JPH0533747B2 - - Google Patents

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JPH0533747B2
JPH0533747B2 JP15207886A JP15207886A JPH0533747B2 JP H0533747 B2 JPH0533747 B2 JP H0533747B2 JP 15207886 A JP15207886 A JP 15207886A JP 15207886 A JP15207886 A JP 15207886A JP H0533747 B2 JPH0533747 B2 JP H0533747B2
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band
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pitch
separation
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JP15207886A
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Makoto Hara
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の分野] 本発明は、核酸の塩基配列決定のための信号処
理方法に関するものである。
[発明の背景] 近年、急速に発達して来た分子生物学の分野に
おいては、生物体の機能や複製のメカニズムを解
明するために、生物体のもつ遺伝情報を明らかに
することが必須のこととなつている。とりわけ、
特定の遺伝情報を担うDNA(もしくはDNA断片
物、以下同様)などの核酸の塩基配列を決定する
ことが必要不可欠なこととなつている。
DNA、RNAなどの核酸の塩基配列を決定する
ための代表的な方法として、オートラジオグラフ
イーを利用するマキサム・ギルバート(Maxam
−Gilbert)法およびサンガー・クールソン
(Sanger−Coulson)法が知られている。前者の
マキサム・ギルバート法は、まず、塩基配列を決
定しようとしているDNAあるいはDNA断片物の
鎖状分子の一方の端部に32P等の放射性同位元素
を含む基を結合させることにより、その対象物を
放射性標識物質としたのち、化学的な手段を利用
して鎖状分子の各構成単位間の結合を塩基特異的
に切断する。次に、この操作により得られた塩基
特異的DNA切断分解物の混合物をゲル電気泳動
法により分解展開し、多数の切断分解物がそれぞ
れ分離展開されて形成された分離展開パターン
(ただし、視覚的には見ることができない)を得
る。この分離展開パターンをたとえばX線フイル
ム上に可視化してそのオートラジオグラフを得、
得られたオートラジオグラフと各々の塩基特異的
切断手段とから、放射性同位元素が結合された鎖
状分子の端部から一定の位置関係にある塩基を順
次決定し、これにより対象物全ての塩基配列を決
定することができる。
また、後者のサンガー・クールソン法は、
DNAあるいはDNA断片物の鎖状分子と相補的で
あつて、かつ放射性標識が付与されたDNA合成
物を化学的な手段を利用して塩基特異的に合成
し、この塩基特異DNA合成物の混合物を用いて
上記と同様にしてそのオートラジオグラフから塩
基配列を決定する方法である。
本出願人は、上記核酸の塩基配列決定を簡易か
つ高精度で行なうことを目的として、それに利用
されるオートラジオグラフ測定操作において、上
記X線フイルム等の写真感光材料を用いる従来の
放射線写真法の代りに、蓄積性蛍光体シートを用
いる放射線像変換方法を利用する方法について既
に特許出願している(特開昭59−83057号、特願
昭58−201231号)。ここで、蓄積性蛍光体シート
は輝尽性蛍光体からなるものであり、放射線エネ
ルギーを該蛍光体シートの輝尽性蛍光体に吸収さ
せたのち、可視乃至赤外領域の電磁波(励起光)
で励起することにより、放射線エネルギーを蛍光
として放出させることができるものである。この
方法によれば、露光時間を大幅に短縮化すること
ができ、また従来より問題となつていた化学カブ
リ等が発生することがない。さらに、放射性標識
物質のオートラジオグラフは、一旦放射線エネル
ギーとして蛍光体シートに蓄積されたのち輝尽光
として光電的に読み出されるから、直接にデジタ
ル信号として得たのち適当な記録媒体に保存する
ことができる。
従来より、核酸の塩基配列は可視化されたオー
トラジオグラフについて、放射性標識が付与され
た核酸の塩基特異的切断分解物もしくは塩基特異
的合成物(以下、単に核酸の塩基特異的断片物と
称する)の分離展開位置(バンド)を視覚的に判
断し、それらバンドの位置を相互に比較すること
により決定されている。よつて、オートラジオグ
ラフの解析は通常人間の視覚を通して行なわれて
おり、そのために多大な時間と労力が費されてい
る。
また、人間の目に依存しているため、オートラ
ジオグラフを解析して得られる核酸の塩基配列が
解析者によつて異なるなど塩基配列情報の精度に
は限界がある。
そこで、本出願人は、上記オートラジオグラフ
をデジタル信号として得た後このデジタル信号に
適当な信号処理を施すことにより、DNAの塩基
配列を自動的に決定する方法についても既に特許
出願している(特開昭59−126527号、特願昭59−
89615号、特願昭60−226091号、特願昭60−
226092号等)。オートラジオグラフに対応するデ
ジタル信号は、従来の放射線フイルムを利用する
場合には一旦オートラジオを該フイルム上に可視
画像化したのち、反射光または透過光を利用して
光電的に読み取ることにより得られる。また、蓄
積性蛍光体シートを用いる場合には、オートラジ
オグラフが蓄積記録された蛍光体シートを直接に
読み出すことにより得られる。
しかしながら、実際に放射性標識物質を電気泳
動法などにより支持媒体上に分離展開させて得ら
れた分離展開パターンには種々の歪みおよびノイ
ズが生じがちである。たとえば、分離展開パター
ンは一般に、下部領域(すなわち、分離展開距離
が大きな領域)において分離展開バンドの間隔が
疎であり、一方、上部の分離展開の開始位置に近
づくにつれてバンドの間隔が密になつている。こ
こで、下部とは一般に支持媒体の中央付近より下
側の領域を意味し、また上部とは中央付近より上
側の領域を意味する。従つて、上部領域において
はバンドの分離が十分でないため、二乃至三個の
バンドが連結して一個の幅広なバンドを形成しが
ちである。
また、試料の分離展開の開始位置または開始時
点が各列で異なることによる列間相互の全体的な
位置ズレ(いわゆるオフセツト歪み)がある。オ
フセツト歪みはたとえば、ゲル媒体など支持媒体
の上端に設けられた多数のスロツト(試料の注入
口)の形状(歪みの大きさ)が完全に同一ではな
く個々に異なりがちであることが原因となつて発
生する。また、試料を支持媒体に付着させる際に
付着位置が相互にずれたり、試料注入直前におけ
るゲル媒体の尿素の洗い出しが不十分である場合
には試料の支持媒体への浸入速度が異なることも
歪みの発生の一因となつている。
さらに、試料の作成時において核酸の塩基特異
的断片物の調製、分離が不十分であつたり、ある
いは試料を支持媒体の各スロツトに注入する際に
他のスロツトの試料が混入したりすることによ
り、本来現われるべきではない位置にバンド(こ
れをゴーストバンドまたはエクストラバンドと呼
ぶ)が現われることがある。あるいはまた試料に
放射性不純物が混入したり、露光過程で自然放射
線等の照射を受けたりすることによりノイズが発
生することがある。
このようなバンドの連結(融合)、さらにはオ
フセツト歪みおよびノイズが発生した場合であつ
ても、そのオートラジオグラフに対応するデジタ
ル信号を効率良く信号処理して核酸の塩基配列を
高精度で自動決定することが望まれる。
[発明の要旨] 本発明者は、オートラジオグラフイーを利用し
て核酸の塩基配列を自動決定する方法において、
バンドの融合が生じている分離展開パターンであ
つてもそのオートラジオグラフに対応するデジタ
ル信号を好適に信号処理することにより、核酸の
塩基配列を簡易かつ高精度で自動決定することを
実現した。
また、本発明は、分離展開パターンにバンドの
融合およびオフセツト歪みが生じている場合であ
つても、核酸の塩基配列を簡易かつ高精度で自動
決定することを実現した。
すなわち、本発明は、放射性標識が付与された
塩基特異的DNA断片物もしくは塩基特異的RNA
断片物の混合物が支持媒体上に一次元的方向に分
離展開されて形成された複数の分離展開列からな
る分離展開パターンのオートラジオグラフに対応
するデジタル信号について信号処理を行なうこと
により、核酸の塩基配列を決定する方法におい
て、 (1) 分離展開パターンの下部領域において少なく
とも二つのバンドを連続的に検出する工程(第
一工程)、 (2) 検出されたバンドの位置からバンドのピツチ
についての情報を別に示す行列として得、この
ピツチ情報から次に検出されるべきバンドの分
離展開方向の位置を予測する工程(第二工程)、 (3) 予測位置に基づいて分離展開パターン上で一
つのバンドを検出する工程(第三工程)、 (4) 既に検出されているバンドの位置と上記第三
工程で新たに検出されたバンドの位置から、バ
ンドのピツチについての情報を別に示す行列と
して新たに得、このピツチ情報から次に検出さ
れるべきバンドの分離展開方向の位置を予測す
る工程(第四工程)、 および (5) 上記第三および第四工程を順次繰り返すこと
により分離展開パターン上の全てのバンドを検
出する工程、 を含むことを特徴とする核酸の塩基配列決定のた
めの信号処理方法を提供するものである。
本発明によれば、核酸の塩基特異的断片物の混
合物を支持媒体上で分離展開させて得られた分離
展開パターンにおいて、部分的にバンドの分離が
十分でなく融合バンドが生じている場合でも、そ
のオートラジオグラフに対応するデジタル信号
を、融合バンドの分離のための信号処理機能を有
する処理回路を通すことにより、核酸の塩基配列
を簡易かつ高精度で得ることができる。また、従
来においては非常に困難であつた融合バンドの分
離を行なうことができるから、一回のオートラジ
オグラフ測定で得られる塩基配列情報の量が増加
し、このことによつても目的とする核酸の塩基配
列決定が容易となるものである。
さらに、分離展開パターンにバンドの融合と同
時にオフセツト歪みが生じている場合であつて
も、正確にバンドを分離して検出することができ
る。また、エクストラバンドなどのノイズが生じ
ていてもノイズをバンドと誤認することなく真の
バンドのみを検出することができる。
すなわち、バンドの間隔が分離展開パターンの
上部と下部とで異なり、下部領域においては一つ
一つのバンドが十分に分離しているため、分離展
開列全体の位置ずれが生じていても下端から順序
を誤ることなくバンドを一つずつ検出することが
できる。そして、同じ列内あるいは異なる列間で
連続的に検出されたバンドとバンドの間隔(これ
をピツチという)を求め、これに基づいて列ごと
に個別に次にバンドが存在するべき位置を予測す
ることができる。これにより、複数のバンドが融
合していても個々のバンドに適正かつ簡単に分離
することができる。また、次のバンドの位置を列
ごとに二つの列にまたがつて予測することによ
り、列間で位置ずれが生じていてもその位置ずれ
を考慮して位置予測を行なうことができる。
このようにして融合バンドを分離しながらバン
ドを検出できることにより、核酸の塩基配列決定
を簡易かつ高精度で行なうことができる。
[発明の構成] 本発明において用いられる試料の例としては、
放射性標識が付与されたDNA、RNA等の核酸の
塩基特異的断片物の混合物を挙げることができ
る。ここで、核酸の断片物とは長鎖状の分子の一
部分を意味する。たとえば、塩基特異的DNA断
片物混合物の一種である塩基特異的DNA切断片
分解物混合物は、前述のマキサム・ギルバート法
に従つて、放出性標識が付与されたDNAを塩基
特異的に切断分解することにより得られる。
また、塩基特異的DNA合成物混合物は前述の
サンガー・クールソン法に従つて、DNAをテン
プレート(鋳型)として、放射性標識が付与され
たデオキシヌクレオシドトリフオスフエートと
DNA合成酵素とを用いて合成することにより得
られる。
さらに、塩基特異的RNA断片物の混合物も上
記と同様の方法により、切断分解物混合物として
または合成物混合物として得ることができる。な
お、DNAはその構成単位としてアデニン、グア
ニン、チミン、シトシンの四種類の塩基からなる
が、一方RNAはアデニン、グアニン、ウラシル、
シトシンの四種類の塩基からなる。
放射性標識は、これらの物質に適当な方法で
32P、14C、35S、3H、125Iなどの放射性同位元素を保
持させることによつて付与される。
試料である放射性標識が付与された核酸の塩基
特異的断片物の混合物はゲル状支持媒体など公知
の各種の支持媒体を用いて、電気泳動法、薄層ク
ロマトグラフイー、カラムクロマトグラフイー、
ペーパークロマトグラフイーなど種々の分離展開
方法により支持媒体上に分離展開される。
次に、放射性標識物質が分離展開された支持媒
体について、従来の写真感光材料を用いる放射線
写真法により、あるいは蓄積性蛍光体シートを用
いる放射線像変換方法によりそのオートラジオグ
ラフが得られ、次いで適当な読取り(読出し)系
を介して放射性標識物質のオートラジオグラフに
対応するデジタル信号が得られる。
前者の放射線写真法を利用する場合には、まず
支持媒体とX線フイルム等の写真感光材料とを低
温もしくは常温で長時間(数時間〜数十時間)重
ね合わせて放射線フイルムを感光させたのち、現
像して放射性標識物質のオートラジオグラフを放
射線フイルム上に可視画像化する。次いで、画像
読取装置を用いて放射線フイルム上に可視化され
たオートラジオグラフを読み取る。たとえば、放
射線フイルムに光ビームを照射してその透過光ま
たは反射光を光電的に検出することにより、オー
トラジオグラフは電気信号として得られる。さら
に、この電気信号をA/D変換することにより、
オートラジオグラフに対応するデジタル信号を得
ることができる。
後者の放射線像変換方法を利用する場合には、
まず、支持媒体と蓄積性蛍光体シートとを常温で
短時間(数秒〜数十分間)重ね合わせて蛍光体シ
ートに放射性標識物質から放出される放射線エネ
ルギーを蓄積させることにより、そのオートラジ
オグラフを蛍光体シートに一種の潜像として記録
する。ここで、蓄積性蛍光体シートは、たとえば
プラスチツクフイルムからなる支持体、二価ユー
ロピウム賦活弗化臭化バリウム(BaFBr:Eu2+)
等の輝尽性蛍光体からなる蛍光体層、および透明
な保護膜がこの順に積層されたものである。蓄積
性蛍光体シートに含有されている輝尽性蛍光体
は、X線等の放射線が照射されるとその放射線エ
ネルギーを吸収して蓄積し、そののち可視乃至赤
外領域の光で励起すると蓄積していた放射線エネ
ルギーを輝尽光として放出するという特性を有す
る。
次いで、読出装置を用いて蓄積性蛍光体シート
に蓄積記録されたオートラジオグラフを読み出
す。具体的には、たとえば蛍光体シートをレーザ
光で走査して放射線エネルギーを輝尽光として放
出させ、この輝尽光を光電的に検出することによ
り、放射性標識物質のオートラジオグラフは可視
画像化することなく直接に電気信号として得られ
る。さらに、この電気信号をA/D変換すること
により、オートラジオグラフに対応するデジタル
信号を得ることができる。
上述のオートラジオグラフ測定操作およびオー
トラジオグラフに対応するデジタル信号を得る方
法の詳細については、前記特開昭59−83057号、
特開昭59−126527号、特開昭59−126278号等の各
公報に記載されている。
なお、上記においては、支持媒体上に分離展開
された放射性標識物質のオートラジオグラフに対
応するデジタル信号を得る方法として、従来の放
射線写真法および放射線像変換方法を利用する方
法について述べたが、これらの方法に限定される
ものではなく、それ以外の如何なる方法により得
られたデジタル信号であつても放射性標識物質の
オートラジオグラフと対応関係がある限り、本発
明の信号処理方法を適用することが可能である。
また、上記いずれの方法においてもオートラジ
オグラフの読取り(または読出し)は、放射線フ
イルム(または蓄積性蛍光体シート)の全面に亘
つて行なう必要はなく、画像領域のみについて行
なうことも勿論可能である。
さらに、予め各分離展開列の位置およびバンド
の幅等についての情報を入力して読取り(読出
し)条件を設定しておき、読取り(読出し)操作
においては各バンド上を一本以上の走査線が通過
するような走査線密度で光ビームによる走査を行
なうことにより、読取り(読出し)時間を短縮化
して必要な情報を効率良く得ることができる。な
お、本発明においてオートラジオグラフに対応す
るデジタル信号とは、このようにして得られたデ
ジタル信号をも包含する。
得られたデジタル信号Dxyは、放射線フイルム
(または蛍光体シート)に固定された座標系で表
わされた座標(x,y)とその座標における信号
のレベル(X)とからなり、一つの信号は一つの画素
に対応している。信号のレベルはその座標におけ
る画像濃度、すなわち放射性標識物質の量を表わ
している。従つて、一連のデジタル信号(すなわ
ち、デジタル画像データ)は放射性標識物質の二
次元的な位置情報を有している。
このようにして得られた支持媒体上の放射性標
識物質のオートラジオグラフに対応するデジタル
信号には、以下に述べるような本発明の方法によ
り信号処理が施されて、目的の核酸の塩基配列の
決定が行なわれる。
本発明の信号処理方法の実施の態様を、次の四
種類の放射性標識が付与された塩基特異的DNA
断片物の組合せにより形成された泳動列(分離展
開列)からなる場合について説明する。
(1) グアニン(A)特異的DNA断片物 (2) アデニン(A)特異的DNA断片物 (3) チミン(T)特異的DNA断片物 (4) シトシン(C)特異的DNA断片物 ここで、各塩基特異的DNA断片物は、塩基特
異的に切断分解もしくは合成された、すなわち末
端の塩基を同じくする種々の長さのDNA断片物
からなる。
第1図は、上記四種類の塩基特異的DNA断片
物がそれぞれ四つのスロツトに電気泳動されてな
る泳動パターンのオートラジオグラフを示す。泳
動方向は矢印(↓)の方向であり、泳動パターン
は下部領域においてバンドの間隔が疎であるが上
部になるにつれてその間隔が密となつている。
このオートラジオグラフに対応するデジタル信
号は、信号処理回路において一旦メモリ(バツフ
アーメモリ、または磁気デイスク等の不揮発性メ
モリ)に記憶される。
まず第一に、泳動パターンの下部領域において
二つ以上のバンドを連続的に検出する。
ここで、『連続的に』検出するとは一つのバン
ドを検出したのち、続いて泳動列の異同に関係な
く泳動方向の位置に関して最近接のバンドを検出
することをいう。
たとえば、各泳動列(レーン)の泳動方向に沿
つた一定領域内のデジタル信号を抽出したのち、
各レーンについて抽出された信号の位置とその信
号のレベルとからなる一次元波形を作成する。な
お、デジタル信号の検出を、前記のように各バン
ドに走査線がかかるような走査線密度で泳動方向
に走査することにより行なつた場合には、得られ
たデジタル信号から直接に各レーンについて一次
元波形を作成することができる。
第2図は、各レーンについて信号の位置(x)と信
号のレベル(z)とからなる一次元波形を部分的に示
す。ここで、x方向は泳動方向とは逆の方向であ
る。
一次元波形において、たとえば信号のレベルの
差分値の符号が反転する(+から−に変化する)
点を求めることにより、信号レベルが極大となる
位置を探し出す。極大値は、一次元波形が同一で
あるか否かに関係なく、泳動方向の位置(x)に関し
て連続して少なくとも二箇所で探し出す必要があ
る。この極大値となる位置をバンドの位置とす
る。これにより、少なくとも一つのバンド間隔
(ピツチ)を得ることができる。検出すべきバン
ドの数は、泳動パターン上の総バンド数およびパ
ターンの状態などによつて異なるが、たとえば総
バンド数が150〜200の範囲にある場合には合計で
十数個〜数十個程度のバンドを検出するのが好ま
しい。また、バンドは泳動パターンの最下部で検
出するのが好ましい。
検出されたバンドの位置(x)から各バンドに序列
を付ける。第1図に示すように、泳動パターンの
下部領域においてはバンドの間隔が疎であり、各
バンドが十分に分離しているのでバンドの序列を
直ちに決定することができる。第1図において、
下部領域の六つのバンドの左肩に記されている数
字は、バンドの序列を表わしている。
第二に、これらのバンド間の距離(ピツチ)に
ついての情報を得、このピツチ情報から次に検出
されるべきバンドの泳動方向の位置を予測する。
バンドのピツチPij(ただし、iおよびjはそれ
ぞれ1≦i≦4および1≦j≦4の範囲の正整数
であり、Pijはiレーンからjレーンに至るバン
ドのピツチである)は、各バンドのx方向の位置
の差として求めることができる。たとえば、一番
目のバンドと二番目のバンドの検出により、第一
レーンと第二レーン間のバンドのピツチP12を得
る。このようにして順に第1図の六つのバンドの
ピツチP12、P21、P14、P43、P33を得る。
また、iレーンにおけるバンドのピツチPiiは、
同一レーンで連続して検出された場合(上記にお
いてi=jの場合)を除いては、同一レーンで二
つのバンドを検出したときにピツチの平均値とし
て求めることができる。たとえば、三番目のバン
ドの検出によりP11を求めることができる。すな
わち、既に同じ第一レーンで一番目にバンドが検
出されており、両バンド間の距離が二ピツチ分に
相当することから、これらのバンド間の距離(x
方向の位置の差)をピツチ数2で割つて得られた
平均値をP11とする。バンドのピツチはパターン
上部の泳動開始位置に近づくにつれて徐々に小さ
くはなるが、局所的には10ピツチ分程度までなら
ばその平均値をとつても十分高精度でバンドの位
置予測に用いることができる。
このようにして、バンドのピツチに関する情報
を蓄える。得られたバンドのピツチ情報は、行
列: P=P11P12……P1o P21P22……P2o : PiiPij‥ : : Po1…………Poo (ただし、iおよびjはそれぞれ1≦i≦nお
よび1≦j≦nの範囲の整数であり、nは2以上
の整数であつて分離展開列の数に等しく、Piiは
i列におけるバンドのピツチであり、Pijはi列
からj列に至るバンドのピツチである) で表わすことができる。
上記六つのバンドの検出により、行列: P=P11P12 P12 P33 P43P14 が得られる。なお、行列の空白部分はピツチPij
が未定義であることを意味する。
このピツチ情報に基づいて、次に検出されるべ
きバンドの位置を予測する。具体的には、最後に
検出されたiレーンのバンドの位置xiにPijを加え
た値が、jレーンにおいて次に検出されるべきバ
ンドの予測位置[xj]である。
[xj]=xi+Pij たとえば、次にバンドが第三レーンで検出され
るとすれば、最後に検出された六番目のバンドの
位置にP33を加えた値がその予測位置[x3]であ
る。第三レーン以外のレーンについては、バンド
のピツチP3iが得られていないのでバンドの位置
を予測するこのができない。
このようにして、次に検出されるべきバンドの
位置はレーンごとに個別に、かつレーン間の位置
関係を考慮して予測することができる。従つて、
オフセツト歪みのようなレーン全体の位置ずれを
加味した上で各レーンについてバンドの位置を予
測することができるから、より正確に融合バンド
を分離し、エクストラバンドを捨象して真正バン
ドのみを検出することができる。
第三に、予測位置に基づいて泳動パターン上で
一つのバンドを検出する。
(a) まず、いずれかのレーンの一次元波形におい
て予測位置付近で信号レベルが極大となる場合
には、この極大となる位置にバンドが存在する
と決定することにより、バンドを一つ検出す
る。なお、上記塩基特異的DNA断片物の組合
せ(G、A、T、C)が相互に排他的であるこ
とから、一つのレーンでバンドが検出されれ
ば、他のレーンの同一位置にはバンドは存在し
ないと決定することができる。
(b) 予測位置付近で信号レベルが極大とならなず
かつ位置を予測することができないレーンがあ
る場合には、位置の予測されたレーンにはバン
ドは存在せず他の予測不能のレーンにバンドが
存在するとして、最後に検出されたバンドの位
置より上部の他のレーン上で最初に信号レベル
が極大となる位置を求め、この位置をバンドの
位置と決定することにより、バンドを検出す
る。
(c) あるいは、予測位置付近で信号レベルが極大
とならずかつ全てのレーンで位置が予測されて
いる場合には、予測位置付近で信号レベルが最
も高いレーンにバンドが存在し、その予測位置
をバンドの位置と決定することにより、バンド
を検出する。
たとえば第2図に示すように、最後に検出され
た第二レーンのバンド(位置a)に対してはピツ
チP21〜P24に基づいて、それぞれ各レーンの一次
元波形上でバンドの予測位置b〜eが決まる。い
ずれの予測位置付近においても信号レベルは極大
とならないので、信号レベルが最大である第四レ
ーン(位置e)にバンドは存在すると決定する。
これにより、二つ以上のバンドの融合あるいは
ノイズの発生によりバンドのピークが定かではな
い場合であつても、バンドを好適に分離して検出
することができる。
第四に、新たに検出されたバンドの位置と既に
検出されているバンドの位置とから、バンドのピ
ツチ情報を更新し、このピツチ情報に基づいて次
に検出されるべきバンドの位置を再び予測する。
まず、最後にバンドが検出されたiレーンから
新たにバンドが検出されたjレーンに至るバンド
のピツチを直接に求めることができる。これを上
記行列におけるPijとする。
また、最後にバンドが検出されたレーンとは異
なるレーンでバンドが検出され(i≠j)、かつ
jレーン上で既にバンドが検出されている場合に
は、該バンドと新たに検出されたバンドの間の距
離を相当するピツチ数で割つた平均値を求め、こ
れを行列におけるPjjとする。
さらに、Pkj(ただし、kはiおよびj以外の1
≦k≦4の範囲の整数である)についても、既に
求められているPkiを用いて Pkj=(Pki+Pij)/2 なる演算により、平均値として求めることも可能
である。
あるいは、たとえば第一レーンから第二レーン
に至るバンドのピツチがP12からP′12に更新され
た場合に、ピツチの変化は ΔP12=P′12−P12 である。各レーンの相対位置は不変である(すな
わち、レーン間で局所的な位置ずれもしくはその
変動は生じていない)とすれば、このピツチの変
化は純粋に泳動距離に応じたピツチの変化である
と言えるから、他のレーンと第二レーン間のバン
ドのピツチについても該バンドの位置付近であれ
ば同様に変化するとみなすことができる。
ΔP12=ΔP32=P42 従つて、 P′32=P32+ΔP32 P′42=P42+ΔP42 として、それぞれバンドのピツチを更新すること
ができる。
後者の二つ更新手段は、レーン間の位置ずれが
それほど大きくない場合に有効な方法であり、一
つのバンドの検出によつてピツチの微調整を広範
に行なうことができるとの利点がある。
次いで、この部分的に更新されたピツチ情報に
基づいて、上記と同様にして次のバンドの予測位
置を基める。
このようにして、予測位置に基づいて一つのバ
ンドを検出するたびにピツチ情報を更新し、次の
バンドの位置を予測する操作を泳動パターンの上
端部まで繰り返すことにより、泳動パターン上の
全てのバンドを一つずつ検出することができる。
バンドを一つ検出するごとにピツチ情報が更新
されるから、常に最新のピツチ情報に基づいて次
のバンドの位置予測を精度高く行なうことができ
る。
なお、泳動パターンにバンドの融合のほかに、
スマイリング現象、オフセツト歪みなどの種々の
歪みあるいはクエストラバンド等のノイズが発生
している場合には、上記の操作を行なう前にまた
はその途中でこれらの補正のための信号処理を行
なつてもよい。
ここで、スマイリング現象は、支持媒体の中央
部のスロツトの泳動距離に比べて両端部のスロツ
トの泳動距離が短くなる現象であり、泳動過程に
おける放熱効果(いわゆるエツジ効果)などが原
因となつて生じるものである。信号処理によるこ
れらの補正の詳細については、本出願人による特
願昭60−74899号、特願昭60−74900号、特願昭60
−85275号、特願昭60−85276号、特願昭60−
226091号、昭和61年3月29日出願の特願昭61−
71881号及び昭和61年4月19日出願の特願昭61−
90607号の各明細書に記載されている。
検出された真正バンドの位置をレーン間で相互
に比較することにより、直ちにバンドに序列を付
けることができる。このとき、上記四種類の塩基
特異的DNA断片物の組合せが排他的な組合せで
あることから、異なるレーン上の同じ位置に二つ
以上のバンドは存在しえないことを利用して、容
易に序列を決定することができる。上記(1)〜(4)の
スロツトはそれぞれ(a)、(A)、(T)、(C)からなる末端
塩基についての情報を有するから、各バンドの属
するスロツトに対応する塩基で置換することによ
り、DNAの塩基配列(例えばA−G−C−T−
A−A−G−…)を得ることができる。
このようにして、DNAの片方の鎖状分子につ
いての塩基配列を決定することができる。なお、
DNAの塩基配列についての情報は、上記の表示
形態に限られるものではなく、たとえば所望によ
り同時に各バンドの強度(z′)を放射性標識物質
の相対量として表示することも可能ある。さら
に、DNAの二本の鎖状分子両方についての塩基
配列を表示することもできる。
あるいはまた、DNAの塩基配列情報は、上記
の信号処理がなされたデジタル信号に基づいて画
像として表示することもできる。すなわち、各バ
ンドの補正後の位置をオリジナルのオートラジオ
グラフとともに可視画像化して表示することがで
きる。この場合には最終的な塩基配列決定を解析
者自身がこの表示画像に基づいて行なうことが可
能である。
なお、上記においては、試料である塩基特異的
DNA断片物の混合物として(G、A、T、C)
の排他的組合せを利用した場合について説明した
が、本発明の信号処理方法はこの組合せに限定さ
れるものではなく、例えば(G、G+A、T+
C、C)などの種々の組合せに適用することがで
きる。また同様に、塩基特異的RNA断片物の混
合物(例えば、G、A、U、Cの組合せ)につい
ても本発明の信号処理方法を適用することができ
る。
このようにして得られた塩基配列情報について
はこのほかにも、たとえば、既に記録保存されて
いる他の核酸の塩基配列と照合するなどの遺伝言
語学的情報処理を行なうことも可能である。
上述の信号処理により決定された核酸の塩基配
列についての情報は、信号処理回路から出力され
たのち、次いで直接的に、もしくは必要により磁
気デイスクや磁気テープなどの記憶保存手段を介
して記録装置に伝送される。
記録装置としては、たとえば、感光材料上をレ
ーザー光等で走査して光学的に記録するもの、
CRT等に表示された記号・数値をビデオ・プリ
ンター等に記録するもの、熱線を用いて感熱記録
材料上に記録するものなど種々の原理に基づいた
記録装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、バンドの融合が生じている泳動パタ
ーンの例を示す図である。第2図は、各レーンに
ついて信号の位置(x)と信号のレベル(z)からなる一
次元波形を示す部分図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 放射性標識が付与された塩基特異的DNA断
    片物もしくは塩基特異的RNA断片物の混合物が
    支持媒体上に一次元的方向に分離展開されて形成
    された複数の分離展開列からなる分離展開パター
    ンのオートラジオグラフに対応するデジタル信号
    について信号処理を行なうことにより、核酸の塩
    基配列を決定する方法において、 (1) 分離展開パターンの下部領域において少なく
    とも二つのバンドを連続的に検出する第一工
    程、 (2) 検出されたバンドの位置からバンドのピツチ
    についての情報を、行列: P=P11P12……P1o P21P22……P2o : PiiPij: : : Po1…………Poo (ただし、iおよびjはそれぞれ1≦i≦nお
    よび1≦j≦nの範囲の整数であり、nは2以
    上の整数であつて分離展開列の数に等しく、
    Piiはi列におけるバンドのピツチであり、Pij
    はi列からj列に至るバンドのピツチである) として得、このピツチ情報から次に検出される
    べきバンドの分離展開方向の位置を予測する第
    二工程、 (3) 予測位置に基づいて分離展開パターン上で一
    つのバンドを検出する第三工程、 (4) 既に検出されているバンドの位置と上記第三
    工程で新たに検出されたバンドの位置から、バ
    ンドのピツチについての情報を、行列: P=P11P12……P1o P21P22……P2o : PiiPij‥ : : Po1…………Poo (ただし、iおよびjはそれぞれ1≦i≦nお
    よび1≦j≦nの範囲の整数であり、nは2以
    上の整数であつて分離展開列の数に等しく、
    Piiはi列におけるバンドのピツチであり、Pij
    はi列からj列に至るバンドのピツチである) として新たに得、このピツチ情報から次に検出
    されるべきバンドの分離展開方向の位置を予測
    する第四工程、 および (5) 上記第三および第四工程を順次繰り返すこと
    により分離展開パターン上の全てのバンドを検
    出する工程、 を含むことを特徴とする核酸の塩基配列決定のた
    めの信号処理方法。 2 上記第一および第三工程において、各列につ
    いて分離展開方向に沿つた位置と信号のレベルと
    からなる一次元波形を得たのち、この一次元波形
    上で信号レベルが極大となる位置を求めることに
    よりバンドを検出する特許請求の範囲第1項記載
    の核酸の塩基配列決定のための信号処理方法。 3 上記第二および第四工程において、最後に検
    出されたバンドの位置xiにPijを加えた値を求める
    ことにより、j列において次に検出されるべきバ
    ンドの位置xjを予測する特許請求の範囲第1項記
    載の核酸の塩基配列決定のための信号処理方法。 4 上記第三工程において、 (a) 予測位置付近で信号レベルが極大となる場合
    には、この極大となる位置にバンドが存在する
    と決定する、 (b) 予測位置付近で信号レベルが極大とならずか
    つ位置を予測することができない列がある場合
    には、最後に検出されたバンドの位置より上部
    の該列上で最初に信号レベルが極大となる位置
    を求め、この位置にバンドが存在すると決定す
    る、 または (c) 予測位置付近で信号レベルが極大とならずか
    つ全ての列で位置が予測されている場合には、
    予測位置付近で信号レベルが最も高い列にバン
    ドが存在すると決定する、 ことによりバンドを検出する特許請求の範囲第1
    項記載の核酸の塩基配列決定のための信号処理方
    法。 5 上記第四工程において、 (a) 最後にバンドが検出されたi列から新たにバ
    ンドが検出されたj列に至るバンドのピツチを
    行列におけるPijとする、および (b) j列上で既にバンドが検出されている場合に
    は、該バンドと新たに検出されたバンドの間の
    距離をバンドのピツチ数で割つた平均値を行列
    におけるPjjとする、 ことによりバンドのピツチについて情報を新たに
    得る特許請求の範囲第1項記載の核酸の塩基配列
    決定のための信号処理方法。 6 上記塩基特異的DNA断片物の混合物が、 (1) グアニン特異的DNA断片物、 (2) アデニン特異的DNA断片物、 (3) チミン特異的DNA断片物、 (4) シトシン特異的DNA断片物、 の四種類からなり、分離展開列が、これら四種類
    の塩基特異的DNA断片物がそれぞれ支持媒体上
    に分離展開されて形成された四列の分離展開列か
    らなる特許請求の範囲第1項記載の核酸の塩基配
    列決定のための信号処理方法。 7 上記オートラジオグラフに対応するデジタル
    信号が、支持媒体と輝尽性蛍光体を含有する蓄積
    性蛍光体シートとを重ね合わせて、支持媒体上の
    放射性標識物質のオートラジオグラフを該蛍光体
    シートに蓄積記録したのち、該蛍光体シートに励
    起光を照射して該オートラジオグラフを輝尽光と
    して光電的に読み出すことにより得られたもので
    ある特許請求の範囲第1項記載の核酸の塩基配列
    決定のための信号処理方法。 8 上記オートラジオグラフに対応するデジタル
    信号が、支持媒体と写真感光材料とを重ね合わせ
    て、支持媒体上の放射性標識物質のオートラジオ
    グラフを該感光材料に感光記録したのち、該感光
    材料上に可視化されたオートラジオグラフを光電
    的に読み取ることにより得られたものである特許
    請求の範囲第1項記載の核酸の塩基配列決定のた
    めの信号処理方法。
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