JPH0914947A - カーボン膜の膜厚測定方法 - Google Patents

カーボン膜の膜厚測定方法

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JPH0914947A
JPH0914947A JP16413595A JP16413595A JPH0914947A JP H0914947 A JPH0914947 A JP H0914947A JP 16413595 A JP16413595 A JP 16413595A JP 16413595 A JP16413595 A JP 16413595A JP H0914947 A JPH0914947 A JP H0914947A
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film
carbon film
carbon
thickness
thin film
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JP16413595A
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Inventor
Yasuyo Hisamichi
康代 久道
Yuichi Arizaka
裕一 蟻坂
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 非磁性支持体上に金属磁性薄膜と未知の膜厚
を有するカーボン膜とが形成されてなる磁気記録媒体に
に対して、X線光電子分光法による観測を行って、炭素
原子のピーク面積強度IC と、金属磁性薄膜を構成する
金属原子のピーク面積強度IM とを測定する工程と、カ
ーボン膜が20nm以上形成されてなる磁気記録媒体か
ら炭素原子のピーク面積強度IC 0 を測定する工程と、
カーボン膜が形成されていない磁気記録媒体から金属磁
性薄膜を構成する金属原子のピーク面積強度IM 0 を測
定する工程と、定数λの値を算出する工程とを経て、下
式に、前記IC 、IM 、IC 0 、IM 0 の測定値、前記
定数λの算出値、光電子脱出角度αの値を代入すること
によって、未知のカーボン膜の膜厚dC を求める。 dC =λ sinα・ln[(IC /IM )/(IC 0 /I
M 0 )+1] 【効果】 磁気記録媒体におけるカーボン膜の膜厚制御
が適正に行えるようになり、薄くても実用上必要な耐久
性を有するカーボン膜が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非磁性支持体上に金属
磁性薄膜とカーボン膜とが形成された、いわゆる金属薄
膜型の磁気記録媒体に対して、カーボン膜の膜厚を測定
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録媒体としては、非磁
性支持体上に酸化物磁性粉末あるいは合金磁性粉末等の
粉末磁性材料を塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体,ポ
リエステル樹脂,ウレタン樹脂,ポリウレタン樹脂等の
有機結合剤中に分散せしめた磁性塗料を塗布、乾燥する
ことにより作製される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体
が広く使用されている。
【0003】これに対して、高密度記録への要求の高ま
りとともに、Co−Ni合金,Co−Cr合金,Co−
O等の金属磁性材料を、メッキや真空薄膜形成手段(真
空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法
等)によって非磁性支持体上に直接被着した、いわゆる
金属磁性薄膜型の磁気記録媒体が提案されて注目を集め
ている。
【0004】この金属磁性薄膜型の磁気記録媒体は抗磁
力や角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れる
ばかりでなく、磁性層の厚みをきわめて薄くできる為、
記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さいこと、磁性
層中に非磁性材であるその結合剤を混入する必要が無い
ため磁性材料の充填密度を高めることが出来ることな
ど、数々の利点を有している。
【0005】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするため、該磁気記録媒体の磁性層を形成するに際
し、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着が提案
され実用化されている。
【0006】ところで、上述したような磁気記録媒体に
おいては、耐久性や耐錆性に問題があるといわれてお
り、これらの課題を解決するために、磁性層表面を酸化
させたり、真空成膜法を用いて、金属磁性薄膜上に保護
膜を設けたり、さらにこの上に潤滑剤を塗布したりして
いる。
【0007】現在のところ、この種の保護膜としては、
スパッタリング法によって成膜されたカーボン膜や、炭
化水素系のガスを用いた化学的気相成長(CVD)法に
よって成膜されたダイヤモンド状のカーボン膜が有望視
されている。
【0008】Co薄膜やCo−Ni薄膜等の金属磁性薄
膜上に直接カーボン膜を形成することによって実用水準
の耐久性を得るには、このカーボン膜の膜厚をある程度
厚くする必要がある。しかしながら、今後、さらなる高
密度化に伴う短波長化が進むと、スペーシング損失によ
る出力低下が無視できなくなることを考慮すると、上記
カーボン膜の膜厚をむやみに厚くすることはできない。
即ち、カーボン膜は、耐久性を維持できる範囲で可能な
限り薄く成膜されることが望ましく、その膜厚が適正に
制御される必要がある。
【0009】従来より、カーボン膜の膜厚を測定するた
めには、ミクロトームTEM法と呼ばれる断面観察法に
よって得られた30万倍程度の拡大写真から算出するこ
とが行われてきた。ここで、TEM(透過型電子顕微
鏡)とは、真空において電子銃から出た電子線を試料に
照射し、その透過像を磁場レンズによって拡大すること
により、物質の拡大像を得るものであり、ミクロトーム
とは、電子線が透過しうる程度の厚さの切片を作製する
試料作製法である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、記録波長が
0.5μmである場合におけるスペーシング損失による
出力低下の許容範囲を考慮すると、カーボン膜の膜厚は
数nmに制御される必要がある。このため、カーボン膜
に対する膜厚測定は、nmレベルでの分解能が要求され
ることとなる。
【0011】しかしながら、上述したミクロトームTE
M法は、5nm以上の厚さを有する膜に対しては膜厚を
測定することができるが、これより薄い膜については分
解能が及ばない。
【0012】したがって、厚さ5nm以下のカーボン膜
については、連続巻取り式スパッタリング装置あるいは
連続巻取り式CVD装置における支持体の送り速度と成
膜されるカーボン膜の厚さとの関係から、経験的に膜厚
の制御がなされてきた。
【0013】しかしながら、支持体の送り速度とカーボ
ン膜の厚さとの関係は、スパッタリング法を適用する
か、CVD法を適用するかといった成膜方法の違いや、
成膜室の大きさ、真空度、導入ガス等の各種成膜条件の
違いによって変動してしまうものであることから、この
非磁性支持体の送り速度によって正確に膜厚を制御する
のは困難であった。
【0014】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、スペーシング損失を低減
でき、且つ、十分な耐久性が確保できるようなカーボン
膜を得るために、nmレベルの厚さを有するカーボン膜
に対する膜厚測定が可能な膜厚測定方法を提供すること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明に係るカーボン膜
の膜厚測定方法は、上述の目的を達成するため提案され
たものであり、非磁性支持体上に金属磁性薄膜と未知の
膜厚を有するカーボン膜とが形成されてなる磁気記録媒
体について、該カーボン膜の膜厚dC を測定するに際
し、前記磁気記録媒体に対して、X線光電子分光法によ
る観測を行って、炭素原子の1s準位に対応したピーク
面積強度IC と、金属磁性薄膜を構成する金属原子の2
p準位に対応したピーク面積強度IM とを測定する工程
と、カーボン膜が20nm以上形成されてなる磁気記録
媒体に対して、X線光電子分光法による観測を行って、
炭素原子の1s準位に対応したピーク面積強度IC 0 を
測定する工程と、カーボン膜が形成されていない磁気記
録媒体に対して、X線光電子分光法による観測を行っ
て、金属磁性薄膜を構成する金属原子の2p準位に対応
したピーク面積強度IM 0 を測定する工程と、既知の膜
厚を有するカーボン膜が形成された複数の磁気記録媒体
に対して、X線光電子分光法による観測を行うことによ
り、定数λの値を算出する工程とを経た後、下記の式
(1)に、前記IC、IM 、IC 0 、IM 0 の測定値、
前記定数λの算出値、光電子脱出角度αの値を代入し
て、膜厚dC を算出するものである。
【0016】 dC =λ sinα・ln[(IC /IM )/(IC 0 /IM 0 )+1] ・・・(1) ここで、X線光電子分光法(以下、ESCA:Electron
Spectroscopy for Chemical Analysis と称す。)と
は、物質の光電効果を利用して、構成原子の同定、結合
状態の検知を行う方法である。ある物質にエネルギー幅
が狭いX線(例えばMgKa やAlKa 等)を照射する
と、光電効果によって電子eが叩き出されるが、叩き出
された電子eの運動エネルギーEk、照射X線のエネル
ギーhν、仕事関数φ、電子の結合エネルギーEbは下
記の式(2)のような関係を有する。
【0017】 Eb=hν−Ek−φ ・・・(2) そして、電子の結合エネルギーEbは各原子固有のもの
であるため、これによって、原子の同定、結合エネルギ
ーの検知が可能となるのである。
【0018】本発明においては、金属磁性薄膜中から放
出された光電子の強度IM とカーボン膜中から放出され
た光電子の強度IC とを測定し、これが、表面深さ数n
mの範囲に存在するカーボンの量を反映することを利用
して、カーボン膜の膜厚dCを算出しようとするもので
ある。
【0019】上述した式(1)によってカーボン膜の膜
厚dC を算出するに際しては、定数λの値を定める必要
があるが、このためには、既知の膜厚を有するカーボン
膜が形成された複数の磁気記録媒体に対して、X線光電
子分光法による観測を行って、炭素原子の1s準位に対
応したピーク面積強度IC と、金属磁性薄膜を構成する
金属原子の2p準位に対応したピーク面積強度IM とを
それぞれ測定した後、既に測定された前記IC 0 と前記
M 0 とを用いてln[(IC /IM )/(IC 0 /I
M 0 )+1]の値を算出し、この算出値と前記既知のカ
ーボン膜の膜厚との相関関係から、λ sinαの値を求
め、光電子脱出角度αの値を代入すればよい。
【0020】例えば、金属磁性薄膜がコバルトを主体と
する金属材料よりなる場合、定数λとして1.8なる値
を用いることとなる。
【0021】ここで、カーボン膜とは、スパッタリング
法によって成膜されたカーボン膜であっても、炭化水素
系ガスを用いたCVD法によって成膜されたカーボン膜
であってもよい。なお、スパッタリング法としては、マ
グネトロンスパッタ法や対向ターゲット法が挙げられ、
CVD法としては、CVDは、プラズマCVD法,EC
RプラズマCVD法,アークジェットプラズマCVD法
等が挙げられる。
【0022】本発明は、いわゆる金属磁性薄膜型の磁気
記録媒体について、カーボン膜の膜厚制御を適正に行う
ために適用されるものであるが、磁気記録媒体における
非磁性支持体や金属磁性薄膜といった構成材料に限定は
ない。
【0023】例えば、非磁性支持体としては、ポリエス
テル類、ポリオレフィン類、セルロース類、ビニル類、
ポリイミド類、ポリカーボネート類に代表されるような
高分子材料によって形成される高分子基板や、アルミニ
ウム合金、チタン合金からなる金属基板、アルミガラス
等のセラミックス基板、ガラス基板等が挙げられ、その
形状も何等限定されないが、磁気テープに適用する場合
には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチ
レンナフタレートフィルム、アラミドフィルム等を用い
て好適である。また、これらのフィルムには、表面粗度
を制御するためにフィラーが内添されていてもよいし、
表面に表面粗度を制御するための層が形成されていても
よい。
【0024】金属磁性薄膜としても、従来公知のものが
いずれも使用可能である。例示するならば、Fe,C
o,Niなどの強磁性金属、Fe−Co,Fe−Ni,
Co−Ni,Fe−Co−Ni,Fe−Co−B,Fe
−Ni−B,Fe−Cu,Co−Cu,Co−Au,C
o−Pt,Mn−Bi,Mn−Al,Fe−Cr,Co
−Cr,Ni−Cr,Fe−Co−Cr,Co−Ni−
Cr,Co−Ni−Pt,Fe−Co−Ni−Cr,F
e−Co−Ni−B等の強磁性合金からなる面内磁化記
録用の金属磁性薄膜や、Co−Cr系合金薄膜、Co−
O系薄膜等の垂直磁化記録用の金属磁性薄膜が挙げられ
る。
【0025】これら金属磁性材料は、真空下で強磁性金
属磁性材料を加熱蒸発させ支持体上に沈着させる真空蒸
着法や、強磁性金属材料の蒸発を放電中で行うイオンプ
レーティング法、アルゴンを主成分とする雰囲気中でグ
ロー放電を越こし生じたアルゴンイオンでターゲット表
面の原子をたたき出すスパッタ法等のいわゆるPVD技
術によって薄膜とされる。磁性層としてはこれら手法に
よって成膜される金属磁性薄膜の単層膜あるいは多層膜
のいずれでも良い。なお、非磁性支持体と金属磁性薄膜
の間,さらには金属磁性薄膜が多層膜である場合には金
属磁性薄膜同士の間に、各層間の付着力向上、抗磁力の
制御等を図るために下地層や中間層を設けるようにして
も良い。また、これら金属磁性薄膜の表面近傍は、耐蝕
性改善等を目的として酸化物層となっていてもよい。
【0026】特に面内磁化記録用の金属磁性薄膜の場
合、予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、G
a、In、Ge、Si、Ti等の低融点非磁性材料の下
地膜を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着
あるいはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非
磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を
確保するとともに抗磁力を向上するようにしてもよい。
【0027】但し、本発明においては、上述したよう
に、カーボン膜の膜厚を測定するに際して、金属磁性薄
膜中に含有される金属原子の2p準位に対応したピーク
面積強度IM 等の測定結果を用いることから、金属磁性
薄膜の構成材料の違いによって、式(1)に代入する値
が異なってくる。
【0028】また、本発明を適用してカーボン膜の膜厚
制御がなされた磁気記録媒体においては、非磁性支持体
の金属磁性薄膜が形成されている側とは反対側の面にバ
ックコート層が形成されたり、保護膜上にさらに潤滑剤
や防錆剤等よりなるトップコート層が塗布されたりして
も良い。これらの層に用いられる材料には、従来公知の
ものがいずれも使用可能である。例えば、バックコート
層は、通常の磁気記録媒体において形成されているよう
なカーボンブラック等の帯電防止効果や摩擦低減効果を
有する非磁性粉末が結合剤中に分散されてなる非磁性層
であればよい。
【0029】
【作用】ESCAによる膜厚測定法の原理を簡単に説明
する。
【0030】先ず、試料表面からの深さz、厚さdz の
層に対して一様なX線を照射した場合を考える。注目す
る原子aから励起された光電子は、物質との強い相互作
用を受ける。この内、エネルギー損失なしで真空中に放
出される光電子強度dIa は、照射されるX線強度をF
0 、検出する光電子が発生する試料の有効面積をS0、
光イオン化断面積をσa 、注目する原子aの深さzにお
ける数密度をna 、表面に平行な面とアナライザ軸との
なす角度によって示される放出角度をα、非弾性散乱平
均自由行程をλa とすると、下記の式(3)にて示され
る。
【0031】 dIa =F0 S0 σa a exp(−dz /λa sinα) ・・・(3) なお、一般にESCAの領域では、λa は数十nm〜数
百nmであり、厳密にはマトリックス、光電子の運動エ
ネルギーに依存する。
【0032】上述した式(3)は、光電子強度に関する
基本式である。式(3)からわかるように、光電子が薄
膜中を通過するに伴い、一定の確率exp(−dz /λ
a sin α)に従い減衰していく。また、真空中に放出さ
れた光電子の95%は深さ3λa までの領域からのもの
であるといわれている。なお、深さλa では63.2
%、深さ2λa では86.5%である。したがって、E
SCAによる膜厚測定では、一般に3λa なる厚さが限
界となる。
【0033】一様な試料に対しての光電子強度Ia
は、上述した式(3)を積分することにより、下記の式
(4)のようになる。
【0034】 Ia ∞=F0 S0 σa a λa ・・・(4) 次に、図1に示されるような、基板1上に厚さdの薄膜
2が形成されてなる単純な2層モデルについて考える。
【0035】基板1からの光電子強度Is および薄膜2
からの光電子強度Io は、基板1を示す添字をs、薄膜
を示す添字をoとし、基板物質の光電子の基板1中での
平均自由行程をλss、基板物質の光電子の薄膜2中での
平均自由行程をλso、薄膜物質の光電子の薄膜1中での
平均自由行程をλooとすると、それぞれ下記の式(5)
および式(6)にて示される。
【0036】 Is =F0 S0 σs s λssexp(−d/λso sinα) =Is ∞exp(−d/λso sinα) ・・・(5) Io =F0 S0 σo o λoo[1−exp(−d/λoo sinα)] =Io ∞[1−exp(−d/λoo sinα)] ・・・(6) なお、上記式(5)および式(6)においては、 Is ∞=F0 S0 σs s λsso ∞=F0 S0 σo o λoo である。
【0037】一般に、X線光電子分光(XPS:X-ray
Photoelectron Spectroscopy)における定量的扱いは相
対強度を用いる。相対強度Io /Is は上述した式
(5)および式(6)から、下記の式(7)のように表
せる。
【0038】 Io /Is =(Io ∞/Is ∞) ×[1−exp(−d/λoo sinα)] ×exp(d/λso sinα) ・・・(7) そして、この式(7)から、薄膜2の膜厚dを求めるこ
とができる。
【0039】注目する光電子の運動エネルギーが近接し
ている場合には、λoo=λso=λの近似が行えるため、
式(7)はさらに簡単になり、膜厚dは下記の式(8)
にて表すことができる。
【0040】 d=λ sinα・ln[(Io /Is /Io ∞/Is ∞)+1] ・・・(8) この式(8)において、Io 、Is 、Io ∞、Is ∞は
測定値であり、αは測定条件によって決まるものである
ため、λの値が決まれば、膜厚dを求めることが可能と
なる。なお、λの値は、既知の膜厚を有する薄膜が形成
された複数のサンプルに対して、X線光電子分光法によ
る観測を行うことにより、算出することができる。
【0041】したがって、金属磁性薄膜上にカーボン膜
が成膜されてなる磁気記録媒体についても、観測される
電子エネルギースペクトルを分析して、式(8)におけ
るIo をC原子の1s準位に対応したスペクトルのピー
ク面積強度IC に、Is を金属磁性薄膜中の金属原子の
2p準位に対応したスペクトルのピーク面積強度IM
置き換え、同じく、Io ∞をIC 0 に、Is ∞をIM 0
に置き換えれば、前述した式(1)によってカーボン膜
の膜厚dC を知ることができる。
【0042】 dC =λ sinα・ln[(IC /IM )/(IC 0 /IM 0 )+1] ・・・(1)
【0043】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて説明するが、本発明がこの実施例に限定されるもの
でないことは言うまでもない。
【0044】先ず、非磁性支持体上に金属磁性薄膜とカ
ーボン膜とが形成されてなる磁気テープを作製した。
【0045】具体的には、厚さ6μmのポリエチレンテ
レフタレート(PET)フィルム上に、Coを蒸着源に
用いた真空蒸着を行うことにより、膜厚200nmの金
属磁性薄膜を成膜した。金属磁性薄膜の成膜条件は下記
のとおりである。
【0046】金属磁性薄膜の成膜条件 成膜装置 : 連続巻取り式蒸着装置 蒸着源 : Co100% 蒸着粒子の入射角 : 45〜90° 蒸着レート : 5000nm・m/min 酸素の導入量 : 500sccm なお、酸素の導入によってCoを部分酸化した。
【0047】次に、カーボン膜を以下の成膜条件にて成
膜した。
【0048】 カーボン膜の成膜条件 成膜装置 : 連続巻取り式スパッタリング装置 ターゲット : カーボン 印加電力 : 10kW スパッタガス : Ar 75sccm なお、金属磁性薄膜が成膜された非磁性支持体の送り速
度を4m/min〜16m/minの範囲で変化させる
ことによって、カーボン膜の膜厚を種々に異ならせた。
【0049】そして、8mm幅に裁断することにより、
カーボン膜の膜厚が異なる4種類の磁気テープ(サンプ
ルテープ1〜4)を完成した。
【0050】ここで、サンプルテープ1〜4におけるカ
ーボン膜の膜厚を調べるため、ESCAを用いて、サン
プルテープ1〜4について、Co原子の2p準位に対応
したスペクトルのピーク面積強度ICoと、C原子の1s
準位に対応したスペクトルのピーク面積強度IC とをそ
れぞれ測定した。測定条件を以下に示す。
【0051】 測定条件 装置 : ULVAC−PHI ESCA5400MC X線 : モノクロメータAlKa (15kV、400W) 測定真空度 : 10-8Pa台 光電子脱出角度α : 80° 分析径 : 直径1.1mm パスエネルギー : 35.75 なお、予め、カーボン膜が成膜されていない磁気テープ
について、Coの光電子強度ICo0 を測定しておくとと
もに、カーボン膜が20nm以上成膜された磁気テープ
について、カーボン膜の光電子強度IC 0 を測定してお
いたが、この測定条件も上述したものと同様である。
【0052】そして、これらの測定値を前述した式
(1)に代入することによって、サンプルテープ1〜4
におけるカーボン膜の膜厚dC をそれぞれ求めた。
【0053】 dC =λ sinα・ln[(IC /IM )/(IC 0 /IM 0 )+1] ・・・(1) なお、IM にはICoの値を代入すればよく、IM 0 には
Co0 の値を代入すればよい。
【0054】また、λについては、実験データを用いて
決定した経験式による算出法がいくつかあるが、測定す
る物質の状態によって影響を受ける虞れがあるため、こ
こでは、既知の膜厚を有する試料について測定を行い、
これから逆算することによって求めた。
【0055】図2に、Coよりなる金属磁性薄膜上に既
知の膜厚dC'のカーボン膜が成膜されてなる試料につい
て、α=80なる条件にて、ln[(IC /ICo)/
(IC0 /ICo0 )+1]を測定した結果を示す。ま
た、最小自乗法によって、ln[(IC /ICo)/(I
C 0 /ICo0 )+1]とカーボン膜の膜厚dC'との相関
関係を求めたところ、下記の式(9)のようになった。
【0056】 dC'=1.8×ln[(IC /ICo)/(IC 0 /ICo0 )+1] −0.17 ・・・(9) なお、相関係数rは0.99であった。
【0057】ここで、式(9)と式(1)とを見比べる
と、式(9)における傾き1.8が式(1)におけるλ
sinαに対応していることがわかる。そして、α=80
を代入してλを求めると、λ=1.8(nm)となる。
【0058】したがって、式(1)に、IC 、ICo、I
C 0 、ICo0 の測定値、およびλ=1.8、α=80代
入すれば、サンプルテープ1〜4におけるカーボン膜の
膜厚dC を算出することができる。
【0059】そして、上述のようにして膜厚dC が算出
されたサンプルテープ1〜4について、耐久性の測定も
行った。具体的には、トラック幅20μmのセンダスト
ヘッドが搭載された8mmビデオデッキ(ソニー社製,
商品名CVD−1000)を用いて、最短記録波長0.
5μmとして記録再生を行い、スチル耐久性を測定し
た。
【0060】ここで、スチル耐久性は、各サンプルテー
プに対して20℃60%RH条件下にて信号を記録し、
スチル再生を行い、再生出力が3dB低下するまでの時
間として評価した。なお、スチル耐久性の評価は、各サ
ンプルテープの任意の20点について行った。
【0061】サンプルテープ1〜4について、算出され
たカーボン膜の膜厚dC と、スチル耐久性の評価結果と
を表1に併せて示す。
【0062】
【表1】
【0063】表1より、カーボン膜の膜厚dC が2.0
nm以上であったサンプルテープ2〜4については、通
常の使用に耐え得る耐久性が確保されていることがわか
る。これより、磁気記録媒体の保護膜として形成される
カーボン膜は、その膜厚dCが2.0nm以上となるよ
うに制御される必要があることがわかる。
【0064】このような薄い膜厚dC は、ミクロトーム
TEMで測定できない範囲であることから、本発明を適
用することが非常に有効である。
【0065】なお、実際には、基板物質であるCoの光
電子の運動エネルギーと薄膜物質であるCの光電子の運
動エネルギーとは近接していないため、基板物質の光電
子の薄膜2中での平均自由行程λsoと、薄膜物質の光電
子の薄膜1中での平均自由行程λooとを近似させてλと
置くことができず、前述した式(7)から式(8)への
変形が行えない。しかしながら、図2に示されたよう
に、ln[(IC /ICo)/(IC 0 /ICo0 )+1]
と既知のカーボン膜の膜厚dC'との相関関係が、非常に
高い直線性を有するものであったことから、ここでは、
前述した式(1)によって、カーボン膜の膜厚dC を算
出した。
【0066】また、λを算出するために用意された既知
の膜厚dC'を有するカーボン膜は、ミクロトームTEM
によって膜厚の測定が行われたものである。このときの
ミクロトームTEMによる測定条件は以下のとおりであ
った。
【0067】測定条件 装置 : JEOL JEM−200CX 加速電圧 : 200kV ミクロトーム設定切片厚: 100nm 但し、膜厚が4nm以下の場合には、ミクロトームTE
Mによる膜厚測定ができないので、ミクロトームTEM
による膜厚測定が可能な膜厚のカーボン膜の送り速度に
基づいて、厳密に条件設定を行った上で、成膜時の送り
速度を調整することによって膜厚制御を行った。
【0068】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明を適用すると、カーボン膜の膜厚を、従来測定不可能
であった膜厚であっても、正確に測定することが可能と
なるため、磁気記録媒体におけるカーボン膜の膜厚制御
が適正に行えるようになる。
【0069】したがって、薄くても実用上必要な耐久性
を有するカーボン膜を得ることが可能となる。そして、
このようなカーボン膜が設けられた磁気記録媒体は、優
れた電磁変換特性と優れた耐久性とを両立するものとな
り、さらなる高密度記録化にも対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ESCAによる膜厚測定法の原理を説明するも
のであり、基板上に薄膜が形成されたサンプルを示す模
式的断面図である。
【図2】ln[(IC /ICo)/(IC 0 /ICo0 )+
1]の算出値と既知のカーボン膜の膜厚dC'との相関関
係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 基板 2 薄膜

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に金属磁性薄膜と未知の
    膜厚を有するカーボン膜とが形成されてなる磁気記録媒
    体について、該カーボン膜の膜厚dC を測定するに際
    し、 前記磁気記録媒体に対して、X線光電子分光法による観
    測を行って、炭素原子の1s準位に対応したピーク面積
    強度IC と、金属磁性薄膜を構成する金属原子の2p準
    位に対応したピーク面積強度IM とを測定する工程と、 カーボン膜が20nm以上形成されてなる磁気記録媒体
    に対して、X線光電子分光法による観測を行って、炭素
    原子の1s準位に対応したピーク面積強度IC0 を測定
    する工程と、 カーボン膜が形成されていない磁気記録媒体に対して、
    X線光電子分光法による観測を行って、金属磁性薄膜を
    構成する金属原子の2p準位に対応したピーク面積強度
    M 0 を測定する工程と、 定数λの値を算出する工程とを経た後、 下記の式(1)に、前記IC 、IM 、IC 0 、IM 0 の
    測定値、前記定数λの算出値、光電子脱出角度αの値を
    代入して、膜厚dC を算出することを特徴とするカーボ
    ン膜の膜厚測定方法。 dC =λ sinα・ln[(IC /IM )/(IC 0 /IM 0 )+1] ・・・(1)
  2. 【請求項2】 既知の膜厚を有するカーボン膜が形成さ
    れた複数の磁気記録媒体に対して、X線光電子分光法に
    よる観測を行って、炭素原子の1s準位に対応したピー
    ク面積強度IC と、金属磁性薄膜を構成する金属原子の
    2p準位に対応したピーク面積強度IM とをそれぞれ測
    定した後、 既に測定された前記IC 0 と前記IM 0 とを用いてln
    [(IC /IM )/(IC 0 /IM 0 )+1]の値を算
    出し、この算出値と前記既知のカーボン膜の膜厚との相
    関関係から、λ sinαの値を求め、 光電子脱出角度αの値を代入することにより、定数λの
    値を得ることを特徴とする請求項1記載のカーボン膜の
    膜厚測定方法。
  3. 【請求項3】 前記金属磁性薄膜がコバルトを主体とす
    る金属材料よりなる場合、定数λとして1.8なる値を
    用いることを特徴とする請求項1記載のカーボン膜の膜
    厚測定方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003504609A (ja) * 1999-07-09 2003-02-04 エフ・イ−・アイ・カンパニー 非弾性電子散乱による膜厚測定
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JP2022525861A (ja) * 2019-03-12 2022-05-20 ノヴァ メジャリング インスツルメンツ インコーポレイテッド 堆積プロセスを監視する方法およびシステム

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