様に熟成醤油諸味を得た。こうして
得られた諸味液汁について総窒素(TNと略記す
る)、グルタミン酸(Glu)、Glu/TN及び窒素利
用率を測定した。その結果を第1表に示す。
アーゼ生産能を有し且つ高グルタミナーゼ生産能
を有する麹菌の製造法に関する。 醤油は、アミノ酸の旨味を主体とする調味料で
あるので、醤油の醸造に於いては窒素利用率の向
上とグルタミン酸生成量の向上に多大の考慮が払
われており、このようなことから醤油醸造業界に
とつて強大にプロテアーゼとグルタミナーゼを生
産する麹菌を得ることは極めて重要である。 一般に醤油用麹菌のプロテアーゼ生産能は208
単位/g麹であり、またグルタミナーゼ生産能は
3.19単位/g麹であることが知られている(醤研
Vol.7,No.4,1981,p166〜172「醤油用麹菌の分
類種による醸造特性の差異」における、p169の
「表4(醤油麹の酵素力の差)参照)。 従来、このような優良な麹菌を得る方法の1手
段として人工変異により酵素生産能を高くする方
法が知られているが、取得される変異株はプロテ
アーゼ或いはグルタミナーゼのうち一方について
親株に比べ高くとも他方は逆に低い場合が多く、
両方とも親株に比べ高い菌株を取得することは困
難であつた。 そこで、本発明者らは、高プロテアーゼ生産能
を有し且つ高グルタミナーゼ生産能を有する麹菌
を得る目的で種々検討を重ねた結果、アスペルギ
ルス属に属する、高プロテアーゼ生産株と高グル
タミナーゼ生産株とをプロトプラスト融合させ、
該融合細胞を高張再生培地に培養したところ、そ
こから高プロテアーゼ生産能を有し且つ高グルタ
ミナーゼ生産能を有する麹菌が取得できることを
知り、この知見に基いて本発明を完成した。 すなわち本発明は、アスペルギルス属に属す
る、210単位/g麹言以上の高プロテアーゼ生産
株と3.2単位/g麹以上の高グルタミナーゼ生産
株のそれぞれの培養細胞からプロトプラストを
得、これらをプロトプラスト融合させ、該融合細
胞を高張再生倍地に培養し、培養物から300単
位/g麹以上の高プロテアーゼ生産能を有し且つ
1.0単位/g麹以上の高グルタミナーゼ生産能を
有する麹菌を採取することを特徴とする麹菌の製
造法である。 以下、本発明で詳細に説明する。 先ず、本発明で使用される、アスペルギルス属
に属する210単位/g麹以上の高プロテアーゼ生
産株としては、アスペルギルス属に属し、プロテ
アーゼ生産能が上記値を有する菌株であればいず
れでもよく、醤油、味噌、清酒等の製造に用いら
れる醸造用麹菌の中からプロテアーゼ生産能の高
い菌株を検索することにより容易に入手すること
ができる。その具体例としてはアスペルギルス・
ソーヤATCC42249、同42250、同42251等が挙げ
られるが、更にこれらの変種又は変異株も使用す
ることができる。 また、アスペルギルス属に属する3.2単位/g
麹以上の高グルタミナーゼ生産株としては、アス
ペルギルス属に属し、グルタミナーゼ生産能が上
記値を有する菌株であればいずれでもよく、例え
ば醸造用麹菌の中からグルタミナーゼ生産能の高
い菌株を検索することにより容易に入手すること
ができる。その具体例としては、アスペルギル
ス・ソーヤ262(FERM−P2128)、同2165(FERM
P−7280)等が挙げられるが、更にこれらの変種
又は変異株も使用することができる。 次に上記生産株の培養細胞を得る方法としては
該生産株の分生胞子を栄養培地に培養することに
より得られる。ここに用いられる栄養培地として
は、麹菌が必要とする栄養源を含有するものであ
ればいずれでもよく、合成培地、半合成培地また
は天然培地が用いられる。合成培地としては炭素
源としてグルコース、サツカロース等、窒素源と
して硫安、硝安等が用いられる。その具体例とし
て例えばツアペツク(Czapek)培地に酵母エキ
ス0.5%及びカザミノ酸0.2%を加え、PH6.0に調
製したものを水で10倍に希釈した倍地(以下、ツ
アペツク変形培地と略記する)が挙げられる。ま
た天然培地の組成としては、炭素源として割砕小
麦、〓等、窒素源としてスキムミルク、脱脂大豆
粉等が挙げられる。また上記培地にリン酸、カリ
ウム、マグネシウム、カルシウム等の適当な無機
塩類を適宜使用することができ、さらに必要に応
じて菌の生育に必要なアミノ酸、ビタミン類等を
培地に添加使用することができる。 培養方法としては、上記の適当な培地、例えば
ツアペツク変形培地を常法により加熱殺菌処理し
たものに、純粋培養した麹菌の分生胞子を接種
し、25〜35℃で殆んど発芽胞子(胞子とそこから
伸びる菌子の長さを合わせたもの)の長さがもと
の胞子(培養開始時)外径の5〜15倍に生育する
のに充分な5〜15時間、静置、振盪、通気培養
等、好気的に培養する。また固定培養を行う場合
は、〓、小麦などの炭素源、大豆などの窒素源、
その他の有機質あるいは無機質を原料とし、これ
らを蒸煮など殺菌処理を行つた固体培地に種菌を
接種混合し、25〜38℃で、発芽胞子の長さがもと
の胞子外径の5〜15倍に生育するのに充分な時
間、無菌的に培養するのが好ましい。 本発明において、発芽胞子の長さがもとの胞子
外径の5〜15倍に生育した培養細胞を用いること
は重要である。即ち5倍未満であるときは麹菌の
プロトプラストの殆んど形成することができず、
また反対に15倍を越えると、麹菌のプロトプラス
トの形成率が低くなるので好ましくない。 次に、こうして得られた培養細胞からプロトプ
ラストを得るには、上記各々の発芽胞子につい
て、106〜108個/ml(高張液)の濃度の発芽胞子
懸濁液を調製し、各調製懸濁液を等量混合し、遠
心分離して集菌したのち、これに予じめ無菌処理
した細胞壁溶解酵素を添加し処理するか、又は
各々の発芽胞子懸濁液を遠心分離して集菌したの
ち、これを最初、細胞壁溶解酵素を添加して処理
を行い、次いで各処理液を等量混合することによ
り得られる。 ここに用いられる細胞壁溶解酵素としては、麹
菌の細胞壁を溶解する活性を有するものであれば
いずれもよく、セルラーゼ、β−1,3−グルカ
ナーゼ及びキナチーゼ等を単独、または混合して
用い、或いは一般に細胞壁溶解酵素として用いら
れている混合酵素等を用いることができる。本発
明者らが実験したところ、これらの酵素のうちβ
−1,3−グルカナーゼとキチナーゼを併用する
と、麹菌のプロトプラストの形成率を著しく高め
ることが判明したので、上記2つの酵素を併用す
ることが好ましい。 上記キチナーゼとしては、キチナーゼ活性を有
する酵素剤が用いられ、例えば米国ICN社製キチ
ナーゼ、No.100466、米国シグマ社製キチナーゼNo.
C−6137、生化学工業社販売キチナーゼ・フアン
ガル(fungal)No.100290等が挙げられる。 またβ−1,3−グルカナーズとしてはキリン
ビール社製、ザイモリアーゼ(Zymolyase)
5000、同60000及び本発明者らが微生物パチラ
ス・サーキユランスIAM1165及びストレプトマ
イセス0143(FERM P−7276)のそれぞれの培
養液から調製した2つの粗酵素等が挙げられる
が、特に後者の2つの粗酵素が好ましい。 上記バチラス・サーキユランスIAM1165から
調製した粗酵素及びストレプトマイセス0143株か
ら調製した粗酵素は以下のようにして得られたも
のである。 〔〕 パチラス・サーキユランスIAM1165からの
粗酵素調製法 肉エキス1%、ポリペプトン1%、麹菌湿潤
菌体2%及び水からなる倍地(PH7.2)1を
5容三角フラスコに入れ、高圧減菌としたも
のに、麹菌湿潤菌体を入れない以外は上記と全
く同じ培地で前培養(30℃で48時間)したパチ
ラス・サーキユランスIAM1165の種菌液10ml
を接種し、30℃で48時間、振盪培養(170r.p.
m.)した。こうして得た培養液から粗酵素を
得るには、これを遠心分離して上清液を分離取
得し、これに硫安を加えて常法により塩析し、
生成した沈澱区分を採取した。これを水25mlに
溶解し、セロフアンチユーブに入れ、1夜5℃
で蒸留水を用いて透析処理し、得られた透析内
液を凍結乾燥し、粗酵素(以下、「バチラス・
サーキユランス起源の粗酵素」と称す)を得
た。 〔〕 ストレプトマイセス0143からの粗酵素調製
法 培地組成 1 KH2PO4 0.2% 酵母エキス 0.05% Kc1 0.05% グルコース 0.25% MgSO4・7H2O 0.1% ネオペプトン 0.1% NaC1 0.05% NaNO3 0.1% 麹菌湿潤菌体 2.1% 蒸留水 1.0 PH 5.0 上記組成の倍地1(PH5.0)に、これと同一組
成の倍地にて前培養したストレプトマイセス
0143(FERM−P−7276)の種菌液10mlを接種
し、30℃で培養液のPHが7.0に上昇する迄(7
日間)、振盪培養(170r.p.m.)した。以下、上
記パチラス・サーキユランスの培養液から粗酵
素を得る方法と全く同様にして、培養液から粗
酵素(以下、「ストレプトマイセス起源の粗酵
素」と称す)を得た。 尚、上記で得られる2つの粗酵素は、β−1,
3−グルカンを基質として、常法によりβ−1,
3−グルカナーゼ活性の有無を調べた結果、強力
に基質を分解することが確認され、β−1,3−
グルカナーゼとして使用できることが判明した。 また、洗滌し、ホモゲナイズされた麹菌湿潤菌
体を含む寒天平板培地に上記の両粗酵素は作用
し、透明なハローを形成することから、該粗酵素
はいずれも麹菌菌体の細胞壁を溶解することも確
認された。 次に、麹菌の発芽胞子と細胞壁溶解酵素との処
理条件について説明する。すなわち、細胞壁溶解
酵素の使用濃度は、麹菌発芽胞子の細胞壁を溶解
し、完全なプロトプラストを得るのに充分な濃度
とすることが好ましく、例えばバチラス・サーキ
ユランス起源の粗酵素の場合、10〜50mg/ml、好
ましくは25〜35mg/mlである。またキチナーゼを
併用する場合、その使用濃度は1〜10mg/ml、好
ましくは3〜5mg/mlである。酵素処理の時間は
麹菌の細胞壁を溶解し、プロトプラストを得るの
に充分な時間とすることが必要で、通常30分〜6
時間が好ましい。またPHは6.0〜7.0、特に6.5が好
ましい。 次いで、酵素処理が終了したら、菌体を保護す
る洗滌液、例えば0.7〜1.5Mソルビトール或いは
0.5〜1.0M塩化カリウム溶液等で、菌体を洗滌
し、麹菌の細胞壁が溶解除去されたプロトプラス
トを得る。 次に、ここで得られたプロトプラストの融合処
理及び融合プロトプラストの再生は、例えば、
Ann′e等の方法〔J.Gen.Microbiol.,92,413
(1976)〕に準じて行うことができる。 即ち、0.7〜1.5M.ソルビトール、5〜100mM.
CaC2及び30〜80mMグリシンを含む15〜33%ポ
リエチレングリコール6000(PH7.5)中に、上記で
得られた高プロテアーゼ生産株と高グルタミナー
ゼ生産株のそれぞれの洗滌プロトプラストを添加
混合し、20〜30℃で15〜45分処理することにより
プロトプラスト融合細胞を得ることができる。 次に、こうして得られたプロトプラスト融合細
胞の再生は、プロトプラストを保護しつつ細胞壁
を再生することが可能な高張再生培地、例えば
0.7〜1.5Mのソルビトールを含む米麹汁(又は麦
芽汁)に寒天2%を含有させた高張再生寒天培地
(PH6.5)及び、0.7〜1.5Mのソルビツトをツアペ
ツク液体培地に寒天2%を含有させた高張最少再
生寒天培地(PH6.5)に上記で得られたプロトプ
ラスト融合細胞を移し、25℃〜35℃で2〜10日間
培養する方法により行われる。こうして、プロト
プラストの融合細胞は、その周囲に細胞壁が再生
し、培地上で生育して再生コロニーを形成する。 次に、こうして得られた再生コロニーから、プ
ロトプラスト融合細胞の選別は、予じめその親株
である高プロテアーゼ生産株と、親株である高グ
ルタミナーゼ生産株の洗滌プロトプラストについ
て、それぞれ融合細胞の場合と同様に再生させ、
得られた再生コロニーの形態学的性質(色相、色
彩、明度、光沢、形状、大きさ等)及び生理学的
性質等の特徴を把握しておくことによつて、それ
らとは異なる特徴を備えた再生コロニーとして、
選別採取することができる。 尚、上記高プロテアーゼ生産株と高グルタミナ
ーゼ生産株のそれぞれの親株の分生胞子に、人工
変異処理(X線、紫外線等の照射、ニトロソグア
ニジン、エチルメチルサルフイート等の化学変異
処理)を施して、それぞれ親株の分生胞子に特徴
ある色や各種の栄養要求性、例えばアラニン、メ
チオニン等のアミノ酸要求性、ビオチン、ニコチ
ン酸、パラアミノ安息香酸等の要求性を付与した
変異株を得、この変異株を親株として上記と同様
に酵素処理、プロトプラスト融合処理を行い、次
いで再生し、再生コロニーとすると、親株である
変異株は特徴ある色を有し、この色を有しないプ
ロトプラスト融合細胞を明確に区別し、採取する
ことができる。また栄養要求変異株のプロトプラ
ストは再生の際、特定の栄養源が存在しないと生
育出来ないので、特定の栄養源が存在しなくても
生育できるプロトプラスト融合細胞を容易に区別
し採取することができる。このように両親株に色
及び栄養要求性等のマーカーを付しておくと、目
的とする融合細胞の分離操作が極めて容易とな
る。 上記で得られる高プロテアーゼ生産株の変異株
としては、例えば分生胞子が白色で、パラアミノ
安息香酸要求性の付与されたアスペルギルス・ソ
ーヤW2−91(FERM P−7277)が挙げられ、ま
た高グルタミナーゼ生産株の変異株としては、例
えば分生胞子が黄色で、ニコチン酸要求生の付与
されたアスペルギルス・ソーヤM12−2−61
(FERM P−7281)等が挙げられる。 次に、こうして高張再生培地で再生したプロト
プラスト融合株は親株に戻り易いヘテロカリオン
である場合が多く、不安定である。そこで、これ
らヘテロカリオン株の分生胞子に、小田等の方法
〔Agric.Biol.Chem.,27,758(1963)〕に従つて、
紫外線照射(距離39cm、1〜5分)を施し、検定
することによつて、安定な2倍体、即ち目的とす
る麹菌菌体を得ることができる。 例えば、アスペルギルス・ソーヤD−78は、こ
うして得た高プロテアーゼ生産能を有し且つ高グ
ルタミナーゼ生産能を有する安定な2倍体株であ
り、工業技術院微生物工業技術研究所に微工研菌
寄第7279号として寄託されている。 本発明の利点は次の通りである。従来一般に採
用されていた紫外線照射等の変異処理による変異
株の分離は、極めて偶然性が高く、スクリーニン
グに膨大な労力を要するなど効率が極めて悪く、
また、たまたま酵素生産性にすぐれた変異株が得
られても、直ちに復帰突然変異を起したりして実
用に供し得ないものが多かつた。そして、変異処
理による変異株の取得法で最も大きな欠点は、取
得される変異株はプロテアーゼ或いはグルタミナ
ーゼのうち一方については親株に比べ高くとも、
他方は逆に低い場合が多く、両方とも親株に比べ
高い菌株を取得することは困難であつたことであ
る。 これに対し、本発明によれば、高プロテアーゼ
生産能を有し且つ高グルタミナーゼ生産能を有す
る麹菌を効率よく採取り、製造することができ
る。 また、本発明で得られた麹菌を醤油麹原料に接
種培養して麹をつくり、この麹を用いて仕込みを
行い醤油を醸造すると、醤油原料は良く分解され
て窒素利用率が約3〜10%向上するばかりか、グ
ルタン酸が著しく増加するので、非常に旨味の強
い醤油が得られるという、産業上画期的な効果を
奏する。(実験例1、第1表の結果参照) また、従来、プロトプラス融合による醤油麹菌
や醸造用麹菌の育種法がいくつか知られている
が、麹菌のプロトプラストの形成率が低くプロト
プラスト融合技術を用いる研究の大きな障害とな
つていたが、培養細胞として、発芽胞子の長さが
もとの胞子外径の5〜15倍の発芽胞子を用いるこ
とにより、麹菌のプロトプラストの形成率を著し
く高めることが可能となり、本発明方法によれば
目的とする麹菌菌体を効率良く得ることができ
る。(実験例2の第2表の結果参照) 以下、本発明の効果を実験例を挙げて説明す
る。 実験例 1 下記実施例2で得られた高プロテアーゼ生産能
を有し且つ高グルミナーゼ生産能を有する麹菌ア
スペルギルス・ソーヤD−78(FERM P−7279)
を、脱脂大豆300gと炒熬割砕小麦300gからなる
醤油原料に接種し、麹蓋にて通常の醤油麹製造法
に従つて製麹し、得られた麹を25%食塩水1200ml
に仕込み、常法の諸味発酵管理を行い、30℃で3
ケ月発酵熟成させた。また対称方法として、両親
株を用いて同様に熟成醤油諸味を得た。こうして
得られた諸味液汁について総窒素(TNと略記す
る)、グルタミン酸(Glu)、Glu/TN及び窒素利
用率を測定した。その結果を第1表に示す。
【表】
実験例 2
後記実施例1において、培養細胞として発芽胞
子の長さがいろいろと異なる発芽胞子を用いる以
外は、実施例1と全く同様にして、麹菌のプロト
プラストを得、その形成率を調べた。 その結果を第2表に示す。
子の長さがいろいろと異なる発芽胞子を用いる以
外は、実施例1と全く同様にして、麹菌のプロト
プラストを得、その形成率を調べた。 その結果を第2表に示す。
【表】
【表】
実施例 1
高プロテアーゼ生産株(アスペルギルス・ソー
ヤATCC42251)及び、高グルタミナーゼ生産株
〔アスペルギルス・ソーヤ2165(FERM P−
7280)〕を、それぞれ30℃で66時間培養した米麹
汁スラント培地より分生胞子を採取し、これをそ
れぞれ0.01%ソルビタン脂肪酸エステル溶液「ソ
ルゲンTW−60(第1工業製薬社製)」に分散し、
1〜5×107個/mlの胞子懸濁液を調製した。 次いで、この胞子懸濁液1mlをツアペツク変形
培地30mlに接種し、150ml容三角フラスコ内で30
℃で12時間振盪培養し、発芽胞子の長さがもとの
胞子外径の10倍の発芽胞子(培養細胞)懸濁液を
得た。 次いで、発芽胞子懸濁液を遠心分離(4500g、
20分)して発芽胞子を集め、これを充分水洗滌
し、水切りしたのち、細胞壁溶解酵素1mlと混和
し、27℃で2時間、ゆるやかに振盪(毎分50〜60
回往復)して酵素処理し、それぞれ麹菌のプロト
プラストを得た。 ここに用いた細胞壁溶解酵素は、バチラス・サ
ーキユランス起源の粗酵素と市販のキチナーゼ
(米国ICN社製)をそれぞれ溶液1mlに30mg及び
5mgの割合で溶解し得られたものである。 次に、こうして得たプロトプラストをG−3規
格のガラスフイルターによる分離し、これを高張
液(0.8Mソルビトール溶液)で数回繰り返し洗
滌し、得られた洗滌プロトプラストを高張液1ml
に移し、懸濁する。 次いで、それぞれプロトプラストが懸濁された
高張液を混合し、20℃で遠心分離(700g、15分)
して、混合プロトプラストのペレツトを採取し
た。これを0.8Mソルビトール、10mMCaCl2C2及
び50mMグリシンを含む20%ポリエチレングリコ
ール6000(PH7.5)溶液1mlと混合し、25℃で30
分プロトプラスト融合反応を行い、プロトプラス
ト融合細胞を得た。 次いで、プロトプラスト融合細胞の再生は、該
融合細胞を高張液で適当な細胞の濃度まで希釈し
これを予じめシヤーレ内に流し固めた高張再生寒
天培地〔0.8Mソルビトールを含む糖濃度8度の
米麹汁寒天培地(寒天2%)〕に播種し、その上
から、寒天0.5%以外は上記と全く同じ高張再生
寒天培地を流し固化重層させ、30℃で2〜5日間
培養し、プロトプラスト融合細胞の再生コロニー
を得た。 次に、ここで得られた再生コロニーの中から、
両親株のプロトプラストが形成するコロニーとは
異なる形質を有する再生コロニーを選び、そこか
らプロトプラスト融合再生株を採取した。 次いで、採取したプロトプラスト融合再生株を
米麹汁スラント培地に接種し、30℃で4日培養し
て分生胞子を得、この胞子懸濁液に39cmの距離か
ら紫外線を1分間照射し、得られた胞子を米麹汁
平板培地に塗布し、30℃で4日間培養し、生じた
コロニーの中から、本発明の目的とする高プロテ
アーゼ活性を有し且つ高グルタミナーゼ活性を有
する麹菌菌体〔アスペルギルス・ソーヤD−24
(FERM P−7278)〕を採取した。 得られた本発明麹菌菌体とその両親株の酵素生
産能について調べた。 その結果を第3表に示す。
ヤATCC42251)及び、高グルタミナーゼ生産株
〔アスペルギルス・ソーヤ2165(FERM P−
7280)〕を、それぞれ30℃で66時間培養した米麹
汁スラント培地より分生胞子を採取し、これをそ
れぞれ0.01%ソルビタン脂肪酸エステル溶液「ソ
ルゲンTW−60(第1工業製薬社製)」に分散し、
1〜5×107個/mlの胞子懸濁液を調製した。 次いで、この胞子懸濁液1mlをツアペツク変形
培地30mlに接種し、150ml容三角フラスコ内で30
℃で12時間振盪培養し、発芽胞子の長さがもとの
胞子外径の10倍の発芽胞子(培養細胞)懸濁液を
得た。 次いで、発芽胞子懸濁液を遠心分離(4500g、
20分)して発芽胞子を集め、これを充分水洗滌
し、水切りしたのち、細胞壁溶解酵素1mlと混和
し、27℃で2時間、ゆるやかに振盪(毎分50〜60
回往復)して酵素処理し、それぞれ麹菌のプロト
プラストを得た。 ここに用いた細胞壁溶解酵素は、バチラス・サ
ーキユランス起源の粗酵素と市販のキチナーゼ
(米国ICN社製)をそれぞれ溶液1mlに30mg及び
5mgの割合で溶解し得られたものである。 次に、こうして得たプロトプラストをG−3規
格のガラスフイルターによる分離し、これを高張
液(0.8Mソルビトール溶液)で数回繰り返し洗
滌し、得られた洗滌プロトプラストを高張液1ml
に移し、懸濁する。 次いで、それぞれプロトプラストが懸濁された
高張液を混合し、20℃で遠心分離(700g、15分)
して、混合プロトプラストのペレツトを採取し
た。これを0.8Mソルビトール、10mMCaCl2C2及
び50mMグリシンを含む20%ポリエチレングリコ
ール6000(PH7.5)溶液1mlと混合し、25℃で30
分プロトプラスト融合反応を行い、プロトプラス
ト融合細胞を得た。 次いで、プロトプラスト融合細胞の再生は、該
融合細胞を高張液で適当な細胞の濃度まで希釈し
これを予じめシヤーレ内に流し固めた高張再生寒
天培地〔0.8Mソルビトールを含む糖濃度8度の
米麹汁寒天培地(寒天2%)〕に播種し、その上
から、寒天0.5%以外は上記と全く同じ高張再生
寒天培地を流し固化重層させ、30℃で2〜5日間
培養し、プロトプラスト融合細胞の再生コロニー
を得た。 次に、ここで得られた再生コロニーの中から、
両親株のプロトプラストが形成するコロニーとは
異なる形質を有する再生コロニーを選び、そこか
らプロトプラスト融合再生株を採取した。 次いで、採取したプロトプラスト融合再生株を
米麹汁スラント培地に接種し、30℃で4日培養し
て分生胞子を得、この胞子懸濁液に39cmの距離か
ら紫外線を1分間照射し、得られた胞子を米麹汁
平板培地に塗布し、30℃で4日間培養し、生じた
コロニーの中から、本発明の目的とする高プロテ
アーゼ活性を有し且つ高グルタミナーゼ活性を有
する麹菌菌体〔アスペルギルス・ソーヤD−24
(FERM P−7278)〕を採取した。 得られた本発明麹菌菌体とその両親株の酵素生
産能について調べた。 その結果を第3表に示す。
【表】
実施例 2
高プロテアーゼ生産株として、分生胞子が白色
で、パラアミノ安息香酸要求性の付与さえたアス
ペルギルス・ソーヤW2−91(FERM P−7277)
を用い、高グルタミナーゼ生産株として、分生胞
子が黄色で、ニコチン酸要求性の付与されたアス
ペルギルス・ソーヤM12−2−61(FERM P−
7281)を用い、プロトプラスト融合細胞の高張再
生培地として、高張最少再生寒天培地〔0.8Mソ
ルビトールを含むツアペツク寒天培地〕を用いる
以外は実施例1と全く同様にしてプロトプラスト
融合再生株を採取した。 次に、ここで得られた再生株を米麹汁スラント
培地に接種し、30℃で4日間培養して、緑色、黄
色、白色の胞子をもつテロカリオン株を得、得ら
れたヘテロカリオン株の胞子に、39cmの距離から
紫外線を1分間照射し、得られた胞子を再び最少
寒天平板培地に塗布し、30℃で4日間培養して、
緑色のみの胞子から成る、安定なコロニーを形成
する麹菌菌体を得た。この麹菌菌体の中から高プ
ロテアーゼ生産能を有し且つ高グルタミナーゼ生
産能を有する一菌株、アスペルギルス・ソーヤD
−78(FERM P−7279)を得た。 次に、こうして得られた本発明麹菌菌体とその
両親株の酵素生産能について調べた。 その結果を第4表に示す。
で、パラアミノ安息香酸要求性の付与さえたアス
ペルギルス・ソーヤW2−91(FERM P−7277)
を用い、高グルタミナーゼ生産株として、分生胞
子が黄色で、ニコチン酸要求性の付与されたアス
ペルギルス・ソーヤM12−2−61(FERM P−
7281)を用い、プロトプラスト融合細胞の高張再
生培地として、高張最少再生寒天培地〔0.8Mソ
ルビトールを含むツアペツク寒天培地〕を用いる
以外は実施例1と全く同様にしてプロトプラスト
融合再生株を採取した。 次に、ここで得られた再生株を米麹汁スラント
培地に接種し、30℃で4日間培養して、緑色、黄
色、白色の胞子をもつテロカリオン株を得、得ら
れたヘテロカリオン株の胞子に、39cmの距離から
紫外線を1分間照射し、得られた胞子を再び最少
寒天平板培地に塗布し、30℃で4日間培養して、
緑色のみの胞子から成る、安定なコロニーを形成
する麹菌菌体を得た。この麹菌菌体の中から高プ
ロテアーゼ生産能を有し且つ高グルタミナーゼ生
産能を有する一菌株、アスペルギルス・ソーヤD
−78(FERM P−7279)を得た。 次に、こうして得られた本発明麹菌菌体とその
両親株の酵素生産能について調べた。 その結果を第4表に示す。
【表】
【表】
第1表及び第2表の結果から、プロテアーゼが
高い株はグルタミナーゼ活性が低く、又反対にグ
ルタミナーゼ活性が高い株はプロテアーゼ活性が
低いのが一般的麹菌の特徴であつたが、本発明方
法によれば、プロテアーゼ活性とグルタミナーゼ
活性がそれぞれ300単位/g麹以上、1.0単位/g
麹以上であつて、共に高い麹菌が得られることが
判る。
高い株はグルタミナーゼ活性が低く、又反対にグ
ルタミナーゼ活性が高い株はプロテアーゼ活性が
低いのが一般的麹菌の特徴であつたが、本発明方
法によれば、プロテアーゼ活性とグルタミナーゼ
活性がそれぞれ300単位/g麹以上、1.0単位/g
麹以上であつて、共に高い麹菌が得られることが
判る。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 アスペルギルス属に属する、210単位/g麹
以上の高プロテアーゼ生産株と3.2単位/g麹以
上の高グルタミナーゼ生産株のそれぞれの培養細
胞からプロトプラストを得、これらをプロトプラ
スト融合させ、該融合細胞を高張再生倍地に培養
し、培養物から300単位/g以上の高プロテアー
ゼ生産能を有し且つ1.0単位/g麹以上の高グル
タミナーゼ生産能を有する麹菌を採取することを
特徴とする麹菌の製造法。 2 培養細胞が、発芽胞子の長さがもとの胞子外
形の5〜15倍の発芽胞子である特許請求の範囲第
1項記載の製造法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP58180798A JPS6075280A (ja) | 1983-09-30 | 1983-09-30 | プロトプラスト融合による麹菌の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP58180798A JPS6075280A (ja) | 1983-09-30 | 1983-09-30 | プロトプラスト融合による麹菌の製造法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6075280A JPS6075280A (ja) | 1985-04-27 |
| JPH0371877B2 true JPH0371877B2 (ja) | 1991-11-14 |
Family
ID=16089522
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP58180798A Granted JPS6075280A (ja) | 1983-09-30 | 1983-09-30 | プロトプラスト融合による麹菌の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS6075280A (ja) |
Families Citing this family (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS60188057A (ja) * | 1984-03-09 | 1985-09-25 | Kikkoman Corp | 高いプロテアーゼ生産能及び高いグルタミナーゼ生産能を有する麹菌の育種法 |
| JPH01120282A (ja) * | 1987-11-02 | 1989-05-12 | Nakano Vinegar Co Ltd | アセトバクター属細菌のスフェロプラスト再生方法 |
| JPH01168290A (ja) * | 1987-12-25 | 1989-07-03 | Nakano Vinegar Co Ltd | 酢酸菌スフェロプラストの電気的融合法 |
| JPH01168289A (ja) * | 1987-12-25 | 1989-07-03 | Nakano Vinegar Co Ltd | 酢酸菌スフェロプラストの融合方法 |
-
1983
- 1983-09-30 JP JP58180798A patent/JPS6075280A/ja active Granted
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6075280A (ja) | 1985-04-27 |
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