JPH046737B2 - - Google Patents
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- JPH046737B2 JPH046737B2 JP61064871A JP6487186A JPH046737B2 JP H046737 B2 JPH046737 B2 JP H046737B2 JP 61064871 A JP61064871 A JP 61064871A JP 6487186 A JP6487186 A JP 6487186A JP H046737 B2 JPH046737 B2 JP H046737B2
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- dope
- film
- optical anisotropy
- ppta
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- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Moulding By Coating Moulds (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
本発明は、ポリパラフエニレンテレフタラミド
(以下、PPTAと称する)からなるフイルムおよ
びその製造法に関し、さらに詳しくは透明でかつ
優れた面配向性により、フイルムの長尺方向(以
下、MD方向と称する)および幅方向(以下、
TD方向と称する)ともに優れた機械特性を示す
PPTAフイルムおよびそれを得る製造法に関する
ものである。 (従来の技術) PPTAに代表される直線配位性の芳香族ポリア
ミドは、特に優れた結晶性や高い融点を有し、ま
た剛直な分子構造のゆえに、耐熱性で高い機械的
強度を有しており、近年、特に注目されている高
分子素材である。またその光学異方性を示す濃厚
溶液から紡糸された繊維は高い強度およびモジユ
ラスを示すことが報告され、すでに工業的に実施
されるに到つているが、フイルムへの応用例の提
案は少なく、実用化例も未だ知られていない。 PPTAの有する問題点としては、その有用な高
分子量のポリマーは有機溶媒に難溶であり、濃硫
酸等の無機の強酸が溶媒として用いられねばなら
ないということが挙げられ、これを回避するため
に、例えば特公昭56−45421号公報では、直線配
位性芳香族ポリアミドの芳香核にハロゲン基を導
入した単位と、PPTA以外の芳香核に置換基を持
たない芳香族ポリアミドを共重合することにより
有機溶媒に可溶とし、それからフイルムを得よう
とする試みがなされている。しかし、これはモノ
マーが高価なため、コストが高くなる上に、折角
の直線配位性芳香族ポリアミドの耐熱性や結晶性
を損なう欠点がある。 一方、特公昭59−14567号公報には光学異方性
を有する芳香族ポリアミド溶液をスリツトから短
い空気層を介して凝固浴中に押出す方法が開示さ
れているが、この方法ではMD方向の機械的強度
のみ強く、それと直交するTD方向の機械的強度
は極端に弱く、裂けやすいものしか得られなかつ
た。 このように単に芳香族ポリアミドの光学異方性
ドープを押出し、そのまま凝固させただけでは、
吐出方向に過度に配向するために、フイブリル化
しやすくTD方向に弱いものとなつてしまうた
め、これを改良しようとするフイルム製造方法が
種々検討された。 例えば特公昭57−35088号公報には、光学異方
性を有する芳香族ポリアミド溶液を、リングダイ
から押出し、インフレーシヨン法を用いてドープ
の状態で2軸方向に同時流延させた後、湿式凝固
させることにより等方性のフイルムが得られると
している。しかし、この方法では均一な厚みのフ
イルムを得るのは難しく、機械的強度も低いとい
う欠点がある。 また特公昭59−5407号公報、特開昭54−132674
号公報では、直線配位性芳香族ポリアミドの光学
異方性または光学等方性のドープを、ダイ中で押
出し方向と直角の方向に機械的に剪断力を与える
ことにより、押出し時に押出し方向とその直角方
向の2軸方向に配向させる提案をしているが、ダ
イの構造が複雑で、工業的実施上の難点がある。 さらにJ.Appl.Polym.Sci.vol、27、No.8、
P.2965〜2985(1982)には、PPTAの光学異方性
ドープをリングダイより油塗布した円錐状のマン
ドレル上に押出すことにより、2軸配向したフイ
ルムが得られることが提案されているが、このフ
イルムは、等方的な機械強度が低く、ドラフトを
かけた場合、MD方向の機械的強度は高いが、
TD方向のそれは著しく低いものであつた。 特公昭57−17886号公報には、直線配位性芳香
族ポリアミドの光学異方性ドープを凝固直前に、
光学等方性となるまで加熱した後、凝固させるこ
とによつて、透明で機械的物性が等方的であるフ
イルムを得ることが記載されている。この方法
は、従来の光学異方性ドープの活用により高性能
を得んとする大方の概念に逆らつた独創的なもの
であり、これにより光学異方性ドープの極端な1
軸配向性の緩和と同時に、光学異方性ドープの液
晶ドメイン構造がドープを押出した後も残り、そ
のまま凝固して不透明なフイルムとなつてしまう
ことを回避することに成功している。しかし、こ
の方法も前述のごとく、PPTAは濃硫酸他の無機
強酸を溶媒とせざるを得ないため、光学異方性ド
ープを光学等方性となる温度にまで加熱する際に
ポリマーの分解を伴わざるを得ず、高い伸度のフ
イルムを得る上で問題があり、また単に加熱して
光学等方性ドープとしてから押出すのみでは、押
し出し時の流動配向は光学異方性ドープの場合よ
りは緩和されるものの、非常な高粘度となり、そ
もそも押出すこと自体が困難となる。 (発明が解決しようとする問題点) 以上のように、光学異方性ドープはポリマーが
液晶として集合したドメイン構造を有するため、
ドープをフイルム状とした際にもそのドメイン構
造が残り、得られたフイルムは不透明となる。こ
れを避けようとして光学等方性ドープを用いよう
とすれば、有用な高分子量のPPTMポリマーで
は極めて高粘度となり、約5重量%以下のポリマ
ー濃度でないと製膜不能となり、この濃度の光学
等方性ドープから製膜したフイルムは、凝固に際
してボイドを生成しやすく、また機械的物性も全
く不十分なものとなる。 本発明の目的は、すでに工業的に繊維が生産さ
れているPPTAを用いて、上記のごとき透明性に
優れ、かつフイルムのMD方向のみならず、TD
方向にも十分配向し、縦横両方向ともに高い強伸
度およびモジユラスを有する平面性に優れたフイ
ルムおよびその工業的な製法を提供することにあ
る。 (問題点を解決するための手段) 先に述べた特公昭57−17886号公報の概念は、
フイルムの機械的物性を高める上では好ましい高
いポリマー濃度のドープを用いながら、PPTAに
より自然に形成される液晶現象に伴うドープの低
粘度化を応用して、ポリマーの溶解や移送、形成
を容易とし、最後の凝固させる直前の短時間の
み、ドープを加熱することにより光学等方性化し
て、透明フイルムを得るというものである。本発
明者らは、この発想の応用とその欠点の克服につ
き鋭意検討した結果、偶然発見した現象とその機
構の解明により、次のごとき新規なフイルムとそ
の製造法が、前記問題点を解決することを見出
し、本発明を完成するに到つた。 本発明のポリパラフエニレンテレフタラミドフ
イルムは、対数粘度ηinhが2.5以上の実質的にポ
リパラフエニレンテレフタラミドよりなるフイル
ムであつて、その密度が1.365g/cm3から1.405
g/cm3の範囲にあり、ボイド数が5個/mm2以下、
光線透過率が55%以上、フイルム表面に直角に入
射したX線による(200)面の結晶向角が70゜以
上、およびフイルム表面に並行に入射したX線に
よる(010)面の結晶配向角が60゜以下であり破断
伸度が19%以上であることを特徴とする。 本発明のフイルムの製法は、対数粘度ηinhが
2.5以上であるポリパラフエニレンテレフタラミ
ドと98重量%以上の濃度の硫酸、クロル硫酸およ
びフルオル硫酸からなる群より選択された少なく
とも一種の溶媒とを含んでなる光学異方性ドープ
を、光学異方性を保つたまま支持面上にフイルム
状となし、絶対湿度1g(水)/Kg(乾燥空気)
以上でかつ相対湿度99%以下の雰囲気下で、吸湿
により該ドープが光学等方性ドープに実質的に転
化するまで放置した後、または光学異方性を失う
程度に吸湿させた後、もしくは吸湿させながら該
吸湿した光学異方性ドープが光学等方性ドープに
実質的に変化する温度に加熱して転化させた後、
凝固させ、次いで洗浄し、収縮を制限しつつ乾燥
することを特徴とする。 本発明に用いられるPPTAは実質的に で表わされるポリマーであり、従来公知のパラフ
エニレンジアミンとテレフタロイルクロライドか
ら、低温溶液重合法により製造するのが好都合で
ある。 本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと本
発明の目的とする機械的性質の良好なフイルムが
得られなくなるため、通常2.5以上、好ましくは
3.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリマー0.2
gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度
のものが選ばれる。 本発明のフイルムは以下に述べる4つの要件を
満たして初めて目的を達せられるものである。 まず第1に該フイルムの密度が1.365g/cm3か
ら1.405g/cm3の範囲になければならない。この
密度の値は四塩化炭素−トルエンを使用した密度
勾配管法により30℃で測定されたものある。この
密度の範囲は、公知のPPTA繊維のそれが1.43
g/cm3から1.46g/cm3の範囲にあるのに比べてか
なり小さい値である。この理由については明確で
はないが、恐らく後に述べる面配向性のために1
軸配向のもに比べて分子間のミクロな間隙が生
じ、密度が小さくなるものと思われる。該密度が
1.365g/cm3未満になると機械的物性が低下し、
1.405g/cm3を越えると面配向性の損なわれたフ
イルムとなる。いずれにしても、このように密度
が小さいことから、軽くて高強度のフイルムが得
られることになる。 第2に、以下に述べるボイド数が5個/mm2以
下でなくてはならない。このボイド数は次のよう
に測定される。適当な大きさのフイルム片を、透
過光を用いた通常の光学顕微鏡により、100倍か
ら400倍の範囲の倍率で少なくとも異なつた5視
野について観察し、その長径が30μ以上の大きさ
のボイド数を数え、フイルム表面1mm2当たりに
換算する。5個/mm2を越えるボイド数を有するフ
イルムは機械的物性に劣り、透明性が低下し、は
なはだしい場合にはフイルムが曇つて見える。な
お、通常の光学等方性ドープより製膜したフイル
ムには、通常、50個/mm2以上のボイド数が観察
される。 第3にフイルムの光線透過率が55%以上でなけ
ればならない。光線透過率は次のように測定され
る。通常の光電光度計(または分光光度計)の液
体セルをセツトする場所にフイルムを張りつけ、
600nmの波長の可視光線を選択し、その透過率を
測定する。本発明によるフイルムの重要な特徴の
一つはこの透明性にある。なお、前述のように光
学異方性ドープをわずかなエアギヤツプを介して
直接凝固浴中に押出して得られるフイルムは失透
しており、通常は光線透過率は10%以下である。
この光線透過率はもちろんフイルムの厚みが増す
に従つて低下するが、本発明によるフイルムは通
常用いられる200μ程度の厚みまでは55%を十分
上回る透明性を有する。 第4に本発明のフイルムは以下に述べるX線回
折による結晶配向角で定義される面配向性を持た
なければならない。すなわちフイルム表面に直角
に入射したX線による(200)面の結晶配向角が
70゜以上であり、フイルム表面に並行に入射した
X線による(010)面の結晶配向角が60゜以下でな
ければならない。 X線の入射は第1図に示すごとく、フイルム表
面に直角に入射する場合(以下、TV方向と称す
る)と表面に並行に入射する場合(以下、SV方
向と称する)とに分けられる。PPTAの結晶構造
については広く論じられており、例えば高柳ら
(J.Appl.Polym.Sci.,第23巻、915頁(1979))の
研究がある。 本発明のフイルムはTV方向からのX線による
(200)面の反射である2θ≒23゜に大きな回折ピー
クを持つが、この2θ≒23゜における結晶配向角が
70゜以上である必要がある。すなわちこの配向角
は回折写真においてほぼDebye環として現れる。
さらにSV方向からの入射による(010)面の反射
である2θ≒18゜の大きな回折ピークが赤道線上に
現れるが、この2θ≒18゜における結晶配向角が60゜
以下である必要がある。これらの両方の結晶配向
角が満たされて初めて本発明のフイルムが面配向
の構造を持つということがいえ、この範囲から外
れた結晶配向角を持つフイルムは面配性を有する
とはいえず、したがつて本発明の目的とする、
MD方向およびTD方向に高い機械的物性を有す
るフイルムは得られない。 結晶配向角の測定方法としては公知の方法が採
用でき、例えば次のような方法によつて行なわれ
る。所定の2θの角度に計数管を置き、フイルムを
180゜回転することにより、回折強度曲線を得る。
なお、TVにおいては、最高強度を中心とし、前
後90゜の間を回転させる。この曲線の最高強度の、
最低強度点間に引いたベースラインに対する半分
の強度を示す点に対応する、回折写真における円
弧長を度で表わした値(すなわち、最高強度のベ
ースラインに対する50%の点に対する角度)を測
定し、それを試料の結晶配向角とする。測定に際
し、フイルムは必要により何故か重ねて回折強度
を測ることができる。 本発明のフイルムを引き裂いた断面を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、フイルム表面に並行
な層状構造が観察され、このことも本発明のフイ
ルムの面配向構造を支持する事実のひとつと見做
される。 さらに本発明のフイルムは破断伸度が19%以上
である。 次にこのようなPPTAフイルムを得るための簡
便な方法について述べる。すなわち1つは光学異
方性ドープを支持面上にフイルム状に保持し、そ
の状態で光学異方性ドープを吸湿により光学等方
性ドープに転化させるものであり、他の1つは該
支持面上の光学異方性ドープを吸湿させた後、ま
たは吸湿させながら光学等方性ドープに変化する
温度に加熱して転化させるものである。 本発明のPPTAフイルムの成型に用いるドープ
を調製するのに適した溶媒としては、98重量%以
上の濃度の硫酸、クロル硫酸、フルオル硫酸また
はそれらの混合物が挙げられる。硫酸は100%以
上のもの、すなわち発煙硫酸、トリハロゲン化酢
酸などを、本発明の効果を損なわない範囲で混合
して用いてもよい。 本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度
は、常温(約20〜30℃)またはそれ以上の温度で
光学異方性を示す濃度以上のものが好ましく用い
られ、具体的には約10重量%以上、好ましくは約
12重量%以上で用いられる。これ以下のポリマー
濃度、すなわち常温またはそれ以上の温度で光学
異方性を示さないポリマー濃度では、成型された
PPTAフイルムが好ましい機械的性質を持たなく
なることが多い。ドープのポリマー濃度の上限は
特に限定されるものではないが、通常は25重量%
以下、特に高いηinhのPPTAに対しては20重量%
以下が好ましく用いられる。 本発明のドープには普通の添加剤、例えば、増
量剤、除光沢剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、
抗酸化剤、顔料、溶解助剤などを混入してもよ
い。 ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、
公知の方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の
方法で調べることができるが、その臨界点は、溶
媒の種類、温度、ポリマー濃度、ポリマーの重合
度、非溶媒の含有量等に依存するので、これらの
関係を予め調べることによつて、光学異方性ドー
プをつくり、光学等方性ドープとなる条件に変え
ることで、光学異方性から光学等方性に変えるこ
とができる。 本発明の機械的性質に優れた透明フイルムを得
る方法は、ドープを支持面上にフイルム状にした
後、凝固に先立つてドープを光学異方性から光学
等方性に転化するものである。 光学異方性から光学等方性にするには、具体的
には支持面上にフイルム状にした光学異方性ドー
プを凝固に先立ち、吸湿させてドープを形成する
溶剤の濃度を下げ、溶剤の溶解能力およびポリマ
ー濃度の変化により光学等方性域に転移させる
か、または吸湿によるドープの光学異方性領域の
変化に加えて加熱することによりドープを昇温
し、同時または遂次的にドープの相を光学等方性
に転移させることにより達成できる。 ドープを吸湿させる方法としては、絶対湿度1
g(水)/Kg(乾燥空気)以上で、かつ相対湿度
99%以下の雰囲気中を通過させることにより達成
することができる。絶対湿度1g(水)/Kg(乾
燥空気)未満では、吸湿速度が遅いため実用的で
なく、特に室温近辺で吸湿のみにより光学異方性
ドープから光学等方性ドープにする場合は3g
(水)/Kg(乾燥空気)以上が好ましく、さらに
好ましくは10g(水)/Kg(乾燥空気)以上、特
に好ましくは20g(水)/Kg(乾燥空気)であ
る。また通常の湿度雰囲気にさらに積極的に加湿
を施す工夫は、光学等方性化するまでの時間を短
く、また加熱を併用する場合にはその加熱温度を
低くできる点から望ましい実施態様である。相対
湿度99%を越えると、低温ではドープ上に水が凝
縮するためにポリマーが析出したり、フイルムの
平面性が失われるので好ましくない。また吸湿と
同時また吸湿させた後加熱を併用する方法におい
ては、例えば、硫酸を溶媒に使つたとき光学異方
性が実質的に消失し、ドープが光学等方性に転化
する温度は、ポリマー濃度、ポリマーの重合度、
硫酸濃度ドープの厚み、さらには吸湿の程度によ
り変動するが、通常約45℃以上が好ましく、また
その上限は、ポリマーの分解性を考慮した場合、
一般的にあまり高くないことが望ましく、フイル
ム状のドープの温度が200℃を越えない程度に選
ばれることが望ましい。 このようにPPTAが光学異方性ドープを光学等
方性化する際に吸湿させることが本発明の製造法
の重要な特徴である。これにより、透明性が非常
に優れ、強伸度ともに大きいフイルムを工業的に
も容易にかつ、フイルムの物性も損なうことなく
製膜することができる。この吸湿により光学等方
性化する機構は必ずしも明らかではないが、恐ら
く吸湿することによりポリマー濃度と溶媒濃度の
低下により、PPTA−溶媒系の液晶域がかなり縮
小するためであろうと思われる。この吸湿だけで
も十分光学等方性化するが、これにさらに加熱が
伴えば、短時間の等方性化が可能となる。この方
法は特にドープの厚みが厚いときに有効である。 この光学等方性化する際に、吸湿を伴わず加熱
のみで行なおうとすると、高温かつ長時間の加熱
が必要となり、得られるフイルムもポリマーの一
部分解を伴う結果、物性の劣つたものとなりやす
い。 本発明において、ドープの凝固液として使用で
きるのは、例えば水、約70重量%以下の希硫酸、
約20重量%以下の水酸化ナトリウム水溶液および
アンモニア水、約50重量%以下の塩化ナトリウム
水溶液および塩化カルシウム水溶液などである。
凝固浴の温度は特に制限されるものではなく、通
常約−5〜50℃の範囲で行なわれる。 凝固されたフイルムはそのままでは酸が含まれ
ているため、加熱による機械的物性の低下の少な
いフイルムを製造するには酸分の洗浄、除去をで
きるだけ行なう必要がある。酸化の除去は、具体
的には約500ppm以下まで行なうことが望ましい。
洗浄液としては水が通常用いられるが、必要に応
じて温水が行なつたり、アルカリ水溶液で中和洗
浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄は、例
えば洗浄液中でフイルムを走行させたり、洗浄液
を噴霧する等の方法により行なわれる。 洗浄されたフイルムは、次に乾燥されるが、こ
こで乾燥とは、フイルムに付着している洗浄液な
どを取り除く操作をいい、洗浄液などが取り除か
れるならばいかなる方法でもよく、常温で風乾、
加熱された非活性気体、例えば空気、窒素、アル
ゴンなどでの雰囲気下の乾燥、加熱ロール上での
乾燥、テンターでの加熱雰囲気下の乾燥などいず
れでもよい。また乾燥は、フイルムに皺が寄るの
を防ぐため、あるいはフイルムの平面性を出すた
め緊張下または定長下に、フイルムの収縮を制限
して行なうことが必要である。 乾燥温度は、特に制限されるものではないが、
常温以上また、機械的強度を効果的にするために
は、高温のほうが好ましく、100℃以上、さらに
好ましくは200℃以上が用いられる。乾燥の最高
温度は、特に限定されるものではないが、乾燥エ
ネルギーやポリマーの分解性を考慮すれば、500
℃以下が好ましい。 本発明の方法によりフイルムを製造する上で、
上記の工程は、いずれも回分式に行なわれても連
続的であつてもよく、また全工程を通して連続し
てフイルムを走行させつつ製造することも好まし
い実施態様の1つである。また任意の工程で油
剤、識別用の染料などをフイルムに付与してもさ
しつかえない。 (実施例) 以下に実施例および参考例(PPTAの製造例)
を示すが、これらの参考例および実施例は本発明
を説明するものであつて、本発明を限定するもの
ではない。なお、実施例中特に規定しない場合は
重量部または重量%を示す。対数粘度ηinhは98%
硫酸100mlにポリマー0.2gを溶解し、30℃で常温
で測定した。ドープの粘度は、B型粘度計を用い
1rpmの回転速度で測定した。フイルムの厚さは、
直径2mmの測定面を持つたダイヤルゲージで測定
した。強伸度およびモジユラスは、定速伸長型強
伸度測定機により、フイルム試料を100mm×10mm
の長方形に切り取り、最初のつかみ長さ30mm、引
張り速度30mm/分で荷重−伸長曲線を5回描き、
これより算出したものである。なお、全実施例の
フイルムについて偏光顕微鏡観察を行なつたとこ
ろ、光線透過率が55%以上のフイルムは全て密集
した縞模様は観測されなかつた。 参考例(PPTAの製造) 低温溶液重合法により、次のごとくPPTAを得
た。特公昭53−43986号公報に示された重合装置
中でN−メチルピロリドン1000部に無水塩化リチ
ウム70部を溶解し、次いでパラフエニレンジアミ
ン48.6部を溶解した。8℃に冷却した後、テレフ
タル酸ジクロライド91.4部を粉末状で一度に加え
た。数分後に重合反応物はチーズ状に固化したの
で、特公昭53−43986号公報記載の方法に従つて
重合装置より重合反応物を排出し、直ちに2軸の
密閉型ニーダーに移し、同ニーダー中で重合反応
物を微粉砕した。次に微粉砕物をヘシシエルミキ
サー中に移し、ほぼ等量の水を加えさらに粉砕し
た後、濾過し数回温水中で洗浄して、110℃の熱
風中で乾燥した。ηinhが6.5の淡黄色のPPTAポ
リマー95部を得た。なお、異なつたηinhのポリマ
ーは、N−メチルピロリドンとモノマー(パラフ
エニレンジアミンおよびテレフタル酸ジクロライ
ド)の比、または/およびモノマー間の比等を変
えることによつて容易に得ることができる。 実施例 1 ηinhが5.0のPPTAを99.7%の硫酸にポリマー
濃度13.0%で溶解し、50℃で光学異方性のあるド
ープを得た。このドープの常温における粘度は
14000ポイズであつた。製膜しやすくするために、
このドープをビーカーに入れ約70℃に保つた。そ
のときもドープは光学異方性を示し粘度は4000ポ
イズであつた。このドープを30℃のガラス板上
に、0.1mmの段差を有するアプリケーターで塗布
した。塗布直後に、直径15cmのガラス製シヤーレ
をそのドープの一部にかぶせ、空気中の湿気を遮
断した。このガラス板を、絶対湿度8.7g
(水)/Kg(乾燥空気)に保たれた大気中で60℃
で保温しつつ放置した。 2分間後にシヤーレで囲つた部分以外は透明化
したので、シヤーレを取り去り、ガラス板ごと10
℃の水浴中に浸漬した。これにより凝固したフイ
ルムは、シヤーレで囲つた部分は不透明のままで
あつたが、それ以外はドープ段階で光学異方性か
ら等方性に転化した結果、透明であつた。この凝
固フイルムの周辺を金属製の枠に固定し、120℃
のエアオーブン中で乾燥した。 乾燥中にフイルムはシヤーレを置いた円周に沿
つて破れたので、再度製膜をやり直し、凝固後に
シヤーレ内の不透明部と、それ以外の透明部を切
り難し、別々に金属枠を固定して同様に乾燥を行
なつた。両フイルムの性質を第1表に示す。
(以下、PPTAと称する)からなるフイルムおよ
びその製造法に関し、さらに詳しくは透明でかつ
優れた面配向性により、フイルムの長尺方向(以
下、MD方向と称する)および幅方向(以下、
TD方向と称する)ともに優れた機械特性を示す
PPTAフイルムおよびそれを得る製造法に関する
ものである。 (従来の技術) PPTAに代表される直線配位性の芳香族ポリア
ミドは、特に優れた結晶性や高い融点を有し、ま
た剛直な分子構造のゆえに、耐熱性で高い機械的
強度を有しており、近年、特に注目されている高
分子素材である。またその光学異方性を示す濃厚
溶液から紡糸された繊維は高い強度およびモジユ
ラスを示すことが報告され、すでに工業的に実施
されるに到つているが、フイルムへの応用例の提
案は少なく、実用化例も未だ知られていない。 PPTAの有する問題点としては、その有用な高
分子量のポリマーは有機溶媒に難溶であり、濃硫
酸等の無機の強酸が溶媒として用いられねばなら
ないということが挙げられ、これを回避するため
に、例えば特公昭56−45421号公報では、直線配
位性芳香族ポリアミドの芳香核にハロゲン基を導
入した単位と、PPTA以外の芳香核に置換基を持
たない芳香族ポリアミドを共重合することにより
有機溶媒に可溶とし、それからフイルムを得よう
とする試みがなされている。しかし、これはモノ
マーが高価なため、コストが高くなる上に、折角
の直線配位性芳香族ポリアミドの耐熱性や結晶性
を損なう欠点がある。 一方、特公昭59−14567号公報には光学異方性
を有する芳香族ポリアミド溶液をスリツトから短
い空気層を介して凝固浴中に押出す方法が開示さ
れているが、この方法ではMD方向の機械的強度
のみ強く、それと直交するTD方向の機械的強度
は極端に弱く、裂けやすいものしか得られなかつ
た。 このように単に芳香族ポリアミドの光学異方性
ドープを押出し、そのまま凝固させただけでは、
吐出方向に過度に配向するために、フイブリル化
しやすくTD方向に弱いものとなつてしまうた
め、これを改良しようとするフイルム製造方法が
種々検討された。 例えば特公昭57−35088号公報には、光学異方
性を有する芳香族ポリアミド溶液を、リングダイ
から押出し、インフレーシヨン法を用いてドープ
の状態で2軸方向に同時流延させた後、湿式凝固
させることにより等方性のフイルムが得られると
している。しかし、この方法では均一な厚みのフ
イルムを得るのは難しく、機械的強度も低いとい
う欠点がある。 また特公昭59−5407号公報、特開昭54−132674
号公報では、直線配位性芳香族ポリアミドの光学
異方性または光学等方性のドープを、ダイ中で押
出し方向と直角の方向に機械的に剪断力を与える
ことにより、押出し時に押出し方向とその直角方
向の2軸方向に配向させる提案をしているが、ダ
イの構造が複雑で、工業的実施上の難点がある。 さらにJ.Appl.Polym.Sci.vol、27、No.8、
P.2965〜2985(1982)には、PPTAの光学異方性
ドープをリングダイより油塗布した円錐状のマン
ドレル上に押出すことにより、2軸配向したフイ
ルムが得られることが提案されているが、このフ
イルムは、等方的な機械強度が低く、ドラフトを
かけた場合、MD方向の機械的強度は高いが、
TD方向のそれは著しく低いものであつた。 特公昭57−17886号公報には、直線配位性芳香
族ポリアミドの光学異方性ドープを凝固直前に、
光学等方性となるまで加熱した後、凝固させるこ
とによつて、透明で機械的物性が等方的であるフ
イルムを得ることが記載されている。この方法
は、従来の光学異方性ドープの活用により高性能
を得んとする大方の概念に逆らつた独創的なもの
であり、これにより光学異方性ドープの極端な1
軸配向性の緩和と同時に、光学異方性ドープの液
晶ドメイン構造がドープを押出した後も残り、そ
のまま凝固して不透明なフイルムとなつてしまう
ことを回避することに成功している。しかし、こ
の方法も前述のごとく、PPTAは濃硫酸他の無機
強酸を溶媒とせざるを得ないため、光学異方性ド
ープを光学等方性となる温度にまで加熱する際に
ポリマーの分解を伴わざるを得ず、高い伸度のフ
イルムを得る上で問題があり、また単に加熱して
光学等方性ドープとしてから押出すのみでは、押
し出し時の流動配向は光学異方性ドープの場合よ
りは緩和されるものの、非常な高粘度となり、そ
もそも押出すこと自体が困難となる。 (発明が解決しようとする問題点) 以上のように、光学異方性ドープはポリマーが
液晶として集合したドメイン構造を有するため、
ドープをフイルム状とした際にもそのドメイン構
造が残り、得られたフイルムは不透明となる。こ
れを避けようとして光学等方性ドープを用いよう
とすれば、有用な高分子量のPPTMポリマーで
は極めて高粘度となり、約5重量%以下のポリマ
ー濃度でないと製膜不能となり、この濃度の光学
等方性ドープから製膜したフイルムは、凝固に際
してボイドを生成しやすく、また機械的物性も全
く不十分なものとなる。 本発明の目的は、すでに工業的に繊維が生産さ
れているPPTAを用いて、上記のごとき透明性に
優れ、かつフイルムのMD方向のみならず、TD
方向にも十分配向し、縦横両方向ともに高い強伸
度およびモジユラスを有する平面性に優れたフイ
ルムおよびその工業的な製法を提供することにあ
る。 (問題点を解決するための手段) 先に述べた特公昭57−17886号公報の概念は、
フイルムの機械的物性を高める上では好ましい高
いポリマー濃度のドープを用いながら、PPTAに
より自然に形成される液晶現象に伴うドープの低
粘度化を応用して、ポリマーの溶解や移送、形成
を容易とし、最後の凝固させる直前の短時間の
み、ドープを加熱することにより光学等方性化し
て、透明フイルムを得るというものである。本発
明者らは、この発想の応用とその欠点の克服につ
き鋭意検討した結果、偶然発見した現象とその機
構の解明により、次のごとき新規なフイルムとそ
の製造法が、前記問題点を解決することを見出
し、本発明を完成するに到つた。 本発明のポリパラフエニレンテレフタラミドフ
イルムは、対数粘度ηinhが2.5以上の実質的にポ
リパラフエニレンテレフタラミドよりなるフイル
ムであつて、その密度が1.365g/cm3から1.405
g/cm3の範囲にあり、ボイド数が5個/mm2以下、
光線透過率が55%以上、フイルム表面に直角に入
射したX線による(200)面の結晶向角が70゜以
上、およびフイルム表面に並行に入射したX線に
よる(010)面の結晶配向角が60゜以下であり破断
伸度が19%以上であることを特徴とする。 本発明のフイルムの製法は、対数粘度ηinhが
2.5以上であるポリパラフエニレンテレフタラミ
ドと98重量%以上の濃度の硫酸、クロル硫酸およ
びフルオル硫酸からなる群より選択された少なく
とも一種の溶媒とを含んでなる光学異方性ドープ
を、光学異方性を保つたまま支持面上にフイルム
状となし、絶対湿度1g(水)/Kg(乾燥空気)
以上でかつ相対湿度99%以下の雰囲気下で、吸湿
により該ドープが光学等方性ドープに実質的に転
化するまで放置した後、または光学異方性を失う
程度に吸湿させた後、もしくは吸湿させながら該
吸湿した光学異方性ドープが光学等方性ドープに
実質的に変化する温度に加熱して転化させた後、
凝固させ、次いで洗浄し、収縮を制限しつつ乾燥
することを特徴とする。 本発明に用いられるPPTAは実質的に で表わされるポリマーであり、従来公知のパラフ
エニレンジアミンとテレフタロイルクロライドか
ら、低温溶液重合法により製造するのが好都合で
ある。 本発明のポリマーの重合度は、あまり低いと本
発明の目的とする機械的性質の良好なフイルムが
得られなくなるため、通常2.5以上、好ましくは
3.5以上の対数粘度ηinh(硫酸100mlにポリマー0.2
gを溶解して30℃で測定した値)を与える重合度
のものが選ばれる。 本発明のフイルムは以下に述べる4つの要件を
満たして初めて目的を達せられるものである。 まず第1に該フイルムの密度が1.365g/cm3か
ら1.405g/cm3の範囲になければならない。この
密度の値は四塩化炭素−トルエンを使用した密度
勾配管法により30℃で測定されたものある。この
密度の範囲は、公知のPPTA繊維のそれが1.43
g/cm3から1.46g/cm3の範囲にあるのに比べてか
なり小さい値である。この理由については明確で
はないが、恐らく後に述べる面配向性のために1
軸配向のもに比べて分子間のミクロな間隙が生
じ、密度が小さくなるものと思われる。該密度が
1.365g/cm3未満になると機械的物性が低下し、
1.405g/cm3を越えると面配向性の損なわれたフ
イルムとなる。いずれにしても、このように密度
が小さいことから、軽くて高強度のフイルムが得
られることになる。 第2に、以下に述べるボイド数が5個/mm2以
下でなくてはならない。このボイド数は次のよう
に測定される。適当な大きさのフイルム片を、透
過光を用いた通常の光学顕微鏡により、100倍か
ら400倍の範囲の倍率で少なくとも異なつた5視
野について観察し、その長径が30μ以上の大きさ
のボイド数を数え、フイルム表面1mm2当たりに
換算する。5個/mm2を越えるボイド数を有するフ
イルムは機械的物性に劣り、透明性が低下し、は
なはだしい場合にはフイルムが曇つて見える。な
お、通常の光学等方性ドープより製膜したフイル
ムには、通常、50個/mm2以上のボイド数が観察
される。 第3にフイルムの光線透過率が55%以上でなけ
ればならない。光線透過率は次のように測定され
る。通常の光電光度計(または分光光度計)の液
体セルをセツトする場所にフイルムを張りつけ、
600nmの波長の可視光線を選択し、その透過率を
測定する。本発明によるフイルムの重要な特徴の
一つはこの透明性にある。なお、前述のように光
学異方性ドープをわずかなエアギヤツプを介して
直接凝固浴中に押出して得られるフイルムは失透
しており、通常は光線透過率は10%以下である。
この光線透過率はもちろんフイルムの厚みが増す
に従つて低下するが、本発明によるフイルムは通
常用いられる200μ程度の厚みまでは55%を十分
上回る透明性を有する。 第4に本発明のフイルムは以下に述べるX線回
折による結晶配向角で定義される面配向性を持た
なければならない。すなわちフイルム表面に直角
に入射したX線による(200)面の結晶配向角が
70゜以上であり、フイルム表面に並行に入射した
X線による(010)面の結晶配向角が60゜以下でな
ければならない。 X線の入射は第1図に示すごとく、フイルム表
面に直角に入射する場合(以下、TV方向と称す
る)と表面に並行に入射する場合(以下、SV方
向と称する)とに分けられる。PPTAの結晶構造
については広く論じられており、例えば高柳ら
(J.Appl.Polym.Sci.,第23巻、915頁(1979))の
研究がある。 本発明のフイルムはTV方向からのX線による
(200)面の反射である2θ≒23゜に大きな回折ピー
クを持つが、この2θ≒23゜における結晶配向角が
70゜以上である必要がある。すなわちこの配向角
は回折写真においてほぼDebye環として現れる。
さらにSV方向からの入射による(010)面の反射
である2θ≒18゜の大きな回折ピークが赤道線上に
現れるが、この2θ≒18゜における結晶配向角が60゜
以下である必要がある。これらの両方の結晶配向
角が満たされて初めて本発明のフイルムが面配向
の構造を持つということがいえ、この範囲から外
れた結晶配向角を持つフイルムは面配性を有する
とはいえず、したがつて本発明の目的とする、
MD方向およびTD方向に高い機械的物性を有す
るフイルムは得られない。 結晶配向角の測定方法としては公知の方法が採
用でき、例えば次のような方法によつて行なわれ
る。所定の2θの角度に計数管を置き、フイルムを
180゜回転することにより、回折強度曲線を得る。
なお、TVにおいては、最高強度を中心とし、前
後90゜の間を回転させる。この曲線の最高強度の、
最低強度点間に引いたベースラインに対する半分
の強度を示す点に対応する、回折写真における円
弧長を度で表わした値(すなわち、最高強度のベ
ースラインに対する50%の点に対する角度)を測
定し、それを試料の結晶配向角とする。測定に際
し、フイルムは必要により何故か重ねて回折強度
を測ることができる。 本発明のフイルムを引き裂いた断面を走査型電
子顕微鏡で観察したところ、フイルム表面に並行
な層状構造が観察され、このことも本発明のフイ
ルムの面配向構造を支持する事実のひとつと見做
される。 さらに本発明のフイルムは破断伸度が19%以上
である。 次にこのようなPPTAフイルムを得るための簡
便な方法について述べる。すなわち1つは光学異
方性ドープを支持面上にフイルム状に保持し、そ
の状態で光学異方性ドープを吸湿により光学等方
性ドープに転化させるものであり、他の1つは該
支持面上の光学異方性ドープを吸湿させた後、ま
たは吸湿させながら光学等方性ドープに変化する
温度に加熱して転化させるものである。 本発明のPPTAフイルムの成型に用いるドープ
を調製するのに適した溶媒としては、98重量%以
上の濃度の硫酸、クロル硫酸、フルオル硫酸また
はそれらの混合物が挙げられる。硫酸は100%以
上のもの、すなわち発煙硫酸、トリハロゲン化酢
酸などを、本発明の効果を損なわない範囲で混合
して用いてもよい。 本発明に用いられるドープ中のポリマー濃度
は、常温(約20〜30℃)またはそれ以上の温度で
光学異方性を示す濃度以上のものが好ましく用い
られ、具体的には約10重量%以上、好ましくは約
12重量%以上で用いられる。これ以下のポリマー
濃度、すなわち常温またはそれ以上の温度で光学
異方性を示さないポリマー濃度では、成型された
PPTAフイルムが好ましい機械的性質を持たなく
なることが多い。ドープのポリマー濃度の上限は
特に限定されるものではないが、通常は25重量%
以下、特に高いηinhのPPTAに対しては20重量%
以下が好ましく用いられる。 本発明のドープには普通の添加剤、例えば、増
量剤、除光沢剤、紫外線安定化剤、熱安定化剤、
抗酸化剤、顔料、溶解助剤などを混入してもよ
い。 ドープが光学異方性か光学等方性であるかは、
公知の方法、例えば特公昭50−8474号公報記載の
方法で調べることができるが、その臨界点は、溶
媒の種類、温度、ポリマー濃度、ポリマーの重合
度、非溶媒の含有量等に依存するので、これらの
関係を予め調べることによつて、光学異方性ドー
プをつくり、光学等方性ドープとなる条件に変え
ることで、光学異方性から光学等方性に変えるこ
とができる。 本発明の機械的性質に優れた透明フイルムを得
る方法は、ドープを支持面上にフイルム状にした
後、凝固に先立つてドープを光学異方性から光学
等方性に転化するものである。 光学異方性から光学等方性にするには、具体的
には支持面上にフイルム状にした光学異方性ドー
プを凝固に先立ち、吸湿させてドープを形成する
溶剤の濃度を下げ、溶剤の溶解能力およびポリマ
ー濃度の変化により光学等方性域に転移させる
か、または吸湿によるドープの光学異方性領域の
変化に加えて加熱することによりドープを昇温
し、同時または遂次的にドープの相を光学等方性
に転移させることにより達成できる。 ドープを吸湿させる方法としては、絶対湿度1
g(水)/Kg(乾燥空気)以上で、かつ相対湿度
99%以下の雰囲気中を通過させることにより達成
することができる。絶対湿度1g(水)/Kg(乾
燥空気)未満では、吸湿速度が遅いため実用的で
なく、特に室温近辺で吸湿のみにより光学異方性
ドープから光学等方性ドープにする場合は3g
(水)/Kg(乾燥空気)以上が好ましく、さらに
好ましくは10g(水)/Kg(乾燥空気)以上、特
に好ましくは20g(水)/Kg(乾燥空気)であ
る。また通常の湿度雰囲気にさらに積極的に加湿
を施す工夫は、光学等方性化するまでの時間を短
く、また加熱を併用する場合にはその加熱温度を
低くできる点から望ましい実施態様である。相対
湿度99%を越えると、低温ではドープ上に水が凝
縮するためにポリマーが析出したり、フイルムの
平面性が失われるので好ましくない。また吸湿と
同時また吸湿させた後加熱を併用する方法におい
ては、例えば、硫酸を溶媒に使つたとき光学異方
性が実質的に消失し、ドープが光学等方性に転化
する温度は、ポリマー濃度、ポリマーの重合度、
硫酸濃度ドープの厚み、さらには吸湿の程度によ
り変動するが、通常約45℃以上が好ましく、また
その上限は、ポリマーの分解性を考慮した場合、
一般的にあまり高くないことが望ましく、フイル
ム状のドープの温度が200℃を越えない程度に選
ばれることが望ましい。 このようにPPTAが光学異方性ドープを光学等
方性化する際に吸湿させることが本発明の製造法
の重要な特徴である。これにより、透明性が非常
に優れ、強伸度ともに大きいフイルムを工業的に
も容易にかつ、フイルムの物性も損なうことなく
製膜することができる。この吸湿により光学等方
性化する機構は必ずしも明らかではないが、恐ら
く吸湿することによりポリマー濃度と溶媒濃度の
低下により、PPTA−溶媒系の液晶域がかなり縮
小するためであろうと思われる。この吸湿だけで
も十分光学等方性化するが、これにさらに加熱が
伴えば、短時間の等方性化が可能となる。この方
法は特にドープの厚みが厚いときに有効である。 この光学等方性化する際に、吸湿を伴わず加熱
のみで行なおうとすると、高温かつ長時間の加熱
が必要となり、得られるフイルムもポリマーの一
部分解を伴う結果、物性の劣つたものとなりやす
い。 本発明において、ドープの凝固液として使用で
きるのは、例えば水、約70重量%以下の希硫酸、
約20重量%以下の水酸化ナトリウム水溶液および
アンモニア水、約50重量%以下の塩化ナトリウム
水溶液および塩化カルシウム水溶液などである。
凝固浴の温度は特に制限されるものではなく、通
常約−5〜50℃の範囲で行なわれる。 凝固されたフイルムはそのままでは酸が含まれ
ているため、加熱による機械的物性の低下の少な
いフイルムを製造するには酸分の洗浄、除去をで
きるだけ行なう必要がある。酸化の除去は、具体
的には約500ppm以下まで行なうことが望ましい。
洗浄液としては水が通常用いられるが、必要に応
じて温水が行なつたり、アルカリ水溶液で中和洗
浄した後、水などで洗浄してもよい。洗浄は、例
えば洗浄液中でフイルムを走行させたり、洗浄液
を噴霧する等の方法により行なわれる。 洗浄されたフイルムは、次に乾燥されるが、こ
こで乾燥とは、フイルムに付着している洗浄液な
どを取り除く操作をいい、洗浄液などが取り除か
れるならばいかなる方法でもよく、常温で風乾、
加熱された非活性気体、例えば空気、窒素、アル
ゴンなどでの雰囲気下の乾燥、加熱ロール上での
乾燥、テンターでの加熱雰囲気下の乾燥などいず
れでもよい。また乾燥は、フイルムに皺が寄るの
を防ぐため、あるいはフイルムの平面性を出すた
め緊張下または定長下に、フイルムの収縮を制限
して行なうことが必要である。 乾燥温度は、特に制限されるものではないが、
常温以上また、機械的強度を効果的にするために
は、高温のほうが好ましく、100℃以上、さらに
好ましくは200℃以上が用いられる。乾燥の最高
温度は、特に限定されるものではないが、乾燥エ
ネルギーやポリマーの分解性を考慮すれば、500
℃以下が好ましい。 本発明の方法によりフイルムを製造する上で、
上記の工程は、いずれも回分式に行なわれても連
続的であつてもよく、また全工程を通して連続し
てフイルムを走行させつつ製造することも好まし
い実施態様の1つである。また任意の工程で油
剤、識別用の染料などをフイルムに付与してもさ
しつかえない。 (実施例) 以下に実施例および参考例(PPTAの製造例)
を示すが、これらの参考例および実施例は本発明
を説明するものであつて、本発明を限定するもの
ではない。なお、実施例中特に規定しない場合は
重量部または重量%を示す。対数粘度ηinhは98%
硫酸100mlにポリマー0.2gを溶解し、30℃で常温
で測定した。ドープの粘度は、B型粘度計を用い
1rpmの回転速度で測定した。フイルムの厚さは、
直径2mmの測定面を持つたダイヤルゲージで測定
した。強伸度およびモジユラスは、定速伸長型強
伸度測定機により、フイルム試料を100mm×10mm
の長方形に切り取り、最初のつかみ長さ30mm、引
張り速度30mm/分で荷重−伸長曲線を5回描き、
これより算出したものである。なお、全実施例の
フイルムについて偏光顕微鏡観察を行なつたとこ
ろ、光線透過率が55%以上のフイルムは全て密集
した縞模様は観測されなかつた。 参考例(PPTAの製造) 低温溶液重合法により、次のごとくPPTAを得
た。特公昭53−43986号公報に示された重合装置
中でN−メチルピロリドン1000部に無水塩化リチ
ウム70部を溶解し、次いでパラフエニレンジアミ
ン48.6部を溶解した。8℃に冷却した後、テレフ
タル酸ジクロライド91.4部を粉末状で一度に加え
た。数分後に重合反応物はチーズ状に固化したの
で、特公昭53−43986号公報記載の方法に従つて
重合装置より重合反応物を排出し、直ちに2軸の
密閉型ニーダーに移し、同ニーダー中で重合反応
物を微粉砕した。次に微粉砕物をヘシシエルミキ
サー中に移し、ほぼ等量の水を加えさらに粉砕し
た後、濾過し数回温水中で洗浄して、110℃の熱
風中で乾燥した。ηinhが6.5の淡黄色のPPTAポ
リマー95部を得た。なお、異なつたηinhのポリマ
ーは、N−メチルピロリドンとモノマー(パラフ
エニレンジアミンおよびテレフタル酸ジクロライ
ド)の比、または/およびモノマー間の比等を変
えることによつて容易に得ることができる。 実施例 1 ηinhが5.0のPPTAを99.7%の硫酸にポリマー
濃度13.0%で溶解し、50℃で光学異方性のあるド
ープを得た。このドープの常温における粘度は
14000ポイズであつた。製膜しやすくするために、
このドープをビーカーに入れ約70℃に保つた。そ
のときもドープは光学異方性を示し粘度は4000ポ
イズであつた。このドープを30℃のガラス板上
に、0.1mmの段差を有するアプリケーターで塗布
した。塗布直後に、直径15cmのガラス製シヤーレ
をそのドープの一部にかぶせ、空気中の湿気を遮
断した。このガラス板を、絶対湿度8.7g
(水)/Kg(乾燥空気)に保たれた大気中で60℃
で保温しつつ放置した。 2分間後にシヤーレで囲つた部分以外は透明化
したので、シヤーレを取り去り、ガラス板ごと10
℃の水浴中に浸漬した。これにより凝固したフイ
ルムは、シヤーレで囲つた部分は不透明のままで
あつたが、それ以外はドープ段階で光学異方性か
ら等方性に転化した結果、透明であつた。この凝
固フイルムの周辺を金属製の枠に固定し、120℃
のエアオーブン中で乾燥した。 乾燥中にフイルムはシヤーレを置いた円周に沿
つて破れたので、再度製膜をやり直し、凝固後に
シヤーレ内の不透明部と、それ以外の透明部を切
り難し、別々に金属枠を固定して同様に乾燥を行
なつた。両フイルムの性質を第1表に示す。
【表】
比較例 1
実施例1におけるシヤーレに囲まれた不透明部
を特公昭57−17886号公報に開示された方法によ
り透明化するため、ドープ塗布直後にシヤーレを
かぶせた後、そのガラス板を130℃のエアオーブ
ン中で加熱したところ、7分後に漸く透明化し
た。これを実施例1と同様に、凝固、洗浄、乾燥
したフイルムの性質を第2表に示すが、ηinhが低
下しており、ポリマーが一部分解した結果、強度
も低くなつていることが分かる。すなわち、実施
例1で吸湿した箇所は60℃×2minで透明化した
のに対して、シヤーレをかぶせ吸湿させなかつた
箇所は透明化するのに130℃×7minかかり、また
得られたフイルムも物性の劣るものであつた。 特公昭57−17886号公報の方法を追試するため
に、ηinh=4.3のPPTAを99.0%の硫酸に溶解し
た光学異方性ドープを用い、実施例1と同様にガ
ラス板にドープを塗布した。すぐにシヤーレをか
ぶせ、95℃に保つて透明化を行つた。約2分でシ
ヤーレをかぶせた部分のドープが透明化したの
で、シヤーレを取り去つて約10℃の水に入れて凝
固させた。実施例1と同様に乾燥フイルムを得
た。シヤーレをかぶせて、加熱のみにて透明化し
た部分のフイルムは、シヤーレをかぶせなかつた
(従つて加湿による透明化も少し行われている)
部分のフイルムに比べ透明性が少し劣り、光線透
過率は43%であつた。シヤーレをかぶせた部分か
らのフイルムの他の特性は、ηinh=4.2、強度25
Kg/mm2(MD)および23Kg/mm2(TD)、伸度
4.7%(MD)および4.8%(TD)であつた。
を特公昭57−17886号公報に開示された方法によ
り透明化するため、ドープ塗布直後にシヤーレを
かぶせた後、そのガラス板を130℃のエアオーブ
ン中で加熱したところ、7分後に漸く透明化し
た。これを実施例1と同様に、凝固、洗浄、乾燥
したフイルムの性質を第2表に示すが、ηinhが低
下しており、ポリマーが一部分解した結果、強度
も低くなつていることが分かる。すなわち、実施
例1で吸湿した箇所は60℃×2minで透明化した
のに対して、シヤーレをかぶせ吸湿させなかつた
箇所は透明化するのに130℃×7minかかり、また
得られたフイルムも物性の劣るものであつた。 特公昭57−17886号公報の方法を追試するため
に、ηinh=4.3のPPTAを99.0%の硫酸に溶解し
た光学異方性ドープを用い、実施例1と同様にガ
ラス板にドープを塗布した。すぐにシヤーレをか
ぶせ、95℃に保つて透明化を行つた。約2分でシ
ヤーレをかぶせた部分のドープが透明化したの
で、シヤーレを取り去つて約10℃の水に入れて凝
固させた。実施例1と同様に乾燥フイルムを得
た。シヤーレをかぶせて、加熱のみにて透明化し
た部分のフイルムは、シヤーレをかぶせなかつた
(従つて加湿による透明化も少し行われている)
部分のフイルムに比べ透明性が少し劣り、光線透
過率は43%であつた。シヤーレをかぶせた部分か
らのフイルムの他の特性は、ηinh=4.2、強度25
Kg/mm2(MD)および23Kg/mm2(TD)、伸度
4.7%(MD)および4.8%(TD)であつた。
【表】
実施例 2
ηinhや5.5のPPTAポリマーを99.7%の硫酸に
ポリマー濃度13.0%で溶解し、60℃で光学異方性
のあるドープを得た。このドープの粘度を常温で
測定したところ、14500ボイズだつた。製膜しや
すくするために、このドープをタンクに入れ約70
℃に保つた。この場合も上記と同じく光学異方性
を有し、粘度は4200ポイズであつた。タンクから
ギアポンプを経てダイに到る1.5mの曲管を約70
℃に保ち、0.2mm×300mmのスリツトを有するダイ
から、鏡面に磨いたハステロイ製のベルトにキヤ
ストし、絶対湿度15.4g(水)/Kg(乾燥空気)
に調湿された25℃の空気中に200秒曝露し、ドー
プが透明になつた後、8℃、3%の硫酸中に凝固
させた。この凝固フイルムを常温の水で1晩洗浄
した後、200℃の熱風にて定長乾燥を行なつた。
このフイルムの性質を物3表に示す。
ポリマー濃度13.0%で溶解し、60℃で光学異方性
のあるドープを得た。このドープの粘度を常温で
測定したところ、14500ボイズだつた。製膜しや
すくするために、このドープをタンクに入れ約70
℃に保つた。この場合も上記と同じく光学異方性
を有し、粘度は4200ポイズであつた。タンクから
ギアポンプを経てダイに到る1.5mの曲管を約70
℃に保ち、0.2mm×300mmのスリツトを有するダイ
から、鏡面に磨いたハステロイ製のベルトにキヤ
ストし、絶対湿度15.4g(水)/Kg(乾燥空気)
に調湿された25℃の空気中に200秒曝露し、ドー
プが透明になつた後、8℃、3%の硫酸中に凝固
させた。この凝固フイルムを常温の水で1晩洗浄
した後、200℃の熱風にて定長乾燥を行なつた。
このフイルムの性質を物3表に示す。
【表】
比較例 2
実施例2において、ベルト上にキヤストする代
わりに、ドープを1cmの空気層を介して8℃、3
%の硫酸中に供給して直接凝固させた。その後の
処理を実施例2と同様に行なつたフイルムの性質
を第3表に示したが、このフイルムは液晶のドメ
インが残つたまま全く不透明であり、またTD方
向の強度はすこぶる弱く、非常にフイブリル化し
やすいものであつた。 実施例 3 ηinhが6.2のPPTAを60℃でポリマー濃度が
14.0%になるように99.6%の硫酸に溶解した。こ
のドープは80℃で光学異方性を示し、粘度は3300
ポイズであつた。このドープを25℃のガラス板上
に、0.1mmの段差のついたアプリケーターにより
塗布した。その後、絶対湿度7.5g(水)/Kg
(乾燥空気)に保たれた18℃の空気中で1分間放
置した後のドープを採取して分析したところ、硫
酸濃度が94.4%まで低下するぐらいまでに吸湿し
ていることが分かつた。しかし、この時点ではド
ープはまだ不透明であり、この後、乾燥窒素オー
ブン中で120℃に90秒間加熱したところ、光学等
方性化してドープは透明となつた。これを15℃の
水で凝固させた後、5%のカセインソーダ水溶液
で中和処理を行ない、その後さらに水洗いして酸
分の濃度を400ppmとした。この湿フイルムを250
℃で30分間、定長乾燥した後のフイルムの性質を
第3表に示す。 比較例 3 実施例3の光学異方性ドープを同様にガラス板
に塗布した後、すぐさま120℃の乾燥窒素オーブ
ン中に入れ、90秒間保つた。このドープは光学等
方性化していなかつたが、実施例3と同様に凝
固、中和、水洗、乾燥処理を行なつた。このフイ
ルムの性質を第3表に示す。 またこの不透明フイルムの表面を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、10μから20μ単位の凹凸
が無数に見られた。これは液晶ドメインのひとつ
の単位に相当すると思われ、ドメインが解消した
透明フイルムには全く観察されないものであつ
た。 実施例 4 ηinhが3.4のPPTAをポリマー濃度が15.0%に
なるように99.5%の硫酸に溶解した。このドープ
は60℃で光学異方性に示し、粘度は2400ポイズで
あつた。タンクからギアポンプを経てダイに到る
1.5mの曲管を60℃に保ち、0.1mm×800mmのスリ
ツトを持つたダイから約1/3を水中に浸した、鏡
面に磨いたタンタルライニングの、直径1.5mの
回転ドラム上に該光学異方性ドープをキヤスト
し、絶対湿度6.6g(水)/Kg(乾燥空気)の15
℃で空気中に40秒間保つた後、140℃の熱風を吹
きつけるゾーンの中を4秒間で通過させたとこ
ろ、光学等方性の透明なドープとなつた。ただし
120℃の熱風では透明にならなかつた。得られた
透明なドープをさらに回転するドラム上で、5℃
の水中で凝固させた。その後、水洗、中和、水洗
の各工程からなる連続プロセスで処理し、酸分の
濃度を450ppmとした。この湿フイルムを300℃で
20分間、定長乾燥したフイルムの性質を第3表に
示す。 実施例 5 実施例4と同じドープを用い、同じスリツトダ
イより同じ回転ドラム上にキヤストした後、同じ
雰囲気の空気中を走行させる際に、市販の加湿器
により絶対湿度を約10g(水)/Kg(乾燥空気)
に調整したボツクスを途中に設け、そのゾーンの
中を20秒間で走らせながら、キヤスト地点から熱
風ゾーンまでは実施例4と同じく40秒間かかるよ
うな速度で、次に70℃の熱風を吹きつけるゾーン
の中を4秒間で通過させたところ、光学等方性の
透明なドープが得られた。その後の凝固、水洗、
乾燥工程は実施例4と全く同様に行なつた、得ら
れたフイルムの性質を第3表に示す。 比較例 4 ηinhが4.6のPPTAをポリマー濃度が4.0%にな
るように99.8%の硫酸に溶解した。このドープは
50℃で光学等方性であり、粘度は7100ポイズであ
つた。このドープを実施例2と同じくダイからベ
ルト上にキヤストし、同じ調湿された空気中に曝
露した後、全く同様に凝固、洗浄、乾燥をしてフ
イルムを得た。この少し曇つて見える透明フイル
ムの性質を第4表に示す。
わりに、ドープを1cmの空気層を介して8℃、3
%の硫酸中に供給して直接凝固させた。その後の
処理を実施例2と同様に行なつたフイルムの性質
を第3表に示したが、このフイルムは液晶のドメ
インが残つたまま全く不透明であり、またTD方
向の強度はすこぶる弱く、非常にフイブリル化し
やすいものであつた。 実施例 3 ηinhが6.2のPPTAを60℃でポリマー濃度が
14.0%になるように99.6%の硫酸に溶解した。こ
のドープは80℃で光学異方性を示し、粘度は3300
ポイズであつた。このドープを25℃のガラス板上
に、0.1mmの段差のついたアプリケーターにより
塗布した。その後、絶対湿度7.5g(水)/Kg
(乾燥空気)に保たれた18℃の空気中で1分間放
置した後のドープを採取して分析したところ、硫
酸濃度が94.4%まで低下するぐらいまでに吸湿し
ていることが分かつた。しかし、この時点ではド
ープはまだ不透明であり、この後、乾燥窒素オー
ブン中で120℃に90秒間加熱したところ、光学等
方性化してドープは透明となつた。これを15℃の
水で凝固させた後、5%のカセインソーダ水溶液
で中和処理を行ない、その後さらに水洗いして酸
分の濃度を400ppmとした。この湿フイルムを250
℃で30分間、定長乾燥した後のフイルムの性質を
第3表に示す。 比較例 3 実施例3の光学異方性ドープを同様にガラス板
に塗布した後、すぐさま120℃の乾燥窒素オーブ
ン中に入れ、90秒間保つた。このドープは光学等
方性化していなかつたが、実施例3と同様に凝
固、中和、水洗、乾燥処理を行なつた。このフイ
ルムの性質を第3表に示す。 またこの不透明フイルムの表面を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、10μから20μ単位の凹凸
が無数に見られた。これは液晶ドメインのひとつ
の単位に相当すると思われ、ドメインが解消した
透明フイルムには全く観察されないものであつ
た。 実施例 4 ηinhが3.4のPPTAをポリマー濃度が15.0%に
なるように99.5%の硫酸に溶解した。このドープ
は60℃で光学異方性に示し、粘度は2400ポイズで
あつた。タンクからギアポンプを経てダイに到る
1.5mの曲管を60℃に保ち、0.1mm×800mmのスリ
ツトを持つたダイから約1/3を水中に浸した、鏡
面に磨いたタンタルライニングの、直径1.5mの
回転ドラム上に該光学異方性ドープをキヤスト
し、絶対湿度6.6g(水)/Kg(乾燥空気)の15
℃で空気中に40秒間保つた後、140℃の熱風を吹
きつけるゾーンの中を4秒間で通過させたとこ
ろ、光学等方性の透明なドープとなつた。ただし
120℃の熱風では透明にならなかつた。得られた
透明なドープをさらに回転するドラム上で、5℃
の水中で凝固させた。その後、水洗、中和、水洗
の各工程からなる連続プロセスで処理し、酸分の
濃度を450ppmとした。この湿フイルムを300℃で
20分間、定長乾燥したフイルムの性質を第3表に
示す。 実施例 5 実施例4と同じドープを用い、同じスリツトダ
イより同じ回転ドラム上にキヤストした後、同じ
雰囲気の空気中を走行させる際に、市販の加湿器
により絶対湿度を約10g(水)/Kg(乾燥空気)
に調整したボツクスを途中に設け、そのゾーンの
中を20秒間で走らせながら、キヤスト地点から熱
風ゾーンまでは実施例4と同じく40秒間かかるよ
うな速度で、次に70℃の熱風を吹きつけるゾーン
の中を4秒間で通過させたところ、光学等方性の
透明なドープが得られた。その後の凝固、水洗、
乾燥工程は実施例4と全く同様に行なつた、得ら
れたフイルムの性質を第3表に示す。 比較例 4 ηinhが4.6のPPTAをポリマー濃度が4.0%にな
るように99.8%の硫酸に溶解した。このドープは
50℃で光学等方性であり、粘度は7100ポイズであ
つた。このドープを実施例2と同じくダイからベ
ルト上にキヤストし、同じ調湿された空気中に曝
露した後、全く同様に凝固、洗浄、乾燥をしてフ
イルムを得た。この少し曇つて見える透明フイル
ムの性質を第4表に示す。
【表】
実施例 6
ηinhが6.5dl/gのPPTAポリマーを99.7%の
硫酸にポリマー濃度12.0%で溶解し、60℃で光学
異方性のあるドープを得た。このドープの粘度を
常温で測定したところ、16300ポイズだつた。製
膜しやすくするために、このドープを約80℃に保
つたまま、真空下に脱気した。この場合も上記と
同じく光学異方性を有し、粘度は6400ポイズであ
つた。タンクからフイルターを通し、ギアポンプ
を経てダイに到る1.5mの曲管を約75℃に保ち、
0.2mm×300mmのスリツトを有するダイから、鏡面
に磨いたハステロイ製のベルト(2m/分で移
動)にキヤストし、相対湿度約90%の約85℃の空
気を吹きつけて、流延ドープを光学等方性化し
(約12秒の滞留)、ベルトとともに、0℃の10重量
%硫酸水溶酸の中に導いて凝固させた。次いで凝
固フイルムをベルトからひきはがし、約30℃の温
水中を走行させて洗浄した。洗浄の終了したフイ
ルムをテンター乾燥機に入れ、定長で最初150℃
の熱風で次いで220℃の熱風で乾燥した。 得られたフイルムの性質を第5表に示す。
硫酸にポリマー濃度12.0%で溶解し、60℃で光学
異方性のあるドープを得た。このドープの粘度を
常温で測定したところ、16300ポイズだつた。製
膜しやすくするために、このドープを約80℃に保
つたまま、真空下に脱気した。この場合も上記と
同じく光学異方性を有し、粘度は6400ポイズであ
つた。タンクからフイルターを通し、ギアポンプ
を経てダイに到る1.5mの曲管を約75℃に保ち、
0.2mm×300mmのスリツトを有するダイから、鏡面
に磨いたハステロイ製のベルト(2m/分で移
動)にキヤストし、相対湿度約90%の約85℃の空
気を吹きつけて、流延ドープを光学等方性化し
(約12秒の滞留)、ベルトとともに、0℃の10重量
%硫酸水溶酸の中に導いて凝固させた。次いで凝
固フイルムをベルトからひきはがし、約30℃の温
水中を走行させて洗浄した。洗浄の終了したフイ
ルムをテンター乾燥機に入れ、定長で最初150℃
の熱風で次いで220℃の熱風で乾燥した。 得られたフイルムの性質を第5表に示す。
【表】
実施例 7〜10
ηinhが5.7dl/gのPPTAポリマーを99.3%の
硫酸にポリマー濃度12.3%で溶解し、60℃で光学
異方性のあるドープを得た。このドープを約80℃
に保つたまま、真空下に脱気した。この場合も光
学異方性を有し、粘度は5800ポイズであつた。タ
ンクからフイルターを通し、ギアポンプを経てダ
イに到る1.5mの曲管を約75℃に保ち、0.3mm×
300mm(実施例7、8)および0.2mm×300mm(実
施例9、10)のスリツトを有するダイから、鏡面
に磨いたタンタル製のベルト(ダイ下端とベルト
面との距離は約1cm)にキヤストし、高温高湿の
空気を吹きつけて、流延ドープを光学等方化し、
ベルトとともに、10℃の水中に導いて凝固させ
た。ドープの光学等方化のために使用した空気の
温度および湿度条件、光学等方化のために流延ド
ープを高温高湿空気に曝した時間を、結果ととも
に第6表にまとめて記す。なお、時間はベルトの
移動速度を変えることによつて調節した。次いで
凝固フイルムをベルトからひきはがし、約30℃の
温水、室温の3%カセイソーダ水溶液、室温の水
での順に洗浄した。洗浄の終了したフイルムをテ
ンター乾燥機に入れ、定長で最初150℃の熱風で
次いで220℃の熱風で乾燥した。 得られたフイルムの性質を第6表に示す。
硫酸にポリマー濃度12.3%で溶解し、60℃で光学
異方性のあるドープを得た。このドープを約80℃
に保つたまま、真空下に脱気した。この場合も光
学異方性を有し、粘度は5800ポイズであつた。タ
ンクからフイルターを通し、ギアポンプを経てダ
イに到る1.5mの曲管を約75℃に保ち、0.3mm×
300mm(実施例7、8)および0.2mm×300mm(実
施例9、10)のスリツトを有するダイから、鏡面
に磨いたタンタル製のベルト(ダイ下端とベルト
面との距離は約1cm)にキヤストし、高温高湿の
空気を吹きつけて、流延ドープを光学等方化し、
ベルトとともに、10℃の水中に導いて凝固させ
た。ドープの光学等方化のために使用した空気の
温度および湿度条件、光学等方化のために流延ド
ープを高温高湿空気に曝した時間を、結果ととも
に第6表にまとめて記す。なお、時間はベルトの
移動速度を変えることによつて調節した。次いで
凝固フイルムをベルトからひきはがし、約30℃の
温水、室温の3%カセイソーダ水溶液、室温の水
での順に洗浄した。洗浄の終了したフイルムをテ
ンター乾燥機に入れ、定長で最初150℃の熱風で
次いで220℃の熱風で乾燥した。 得られたフイルムの性質を第6表に示す。
【表】
【表】
(発明の効果)
本発明のフイルムは、実施例に示したように市
販のフイルムには見られない高い強度と高いモジ
ユラスで表わされる良好な機械的性質を有し、し
かもMD方向とTD方向に極めてバランスのとれ
た物性を示す。またこれらの機械的特性のみなら
ず、優れた電気絶縁性、耐熱性、耐油性、耐圧
性、強酸以外の耐薬品性、構造の緻密性を有す
る。このため、本発明のフイルムは、高速回転す
る電気機器やコンデンサーの絶縁材料や磁気テー
プ、フレキシブルプリント配線基板、電線被覆
材、濾過膜等に好適に使用することができ、さら
にもうひとつの特徴である透明性に優れているこ
とから、包装材料、製版材料、写真フイルム等に
も有用なものである。このように優れた性質をも
つPPTAフイルムを、工業実施上極めて容易な方
法で、かつ特に2軸延伸機を用いる必要もなく、
製造し得ることは本発明の重要な効果のひとつで
ある。
販のフイルムには見られない高い強度と高いモジ
ユラスで表わされる良好な機械的性質を有し、し
かもMD方向とTD方向に極めてバランスのとれ
た物性を示す。またこれらの機械的特性のみなら
ず、優れた電気絶縁性、耐熱性、耐油性、耐圧
性、強酸以外の耐薬品性、構造の緻密性を有す
る。このため、本発明のフイルムは、高速回転す
る電気機器やコンデンサーの絶縁材料や磁気テー
プ、フレキシブルプリント配線基板、電線被覆
材、濾過膜等に好適に使用することができ、さら
にもうひとつの特徴である透明性に優れているこ
とから、包装材料、製版材料、写真フイルム等に
も有用なものである。このように優れた性質をも
つPPTAフイルムを、工業実施上極めて容易な方
法で、かつ特に2軸延伸機を用いる必要もなく、
製造し得ることは本発明の重要な効果のひとつで
ある。
第1図は、結晶配向角を求める際の、X線の入
射方向を示す説明図である。
射方向を示す説明図である。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 対数粘度ηinhが2.5以上の実質的にポリパラ
フエニレンテレフタラミドよりなるフイルムであ
つて、その密度が1.365g/cm3から1.405g/cm3の
範囲にあり、ボイド数が5個/mm2以下、光線透過
率が55%以上、フイルム表面に直角に入射したX
線による(200)面の結晶配向角が70゜以上、フイ
ルム表面に並行に入射したX線による(010)面
の結晶配向角が60゜以下、および破断伸度が19%
以上であることを特徴とするポリパラフエニレン
テレフタラミドフイルム。 2 対数粘度ηinhが2.5以上であるポリパラフエ
ニレンテレフタラミドと98重量%以上の濃度の硫
酸、クロル硫酸およびフルオル硫酸からなる群よ
り選択された少なくとも一種の溶媒とを含んでな
る光学異方性ドープを、光学異方性を保つたまま
支持面上にフイルム状となし、絶対湿度1g
(水)/Kg(乾燥空気)以上でかつ相対湿度99%
以下の雰囲気下で、吸湿により該ドープが光学等
方性ドープに実質的に転化するまで放置した後、
または光学異方性を失う程度に吸湿させた後、も
しくは吸湿させながら該吸湿した光学異方性ドー
プが光学等方性ドープに実質的に変化する温度に
加熱して転化させた後、凝固させ、次いで洗浄
し、収縮を制限しつつ乾燥することを特徴とする
ポリパラフエニレンテレフタラミドフイルムの製
法。
Applications Claiming Priority (3)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP7166485 | 1985-04-04 | ||
| JP60-71664 | 1985-04-04 | ||
| JP60-218027 | 1985-10-02 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS62174118A JPS62174118A (ja) | 1987-07-30 |
| JPH046737B2 true JPH046737B2 (ja) | 1992-02-06 |
Family
ID=13467094
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6487186A Granted JPS62174118A (ja) | 1985-04-04 | 1986-03-25 | ポリパラフエニレンテレフタラミドフイルムおよびその製法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPS62174118A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2020203325A (ja) * | 2019-06-14 | 2020-12-24 | リンテック株式会社 | 切断装置および切断方法 |
Family Cites Families (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5717886A (en) * | 1980-07-07 | 1982-01-29 | Hitachi Ltd | Electronic timer |
-
1986
- 1986-03-25 JP JP6487186A patent/JPS62174118A/ja active Granted
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2020203325A (ja) * | 2019-06-14 | 2020-12-24 | リンテック株式会社 | 切断装置および切断方法 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS62174118A (ja) | 1987-07-30 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| EXPY | Cancellation because of completion of term |