JPH10237091A - 抗生物質ホルママイシンとその製造法 - Google Patents

抗生物質ホルママイシンとその製造法

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JPH10237091A
JPH10237091A JP4431897A JP4431897A JPH10237091A JP H10237091 A JPH10237091 A JP H10237091A JP 4431897 A JP4431897 A JP 4431897A JP 4431897 A JP4431897 A JP 4431897A JP H10237091 A JPH10237091 A JP H10237091A
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雅之 五十嵐
Hiroshi Osanawa
博 長縄
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雅 濱田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた抗真菌活性及び抗腫瘍活性を示し新し
い分子骨格を有する抗生物質を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 次式(I) で表されるホルママイシンが得られた。ホルママイシン
は抗真菌活性及び抗腫瘍活性を有する抗生物質である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗真菌活性を有する
新規な抗生物質であるホルママイシン(Formami
cin)に関し、また、ホルママイシンの製造法に関す
る。さらに本発明はホルママイシンを有効成分とする抗
真菌剤及び抗腫瘍剤に関する。また、本発明は、ホルマ
マイシンを生産できる特性を持つ新規な微生物サッカロ
スリックスMK27−91F2株に関する。
【0002】
【従来の技術】真菌感染症の化学療法において、抗真菌
剤としてアンホテリシンB、ピロールニトリン、グリセ
オフルビン等が使用されている。また、農業用殺菌剤と
してカスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシン等
が使用されている。また抗腫瘍性物質は、ブレオマイシ
ン、アクラシノマイシン、マイトマイシン等が化学療法
剤として使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】真菌感染症の化学療法
において従来使用されている既知の化学療法剤はいまだ
十分に満足とはいえず、また耐性菌の出現は重大な問題
である。従来使用されている既知の抗真菌物質とは異な
る化学構造の骨格を有し且つ優れた抗真菌活性と性質を
示す新しい化合物の発見または創製は常に望まれてお
り、そのための研究が行われている。農業用殺菌剤にお
いても、耐性菌の出現は重大な問題である。従来使用さ
れている既知の抗真菌性物質とは異なる化学構造の骨格
を有し且つ優れた抗真菌活性と副作用の少ない新しい化
合物の発見または創製が常に望まれており、そのための
研究が行われている。
【0004】癌の化学療法において、癌細胞が多剤耐性
になることは重大な問題である。また、副作用の少ない
制癌剤が常に求められている。そのため、従来使用され
ている既知の抗腫瘍性物質と異なる化学構造の骨格を有
し且つ優れた制癌活性と副作用の少ない新しい化合物の
発見、創製が強く望まれており、それを目的とした研究
が行われている。本発明は、上記の要望に応えることが
できる抗真菌活性及び抗腫瘍活性を持つ新規な抗生物質
を提供することを目的にするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは有用
な新規の抗生物質を発見すべく研究を行ってきた。その
結果、新規な微生物として、サッカロスリックス属に属
する菌株を分離することに成功し、またこの菌株が新し
い構造骨格を有する抗生物質を産生していることを見い
出した。この抗生物質をホルママイシンと命名してこれ
が各種の糸状菌に対し抗真菌活性を示し、また各種の癌
細胞に対し増殖抑制効果を示すことを見い出した。さら
に研究を続けホルママイシンを分析することにより、ホ
ルママイシンの化学構造を決定した。そしてホルママイ
シンが新規化合物であることを確認し、後記の式(I)
により表せることを知見した。
【0006】しかして、本発明は、サッカロスリックス
属に属する微生物を培養して得られて本発明者らにより
ホルママイシン(Formamicin)と命名された抗生物質、お
よびその製造法について提供するものである。さらに、
本発明はホルママイシンを有効成分とする抗真菌剤及び
抗腫瘍剤を提供するものである。
【0007】すなわち、第1の本発明によると、次式
(I) で表される抗生物質ホルママイシンが提供される。
【0008】第1の本発明による式(I)のホルママイ
シンの理化学的性状は、次の通りである。
【0009】(1)外観 無色結晶 (2)融点 201 〜202 ℃ (3)比旋光度 [α]D 23 +15.5゜(c 1、エタノール中) (4)分子式 C44539 (5)高分解能質量分析(HRFABMS:正イオンモ
ード) 実験値 831.4859 (M+Na)+ 計算値 831.4871 添付図面の図1に示す。 (7)赤外線吸収スペクトル 添付図面の図2に示す通りである。
【0010】(8)プロトン核磁気共鳴スペクトル 500MHzにおいて重ベンゼン溶液中で室温にて測定
したホルママイシンのプロトンNMRスペクトルは、添
付図面の図3に示す通り。 (9)炭素13核磁気共鳴スペクトル 125MHzにおいて重ベンゼン溶液中で室温にて測定
したホルママイシンの炭素13NMRスペクトルは、添
付図面の図4に示す通り。 (10)溶解性 ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトンに可溶で
水に不溶である。 (11)TLC シリカゲル60F254(メルク社製)の薄層クロマトグ
ラフィー(TLC)で展開溶媒としてクロロホルム:メタ
ノール(9:1) で展開したときのRf値は、0.39である。
【0011】本発明による抗生物質ホルママイシンが前
記の式(I)で示される化学構造を有することは、プロ
トンNMR、炭素13NMR、X線結晶解析等の分析を
詳細に検討することにより前記の通り決定された。
【0012】本発明による式(I)のホルママイシンは
後記の生物学的性質を有する。すなわち、ホルママイシ
ンは、植物病原糸状菌を含む各種の糸状菌に対して抗真
菌活性を示す。
【0013】試験例1 ホルママイシンの真菌に対する
抗菌活性 各種の糸状菌に対するホルママイシンの抗真菌スペクト
ルは肉エキス−ペプトン−グルコース寒天培地上で倍数
希釈法によって測定した。その結果を表1に示す。
【0014】
【0015】試験例2 ホルママイシンの植物病原菌に
対する抗菌活性 各種の植物病原菌に対するホルママイシンの抗真菌スペ
クトルは、ポテトスクロース寒天培地上で倍数希釈法に
よって測定した。その結果を表2に示す。
【0016】
【0017】試験例3 各種の癌細胞の増殖に対するホルママイシンの50%抑
制濃度(IC50)の測定結果を表3に示す。なお、癌細
胞の増殖の50%抑制の濃度の測定法は、MTT法(「Jo
urnal ofImmunological Methods」65,55〜60頁(1983)
参照)を用いて行った。
【0018】
【0019】以上のように本発明による抗生物質ホルマ
マイシンは癌細胞に対し増殖抑制活性を示した。
【0020】さらに、第2の本発明によると、サッカロ
スリックス属に属する前記の式(I)のホルママイシンの
生産菌を培養し、培養物から、ホルママイシンを採取す
ることを特徴とする式(I)の抗生物質ホルママイシン
の製造法が提供される。
【0021】第2の本発明の方法で使用する抗生物質ホ
ルママイシンの生産菌は、前述した理化学的性質および
生物学的性質を有する抗生物質を生産する能力を有する
ものであれば、その種を問わず使用でき、広範な微生物
から選ぶことができる。かかる微生物のうち、抗生物質
ホルママイシンの生産菌の具体的な好適の一例は、本発
明者らにより平成5年9月、微生物化学研究所におい
て、東京都世田谷区の土壌より分離された放線菌で、
MK27−91F2の菌株番号が付された菌である。
【0022】以下にMK27−91F2株の菌学的諸性
質について記載する。 1.形態 基生菌糸はよく分技し、分断が認められる。気菌糸は、
直状あるいは不規則な曲状に長く伸長し、円筒形〜長円
形の胞子状に分断する。又、気菌糸が絡まり合い球状を
呈する場合がある。胞子の表面は平滑で、その大きさは
約0.3 〜0.5 × 1.1〜1.9 ミクロンである。輪生技、菌
束糸、胞子のう及び運動性胞子は認められない。
【0023】2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準はコンティナー・
コーポレーシヨン・オブ・アメリカのカラー・ハーモニ
ー・マニユアル(Container Corporationof American
のcolor harmony manual) を用いた。
【0024】(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(27
℃培養) 無色の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認
められない。 (2)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地
5、27℃培養) うす黄茶[2ne, Mustard Gold] の発育上に、白の気菌
糸を着生し、溶解性色素は認められない。 (3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) うす黄[2gc, Bamboo〜2ic, Honey Gold]の発育上に、
白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0025】(4)チロシン寒天培地(ISP-培地7、27
℃培養) うす黄茶[2pg, Mustard Gold] の発育上に、白の気菌
糸を着生し、溶解性色素はかすかに茶色味を帯びる。 (5)イースト・麦芽寒天培地(ISP-培地2、27℃培
養) うす黄茶[3ic, Lt Amber]の発育上に、白〜茶白[3b
a, Pearl]の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められな
い。 (6)オートミール寒天培地(ISP-培地3、27℃培養) うす黄[2gc, Bamboo] の発育上に、白の気菌糸を着生
し、溶解性色素は認められない。
【0026】3.生理学的性質 (1)生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.0
%、L−アスパラギン0.05%、りン酸水素二カリウム0.
05%、ひも寒天 3.0%、pH7.0)を用い、10℃、20
℃、24℃、27℃、30℃、37℃及び50℃の各温
度で試験した結果、10℃、37℃及び50℃での生育
は認められず、20℃〜30℃の範囲で生育した。生育
至適温度は30℃付近と思われる。
【0027】(2)スターチの加水分解(スターチ・無
機塩寒天培地、ISP-培地4、27℃培養) 培養後5日目頃よりスターチの加水分解を認め、その作
用は中等度である。 (3)メラニン様色素の生成(トリプトン・イースト・
ブロス、ISP-培地1;ペプトン・イースト・鉄寒天培
地、ISP-培地6;チロシン寒天培地、ISP-培地7;いず
れも27℃培養) いずれの培地においても陰性である。
【0028】(4)炭素源の利用性(プリドハム・ゴド
リーブ寒天培地、ISP-培地9;27℃培養) L−アラビノース、D−キシロース、D−グルコース、
D−フルクトース、イノシトールを利用して発育し、シ
ュクロース、ラフィノースは利用しない。ラムノース、
D−マンニトールの利用の存否は判然としない。 (5)硝酸塩の還元反応(0.1 %硝酸カリウム含有ペプ
トン水、ISP-培地8、27℃培養)陰性である。
【0029】以上の性状を要約すると、MK27−91
F2株は、その形態上、基生菌糸はよく分技し、分断を
認める。気菌糸は直状あるいは不規則な曲状に長く伸長
し、円筒形〜長円形の断片または胞子様の構造に分断す
る。輪生技、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は認めら
れない。種々の培地で、うす黄〜うす黄茶の発育上に白
の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。メラニ
ン様色素の生成、及び硝酸塩の還元反応はいずれも陰性
であり、スターチの水解性は中等度である。
【0030】ところで、MK27−91F2株の菌体成
分は、細胞壁の2,6−ジアミノピメリン酸がメソ型で
あった。全菌体中の還元糖はアラビノースを含まず、ガ
ラクトースを含む。グリコレートテストの結果はアセチ
ル型であった。また、ミコール酸は含有せず、リン脂質
はPII型(ホスファチジルエタノールアミンを含みホス
フアチジルコリン及び未知のグルコサミン含有リン脂質
を含まない)、主要なメナキノンはMK−9(H4 ) で
あった。脂肪酸はi-16:0を主に含み、i-14:0、i-15:O、
16:O、16:1、17:1及びi-16:1を含有した。
【0031】以上の結果より、MK27−91F2株は
サッカロスリックス(Saccharothrix、文献,Internatio
nal Journal of Systematic Bacterlology,34巻,426-
431頁,1984年)属に属するものと考えられる。そご
で、MK27−91F2株をサッカロスリックス・エス
ピー(Saccharothrix sp.)MK27−91F2とする。
なお、MK27−91F2株を工業技術院生命工学工業
技術研究所に寄託申請し、平成9年1月28日、FER
M P−16053として受託された。
【0032】第2の本発明の方法においては、抗生物質
ホルママイシンの製造は次の通り行われる。
【0033】すなわち、抗生物質ホルママイシンの製造
は、抗生物質ホルママイシン生産菌を栄養培地中に接種
して、25〜30℃、好ましくは27℃の温度で好気的
条件下に振とうしながら培養することによって行われ、
抗生物質ホルママイシンを含む培養物が得られる。この
ような目的に用いる栄養培地としては、放線菌の使用し
うるものが使用される。栄養源として、例えば市販され
ているポリペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーン・
スティープ・リカー、トーストソーヤ、硫酸アンモニウ
ム等の窒素源が使用できる。また、グリセリン、でん
粉、グルコース、ガラクトースまたはデキストリン等の
炭水化物あるいは油などの炭素源が使用できる。さらに
食塩、炭酸カルシウム等の無機塩を添加して使用でき
る。その他必要に応じて微量の金属塩を添加することが
できる。これらのものは、抗生物質ホルママイシン生産
菌が利用し、抗生物質ホルママイシンの生産に役に立つ
ものであればよく、公知の放線菌の培養材料はすべて用
いることができる。
【0034】抗生物質ホルママイシンの生産には、サッ
カロスリックス属に属する抗生物質ホルママイシンの生
産能を有する微生物が使用される。具体的には、本発明
者らの分離したサッカロスリックスMK27−91F2
株が使用でき、このMK27−91F2株は抗生物質ホ
ルママイシンを生産することが、本発明者らによって明
らかにされているが、その他の菌株については、抗生物
質生産菌の単離の常法によって自然界より分離すること
が可能である。また、サッカロスリックスMK27−9
1F2株を含めて、抗生物質ホルママイシンの生産菌を
放射線照射その他の変異処理に付して、抗生物質ホルマ
マインンの生産能を高める余地も残っている。さらに遺
伝子工学的手法による抗生物質ホルママイシンの生産も
可能である。
【0035】抗生物質ホルママイシンの製造のため、サ
ッカロスリックス属に属する抗生物質ホルママイシン生
産菌を適当な培地で好気的に培養するに当っては、培養
温度は、抗生物質ホルママイシン生産菌の発育が実質的
に阻害されずにこの物質を生産しうる範囲であれば、特
に制約されるものでない。使用する生産菌に応じて培養
温度は適当に選択できるが、好ましくは25〜30℃の
範囲内の温度を挙げることができる。
【0036】ホルママイシン生産のための種母培地に接
種するものとしては、寒天培地上、MK27−91F2
株の斜面培養から得た生育物を使用できる。
【0037】このMK27−91F2株の生育は通常3
ないし7日で最高に達するが、一般に、充分な抗真菌活
性が培地に付与されるまで培養を続ける。この培養液中
のホルママイシンの力価の経時変化は、高速液体クロマ
トグラフィーあるいはアスペルギルス・フミガツスを被
検菌とする円筒平板法により測定できる。
【0038】第2の本発明の方法においては、上記のよ
うにして得られたホルママイシン生産菌の培養物からホ
ルママイシンを採取する。ホルママイシンの採取法とし
ては、微生物の生産する代謝物を採取する時に用いられ
る手段を適宜利用することからなる。例えば、水と混ざ
らない溶媒による抽出の手段、各種吸着剤に対する吸着
親和性の差を利用する手段、ゲルろ過、向流分配を利用
したクロマトグラフィー等を単独または組み合わせて利
用しホルママイシンを採取できる。また、分離した菌体
からは、適当な有機溶媒を用いた溶媒抽出法や菌体破砕
による溶出法により菌体から抽出し、上記と同様に単離
精製して採取することができる。かくして前記した抗生
物質ホルママイシンが得られる。
【0039】さらに、第3の本発明では、式(I)のホ
ルママイシンを有効成分とする抗真菌が提供される。
【0040】また、第4の本発明によると、式(I)の
ホルママイシンを有効成分とする抗腫瘍剤が提供され
る。
【0041】この抗真菌または抗腫瘍剤においては、有
効成分は製薬学的に許容できる常用の固体または液状担
体、例えばエタノ一ル、水、でん粉等と混和できる。
【0042】さらに、第5の本発明では、前記の式
(I)のホルママイシンを生産する特性を持つサッカロ
スリックスMK27−91F2株が新規な微生物として
提供される。
【0043】
【発明の実施の形態】以下に実施例により本発明をさら
に詳細に説明する。実施例1 抗生物質ホルママイシンの製造 寒天斜面培地に培養したサッカロスリックスMK27−
91F2株(FERMP−16053)を、グリセロー
ル 2.5%、酵母エキス 1.0%、肉エキス 0.5%、ポリペ
プトン 0.5%、食塩 0.2%、硫酸マグネシウム0.05%、
リン酸水素二カリウム0.05%、炭酸カルシウム0.32%を
含む液体培地(pH 7.4に調整)を三角フラスコ(500
ml容)に110 mlずつ分注し、常法により120℃で20
分滅菌したものに接種し、その後30℃で3日間回転振と
う培養した。これにより種母培養液を得た。
【0044】グリセロール 2.0%、デキストリン 2.0
%、バクトソイトン 1.0%、酵母エキス 0.3%、硫酸ア
ンモニウム 0.2%、炭酸カルシウム 0.2%を含む液体培
地(pH7.2 に調整)をジャーファーメンター(30リット
ル容、2基)に各15リットル入れ滅菌した後、上記種母
培養液を2%量で接種し、27℃で4日間培養した。
【0045】このようにして得られた培養液を遠心分離
して菌体を分離した。菌体に6リットルのアセトンを加
え、十分撹拌した後ろ過した。得られたアセトン抽出液
は、減圧下でアセトンを溜去し約2リットルに濃縮し、
酢酸エチル3リットルでホルママイシンを抽出した。ホ
ルママイシンを含む酢酸エチル層を分離した後、無水硫
酸ナトリウムで脱水した。この抽出液を減圧下で濃縮
し、ホルママイシンを含む暗褐色油状物を約5.3g得た。
【0046】得られた暗褐色油状物は、へキサン−アセ
トニトリル(1:1、200 ml)の混合溶液で分配を行っ
た。ホルママイシンを多く含むアセトニトリル層(下
層)を分離した。さらに、この分離したアセトニトリル
溶液にへキサンを加え分配を行い、ホルママイシンを多
く含むアセトニトリル層(下層)を分離した。再度、こ
の分離したアセトニトリル溶液にヘキサンを加え分配を
行った。ホルママイシンを多く含むアセトニトリル層
(下層)を分離し、減圧下で濃縮し、ホルママイシンを
含む褐色油状物を約1.9 g 得た。
【0047】得られたホルママイシンを含む褐色油状物
を少量のエタノールに完全に溶かした後、エタノールで
膨潤させたセフアデックスLH−20(ファルマシア社)
を充填したカラム(内径26mm×長さ250mm)によりゲルろ
過クロマトグラフイーにかけた。ホルママイシンを含む
画分を集め、減圧下で濃縮乾固することによりホルママ
イシンを含む褐色油状物を約 697mg得た。
【0048】ついで、このホルママイシンを含む褐色油
状物を、遠心液液分配クロマトグラフィーを使って精製
した。すなわち、ヘキサン−エタノール−水(100:85:
15)にて上昇法により遠心液液分配クロマトグラフィー
を行った。ホルママイシンは反転溶出区に溶出された。
活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することによりホル
ママイシンを含む淡褐色油状物の約 159mgを得ることが
出来た。このホルママイシンを含む油状物を、シリカゲ
ルカラム(内径18mm×長さ300mm)にのせ、クロロホルム
−酢酸エチルの展開液でクロマトグラフィーを行った。
ホルママイシンを含む画分を集め、減圧下で濃縮乾固す
ることにより無色油状のホルママイシンを40.5mgを得
た。このホルママイシンをジエチルエーテル中で結晶化
し、無色板状結晶のホルママイシン23mgを得た。融点20
1 〜202 ℃。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はホルママイシンのエタノール溶液中の紫
外線吸収スペクトルである。
【図2】図2は、ホルママイシンのKBr錠剤法で測定
した赤外線吸収スペクトルである。
【図3】図3はホルママイシンの重ベンゼン溶液中にて
室温で測定した500MHzにおけるプロトン核磁気共
鳴スペクトルである。
【図4】図4はホルママイシンの重ベンゼン溶液中にて
室温で測定した125MHzにおける炭素13核磁気共
鳴スペクトルである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年11月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】試験例1 ホルママイシンの真菌に対する
抗菌活性 各種の糸状菌に対するホルママイシンの抗真菌スペクト
ルは、1%グルコース加普通寒天培地上で倍数希釈法に
よって測定した。その結果を表1に示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準はコンティナー
・コーポレーシヨン・オブ・アメリカのカラー・ハーモニ
ー・マニユアル(Container Corporationof America
color harmony manual) を用いた。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】(1)クロース・硝酸塩寒天培地(27℃
培養) 無色の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認
められない。 (2)グリセリン・アスパラギン寒天培地(ISP-培地
5、27℃培養) うす黄茶[2ne, Mustard Gold]の発育上に、白の気菌
糸を着生し、溶解性色素は認められない。 (3)スターチ・無機塩寒天培地(ISP-培地4、27℃培
養) うす黄[2gc, Bamboo〜2ic, Honey Gold]の発育上に、
白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】(4)炭素源の利用性(プリドハム・ゴ
リーブ寒天培地、ISP-培地9;27℃培養) L-アラビノース、D-キシロース、D-グルコース、D-
フルクトース、イノシトールを利用して発育し、クロ
ース、ラフィノースは利用しない。ラムノース、D−マ
ンニトールの利用の存否は判然としない。 (5)硝酸塩の還元反応(0.1 %硝酸カリウム含有ペプ
トン水、ISP-培地8、27℃培養) 陰性である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】以上の性状を要約すると、MK27−91
F2株は、その形態上、基生菌糸はよく分技し、分断を
認める。気菌糸は直状あるいは不規則な曲状に長く伸長
し、円筒形〜長円形の断片 は胞子様の構造に分断す
る。輪生技、菌束糸、胞子のう及び運動性胞子は認めら
れない。種々の培地で、うす黄〜うす黄茶の発育上に白
の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。メラニ
ン様色素の生成、及び硝酸塩の還元反応はいずれも陰性
であり、スターチの水解性は中等度である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】ところで、MK27−91F2株の菌体成
分は、細胞壁の2,6−ジアミノピメリン酸がメソ型で
あった。全菌体中の還元糖はアラビノースを含まず、ガ
ラクトースを含む。グリコレートテストの結果はアセチ
ル型であった。、ミコール酸は含有せず、リン脂質は
PII型(ホスファチジルエタノールアミンを含みホスフ
アチジルコリン及び未知のグルコサミン含有リン脂質を
含まない)、主要なメナキノンはMK−9(H4 ) であ
った。脂肪酸はi-16:0を主に含み、i-14:0、i-15:O、1
6:O、16:1、17:1及びi-16:1を含有した。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】ついで、このホルママイシンを含む褐色油
状物を、遠心液液分配クロマトグラフィーを使って精製
した。すなわち、ヘキサン−エタノール−水(100:85:
15)にて上昇法により遠心液液分配クロマトグラフィー
を行った。ホルママイシンは反転溶出区に溶出された。
活性画分を集め、減圧下で濃縮乾固することによりホル
ママイシンを含む淡褐色油状物の約 159mgを得ることが
出来た。このホルママイシンを含む油状物を、シリカゲ
ルカラム(内径18mm×長さ300mm)にのせ、クロロホルム
−酢酸エチルの展開液でクロマトグラフィーを行った。
ホルママイシンを含む画分を集め、減圧下で濃縮乾固す
ることにより無色油状のホルママイシ 40.5mgを得た。
このホルママイシンをジエチルエーテル中で結晶化し、
無色板状結晶のホルママイシン23mgを得た。融点201 〜
202 ℃。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:645) (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニ ューフジマンション701

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(I) で表される抗生物質ホルママイシン。
  2. 【請求項2】 サッカロスリックス属に属して次式
    (I) のホルママイシンを生産する菌を培養し、培養物からホ
    ルママイシンを採取することを特徴とする抗生物質ホル
    ママイシンの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の式(I)で表される抗
    生物質ホルママイシンを有効成分とする抗真菌剤。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の式(I)で表される抗
    生物質ホルママイシンを有効成分とする抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の式(I)の抗生物質ホ
    ルママイシンを生産する特性を持つサッカロスリックス
    MK27−91F2株。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008500035A (ja) * 2004-05-26 2008-01-10 アンスティテュ ナシオナル ポリテクニク ドゥ トゥールーズ 新規なサッカロスリックス株およびそれに由来する抗生物質、すなわち、ムタクチマイシンおよびアルドガマイシン

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