JPH026209B2 - - Google Patents

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JPH026209B2
JPH026209B2 JP2309984A JP2309984A JPH026209B2 JP H026209 B2 JPH026209 B2 JP H026209B2 JP 2309984 A JP2309984 A JP 2309984A JP 2309984 A JP2309984 A JP 2309984A JP H026209 B2 JPH026209 B2 JP H026209B2
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Japan
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electrolytic capacitor
complex salt
solid electrolytic
isopropyl
mixture
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Takahito Ito
Akihiro Shimada
Kimio Uchama
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Nippon Chemi Con Corp
Original Assignee
Nippon Chemi Con Corp
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Publication date
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Priority to EP85101368A priority patent/EP0152082B1/en
Priority to DE8585101368T priority patent/DE3570007D1/de
Priority to KR1019850000827A priority patent/KR920009178B1/ko
Priority to US06/700,248 priority patent/US4656560A/en
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Priority to US06/907,270 priority patent/US4735823A/en
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、固体電解コンデンサおよびその製
造方法に係るもので、特に有機物半導体からなる
固体電解質層の形成方法の改良に関するものであ
る。
固体電解コンデンサは、アルミニウム、タンタ
ル等の被膜形成性金属を陽極に用い、この陽極を
拡面化するために、エツチングあるいは、焼結に
より多孔質化させ、この表面に誘電体となる酸化
被膜層を形成し、次にこの表面に固体電解質層を
形成し、さらにこの外部に導電性陰極引出し層を
形成した構成を有している。
この固体電解質層としては、従来は二酸化マン
ガンが用いられていた。この二酸化マンガンを誘
電体酸化被膜層の上に形成する手段としては、液
状の硝酸マンガン中に陽極電極を含浸し、その後
300℃前後の温度で硝酸マンガンを熱分解して二
酸化マンガンに変性させていた。
しかし、この方法によれば、一度の工程での二
酸化マンガンの付着は僅かであるため、同じ処理
を数度ないし十数度繰り返す必要があつた。
このため、製造過程が極めて複難になるととも
に、熱分解時の高温や発生ガスにより、誘電体酸
化被膜を劣化させてしまう欠点があつた。
そこで最近は、この二酸化マンガンに代えて、
導電性の有機物をこの電解質層に用いることが提
案されている。
この有機物電解質として知られているのがテト
ラシアノキノジメタン(以下TCNQという)の
各種錯塩を用いたものである。
TCNQ錯塩は常温で固体物であるので、これ
を電解質として、コンデンサ素子に付着させる方
法として従来から提案されているものに、有機溶
媒中にTCNQ錯塩を溶解した溶液中に、陽極体
を含浸し、その後溶液から引き上げ、有機溶媒を
蒸発させて、陽極体の表面にTCNQ錯塩層を形
成させることが行われている。しかし、この方法
では、溶媒中のTCNQ錯塩濃度が低いことから、
一度の含浸では十分なTCNQ錯塩を付着させる
ことができず、二酸化マンガン層の形成と同様に
この工程を数度ないし十数度繰り返す必要があ
り、製造工程の複雑さは回避できなかつた。
また溶媒が蒸発後、TCNQ錯塩が結晶化する
ため、拡面化処理された複雑な凹凸を持つ陽極体
表面誘電体酸化被膜との間に十分な接触が得られ
ず、所定の静電容量を得ることができない欠点が
あつた。
最近では、TCNQ錯塩のみをその融点以上に
加熱し融解させ、ここに陽極体を含浸し、その後
引き上げて冷却して、TCNQ錯塩を付着させる
方法が提案されている。この方法によれば、濃度
の高いTCNQ錯塩自体を陽極体に付着させるの
で、一度の含浸工程で十分なTCNQ錯塩を付着
させることができる。しかし、TCNQ錯塩は加
熱に弱く、溶融状態を続けると極めて短時間に分
解を起こし、絶縁体と化してしまう。このため上
記の含浸処理は極めて短時間のうちに終了させ、
その後急激に冷却を行わなければならないので、
急速な処理を行うため装置が複雑になり、しかも
生産性も悪い。また冷却後、TCNQ錯塩が結晶
化し、誘電体酸化被膜との接触が悪くなり、十分
な静電容量を引き出せない欠点があつた。
この発明は、従来のこのような欠点を改良した
もので、TCNQ錯塩からなる固体電解質層を固
体電解コンデンサの陽極体の誘電体酸化被膜上に
含浸させる作業工程を簡便化させるとともに、含
浸率を向上させ、固体電解コンデンサの特性を改
善することを目的としている。
この発明は、イソプロピル―イソキノリニウム
TCNQ錯塩に、ラクトン系化合物を添加してな
る混合物を固体電解質として用いるとともに、前
記固体電解質層の形成を前記イソプロピル―イソ
キノリニウムTCNQ錯塩の融点もしくは分解温
度より低い温度まで加熱して液状化し、この液状
混合物内にコンデンサ素子を含浸し、含浸後冷却
固化させておこなうことを特徴とするもので、混
合物が純物質に比べ融点(凝固点)が降下する現
象に着目し、TCNQ錯塩と添加物との混合物を
加熱溶融し、陽極体への含浸をおこなうものであ
る。以下の実施例に基づきこの発明を詳細に説明
する。
まず、この発明による固体電解コンデンサの製
造手順について説明する。
第1図は、この実施例で用いた陽極体、すなわ
ちコンデンサ素子をあらわしたものである。
このコンデンサ素子1は、帯状の電極体を巻回
して形成されており、陽極2は、高純度のアルミ
ニウム箔からなつている。この陽極2は、まず拡
面化のためエツチング処理が施されており、その
表面に誘電体酸化被膜が陽極酸化処理により、形
成されている。
そして、この帯状の陽極2は、ほぼ同じ面積を
有する集電極3を対抗配置し、陽極2と集電極3
との間には、これら電極2,3より僅かに幅の広
いセパレータ紙4を挾み込んだものを、一方端か
ら巻回して円筒状のコンデンサ素子1としてい
る。なお、陽極2、集電極3の各々には、外部と
の電気的接続を得るためのタブ5,6が熔接等の
手段により接続され、一方の端面から並行して突
出している。そしてさらに、これらのタブの先端
には、外部リード7,8が熔接により接続されて
いる。
第2図は、前記コンデンサ素子1に固体電解質
層を含浸させる方法を示したもので、図の左側に
は予備加熱ブロツク10が置かれている。この予
備加熱ブロツク10は、内部に加熱用のヒーター
が埋設され、上面に凹部11が設けられており、
コンデンサ素子1を凹部11内に載置してコンデ
ンサ素子1を予め加熱し、高温状態を維持させて
おく。
次に、図右側には、含浸用ブロツク12が置か
れており、この含浸用ブロツク12も部に加熱用
ヒータが埋め込まれ、上面には凹部13が形成さ
れている。そしてこの凹部13には、TCNQ錯
塩と添加物とからなる粉末の混合物14が注入さ
れ、加熱により前記混合物14が融解する。そし
てここへ、予備加熱ブロツク10に待機させてお
いたコンデンサ素子1を移動させ所定時間含浸を
行い、この後コンデンサ素子1を凹部13から引
き上げ、自然冷却により液状の混合物14を固化
させて固体電解質層を形成する。
このようにして、固体電解質層の形成されたコ
ンデンサ素子1は、第3図に示すように、有底筒
状の外装ケース20に収納し、外装ケース20の
開口端部を弾性封口体21で閉じ、外装ケース2
0の開口端を巻き締めして密封を行う。なお、コ
ンデンサ素子1から引き出されされた外部リード
7,8は前記弾性封口体21に設けられた貫通孔
から外部に突出し、コンデンサ素子1と外部との
電気的接続がおこなえるようになつている。
次に、上記のような手順により実際の固体電解
コンデンサを作製し、その特性を求めた結果を示
す。なお、従来例として、液体の電解質を使用し
た通常の乾式電解コンデンサおよびイソプロピル
―イソキノリニウムTCNQ錯塩のみを融解含浸
させて作られた固体電解コンデンサとをこの発明
に対比させて示す。
従来例 1 まず、コンデンサ素子として、幅2.2mm、長さ
10mm、厚さ80μmの高純度アルミニウム(純度
99.99%)を陽極として準備し、この陽極の表面
を交流電流による電解エツチングにより拡面化さ
せた後、その表面に耐電圧9Vの誘電体酸化被膜
を陽極酸化処理により形成した。そして集電用電
極として、前記陽極と同じ大きさのアルミニウム
(純度99.94%)を対抗配置させ、双方の電極の略
中央部に外部引き出し用のアルミニウム製タブを
コールドウエルドにより接続し、マニラ麻繊維混
抄のセパレータ紙を介在させて巻回し、円筒状の
コンデンサ素子とした。(以下の従来例、本発明
例のいずれについて同じコンデンサ素子を用いて
いる。) 次に、このコンデンサ素子に、エチレングコー
ル―アジピン酸アンモニウム系の電解液を含浸さ
せ、アルミニウム製の外装ケース内に素子を収納
し、開口部を封口体で閉じ、外装ケース開口端部
を巻き締めて密封し、定格電圧6.3V、定格容量
10μFの電解コンデンサを完成させた。このとき
本体部の外形寸法は、直径3mm、長さ5mmであつ
た。
この電解コンデンサを15分定格電圧を印加して
エージングし、その後の電気特性を調べたとこ
ろ、次の結果が得られた。
静電容量 9.2μF 損失角の正接 0.30 等価直列抵抗値(100KHz) 25Ω 漏れ電流(2分値) 0.10μA 従来例 2 コンデンサ素子は、従来例1と同じものを用
い、このコンデンサ素子を予備加熱ブロツクの中
で予め250℃に加熱し、待機させておいた。次い
で加熱含浸用ブロツクにイソプロピル―イソキノ
リニウムTCNQ錯塩のみを注入し、加熱したと
ころ、240℃で融解し、液体状となつた。
そこで、予備加熱ブロツクで待機していたコン
デンサ素子をすばやく移動させて、コンデンサ素
子の本体をタブが突出した上端面を除いて融解し
た状態のTCNQ錯塩中に含浸し、10秒間保持し
た後引き上げて自然冷却させ、イソプロピル―イ
ソキノリニウムTCNQ錯塩を固化させた。
次のこのコンデンサ素子を従来例1と同じ大き
さの外装ケースに収納し、同じ手段で開口部を密
閉して固体電解コンデンサを完成させた。
そして、定格電圧を1時間印加してエージング
をおこなつた後のこの固体電解コンデンサの特性
は、次のとおりであつた。
静電容量 5.0μF 損失角の正接 0.10 等価直列抵抗値(100KHz) 2.8Ω 漏れ電流(2分値) 0.13μA 本発明例 1 使用コンデンサ素子は、従来例と同じものを使
用し、予備加熱ブロツクで200℃に加熱保持して
おき、含浸用ブロツクには、イソプロピル―イソ
キノリニウムTCNQ錯塩1重量部に、γ―ブチ
ロラクトン0.5重量部をを添加混合したものを注
入し、加熱した。この混合物は150℃で融解した。
そこでコンデンサ素子を予備加熱ブロツクから移
動させて、溶融槽に10秒間含浸し、その後引き上
げて自然冷却させた。
なお固体電解質含浸後の外装処理については、
従来例と同じ条件で行つた。
この固体電解コンデンサの特性は次のとおりで
あつた。
静電容量 10.0μF 損失角の正接 0.040 等価直列抵抗値(100KHz) 0.55Ω 漏れ電流(2分値) 0.14μA 実施例 2 使用コンデンサ素子は、従来例と同じものを使
用し、予備加熱ブロツクは200℃に加熱保持した
含浸用ブロツクには、イソプレピル―イソキノリ
ニウムTCNQ錯塩1重量部に、γ―バレロラク
トン0.3重量部を添加混合したものを注入し、加
熱した。この混合物は200℃で融解した。そこで
コンデンサ素子を予備加熱ブロツクから移動させ
て、溶融槽に10秒間含浸し、その後引き上げて自
然冷却させた。
なお固体電解質含浸後の外装処理については、
従来例と全く同じ条件で行つた。
この固体電解コンデンサの特性は次のとおりで
あつた。
静電容量 9.1μF 損失角の正接 0.065 等価直列抵抗値(100KHz) 1.0Ω 漏れ電流(2分値) 0.22μA 本発明例 3 使用コンデンサ素子は、従来例と同じものを使
用し、予備加熱ブロツクは200℃に加熱保持した
含浸用ブロツクには、イソプロピル―イソキノリ
ニウムTCNQ錯塩1重量部に、δ―バレロラク
トン0.4重量部を添加混合したものを注入し、加
熱した。この混合物は185℃で融解した。そこで
コンデンサ素子を予備加熱ブロツクから移動させ
て、溶融槽に10秒間含浸し、その後引き上げて自
然冷却させた。
なお固体電解質含浸後の外装処理については、
従来例と全く同じ条件で行つた。
この固体電解コンデンサの特性は次のとおりで
あつた。
静電容量 9.4μF 損失角の正接 0.060 等価直列抵抗値(100KHz) 0.92Ω 漏れ電流(2分値) 0.15μA 本発明例 4 使用コンデンサ素子は、従来例と同じものを使
用し、予備加熱ブロツクは200℃に加熱保持した。
含浸用ブロツクには、イソプロピル―イソキノリ
ニウムTCNQ錯塩1重量部に、ε―カプロラク
トン0.3重量部を添加混合したものを注入し、加
熱した。この混合物は200℃で融解した。そこで
コンデンサ素子を予備加熱ブロツクから移動させ
て、溶融槽に10秒間含浸し、その後引き上げて自
然冷却させた。
なお固体電解質含浸後の外装処理については、
従来例と全く同じ条件で行つた。
この固体電解コンデンサの特性は次のとおりで
あつた。
静電容量 9.0μF 損失角の正接 0.055 等価直列抵抗値(100KHz) 0.91Ω 漏れ電流(2分値) 0.25μA 本発明例 5 使用コンデンサ素子は、従来例と同じものを使
用し、予備加熱ブロツクは200℃に加熱保持した。
含浸用ブロツクには、イソプロピル―イソキノリ
ニウムTCNQ錯塩1重量部に、γ―ヘプタラク
トン0.3重量部をを添加混合したものを注入し、
加熱した。この混合物は190℃で融解した。そこ
でコンデンサ素子を予備加熱ブロツクから移動さ
せて、溶融槽に10秒間含浸し、その後引き上げて
自然冷却させた。
なお固体電解質含浸後の外装処理については、
従来例と全く同じ条件で行つた。
この固体電解コンデンサの特性は次のとおりで
あつた。
静電容量 9.5μF 損失角の正接 0.050 等価直列抵抗値(100KHz) 0.87Ω 漏れ電流(2分値) 0.30μA 本発明例6 使用コンデンサ素子は、従来例と同じものを使
用し、予備加熱ブロツクは200℃に加熱保持した。
含浸用ブロツクには、イソプロピル―イソキノリ
ニウムTCNQ錯塩1重量部に、δ―ノナラクト
ン0.3重量部をを添加混合したものを注入し、加
熱した。この混合物は200℃で融解した。そこで
コンデンサ素子を予備加熱ブロツクから移動させ
て、溶融槽に10秒間含浸し、その後引き上げて自
然冷却させた。
なお固体電解質含浸後の外装処理については、
従来例と全く同じ条件で行つた。
この固体電解コンデンサの特性は次のとおりで
あつた。
静電容量 9.3μF 損失角の正接 0.045 等価直列抵抗値(100KHz) 0.59Ω 漏れ電流(2分値) 0.20μA 本発明例 7 使用コンデンサ素子は、従来例と同じものを使
用し、予備加熱ブロツクは200℃に加熱保持した。
含浸用ブロツクには、イソプロピル―イソキノリ
ニウムTCNQ錯塩1重量部に、DL―パントイル
ラクトン0.5重量部を添加混合したものを注入し、
加熱した。この混合物は160℃で融解した。そこ
でコンデンサ素子を予備加熱ブロツクから移動さ
せて、溶融槽に10秒間含浸し、その後引き上げて
自然冷却させた。
なお固体電解質含浸後の外装処理については、
従来例と全く同じ条件で行つた。
この固体電解コンデンサの特性は次のとおりで
あつた。
静電容量 9.9μF 損失角の正接 0.060 等価直列抵抗値(100KHz) 1.0Ω 漏れ電流(2分値) 0.35μA これら実施例の結果をみると、従来例1で示し
た液体の電解質を用いた通常の電解コンデンサ
は、電解質が液体状態で電解コンデンサ素子部に
保持されるため、陽極を拡面化させるためエツチ
ング処理による微細なエツチング孔(ピツト)の
最深部まで電解液が浸透しており、誘電体酸化被
膜との接触が十分行われ、高い静電容量値を示
す。
しかし、電解液の比抵抗値は、イソプロピル―
イソキノリニウムTCNQ錯塩の比抵抗値が数十
Ω・cm以下であるのに対し、200―300Ω・cm程度
と高いため、製品の損失あるいは等価直列抵抗値
が高くなつている。
また、従来例2で示した、イソプロピル―イソ
キノリニウムTCNQ錯塩のみを加熱融解させて
コンデンサ素子へ含浸させる方法で作られた固体
電解コンデンサは、イソプロピル―イソキノリニ
ウムTCNQ錯塩の比抵抗値が従来の電解液に比
べて低いので、損失、等価直列抵抗値等の電気特
性は優れているが、静電容量が極めて低い。
この理由については、明確ではないが、融解し
たイソプロピル―イソキノリニウムTCNQ錯塩
が、陽極のエツチングピツトの内部まで一応は浸
透するものの、その後の冷却固化の際、イソプロ
ピル―イソキノリニウムTCNQ錯塩が針状結晶
化し、エツチングピツトの誘電体酸化被膜との接
触が一部分でしか行われないためと考えられる。
一方、この発明の方法により製作した固体電解
コンデンサは、本発明例1ないし7のいずれにつ
いても含浸率が高く、十分な静電容量値を示す。
これは、この発明の固体電解質がイソプロピル―
イソキノリニウムTCNQ錯塩とラクトン系化合
物の混合物であるため、融解含浸後の冷却時にイ
ソプロピル―イソキノリニウムTCNQ錯塩の結
晶化が妨げられ、非晶質の状態でエツチングピツ
ト内に残留するので、誘電体酸化被膜との接触が
十分に保たれるためと考えられる。また、一部の
イソプロピル―イソキノリウムTCNQ錯塩が結
晶しても、結晶体の間にラクトン系化合物が介在
することにより、結晶間の電導度が得られて、静
電量が確保されるものと考えられる。
このことを裏付けものとして、融解冷却後のイ
ソプロピル―イソキノリウムTCNQ錯塩を示差
熱分析を行つた。第4図は、従来例2で示したイ
ソプロピル―イソキノリウムTCNQ錯塩のみを
融解後固化しもの(A)と、本発明1のイソプロピル
―イソキノリウムTCNQ錯塩とγ―ブチロラク
トンとの混合物の融解後の固化物(B)との示差熱分
析の結果をあらわしたグラフで、(A)のTCNQ錯
塩のみのものは、225℃付近に融点を示す吸熱ピ
ークがあらわれているが、(B)の混合物の方は、融
点を示す吸熱ピークがあらわれておらず、この発
明で使用した混合物が非晶質状態で固化している
ことを示している。なお、(A),(B)とも250℃前後
にあらわれている発熱ピークは、分解点を示した
ものである。またこのグラフではあらわしていな
いが、他のラクトン系化合物を添加した混合物に
ついても同様の傾向がみられた。
この発明によれば、イソプロピル―イソキノリ
ウムTCNQ錯塩とラクトン系化合物との混合物
を融解するために、融点降下がおこり、イソプロ
ピル―イソキノリウムTCNQ錯塩自体の融点よ
り低い温度で融解液化する。このことは、熱分解
までの時間を延長させ、含浸作業を容易にするこ
とができることを示している。
具体的にいえば、イソプロピル―イソキノリウ
ムTCNQ錯塩は、純物質では融点が240℃以上で
あり、この温度での、熱分解時間は2分程度であ
る。従つて、この時間内に、含浸、冷却を終了さ
せなければならず、この工程を2サイクル繰り返
すのが精一杯で、残余のTCNQ錯塩は、導電性
が失われているので廃棄せざる得なかつたが、こ
の発明によれば、融解温度を添加物の種類、混合
割合により融解温度が異なるが、いずれの場合に
おいても、200℃以下で融解することができ、例
えば200℃では分解までの時間を10分以上に、170
℃程度になければ1時間以上も安定した状態を維
持することができ、含浸作業もはるかに多いサイ
クルをこなすことができ、高価なTCNQ錯塩を
無駄なく含浸することができる。
本実施例は、陽極に箔状のアルミニウムを用
い、この表面を拡面処理後、誘電体酸化被膜を形
成したものと、集電用電極とをセパレータ紙を介
在させ巻回したコンデンサ素子を用いたが、コン
デンサ素子は、このような構造のものに限定され
るものではなく、陽極を構成する金属がタンタル
等の他の被膜形成性の金属あるいはそれらの合金
体であつてもよい。またこのような巻回構造に限
らず、被膜形成金属粉末を焼結した多孔質体であ
つてもよい。また、巻回構造であつても、セパレ
ータ紙を省略したもの、集電極にアルミニウム以
外の金属さらには、耐熱性の導電樹脂フイルム等
を使用したものであつてもよい。
また、外装構造についても、本実施例では金属
製の外装ケースに収納したものを例示したが、外
装体は、樹脂ケース、樹脂をデイツプあるいはモ
ールドしたもの、ラミネートフイルムによる外装
などを用いたものであつても、この発明を逸脱す
るものではない。
なお、ラクトン系化合物は、実施例で例示した
もの以外のものであつても同様の結果を示す。ま
た実施例では、ラクトン系化合物を一種のみ添加
したが、二種以上のラクトン系化合物を混合添加
しても、同様の効果が期待できる。
以上述べたように、この発明によれば、含浸率
の高い、すなわち単位体積あたりの静電容量の多
い固体電解コンデンサを得ることができる。しか
も、一度の含浸工程で十分な特性を得ることがで
きるので、電解質層形成工程の簡略化が可能であ
る。また、従来より低い温度でTCNQ錯塩を加
熱融解ができるので、熱分解までの時間を十分に
確保でき、含浸工程が容易かつ多量に含浸でき
る。しかも、製造装置についても簡単なもので済
む。また、高価なTCNQ錯塩を無駄なく使用す
ることができるなどの効果があり、固体電解コン
デンサの特性向上と、作業性向上に極めて有益な
ものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の実施例で用いたコンデン
サ素子の構造をあらわした分解斜視図、第2図
は、この発明の固体電解質の含浸装置をあらわし
た断面図、第3図は、この発明の固体電解コンデ
ンサの完成状態をあらわした断面図である。また
第4図は、TCNQ錯塩のみと、γ―ブチロラク
トンとの混合物との融解後冷却固化させたものの
示差熱分析の結果をあらわしたグラフである。 1……コンデンサ素子、2……陽極、3……集
電極、4……セパレータ紙、5,6……タブ、
7,8……外部リード、10……予備加熱ブロツ
ク、11,13……凹部、12……含浸用ブロツ
ク、14……混合物、20……外装ケース、21
……弾性封口体。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 陽極金属表面に誘電体酸化被膜を形成し、さ
    らにこの上面に固体電解質層が形成された固体電
    解コンデンサにおいて、前記固体電解質層が、テ
    トラシアノキノジメタンと、イソプロピル―イソ
    キノリニウムとの錯塩に、ラクトン系化合物を添
    加した混合物を、融解後固化させたものからなる
    ことを特徴とする固体電解コンデンサ。 2 ラクトン系化合物が、γ―ブチロラクトン、
    γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、ε―
    カプロラクトン、γ―ヘプタラクトン、δ―ノナ
    ラクトン、DL―パントイルラクトンの群から選
    ばれた、一種もしくは二種以上のものであるとこ
    ろの特許請求の範囲第1項記載の固体電解コンデ
    ンサ。 3 陽極金属表面に誘電体酸化被膜を形成し、さ
    らにこの上面に固体電解質層を形成してなる固体
    電解コンデンサにおいて、前記固体電解質層の形
    成が、テトラシアノキノジメタンと、イソプロピ
    ル―イソキノリニウムとの錯塩に、ラクトン系化
    合物を添加してなる混合物を、前記テトラシアノ
    キノジメタンと、イソプロピル―イソキノリニウ
    ムとの錯塩の融点もしくは熱分解温度より低い温
    度まで加熱して液状化し、この液状混合物内にコ
    ンデンサ素子を含浸し、含浸後冷却固化させてお
    こなわれることを特徴とする固体電解コンデンサ
    の製造方法。 4 ラクトン系化合物が、γ―ブチロラクトン、
    γ―バレロラクトン、δ―バレロラクトン、ε―
    カプロラクトン、γ―ヘプタラクトン、δ―ノナ
    ラクトン、DL―パントイルラクトンの群から選
    ばれた、一種もしくは二種以上のものであるとこ
    ろの特許請求の範囲第3項記載の固体電解コンデ
    ンサの製造方法。
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