JP3686743B2 - 顕色インキ及びそれを用いたノーカーボン感圧複写紙 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は顕色インキ及びそれを用いたノーカーボン感圧複写紙に関する。更に詳しくは、活版あるいはオフセット印刷に適し、良好な発色能力を有する顕色インキ及びそれを用いたノーカーボン感圧複写紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ノーカーボン感圧複写紙は、ほぼ無色の電子供与性発色剤(以下、発色剤と称す)を溶解した油を内包するマイクロカプセルを支持体裏面に塗設してなる上用紙と、電子受容性固体酸(以下、顕色剤と称す)を支持体表面に塗設してなる下用紙とからなり、これら2種の塗層が向い合うように重ね合わせてボールペンあるいはタイプライター等の機械的圧力によって、加圧部分のマイクロカプセルを破壊し、発色剤を溶解した油を顕色剤層へ転移させて、発色剤と顕色剤との接触により発色反応を起こさせ、同時複写の記録を得ることができるようにしたものであり、支持体の表面、裏面にそれぞれ顕色剤層、発色剤層を設けて上用紙下用紙兼用の機能を有する中用紙を使用すれば、複写枚数を増やすことも可能である。これらのノーカーボン感圧複写紙は、主として複写事務用紙、伝票、帳票類として用いられている。
【0003】
一般には、下用紙及び中用紙は、顕色剤層が支持体全面に塗布されており、複写発色を望まない部分には、発色剤と顕色剤との発色反応を阻止、減退させる効果を有する減感剤を用いた減感インキを印刷しなければならず、塗工と印刷の2回の工程の費用と原材料を必要とし、非常に不経済である。この為、上用紙の表面或いは普通紙に、複写発色を必要とする部分にのみ顕色インキを部分的に印刷して、中用紙あるいは下用紙の代用とすることが従来から行われている。
【0004】
実用化されている顕色インキとしては、低沸点有機溶剤を使用するフレキソ印刷方式用のものがほとんどであったが、引火性、爆発性、中毒といった安全上又は衛生上の問題点を有していた。これに対し、特開昭51−68307号、同51−80410号、同51−94308号、同54−89816号、同54−94910号、同54−148606号、同55−38826号、同55−38826号、同59−33369号等の各公報に、凸版又はオフセット印刷用の顕色インキが開示されている。
【0005】
これらの印刷方式のうち、現在最も一般的に印刷業界で行われているのはオフセット印刷であり、顕色インキの印刷もこの方式で行えることが望ましい。本発明者等は、このオフセット印刷用の顕色インキの製造方法に関して、特開平7−26184号公報において、低沸点溶剤中で電子受容性有機顕色剤(以下、有機顕色剤と称す)を合成し、これに顕色剤溶解用有機溶剤を添加、混合し、しかる後該低沸点溶剤を蒸留除去して得られた有機顕色剤溶液中に、該有機顕色剤溶液以外のインキ成分を混合或いは相溶し、混練してインキ化するという方法の開示を行った。
【0006】
しかしながら、この方法により得られた顕色インキを印刷しノーカーボン感圧複写紙として使用する際に、オフセット方式での印刷適性が不十分であったり、十分な発色濃度が得られない場合があり、これらについて一層の改良が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ノーカーボン感圧複写紙としての良好な発色性と顕色インキとしての良好な印刷適性を備えた顕色インキ及びその顕色インキを印刷して得られる発色性の優れたノーカーボン感圧複写紙を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ほぼ無色の電子供与性発色剤との反応により有色化する電子受容性有機顕色剤、これを溶解するための顕色剤溶解用有機溶剤及び顔料を主たる成分とする顕色インキにおいて、該有機顕色剤を該顕色剤溶解用有機溶剤により有機顕色剤含有率が70重量%となるように溶解した時の粘度が、40℃において10〜1000ポイズ、好ましくは20〜100ポイズである顕色インキに関する。
【0009】
特に、前記インキにおいて、顕色インキ顕色剤溶解用有機溶剤が、炭素数2〜6の多価アルコールと炭素数6〜12の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルである顕色インキに関する。
【0010】
又、前記インキにおいて、電子受容性有機顕色剤が、サリチル酸誘導体若しくはそれの多価金属塩又はフェノール樹脂若しくはそれの多価金属塩である顕色インキに関する。
【0011】
又、前記の顕色インキを支持体表面に印刷して得られたノーカーボン感圧複写紙に関する。
【0012】
これらの本発明の顕色インキにより、上記課題を解決することができた。
【0013】
又、このようにして得られた本発明のノーカーボン感圧複写紙は発色特性が優れている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の顕色剤インキ及びそれを用いたノーカーボン感圧複写紙について、詳細に説明する。
【0015】
本発明で用いられる有機顕色剤溶液の40℃における粘度は、有機顕色剤含有率が70重量%の状態で10〜1000ポイズ、好ましくは20〜100ポイズである。顕色インキを製造する際に用いられる有機顕色剤溶液の有機顕色剤含有率が70重量%である必要はないが、有機顕色剤が70重量%以上の濃度で溶解し得る有機顕色剤及び顕色剤溶解用有機溶剤を用いた有機顕色剤溶液を使用することが必要である。
【0016】
顕色インキの発色能力を高めるために最も必要なことは、インキ中の有機顕色剤含有率をできる限り高めることであり、そのためには、高濃度で安定な溶解性を示し、適当な流動性を有する有機顕色剤溶液を使用することが必要である。
【0017】
有機顕色剤含有率が70重量%で、40℃における粘度が1000ポイズを超える有機顕色剤溶液を用いた場合には、十分な発色性を得られるだけの有機顕色剤をインキ中に配合することができない。従って、発色能力の低い顕色インキしか得ることができない。
【0018】
また、有機顕色剤含有率が70重量%で、40℃における粘度が10ポイズ未満となるのは、低分子量の有機溶剤或いは極性の高い有機溶剤を用いた場合が多く、そのような場合には、有機溶剤の室温での揮発性が大きい、ノーカーボン感圧複写紙に使用するマイクロカプセルを破壊したり、内包するカプセルオイルを抽出しやすい、印刷部分から溶剤成分が滲み出しやすく印刷部分以外を汚す場合がある、印刷部の裏面に発色像が抜ける等の問題を生じやすく、好ましい顕色インキを得ることができない。
【0019】
本発明で使用される顕色剤溶解用有機溶剤としては、有機顕色剤を70重量%以上の濃度で溶解でき、室温において安定な有機顕色剤溶液が得られる不揮発性有機溶剤を用いることができ、例えば、脂肪酸エステル類、脂肪族エーテル類、高級アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素等から適宜選択することができるが、好ましい顕色剤溶解用有機溶剤としては、以下のような溶剤類を挙げることができる。
【0020】
本発明で使用される炭素数が1〜4の低級アルコールと炭素数が12〜16の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル等を挙げることができる。
【0021】
これら以外の脂肪酸エステルで、総炭素数が12以下の場合には親水性が強くオフセット印刷用としては適当ではない。総炭素数が20を超える場合には脂肪酸エステルの粘度が高くなること、溶解力が低下することのために有機顕色剤溶液の粘度が高くなり、顕色インキ中の有機顕色剤含有率を高めることができない。
【0022】
本発明で使用される、炭素数が2〜6の多価アルコールと炭素数が6〜12の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルの多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール等を、炭素数が12以下の脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸等を挙げることができ、代表的な化合物として、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等を用いることができる。
【0023】
炭素数が5以下の脂肪酸を用いる場合には、親水性が強くオフセット印刷用としては適当ではなく、炭素数が13以上では得られる脂肪酸エステルの粘度が高くなるために有機顕色剤溶液の粘度が高くなり、顕色インキ中の有機顕色剤含有率を高めることができない。また、炭素数が7以上の多価アルコールを使用した場合には、顕色剤溶解用有機溶剤自体の粘度が高くなり、有機顕色剤を溶解する能力が低下する傾向があり、炭素数が2〜6の多価アルコールが好ましい。
【0024】
これらの顕色剤溶解用有機溶剤は、必要により2種類以上を混合使用して粘度調整をすることができる。また、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のモノマー類と併用し、紫外線硬化型の顕色インキとすることができる。
【0025】
本発明の顕色インキは、有機顕色剤、顕色剤溶解用有機溶剤、顔料を主成分とするが、その他の成分として、一般の印刷インキに使用されているような樹脂類、インキ溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ワックス類、蛍光染料、裏写り防止剤、乾燥促進剤等を適宜用いることができる。
【0026】
有機顕色剤としては、従来、フェノール樹脂、サリチル酸誘導体又はそれらの多価金属塩等が知られており、フェノール樹脂としては、p−フェニルフェノールホルムアルデヒド樹脂、p−クミルフェノールホルムアルデヒド樹脂、p−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、p−オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂等、及びこれらの多価金属塩を挙げることができる。
【0027】
サリチル酸誘導体としては、3,5−ジ−tert −ブチルサリチル酸、3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−シクロヘキシル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、特開昭63−186729号、同63−254124号、同63−289017号、同64−56724号、同64−77575号、特開平1−133780号、同1−182317号、同2−160815号、同4−89274号等の各公報に開示されているサリチル酸樹脂を挙げることができ、発色性の点からは、サリチル酸誘導体の使用が好ましく、特に多価金属塩として用いることが好ましい。
【0028】
多価金属の種類としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、銅、亜鉛、錫、バリウム等があり、これらの中では亜鉛塩として用いるのが最も好ましい。
【0029】
これらの有機顕色剤は単体では固体であり、従来、顕色インキ化する際には、粉体状にした有機顕色剤を有機溶剤で溶解していたが、有機顕色剤を高濃度に溶解するのは困難であり、特にサリチル酸誘導体の有機顕色剤は有機溶剤に溶解しにくいために、高濃度の有機顕色剤溶液を得ることは困難であった。
【0030】
しかしながら、低沸点溶剤中で有機顕色剤を合成し、低沸点溶剤を本発明で使用する顕色剤溶解用有機顕色剤に蒸留置換する方法を用いることにより、容易に高濃度の有機顕色剤溶液を得ることができ、有機顕色剤含有率を高めた顕色インキを得ることができた。
【0031】
顕色インキ中の有機顕色剤含有率は、発色性の点から30重量%以上は必要であり、好ましくは40重量%以上である。
【0032】
有機顕色剤の重合の際に使用される低沸点溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、エチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、その他ベンゼン、トルエン、キシレン、二硫化炭素、ニトロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられ、反応に不活性な溶剤が選択して用いられる。
【0033】
有機顕色剤の重合方法については、従来から行われている方法が応用でき、例えば、特開昭49−37713号、同64−56724号、特開平1−133780号、同2−653号、同4−129789号等の各公報に記載の方法が挙げられ、これらの方法を応用することにより、有機顕色剤が低沸点溶剤中に溶解された有機顕色剤溶液を得ることができる。重合反応時の有機顕色剤の固形分濃度は、特に制限されるものではないが、通常、30〜70重量%程度の濃度で合成反応が行われる。
【0034】
本発明において、顕色剤溶解用有機溶剤と置換後の有機顕色剤溶液の有機顕色剤含有率については、特に制限されるものではないが、置換後の有機顕色剤溶液の取扱い易さ、その他のインキ成分とのインキ配合上の関係から決めれば良く、通常は、60〜80重量%程度の濃度とすることが好ましい。
【0035】
本発明に用いられる顔料としては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト、硫酸バリウム、酸化亜鉛、カオリン、活性白土等が挙げられ、インキ中の0〜50重量%、好ましくは5〜30重量%で使用される。
【0036】
その他の成分としての樹脂類としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂、ポリアミド樹脂、ブタノール変性アミノ樹脂等が挙げられる。
【0037】
また、光硬化型顕色インキの場合には、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルキッド(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系プレポリマーが挙げられる。
【0038】
本発明の顕色インキは、前記有機顕色剤溶液に顔料、その他必要に応じて、樹脂類、添加剤成分を混合或いは相溶させ、必要三本ロールミル等を使用して練肉することにより製造することができる。
【0039】
本発明による顕色インキは、オフセット方式や活版方式の各種印刷機により、支持体に印刷される。顕色インキの盛り量は、インキとして0.5〜5g/m2が好ましい。
【0040】
本発明の顕色インキを用いて支持体表面に印刷することにより得られたノーカーボン感圧複写紙は、発色能力が優れ、経時での発色画像の褪色が少ない。また、発色画像が支持体の裏面へ抜けるという現象もなく、優れた部分発色用のノーカーボン感圧複写紙としても使用することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」とは「重量部」を表わす。
【0042】
[サリチル酸系顕色剤溶液の作製]
サリチル酸138部をトルエン346部に加え、100℃に加熱し、メタンスルホン酸9.5部を攪拌しながら添加した。更に、スチレン208部を徐々に添加し、残存スチレンが0.05%以下となるまで反応を続けた。次いで、塩基性炭酸亜鉛63部を少しずつ加えて、均一になるよう攪拌して、サリチル酸−スチレン反応物亜鉛塩のトルエン溶液を得た。
得られたサリチル酸−スチレン反応物亜鉛塩のトルエン溶液に、顕色剤溶解用有機溶剤を加え、減圧下で加熱してトルエンを蒸留除去し、有機顕色剤含有率が70重量%のサリチル酸−スチレン反応物亜鉛塩の溶液を得た。なお、このサリチル酸−スチレン反応物亜鉛塩は、NMRで測定した結果、主成分が、3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛塩であることが確認された(以下、この顕色剤をサリチル酸系顕色剤と称す)。
【0043】
[フェノール系顕色剤溶液の作製]
p−フェニルフェノール850部、純度80%のパラホルムアルデヒド112部、p−トルエンスルホン酸8.5部、ベンゼン800部をガラスフラスコに入れ、攪拌しながら加熱する。溜出するベンゼン、水共沸混合物を冷却凝縮させ分離する。水層を分液し、ベンゼンはフラスコに還流させる。水の溜出が停止したら反応を止め、顕色剤溶解用有機溶剤を加え、減圧下で加熱して、ベンゼンを蒸留除去し、有機顕色剤含有率が70重量%のp−フェニルフェノールホルムアルデヒド樹脂の溶液を得た(以下、この顕色剤をフェノール系顕色剤と称す)。
【0044】
[顕色インキの調製]
サリチル酸系及びフェノール系の有機顕色剤溶液を使用し、下記基本処方で、3本ロールミルで練肉することにより、顕色インキを調整した。
有機顕色剤溶液 70部
ロジン変性フェノール樹脂 10部
酸化チタン (商品名:タイペークCR93、石原産業製) 20部
なお、上記処方で顕色インキの粘度が高すぎるものについては、有機顕色剤の溶解に使用した顕色剤溶解用有機溶剤を適当量添加してインキ流動性の調整を行った。
【0045】
[顕色インキの評価試験方法]
得られた顕色インキについて、以下の方法により評価を行った。
1)インキ流動性
上記基本処方で練肉した際のインキ流動性を判定した。顕色剤溶解用有機溶剤の追加添加が必要ないものを◎、少量の添加で流動性が良くなるものを○、やや多くの添加が必要なものを△、かなり多くの添加を必要とするものを×とした。2)発色性
ノーカーボン感圧複写紙の発色性の評価は、RIテスタ(明製作所)により、上質紙(坪量40g/m2)に、顕色インキ を約1.2g/m2の盛り量で印刷し、得られたノーカーボン感圧複写紙に、NCR紙上用紙(三菱製紙製)を重ね合わせ、タイプライター印字後の発色濃度の良否を、○:良、△:やや良、×:不良により判定した。
3)発色汚れ
ノーカーボン感圧複写紙の発色汚れは、2)で得られたノーカーボン感圧複写紙のタイプライター印字1日後に、発色部の裏面への顕色インキ成分の滲みにより発色汚れの程度を調べた。発色が裏面に抜けていないものを発色汚れ○、わずかに汚れているが、実用上支障ないものを△、汚れの激しいものを×とした。
4)オフセット印刷適性
得られた顕色インキをフォーム印刷機(オフセットフォーム輪転機MVF、(株)ミヤコシ製)でオフセット印刷方式の印刷を行い、オフセット印刷適性を評価した。オフセット版面の汚れ発生の少ないものを○、汚れがわずかに発生するが、洗浄を行い実用上は支障ないものを△、汚れ発生が激しいものを×とした。
【0046】
実施例1〜2、参考例3〜8及び比較例1〜3
表1に示した顕色剤溶解用有機溶剤を用いて、サリチル酸系顕色剤溶液を作製した。得られた有機顕色剤溶液の40℃における粘度を測定し、表1に示した。なお、一般に印刷インキ用途で使用される5号ソルベント(日本石油製)を用いた比較例3については、有機顕色剤が固化し、有機顕色剤溶液を得ることはできなかった。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例1〜2、参考例3〜8及び比較例1、2で得られたサリチル酸系顕色剤溶液を用いて顕色インキを作製し、前記方法により評価試験を行った。結果を表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】
有機顕色剤溶液の粘度が40℃において20〜100ポイズである参考例3、4、5のインキ流動性、発色性は良好であった。有機顕色剤溶液の粘度が100ポイズを超え、1000ポイズ以下である実施例1、2及び参考例7、8は、実用上は問題ないが、インキ流動性あるいは発色性の点でやや劣る結果であった。有機顕色剤溶液粘度が1000ポイズを超える比較例1は、インキ流動性、発色性ともに不十分であった。有機顕色剤溶液粘度が低い参考例6は、発色部裏面の汚れがややあり、有機顕色剤溶液粘度が10ポイズ未満の比較例2は発色部裏面汚れがかなり悪いレベルであった。
【0051】
実施例1〜2、参考例3〜8及び比較例1、2で得られた顕色インキについて、オフセット印刷適性の評価を行った結果、実施例2、参考例3〜5、8及び比較例1の顕色インキは良好な印刷適性を、また実施例1、参考例6、7はやや良好な印刷適性を示したが、比較例2の顕色インキはオフセット版面の汚れが激しく、印刷適性は不十分であった。
【0052】
参考例9
表3に示した顕色剤溶解用有機溶剤を用いて、フェノール系顕色剤溶液を作製した。得られた有機顕色剤溶液の40℃における粘度を測定し、表3に示した。得られたフェノール系顕色剤溶液を用いて顕色インキを作製し、評価試験を行った。結果を表4に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
参考例4と参考例9を比較すると、有機顕色剤としてサリチル酸系顕色剤を使用した方が、フェノール系顕色剤を使用した場合よりも、インキ流動性、発色性が良好であった。
【0056】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、有機顕色剤含有率が70重量%の時の40℃における粘度が10〜1000ポイズ、好ましくは20〜100ポイズである有機顕色剤溶液を用いることにより、インキ流動性が良く、発色性、印刷適性等に優れた顕色インキを得ることができる。有機顕色剤を溶解する有機溶剤として、炭素数が1〜4の低級アルコールと炭素数が12〜16の脂肪酸とからなる脂肪酸エステル、炭素数が2〜6の多価アルコールと炭素数が6〜12の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルを用いることにより、インキ流動性が良く、発色性、印刷適性に優れた顕色インキを得ることができる。また、これらの顕色インキを用いて印刷することにより、発色性が優れ、発色汚れの少ないノーカーボン感圧複写紙を得ることができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は顕色インキ及びそれを用いたノーカーボン感圧複写紙に関する。更に詳しくは、活版あるいはオフセット印刷に適し、良好な発色能力を有する顕色インキ及びそれを用いたノーカーボン感圧複写紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ノーカーボン感圧複写紙は、ほぼ無色の電子供与性発色剤(以下、発色剤と称す)を溶解した油を内包するマイクロカプセルを支持体裏面に塗設してなる上用紙と、電子受容性固体酸(以下、顕色剤と称す)を支持体表面に塗設してなる下用紙とからなり、これら2種の塗層が向い合うように重ね合わせてボールペンあるいはタイプライター等の機械的圧力によって、加圧部分のマイクロカプセルを破壊し、発色剤を溶解した油を顕色剤層へ転移させて、発色剤と顕色剤との接触により発色反応を起こさせ、同時複写の記録を得ることができるようにしたものであり、支持体の表面、裏面にそれぞれ顕色剤層、発色剤層を設けて上用紙下用紙兼用の機能を有する中用紙を使用すれば、複写枚数を増やすことも可能である。これらのノーカーボン感圧複写紙は、主として複写事務用紙、伝票、帳票類として用いられている。
【0003】
一般には、下用紙及び中用紙は、顕色剤層が支持体全面に塗布されており、複写発色を望まない部分には、発色剤と顕色剤との発色反応を阻止、減退させる効果を有する減感剤を用いた減感インキを印刷しなければならず、塗工と印刷の2回の工程の費用と原材料を必要とし、非常に不経済である。この為、上用紙の表面或いは普通紙に、複写発色を必要とする部分にのみ顕色インキを部分的に印刷して、中用紙あるいは下用紙の代用とすることが従来から行われている。
【0004】
実用化されている顕色インキとしては、低沸点有機溶剤を使用するフレキソ印刷方式用のものがほとんどであったが、引火性、爆発性、中毒といった安全上又は衛生上の問題点を有していた。これに対し、特開昭51−68307号、同51−80410号、同51−94308号、同54−89816号、同54−94910号、同54−148606号、同55−38826号、同55−38826号、同59−33369号等の各公報に、凸版又はオフセット印刷用の顕色インキが開示されている。
【0005】
これらの印刷方式のうち、現在最も一般的に印刷業界で行われているのはオフセット印刷であり、顕色インキの印刷もこの方式で行えることが望ましい。本発明者等は、このオフセット印刷用の顕色インキの製造方法に関して、特開平7−26184号公報において、低沸点溶剤中で電子受容性有機顕色剤(以下、有機顕色剤と称す)を合成し、これに顕色剤溶解用有機溶剤を添加、混合し、しかる後該低沸点溶剤を蒸留除去して得られた有機顕色剤溶液中に、該有機顕色剤溶液以外のインキ成分を混合或いは相溶し、混練してインキ化するという方法の開示を行った。
【0006】
しかしながら、この方法により得られた顕色インキを印刷しノーカーボン感圧複写紙として使用する際に、オフセット方式での印刷適性が不十分であったり、十分な発色濃度が得られない場合があり、これらについて一層の改良が求められていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ノーカーボン感圧複写紙としての良好な発色性と顕色インキとしての良好な印刷適性を備えた顕色インキ及びその顕色インキを印刷して得られる発色性の優れたノーカーボン感圧複写紙を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ほぼ無色の電子供与性発色剤との反応により有色化する電子受容性有機顕色剤、これを溶解するための顕色剤溶解用有機溶剤及び顔料を主たる成分とする顕色インキにおいて、該有機顕色剤を該顕色剤溶解用有機溶剤により有機顕色剤含有率が70重量%となるように溶解した時の粘度が、40℃において10〜1000ポイズ、好ましくは20〜100ポイズである顕色インキに関する。
【0009】
特に、前記インキにおいて、顕色インキ顕色剤溶解用有機溶剤が、炭素数2〜6の多価アルコールと炭素数6〜12の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルである顕色インキに関する。
【0010】
又、前記インキにおいて、電子受容性有機顕色剤が、サリチル酸誘導体若しくはそれの多価金属塩又はフェノール樹脂若しくはそれの多価金属塩である顕色インキに関する。
【0011】
又、前記の顕色インキを支持体表面に印刷して得られたノーカーボン感圧複写紙に関する。
【0012】
これらの本発明の顕色インキにより、上記課題を解決することができた。
【0013】
又、このようにして得られた本発明のノーカーボン感圧複写紙は発色特性が優れている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の顕色剤インキ及びそれを用いたノーカーボン感圧複写紙について、詳細に説明する。
【0015】
本発明で用いられる有機顕色剤溶液の40℃における粘度は、有機顕色剤含有率が70重量%の状態で10〜1000ポイズ、好ましくは20〜100ポイズである。顕色インキを製造する際に用いられる有機顕色剤溶液の有機顕色剤含有率が70重量%である必要はないが、有機顕色剤が70重量%以上の濃度で溶解し得る有機顕色剤及び顕色剤溶解用有機溶剤を用いた有機顕色剤溶液を使用することが必要である。
【0016】
顕色インキの発色能力を高めるために最も必要なことは、インキ中の有機顕色剤含有率をできる限り高めることであり、そのためには、高濃度で安定な溶解性を示し、適当な流動性を有する有機顕色剤溶液を使用することが必要である。
【0017】
有機顕色剤含有率が70重量%で、40℃における粘度が1000ポイズを超える有機顕色剤溶液を用いた場合には、十分な発色性を得られるだけの有機顕色剤をインキ中に配合することができない。従って、発色能力の低い顕色インキしか得ることができない。
【0018】
また、有機顕色剤含有率が70重量%で、40℃における粘度が10ポイズ未満となるのは、低分子量の有機溶剤或いは極性の高い有機溶剤を用いた場合が多く、そのような場合には、有機溶剤の室温での揮発性が大きい、ノーカーボン感圧複写紙に使用するマイクロカプセルを破壊したり、内包するカプセルオイルを抽出しやすい、印刷部分から溶剤成分が滲み出しやすく印刷部分以外を汚す場合がある、印刷部の裏面に発色像が抜ける等の問題を生じやすく、好ましい顕色インキを得ることができない。
【0019】
本発明で使用される顕色剤溶解用有機溶剤としては、有機顕色剤を70重量%以上の濃度で溶解でき、室温において安定な有機顕色剤溶液が得られる不揮発性有機溶剤を用いることができ、例えば、脂肪酸エステル類、脂肪族エーテル類、高級アルコール類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素等から適宜選択することができるが、好ましい顕色剤溶解用有機溶剤としては、以下のような溶剤類を挙げることができる。
【0020】
本発明で使用される炭素数が1〜4の低級アルコールと炭素数が12〜16の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル等を挙げることができる。
【0021】
これら以外の脂肪酸エステルで、総炭素数が12以下の場合には親水性が強くオフセット印刷用としては適当ではない。総炭素数が20を超える場合には脂肪酸エステルの粘度が高くなること、溶解力が低下することのために有機顕色剤溶液の粘度が高くなり、顕色インキ中の有機顕色剤含有率を高めることができない。
【0022】
本発明で使用される、炭素数が2〜6の多価アルコールと炭素数が6〜12の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルの多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール等を、炭素数が12以下の脂肪酸としては、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ラウリン酸等を挙げることができ、代表的な化合物として、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジデカン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン等を用いることができる。
【0023】
炭素数が5以下の脂肪酸を用いる場合には、親水性が強くオフセット印刷用としては適当ではなく、炭素数が13以上では得られる脂肪酸エステルの粘度が高くなるために有機顕色剤溶液の粘度が高くなり、顕色インキ中の有機顕色剤含有率を高めることができない。また、炭素数が7以上の多価アルコールを使用した場合には、顕色剤溶解用有機溶剤自体の粘度が高くなり、有機顕色剤を溶解する能力が低下する傾向があり、炭素数が2〜6の多価アルコールが好ましい。
【0024】
これらの顕色剤溶解用有機溶剤は、必要により2種類以上を混合使用して粘度調整をすることができる。また、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のモノマー類と併用し、紫外線硬化型の顕色インキとすることができる。
【0025】
本発明の顕色インキは、有機顕色剤、顕色剤溶解用有機溶剤、顔料を主成分とするが、その他の成分として、一般の印刷インキに使用されているような樹脂類、インキ溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ワックス類、蛍光染料、裏写り防止剤、乾燥促進剤等を適宜用いることができる。
【0026】
有機顕色剤としては、従来、フェノール樹脂、サリチル酸誘導体又はそれらの多価金属塩等が知られており、フェノール樹脂としては、p−フェニルフェノールホルムアルデヒド樹脂、p−クミルフェノールホルムアルデヒド樹脂、p−ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、p−オクチルフェノールホルムアルデヒド樹脂等、及びこれらの多価金属塩を挙げることができる。
【0027】
サリチル酸誘導体としては、3,5−ジ−tert −ブチルサリチル酸、3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−シクロヘキシル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、特開昭63−186729号、同63−254124号、同63−289017号、同64−56724号、同64−77575号、特開平1−133780号、同1−182317号、同2−160815号、同4−89274号等の各公報に開示されているサリチル酸樹脂を挙げることができ、発色性の点からは、サリチル酸誘導体の使用が好ましく、特に多価金属塩として用いることが好ましい。
【0028】
多価金属の種類としては、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ニッケル、銅、亜鉛、錫、バリウム等があり、これらの中では亜鉛塩として用いるのが最も好ましい。
【0029】
これらの有機顕色剤は単体では固体であり、従来、顕色インキ化する際には、粉体状にした有機顕色剤を有機溶剤で溶解していたが、有機顕色剤を高濃度に溶解するのは困難であり、特にサリチル酸誘導体の有機顕色剤は有機溶剤に溶解しにくいために、高濃度の有機顕色剤溶液を得ることは困難であった。
【0030】
しかしながら、低沸点溶剤中で有機顕色剤を合成し、低沸点溶剤を本発明で使用する顕色剤溶解用有機顕色剤に蒸留置換する方法を用いることにより、容易に高濃度の有機顕色剤溶液を得ることができ、有機顕色剤含有率を高めた顕色インキを得ることができた。
【0031】
顕色インキ中の有機顕色剤含有率は、発色性の点から30重量%以上は必要であり、好ましくは40重量%以上である。
【0032】
有機顕色剤の重合の際に使用される低沸点溶剤としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、エチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルム、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、その他ベンゼン、トルエン、キシレン、二硫化炭素、ニトロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられ、反応に不活性な溶剤が選択して用いられる。
【0033】
有機顕色剤の重合方法については、従来から行われている方法が応用でき、例えば、特開昭49−37713号、同64−56724号、特開平1−133780号、同2−653号、同4−129789号等の各公報に記載の方法が挙げられ、これらの方法を応用することにより、有機顕色剤が低沸点溶剤中に溶解された有機顕色剤溶液を得ることができる。重合反応時の有機顕色剤の固形分濃度は、特に制限されるものではないが、通常、30〜70重量%程度の濃度で合成反応が行われる。
【0034】
本発明において、顕色剤溶解用有機溶剤と置換後の有機顕色剤溶液の有機顕色剤含有率については、特に制限されるものではないが、置換後の有機顕色剤溶液の取扱い易さ、その他のインキ成分とのインキ配合上の関係から決めれば良く、通常は、60〜80重量%程度の濃度とすることが好ましい。
【0035】
本発明に用いられる顔料としては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナホワイト、硫酸バリウム、酸化亜鉛、カオリン、活性白土等が挙げられ、インキ中の0〜50重量%、好ましくは5〜30重量%で使用される。
【0036】
その他の成分としての樹脂類としては、例えば、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、石油樹脂、水添石油樹脂、ポリアミド樹脂、ブタノール変性アミノ樹脂等が挙げられる。
【0037】
また、光硬化型顕色インキの場合には、多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アルキッド(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系プレポリマーが挙げられる。
【0038】
本発明の顕色インキは、前記有機顕色剤溶液に顔料、その他必要に応じて、樹脂類、添加剤成分を混合或いは相溶させ、必要三本ロールミル等を使用して練肉することにより製造することができる。
【0039】
本発明による顕色インキは、オフセット方式や活版方式の各種印刷機により、支持体に印刷される。顕色インキの盛り量は、インキとして0.5〜5g/m2が好ましい。
【0040】
本発明の顕色インキを用いて支持体表面に印刷することにより得られたノーカーボン感圧複写紙は、発色能力が優れ、経時での発色画像の褪色が少ない。また、発色画像が支持体の裏面へ抜けるという現象もなく、優れた部分発色用のノーカーボン感圧複写紙としても使用することができる。
【0041】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の「部」とは「重量部」を表わす。
【0042】
[サリチル酸系顕色剤溶液の作製]
サリチル酸138部をトルエン346部に加え、100℃に加熱し、メタンスルホン酸9.5部を攪拌しながら添加した。更に、スチレン208部を徐々に添加し、残存スチレンが0.05%以下となるまで反応を続けた。次いで、塩基性炭酸亜鉛63部を少しずつ加えて、均一になるよう攪拌して、サリチル酸−スチレン反応物亜鉛塩のトルエン溶液を得た。
得られたサリチル酸−スチレン反応物亜鉛塩のトルエン溶液に、顕色剤溶解用有機溶剤を加え、減圧下で加熱してトルエンを蒸留除去し、有機顕色剤含有率が70重量%のサリチル酸−スチレン反応物亜鉛塩の溶液を得た。なお、このサリチル酸−スチレン反応物亜鉛塩は、NMRで測定した結果、主成分が、3,5−ジ−(α−メチルベンジル)サリチル酸亜鉛塩であることが確認された(以下、この顕色剤をサリチル酸系顕色剤と称す)。
【0043】
[フェノール系顕色剤溶液の作製]
p−フェニルフェノール850部、純度80%のパラホルムアルデヒド112部、p−トルエンスルホン酸8.5部、ベンゼン800部をガラスフラスコに入れ、攪拌しながら加熱する。溜出するベンゼン、水共沸混合物を冷却凝縮させ分離する。水層を分液し、ベンゼンはフラスコに還流させる。水の溜出が停止したら反応を止め、顕色剤溶解用有機溶剤を加え、減圧下で加熱して、ベンゼンを蒸留除去し、有機顕色剤含有率が70重量%のp−フェニルフェノールホルムアルデヒド樹脂の溶液を得た(以下、この顕色剤をフェノール系顕色剤と称す)。
【0044】
[顕色インキの調製]
サリチル酸系及びフェノール系の有機顕色剤溶液を使用し、下記基本処方で、3本ロールミルで練肉することにより、顕色インキを調整した。
有機顕色剤溶液 70部
ロジン変性フェノール樹脂 10部
酸化チタン (商品名:タイペークCR93、石原産業製) 20部
なお、上記処方で顕色インキの粘度が高すぎるものについては、有機顕色剤の溶解に使用した顕色剤溶解用有機溶剤を適当量添加してインキ流動性の調整を行った。
【0045】
[顕色インキの評価試験方法]
得られた顕色インキについて、以下の方法により評価を行った。
1)インキ流動性
上記基本処方で練肉した際のインキ流動性を判定した。顕色剤溶解用有機溶剤の追加添加が必要ないものを◎、少量の添加で流動性が良くなるものを○、やや多くの添加が必要なものを△、かなり多くの添加を必要とするものを×とした。2)発色性
ノーカーボン感圧複写紙の発色性の評価は、RIテスタ(明製作所)により、上質紙(坪量40g/m2)に、顕色インキ を約1.2g/m2の盛り量で印刷し、得られたノーカーボン感圧複写紙に、NCR紙上用紙(三菱製紙製)を重ね合わせ、タイプライター印字後の発色濃度の良否を、○:良、△:やや良、×:不良により判定した。
3)発色汚れ
ノーカーボン感圧複写紙の発色汚れは、2)で得られたノーカーボン感圧複写紙のタイプライター印字1日後に、発色部の裏面への顕色インキ成分の滲みにより発色汚れの程度を調べた。発色が裏面に抜けていないものを発色汚れ○、わずかに汚れているが、実用上支障ないものを△、汚れの激しいものを×とした。
4)オフセット印刷適性
得られた顕色インキをフォーム印刷機(オフセットフォーム輪転機MVF、(株)ミヤコシ製)でオフセット印刷方式の印刷を行い、オフセット印刷適性を評価した。オフセット版面の汚れ発生の少ないものを○、汚れがわずかに発生するが、洗浄を行い実用上は支障ないものを△、汚れ発生が激しいものを×とした。
【0046】
実施例1〜2、参考例3〜8及び比較例1〜3
表1に示した顕色剤溶解用有機溶剤を用いて、サリチル酸系顕色剤溶液を作製した。得られた有機顕色剤溶液の40℃における粘度を測定し、表1に示した。なお、一般に印刷インキ用途で使用される5号ソルベント(日本石油製)を用いた比較例3については、有機顕色剤が固化し、有機顕色剤溶液を得ることはできなかった。
【0047】
【表1】
【0048】
実施例1〜2、参考例3〜8及び比較例1、2で得られたサリチル酸系顕色剤溶液を用いて顕色インキを作製し、前記方法により評価試験を行った。結果を表2に示した。
【0049】
【表2】
【0050】
有機顕色剤溶液の粘度が40℃において20〜100ポイズである参考例3、4、5のインキ流動性、発色性は良好であった。有機顕色剤溶液の粘度が100ポイズを超え、1000ポイズ以下である実施例1、2及び参考例7、8は、実用上は問題ないが、インキ流動性あるいは発色性の点でやや劣る結果であった。有機顕色剤溶液粘度が1000ポイズを超える比較例1は、インキ流動性、発色性ともに不十分であった。有機顕色剤溶液粘度が低い参考例6は、発色部裏面の汚れがややあり、有機顕色剤溶液粘度が10ポイズ未満の比較例2は発色部裏面汚れがかなり悪いレベルであった。
【0051】
実施例1〜2、参考例3〜8及び比較例1、2で得られた顕色インキについて、オフセット印刷適性の評価を行った結果、実施例2、参考例3〜5、8及び比較例1の顕色インキは良好な印刷適性を、また実施例1、参考例6、7はやや良好な印刷適性を示したが、比較例2の顕色インキはオフセット版面の汚れが激しく、印刷適性は不十分であった。
【0052】
参考例9
表3に示した顕色剤溶解用有機溶剤を用いて、フェノール系顕色剤溶液を作製した。得られた有機顕色剤溶液の40℃における粘度を測定し、表3に示した。得られたフェノール系顕色剤溶液を用いて顕色インキを作製し、評価試験を行った。結果を表4に示した。
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
参考例4と参考例9を比較すると、有機顕色剤としてサリチル酸系顕色剤を使用した方が、フェノール系顕色剤を使用した場合よりも、インキ流動性、発色性が良好であった。
【0056】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、有機顕色剤含有率が70重量%の時の40℃における粘度が10〜1000ポイズ、好ましくは20〜100ポイズである有機顕色剤溶液を用いることにより、インキ流動性が良く、発色性、印刷適性等に優れた顕色インキを得ることができる。有機顕色剤を溶解する有機溶剤として、炭素数が1〜4の低級アルコールと炭素数が12〜16の脂肪酸とからなる脂肪酸エステル、炭素数が2〜6の多価アルコールと炭素数が6〜12の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルを用いることにより、インキ流動性が良く、発色性、印刷適性に優れた顕色インキを得ることができる。また、これらの顕色インキを用いて印刷することにより、発色性が優れ、発色汚れの少ないノーカーボン感圧複写紙を得ることができた。
Claims (3)
- ほぼ無色の電子供与性発色剤との反応により有色化する電子受容性有機顕色剤、これを溶解するための顕色剤溶解用有機溶剤及び顔料を主たる成分とする顕色インキにおいて、 1.該有機顕色剤を該顕色剤溶解用有機溶剤により有機顕色剤含有率が70重量%となるように溶解した時の粘度が、40℃において10〜1000ポイズであり、
2.該顕色剤溶解用有機溶剤が、炭素数2〜6の多価アルコールと炭素数6〜12の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルである
事を特徴とする顕色インキ。 - 電子受容性有機顕色剤が、サリチル酸誘導体若しくはそれの多価金属塩又はフェノール樹脂若しくはそれの多価金属塩である請求項1記載の顕色インキ。
- 請求項1又は2記載の顕色インキを支持体表面に印刷して得られたノーカーボン感圧複写紙。
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