JPH08277222A - 神経疾患の予防治療剤 - Google Patents

神経疾患の予防治療剤

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JPH08277222A
JPH08277222A JP8058395A JP8058395A JPH08277222A JP H08277222 A JPH08277222 A JP H08277222A JP 8058395 A JP8058395 A JP 8058395A JP 8058395 A JP8058395 A JP 8058395A JP H08277222 A JPH08277222 A JP H08277222A
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JP
Japan
Prior art keywords
pge
therapeutic agent
fat emulsion
prophylactic
apoptosis
Prior art date
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Application number
JP8058395A
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English (en)
Inventor
Toshiaki Shiyou
利明 晶
Toru Kawamura
透 河村
Takeshi Uchida
武 内田
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Tanabe Pharma Corp
GC Biopharma Corp
Original Assignee
Green Cross Corp Japan
Green Cross Corp Korea
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 プロスタグランジンE1 またはその誘導体を
有効成分とする非虚血性またはアポトーシス介在性の神
経疾患の予防治療剤、特に脂肪乳剤の形態を有する予防
治療剤の提供。 【効果】 非虚血性またはアポトーシス介在性、す
なわち、アポトーシスに伴う、アポトーシスを伴う、も
しくはアポトーシスが関与する、神経疾患の予防および
/または治療に有用である。従って、これらに該当する
と思われる疾患、例えば、中枢神経系ではアルツハイマ
ー病、パーキンソン病など、末梢神経系では筋萎縮性側
索硬化症などの予防または治療に有用である。また、突
発性難聴などの疾患のうち、非虚血性またはアポト
ーシス介在性のものの予防および/または治療に有用で
ある。特に脂肪乳剤の形態を有する場合は、上記作用に
加えて徐放性、持続性、局所集積性に優れ、保存安定性
も良好である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロスタグランジンE
1 (以下「PGE1 」という。)およびその誘導体の新
規医薬用途に関し、詳細には、これらを有効成分とす
る、特殊な態様にある神経疾患を予防および/または治
療するための予防治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】PGE1
は生体内に微量存在し、多岐にわたる生理作用、例え
ば、血管拡張作用、血圧降下作用、血管形成作用、血小
板凝集抑制作用、上皮再生促進作用等を有しており、末
梢血流障害の治療剤として既に市販されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、PGE1
またはその誘導体(以下、これらを総称する場合には
「PGE1 類」という。)が特殊な態様にある神経疾
患、すなわち非虚血性またはアポトーシス介在性の
神経疾患の予防治療剤として有用であることを見出し、
本発明を完成するに至った。PGE1 と神経疾患との関
係では、脳神経細胞の酸素欠乏性疾患への適用(特開昭
59−73522号公報)、糖尿病性末梢神経障害への
適用(特開平1−316323号公報)等が報告されて
いる。しかし、上記の特殊な態様にある神経疾患、すな
わち非虚血性またはアポトーシス介在性の神経疾患
との関係に関しては何ら言及されておらず、本知見は全
く予想外なものである。
【0004】本発明の予防治療剤の有効成分であるPG
1 類は、PGE1 、PGE1 活性を有する誘導体、生
体内においてPGE1 に変換されPGE1 活性を発現す
るもの(PGE1 前駆体)等を含む概念である。PGE
1 活性を有する誘導体としては7−チオ体(特開昭58
−110562号公報)等が挙げられる。具体的には7
−チオ−PGE1 等が例示される。
【0005】本発明で使用し得るPGE1 前駆体は、生
体内において、PGE1 に変換されPGE1 活性を発現
しうる化合物であれば、特に限定されない。
【0006】PGE1 類としては、例えば、PGE1
アルキルエステル体(特開昭59−216820号公
報)、アルコキシカルボニルアルキルエステル体または
アシルオキシアルキルエステル体(特開昭59−206
344号公報、特開昭60−13779号公報)、9−
アシルオキシ体(特開昭58−39660号公報、特開
平3−204853号公報、特開平5−213862号
公報)、7−チオ体(特開昭58−110562号公
報)等が挙げられ、好ましくは9−アシルオキシ体であ
る。
【0007】アルキルエステル体、アルコキシカルボニ
ルアルキルエステル体、アシルオキシアルキルエステル
体におけるアルキルは、好ましくは炭素数1〜30、よ
り好ましくは炭素数1〜10のアルキルである。アルコ
キシカルボニルアルキルエステル体におけるアルコキシ
は、好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数
3〜10のアルコキシである。アシルオキシアルキルエ
ステル体におけるアシルは、好ましくは炭素数1〜1
5、より好ましくは炭素3〜10のアシルである。9−
アシルオキシ体におけるアシルは、好ましくは炭素数2
〜6、より好ましくは炭素数2〜4のアシルである。
【0008】PGE1 のアルキルエステル体としては、
具体的には、PGE1 メチルエステル、PGE1 エチル
エステル、PGE1 プロピルエステル、PGE1 ブチル
エステル、PGE1 ペンチルエステル、PGE1 オクチ
ルエステル等が挙げられる。PGE1 のアルコキシカル
ボニルアルキルエステル体としては、具体的には、PG
1 ブトキシカルボニルメチルエステル、PGE1 ヘキ
シルオキシカルボニルメチルエステル、PGE1 オクチ
ルオキシカルボニルメチルエステル、PGE 1 デシルオ
キシカルボニルメチルエステル等が挙げられる。PGE
1 のアシルオキシアルキルエステル体としては、具体的
には、PGE1アセトキシメチルエステル、PGE1
バロイルオキシメチルエステル、PGE 1 1−アセトキ
シエチルエステル、PGE1 1−ヘキサノイルオキシエ
チルエステル、PGE1 1−デカノイルオキシエチルエ
ステル等が挙げられる。
【0009】PGE1 の9−アシルオキシ体としては、
例えば、次の一般式〔I〕で示される化合物が挙げられ
る。
【0010】
【化1】
【0011】〔式中、R1 はアシル、R2 はアルキル、
3 は水素原子または水酸基の保護基、R4 は水素原子
または水酸基の保護基、R5 はアルキルを示す。〕R1
で示されるアシルは、炭素数2〜6、好ましくは炭素数
2〜4のアシルであり、例えばアセチル、プロピオニ
ル、ブチリル、ピバロイル、ヘキサノイル等が挙げられ
る。R2 で示されるアルキルは、炭素数1〜30、好ま
しくは炭素数1〜4のアルキルであり、例えばメチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、
オクチル、デシル、イコシル等が挙げられる。R3 また
はR4 で示される水酸基の保護基としては、アシル(例
えばアセチル、プロピオニル、ベンゾイル)、アラルキ
ル(例えばベンジル、フェニルエチル)等が挙げられ
る。R5 で示されるアルキルは、炭素数1〜10、好ま
しくは炭素数5〜7のアルキルであり、例えばメチル、
エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、
ヘキシル、ヘプチル、2−メチルヘキシル、オクチル、
デシル等が挙げられる。
【0012】PGE1 の9−アシルオキシ体としては、
具体的には、メチル 9−アセトキシ−11α,15S
−ジヒドロキシプロスタ−8,13E−ジエン−1−オ
エート、メチル 9,11α,15S−トリアセトキシ
−プロスタ−8,13E−ジエン−1−オエート、メチ
ル 9,15R−ジアセトキシ−11α−ヒドロキシプ
ロスタ−8,13E−ジエン−1−オエート、メチル
9,15S−ジアセトキシ−11α−ヒドロキシプロス
タ−8,13E−ジエン−1−オエート、ブチル 9−
アセトキシ−11α,15S−ジヒドロキシ−17S,
20−ジメチルプロスタ−8,13E−ジエン−1−オ
エート、ブチル 9−アセトキシ−11α,15S−ジ
ヒドロキシプロスタ−8,13E−ジエン−1−オエー
ト、ブチル 9−ブチリルオキシ−11α,15S−ジ
ヒドロキシプロスタ−8,13E−ジエン−1−オエー
ト、ブチル 9,11α−ジアセトキシ−15S−ヒド
ロキシ−17S,20−ジメチルプロスタ−8,13E
−ジエン−1−オエート等が挙げられる。
【0013】PGE1 の7−チオ体は、上記の各種PG
1 前駆体の7位のCH2 がSで置換されたものを意味
する。具体的には7−チオ−PGE1 メチルエステル、
7−チオ−PGE1 エチルエステル、7−チオ−PGE
1 ブトキシカルボニルメチルエステル、7−チオ−PG
1 ピバロイルオキシメチルエステル、ブチル 7−チ
オ−9−ブチリルオキシ−11α,15S−ジヒドロキ
シプロスタ−8,13E−ジエン−1−オエート等が挙
げられる。
【0014】当該PGE1 類は、例えば、シクロデキス
トリン(CD)包接化、リポソーム化、エタノール溶液
化、脂肪乳剤化等、適当な形態に製剤化することにより
使用することができる。好ましくは脂肪乳剤の形態であ
り、これは徐放性、持続性、局所集積性に優れ、保存安
定性も良好である。
【0015】次に、好ましい形態としての脂肪乳剤につ
いて説明する。本発明において、PGE1 類を含有する
脂肪乳剤(以下「PGE1 類含有脂肪乳剤」という。)
とは、PGE1 類を含有し、油成分が分散媒に液滴とし
て分散された製剤をいう。
【0016】油成分としては、植物油、中鎖脂肪酸トリ
グリセリド(いわゆるMCT)、魚油等が挙げられる。
これらは1種または2種以上を用いることができるが、
植物油と、MCTまたは魚油等との併用が好ましい。植
物油としては、例えば大豆油、ゴマ油、ヒマシ油、綿実
油、オリーブ油等が挙げられる。好ましくは、高純度の
精製大豆油であり、より好ましくは精製大豆油を例えば
水蒸気蒸留法により更に精製して得た高純度の精製大豆
油(純度:トリグリセリド、ジグリセリドおよびモノグ
リセリドとして99.9%以上含有)である。
【0017】油成分を分散媒に分散させるために、リン
脂質等を乳化剤として用いる。リン脂質としては、卵黄
リン脂質、大豆リン脂質等が挙げられ、特にこれらの精
製リン脂質が好ましく用いられる。この精製リン脂質
は、常法に従い、有機溶媒による分画法によって調製す
ることができる。精製リン脂質は、主としてホスファチ
ジルコリン、ホスファチジルエタノールアミンからな
り、これ以外のリン脂質として、ホスファチジルイノシ
トール、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等
も含有する。また、精製リン脂質からホスファチジルエ
タノールアミンを除去したものを用いてもよく、これ
は、卵黄、大豆等のリン脂質を使用し、常法によって有
機溶媒分画を行った後、シリカゲル、アルミナ等の無機
吸着剤によって精製することにより得られる。かくして
得られたリン脂質は、主としてホスファチジルコリンか
らなる(特開昭60−149524号公報)。更に、ホ
スファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミ
ン、ホスファチジルセリンあるいはホスファチジルイノ
シトールそのものを用いることもできる。分散媒として
は、水が挙げられ、好ましくは精製水である。
【0018】当該PGE1 類含有脂肪乳剤は、主とし
て、植物油5〜50%(w/v)、植物油100重量部
に対してリン脂質1〜50重量部、好ましくは5〜30
重量部、および適量の水からなるものである。
【0019】また、本発明におけるPGE1 類含有脂肪
乳剤は、上記成分の他、必要に応じて、更に乳化補助
剤、保存剤、安定化剤、高分子物質、等張化剤等を加え
ることもできる。
【0020】乳化補助剤としては、炭素数6〜22、好
ましくは12〜20の脂肪酸またはその薬理学的に許容
される塩、および炭素数2〜22の脂肪族アミン等が挙
げられる。脂肪酸は、医薬品に添加可能なものであれば
特に制限はなく、直鎖状、分枝状のいずれでもよいが、
具体的には直鎖状のステアリン酸、オレイン酸、リノー
ル酸、パルミチン酸、リノレン酸、ミリスチン酸等を用
いるのが好ましい。また、これら脂肪酸の薬理学的に許
容される塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウ
ム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウ
ム塩、マグネシウム塩等)等を挙げることができる。更
に脂肪族アミンとしては、医薬品に添加可能なものであ
れば特に制限はなく、例えば直鎖状または分岐状の炭素
数2〜22の第一級アミン、第二級アミンが例示され、
具体的にはエタノールアミン、プロピルアミン、オクチ
ルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等が挙げ
られる。当該乳化補助剤の配合量は、脂肪酸またはその
塩は0.3%(w/v)以下、また脂肪族アミンは0.
1%(w/v)以下の量であることが好ましい。
【0021】安定化剤としては、医薬用として使用可能
なものであれば特に制限はなく、コレステロール類、ホ
スファチジン酸等が挙げられる。その配合量は、コレス
テロール類は好ましくは0.5%(w/v)以下、より
好ましくは0.1%(w/v)以下であり、またホスフ
ァチジン酸は好ましくは5%(w/v)以下、より好ま
しくは1%(w/v)以下である。
【0022】高分子物質としては、医薬用として使用可
能なものであれば特に制限はなく、アルブミン、デキス
トラン、ビニル重合体、非イオン性界面活性剤、ゼラチ
ン、ヒドロキシエチル澱粉等が挙げられる。アルブミン
としては、抗原性の問題からヒト由来のものが用いられ
る。ビニル重合体としては、ポリビニルピロリドン等が
挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ポリアル
キレングリコール(例えば、平均分子量1,000 〜10,00
0、好ましくは4,000 〜6,000 のポリエチレングリコー
ル)、ポリオキシアルキレン共重合体(例えば、平均分
子量1,000 〜20,000、好ましくは6,000 〜10,000のポリ
オキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体)、硬
化ヒマシ油ポリオキシアルキレン誘導体〔例えば、硬化
ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エーテル、硬
化ヒマシ油ポリオキシエチレン−(40)−エーテル、
硬化ヒマシ油ポリオキシエチレン−(100)−エーテ
ル等〕、ヒマシ油ポリオキシアルキレン誘導体〔例え
ば、ヒマシ油ポリオキシエチレン−(20)−エーテ
ル、ヒマシ油ポリオキシエチレン−(40)−エーテ
ル、ヒマシ油ポリオキシエチレン−(100)−エーテ
ル等〕等を用いることができる。その配合量は、PGE
1 類100重量部に対して、高分子物質は好ましくは1
0〜500重量部、より好ましくは、50〜100重量
部である。
【0023】等張化剤としては、グリセリン、ブドウ糖
等が挙げられる。
【0024】上記脂肪乳剤中に含有させるPGE1 類の
量は、乳剤の形態および用途によって適宜増減できる
が、一般には当該乳剤中に極微量、例えば0.1〜10
0μg/ml含有させることで十分である。
【0025】本発明に用いるPGE1 類含有脂肪乳剤の
特に好ましい組成としては、例えば次のものが例示され
る。 PGE1 類 1〜 100μg 精製大豆油 50〜 500mg 高度精製レシチン 5〜 50mg オレイン酸 0.1〜 5mg 濃グリセリン 5〜 50mg蒸留水 適 量 合計 1 ml
【0026】PGE1 類含有脂肪乳剤の製造方法は特に
限定されず、種々の方法により調製でき、基本的には、
PGE1 類とその他の油成分からなる油液状物に、分散
媒としての水、特に精製水を加え、適当な方法で乳化
し、全質を均等にすることによって調製される。具体的
には、次の方法等が挙げられる。即ち、所定量のPGE
1 類、油成分(好ましくは、大豆油)、リン脂質、およ
び必要に応じてその他前記の添加剤等を混合、加熱して
溶液となし、常用のホモジナイザー(例えば、高圧噴射
型ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等)を用いて
均質化処理することにより油中水型分散液を作り、次い
でこれに必要量の水を加え、再び前記ホモジナイザーで
均質化を行って水中油型乳剤に変換することにより製造
することができる。製造上の都合によっては、脂肪乳剤
の調製後に安定化剤、等張化剤等の添加剤を加えてもよ
い(特開昭58−222014号公報)。
【0027】上記処理に引き続いて、滅菌処理を施して
もよい。滅菌処理としては、通常の方法が用いられ、例
えば滅菌フィルター法、γ線照射法、高圧加熱処理法等
が挙げられる。
【0028】かくして調製されたPGE1 類含有脂肪乳
剤はそのままで、もしくは所望により更に他の添加剤を
加えることにより、本発明の予防治療剤とすることがで
きる。なお、その他の添加剤としては、エイコサペンタ
エン酸(いわゆるEPA)、ドコサヘキサエン酸(いわ
ゆるDHA)等が挙げられる。
【0029】また、当該脂肪乳剤の平均粒子径は、好ま
しくは1μm以下、より好ましくは0.2〜0.4μm
である。
【0030】当該PGE1 類を用い、脂肪乳剤以外の形
態に製剤化する場合について、以下に説明する。
【0031】シクロデキストリン(CD)包接化は、例
えば、PGE1 類を溶媒(エタノール等)に溶解した溶
液に、シクロデキストリンを水等に加温溶解した溶液を
加えた後、冷却し、析出した沈澱を濾過し、減圧乾燥す
ることにより行うことができる。シクロデキストリンと
しては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキスト
リンおよびγ−シクロデキストリンが挙げられる。CD
包接化の例としては、特公昭52−31404号公報に
記載の方法が挙げられる。
【0032】リポソーム化は、例えば、リン脂質を溶媒
(クロロホルム等)に溶解させた溶液に、PGE1 類を
溶媒(エタノール等)に溶解した溶液を加えた後、溶媒
を留去し、これにリン酸緩衝液を加え、振盪、超音波処
理および遠心分離した後、上清をメンブランフィルター
等で濾過することにより行うことができる。リポソーム
化の例としては、ケミカル・アブストラクト93巻11
36f(80年)、同95巻91231w(81年)に
記載の方法が挙げられる。
【0033】エタノール溶液化は、PGE1 類をエタノ
ールに溶解することにより行うことができる。エタノー
ル溶液中のPGE1 類含有量は通常1〜1000μg/
ml程度である。なお、当該エタノール溶液剤は用時、生
理食塩水またはブドウ糖液等で希釈して用いる。
【0034】本発明の予防治療剤は、注射剤等の形態と
して非経口的に投与することができ、特に静脈投与が好
ましい。その投与は、例えばPGE1 類として1〜10
00μgを、0.01〜1000ng/kg体重/分の
割合で1日1回静脈内に持続注入することにより行う。
【0035】
【実施例・試験例】本発明をより詳細に説明するため
に、実施例および実験例を挙げるが、本発明はこれらに
何ら限定されるものではない。 実施例1(CD包接化) PGE1 17mgをエタノール0.2mlに溶解した溶
液に、β−シクロデキストリン257mgを水6mlに
加温溶解して調製した溶液を加え、45℃で加温溶解し
た後に室温に冷却し、沈澱を析出させた。これを0℃で
一夜放置後に濾過し、50%エタノール水溶液で洗浄し
て減圧乾燥することにより、CD包接化製剤を調製し
た。
【0036】実施例2(リポソーム化) 卵黄ホスファチジルコリン60mgおよびオレイルアミ
ン11mgをクロロホルム5mlに溶解後、PGE1
0μgをエタノール100μlに溶解した溶液をこれに
加え、ナス型フラスコに入れ、ロータリーエバポレータ
ーで溶媒を留去した。0.1M等張化リン酸緩衝液(p
H5)1mlを加え、振盪、超音波処理(ソニケート)
および遠心分離後に、上清を0.2μmのメンブランフ
ィルターで濾過し、リポソーム製剤を回収し、調製し
た。
【0037】実施例3(エタノール溶液化) PGE1 500μgをエタノール1mlに溶解すること
により、エタノール溶液剤を調製した。用時、生理食塩
水またはブドウ糖液等で希釈して用いる。
【0038】実施例4(脂肪乳剤化) 精製大豆油30gに精製卵黄リン脂質5.4g、PGE
1 1.5mgおよびオレイン酸0.72gを加え、40
〜75℃で加熱溶解した。これに蒸留水200mlを加
え、次いで日本薬局方グリセリン7.5gを加え、20
〜40℃の注射用蒸留水で全量を300mlとし、ホモ
ジナイザーで粗乳化した。これをマントン−ガウリン型
ホモジナイザーを用い、1回目120kg/cm 2 、合計5
00kg/cm 2 の加圧下で10回通過させ、乳化した。こ
れにより均質化された極めて微細のPGE1 を含有する
脂肪乳剤を得た。この乳剤の平均粒子径は0.2〜0.
4μmであり、1μm以上の粒子を含有しなかった。
【0039】実施例5〜8 実施例4のPGE1 の代わりに、PGE1 エチルエステ
ル(実施例5)、PGE1 ピバロイルオキシメチルエス
テル(実施例6)、PGE1 オクチルオキシカルボニル
メチルエステル(実施例7)、ブチル 9−ブチリルオ
キシ−11α,15S−ジヒドロキシプロスタ−8,1
3E−ジエン−1−オエート(実施例8)を用いる以外
は実施例4の方法に準じて、均質化された極めて微細な
脂肪乳剤を得た。当該乳剤の平均粒子径は0.2〜0.
4μmであった。
【0040】実験例1 非虚血性細胞死であるアポトーシスのモデルとして、坐
骨神経の漸増性圧迫法をPGE1 の神経機能変性に対す
る評価に用いた。 神経漸増性圧迫モデルの作製 Wistar系雄性ラット(体重350g前後)をペントバル
ビタール腹腔内投与により麻酔し腹位に固定下、右側大
腿部に切開を加え坐骨神経を露出させた後、顕微鏡観察
下で結合組織を注意深く剥離し、坐骨神経を分岐部より
上位に1mm間隔で4箇所、腸線縫合糸にて不完全結紮
した。すなわち、結紮時26ゲージ注射針を添わせて結
紮し、事後これを抜去した。
【0041】 被検薬の投与 モデル作製の翌日より2週間、脂肪乳剤(ベヒクル)お
よびPGE1 脂肪乳剤(1,3,10μg/kg体重)
を連日静脈内投与した。また、対照薬として静脈内投与
可能なプロスタグランジンI2 (以下、PGI2 とい
う)の安定誘導体であるカルバサイクリン(1,3,1
0μg/kg体重)を用いた。
【0042】 脊髄血流測定 2週間の被検薬投与期間を経た後、供試動物をペントバ
ルビタール麻酔し、腹位に固定し顕微鏡観察下、第4お
よび第5腰髄を愛護的に露出し、硬膜外よりレーザード
ップラー血流計により脊髄後角の組織血流を測定した。
【0043】 神経細胞変性に対する生化学的/組織
学的検討 血流測定が完了した後、顕微鏡観察下で第4および第5
腰髄を摘出し、それぞれ凍結保存およびリリー緩衝液に
より組織固定以下の生化学的および組織学的手法により
DNA分析を実施した。なお、対照として坐骨神経から
の神経線維入力がない第13胸髄を採取し、上記と同様
の操作を施した。凍結保存した第4腰髄から、GNOM
E DNA ISOLATION KITを用いて、抽
出したゲノムDNAをアガロース電気泳動にかけ断片化
の有無を調べた。また、組織固定した第5腰髄からパラ
フィン切片を作製し、トルイジンブルーを用いて暗調細
胞(dark cells)を染色し、画像解析処理して一定視野
における暗調神経(dark neuron )の出現頻度を定量し
た。一方、DNA損傷を特異的に検出すべくdUTP
(deoxyuridine 5'-triphosphate)を用いて、関心領野
の神経細胞を染色した。得られた標本を画像解析処理
し、一定領野のDNA損傷の程度を定量した。
【0044】 実験結果 i)坐骨神経の漸増性圧迫によっても腰部の脊髄後角の
組織血流は減少しなかった。このことより、関心領域で
は特に正常動物に比して虚血に陥っているという事実は
なかったと結論される。
【0045】ii)坐骨神経の漸増性圧迫によって、同側
の腰髄において暗調細胞の出現頻度は有意に増加し、P
GE1 脂肪乳剤では正常レベル近くまで有意に改善し
た。一方、カルバサイクリン投与群では若干の軽減は観
察されたものの有意ではなかった。同側腰髄における暗
調細胞の出現頻度を表1に示す。対側では、特段の変化
は観察されなかった。
【0046】
【表1】
【0047】iii )dUTPを用いた脊髄神経細胞染色
で、アポトーシス様の細胞死が観察され、PGE1 脂肪
乳剤は最高投与量群(10μg/kg体重)で明らかに
細胞死の出現頻度を抑制した。
【0048】iv)脊髄組織よりDNAを取りだして分析
した結果、坐骨神経を漸増性圧迫した動物の腰髄組織で
はヌクレオソーム単位のDNA断片化が観察され、対照
として用いた第13胸髄ではこのような現象は認められ
なかった。これに対し、PGE1 脂肪乳剤ではいずれの
用量においてもDNA断片化は観察されなかった。一
方、カルバサイクリン投与群では最低用量(1μg/k
g体重)で明らかなDNA断片化の現象が認められた。
【0049】 結論 暗調細胞の出現頻度において、PGE系薬剤であるPG
1 脂肪乳剤が有意にそれを抑制し、一方PGI2 系薬
剤であるカルバサイクリンの効果が有意ではなかったこ
と、さらにDNAの断片化についても、最低用量から断
片化を抑制したPGE1 脂肪乳剤に対して、同用量では
無効であったカルバサイクリンの効果を勘案すれば、脊
髄後角神経細胞に見られたアポトーシスの抑制にはEP
受容体(E型プロスタグランジンに対する受容体)が優
勢的に関与している可能性が示唆された。
【0050】実験例2 毒性試験 実施例4で調製した本発明の予防治療剤をマウス、ラッ
トおよびイヌにPGE 1 として250μg/kg体重ま
で静脈内投与しても死亡例はなく、重篤な毒性は発現し
なかった。
【0051】
【発明の効果】本発明の予防治療剤は、哺乳動物(例え
ば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ヒト等)に
おける神経疾患の予防治療剤として、特に非虚血性ま
たはアポトーシス介在性、すなわち、アポトーシスに
伴う、アポトーシスを伴う、もしくはアポトーシスが関
与する、神経疾患の予防および/または治療に有用であ
る。従って、これらに該当すると思われる疾患、例え
ば、中枢神経系ではアルツハイマー病、パーキンソン病
など、末梢神経系では筋萎縮性側索硬化症などの予防ま
たは治療に有用である。また、突発性難聴などの疾患の
うち、非虚血性またはアポトーシス介在性のものの
予防および/または治療に有用である。
【0052】また、本発明の予防治療剤が特に脂肪乳剤
の形態を有する場合、上記の神経疾患の予防治療剤の有
効成分としてのPGE1 類の安定性の改善および作用の
持続化が図られ、その結果、上記の有用性が向上し、大
量製剤化に適した製剤が得られる。さらに徐放性、持続
性、局所集積性に優れ、保存安定性も良好となる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロスタグランジンE1 またはその誘導
    体を有効成分とする、非虚血性またはアポトーシス介在
    性の神経疾患の予防治療剤。
  2. 【請求項2】 脂肪乳剤の形態である請求項1記載の予
    防治療剤。
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