JPH0670138B2 - 珪素含有多環状芳香族重合体並びにその製造方法 - Google Patents

珪素含有多環状芳香族重合体並びにその製造方法

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JPH0670138B2
JPH0670138B2 JP63233575A JP23357588A JPH0670138B2 JP H0670138 B2 JPH0670138 B2 JP H0670138B2 JP 63233575 A JP63233575 A JP 63233575A JP 23357588 A JP23357588 A JP 23357588A JP H0670138 B2 JPH0670138 B2 JP H0670138B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、不融化、焼成により、機械的性質に優れ、且
つ耐酸化性、並びに複合材用マトリックスに対する濡れ
性が大幅に向上した炭素系無機繊維となる前駆体ポリマ
ー及びその製造方法に関する。
(従来の技術及びその問題点) 炭素繊維は、軽量でしかも高強度、高弾性であるため、
スポーツ・レジャー用品をはじめ、航空機、自転車、建
材など広い分野に亙ってその利用が図られている。
炭素繊維としては、ポリアクリロニトリルを原料として
PAN系炭素繊維と、石油系、石炭系のピッチを原料とす
る、所謂ピッチ系炭素繊維が知られている。
ピッチ系炭素繊維は、一般に強度がPAN系炭素繊維に比
べて劣るが、原料が安価なことから、強度を高める方法
について種々の検討がなされ、例えば、特開昭59−2233
16号公報には、効果的にメソフェーズを生成させ、紡糸
時に配向させる方法が開示されている。
しかし、基本的には、炭素繊維は結晶性の繊維であるた
め、硬く、毛羽が発生し易く、また複合材料とする際マ
トリックスとの濡れ性も劣るという欠点がある。
そこで種々の炭素繊維の表面処理法が考案され、、現在
知られている方法として、繊維に柔軟性を付与するとと
もに、毛羽発生を抑制する目的で、ポリビニルアルコー
ル、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂のようなサ
イジング剤を表面に塗布する方法や、マトリックスとの
接着性を向上させる目的でその表面を乾式又は湿式酸化
処理する方法等がある。
これらの処理のうち、特に表面酸化層を設ける方法で
は、酸化時に繊維に損傷を与えるため、物性は低下する
傾向にある。更に、炭素繊維は500℃を超える酸化雰囲
気中では、燃焼するため使用できない。
このような背景から、高強度、高弾性率を有し、しかも
マトリックスとの濡れ性、接着性が良好で、従来広範囲
の分野で使用されているPAN系炭素繊維よりも安価な新
繊維な開発が強く要望されてきた。
また、炭素繊維のより高温での耐酸化性を向上させるこ
とが種々の分野で強く望まれている。
この要望を満たす方法として、例えば、特開昭62−2091
39号公報、特開昭62−215016号公報に記載された方法が
提案されている。
これらの公報には、石炭系又は石油系ピッチとポリシラ
ンを混合・加熱反応させてオルガノポリアリールシラン
を合成し、それを紡糸、不融化、焼成により炭化珪素繊
維と炭素繊維の中間の性質を有する無機質繊維を製造す
る方法が記載されている しかし、上記方法で得られたオルガノポリアリールシラ
ンは有機溶媒不溶分を全く含まず、且つ、炭素繊維の強
度発現に最も重要な成分と言われているメソフェーズ状
態を含んでいない。
上記紡糸原料を、紡糸、不融化、焼成して得られる無機
質繊維は、条件によっては炭素の黒鉛結晶に相当する
(002)回折線は得られるものの、ピッチ繊維特有の配
向は認められず高弾性率のものは得られない。更に上記
公報の方法では、ピッチ成分が多くなる程、不活性ガス
中の耐熱性は向上するものの、耐酸化性は逆に低下し、
しかも機械的特性が著しく低下するという問題点があ
る。
(問題点を解決するための手段) 本発明の目的は、上記問題点を解決しピッチ繊維の持つ
高弾性の特徴を有し、且つ強度、耐酸化性、複合材マト
リックスに対する濡れ性の優れた炭素系無機繊維の前駆
体ポリマーを提供することにある。
本発明によれば、 (A)結合単位(Si−CH2)及び結合単位(Si−Si)か
ら主としてなり、珪素原子の側鎖に水素原子、低級アル
キル基、フェニル基及びシリル基からなる群から選ばれ
る側鎖を有し、結合単位(Si−CH2)の全数に対する結
合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜20の範囲にある有
機珪素重合体単位、 (B)骨格成分が主として縮合環構造よりなり、メソフ
ェーズ状態にある多環状芳香族化合物単位、及び (C)骨格成分が主として縮合環構造よりなり、光学的
等方性相よりなる多環状芳香族化合物単位からなり、 前記(A)の珪素原子の少なくとも一部が、前記(B)
及び/又は前記(C)の芳香族環の炭素原子と結合して
おり、前記(A)と前記(B)及び前記(C)の総和と
の重量比率が1:0.1〜200であり、重量平均分子量が200
〜10000であることを特徴とする珪素含有多環状芳香族
重合体が提供される。
さらに本発明によれば、 i)結合単位(Si−CH2)及び結合単位(Si−Si)から
主としてなり、珪素原子の側鎖に水素原子、低級アルキ
ル基、フェニル基及びシリル基からなる群から選ばれる
側鎖を有し、結合単位(Si−CH2)の全数対結合単位(S
i−Si)の全数の比が1:0〜20の範囲にある有機珪素重合
体の珪素元素の少なくとも一部が、石油系又は石炭系の
ピッチあるいはその熱処理物であって、有機溶媒に対し
て不溶分を含まないピッチより得られた多環状芳香族化
合物の芳香族環の炭素と結合したランダム共重合体100
重量部、及び ii)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
フェーズ又はメソフェーズと光学的等方相との両相から
なる多環状芳香族化合物(以下両者を総称してメソフェ
ーズ多環状芳香族化合物と言うことがある。)2〜3900
重量部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
することを特徴とする珪素含有多環状芳香族重合体の製
造方法が提供される。
本発明の製造方法をまず説明する。以下の記載におい
て、「部」はすべて「重量部」であり、成分含有量の単
位としてのパーセント(%)は全て重量%である。
ランダム共重合体i)の合成原料の一つである結合単位
(Si−Si)及び結合単位(Si−CH2)からなる有機珪素
重合体は、公知の方法で合成することができ、例えばジ
メチルジクロロシランと金属ナトリウムの反応により得
られるポリジメチルシランを、不活性ガス中で400℃以
上に加熱することにより得られる。この有機珪素重合体
の重量平均分子量(Mw)は、一般的には300〜1000で、M
wが400〜800のものが、優れた炭素系無機繊維を得るた
めの中間原料であるランダム共重合体i)を調製するた
めに特に好ましい。
もう一つの出発原料である多環状芳香族化合物は、石油
類の流動接触分解残渣油(FCCスラリーオイル)又はそ
の熱処理油より、軽質留分を除去して得られたピッチ、
ナフサタールより得られたピッチ、及びコールタールピ
ッチ等石炭系ピッチであって、ベンゼン、トルエン、キ
シレン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒に可溶なも
のである。この有機溶媒可溶ピッチの重量平均分子量
(Mw)は、一般的には200〜800で、Mwが250〜600のもの
が、優れた炭素系無機繊維を得るための中間原料である
ランダム共重合体i)を調製するために特に好ましい。
原料として、上記溶媒可溶成分を用いる利点は、有機珪
素重合体とピッチとの使用割合の広い範囲において、低
融点且つ溶媒可溶のランダム共重合体が得られるため、
ランダム共重合体中の溶媒不溶不純物の濾別による精製
が可能であり、且つランダム共重合体i)とメソフェー
ズ多環状芳香族化合物ii)との加熱反応及び/又は加熱
溶融も、より広い範囲の割合で温和な条件で、しかも均
質に行うことができる。従って、得られた珪素含有多環
状芳香族重合体を紡糸する場合に、より低温での紡糸が
可能である。
ランダム共重合体i)は、有機珪素重合体に石油系又は
石炭系ピッチの溶媒可溶成分を添加し、不活性ガス中
で、好ましくは250〜500℃の温度で加熱反応させること
により調製される。
ピッチの使用割合は、有機珪素重合体100部当たり2〜1
900部であることが好ましい。ピッチ成分の使用割合が
過度に小さい場合は、有機珪素重合体成分が多くなり、
メソフェーズを含むピッチとの相溶性が悪化し、本発明
の重合体から無機繊維を調製する場合、紡糸ドープにお
ける均一性が損なわれ、焼成糸の強度、弾性率が低下
し、また、その割合が過度に多い場合は、有機珪素重合
体成分が少なすぎるため、焼成糸のマトリックスに対す
る濡れ性、耐酸化性が低下する。
上記反応の反応温度が過度に低いと、有機珪素重合体の
珪素原子と多環状芳香族化合物の芳香族炭素の結合が生
成しにくくなり、反応温度が過度に高いと、生成したラ
ンダム共重合体i)の分解及び高分子量化が激しく起こ
り好ましくない。
不活性ガスとしては、窒素、アルゴン等が好適に使用さ
れる。
ランダム共重合体i)の重量平均分子量(Mw)は、一般
的には200〜10000で、Mwが250〜8000のものが優れた無
機繊維を得るための前駆体ポリマー(珪素含有多環状芳
香族重合体)の原料として特に好ましい。
メソフェーズ多環状芳香族化合物ii)は、例えば、石油
系又は石炭系のピッチを不活性ガス中で、300〜500℃の
温度に加熱し生成する軟質留分を除去しながら縮重合す
ることによって調製することができる。
メソフェーズ多環状芳香族化合物ii)は、融点が200〜4
00℃の範囲にあり、また、重量平均分子量が200〜10000
である。ただし、この重量平均分子量は、メソフェーズ
多環状芳香族化合物ii)が有機溶媒不溶分を含有するた
め、温和な条件で水添処理し、この有機溶媒不溶分を有
機溶媒可溶な成分に変えて後GPC測定することにより求
めた値である(有機溶媒不溶分を含有する重合体の重量
平均分子量は、上記と同様の処理を施し求めた値であ
る)。
メソフェーズ多環状芳香族化合物ii)の中でも、20〜10
0%の光学的異方性度を有し、2〜60%のキノリン不溶
分並びに30〜100%のベンゼン、トルエン、キシレン又
はテトラヒドロフランに対する不溶分を含むものが、機
械的性能上優れた無機繊維用の重合体を得るために特に
好ましい。
ランダム共重合体i)とメソフェーズ多環状芳香族化合
物ii)を200〜500℃で加熱反応及び/又は加熱溶融し、
本発明の珪素含有多環状芳香族重合体を得る。その際、
ランダム共重合体i)の有機溶媒溶液を使用することに
よりメソフェーズ多環状芳香族化合物ii)との混合をよ
り均質に行うこともできる。
メソフェーズ多環状芳香族化合物ii)の使用割合は、ラ
ンダム共重合体i)100部当たり2〜4000部であること
が好ましく、2部未満では、生成物におけるメソフェー
ズ含有量が不足するため、上記生成物からの高弾性の焼
成糸が得られず、また、4000部より多い場合は、珪素成
分の不足のため、生成物から得られる無機繊維のマトリ
ックスに対する濡れ性、耐酸化性が低下する。
上記溶融混合温度が200℃より低いと不融部分が生じ、
系が不均一となり、焼成糸の強度、弾性率に悪影響を及
ぼし、また、溶融混合温度が500℃より高いと縮合反応
が激しく進行し、生成重合体が高融点となり、重合体の
紡糸が著しく困難となる。
次に、本発明により得られた珪素含有多環状芳香族重合
体について説明する。
本発明により得られた珪素含有多環状芳香族重合体は、
構成成分(A)、(B)及び(C)からなり、構成成分
(A)の珪素原子の少なくとも一部が、構成成分(B)
及び/又は構成成分(C)の芳香族環の炭素原子と結合
している。構成成分(A)と構成成分(B)及び構成成
分(C)の総和との重量比率が1:0.1〜200、且つ構成成
分(B)と構成成分(C)の重量比率が1:0.02〜4であ
ることが好ましい。構成成分(A)と構成成分(B)及
び構成成分(C)の総和との重量比率が0.1未満では、
珪素含有多環状芳香族重合体中のメソフェーズ成分が不
足し、この重合体より得られる無機繊維は、強度、弾性
率が低いものとなり、また、上記割合が200を越えた場
合は、珪素含有多環状芳香族重合体中の有機珪素成分の
不足により、この重合体から得られた無機繊維の耐酸化
性が低下し、さらに上記繊維のFRPマトリックスとの濡
れ性が低くなる。
また、(B)に対する(C)の重量比率が0.02未満で
は、珪素含有多環状芳香族重合体の溶融紡糸に際し、曳
糸性の低下、ドープの粘度むらによる断糸等、紡糸が著
しく困難になり好ましくなく、上記割合が4を越えた場
合は、珪素含有多環状芳香族重合体中のメソフェーズ成
分の不足により重合体から得られる無機繊維の強度、弾
性率が低いものとなる。
本発明の珪素含有多環状芳香族重合体は、珪素原子を0.
25〜40%含有しており、重量平均分子量が200〜10000
で、融点が180〜400℃である。
珪素含有多環状芳香族重合体中の珪素原子含有量が0.25
%未満では、重合体から得られる無機繊維におけるSi、
C、Oよりなる非晶相又はβ−SiC超微粒子の量が少な
すぎるため、FRPマトリックスに対する濡れ性及び繊維
の耐酸化性の向上が顕著に表れず、40%を越えた場合
は、上記無機繊維中のグラファイト超微粒結晶の配向に
よる高弾性、非酸化性雰囲気中での耐熱性向上が達成で
きず、SiC繊維と何ら変わらないものになってしまう。
珪素含有多環状芳香族重合体の重量平均分子量が200よ
り低いものは、実質的にメソフェーズをほとんど含んで
いないため高弾性の焼成糸を得ることはできず、10000
より大きい場合は、高融点となり紡糸困難である。
珪素含有多環状芳香族重合体の融点が180℃より低い場
合は、実質的にメソフェーズを含んでいないうえ、この
重合体を紡糸して得られるプレカーサー糸は不融化時に
融着しやすく、強度、弾性率の高い焼成糸は得られず、
400℃より高い場合は、この重合体を紡糸する際に重合
体の分解が起こり、紡糸が困難となる。
また、珪素含有多環状芳香族重合体は、ベンゼン、トル
エン、キシレン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に対
する不溶分を10〜98%含有しており、且つ室温における
光学的異方性度が5〜97%であることが好ましい。
珪素含有多環状芳香族重合体は、上記有機溶媒不溶分が
10%未満又は光学的異方性度が5%未満では、溶融紡糸
する際、メソフェーズの繊維軸方向への配向がほとんど
起こらず、従って得られたプレカーサー糸を不融化、焼
成しても低強度、低弾性率の繊維しか得られず、また、
上記有機溶媒不溶分を98%より多く含有するか、光学的
異方性度が97%より大きい場合は、メソフェーズが過多
となり、重合体の紡糸が困難となる。
本発明の珪素含有多環状芳香族重合体は、加熱により溶
融するので無機繊維の前駆体として用いることができ
る。
(効果) 本発明による珪素含有多環状芳香族重合体は、重合体中
に有機珪素共重合体及びメソフェーズ多環状芳香族化合
物を含有するため、この重合体を溶融紡糸、不融化、焼
成することにより、超微粒子のグラファイト結晶上にS
i、C、及びOからなる非晶質及び/又はβ−SiC超微粒
子が分散した構造の高強度、高弾性にして、しかもプラ
スチックとの濡れ性に優れた炭素系無機繊維を得ること
ができる。このように、機械特性とプラスチックとの濡
れ性を同時に満足できる繊維は従来存在しなかったた
め、特にFRP用の用途の開発が大きく期待される。ま
た、本発明による繊維は、炭素系繊維の高温酸化雰囲気
での使用を可能とすると共に、本発明の重合体の成形加
工により耐酸化性炭素系材料を得ることができる。ま
た、本発明は、ピッチの有効利用の観点からも資すると
ころ大なるものがある。
(実施例) 以下実施例によって本発明を説明する。
参考例1 5の三口フラスコに無水キシレン2.5及びナトリウ
ム400gを入れ、窒素ガス気流下でキシレンの沸点まで加
熱し、ジメチルジクロロシラン1を1時間で滴下し
た。滴下終了後、10時間加熱還流し沈澱物を生成させ
た。沈澱を濾過し、メタノールついで水で洗浄して、白
色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。
このポリジメチルシラン400gを、ガス導入管、撹拌機、
冷却器及び留出管を備えた3の三口フラスコに仕込
み、撹拌しながら50ml/分の窒素気流下に420℃で加熱処
理して、留出受器に350gの無色透明な少し粘性のある液
体を得た。
この液体の数平均分子量は蒸気圧浸透法で測定したとこ
ろ470であった。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、65
0〜900cm-1の1250cm-1にSi−CH3の吸収、2100cm-1にSi
−Hの吸収、1020cm-1付近と1355cm-1にSi−CH2−Siの
吸収、2900cm-1と2950cm-1にC−Hの吸収が認められ、
またこの物質の遠赤外線吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、380cm-1にSi−Siの吸収が認められることから、得
られた液状物質は、主として(Si−CH2)結合単位及び
(Si−Si)結合単位からなり、珪素の側鎖に水素原子及
びメチル基を有する有機珪素重合体であることが判明し
た。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ1:3である重合体で
あることが確認された。
上記有機珪素重合体300gをエタノールで処理して低分子
量物を除去して、数平均分子量が1200の重合体40gを得
た。
この物質の赤外線吸収スペクトルを測定したところ、上
記と同様の吸収ピークが認められ、この物質は主として
(Si−CH2)結合単位及び(Si−Si)結合単位からな
り、珪素の側鎖に水素原子及びメチル基を有する有機珪
素重合体であることが判明した。
核磁気共鳴分析及び赤外線吸収分析の測定結果から、こ
の有機珪素重合体は(Si−CH2)結合単位の全数対(Si
−Si)結合単位の全数の比率がほぼ7:1である重合体で
あることが確認された。
参考例2 石油留分のうち、軽油以上の高沸点物をシリカ・アルミ
ナ系分解触媒の存在下、500℃の温度で流動接触分解・
精留を行い、その塔底より残渣を得た。以下この残渣を
FCCスラリーオイルと呼ぶ。
このFCCスラリーオイルは、元素分析の結果、炭素原子
対水素原子の原子比(C/H)が0.75で、核磁気共鳴分析
による芳香炭素率が0.55であった。
実施例1 (第1工程) 参考例2で得られたFCCスラリーオイル100gを窒素ガス
気流下400℃に加熱し、同温度における留出分を留去
し、72gの残渣を得た。
この残渣を500mlのキシレンに溶解し、不溶分4gを分離
除去後濃縮し、ピッチの30%キシレン溶液を得た。
上記ピッチの30%溶液50mlに、参考例1で得た有機珪素
重合体の60%キシレン溶液50mlを加え撹拌しながら昇温
し、キシレンを留去後400℃で6時間反応させ、18gの有
機珪素重合体−多環状芳香族反応生成物(ランダム共重
合体)を得た。
この反応物は赤外線吸収スペクトル測定の結果、有機珪
素重合体中に存在するSi−H結合(IR:2100cm-1)の減
少及び新たなSi−C(ベンゼン環の炭素)結合(IR:113
5cm-1)の生成が認められることより有機珪素重合体の
珪素原子の一部が多環状芳香族環と直接結合した部分を
有するランダム共重合体であることがわかった。
また、この共重合体は、キシレン不溶部を含まず重量平
均分子量は1810、融点は225℃であった。
(第2工程) 参考例2で得られたFCCスラリーオイル400gを窒素ガス
気流下450℃に加熱し、同温度における留出分を留去後
残渣を200℃にて熱時濾過を行い、同温度における不融
部を除去し、軽質分除去ピッチ180gを得た。
得られた軽質分除去ピッチ180gを窒素気流下、反応によ
り生成する軽質分を除去しながら400℃で6時間重縮合
を行い、熱処理ピッチ90gを得た。この熱処理ピッチは
融点260℃、キシレン不溶分88%、キノリン不溶分7%
を含有しており、研磨面の偏光顕微鏡観察による光学的
異方性が85%のメソフェーズピッチであった。
(第3工程) 第1工程で得られたランダム共重合体40gと第2工程で
得られたメソフェーズピッチ80gを窒素雰囲気下350℃で
1時間溶融混合し、均一な状態にある珪素含有多環状芳
香族重合体を得た。
この珪素含有多環状芳香族重合体は、光学的異方性度が
44%、キシレン不溶分が59%、融点が240℃であり、温
和な条件下で水添し、ゲルパーミュエイションクロマト
グラフィー(GPC)により重量平均分子量(M)を測
定したところ、M=1380であった。
この珪素含有多環状芳香族重合体を空気中、1000℃に加
熱し、得られた灰分にアルカリ溶融、塩酸処理を施し、
水に溶解後、その水溶液について、高周波プラズマ発光
分光分析装置(ICP)を用い珪素濃度測定を行ったとこ
ろ、上記珪素含有多環状芳香族重合体の珪素含量は、1
1.0%であった。
上記重合体を紡糸ドープとし、口径0.3mmのノズルを用
い溶融紡糸した。得られたプレカーサー糸を空気流通
下、300℃で不融化し、アルゴン気流下1300℃で焼成
し、炭素系無機繊維を得た。この繊維の糸径、引張強
度、引張弾性率は、それぞれ12μ、160Kg/mm2、13t/mm2
であった。
実施例2〜4 実施例1の第1工程の方法により得た有機珪素重合体と
軽質分除去ピッチの仕込み比及び共重合条件、実施例1
の第2工程における熱処理条件、実施例1の第3工程に
おける仕込み比、溶融混合 (溶融縮合)条件を種々選択し珪素含有多環状芳香族重
合体を得た。結果を実施例1の結果と併せて第1表に示
す。いずれの実施例においても得られた珪素含有多環状
芳香族重合体は、いずれも光学的異方性を示し、キシレ
ン不溶分を含有するにもかかわらず比較的低融点で紡糸
可能なドープであった。
比較例1 実施例1で得た軽質分除去ピッチ100gに参 考例1で得た有機珪素重合体50gを加え400℃で6時間反
応し、79gの有機珪素重合体−多環状芳香族反応生成物
(ランダム共重合体)を得た。
得られた共重合体は融点が252℃、珪素含有率が15%
で、平均重量分子量(M)は1400であり、キシレン不
溶分を含まず、メソフェーズ部分も存在しなかった。
比較例2 比較例1で得られた重合体を実施例1と同条件下で紡
糸、不融化、焼成を行い焼成糸を得た。各々の繊維の糸
径、引張強度、引張弾性率は、それぞれ、16μ、75kg/m
m2、5.0t/mm2であった。
また、繊維断面は何ら配向した構造を含んでいなかっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渋谷 昌樹 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇部 興産株式会社宇部研究所内 審査官 保倉 行雄 (56)参考文献 特開 昭62−209139(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)結合単位(Si−CH2)及び結合単位
    (Si−Si)から主としてなり、珪素原子の側鎖に水素原
    子、低級アルキル基、フェニル基及びシリル基からなる
    群から選ばれる側鎖を有し、結合単位(Si−CH2)の全
    数に対する結合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜20の
    範囲にある有機珪素重合体単位、 (B)骨格成分が主として縮合環構造よりなり、メソフ
    ェーズ状態にある多環状芳香族化合物単位、及び (C)骨格成分が主として縮合環構造よりなり、光学的
    等方性相よりなる多環状芳香族化合物単位からなり、 前記(A)の珪素原子の少なくとも一部が、前記(B)
    及び/又は前記(C)の芳香族環の炭素原子と結合して
    おり、前記(A)と前記(B)及び前記(C)の総和と
    の重量比率が1:0.1〜200であり、重量平均分子量が200
    〜10000であることを特徴とする珪素含有多環状芳香族
    重合体。
  2. 【請求項2】i)結合単位(Si−CH2)及び結合単位(S
    i−Si)から主としてなり、珪素原子の側鎖に水素原
    子、低級アルキル基、フェニル基及びシリル基からなる
    群から選ばれる側鎖を有し、結合単位(Si−CH2)の全
    数対結合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜20の範囲内
    にある有機珪素重合体の珪素元素の少なくとも一部が、
    石油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理物であっ
    て、有機溶媒に対して不溶分を含まないピッチより得ら
    れた多環状芳香族化合物の芳香族環の炭素と結合したラ
    ンダム共重合体100重量部、及び ii)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
    フェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両相
    からなる多環状芳香族化合物2〜3900重量部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
    することを特徴とする珪素含有多環状芳香族重合体の製
    造方法。
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